IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人東京工業大学の特許一覧

特許7121936カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム
<>
  • 特許-カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム 図1
  • 特許-カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム 図2
  • 特許-カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム 図3
  • 特許-カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム 図4
  • 特許-カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム 図5
  • 特許-カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム 図6
  • 特許-カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/80 20170101AFI20220812BHJP
【FI】
G06T7/80
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021502366
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2020008034
(87)【国際公開番号】W WO2020175621
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2019036372
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】柴田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】奥富 正敏
(72)【発明者】
【氏名】田中 正行
(72)【発明者】
【氏名】ラッカンチャナン タパナポン
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-17913(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056473(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/120759(WO,A1)
【文献】柴田剛志,外2名,可視及び遠赤外カメラの同時校正技術とその応用,画像ラボ 2018年4月号,日本,日本工業出版株式会社,2018年04月10日,pp.49-54
【文献】Zhengyou Zhang,A Flexible New Technique for Camera Calibration,[online],2000年11月,pp.1330-1334,https://ieeexplore.ieee.org/document/888718
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2台以上のカメラの各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段が取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する特徴点検出手段と、
前記特徴点検出手段が検出した特徴点を用いて前記カメラの各々の内部パラメタを算出する内部パラメタ推定手段と、
前記特徴点検出手段が検出した前記特徴点の座標の誤差の大きさを、前記カメラ毎に算出する誤差量推定手段と、
前記誤差量推定手段が算出した誤差の大きさと、前記特徴点検出手段が検出した特徴点の座標と、前記特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定された誤差関数とを用いて、前記カメラの外部パラメタの値を算出する外部パラメタ推定手段と、
を備えるカメラ校正情報取得装置。
【請求項2】
前記外部パラメタ推定手段は、前記2台以上のカメラの間の関係において、回転あるいは並進に関する座標変換を指定したカメラの順番に沿って行った際に、カメラ姿勢の相対的な位置関係が矛盾ない旨の制約条件の下で、外部パラメタを算出する、
請求項1に記載のカメラ校正情報取得装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカメラ校正情報取得装置と、
前記内部パラメタ推定手段にて算出された内部パラメタと、前記外部パラメタ推定手段にて算出された外部パラメタとから、各カメラで取得された画像の位置を合わせる画像位置合わせ手段と、
前記画像位置合わせ手段にて位置合わせされた画像を出力する画像出力手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項4】
前記画像位置合わせ手段は、複数の画像が重複する重複領域において、両者の画像の画素値を用いて画像を再計算する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
2台以上のカメラの各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する工程と、
取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する工程と、
検出した特徴点を用いて前記カメラの各々の内部パラメタを算出する工程と、
検出した前記特徴点の座標の誤差の大きさを、前記カメラ毎に算出する工程と、
算出した誤差の大きさと、検出した特徴点の座標と、前記特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定された誤差関数とを用いて、前記カメラの外部パラメタの値を算出する工程と、
を含むカメラ校正情報取得方法。
【請求項6】
コンピュータに、
2台以上のカメラの各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する工程と、
取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する工程と、
検出した特徴点を用いて前記カメラの各々の内部パラメタを算出する工程と、
検出した前記特徴点の座標の誤差の大きさを、前記カメラ毎に算出する工程と、
算出した誤差の大きさと、検出した特徴点の座標と、前記特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定された誤差関数とを用いて、前記カメラの外部パラメタの値を算出する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像認識において、単一モーダル(例:可視画像)のみを用いるよりも別のモーダル(例:遠赤外画像)の情報を併用する方が、より多様なシーンに対応でき精度が向上することが知られている。別のモーダルの画像は、多くの場合別のカメラから得られるので視差が生じ、実際の空間上で同じ対象が、異なるカメラの画像上では位置がずれて見える。
この問題を解決するために、非特許文献1では、特殊な装置により、可視カメラと遠赤外カメラの光軸をそろえることで、視差が除去されたデータを用いる。しかし、特殊な装置により視差を合わせることは高いコストを要する。このような特殊な装置を用いない場合、異なるカメラの画像上での位置のずれをカメラ校正(Camera Calibration)によって修正し画像間の位置合わせを行う必要がある。
【0003】
かかるカメラ校正に関し、非特許文献2では、光軸の異なる可視カメラの画像と遠赤外カメラの画像とに対してカメラ校正を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Soonmin Hwang、外4名、"Multispectral Pedestrian Detection:Benchmark Dataset and Baseline"、2015 IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition、2015年
【文献】Shibata、外2名、"Accurate Joint Geometric Camera Calibration of Visible and Far-Infrared Cameras"、IS&T International Symposium on Electronic Imaging 2017、2017年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献2に記載の方法のように、光軸の異なる複数のカメラの画像を校正する場合など、カメラによって撮影画像から得られる情報の精度が異なる場合に、この精度の違いによるカメラ校正の精度の低下を軽減できることが好ましい。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決することのできるカメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、カメラ校正情報取得装置は、2台以上のカメラの各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段が取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する特徴点検出手段と、前記特徴点検出手段が検出した特徴点を用いて前記カメラの各々の内部パラメタを算出する内部パラメタ推定手段と、前記特徴点検出手段が検出した前記特徴点の座標の誤差の大きさを、前記カメラ毎に算出する誤差量推定手段と、前記誤差量推定手段が算出した誤差の大きさと、前記特徴点検出手段が検出した特徴点の座標と、前記特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定された誤差関数とを用いて、前記カメラの外部パラメタの値を算出する外部パラメタ推定手段と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、カメラ校正情報取得方法は、2台以上のカメラの各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する工程と、取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する工程と、検出した特徴点を用いて前記カメラの各々の内部パラメタを算出する工程と、検出した前記特徴点の座標の誤差の大きさを、前記カメラ毎に算出する工程と、算出した誤差の大きさと、検出した特徴点の座標と、前記特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定された誤差関数とを用いて、前記カメラの外部パラメタの値を算出する工程と、を含む。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、2台以上のカメラの各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する工程と、取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する工程と、前記特徴点検出部が検出した特徴点を用いて前記カメラの各々の内部パラメタを算出する工程と、検出した前記特徴点の座標の誤差の大きさを、前記カメラ毎に算出する工程と、算出した誤差の大きさと、検出した特徴点の座標と、前記特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定された誤差関数とを用いて、前記カメラの外部パラメタの値を算出する工程と、を実行させるためのプログラムである
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、カメラによって撮影画像から得られる情報の精度が異なる場合に、この精度の違いによるカメラ校正の精度の低下を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る画像処理システムの装置構成の例を示す概略構成図である。
図2】実施形態に係る画像処理装置の機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図3】実施形態に係る画像処理装置が、画像の位置合わせを行って位置合わせされた画像を出力する処理手順の例を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係るカメラ校正情報取得装置の機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図5】実施形態に係るカメラ校正情報取得装置の構成例を示す図である。
図6】実施形態に係るカメラ校正情報取得方法における処理手順の例を示す図である。
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る画像処理システムの装置構成の例を示す概略構成図である。図1に示す構成で、画像処理システム1は、N台のカメラ2-1~2-Nと、画像処理装置3とを備える。カメラ2-1~2-Nを総称してカメラ2と表記する。
カメラ2の各々は、撮影を行い、撮影で得られた画像を画像データにて画像処理装置3へ送信する。複数のカメラ2は、カメラ間で少なくとも一部が重なり合う画像を撮影する。
【0013】
カメラ2の各々は、可視光カメラ(可視光を画像化するカメラ)に限定されない。例えば、赤外線カメラまたはサーモグラフィなど、空間的な広がりに対応した画像またはセンサ測定値を取得するいろいろなカメラをカメラ2として用いることができる。
画像処理システム1が備えるカメラの台数は2台以上であればよい。すなわち、Nは、N≧2の整数であればよい。
【0014】
画像処理装置3は、複数のカメラ2が撮影する複数の画像に対してまとめてカメラ校正を行って画像間の位置合わせを行い、これらの画像を重ね合わせた画像を合成する。
画像処理装置3は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)またはワークステーション(Workstation)などのコンピュータを用いて構成される。
【0015】
図2は、画像処理装置3の機能構成の例を示す概略ブロック図である。図2に示す構成で、画像処理装置3は、画像取得部(画像取得手段)10と、画像処理部(画像処理手段)20と、画像出力部(画像出力手段)30とを備える。画像処理部20は、特徴点検出部(特徴点検出手段)201と内部パラメタ推定部(内部パラメタ推定手段)202と、外部パラメタ推定部(外部パラメタ推定手段)203と、画像位置合わせ部(画像位置合わせ手段)204と、誤差量推定部(誤差量推定手段)205と、カメラ位置制約部(カメラ位置制約手段)206とを備える。
画像処理装置の各部について説明する。
【0016】
画像取得部10:
画像取得部10は、2台以上のカメラ2の各々から、カメラ校正(Camera Calibration)用ターゲットが撮影された画像を、一枚以上取得する。画像取得部10には、複数のカメラ2によって得られた複数の画像が入力される。画像取得部10が取得する画像は、可視画像に限定されない。例えば、カメラ2がサーモグラフィである場合など、画像取得部10が取得する画像は、センシングデータが二次元画像として示されたものでもよい。より具体的には、画像取得部10が取得する画像に、温度画像(撮影範囲における温度分布を示す画像)または深度画像(撮影範囲における奥行きを示す画像)などが含まれていてもよい。
【0017】
そして、画像取得部10は、入力された画像或いは測定値を、画像処理装置3が備えるメモリ等に記録する。なお、画像取得部10が取得する画像は、これに限定されない。例えば、深層学習の途中の処理結果を多チャンネルの画像として画像取得部10に入力するようにしてもよい。或いは、数値シミュレーションなどにより算出したベクトルデータ(速度場、密度場など)を多チャンネルの画像として画像取得部10に入力するようにしてもよい。以下では、これら画像取得部10が取得した複数の画像をまとめて校正用画像と呼ぶ。
【0018】
なお、画像処理装置3のカメラ校正用のターゲット(撮影対象物)は、特定のものに限定されない。例えば、画像処理装置3のカメラ校正用のターゲットとして、非特許文献2に記載の校正用ターゲットを用いてもよいし、あるいは、より一般的な物体をカメラ校正用ターゲットとして用いてもよい。
【0019】
特徴点検出部201:
特徴点検出部201は、画像取得部10が取得した複数の画像の各々について、カメラ校正に使用するための特徴点の座標を検出する。特徴点検出部201が特徴点の座標を検出する方法は、特定の方法に限定されず、公知のいろいろな方法を用いることができる。
【0020】
例えば、特徴点検出部201が、ハリスのコーナー点検出などの手法を用いて特徴点の座標を検出するようにしてもよい。あるいは、特徴点検出部201が、SIFT(ScaleInvariant Feature Transform)などの特徴点検出を用いて、校正用ターゲットが撮影されている画像から特徴点の座標を検出するようにしてもよい。すなわち、一般的な画像のコーナーや輪郭などから特徴点の座標を検出する方法を用いて、画像の特徴点の座標を検出すればよい。
【0021】
あるいは、特徴点検出部201が、利用者が手動にて検出した特徴点の座標を取得するようにしてもよい。あるいは、特徴点検出部201は、利用者が手動にて入力した特徴点の座標と、ハリスのコーナー点検出などを用いて自動的に検出した特徴点の座標とを併用して、特徴点の座標を検出するようにしてもよい。例えば、特徴点検出部201が、まずは、ハリスのコーナー点検出などを用いて、自動的に特徴点の座標を検出した後、これを手動で補正するようにしてもよい。あるいは、特徴点検出部201が自動的に検出した特徴点の座標と、利用者が手動で入力した特徴点の座標との平均値を、特徴点の座標として用いてもよい。
【0022】
ここで、各カメラを添え字(インデックス)i(i=1、・・・、N)(Nはカメラの台数を示す)で区別し、校正用ターゲットにおける各コーナー点を添え字j(i=1、・・・、P)(Pは、コーナー点の個数を示す)で区別し、各校正用ターゲットの姿勢を添え字k(k=1、・・・、M)(Mは、校正用ターゲットの姿勢の個数を示す)で区別する。この場合、各特徴点は、カメラの添え字i、校正用ターゲットの各コーナー点の添え字j、および各校正用ターゲットの姿勢の添え字kの三つで区別することができる。以下では、各特徴点をx(i,j,k)と表し区別する。特徴点x(i,j,k)の座標についても、x(i,j,k)と表記する。ただし、i、j、kは上記のようにインデックスであり、直接座標値を示すものではない。
【0023】
内部パラメタ推定部202:
内部パラメタ推定部202は、特徴点検出部201にて検出された特徴点の座標を用いて、カメラ2毎に内部パラメタ値を算出(推定)する。ここでいう内部パラメタは、カメラパラメタ(カメラ画像の位置合わせにおけるパラメタ)のうち、レンズ歪および光学中心など、カメラ2自らの特性または状態に起因するパラメタである。すなわち、ここでは、カメラパラメタを、カメラの配置(位置および向き)に起因する外部パラメタ(カメラの相対的な姿勢)と、カメラの配置によらない内部パラメタ(例えば、レンズ歪および光学中心)とに分類している。
【0024】
例えば、内部パラメタ推定部202が、あらかじめ、レンズひずみおよび光学中心などの内部パラメタをモデルのパラメタとして含み、カメラとそのカメラの撮影画像における座標との関係(特に、内部パラメタ値と撮影画像における座標との関係)を示すモデル(以下、カメラモデルと称する)を備えておく(例えば、記憶しておく)。そして、内部パラメタ推定部202は、このカメラモデルから算出される特徴点の座標と、特徴点検出部201にて検出された特徴点の座標との差の大きさを小さくする、カメラモデルのパラメタ(内部パラメタ)を求める。
【0025】
さらに例えば、内部パラメタ推定部202は、カメラモデルから算出される特徴点の座標と、特徴点検出部201にて検出された特徴点の座標との誤差を二乗誤差などで定義し、この誤差が最小となるように、最小二乗法などを用いてカメラモデルのパラメタを算出する。
なお、以下では、各カメラを添え字i(i=1、・・・、N)で区別し、各カメラの内部パラメタをKと表記する。
【0026】
画像位置合わせ部204:
画像位置合わせ部204は、内部パラメタ推定部202が算出した内部パラメタと、後述する外部パラメタ推定部203が算出した外部パラメタとに基づいて、各カメラ2で取得された画像の位置を合わせる。より具体的には、画像位置合わせ部204は、内部パラメタ推定部202および外部パラメタ推定部203が算出した、内部パラメタ(カメラのレンズひずみ、画像中心)および外部パラメタ(カメラの相対的な姿勢)を用いて、解像度の違いや位置ずれがある各画像の位置ずれが補正された画像を生成する。
【0027】
なお、画像境界において、より滑らかな画像を生成するために、異なるカメラで撮影された画像において、重なり合っている部分については、画像位置合わせ部204が、画像の位置合わせ処理の後に、各画素にて両者の画像値を平均するようにしてもよい。あるいは、画像位置合わせ部204が、勾配ベースの方法を用いて位置合わせされた画像を生成するようにしてもよい。この場合の勾配ベースの方法として、例えば、以下の非特許文献に記載された方法を用いることができるが、これに限定されない。
非特許文献:Shibata、外2名、"Gradient-Domain Image Reconstruction Framework with Intensity-Range and Base-Structure Constraints."、2016 IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition、2016年
【0028】
誤差量推定部205:
誤差量推定部205は、特徴点検出部201が検出した特徴点と、画像取得部10が取得したカメラ画像およびカメラ情報とに基づいて、特徴点検出部201による特徴点検出の誤差量(特徴点の座標の誤差量)を、カメラ2毎に算出(推定)する。ここでいう誤差量は、誤差の大きさである。
【0029】
例えば、誤差量推定部205が、カメラの解像度をカメラ情報として用いて、誤差量を算出するようにしてもよい。具体的には、誤差量推定部205が、カメラ2の解像度が小さいほうが、誤差量が大きくなるとして、誤差量を見積もるようにしてもよい。
例えば一般的に、可視カメラに比べて遠赤外カメラのほうが、解像度が大きい。このような特性に鑑み、誤差量推定部205が、可視カメラにて取得された画像から得られた特徴点の座標のほうが、遠赤外カメラにて取得された画像から得られる特徴点の座標に比べて誤差量が小さくなるように、カメラ2毎に特徴点の座標の誤差量を見積もるようにしてもよい。
【0030】
あるいは、誤差量推定部205が、事前に、画像取得部10が取得する画像とは別に、校正用ターゲットを撮影した画像と、その画像の特徴点の座標の真値とをあらかじめ取得しておくようにしてもよい。そして、誤差量推定部205が、画像取得部10が取得した画像における特徴点の座標と、あらかじめ取得した特徴点の座標の真値との差分から直接的に、誤差量を算出するようにしてもよい。
【0031】
あるいは、誤差量推定部205が、機械学習などの手法を用いて、画像の見え(アピアランス、Appearance)と真値との関係から誤差量を算出するようにしてもよい。
あるいは、誤差量推定部205が、画像取得部10が取得する画像とは別に、校正用ターゲットを撮影した画像と、利用者が手動で入力するその画像の特徴点の座標とをあらかじめ取得しておくようにしてもよい。そして、誤差量推定部205が、画像取得部10が取得した画像における特徴点の座標と、あらかじめ取得した特徴点の座標(手入力値)との差分から、誤差量を算出するようにしてもよい。
【0032】
上述したように、カメラ2の各々を添え字i(i=1、・・・、N)で区別し、校正用ターゲットにおける各コーナー点を添え字j(i=1、・・・、P)で区別し、各校正用ターゲットの姿勢を添え字k(k=1、・・・、M)で区別する。この場合、各特徴点の座標に対応する誤差量は、カメラの添え字i、校正用ターゲットの各コーナー点の添え字j、および各校正用ターゲットの姿勢の添え字kの三つで区別することができる。以下では、各特徴点の誤差量をθ(i,j,k)と表記する。
【0033】
外部パラメタ推定部203:
外部パラメタ推定部203は、誤差量推定部205が算出した誤差量と、特徴点検出部201が検出した特徴点の座標と、内部パラメタ推定部202が算出した内部パラメタとに基づいてカメラ2の各々の外部パラメタを算出(推定)する。その際、外部パラメタ推定部203は、特徴点の座標の誤差量が大きい画像ほど誤差量のペナルティが小さくなるように誤差関数を設定し、例えば誤差関数の値を最小化する外部パラメタを求める。
【0034】
ここで、一般的にカメラの姿勢は、カメラの回転と並進で表すことができる。
上記のように、カメラ2の各々を添え字i(i=1、・・・、N)で区別し、校正用ターゲットにおける各コーナー点を添え字j(i=1、・・・、P)で区別し表す。カメラiと校正用ターゲットjとの間の回転をR とし、基準となるカメラ(i=1のカメラ)からi番目のカメラへの回転をRとすると、式(1)のような関係式が成立する。
【0035】
【数1】
【0036】
また、カメラiと校正用ターゲットjとの間の並進をT とし、基準となるカメラ(i=1のカメラ)からi番目のカメラへの並進をTとすると、式(2)のような関係式が成立する。
【0037】
【数2】
【0038】
このとき、カメラの内部パラメタ、外部パラメタ、および各特徴点の座標の間に、理想的には(すなわち、誤差の影響を無視できれば)式(3)の関係式が成立する。
【0039】
【数3】
【0040】
ただし、w(i,j,k)は、射影幾何における画像のスケールファクターである。また、Xは、3次元の世界座標系での座標値を示す。
このとき、外部パラメタを算出するための誤差関数は、誤差量推定部205で得られた各特徴点の誤差量θ(i,j,k)を用いて、式(4)のように表すことができる。
【0041】
【数4】
【0042】
ただし、f()は、誤差量とペナルティの重みを調整するための関数であり、特徴点の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタ推定部203における誤差量のペナルティが小さくなるように、誤差関数(特に、関数f(θ(i,j,k)))を設定する。なお、式(4)の上付の「2」は2乗を示し、下付の「2」はL2ノルムを示す。
例えば、式(4)の「f(θ(i,j,k))|K[R +T ]/w(i,j,k)-x(i,j,k)| 」が誤差量のペナルティの例に該当する。そして、特徴点の誤差量θ(i,j,k)が大きいほど、関数f(θ(i,j,k))の値が小さくなるように、関数f(θ(i,j,k))を設定するようにしてもよい。
外部パラメタ推定部203は、式(4)に示される誤差関数の値Eを最小化することで、外部パラメタを算出することができる。
【0043】
ここで、上記のように、カメラの内部パラメタ、外部パラメタ、および各特徴点の座標の間に、理想的には式(3)の関係式が成立する。一方、特徴点の座標に含まれる誤差を無視できない場合、および、内部パラメタの値に含まれる誤差を無視できない場合のいずれも、式(3)の関係を用いて特徴点の座標および内部パラメタの値に基づいて外部パラメタの値を算出すると、得られる外部パラメタの値は、特徴点の座標に含まれる誤差の影響、および、内部パラメタの値に含まれる誤差の影響を受ける。
【0044】
式(4)の場合、「K[R +T ]/w(i,j,k)-x(i,j,k)」の値を0に近づけるほど、外部パラメタの値が、特徴点の座標に含まれる誤差の影響、および、内部パラメタの値に含まれる誤差の影響を大きく受けるようになる。いわば、特徴点の座標に含まれる誤差、および、内部パラメタの値に含まれる誤差が、外部パラメタの値に含まれる誤差に伝搬し、外部パラメタの値に含まれる誤差が大きくなることが考えられる。
【0045】
そこで、外部パラメタ推定部203は、上記のように、特徴点の座標の誤差量θ(i,j,k)が大きいほど、誤差量のペナルティが小さくなるように演算を行う。これにより、特徴点の座標の誤差が大きいことに影響されて、外部パラメタの値の精度が悪くなることを低減させる(外部パラメタの値の精度を比較的よくする)ことができる。
内部パラメタの値の誤差量が大きい場合も、それによって特徴点の誤差量が大きくなると考えられる。この場合も、上記ように特徴点の誤差量θ(i,j,k)が大きいほど、誤差量のペナルティを小さくすることで、内部パラメタの値の誤差が大きいことに影響されて、外部パラメタの値の精度が悪くなることを低減させる(外部パラメタの値の精度を比較的よくする)ことができる。
【0046】
例えば、可視カメラと遠赤外カメラのそれぞれの解像度が大きく異なる場合など、複数のカメラ2の解像度が大きく異なる場合、解像度の違いによってカメラの光学中心およびレンズ歪など内部パラメタの算出精度が異なり、算出精度の悪い内部パラメタの値の影響を受けて特徴点の座標の算出精度が悪くなり、さらには、外部パラメタの算出精度が悪くなることが考えられる。
この場合、上記のように、特徴点の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタ推定部203における誤差量のペナルティが小さくなるようにすることで、算出精度の悪い内部パラメタの値の影響により外部パラメタの算出精度が悪くなることを低減させる(外部パラメタの算出精度を比較的よくする)ことができる。
【0047】
カメラ位置制約部206:
カメラ位置制約部206は、2台以上のカメラ間の関係において、回転あるいは並進に関する座標変換を指定したカメラの順番に沿って行った際に、カメラ姿勢の相対的な位置関係が矛盾ないことを制約する。
より具体的には、以下のような制約を課しながら、式(4)で表される誤差関数を最小化すればよい。制約の1つ目は、式(5)のように示される。
【0048】
【数5】
【0049】
ただし、Iは単位行列を示す。
制約の2つ目は、式(6)のように示される。
【0050】
【数6】
【0051】
ただし、0は零行列を示す。
なお、本発明におけるカメラ位置制約手段は、これに限定されない。例えば、カメラ位置制約手段は、式(5)或いは式(6)を用いてカメラ姿勢の相対的な位置関係が矛盾ないことを制約するだけでなく、例えば、式(1)及び式(2)を用いて、はじめにカメラ姿勢の相対的な位置関係が矛盾ないことを制約するようにしてもよい。より具体的には、以下の最適化関数を用いて,カメラ姿勢の相対的な位置関係を制約するようにしてもよい。
例えば、まず式(7)を用いて、回転の自由度に関して、カメラ姿勢の相対的な位置関係が矛盾ないことを制約する。
【0052】
【数7】
【0053】
なお、ここで、pは利用者によりあらかじめ決定されるパラメタである。
そして、式(8)を用いて並進の自由度に関してカメラ姿勢の相対的な位置関係を制約するようにしてもよい。
【0054】
【数8】
【0055】
[動作の説明]
次に、図3を用いて、画像処理装置3の動作について説明する。
図3は、画像処理装置3が、画像の位置合わせを行って位置合わせされた画像を出力する処理手順の例を示すフローチャートである。
図3の処理で、まず、画像取得部10にて画像を取得する(S001)。
次に、特徴点検出部201にて、特徴点を検出する(S002)。内部パラメタ推定部202にて、内部パラメタを算出する(S003)。誤差量推定部205にて、誤差量を算出する(S004)。カメラ位置制約部206にて、カメラ位置の制約条件を算出する(S005)。画像位置合わせ部204にて、位置合わせされた画像を出力する(S006)。画像出力部30にて、位置合わせされた画像を出力する(S007)。
ステップS007の後、画像処理装置3は、図3の処理を終了する。
【0056】
[効果の説明]
上記のように、実施形態に係る画像処理装置3は、
画像取得部10が一台以上のカメラから、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を一枚以上取得し、
特徴点検出部201が画像取得部10にて得られた一枚以上の画像から、校正に使用する特徴点を検出し、
誤差量推定部205が特徴点検出部201にて検出された特徴点と、画像取得部10にて取得したカメラ画像およびカメラ情報とから、特徴点検出の誤差量を、画像取得部10にて用いたカメラ毎に算出し、
内部パラメタ推定部202が、特徴点検出部201にて検出された特徴点、レンズ歪や光学中心などのカメラパラメタを算出し、
外部パラメタ推定部203が誤差量推定部205にて算出した誤差量と、特徴点検出部201にて検出された特徴点と、内部パラメタ推定部202とから、特徴点の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタ推定部203における誤差量のペナルティが小さくなるように、誤差関数を設定し、カメラの姿勢などの外部パラメタを算出する
という構成になっている。
以上のような構成を有することで、カメラの解像度が大きく異なるカメラの間のカメラ校正(各カメラの光軸、レンズひずみ、カメラ同士の姿勢など)を高精度かつ頑健に算出することができる。
【0057】
なお、画像処理装置3(図2)の各部のうち、画像取得部10と、特徴点検出部201と内部パラメタ推定部202と、外部パラメタ推定部203と、画像位置合わせ部204と、誤差量推定部205と、カメラ位置制約部206との組み合わせは、カメラ校正情報取得装置の例に該当する。
図4は、実施形態に係るカメラ校正情報取得装置の機能構成の例を示す概略ブロック図である。図4に示す構成で、カメラ校正情報取得装置4は、画像取得部10と、画像処理部21とを備える。画像処理部21は、特徴点検出部201と内部パラメタ推定部202と、外部パラメタ推定部203と、画像位置合わせ部204と、誤差量推定部205と、カメラ位置制約部206とを備える。
【0058】
図4の各部のうち、図2の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(10、201、202、203、305、206)を付して説明を省略する。
カメラ校正情報取得装置4は、画像出力部を備えていない点、および、画像処理部21が画像位置合わせ部を備えていない点で、画像処理装置3と異なる。それ以外の点では、カメラ校正情報取得装置4は、画像処理装置3の場合と同様である。
【0059】
図4に示す構成により、カメラ校正情報取得装置4は、画像処理装置3の場合と同様に、カメラ校正用の情報として内部パラメタの値および外部パラメタの値を取得する。
例えば、カメラ校正情報取得装置4が、得られた内部パラメタおよび外部パラメタを他の装置に送信するようにしてもよい。そして、内部パラメタ及び外部パラメタを受信した装置が、得られた内部パラメタおよび外部パラメタを用いて画像位置合わせ部204(図2)と同様の処理を行うようにしてもよい。
あるいは、カメラ校正情報取得装置4が、得られた内部パラメタおよび外部パラメタを、カメラの特性および状態を示す情報として表示するようにしてもよい。
【0060】
以上のように、画像取得部10は、2台以上のカメラ2の各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する。特徴点検出部201は、画像取得部10が取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する。内部パラメタ推定部202は、特徴点検出部201が検出した特徴点を用いて前記カメラの各々の内部パラメタを算出する。誤差量推定部205は、特徴点検出部201が検出した特徴点の座標の誤差の大きさを、カメラ2毎に算出する。外部パラメタ推定部203は、誤差量推定部205が算出した誤差の大きさと、特徴点検出部201が検出した特徴点の座標と、誤差関数とを用いて、カメラ2の外部パラメタの値を算出する。誤差関数は、特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定される。
【0061】
これにより、カメラ校正情報取得装置4によれば、カメラによって撮影画像から得られる情報の精度が異なる場合に、この精度の違いによるカメラ校正の精度の低下を軽減させることができる。
特に、カメラ校正情報取得装置4によれば、カメラによって特徴点の座標の算出精度が異なる場合に、そのことによる(特に、算出精度の悪い特徴点の座標による)外部パラメタの算出精度の低下を軽減させることができる。カメラによって内部パラメタの算出精度が異なり、これによって特徴点の座標の算出精度が異なる場合も同様である。
画像処理装置3(図2)についても同様である。
【0062】
また、外部パラメタ推定部203は、2台以上のカメラの間の関係において、回転あるいは並進に関する座標変換を指定したカメラの順番に沿って行った際に、カメラ姿勢の相対的な位置関係が矛盾ない旨の制約条件の下で、外部パラメタを算出する。
これにより、外部パラメタ推定部203は、カメラ姿勢の位置関係の矛盾が生じないように外部パラメタを算出することができる。カメラ校正情報取得装置4によれば、この点で、外部パラメタを精度よく算出することができる。
画像処理装置3についても同様である。
【0063】
また、画像処理装置3の画像位置合わせ部204は、複数の画像が重複する重複領域において、両者の画像の画素値を用いて画像を再計算する。
これにより、画像処理装置3では、境界領域がより滑らかに重ね合わせられた画像を得られる。
【0064】
次に、図5および図6を参照して、実施形態の構成について説明する。
図5は、実施形態に係るカメラ校正情報取得装置の構成例を示す図である。図5に示すカメラ校正情報取得装置300は、画像取得部(画像取得手段)301と、特徴点検出部(特徴点検出手段)302と、内部パラメタ推定部(内部パラメタ推定手段)303と、誤差量推定部(誤差量推定手段)304と、外部パラメタ推定部(外部パラメタ推定手段)305と、を備える。
かかる構成にて、画像取得部301は、2台以上のカメラの各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する。特徴点検出部302は、画像取得部301が取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する。内部パラメタ推定部303は、特徴点検出部302が検出した特徴点を用いてカメラの各々の内部パラメタを算出する。誤差量推定部304は、特徴点検出部302が検出した特徴点の座標の誤差の大きさを、カメラ毎に算出する。外部パラメタ推定部305は、誤差量推定部304が算出した誤差の大きさと、特徴点検出部302が検出した特徴点の座標と、特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定された誤差関数とを用いて、カメラの外部パラメタの値を算出する。
【0065】
これにより、カメラ校正情報取得装置300によれば、カメラによって撮影画像から得られる情報の精度が異なる場合に、この精度の違いによるカメラ校正の精度の低下を軽減させることができる。
特に、カメラ校正情報取得装置300によれば、カメラによって特徴点の座標の算出精度が異なる場合に、そのことによる(特に、算出精度の悪い特徴点の座標による)外部パラメタの算出精度の低下を軽減させることができる。カメラによって内部パラメタの算出精度が異なり、これによって特徴点の座標の算出精度が異なる場合も同様である。
【0066】
図6は、実施形態に係るカメラ校正情報取得方法における処理手順の例を示す図である。図6に示すカメラ校正情報取得方法は、画像を取得する工程(S011)と、特徴点の座標を検出する工程(S012)と、内部パラメタを算出する工程(S013)と、特徴点の座標の誤差の大きさを算出する工程(S014)と、外部パラメタの値を算出する工程(S015)とを含む。画像を取得する工程(S011)では、2台以上のカメラの各々から、カメラ校正用ターゲットが撮影された画像を取得する。特徴点の座標を検出する工程(S012)では、ステップS011で取得した画像の各々から、その画像の特徴点の座標を検出する。内部パラメタを算出する工程(S013)では、ステップS012で検出した特徴点を用いてカメラの各々の内部パラメタを算出する。特徴点の座標の誤差の大きさを算出する工程(S014)では、ステップS012で検出した特徴点の座標の誤差の大きさを、カメラ毎に算出する。外部パラメタの値を算出する工程(S015)では、ステップS014で算出した誤差の大きさと、ステップS012で検出した特徴点の座標と、特徴点の座標の誤差が大きい画像ほど、外部パラメタの算出における誤差に対するペナルティが小さくなるように設定された誤差関数とを用いて、カメラの外部パラメタの値を算出する。
【0067】
このカメラ校正情報取得方法によれば、カメラによって撮影画像から得られる情報の精度が異なる場合に、この精度の違いによるカメラ校正の精度の低下を軽減させることができる。
特に、このカメラ校正情報取得方法によれば、カメラによって特徴点の座標の算出精度が異なる場合に、そのことによる(特に、算出精度の悪い特徴点の座標による)外部パラメタの算出精度の低下を軽減させることができる。カメラによって内部パラメタの算出精度が異なり、これによって特徴点の座標の算出精度が異なる場合も同様である。
【0068】
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
図7に示す構成で、コンピュータ700は、CPU710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740とを備える。
上記の画像処理装置3、カメラ校正情報取得装置4およびカメラ校正情報取得装置300のうち何れか1つ以上が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU710は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
【0069】
画像処理装置3、カメラ校正情報取得装置4またはカメラ校正情報取得装置300と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。画像処理装置3、カメラ校正情報取得装置4またはカメラ校正情報取得装置300のユーザインタフェースは、インタフェース740が表示デバイスを備えてデータ表示し、また、入力デバイスを備えてデータの入力を受け付けることで実行される。
【0070】
画像処理装置3がコンピュータ700に実装される場合、画像取得部10、画像処理部20、画像出力部30、および、画像処理部20の各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0071】
カメラ校正情報取得装置4がコンピュータ700に実装される場合、画像取得部10、画像処理部(画像処理手段)21、および、画像処理部21の各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0072】
カメラ校正情報取得装置300がコンピュータ700に実装される場合、画像取得部301、特徴点検出部302、内部パラメタ推定部303、誤差量推定部304、および、外部パラメタ推定部305の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0073】
なお、画像処理システムの各部は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAM(random access memory)に画像処理プログラムが展開され、該プログラムに基づいて制御部(CPU(central processing unit))等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種部として実現する。また、該プログラムは、記録媒体に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録されたプログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。尚、記録媒体を例示すれば、オプティカルディスクや磁気ディスク、半導体メモリ装置、ハードディスクなどが挙げられる。
【0074】
また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0075】
この出願は、2019年2月28日に出願された日本国特願2019-036372を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、カメラ校正情報取得装置、画像処理装置、カメラ校正情報取得方法および記録媒体に適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 画像処理システム
2 カメラ
3 画像処理装置
4、300 カメラ校正情報取得装置
10、301 画像取得部
20、21 画像処理部
30 画像出力部
201、302 特徴点検出部
202、303 内部パラメタ推定部
203、305 外部パラメタ推定部
204 画像位置合わせ部
205、304 誤差量推定部
206 カメラ位置制約部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7