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特許7121886電極を備えたインターベンションデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】電極を備えたインターベンションデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20220812BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20220812BHJP
   A61B 5/24 20210101ALI20220812BHJP
【FI】
A61B17/16
A61N1/05
A61B5/24
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019572004
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067648
(87)【国際公開番号】W WO2019002578
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-02-26
(31)【優先権主張番号】17179063.7
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519011854
【氏名又は名称】ウニヴェルズィテート ベルン
(73)【特許権者】
【識別番号】510143468
【氏名又は名称】エーエムペーアー・アイトゲネーシッシェ・マテリアルプリューフングス‐ウント・フォルシュングスアンシュタルト
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100195545
【弁理士】
【氏名又は名称】鮎沢 輝万
(72)【発明者】
【氏名】アンソ ロメオ, ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ガーバー, ケイト
(72)【発明者】
【氏名】トールワーズ, ケルスティン
(72)【発明者】
【氏名】チャッコ, アーラティ
(72)【発明者】
【氏名】パットシェイダー, イェーグ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/071294(WO,A1)
【文献】特表2016-513565(JP,A)
【文献】特開平01-204647(JP,A)
【文献】米国特許第08326414(US,B2)
【文献】国際公開第2016/162634(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0306754(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011112087(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
A61B 5/24
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織材料を除去するための手術用ドリルビット(20;200)であって、前記組織材料に、好ましくは前進軸(Z+)に沿って前進するように配置された貫通体(100)を備え、前記貫通体(100)は、互いに絶縁された複数の電極(e、e、e、e、...、e)を備えた外面を有し、前記貫通体(100)は、基板ベース(5)と、数N>1の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...、CCeN)と、数M=N-1の電気絶縁コーティング(ici1、ici2、ici3、ici4、...、iciM)と、を備え、第1の導電性コーティング(cce1)は、少なくとも部分的に前記基板ベース(5)を覆い、前記M個の電気絶縁コーティング(ici1、ici2、ici3、...、iciM)の第mの電気絶縁コーティングの各々は、前記N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...)の第mの導電性コーティングを部分的に覆い、前記N個の導電性コーティング(cce2、cce3、cce4)の第nの導電性コーティングの各々は、前記第(n-1)の電気絶縁コーティング(ici1、ici2、ici3)を部分的に覆い、そのため、前記貫通体(100)の前記外面が、前記N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...、cceN)と、前記M個の電気絶縁コーティング(ici1、ici2、ici3、...、iciM)によって交互に形成された少なくともL=N+Mセクション(e、i、e、i、e、i、e)を備える、ことを特徴とする手術用ドリルビット(20;200)。
【請求項2】
前記貫通体(100)は、前記基板ベース(5)と前記第1の導電性コーティング(cce1)との間に位置するベース電気絶縁性コーティング(ici0)を含む、請求項1に記載の手術用ドリルビット(20;200)。
【請求項3】
前記貫通体(100)が最外のコーティングとして最終的な電気絶縁コーティング(ici4)をさらに含む、請求項1または2に記載の手術用ドリルビット(20;200)。
【請求項4】
前記基板ベース(5)が、前記手術用ドリルビット(20;200)の意図された動作、例えば機械加工動作で物理的要求に適合する医療用鋼材のような医療グレードの材料で作製されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の手術用ドリルビット(20;200)。
【請求項5】
前記M個の電気絶縁コーティング(ici1、ici2、ici3、...iciM)が、前記手術用ドリルビット(20;200)の意図された動作、例えば機械加工動作で物理的要求に適合する窒化ケイ素のような医療グレードの材料で作製されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の手術用ドリルビット(20;200)。
【請求項6】
前記N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、・・・、cceN)が、前記手術用ドリルビット(20;200)の意図された動作、例えば機械加工動作で物理的要求に適合する窒化チタンのような医療グレードの材料で作製されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の手術用ドリルビット(20;200)。
【請求項7】
前記M個の電気絶縁コーティング(ici1、ici2、ici3、...、iciM)と、前記N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...cceN)は、前記貫通体の前記外面の前記少なくともL=N+Mセクションが前記前進軸(Z+)の周りに延びるリング(e、i、e、i、e、i、e)であるように配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の手術用ドリルビット(20;200)。
【請求項8】
前記M個の電気絶縁コーティング(ici1、ici2、ici3、...、iciM)と、前記N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...cceN)は、前記貫通体の前記外面の前記少なくともL=N+Mセクションが前記前進軸(Z+)に沿ってストリング(e1、e2、e3、e4)を含むように配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の手術用ドリルビット(20;200)。
【請求項9】
前記貫通体(100)が前端(101)および後端(102)を有し、互いに絶縁されている前記複数の電極(e、e、e、e、...、e)は、前記貫通体(100)の前記前端(101)の近くに位置し、互いに絶縁されている同一の複数の対応する電極(e、e、e、e、...、e)は、前記貫通体(100)の前記後端(102)の近くに提供される、請求項1から8のいずれか一項に記載の手術用ドリルビット
【請求項10】
前記導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...、cceN)の各々は、前記貫通体(100)の前記前端(101)近くの前記電極(e、e、e、e、...、e)の一つ、および前記貫通体(100)の前記後端(102)近くの前記対応する電極(e、e、e、e、...、e)の一つを形成する、請求項9に記載の手術用ドリルビット
【請求項11】
電源ユニットと、請求項1から10のいずれか一項に記載の手術用ドリルビット(20;200)と、を備えるインターベンションシステムであって、前記手術用ドリルビット(20;200)の前記N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...、cceN)の少なくとも1つ(cce1)は、前記電源ユニットに接続され、それはカソードを形成し、前記N個の導電性コーティングの少なくとも別の1つ(cce2、cce3、cce4)はアノードである、インターベンションシステム。
【請求項12】
前記N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...、cceN)の前記少なくとも1つが、前記第1の導電性コーティング(cce1)である、請求項11に記載のインターベンションシステム。
【請求項13】
前記第1の導電性コーティング(cce1)以外の前記導電性コーティング(cce2、cce3、cce4、...、cceN)がアノードである、請求項12に記載のインターベンションシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアノードの複数(cce2、cce3、cce4)の間を切り替えるように配置されたリレーユニットを備える、請求項11から13のいずれか一項に記載のインターベンションシステム。
【請求項15】
N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...、cceN)で形成された複数の電極間の低信号電圧を測定するように配置された増幅器ユニットを含む、請求項11から14のいずれか一項に記載のインターベンションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1のプリアンブルに係るヒトまたは動物の体の標的組織に外科的に介入するためのインターベンションデバイスに関し、より詳細には、導電性コーティングと電気絶縁性コーティングの特別に設計された多層構成により、互いに絶縁された複数の電極が、外面に設けられた貫通体を含むインターベンションデバイスに関する。
【0002】
そのようなインターベンションデバイスは、骨組織または軟部組織等の標的組織に安全に、制御可能に、かつ継続的に介入するために使用されることができる。
【0003】
本発明の可能な用途は、例えば、蝸牛インプラントの配置を準備することであり得、損傷した内耳の機能を置き換える電子医療機器である。通常、人工内耳は、音声プロセッサから外部信号を受信して電気インパルスに変換する内部受信機または刺激装置、および、そのような電気インパルスによって蝸牛神経を直接刺激するために、蝸牛または内耳に埋め込まれる電極アレイを備えている。本発明は、人工内耳の内部受信機用のベッドを安全かつ効率的に準備して、患者の頭蓋骨に固定することを可能にし、ならびに、内耳に挿入するワイヤ状の電極アレイを移植するために、側部の頭蓋底に小さなアクセス穴を開ける。
【0004】
または、本発明は、標的組織を貫通するドリル工具またはバリ工具等のようなインターベンションデバイスを介して、ヒトまたは動物の体の標的組織に対する介入が必要とされる任意の用途に適しており、それによって神経が損傷を受けたり、または過度に干渉されたりしないように注意する必要がある。
【背景技術】
【0005】
体内に任意の補綴要素(歯、頭蓋顎顔面、関節、脊椎等)の埋め込みは、隣接する神経の損傷を防ぐことに最大限の注意が払われ、および補綴部のための穴を開けることは、介入される体部分または組織の全体的な解剖学的構成を考慮する必要がある。
【0006】
例えば、頭蓋底手術中に脳神経を位置付けるように、神経構造を局在化させるように術中モニタリングを使用すること、これらの構造の機能または応答をテストすること、および、例えば、迅速な是正措置を可能にすることにより、手術中にそのような神経構造の完全性を維持することが確立されている。
【0007】
この目的のために、通常、患者からの電気生理学的信号は、例えば、所定の時間に刺激電極を作動させることによりトリガーされる。応答は、操作の過程を通じて、例えば記録電極によって検出される。接続されたコンピュータシステムとその上で実行される専用ソフトウェアのおかげで、患者から来て、かつ記録電極で取得された電気生理学的信号は、つまり、神経構造までの距離を解釈することによって、処理され、かつ解釈され得る。いくつかの方法を使用して、神経を刺激し、相対的な応答信号を処理できる。例えば、筋電図検査では、神経に関連する筋肉の活動の程度に基づいて、介入中の神経までの距離に関する結論を引き出すことができる。神経刺激は筋肉の応答を引き起こし、それが神経の検出を表す。応答信号を処理することにより、刺激信号を発する神経とプローブ等のデバイスとの間の距離の評価を実行できる。典型的には、神経構造からの予測距離は、統計的分布に従って、そのような予測距離が神経構造からの予め設定された距離値の範囲のそれぞれに等しいという統計的確率で推定できる。したがって、手術中の神経損傷を早期に予防するための外科的インターベンション処置中に、デバイスが神経構造から一定の距離にある可能性(例えば、離散的な数の可能な距離値のうち)を考慮することができる。
【0008】
これまで、術中の神経生理学モニタリングを目的とした神経刺激システムは、例えば、樹脂保持構造に埋め込まれた非導電性材料で分離され得る複数の刺激電極を統合した固定刺激プローブを主に備えていた。
【0009】
2015年に、”Otology&Neurology”で公開された”画像誘導ロボット蝸牛インプラント術中の顔面神経温存への神経モニタリングアプローチ”と題するJuan Ansoらの科学記事では、顔面神経刺激プローブが開示されており、4つの独立した電極が樹脂製の細長い支持構造に埋め込まれている。この記事の図1では、双極神経刺激のために、先端電極がカソードとして機能し、3つのリング状電極がアノードとして機能している。
【0010】
上記の記事のような神経モニタリングプローブを用いた外科的インターベンションは、必然的に外科的インターベンションの中断を伴う。実際、神経刺激とモニタリングを実施するように別個のプローブを挿入できるようにするために、ドリルビット等の別個のインターベンション工具による穴あけ作業を中断する必要がある。したがって、外科的インターベンションは、実際に、連続的な測定とモニタリングを含むものではなく、穴あけまたは神経モニタリングのいくつかの連続した段階に分割する必要がある。
【0011】
さらに、開示された神経モニタリングプローブで使用される個別のリング状電極は、細長い支持構造に沿って容易にサイズ変更できず、その結果、手術器具の基板本体または支持構造上の多種多様な複数の電界分布を可能にするよう、異なるスケールされた空間的に異なる表面電極のアレイを作成するのに適していない。したがって、前述の記事の図1に描かれている場合、神経構造の存在に対する感度を、基板本体上の多種多様な複数の電界分布によって極細に調節することができない。
【0012】
さらに、この記事の神経モニタリングプローブで使用される個別のリング状電極は、検出された刺激応答に対応する信号をプローブから処理ユニットにリダイレクトするように最適に構成されていない。
【0013】
骨等の組織に穴を開けるのに適した、神経刺激手段および/または神経応答感知手段および/または組織特性評価手段を統合する市販の外科用工具がある。しかし、それらは、組み込まれた電極が電極組織(または電極セル)界面での電気特性の多極特性評価のために複数の電界分布を効果的に可能にするような構造化されていない。
【0014】
すなわち、米国特許第8326414号明細書は、シャンクとドリルビットの本体を通って延びる導体と絶縁スリーブを含む神経刺激ドリルビットを開示している。導体は、ドリルビットの切断先端で神経刺激信号を提供できる。工具先端に1つまたは2つの刺激電極を備えた構成が示されている。米国特許第8326414号明細書では、意図的に、神経刺激ドリルビットの切断先端に近い組織に刺激を集中させることを意図している。
【0015】
米国特許第8326414号明細書の刺激ドリルビットの主な欠点の1つは、ドリルビットのポイントで作成された電界が非常に狭く、かつ局所化されたままであるため、複数の神経検出状況にあまり融通性がなく、または適応できないことである。そのような構造の結果として、短絡のリスクも存在する。
【0016】
したがって、ヒトまたは動物の体の標的組織に外科的に介入するためのインターベンションデバイスまたはプロセスが必要であり、
外科的インターベンションの実行は、所定の解剖学的および神経生理学的状況を考慮して、制御された方法で実行されることが保証され、
外科的インターベンションと神経モニタリングのプロービングが効率的に実施され、
神経モニタリングの精度を確保し、神経構造から検出された応答を転送し、インターベンションデバイスは、患者の体の標的組織への意図された浸透および前進を実施するのに十分ロバストであり、および/または外科的インターベンションは、同時神経モニタリングからの最適かつ信頼性の高いデータ収集と、神経構造からの予測距離の推定に基づいて、適応的に実行することができる。
【発明の概要】
【0017】
本発明によれば、この必要性は、独立請求項1の特徴により定義されるインターベンションデバイスにより、および独立請求項12の特徴により定義されるインターベンションシステムにより解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0018】
特に、本発明は、好ましくは前進軸に沿って標的組織内に前進するように配置された貫通体を含む、ヒトまたは動物の体の標的組織に外科的にインターベンションするためのインターベンションデバイスに関する。本願明細書で使用される「インターベンション」という用語は、特に、外科手術または患者の手術の行為に関する。インターベンションは、外科的処置、手術、または外科手術に関与し得る。より具体的には、本願明細書で理解されるインターベンションでは、患者の組織または器官は、切断、穴あけ、ミリングまたは同様の操作によって変更または適合される。その目的のために、インターベンションデバイスは、標的組織に前進するように具現化された貫通体を有する。したがって、体腔等の既存の腔に要素を配置することとは異なり、インターベンションデバイスは、貫通体によって、標的組織への独自の経路を作成する。
【0019】
貫通体は、互いに絶縁された複数の電極を備えた外面を有する。より具体的には、貫通体は、基材ベース、数N>1の導電性コーティング、および数M=N-1の電気絶縁コーティングを含む。
【0020】
貫通体の構造は、第1の導電性コーティングが少なくとも部分的に基板ベースを覆い、M個の電気絶縁性コーティングの第mの電気絶縁性コーティングの各々がN個の導電性コーティングの第mの導電性コーティングを部分的に覆い、およびN個の導電性コーティングの第nの導電性コーティングの各々が第(n-1)の電気絶縁性コーティングを部分的に覆うように構成される。
【0021】
結果として、貫通体の外面は、N個の導電性コーティングとM個の電気絶縁性コーティングによって交互に形成される少なくともL=N+Mのセクションを含む。
【0022】
本発明の文脈において、NおよびMは固定数であり、nおよびmは関連する変数である。例えば、4つの導電性コーティングと3つの電気絶縁性コーティングがある場合、Nは4、Mは3であるのに対し、nは1、2、3または4であり、mは1、2または3である。したがって、n∈{1、...、N}およびm∈{1、...、M}であり、ただしM=N-1である。
【0023】
好ましくは、N個の導電性コーティングの第nの導電性コーティングによる第(n-1)の電気絶縁性コーティングの部分的な被覆は、n=2で始まり、すなわち、シーケンスは、第1の電気絶縁コーティングを部分的に覆う第2の導電性コーティングで始まる。結果として、インターベンションデバイスの貫通体の外面は、連続的に重なり合う導電性コーティングと電気絶縁性コーティングの交互部分の一連のジグザグ配列を含む。
【0024】
好ましくは、貫通体は、基材ベースと第1の導電性コーティングとの間に位置するベース電気絶縁性コーティングを含む。これは、基板ベースが導電性である場合に特に有利である。
【0025】
貫通体は、また、第n=N個の導電性コーティングを部分的に覆う最終的な電気絶縁性コーティングを備えてもよい。
【0026】
好ましくは、本発明に係るインターベンションデバイスは、外科用ドリルビット、切断バー、ミリングバー、または別の材料除去工具の形態をとることができ、同時にプローブの刺激および感知機能を有利に統合することができる。
【0027】
いずれにしても、本発明に係るインターベンションデバイスは、ミリング、穴あけ、バリ取り、切断、シェービング、把持等の操作に適した、組織材料を除去するために設計された任意の外科用工具であり得る。あるいは、本発明に係るインターベンションデバイスは、例えば、針、トロカール、またはエネルギアプリケータの形態をとる、材料除去を伴わない操作を実施するのに適した工具であってもよく、デバイスの貫通体は動的に移動し得(例えば、回転、振動、並進、またはそれらの組み合わせ)、または、さらには動かないまま、または静止であり得る。
【0028】
上記のインターベンションデバイスの多層構造では、表面電極のアレイが、部分的に重なり合う電気絶縁コーティングと交互になった導電性コーティングによって提供され、基板ベースの周りに複数の電界分布を作成できるという利点がある。
【0029】
各電界分布により、電極-組織(または細胞培養)界面での電気特性の多極特性評価のためのいくつかの構成が可能になる。
【0030】
本発明に係るインターベンションデバイスの特別な構造的配置のおかげで、複数の電極が貫通体の外面に沿っていくつかの異なる距離で設けられており、それぞれの電極構成に従っていくつかの電界分布を作成することができる。したがって、神経モニタリングの感度が向上し、空間分解能が向上した測定が実行される。それだけでなく、基板ベースの少なくとも1つの近位端(つまり、標的組織の貫通で最も前進しない、かつインターベンションデバイスの遠位先端の反対側である端)までの導電性コーティングの実質的な連続性を与え、神経構造から接続されたコンピュータベースの処理ユニットへの検出された応答の転送は、操作上単純化され、かつ複雑なインタフェースを必要とせずにシームレスに行うことができる。
【0031】
さらに、工具の先端から短い距離にあるリターン電極は、先端を囲む電界分布機能の異なるバリエーションを提供する。
【0032】
さらに、電極は、マスキングされた堆積または他の何らかの付加的な方法によって、工具の外側表面に生成されてもよい。したがって、マスキングのコンセプトまたはいくつかの他の堆積のコンセプトの変更により、異なる電極サイズと形状を簡単に製造できる。例えば、工具の特定の位置でより高い電流密度を提供するために、アクティブな刺激電極のより小さな有効表面積が望まれる。さらに、球形、円錐形、または他のタイプ等、電極形状の広範なバリエーションを基板ベース上に作成できる。導電性コーティングおよび電気絶縁性コーティングの堆積は、物理蒸着のような薄膜を作成するための既知の手法、例えば、スパッタリングまたはプラズマスプレー蒸発によって実施することができる。
【0033】
上記のように製造された複層構造は、基材ベースのコア、およびその上に部分的に重なるコーティングの層状化により、本質的にロバストであり、および外科的インターベンション中に硬い骨組織上でも適用できる機械的ストレスに最適に耐える。
【0034】
そのようなロバスト性により、本発明に係るインターベンションデバイスは、例えば、プローブの機能を実行する測定装置として、およびドリルビットまたはバーの場合のような、穴を作製または組織に穿孔するための一般的な回転または動的工具としての統合用途に適したものになる。したがって、外科的インターベンションと神経モニタリングのためのプロービングが同時に可能になり、および本発明に係る1つの同じインターベンションデバイスの使用のおかげで継続的に起こり得る。
【0035】
好ましくは、基板ベースは、インターベンションデバイスの意図された動作、例えば、機械加工動作の物理的要求に適合する医療グレードの材料、例えば、医療用鋼材で作られる。医療用鋼材料は、例えば、炭化タングステン(WC)またはステンレス鋼であり得る。基板ベースは、ダイヤモンドで作ることもできる。
【0036】
好ましくは、M個の電気絶縁コーティングは、インターベンションデバイスの意図された動作、例えば、機械加工動作の物理的要求に適合する医療グレードの材料、例えば、窒化ケイ素(Si)で作られており、N個の導電性コーティングは、好ましくは、インターベンションデバイスの意図された動作、例えば、機械加工動作の物理的要求に適合する医療グレードの材料、例えば、窒化チタン(TiN)で作られる。
【0037】
好ましくは、M個の電気絶縁コーティングおよびN個の導電コーティングは、貫通体の外面の少なくともL=N+Mのセクションが前進軸の周りに延びるリングであるように配置される。
【0038】
可能な実施形態では、M個の電気絶縁コーティングおよびN個の導電コーティングは、貫通体の外面の少なくともL=N+Mのセクションが前進軸に沿ってストリングを含むように配置される。したがって、このようなストリングは、前進軸に沿って延びる直線の長方形要素のような、導電性コーティングの異なるパターンを作成できる。基板ベースの形状に応じて、球形または他の形状の電極部分(例えば、円筒形、円錐形、またはそれらの組み合わせ)のセグメントの形状を支える電極の組み込みも可能である。
【0039】
好ましくは、インターベンションデバイスは、N個の導電性コーティング(cce1、cce2、cce3、cce4、...、cceN)で形成された複数の電極間の組織インピーダンスを測定するように構成された増幅器ユニットを含む。
【0040】
好ましくは、インターベンションデバイスの貫通体は、前端および後端を有し、互いに絶縁された複数の電極は、貫通体の前端の近くに位置し、および互いに絶縁された同一の複数の対応する電極は、貫通体の後端近くに提供される。それにより、各導電性コーティングは、好ましくは、貫通体の前端近くの1つの電極と、貫通体の後端近くの1つの対応する電極を形成する。このように、それぞれの導電性コーティングによって接続された電極のペアが形成される。前端および後端における電極のそのような配置は、例えば、電磁界または電場を生成するために、または他の目的のために電圧を提供するために、電極に接触することを可能にする。
【0041】
本発明は、また、電源ユニットおよび上述のインターベンションデバイスを含むインターベンションシステムに関し、インターベンションデバイスのN個の導電性コーティングの少なくとも1つは、カソードを形成するように電源ユニットに接続され、および、N個の導電性コーティングの少なくとも別の1つはアノードである。そのようなインターベンションシステムは、上記のインターベンションデバイスおよびその好ましい実施形態に関連して説明された効果および利益を達成することを可能にする。
【0042】
好ましくは、電源ユニットに接続されたN個の導電性コーティングのうちの少なくとも1つは、第1の導電性コーティングである。第1の導電性コーティングは、好ましくは、円錐形であり、およびインターベンションデバイスの先端で貫通体の外面を実質的に形成する。
【0043】
上記構成によれば、第1の導電性コーティング以外の導電性コーティングは、アノードであることが好ましい。
【0044】
本発明に係るインターベンションシステムは、複数の少なくとも1つのアノード間を切り替えるように配置されたリレーユニットを備えてもよい。したがって、有利には、電源ユニットは、提供されるいくつかのカソード-アノード構成間、すなわち、インターベンションデバイス上およびその周囲に作成される対応するいくつかの電界分布間で切り替えることができる。異なる電界分布間の交代におけるこの汎用性のおかげで、異なる配向と方向で潜在的な神経衝突、例えば、異なる角度の正面衝突または側面衝突を検出することが容易になる。
【0045】
好ましくは、本発明に係るインターベンションシステムは、N個の導電性コーティングによって形成された複数の電極間の低信号電圧を測定するように配置された増幅器ユニットを含む。例えば、複数の電極は、少なくとも1つのカソードと1つのアノード、または1つのカソードと2つのアノード、または1つのカソードと3つのアノードを含むことができる。したがって、異なる電界体積導体を各陰極-陽極対の間に作成でき、および刺激に対する神経構造からの応答を最適に検出および記録できる。
【0046】
インターベンションシステムの特定の実施形態では、電源ユニットは、約1μsから1sの間、または約10μsから約100msの間、または約100μsから約10msの間の時間周期を有する電気正弦波または他のタイプの周期波の信号を提供するように配置され得る。
【0047】
上記の正弦波または他の波のタイプの信号は、約1μΑから約100μΑ、または約10μΑから約50μΑ、または1mVから約1Vの範囲であってもよい。
【0048】
インターベンションシステムの異なる可能な実施形態では、電力供給ユニットは、約50μsから約500μs、または約100μsから約400μs、または約150μsから約300μs、または約250μsの時間幅を有する電流パルスを提供する配置され得る。
【0049】
好ましくは、そのような電流パルスは、約0.1mAから約1mA、または約0.1mAから約30mAの範囲にある。
【0050】
本発明に係るインターベンションシステムは、好ましくは、神経等の標的解剖学的構造に関し、かつ少なくとも1つのアノードから知覚される電気信号および筋肉の電気活動に基づいて、前記工具の幾何学的特性をコンピュータで計算または計算するように構成される処理ユニットを備える。
【0051】
それは、追加的または代替的に、少なくとも1つのアノードまたは少なくとも1つの電極で送信および/または知覚される電気信号および筋肉の電気活動に基づいて神経までの距離を見積もるように配置される処理ユニットを備えることができる。導入されたインターベンションデバイスの構造は、神経構造と関連筋肉の刺激、ならびにそのような刺激に対して与えられた検出された応答を、継続的に信頼できる、進行中のインターベンションの安全性のリアルタイム評価のため、神経構造からの予測距離に相関させる能力を最適化する。
【0052】
本発明に係るインターベンションデバイスのポイント、またはその遠位端、すなわち、動作中に前進軸に沿って標的組織内に最も前進する端部は、また、好ましくは検知要素として作用するさらなる機能要素を組み込むことができ、さまざまな電気的、機械的、電気機械的、または熱的パラメータを測定できる。一例として、好ましくはカソード電極として作用する第1の導電性コーティングは、挿入プロセス中に遭遇する組織の電気インピーダンスを測定する等、他の機能的タスクも実施するように設計することができる。したがって、インターベンションデバイスは、介入する組織の性質に関する指示、例えば、遭遇された骨の部分が皮質骨組織または海綿骨組織で構成されているかどうかを与えることができる。代替的に、または付加的に、例えば、2つの異なる材料の熱結合原理によって作成された温度センサーをそのポイントに組み込むことができ、および/またはインターベンションが標的組織内に次第に前進するときにインターベンションデバイスに作用する機械的引張力および圧縮力を測定するひずみゲージ、および/または組織または細胞培養物の電気的または電気化学的特性(例えば、pH変動)を測定する電気化学センサー。インターベンションデバイスの遠位端には、無線周波アンテナ、熱加熱要素、またはそれらの組み合わせ等のアクチュエーション要素をさらに設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明に係るインターベンションデバイスは、例示的な実施形態により、かつ添付の図面を参照して、本願明細書で以下により詳細に説明される。
図1a図1は、ドリルビットの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスの第1の実施形態の概略図を示し、 進行軸の周りに交互に延びるそれぞれのリングを生成するように、M個の電気絶縁コーティングとN個の導電コーティングがどのように配置されているのかを強調する、平面(Y-、Z+)の側面図、および N個の導電性コーティングの第nの導電性コーティングが、M個の電気絶縁性コーティングの第(n-1)の電気絶縁性コーティングを部分的にどのように覆うかを強調する平面(Y+、Z+)の断面図としてである。
図1b図1は、ドリルビットの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスの第1の実施形態の概略図を示し、 進行軸の周りに交互に延びるそれぞれのリングを生成するように、M個の電気絶縁コーティングとN個の導電コーティングがどのように配置されているのかを強調する、平面(Y-、Z+)の側面図、および N個の導電性コーティングの第nの導電性コーティングが、M個の電気絶縁性コーティングの第(n-1)の電気絶縁性コーティングを部分的にどのように覆うかを強調する平面(Y+、Z+)の断面図としてである。
図2a図2aおよび図2bは、それぞれドリルビットの形態において、前進軸に沿って異なる形状および分布ストリングを含む貫通体の外面のセクションを有する。本発明に係るインターベンションデバイスの第2および第3の可能な実施形態を示す。
図2b図2aおよび図2bは、それぞれドリルビットの形態において、前進軸に沿って異なる形状および分布ストリングを含む貫通体の外面のセクションを有する。本発明に係るインターベンションデバイスの第2および第3の可能な実施形態を示す。
図3a図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、図3f、および図3gは、それぞれ、導電性コーティングおよび電気絶縁性コーティングのそれぞれ異なる配置を有するバリの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスのさらなる実施形態を示す。
図3b図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、図3f、および図3gは、それぞれ、導電性コーティングおよび電気絶縁性コーティングのそれぞれ異なる配置を有するバリの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスのさらなる実施形態を示す。
図3c図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、図3f、および図3gは、それぞれ、導電性コーティングおよび電気絶縁性コーティングのそれぞれ異なる配置を有するバリの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスのさらなる実施形態を示す。
図3d図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、図3f、および図3gは、それぞれ、導電性コーティングおよび電気絶縁性コーティングのそれぞれ異なる配置を有するバリの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスのさらなる実施形態を示す。
図3e図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、図3f、および図3gは、それぞれ、導電性コーティングおよび電気絶縁性コーティングのそれぞれ異なる配置を有するバリの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスのさらなる実施形態を示す。
図3f図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、図3f、および図3gは、それぞれ、導電性コーティングおよび電気絶縁性コーティングのそれぞれ異なる配置を有するバリの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスのさらなる実施形態を示す。
図3g図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、図3f、および図3gは、それぞれ、導電性コーティングおよび電気絶縁性コーティングのそれぞれ異なる配置を有するバリの形態における、本発明に係るインターベンションデバイスのさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下の説明では、特定の用語は便宜上の理由で使用され、かつ本発明を限定することを意図するものではない。「右(right)」、「左(left)」、「上(up)」、「下(down)」、「下(under)」、および「上(above)」という用語は、図面の方向を指す。用語は、明示的に言及された用語と、それらの派生語および同様の意味を持つ用語で構成される。また、「下(beneath)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(above)」、「上(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」等の空間的に相対的な用語は、図面に示されている別の要素または特徴に対する、1つの要素または特徴の関係を説明するために使用され得る。これらの空間的に相対的な用語は、図面に示されている位置と向きに加えて、使用中または操作中のデバイスの異なる位置と向きを含むことを意図している。例えば、図面のデバイスを裏返した場合、他の要素または特徴の「下(below)」または「下(beneath)」に記載された要素は、他の要素または特徴の「上(above)」または「上(over)」になる。したがって、例示的な用語「下(below)」は、上と下の位置と向きの両方を包含することができる。デバイスは、別の方法で方向付けられ得(回転された90度または他の方向)、それに応じて本願明細書で使用される空間的に相対的なディスクリプタが解釈されてもよい。同様に、種々の軸に沿った、およびその周りの動きの説明には、種々の特別なデバイスの位置と向きが含まれる。
【0055】
図面および様々な態様および例示的な実施形態の説明を繰り返さないために、多くの特徴が多くの態様および実施形態に共通していることを理解されたい。説明または図面からの態様の省略は、その態様がその態様を組み込んだ実施形態から欠落していることを意味しない。代わりに、明確にするため、および冗長な説明を避けるために、この態様は省略される場合がある。この文脈では、この説明の残りの部分に以下が適用され、図面を明確にするために、説明の直接関連する部分で説明されていない参照記号が図面に含まれている場合、前または次の説明のセクションを参照する。さらに、明快さの理由で、図面において、部品の全ての特徴が参照符号を備えていない場合、同じ部品を示す他の図面を参照する。2つ以上の図面における同じ数字は、同じまたは類似の要素を表す。
【0056】
図1aおよび図1bの実施形態を参照すると、本発明に係るヒトまたは動物の体の標的組織に外科的にインターベンションするためのインターベンションデバイスが、外科用ドリルビット20の形態を取り、および、前進軸Z+に沿って標的組織内に前進するように配置された鋭い前端101または遠位端と、平坦な後端102または近位端を有する貫通体100を備える。
【0057】
前端101および後端102のそれぞれで、貫通体100は、3つの絶縁セクションi、i、およびiによって互いに絶縁されている4つの電極e、e、e、eを備えた外面を有する。さらに、支持体として作用する基板ベース5を含む。
【0058】
電極e、e、e、eとその間の絶縁セクションi、i、iは、実際には4つの導電性コーティングcce1、cce2、cce3、cce4および3つの電気絶縁性コーティングici1、ici2、ici3の特別な配置によって作成される。
【0059】
第1の導電性コーティングcce1は、基材ベース5を覆う。さらに、各絶縁コーティングici1、ici2、ici3は、それぞれの導電性コーティングcce1、cce2、cce3を部分的に覆い、各導電性コーティングcce2、cce3、cce4は、それぞれ下にある電気絶縁コーティングici1、ici2、ici3を部分的に覆う。
【0060】
上記の特別な配置は、貫通体100の外面が、4つの導電性コーティングcce1、cce2、cce3、cce4および3つの電気絶縁性コーティングici1、ici2、ici3によって交互に形成されるセクションe、i、e、i、e、i、eを含むようなものである。したがって、これらのセクションは、前進軸Z+の周りに延びるリングe、i、e、i、e、i、eの形態を取る。第1の導電性コーティングcce1は、電気絶縁性コーティングici1と協働して、前端101で実質的に円錐形の電極であり、かつドリルビット20の先端として機能するセクションe1を形成する。導電性コーティングcce1は、後端102のセクションeで電源ユニットに接続され、および前端101のセクションeでカソードを形成する。対応する部分的に重なった導電性コーティングcce2、cce3、cce4によって作成されたセクションe、e、およびeは、アノードとして機能する電極である。それにより、セクションeからeも後端102でアクセス可能であるため、それらは接触することができる。使用中、ドリルビット20は回転しているので、電極の接触は、例えば、ブラシ等により実施することができる。
【0061】
図1に示される特定の実施形態では、貫通体100は、基材ベース5と第1の導電性コーティングcce1との間に位置するベース電気絶縁コーティングici0を含む。この追加の設計特徴は、基板ベース5自体が導電性の場合に特に役立つ。
【0062】
それに加えて、貫通体100は、第4の導電性コーティングcce4を部分的に被覆し、かつ貫通体100の外面にさらなる絶縁セクションiを形成する最終電気絶縁コーティングici4を含む。
【0063】
この場合、基板ベース5は、炭化タングステン(WC)またはステンレス鋼等の医療用鋼材料で作製されている。それ以外の場合、基板ベースは、ダイヤモンドまたは他の適切な材料で作製されることもできる。
【0064】
3つの電気絶縁コーティングici1、ici2、ici3は、窒化ケイ素で作製されている。同様に、最終的な電気絶縁コーティングici4も窒化ケイ素で作製されている。
【0065】
4つの導電性コーティングcce1、cce2、ccce3、cce4は窒化チタンで作製されている。
【0066】
図2aおよび2bの実施形態を参照すると、電気絶縁コーティングおよび導電性コーティングは、可変伸びの導電性材料のストリングまたはストリップが作製されるように配置される。図2aでは、外面セクションe、e、e、・・・、eは、電極の市松模様または斑点模様を作る。図2bでは、外面セクションe1、e2、e3、e4は、インターベンションデバイスの貫通体100の標的組織の前進に対応する前進軸に沿って延びる実質的に平行な電極を形成する導電性材料の長方形のストリップである。
【0067】
複層構造を支持するインターベンションデバイス200の基板ベースの形状に基づいて、3つのバリのようなインターベンションデバイスの図3a、図3b、図3c、図3d、図3e、図3f、および図3gに示されるように、電気絶縁性および導電性コーティングを配置して、異なる形態の電極e、e、e、eを組み込む貫通体100の外面のセクションを作成することができる。特に、電極を形成するセクションは、球体のセグメントまたは異なるタイプの球体ストリップであり得る。
【0068】
本発明の態様および実施形態を示すこの説明および添付図面は、保護された発明を規定する特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。言い換えれば、図面および前述の説明において本発明を詳細に図示および説明したが、そのような図示および説明は、例証または例示的であり、かつ限定的ではないと見なされるべきである。この説明および特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、および動作上の変更を行うことができる。場合によっては、本発明を曖昧にしないために、周知の回路、構造、および技術は詳細に示されていない。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲および精神内で、当業者によって変更および修正が行われ得ることが理解されるであろう。特に、本発明は、上記および下記の異なる実施形態からの特徴の任意の組み合わせを備えたさらなる実施形態を包含する。
【0069】
本開示は、また、図面に示されるさらなる特徴の全てを個別に包含するが、それらは、前述または以下の説明で説明されていない場合がある。また、図面および説明に記載された実施形態の単一の代替物、およびその特徴の単一の代替物は、本発明の主題または開示された主題から放棄することができる。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態で定義される特徴からなる主題、ならびに前記特徴を含む主題を含む。
【0070】
さらに、特許請求の範囲において、「含む」という語は他の要素またはステップを除外せず、かつ、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。単一のユニットまたはステップは、特許請求の範囲に記載された、いくつかの特徴の機能を実現し得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。属性または値に関連する「本質的」、「約」、「およそ」等の用語は、特に属性または値をそれぞれ正確に定義する。所定の数値または範囲の文脈における「約」という用語は、例えば、所定の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内の値または範囲を指す。結合または接続されていると説明された構成要素は、電気的または機械的に直接結合され得るか、1つまたは複数の中間構成要素を介して間接的に結合され得る。特許請求の範囲中の任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g