IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 馭勢科技(北京)有限公司の特許一覧

特許7121864自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器
<>
  • 特許-自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器 図1
  • 特許-自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器 図2
  • 特許-自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器 図3
  • 特許-自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20220810BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220810BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W60/00
G01C21/34
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021552210
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2019088822
(87)【国際公開番号】W WO2020186625
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】201910207290.X
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520003435
【氏名又は名称】馭勢科技(北京)有限公司
【氏名又は名称原語表記】UISEE TECHNOLOGIES (BEIJING) LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 401, Building 2 NO. 85, Hongan Road, Fangshan District, Beijing 102402, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】呉 甘沙
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】張 玉新
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/159341(WO,A1)
【文献】特開2015-089801(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057060(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダル、ステアリングホイール及びアクセルペダルを含む車両走行制御装置と、
カメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)及びIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)のうちの少なくとも1つを含む第1センサ群と、
車輪回転速度センサ、速度センサ、加速度センサ及び操舵角センサのうちの少なくとも1つを含む第2センサ群と、
自動運転ステムと、を有する車両の、自動運転システムのアップグレード方法において、
ドライバーが前記車両走行制御装置を操作して車両を運転する手動運転モードにおいて、車両の走行経路である第1走行経路を取得するステップと、
前記手動運転モードにおいて、第1センサ群のデータと第2センサ群のデータを取得するステップと、
前記第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成するステップと、
前記環境感知情報、前記位置決定情報及び前記第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの前記車両の第2走行経路を計画するステップと、
前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムをアップグレードし、車両の自動運転をドライバーの運転習慣に合わせるステップと、を含み、
前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップは、
前記第1走行経路と前記第2走行経路との偏差度を決定するステップと、
前記第1走行経路と前記第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定するステップと、
前記偏差度と前記運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップと、を含む
ことを特徴とする自動運転システムのアップグレード方法。
【請求項2】
前記第1走行経路と前記第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定する前記ステップは、
クラウドサーバに前記第1走行経路と前記第2センサ群のデータを送信するステップと、
前記クラウドサーバの送信する運転行動レベルを受信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記偏差度と前記運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行う前記ステップは、
前記偏差度が予め設定された第1偏差度閾値より大きく、且つ前記運転行動レベルが、ドライバー行動が異常ではないことを表すレベル1である場合に、対応関係を決定するステップと、
前記対応関係に基づいて、自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードするステップと、を含み、
前記対応関係は、前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータと前記第1走行経路との対応関係であり、また、前記自動運転システムは前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータ及び前記対応関係に基づいて、前記第1走行経路を自動運転モードでの前記車両の走行経路に計画することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記偏差度が予め設定された第2偏差度閾値以下である場合に、前記第1走行経路の走行距離を自動運転のテスト走行距離として記録するステップを更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2センサ群のデータのうちの異常データを決定するステップと、
前記異常データを回避する動力学推定データ及び前記動力学推定データに対応する推定時間を決定するステップと、
前記動力学推定データに基づいて、車両基礎実行システムの制御指令を決定するステップと、
前記推定時間に基づいて、前記推定時間に生成した履歴環境感知情報と履歴位置決定情報を決定するステップと、
前記履歴環境感知情報、前記履歴位置決定情報と前記制御指令との間の対応関係を構築するステップと、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ブレーキペダル、ステアリングホイール及びアクセルペダルを含む車両走行制御装置と、
カメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)及びIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)のうちの少なくとも1つを含む第1センサ群と、
車輪回転速度センサ、速度センサ、加速度センサ及び操舵角センサのうちの少なくとも1つを含む第2センサ群と、を有する車両の自動運転システムにおいて、
ドライバーが前記車両走行制御装置を操作して車両を運転する手動運転モードにおいて、車両の走行経路である第1走行経路を取得するための第1取得ユニットと、
前記手動運転モードにおいて、第1センサ群のデータと第2センサ群のデータを取得するための第2取得ユニットと、
前記第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成するための生成ユニットと、
前記環境感知情報、前記位置決定情報及び前記第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの前記車両の第2走行経路を計画するための計画ユニットと、
前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムをアップグレードし、車両の自動運転をドライバーの運転習慣に合わせるアップグレードユニットと、を含み、
前記アップグレードユニットは、
前記第1走行経路と前記第2走行経路との偏差度を決定するための第1サブユニットと、
前記第1走行経路と前記第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定するための第2サブユニットと、
前記偏差度と前記運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うための第3サブユニットと、を含む
ことを特徴とする自動運転システム。
【請求項7】
前記第2サブユニットは、
クラウドサーバに前記第1走行経路と前記第2センサ群のデータを送信するステップと、
前記クラウドサーバの送信する運転行動レベルを受信するステップとに用いられることを特徴とする請求項6に記載の自動運転システム。
【請求項8】
前記第3サブユニットは、
前記偏差度が予め設定された第1偏差度閾値より大きく、且つ前記運転行動レベルが、ドライバー行動が異常ではないことを表すレベル1である場合に、対応関係を決定するステップと、
前記対応関係に基づいて、自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードするステップとに用いられ、
前記対応関係は前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータと前記第1走行経路との対応関係であり、また、前記自動運転システムは前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータ及び前記対応関係に基づいて、前記第1走行経路を自動運転モードでの前記車両の走行経路に計画することを特徴とする請求項6に記載の自動運転システム。
【請求項9】
前記偏差度が予め設定された第2偏差度閾値以下である場合に、前記第1走行経路の走行距離を自動運転のテスト走行距離として記録するための記録ユニットを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の自動運転システム。
【請求項10】
前記第2センサ群のデータのうちの異常データを決定するステップと、
前記異常データを回避する動力学推定データ及び前記動力学推定データに対応する推定時間を決定するステップと、
前記動力学推定データに基づいて、車両基礎実行システムの制御指令を決定するステップと、
前記推定時間に基づいて、前記推定時間に生成した履歴環境感知情報と履歴位置決定情報を決定するステップと、
前記履歴環境感知情報、前記履歴位置決定情報と前記制御指令との間の対応関係を構築するステップとに用いられる逆解析ユニットを更に含むことを特徴とする請求項6に記載の自動運転システム。
【請求項11】
バスシステムによって一体に結合されているプロセッサ、メモリ及び通信インターフェイスを含み、
前記プロセッサは前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを呼び出すことによって、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法のステップを実行することを特徴とする車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年3月19日に中国特許局に提出された、出願番号が201910207290.Xで、発明の名称が「自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施例は、自動運転の技術分野に関し、具体的には自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、自動運転車両は、例えば、手動運転モード、補助運転モード及び自動運転モードを含む多種の車両運転モードを提供できる。そのうち、手動運転モードに対応する自動運転レベルはL0であり、補助運転モードに対応する自動運転レベルはL1であり、自動運転モードに対応する自動運転レベルはL2~L5である。そのうち、自動運転モードは自動運転車両の自動運転システムで車両自動運転の計画制御を実現する。手動運転モードでは、自動運転システムは動作せず、スリープ状態にあり、自動運転モードでは、自動運転システムはアクティブな状態にある。
【0004】
異なるドライバーは運転習慣が異なるので、ドライバーの運転習慣に合わせ、ドライバーの体験を向上させるために、自動運転システムは自動運転計画ポリシーの信頼性を確保した上で、ドライバーの運転習慣に応じてアップグレードすべきである。
【発明の概要】
【0005】
従来技術に存在する課題を解決するために、本開示の少なくとも1つの実施例は、自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器を提供する。
【0006】
第1態様で、本開示の実施例は、
手動運転モードで指令を下して車両走行を制御しない自動運転システムのアップグレード方法において、
手動運転モードでの車両の第1走行経路を取得するステップと、
第1センサ群のデータと第2センサ群のデータを取得するステップと、
前記第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成するステップと、
前記環境感知情報、前記位置決定情報及び前記第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの前記車両の第2走行経路を計画するステップと、
前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップと、を含む自動運転システムのアップグレード方法を提案する。
【0007】
いくつかの実施例で、前記第1センサ群は、カメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、GPS及び/又はIMUを含み、
前記第2センサ群は、車輪回転速度センサ、速度センサ、加速度センサ及び/又は操舵角センサを含む。
【0008】
いくつかの実施例で、前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップは、
前記第1走行経路と前記第2走行経路との偏差度を決定するステップと、
前記第1走行経路と前記第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定するステップと、
前記偏差度と前記運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップと、を含む。
【0009】
いくつかの実施例で、前記第1走行経路と前記第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定する前記ステップは、
クラウドサーバに前記第1走行経路と前記第2センサ群のデータを送信するステップと、
前記クラウドサーバの送信する運転行動レベルを受信するステップと、を含む。
【0010】
いくつかの実施例で、前記偏差度と前記運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行う前記ステップは、
前記偏差度が予め設定された第1偏差度閾値より大きく、且つ前記運転行動レベルがレベル1である場合に、対応関係を決定するステップと、
前記対応関係に基づいて、自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードするステップと、を含み、
前記対応関係は前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータと前記第1走行経路との対応関係であり、また、前記自動運転システムは前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータ及び前記対応関係に基づいて、前記第1走行経路を自動運転モードでの前記車両の走行経路に計画する。
【0011】
いくつかの実施例で、前記方法は、
前記偏差度が予め設定された第2偏差度閾値以下である場合に、前記第1走行経路の走行距離を自動運転のテスト走行距離として記録するステップを更に含む。
【0012】
いくつかの実施例で、前記方法は、
前記第2センサ群のデータのうちの異常データを決定するステップと、
前記異常データを回避する動力学推定データ及び前記動力学推定データに対応する推定時間を決定するステップと、
前記動力学推定データに基づいて、車両基礎実行システムの制御指令を決定するステップと、
前記推定時間に基づいて、前記推定時間に生成した履歴環境感知情報と履歴位置決定情報を決定するステップと、
前記履歴環境感知情報、前記履歴位置決定情報と前記制御指令との間の対応関係を構築するステップと、を更に含む。
【0013】
第2態様で、本開示の実施例は、
手動運転モードで指令を下して車両走行を制御しない自動運転システムにおいて、
手動運転モードでの車両の第1走行経路を取得するための第1取得ユニットと、
第1センサ群のデータと第2センサ群のデータを取得するための第2取得ユニットと、
前記第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成するための生成ユニットと、
前記環境感知情報、前記位置決定情報及び前記第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの前記車両の第2走行経路を計画するための計画ユニットと、
前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うためのアップグレードユニットと、を含む自動運転システムを更に提案する。
【0014】
いくつかの実施例で、前記第1センサ群は、カメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、GPS及び/又はIMUを含み、
前記第2センサ群は、車輪回転速度センサ、速度センサ、加速度センサ及び/又は操舵角センサを含む。
【0015】
いくつかの実施例で、前記アップグレードユニットは、
前記第1走行経路と前記第2走行経路との偏差度を決定するための第1サブユニットと、
前記第1走行経路と前記第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定するための第2サブユニットと、
前記偏差度と前記運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うための第3サブユニットと、を含む。
【0016】
いくつかの実施例で、前記第2サブユニットは、
クラウドサーバに前記第1走行経路と前記第2センサ群のデータを送信するステップと、
前記クラウドサーバの送信する運転行動レベルを受信するステップとに用いられる。
【0017】
いくつかの実施例で、前記第3サブユニットは、
前記偏差度が予め設定された第1偏差度閾値より大きく、且つ前記運転行動レベルがレベル1である場合に、対応関係を決定するステップと、
前記対応関係に基づいて、自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードするステップとに用いられ、
前記対応関係は前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータと前記第1走行経路との対応関係であり、また、前記自動運転システムは前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータ及び前記対応関係に基づいて、前記第1走行経路を自動運転モードでの前記車両の走行経路に計画する。
【0018】
いくつかの実施例で、前記自動運転システムは、
前記偏差度が予め設定された第2偏差度閾値以下である場合に、前記第1走行経路の走行距離を自動運転のテスト走行距離として記録するための記録ユニットを更に含む。
【0019】
いくつかの実施例で、前記自動運転システムは、
前記第2センサ群のデータのうちの異常データを決定するステップと、
前記異常データを回避する動力学推定データ及び前記動力学推定データに対応する推定時間を決定するステップと、
前記動力学推定データに基づいて、車両基礎実行システムの制御指令を決定するステップと、
前記推定時間に基づいて、前記推定時間に生成した履歴環境感知情報と履歴位置決定情報を決定するステップと、
前記履歴環境感知情報、前記履歴位置決定情報と前記制御指令との間の対応関係を構築するステップとに用いられる逆解析ユニットを更に含む。
【0020】
第3態様で、本開示の実施例は、
バスシステムによって一体に結合されているプロセッサ、メモリ及び通信インターフェイスを含み、
前記プロセッサは前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを呼び出すことによって、第1態様に記載の方法のステップを実行する車載機器を更に提案する。
【0021】
以上から分かるように、本開示の実施例の少なくとも1つの実施例で、自動運転システムは、手動運転モードであっても車両周辺環境の感知と車両位置決定を行い、且つ環境感知情報、位置決定情報及び車両センサのデータに基づいて車両の自動走行経路を計画するが、指令を下して車両走行を制御することなく、手動運転モードでドライバーが運転している車両の走行経路と比較して自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードし、それによって、アップグレードされた後の自動運転システムは、自動運転計画ポリシーの信頼性を確保した上で、車両の自動運転を一層ドライバーの運転習慣に合わせ、ドライバーの体験を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の記述に用いられる図面について簡単に説明するが、当然ながら、以下に記載する図面は単に本開示の実施例の一部であり、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到し得る。
【0023】
図1】本開示の実施例による自動運転車両の全体構成図である。
図2】本開示の実施例による車載機器の構造の模式図である。
図3】本開示の実施例による自動運転システムのアップグレード方法のフローチャートである。
図4】本開示の実施例による自動運転システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の上記目的、特徴及び利点をより明らかに理解するために、以下、図面及び実施例を参照しながら本開示を更に詳細に説明する。記述される実施例は本開示の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではないことが理解される。本明細書に記載の具体的な実施例は本開示を限定せず、本開示を解釈するためのものに過ぎない。記述される本開示の実施例に基づいて当業者が想到し得るその他の実施例は、全て本開示の保護範囲に含まれるものとなる。
【0025】
本明細書では、例えば、「第1」や「第2」等のような関係用語は一の実体又は操作と他の実体又は操作を区別するためのものに過ぎず、必ずこれらの実体又は操作の間に何らかのこのような実際の関係又は順序が存在することを要求したり、暗示したりするというわけではないことを説明する必要がある。
【0026】
図1は本開示の実施例による自動運転車両の全体構成図であり、図1で、第1センサ群の収集するデータは、車両外部環境のデータと車両位置検出データを含むが、それらに限定されなく、第1センサ群は、例えば、カメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)及びIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)のうちの少なくとも1つを含むが、それらに限定されない。自動運転システムは第1センサ群のデータを取得可能である。
【0027】
第2センサ群の収集するデータは、車両の動力学データを含むが、それに限定されなく、第2センサ群は、例えば、車輪回転速度センサ、速度センサ、加速度センサ及び操舵角センサのうちの少なくとも1つを含むが、それらに限定されない。自動運転システムは第2センサ群のデータを取得可能である。
【0028】
手動運転モードで、ドライバーは車両走行制御装置を操作することで車両を運転し、車両走行制御装置は、例えば、ブレーキペダル、ステアリングホイール及びアクセルペダル等を含むが、それらに限定されない。車両走行制御装置は直接車両基礎実行システムを操作して車両走行を制御することができる。車両基礎実行システムは、車両走行を制御するものであり、操舵システム、ブレーキシステム及び動力システムを含む。
【0029】
自動運転システムはオペレイティングシステムで運行するソフトウェアシステムであり、車載ハードウェアシステムはオペレイティングシステムの運行を支援するハードウェアシステムである。自動運転システムは計画制御アルゴリズムに基づいて車両自動運転に対して計画ポリシーを行う。自動運転システムはクラウドサーバと無線通信して各種の情報を交換することができる。
【0030】
自動運転システムは手動運転モードで指令を下して車両走行を制御することなく、自動運転システムのアップグレード方法の各実施例のステップを実現可能であり、例えば、
手動運転モードでの車両の第1走行経路を取得するステップ1と、
第1センサ群のデータと第2センサ群のデータを取得するステップ2と、
前記第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成するステップ3と、
前記環境感知情報、前記位置決定情報及び前記第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの前記車両の第2走行経路を計画するステップと、
前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップ5と、を含む。
【0031】
自動運転システムは、手動運転モードであっても車両周辺環境の感知と車両位置決定を行い、且つ環境感知情報、位置決定情報及び車両センサのデータに基づいて車両の自動走行経路を計画するが、指令を下して車両走行を制御することなく、手動運転モードでドライバーが運転している車両の走行経路と比較して自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードし、それによって、アップグレードされた後の自動運転システムは、自動運転計画ポリシーの信頼性を確保した上で、車両の自動運転を一層ドライバーの運転習慣に合わせ、ドライバーの体験を向上させる。
【0032】
図2は本開示の実施例による車載機器の構造の模式図である。
【0033】
図2に示す車載機器は、少なくとも1つのプロセッサ201、少なくとも1つのメモリ202及び他のユーザインターフェイス203を含む。車載機器中の各コンポーネントはバスシステム204によって一体に結合されている。バスシステム204はこれらのコンポーネント間の接続通信を実現するためのものであることが理解可能である。バスシステム204はデータバスに加えて、更に電源バス、制御バス及び状態信号バスを含む。ただし、説明を明瞭にするために、図2において各種のバスが全てバスシステム204とされている。
【0034】
そのうち、ユーザインターフェイス203は、ディスプレイ、キーボード又はクリック装置(例えば、マウス、トラックボール(trackball)又はタッチパネル等を含んでもよい。
【0035】
本実施例におけるメモリ202は揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってもよいし、揮発性及び不揮発性メモリの両方を含んでもよいことが理解可能である。ここで、不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(Read-OnlyMemory:ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(ProgrammableROM:PROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(ErasablePROM:EPROM)、電気的消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(ElectricallyEPROM:EEPROM)又はフラッシュメモリであってもよい。揮発性メモリはランダムアクセスメモリ(RandomAccessMemory:RAM)であってもよく、外部キャッシュとして用いられる。例示的なものであり限定する意図がない説明によれば、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(StaticRAM:SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DynamicRAM:DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SynchronousDRAM:SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DoubleDataRate SDRAM:DDRSDRAM)、強化型同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Enhanced SDRAM:ESDRAM)、同期接続ダイナミックランダムアクセスメモリ(SynchlinkDRAM:SLDRAM)及びダイレクトラムバスランダムアクセスメモリ(DirectRambusRAM:DRRAM)のような多くの形のRAMが使用可能である。本明細書に記載のメモリ202は、これらのメモリ及び他のいかなる適切なメモリを含むが、それらに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態で、メモリ202には、実行可能ユニット又はデータ構造、或いはそれらのサブセット、或いはそれらの拡張セット、即ちオペレイティングシステム2021及びアプリ2022が記憶されている。
【0037】
ここで、オペレイティングシステム2021は、例えば、フレームワーク層、コアライブラリ層、ドライブ層等の各種のシステムプログラムを含み、各種の基礎業務を実現しハードウェアに基づくタスクを処理するように構成される。アプリ2022は、例えば、メディアプレーヤー(MediaPlayer)、ブラウザ(Browser)等の各種のアプリを含み、各種のアプリケーション業務を実現するように構成される。本開示の実施例の方法を実現するプログラムはアプリ2022に含まれていてもよい。
【0038】
本開示の実施例で、プロセッサ201はメモリ202に記憶されたプログラム又は指令を呼び出し、具体的には、アプリ2022に記憶されたプログラム又は指令であってよく、プロセッサ201は自動運転システムのアップグレード方法の各実施例で提供されたステップを実行するためのものであり、例えば、
手動運転モードでの車両の第1走行経路を取得するステップ1と、
第1センサ群のデータと第2センサ群のデータを取得するステップ2と、
前記第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成するステップ3と、
前記環境感知情報、前記位置決定情報及び前記第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの前記車両の第2走行経路を計画するステップ4と、
前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップ5と、を含む。
【0039】
上記の本開示の実施例で開示された方法は、プロセッサ201に用いることができ、又はプロセッサ201によって実現することができる。プロセッサ201は信号処理能力を有する集積回路チップであってもよい。実施過程では、上記方法の各ステップはプロセッサ201のハードウェアの集積論理回路又はソフトウェア形態の指令によって完成可能である。上記プロセッサ201は共通プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DigitalSignalProcessor:DSP)、専用集積回路(ApplicationSpecific IntegratedCircuit:ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FieldProgrammableGateArray:FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、離散ゲート又はトランジスタ論理デバイス、離散ハードウェアコンポーネント等であってもよい。本開示の実施例で開示された各方法、ステップ及び論理ブロック図を実現又は実行することができる。共通プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、又はこのプロセッサはいかなる一般のプロセッサ等であってもよい。本開示の実施例で開示された方法のステップは、ハードウェア復号プロセッサにより実行、完了し、又は復号プロセッサ中のハードウェア及びソフトウェアユニットの組み合わせにより実行、完了するように直接体現することができる。ソフトウェアユニットはランダムメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラマブル読み取り専用メモリ又は電気的消去可能プログラマブルメモリ、レジスター等の本分野の熟達した記憶媒体にあってもよい。この記憶媒体はメモリ202に位置し、プロセッサ201はメモリ202中の情報を読み取り、そのハードウェアと組み合わせて上記方法のステップを完成する。
【0040】
本明細書に記載のこれらの実施例はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード又はそれらの組合によって実現できることが理解可能である。ハードウェアによって実現する場合に、処理ユニットは、1つ又は複数の専用集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理機器(DSPDevice:DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、共通プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本願に記載の機能を実行するための他の電子ユニット又はそれらの組合において実現可能である。
【0041】
ソフトウェアによって実現する場合に、本明細書に記載の機能を実行するユニットによって本明細書に記載の技術を実現することができる。ソフトウェアコードはメモリに記憶し、プロセッサによって実行することができる。メモリはプロセッサ又はプロセッサ外部で実現可能である。
【0042】
本明細書で開示された実施例により記載された各例のユニット及びアルゴリズムのステップが、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアの組み合わせで実現可能であることは、当業者であれば想到できる。これらの機能をハードウェアの形態で実行するか、又はソフトウェアの形態で実行するかは、技術的解決手段の特定の用途及び設計制約条件によって決定される。専門技術者は各特定の用途について、記述した機能を異なる方法を用いて実現できるが、このような実現は本開示の範囲を超えたものと理解すべきではない。
【0043】
当業者であれば、説明を簡単化及び簡潔化するために、上述したシステム、装置及びユニットの具体的な動作プロセスは、前記方法の実施例における対応するプロセスを参照すればよいことが明確に理解され、ここでは説明を省略する。
【0044】
本願により提供された実施例では、方法の実施例のステップ間に明確な先後順序が存在しなければ、実行順序は任意に調整可能であることを理解すべきである。開示する装置と方法は、他の形態で実現できる。例えば、上述した装置の実施例は例示的なものに過ぎず、例えば、前記ユニットの分割は、論理機能の分割に過ぎず、実際に実現時に別の形態で分割してもよく、例えば複数のユニット又はコンポーネントは組み合わせてもよく、又は別のシステムに統合してもよく、又はいくつかの特徴を省略もしくは実行しなくてもよい。一方、図示又は説明した相互の結合又は直接結合又は通信接続はいくつかのインタフェース、装置又はユニットを介した間接結合又は通信接続であり得、電気的、機械的又は他の形態であり得る。
【0045】
前記の分離部材として説明したユニットは物理的に分離されたものであってもなくてもよく、ユニットとして示した部材は物理ユニットであってもなくてもよく、一箇所に位置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の必要に応じてその一部又は全てのユニットを選択して本実施例の解決手段の目的を実現できる。
【0046】
また、本開示の各実施例における各機能ユニットは一つの処理ユニットに統合されてもよく、それぞれ独立して物理的に存在してもよく、二つ又は二つ以上で一つのユニットに統合されてもよい。
【0047】
前記機能はソフトウェア機能ユニットの形で実現され且つ独立した製品として販売又は使用される場合に、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような見解をもとに、本開示の実施例の技術的解決手段は実質的に又は従来技術に寄与する部分又はこの技術的解決手段の一部がソフトウェア製品の形で実施することができ、該コンピュータソフトウェア製品は記憶媒体に記憶され、コンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器等であってもよい)に本開示の各実施例に記載の方法の全て又は一部のステップを実行させる複数の指令を含む。前記記憶媒体は、USBメモリ、モバイルハードディスク、ROM、RAM、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムコードを記憶可能な様々な媒体を含む。
【0048】
図3は本開示の実施例による自動運転システムのアップグレード方法のフローチャートである。この方法の実行主体は車載機器である。
【0049】
図3に示すように、本実施例は、手動運転モードで指令を下して車両走行を制御しない自動運転システムのアップグレード方法において、
手動運転モードでの車両の第1走行経路を取得するステップ301と、
第1センサ群のデータと第2センサ群のデータを取得するステップ302と、
第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成するステップ303と、
環境感知情報、位置決定情報及び第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの車両の第2走行経路を計画するステップ304と、
第1走行経路と第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップ305と、を含んでもよい自動運転システムのアップグレード方法を開示する。
【0050】
本実施例で、手動運転モードで、ドライバーは車両走行制御装置を操作することで車両を運転し、車両走行制御装置は、例えば、ブレーキペダル、ステアリングホイール及びアクセルペダル等を含むが、それらに限定されない。車両走行制御装置は直接車両基礎実行システムを操作して車両走行を制御することができる。車両基礎実行システムは、車両走行を制御するものであり、操舵システム、ブレーキシステム及び動力システムを含む。
【0051】
ドライバーによる車両運転中、自動運転システムは第1センサ群のデータを取得可能である。第1センサ群の収集するデータは、車両外部環境のデータと車両位置検出データを含むが、それらに限定されなく、第1センサ群は、例えば、カメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)及びIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)のうちの少なくとも1つを含むが、それらに限定されない。自動運転システムは第1センサ群のデータを取得可能である。
【0052】
従って、自動運転システムは第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成でき、具体的には、自動運転システムは感知データと位置決定データに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成する。
【0053】
ドライバーによる車両運転中、自動運転システムは更に第2センサ群のデータを取得可能である。第2センサ群の収集するデータは、車両の動力学データを含むが、それに限定されなく、第2センサ群は、例えば、車輪回転速度センサ、速度センサ、加速度センサ及び操舵角センサのうちの少なくとも1つを含むが、それらに限定されない。
【0054】
従って、自動運転システムは環境感知情報、位置決定情報及び第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの車両の第2走行経路を計画することができる。具体的には、自動運転システムは環境感知情報、位置決定情報及び動力学データに基づいて、自動運転計画ポリシーを行って、自動運転モードでの車両の第2走行経路を得る。
【0055】
自動運転システムは、手動運転モードであっても車両周辺環境の感知と車両位置決定を行い、且つ環境感知情報、位置決定情報及び車両センサのデータに基づいて車両の自動走行経路を計画するが、指令を下して車両走行を制御することなく、手動運転モードでドライバーが運転している車両の走行経路と比較して自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードし、それによって、アップグレードされた後の自動運転システムは、自動運転計画ポリシーの信頼性を確保した上で、車両の自動運転を一層ドライバーの運転習慣に合わせ、ドライバーの体験を向上させる。
【0056】
いくつかの実施例で、第1走行経路と第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップ305は、
前記第1走行経路と前記第2走行経路との偏差度を決定するステップ(1)と、
前記第1走行経路と前記第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定するステップ(2)と、
前記偏差度と前記運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップ(3)と、を含んでもよい。
【0057】
本実施例で、自動運転システムは第1走行経路と第2走行経路との偏差度を決定でき、2本の経路間の偏差度の決定は従来の方式を利用可能であり、ここで詳細な説明を省略する。
【0058】
第1走行経路はドライバーが運転する車両の走行経路であり、且つ第2センサ群のデータは車両の走行状態を反映できる車両動力学データを含むので、第1走行経路と第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、ドライバーの運転行動が異常かどうかを決定でき、例えば、車両に急な方向転換、急ブレーキ、急速な追い越し等の異常事件が発生した場合に、ドライバーの行動が異常であることを表す。
【0059】
本実施例で、手動運転モードでの運転行動レベルによってドライバーの行動が異常かどうかを評価し、運転行動レベルがレベル1である場合に異常でないことを表し、運転行動レベルがレベル2である場合に異常であることを表す。具体的な応用では、異なるレベルでドライバー行動良否の異なる程度を表してもよい。
【0060】
第1走行経路と第2走行経路との偏差度及び運転行動レベルを決定した後、自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードするかどうかを決定可能である。
【0061】
ドライバー行動が異常な場合にアップグレードしないが、ドライバー行動が異常でない場合にアップグレードし、それによって、自動運転システムはアップグレードした後の計画制御アルゴリズムに基づいてポリシー計画を行って、ドライバーの習慣に一層合うようになり、ドライバーの体験を向上させる。
【0062】
前の実施例によれば、第1走行経路と第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定するステップは、
クラウドサーバに前記第1走行経路と前記第2センサ群のデータを送信するステップ(1)と、
前記クラウドサーバの送信する運転行動レベルを受信するステップ(2)と、を含んでもよい。
【0063】
本実施例で、自動運転システムはクラウドサーバと通信して第1走行経路と第2センサ群のデータをクラウドサーバに送信し、クラウドサーバは運転行動レベルを決定する。クラウドサーバは運転行動レベルを決定してから自動運転システムに送信して、自動運転システムの負荷を低減する。
【0064】
なお、クラウドサーバは処理能力が自動運転システムの頼る車載ハードウェア機器の処理能力を遥かに上回るため、運転行動レベルをより迅速に決定して、自動運転システムのリアルタイム性要求を満足することができる。
【0065】
本実施例で、第1走行経路はドライバーが運転する車両の走行経路であり、且つ第2センサ群のデータは車両の走行状態を反映できる車両動力学データを含むので、クラウドサーバは第1走行経路と第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、ドライバーの運転行動が異常かどうかを決定でき、例えば、車両に急な方向転換、急ブレーキ、急速な追い越し等の異常事件が発生した場合に、ドライバーの行動が異常であることを表す。
【0066】
なお、クラウドサーバはドライバー行動が異常であると決定した場合に、ドライバー又はその他の専門知識を持つ者が解析し調べることができるように、ログファイルを生成し記憶することができる。
【0067】
いくつかの実施例で、偏差度と運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うステップは、
前記偏差度が予め設定された第1偏差度閾値より大きく、且つ前記運転行動レベルがレベル1である場合に、対応関係を決定するステップ(1)と、
前記対応関係に基づいて、自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードするステップ(2)と、を含んでもよく、
前記対応関係は前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータと前記第1走行経路との対応関係であり、また、前記自動運転システムは前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータ及び前記対応関係に基づいて、前記第1走行経路を自動運転モードでの前記車両の走行経路に計画する。
【0068】
本実施例で、第1偏差度閾値は自動運転システムが計画した第2走行経路とドライバーが制御した車両の第1走行経路との差異が大きくてドライバーの操作習慣に合わないことを表す。
【0069】
前記偏差度が第1偏差度閾値より大きく、且つ運転行動レベルがレベル1である(即ち、ドライバー行動が異常でない)場合に、自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードすべきであることを表し、それによって、アップグレードされた後の自動運転システムは自動運転計画ポリシーの信頼性を確保した上で、車両の自動運転を一層ドライバーの運転習慣に合わせ、ドライバーの体験を向上させる。
【0070】
前記偏差度が予め設定された第2偏差度閾値以下である場合に、自動運転システムが計画した第2走行経路とドライバーが制御した車両の第1走行経路との差異が小さくてドライバーの操作習慣に合って、アップグレードする必要がないことを表す。また、第1走行経路の走行距離を自動運転のテスト走行距離として記録してもよい。第2偏差度閾値が第1偏差度閾値以下である。
【0071】
いくつかの実施例で、自動運転システムのアップグレード方法は、
前記第2センサ群のデータのうちの異常データを決定するステップ(1)と、
前記異常データを回避する動力学推定データ及び前記動力学推定データに対応する推定時間を決定するステップ(2)と、
前記動力学推定データに基づいて、車両基礎実行システムの制御指令を決定するステップ(3)と、
前記推定時間に基づいて、前記推定時間に生成した履歴環境感知情報と履歴位置決定情報を決定するステップ(4)と、
前記履歴環境感知情報、前記履歴位置決定情報と前記制御指令との間の対応関係を構築するステップ(5)と、を含む逆解析プロセスを更に含んでもよい。
【0072】
本実施例で、異常データは車両に急な方向転換、急ブレーキ、急速な追い越し等の異常事件が発生した場合に対応する異常データと理解可能である。
【0073】
前記異常データを回避する動力学推定データ及び前記動力学推定データに対応する推定時間を決定することによって、動力学推定データに対応する車両基礎実行システムの制御指令及び推定時間に生成した履歴環境感知情報と履歴位置決定情報を決定できる。
【0074】
履歴環境感知情報、履歴位置決定情報と制御指令との間の対応関係を構築することによって、車両自動運転中、自動運転システムは環境感知情報が前記履歴環境感知情報であり、且つ位置決定情報が前記履歴位置決定情報であると決定した場合に、制御指令を生成して異常事件の発生を回避する。
【0075】
図4に示すように、本実施例は、手動運転モードで指令を下して車両走行を制御しない自動運転システムにおいて、
手動運転モードでの車両の第1走行経路を取得するための第1取得ユニット41と、
第1センサ群のデータと第2センサ群のデータを取得するための第2取得ユニット42と、
前記第1センサ群のデータに基づいて、環境感知情報と位置決定情報を生成するための生成ユニット43と、
前記環境感知情報、前記位置決定情報及び前記第2センサ群のデータに基づいて、自動運転モードでの前記車両の第2走行経路を計画するための計画ユニット44と、
前記第1走行経路と前記第2走行経路に基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うためのアップグレードユニット45と、を含んでもよい自動運転システムを開示する。
【0076】
いくつかの実施例で、前記第1センサ群は、カメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、GPS及び/又はIMUを含み、
前記第2センサ群は、車輪回転速度センサ、速度センサ、加速度センサ及び/又は操舵角センサを含む。
【0077】
いくつかの実施例で、前記アップグレードユニット45は、
前記第1走行経路と前記第2走行経路との偏差度を決定するための第1サブユニットと、
前記第1走行経路と前記第2センサ群のうちの少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、手動運転モードでの運転行動レベルを決定するための第2サブユニットと、
前記偏差度と前記運転行動レベルに基づいて、自動運転システムのアップグレードを行うための第3サブユニットと、を含む。
【0078】
いくつかの実施例で、前記第2サブユニットは、
クラウドサーバに前記第1走行経路と前記第2センサ群のデータを送信するステップと、
前記クラウドサーバの送信する運転行動レベルを受信するステップとに用いられる。
【0079】
いくつかの実施例で、前記第3サブユニットは、
前記偏差度が予め設定された第1偏差度閾値より大きく、且つ前記運転行動レベルがレベル1である場合に、対応関係を決定するステップと、
前記対応関係に基づいて、自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードするステップとに用いられ、
前記対応関係は前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータと前記第1走行経路との対応関係であり、また、前記自動運転システムは前記環境感知情報、前記位置決定情報、前記第2センサ群のデータ及び前記対応関係に基づいて、前記第1走行経路を自動運転モードでの前記車両の走行経路に計画する。
【0080】
いくつかの実施例で、前記自動運転システムは、
前記偏差度が予め設定された第2偏差度閾値以下である場合に、前記第1走行経路の走行距離を自動運転のテスト走行距離として記録するための記録ユニットを更に含む。
【0081】
いくつかの実施例で、前記自動運転システムは、
前記第2センサ群のデータのうちの異常データを決定するステップと、
前記異常データを回避する動力学推定データ及び前記動力学推定データに対応する推定時間を決定するステップと、
前記動力学推定データに基づいて、車両基礎実行システムの制御指令を決定するステップと、
前記推定時間に基づいて、前記推定時間に生成した履歴環境感知情報と履歴位置決定情報を決定するステップと、
前記履歴環境感知情報、前記履歴位置決定情報と前記制御指令との間の対応関係を構築するステップとに用いられる逆解析ユニットを更に含む。
【0082】
以上の実施例で開示された自動運転システムは以上の各方法実施例で開示された自動運転システムのアップグレード方法の流れを実現でき、繰り返して説明することを回避するために、ここで詳細な説明を省略する。
【0083】
説明すべきは、本明細書において、用語「含む」、「からなる」又はその他のあらゆる変形は非排他的包含を含むように意図され、それにより一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素のみならず、明示されていない他の要素、又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の要素をも含む点である。特に断らない限り、語句「一つの……を含む」により限定される要素は、該要素を含むプロセス、方法、物品又は装置に別の同じ要素がさらに存在することを排除するものではない。
【0084】
本明細書に記載のいくつかの実施例には、他の特徴ではなく、他の実施例に含まれるいくつかの特徴を含むが、異なる実施例の特徴の組合せは本開示の範囲に含まれ且つ異なる実施例を形成することを意味するのが当業者に理解可能である。
【0085】
図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の主旨と範囲を逸脱しない限り、当業者であれば、各種の修正や変形を行うことができ、このような修正や変形は全て添付された特許請求の範囲によって限定された範囲に含まれるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示の実施例による自動運転システムのアップグレード方法、自動運転システム及び車載機器は、手動運転モードであっても車両周辺環境の感知と車両位置決定を行い、且つ環境感知情報、位置決定情報及び車両センサのデータに基づいて車両の自動走行経路を計画するが、指令を下して車両走行を制御することなく、手動運転モードでドライバーが運転している車両の走行経路と比較して自動運転システムの計画制御アルゴリズムをアップグレードし、それによって、アップグレードされた後の自動運転システムは、自動運転計画ポリシーの信頼性を確保した上で、車両の自動運転を一層ドライバーの運転習慣に合わせ、ドライバーの体験を向上させる。
図1
図2
図3
図4