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特許7121983スクリード装置及びそれを用いた道路舗装機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】スクリード装置及びそれを用いた道路舗装機械
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018143074
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020020123
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000235163
【氏名又は名称】範多機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】徳田 憲作
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 達規
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-242359(JP,A)
【文献】実開平04-097907(JP,U)
【文献】特開2001-011816(JP,A)
【文献】特開2006-249899(JP,A)
【文献】特開2010-281035(JP,A)
【文献】特開2005-307535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路舗装機械におけるスクリード装置であって、
アスファルト合材を敷き均すためのスクリードプレートと、
前記スクリードプレートの上方に設けられており、前記スクリードプレートを加熱するためのスクリード加熱装置とを備え、
前記スクリード加熱装置は、
バーナーと、
前記バーナーとは、分離して設けられており、空気を供給するための空気供給源と、
前記バーナーによって加熱された加熱空気を、前記スクリードプレートの全体に行き渡らせるためのダクト部とを含み、
前記ダクト部は、
ダクト外筐体と、
前記ダクト外筐体の内部の下方に設けられており、前記バーナーによって加熱された前記加熱空気を、前記スクリードプレートの全体に行き渡らせるための加熱層と、
前記ダクト外筐体の内部であって前記加熱層の上方に設けられており、前記加熱層とは仕切られた別の空洞であって、前記空気供給源からの空気を前記加熱層に供給するエアー供給層とを有し、
前記ダクト外筐体は、
前記空気供給源から供給される前記空気を前記エアー供給層に供給するための送風口と、
前記バーナーからの前記加熱空気を前記加熱層に送ることができるような位置に前記バーナーを取り付けるためのバーナー取付部とを有し、
前記送風口と前記バーナー取付部とが、前記外筐体において、分離した位置に設けられることで、前記バーナーと前記空気供給源とが分離して設けられることを特徴とする、スクリード装置。
【請求項2】
前記加熱層と前記エアー供給層とを仕切るための部材には、前記エアー供給層から、前記加熱層に対して、空気を供給することができるように、一以上の隙間が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリード装置。
【請求項3】
前記一以上の隙間の1つは、前記バーナーからの火炎の出口部分に、空気を供給するための隙間であることを特徴とする、請求項2に記載のスクリード装置。
【請求項4】
前記隙間は、火炎の噴出方向に沿って、空気を供給するように形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のスクリード装置。
【請求項5】
前記一以上の隙間の1つは、前記スクリードプレートを車幅方向から見たときの中央部分に設けられていることを特徴とする、請求項2~4のいずれかに記載のスクリード装置。
【請求項6】
前記中央部分とは、前記スクリードプレートを車幅方向に5分割したときの真ん中の分割領域であることを特徴とする、請求項5に記載のスクリード装置。
【請求項7】
前記スクリード加熱装置は、左右に移動可能な副スクリード装置に用いられていることを特徴とする、請求項5に記載のスクリード装置。
【請求項8】
前記ダクト部は、前記加熱層を上下に分割する仕切りを有し、
前記仕切りは、前記加熱層の上側の層から下側の層へ前記加熱空気が流れるように、前記中央部分に、隙間を有していることを特徴とする、請求項5に記載のスクリード装置。
【請求項9】
前記一以上の隙間の1つは、前記バーナーとは反対側の端部分に設けられていることを特徴とする、請求項2~4のいずれかに記載のスクリード装置。
【請求項10】
前記端部分とは、前記スクリードプレートを車幅方向に5分割したときの前記バーナーとは、反対側の分割領域であることを特徴とする、請求項9に記載のスクリード装置。
【請求項11】
前記端部分に設けられた隙間からは、前記バーナーの火炎の噴出方向とは逆の方向に空気が供給されることを特徴とする、請求項9に記載のスクリード装置。
【請求項12】
前記ダクト部は、前記加熱層を上下に分割する仕切りを有し、
前記仕切りは、前記加熱層の上側の層から下側の層へ前記加熱空気が流れるように、前記端部分に、隙間を有していることを特徴とする、請求項9に記載のスクリード装置。
【請求項13】
前記スクリード加熱装置は、主スクリード装置に用いられていることを特徴とする、請求項9に記載のスクリード装置。
【請求項14】
前記主スクリード装置において、前記スクリード加熱装置は、左右に設けられていることを特徴とする、請求項13に記載のスクリード装置。
【請求項15】
前記ダクト部は、前記加熱層を上下に分割する仕切りを有し、
前記仕切りは、前記加熱層の上側の層から下側の層へ前記加熱空気が流れるように、隙間を有していることを特徴とする、請求項1に記載のスクリード装置。
【請求項16】
前記スクリード加熱装置は、前記下側の層からの前記加熱空気を上方に排出するための煙突部を含むことを特徴とする、請求項8,12,又は15に記載のスクリード装置。
【請求項17】
前記ダクト部は、筐体の内部に取り付けられた仕切り板によって、前記加熱層と前記エアー供給層とを構成していることを特徴とする、請求項1に記載のスクリード装置。
【請求項18】
前記仕切り板は、前記バーナーとは反対側が斜め下方向に傾斜していることを特徴とする、請求項17に記載のスクリード装置。
【請求項19】
前記ダクト部は、前記バーナーの下部に通気口を有することを特徴とする、請求項1に記載のスクリード装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載のスクリード装置を備える、道路舗装機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルトフィニッシャなどの道路舗装機械に用いられるスクリード装置に関し、より特定的には、スクリードプレートの加熱装置に特徴を有するスクリード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルトフィニッシャなどの道路舗装機械に用いられるスクリード装置には、スクリードプレートを加熱するためのスクリード加熱装置が設けられている。スクリード加熱装置におけるスクリードプレートの加熱方式として、従来、本願出願人は、以下の3つの方式を用いていた。
【0003】
第1は、ダクト方式と称する方式である。図11は、ダクト方式の従来のスクリード加熱装置の断面図である。ダクト方式では、スクリード装置内に全体的に配置されたダクト90の入り口91にバーナー92を取り付けて、ダクト90内の空気全体を加熱することで、スクリードプレート93を加熱する。
【0004】
第2は、ブロア方式と称する方式である。図12は、ブロア方式の従来のスクリード加熱装置の断面図である。ブロア方式では、ブロア94からの送風を、バーナー95の背後から当てることで、バーナー95の火炎によって加熱された空気を、ダクト96全体に行き渡らせて、スクリードプレート93を加熱する。
【0005】
第3は、専用ブロアバーナー方式と称する方式である。図13は、専用ブロアバーナー方式の従来のスクリード加熱装置の断面図である。専用ブロアバーナー方式では、ブロア97とバーナー98とが一体化された専用のブロア付きバーナー99を用い、スクリードプレート93の上方向からブロア付きバーナー99の火炎を噴出して、ダクト100を介して、スクリードプレート93全体を加熱する。
【0006】
図11ないし図13に示したスクリード加熱装置は、本願出願人の製品において採用されているものであるが、特許文献1ないし8には、他の構造が開示されている。
【0007】
特許文献1及び2には、バーナーを用いて、スクリードプレートの上方から、直接、スクリードプレートを加熱する装置が開示されている。
【0008】
特許文献3には、スクリードプレートの端部分に設けられたバーナーで、スクリードプレートを加熱する装置が開示されている。
【0009】
特許文献4には、燃焼装置とブロアとを設けて、ブロアからの送風によって、燃焼装置の熱気をスクリードプレートに送って、スクリードプレートを加熱する装置が開示されている。
【0010】
特許文献5には、バーナーボックスにブロアで空気を送って、燃焼ガスをダクトを介して、吹出孔から吹き出して、スクリードプレートを加熱する装置が開示されている。
【0011】
特許文献6には、バーナー本体をスクリードに取り付け、バーナー本体に二次空気挿入口ブロアを設けて、スクリードプレートを加熱する装置が開示されている。
【0012】
特許文献7には、スクリード装置の内部へ空気を送風するブロアと、ブロアよりも下流側に設けられたバーナーとを用いて、スクリードプレートを加熱する装置が開示されている。
【0013】
特許文献8には、バーナーと、バーナーによる熱せられた空気を送り出すブロアと、ブロアによって送り込まれた熱風を開口穴からスクリードプレートに吹き付けるダクトとを備える装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開平8-85915号公報
【文献】特公昭60-16525号公報
【文献】特開平10-147909号公報
【文献】特開2010-242359号公報
【文献】特開平7-300813号公報
【文献】実開平7-31910号公報
【文献】特開2006-249899号公報
【文献】特開2009-127397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以下、図11ないし図13に示したスクリード加熱装置が有する課題について、説明する。
(1)加熱ムラについて
ダクト方式によるスクリード加熱装置の場合、バーナー直下と遠方とでは、加熱時間に差が出てしまう。遠方を充分に加熱するか、または、遠方の放熱による温度低下を補うために、加熱時間を長くして、加熱ムラを防止しようとすると、バーナー直下のみが過加熱となってしまう場合がある。
この点に関して、ブロア方式及び専用ブロアバーナー方式によるスクリード加熱装置の場合、ブロアの送風によって加熱をダクト全体に行き渡らすことができるので、バーナー直下と遠方との温度差を減らすことができ、スクリードプレートの加熱ムラは少なくできる。
【0016】
(2)加熱効率について
ダクト方式によるスクリード加熱装置の場合、外気温など環境によっては加熱時間を多くする必要があり、バーナーからの遠方部分を必要温度に保つために、バーナー直下が過加熱になってしまう場合がある。
ブロア方式及び専用ブロアバーナー方式によるスクリード加熱装置の場合、火炎にエアーを混合することで、火炎の温度を下げてしまうため、捨てる熱量が増えてしまう。そのため、従来は、加熱時間が長くならないように、バーナーのノズル径を大きくして、バーナーからの熱量を大きくしていた。結果、ガス使用量が多くなっていた。
【0017】
(3)上面フレームの加熱について
ダクト方式によるスクリード加熱装置の場合、火炎を下方向に放出しているが、火炎放出直後以降は、上面も下面と同条件で加熱してしまう。その加熱の影響でフレーム上面も温度上昇し、装置内部の温度も上昇してしまう。
ブロア方式によるスクリード加熱装置の場合、図12に示すような構造では、バーナーからの火炎の噴射方向と、ブロアからの送風方向とは、横向きであるため、出来る限り、下面を加熱することとはなるが、上面の加熱は避けられない。
専用ブロアバーナー方式によるスクリード加熱装置の場合、図13に示すような構造では、エアー混入後の火炎を下方向に放出しているため、火炎分岐以降は上面も下面と同条件で加熱してしまうこととなる。その加熱の影響でフレーム上面も温度上昇し、装置内部の温度も上昇してしまう。
いずれの方式においても、フレーム上面の温度上昇を防止するために断熱材を設けているが、断熱材が雨水、結露の水、洗車水などの水分等を含んでしまっていた場合には、断熱材内部の水分等が蒸発するのに熱が奪われてしまい、スクリードプレートの加熱効率にも影響がある。
【0018】
(4)スペースについて
ダクト方式によるスクリード加熱装置の場合、上面フレームへの加熱の影響を抑えるために、上面フレームを保護するための構造が必要となる。
ブロア方式及び専用ブロアバーナー方式によるスクリード加熱装置の場合、ブロア、バーナー、エアー供給ホースの収納スペースが必要となる。
(5)コストについて
ダクト方式によるスクリード加熱装置の場合、過加熱が多くなる使い方をしていると、周辺部品の交換が必要となり、結果として、ランニングコストが高くなる。
専用ブロアバーナー方式によるスクリード加熱装置の場合は、専用のブロアー付きバーナーが高額なものとなる。
【0019】
このように、従来のスクリード加熱装置では、加熱ムラ、加熱効率、上面フレームの加熱、スペース、及びコストの面で、課題があった。
【0020】
それゆえ、本発明は、加熱ムラが少なくすることができるスクリード装置を提供することを目的とする。また、本発明は、加熱効率を高くすることができるスクリード装置を提供することを目的とする。また、本発明は、上面フレームの加熱を出来る限り抑えることができるスクリード装置を提供することを目的とする。また、本発明は、省スペース化を図ることができるスクリード加熱装置を提供することを目的とする。また、本発明は、コスト面で有利なスクリード加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、道路舗装機械におけるスクリード装置であって、アスファルト合材を敷き均すためのスクリードプレートと、スクリードプレートの上方に設けられており、スクリードプレートを加熱するためのスクリード加熱装置とを備える。
【0022】
スクリード加熱装置は、バーナーと、バーナーとは、分離して設けられており、空気を供給するための空気供給源と、バーナーによって加熱された加熱空気を、スクリードプレートの全体に行き渡らせるためのダクト部とを含む。
【0023】
ダクト部は、ダクト外筐体と、ダクト外筐体の内部の下方に設けられており、バーナーによって加熱された加熱空気を、スクリードプレートの全体に行き渡らせるための加熱層と、ダクト外筐体の内部であって加熱層の上方に設けられており、加熱層とは仕切られた別の空洞であって空気供給源からの空気を加熱層に供給するエアー供給層とを有する。
ダクト外筐体は、空気供給源から供給される空気をエアー供給層に供給するための送風口と、バーナーからの加熱空気を加熱層に送ることができるような位置にバーナーを取り付けるためのバーナー取付部とを有する。
送風口とバーナー取付部とが、外筐体において、分離した位置に設けられることで、バーナーと空気供給源とが分離して設けられる。
【0024】
加熱層とエアー供給層とを仕切るための部材には、エアー供給層から、加熱層に対して、空気を供給することができるように、一以上の隙間が設けられている。
【0025】
一以上の隙間の1つは、バーナーからの火炎の出口部分に、空気を供給するための隙間である。
【0026】
当該隙間は、火炎の噴出方向に沿って、空気を供給するように形成されている。
【0027】
一以上の隙間の1つは、スクリードプレートを車幅方向から見たときの中央部分に設けられている。
【0028】
中央部分とは、スクリードプレートを車幅方向に5分割したときの真ん中の分割領域である。
【0029】
ダクト部は、加熱層を上下に分割する仕切りを有する。仕切りは、加熱層の上側の層から下側の層へ加熱空気が流れるように、中央部分に、隙間を有している。
【0030】
一以上の隙間の1つは、バーナーとは反対側の端部分に設けられている。
【0031】
端部分とは、スクリードプレートを車幅方向に5分割したときのバーナーとは、反対側の分割領域である。
【0032】
端部分に設けられた隙間からは、バーナーの火炎の噴出方向とは逆の方向に空気が供給される。
【0033】
ダクト部は、加熱層を上下に分割する仕切りを有する。仕切りは、加熱層の上側の層から下側の層へ加熱空気が流れるように、端部分に、隙間を有している。
【0034】
ダクト部は、加熱層を上下に分割する仕切りを有する。仕切りは、加熱層の上側の層から下側の層へ加熱空気が流れるように、隙間を有している。
【0035】
スクリード加熱装置は、下側の層からの加熱空気を上方に排出するための煙突部を含む。
【0036】
ダクト部は、筐体の内部に取り付けられた仕切り板によって、加熱層とエアー供給層とを構成している。
【0037】
仕切り板は、バーナーとは反対側が斜め下方向に傾斜している。
【0038】
ダクト部は、バーナーの下部に通気口を有する
【0039】
本発明のスクリード装置は、主又は副スクリードに用いられる。
【0040】
本発明は、本発明によるスクリード装置を備える道路舗装機械である。
【発明の効果】
【0041】
本発明では、ダクト部を、加熱層とエアー供給層とに分け、エアー供給層から、バーナーに対して、空気を供給することとしている。エアー供給層は、加熱層の上方に設けられているため、加熱層にムラ無く空気を供給することができ、バーナーとは離れた遠方に、火炎を誘導することができる。よって、スクリードプレートの加熱ムラを抑えることができる。
【0042】
また、エアー供給層を加熱層の上方に設けることで、空気の使用量を出来る限り少なくすることができる。これにより、捨てる熱量を出来る限り少なく抑えることができ、スクリードプレートの加熱効率を高めることができる。
【0043】
さらに、エアー供給層を加熱層の上方に設け、エアー供給層に、空気供給源からの空気を供給し続けることで、エアー供給層の空気は入れ替わっていくこととなる。よって、上層を低温に保つことが可能となり、上面フレームの加熱を出来る限り抑えることができる。そのため、断熱材を使用しなくてもよいので、水分等によるスクリードプレートの加熱効率の低下を出来る限り抑えることができる。
【0044】
本発明では、空気供給源を含むこととなるが、エアー供給層に必要な風量を放出するための空気供給源は、小型のブロアやコンプレッサ、送風機などでよい。また、1つの空気供給源で、複数のエアー供給層に空気を供給することができる。たとえば、1つの空気供給源で、左右の2つの主スクリード、左右の2つの副スクリードに、空気を供給することができる。よって、結果として、省スペース化を図ることができる。
【0045】
本発明では、空気供給源が必要となるが、上述のように、空気供給源は、兼用させることができるので、コスト低減が可能である。また、本発明では、加熱効率が向上するので、ガスの使用料が抑えられ、結果、コスト低減が可能となる。さらに、加熱ムラが過加熱を防止できるため、周辺部品の寿命が長くなるため、結果、コスト低減が可能となる。このように、本発明は、コスト面でも有利である。
【0046】
加熱層とエアー供給層とを仕切るための部材に、エアー供給層から、加熱層に対して、空気を供給することができるように、一以上の隙間を設けることで、加熱層にムラ無く空気を供給することができ、加熱空気をスクリードプレート全体に行き渡らせることができ、加熱ムラの防止と加熱効率の向上を図ることができる。
【0047】
たとえば、バーナーからの火炎の出口部分に、空気を供給するための隙間を設ければ、バーナーの出口付近の加熱ムラが防止できる。バーナーの出口付近での隙間から火炎の噴出方向に沿って、空気を供給すれば、火炎をバーナーから離れた方向に誘導させることができ、加熱ムラが防止でき、熱をスクリードプレート全体に行き渡らせることができるので、加熱効率も高まる。
【0048】
また、バーナーの下部に通気口を設けることで、バーナー直下の過加熱を防止することができる。
【0049】
また、たとえば、スクリードプレートを車幅方向から見たときの中央部分に隙間を設けることで、加熱層に、均一に、空気を供給することができるので、加熱ムラが防止でき、加熱効率も高めることができる。
【0050】
副スクリードのように、幅が大きい場合、中央部分に隙間を設けることで、スクリードプレート全体を均一に加熱することができる。
【0051】
ダクト部内の仕切りによって、加熱層を上下に分割し、仕切りの中央部分に隙間を設けることで、バーナーからの火炎を直接、スクリードプレートに当てるのではなく、下の層の加熱空気によって、スクリードプレートを加熱させることが可能となる。結果、加熱ムラの防止が可能となり、加熱効率を高めることが可能となる。
【0052】
たとえば、バーナーとは反対側の端部分に隙間を設けることで、端部分にも、空気を供給することが可能となり、加熱ムラの防止及び加熱効率を高めることが可能となる。その際、端部分からの空気が、火炎の噴出方向とは逆方向に空気を供給するようにしておけば、さらに、加熱ムラの防止や加熱効率を高めることが可能となる。
【0053】
主スクリードのように、幅が狭いスクリードの場合は、端部分での隙間によって、スクリードプレート全体を加熱することは、有用である。
【0054】
端部分に隙間を有する場合でも、加熱層を上下に分けて、そのための仕切りの端部分に隙間を設けることで、加熱層の下の層に、加熱空気を送り込むことができるので、バーナーで直接スクリードプレートを加熱するのと比べて、加熱空気でムラ無く、スクリードプレート全体を加熱することができ、加熱効率が向上する。
【0055】
仕切り板について、バーナーとは反対側を斜め下方向に傾斜させることで、加熱空気を遠方まで、十分に行き渡らせることが可能となる。
【0056】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、本発明の一実施形態におけるスクリード装置1の斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態におけるスクリード装置1の分解斜視図である。
図3図3は、スクリードプレート2の上に取り付けられたスクリード加熱装置3の斜視図である。
図4図4は、図3のA-A面におけるスクリード加熱装置3の断面図である。
図5図5は、図4のB-B線におけるスクリード加熱装置3の断面図である。
図6図6は、エアー供給層と加熱層との変形例を示すスクリード加熱装置3の断面図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態におけるスクリード装置100の斜視図である。
図8図8は、図7のC-C面におけるスクリード装置100の断面斜視図である。
図9図9は、ダクト外筐体106及びダクト内筐体110を透明に図示したときのスクリード装置100の拡大斜視図である。図9は、図7のスクリード装置100の右側半分を拡大した斜視図である。
図10図10は、図7のC-C面におけるスクリード装置100の断面図であり、紙面上向かって右側のスクリード加熱装置103の断面を示す。
図11図11は、ダクト方式の従来のスクリード加熱装置の断面図である。
図12図12は、ブロア方式の従来のスクリード加熱装置の断面図である。
図13図13は、専用ブロアバーナー方式の従来のスクリード加熱装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、図1ないし図5を参照しながら、本発明の一実施形態におけるスクリード装置1について説明する。なお、スクリード装置を備えるアスファルトフィニッシャなどの道路舗装機械においては、主スクリードと副スクリードとが設けられている場合が多く、副スクリードが車両の進行方向に対して、左右に移動する構造である場合が多い。左右1対の副スクリードを伸縮スクリードと称する場合もある。
【0059】
図1ないし図5に示すスクリード装置1は、副スクリードに用いられる構造を示している。ただし、本発明による構造は、副スクリードにのみ用いられるものではなく、主スクリードに用いられてもよい。図1ないし図5に示す構造を主スクリードに用いる場合は、当該構造を主スクリード全体に設けてもよいし、左右に2つ当該構造を設けてもよく、特に限定されない。
【0060】
なお、主スクリードに関する他の実施形態は、図7ないし図10を用いて、後述する。
【0061】
いずれにしても、本発明における構造は、主スクリードに用いてもよいし、副スクリードに用いてもよく、主副の名称に関係なく、スクリード装置全般に用いることが可能である。
【0062】
図1ないし図3に示すように、スクリード装置1は、スクリードプレート2と、スクリード加熱装置3と、外側側面板4と、内側側面板5と、伸縮ガイド取付部9とを備える。伸縮ガイド取付部9には、スクリード装置1を左右に移動させるための図示しない機構が取り付けられる。
【0063】
スクリードプレート2は、前後に垂直に立脚した円柱状の複数の締結部2aと、補強プレート2bと、L型補強プレート2cとを含む。
【0064】
スクリード加熱装置3は、ダクト外筐体6と、第1のバーナー取付部7と、バイブレータ固定部8と、ダクト内筐体10と、第1のダクト仕切り板11と、第2のダクト仕切り板12と、火炎分岐板13と、第1の火炎下部板14と、第2の火炎下部板15と、バーナー出口具16とを含む。図4に示すように、スクリード加熱装置3は、バーナー17及びブロア18をさらに含む。図4では、ブロア18からの送風の流れを破線矢印で示し、バーナー17からの加熱された空気の流れを一点鎖線矢印で示す。なお、下記の実施形態では、空気を送り出すための装置として、ブロアを代表として、説明を行なうが、ブロアの代わりに、コンプレッサや送風機などを用いることが可能です。すなわち、本発明においては、後述のエアー供給層に空気を供給するための空気供給源(たとえば、ブロアやコンプレッサ、送風機など)がバーナーとは、分離して設けられていればよい。
【0065】
ダクト内筐体10の内部に、第1のダクト仕切り板11と、第2のダクト仕切り板12と、バーナー出口具16とが、溶接等で取り付けられている。これにより、図4及び図5に示すように、ダクト内筐体10の上面と第1のダクト仕切り板11との間に、スペースW1が形成され、ダクト内筐体10の上面と第2のダクト仕切り板12との間に、スペースW2が形成される。
【0066】
第1のダクト仕切り板11は、図4上、左側(外側側面板4側)に下って傾斜するように、ダクト内筐体10の内部に固定されている。したがって、スペースW1は、図4上、左側(外側側面板4側)に進むにつれて、高さが高くなるスペースである。
【0067】
第2のダクト仕切り板12は、図4上、ダクト内筐体4の上面と平行になるように、ダクト内筐体10の内部に固定されている。したがって、スペースW2は、高さがほぼ均一のスペースである。
【0068】
図4に示すように、第1のダクト仕切り板11の右端と第2のダクト仕切り板12の左端との間には、隙間S1があり、隙間S1からも、ブロア18からの空気が、第1及び第2のダクト仕切り板11,12の下方に流れ込む。
【0069】
隙間S1から流れ込む空気は、バーナー17からの加熱空気の流れに沿った方向に流れている。隙間S1によって、下方に、空気を行き渡らせることが出来ると共に、火炎を遠方にまで、行き渡らせるように、誘導することができる。
【0070】
同様に、第2のダクト仕切り板12右端とバーナー出口具16の左端との間にも、隙間S2があり、隙間S2からも、ブロア18からの空気が、第2のダクト仕切り板12の下方に流れ込む。
【0071】
隙間S2から流れ込む空気は、バーナー17の火炎の噴出方向に沿った方向に流れている。隙間S1によって、バーナー17側に空気を送り込むことができるだけでなく、火炎を遠方にまで、行き渡らせるように、誘導することができる。
【0072】
ダクト内筐体10の内部であって、第1及び第2のダクト仕切り板11,12の下部には、火炎分岐部13と、第1の火炎下部板14と、第2の火炎下部板15とが、溶接などで取り付けられている。第1の火炎下部板14の下側に、第2の火炎下部板15が取り付けられている。
【0073】
火炎分岐部13は、図4上、火炎を、左右に分岐するように、その中程が屈曲している。バーナー17からの火炎は、図4上、左側と右側に分岐される。また、火炎分岐部13を屈曲させることで、バーナー17の直下が過加熱となることが防止される。
【0074】
第1の火炎下部板14と第1及び第2のダクト仕切り板11,12との間に、スペースW3が形成される。第1の火炎下部板14は、図4上、左側が下方向に屈曲した屈曲部14cを有している。第1の火炎下部板14は、屈曲部分に至るまでの間に、隙間14aを有する。第1の火炎下部板14は、図4上、右側に穴14bを有する。穴14bに、火炎分岐部13が取り付けられる。
【0075】
屈曲部14c及び隙間14aによって、スクリードプレート2と第1の火炎下部板14との間には、火炎による加熱空気の通り道として、スペースW4ができる。
【0076】
第1の火炎下部板14は、スクリードプレート2の左端までは設けられていないので、スクリードプレート2と第1のダクト仕切り板11との間には、スペースW5ができる。
【0077】
ダクト内筐体10の各穴10cと、ダクト外筐体6の各穴6dとが合うようにして、ボルトなどで、ダクト内筐体10の上面が、ダクト外筐体6の上面に固定される。その際、図4に示すように、送風口6aと10aとが、連通するように、ダクト内筐体10とダクト外筐体6とが固定される。
【0078】
ダクト外筐体6は、複数の穴6cを有する。各穴6cに、各締結部2aが通されて、ナットや溶接などでダクト外筐体6がスクリードプレート2に固定される。
【0079】
ダクト内筐体10の外寸高さは、ダクト外筐体6の内寸高さよりも、低くなるように構成されている。そのため、ダクト内筐体10に取り付けられた第2の火炎下部板15とスクリードプレート2との間には、加熱空気の通り道として、スペースW6ができる。
【0080】
バーナー固定部7、バーナー用穴10b、及びバーナー出口具16には、図4に示すように、バーナー17がボルトとナットなどで固定される。通気口6bは、ダクト外筐体6のバーナー17の取り付け位置の近くに設けられている。通気口6bからも、バーナー17でのガスの燃焼に必要な空気が供給される。なお、ここでは、通気口6bは、アスファルト合材が詰まった場合にメンテナンスがし易いように、パンチ穴で形成されているとするが、本発明において、形状は、限定されない。通気口6bによって、バーナー17の直下に、空気が供給されるため直下の過加熱を防止することができる。
【0081】
ダクト外筐体6の送風口6aには、ブロア取り付け金具18bがボルトや溶接等で固定される。ブロア18は、ホース18aを介して、ブロア取り付け金具18bと連結される。ブロア18は、道路舗装機械における適切な位置に固定される。
【0082】
以上のような構造を踏まえて、スクリードプレート2がどのように加熱されるのかについて説明する。
【0083】
まず、ブロア18から供給される空気の流れを説明する。ブロア18からの空気は、ホース18a、ブロア用固定金具18bを通じて、スペースW2に送られる。スペースW2に届いた空気は、左右に分かれる。右側に分かれた空気は、隙間S2から、バーナー17側の出口部分に供給され、バーナー17からの燃焼ガスと混合することとなる。隙間S2から供給される空気は、火炎の噴出方向に沿って供給されるので、バーナー17からのガスの燃焼が効率的に行なわれると共に、火炎を、図上、左側である遠方に効率的に誘導することが可能となる。
【0084】
一方、スペースW2で左側に分かれた空気は、スペースW1に送られると共に、隙間S1から、スペースW3側に供給され、スペースW3に存在する加熱空気を左側に送る流れを生じさせることとなる。なお、燃焼ガスが隙間S1付近にまで届いている場合は、燃焼ガスと隙間S1からの空気とが混合して、燃焼に使用される。
【0085】
隙間S1は、スクリードプレート2を車幅方向(図4の紙面の左右方向)から見たときの中央部分に設けられている。ここで、中央部分とは、完全に中心である必要はなく、スクリードプレート2を車幅方向に5分割したときの真ん中の分割領域のように、一定の幅を有する領域を指すものとする。隙間S1を中央部分に設けることで、ブロア18からの空気を効率的に、火炎側に供給することができる。スペースW1には、ブロア18からの空気が供給され続け、加熱ムラの少ない均一な加熱を実現できる。
【0086】
次に、バーナー17からの火炎及び加熱空気の流れについて説明する。バーナー17から噴射された火炎は、火炎分岐板13によって、左右に分岐される。通気口6bが、バーナー17の下部に設けられているため、バーナー直下で、エアーが供給されることとなるので、バーナー17の直下の温度上昇を抑えることができる。バーナー17から、右側に流れた火炎によって、スクリードプレート2の右端側が加熱される。
【0087】
ブロア18によって、第2の仕切り板12とバーナー固定部16との間の隙間S2から空気が供給される。この空気が、バーナー17から噴出されるガスの燃焼に利用される。結果、バーナー17から左側に分かれた火炎は、スペースW3を通って、広がっていき、穴14aから穴14bの間までのスクリードプレート2が加熱されることとなる。
【0088】
スペースW3を通った火炎及び加熱空気は、隙間14aを通じて、スペースW4及びW6に広がっていく。それにより、スクリードプレート2の右端から、屈曲部14cまでの間のスクリードプレート2が加熱されることとなる。
【0089】
バーナー17から噴出されたガスは、穴14a付近まで到達すると、隙間S1を通じてブロア18から供給される空気によって、さらに燃焼する。そして、隙間S1からの空気の流れに従って、加熱空気は、スクリードプレート2の左側であるスペースW5まで、送られることとなる。第1のダクト仕切り板11は、傾斜しているので、スペースW5の高さは、左側に向かうほど、低くなり、効率的に、スクリードプレート2の左側が加熱されることとなる。
【0090】
スペースW1及びスペースW2に存在する空気は、ブロア18によって、常に入れ替わっているので、スクリード加熱装置3の上部の温度上昇は抑えられている。
【0091】
以上の作用効果を踏まえて、本実施形態の特徴を整理する。
【0092】
スクリード加熱装置3において、ダクト外筐体6、ダクト内筐体10、並びに、内部の仕切りである第1のダクト仕切り板11、第2のダクト仕切り板12、第1の火炎下部板14、及び第2の火炎下部板15によって構成されるダクト部は、バーナー17によって加熱された空気をスクリードプレート2の全体に行き渡らせるように構成されている。
【0093】
ダクト部は、バーナー17によって加熱された加熱空気をスクリードプレート2の全体に行き渡らせるための加熱層と、加熱層の上に設けられており、ブロア18からの空気を加熱層に供給するためのエアー供給層とに分かれている。加熱層とエアー供給層とは、第1及び第2のダクト仕切り板11,12で仕切られた別の空洞である。本実施形態では、エアー供給層は、スペースW1及びW2である。加熱層は、スペースW3、W4、W5、及びW6である。
【0094】
加熱層は、仕切りであるところの第1及び第2の火炎下部板14,15によって、上下に分割されている。加熱層は、第1及び第2の火炎下部板14,15と第1及び第2のダクト仕切り板11,12との間に設けられた上側の層であるところのスペースW3及びW5と、第1及び第2の火炎下部板14,15とスクリードプレート2との間に設けられた下側の層であるところのスペースW4及びW6とに分けられる。
【0095】
ただし、下側の層であるところのスペースW4及びW6は、必須の構成ではなく、第1及び第2の火炎下部板14,15とスクリードプレート2との間にスペースがなくてもよい。この場合、第1及び第2の火炎下部板14,15を設けない構造としてもよい。
【0096】
エアー供給層からは、加熱層に対して、ブロア18からの空気が供給される隙間S1及びS2が設けられている。本実施形態では、第1及び第2のダクト仕切り板11,12を分けることで、隙間S1を設け、第2のダクト仕切り板12とバーナー出口具16とを分けることで、隙間S2を設けることとした。なお、隙間の配置や数、大きさなどは、加熱層における加熱空気の循環や燃焼効率などを考慮して、適宜、決定されればよく、加熱層とエアー供給層との間の仕切りに設けられた隙間は、一以上あればよく、本発明を限定するものではない。
【0097】
本実施形態に示した隙間S1及びS2は、あくまでも、構造の一例を示しているに過ぎない。エアー供給層から、加熱層に、新鮮な空気が供給されるのであれば、本実施形態で示した構造以外の構造であってもよい。
【0098】
たとえば、第1及び第2のダクト仕切り板11,12を1つの部材として、空気を加熱層に供給するための穴を隙間として利用してもよい。
【0099】
このように、一以上の隙間は、板同士の隙間だけに限らず、穴であってもよく、構造や形状などは、本発明を限定するものではない。
【0100】
また、バーナー出口具16は、必須の構成ではなく、設けられていなくても良い。
【0101】
すなわち、エアー供給層からの新鮮な空気が、適切な量だけ、バーナー17側に供給さるような構造であればよく、たとえば、第2のダクト仕切り12の右端部の形状を調整したり、右端部に穴を適切に設けたりすればよい。
【0102】
このような変形例を踏まえて、単純化した構造のスクリード加熱装置3の変形例を図6に示す。図6では、ダクト仕切り板21として、一枚の部材を用い、ダクト仕切り板21を、ダクト内筐体10に溶接等で固定しているとしている。また、図6に示すスクリード加熱装置3では、第1及び第2の火炎下部板14,15も省いている。ダクト仕切り板21の中央部分(スクリードプレートを5分割した場合の真ん中の分割領域)に、穴21aを設け、右端部に穴21bを設けている。
【0103】
図6に示すスクリード加熱装置3では、ダクト内筐体10とダクト仕切り板21との間のスペースW1及びW2が、エアー供給層として機能する。また、ダクト仕切り板21とスクリードプレート2との間のスペースW3及びW5が、加熱層として機能する。穴21bから、バーナー17への空気が供給され、穴21aから、加熱層における加熱空気の循環のために空気が供給される。なお、穴の配置や数、大きさなどは、特に限定されるものではなく、加熱層における加熱空気の循環や燃焼効率などを考慮して、適宜、決定されればよく、本発明を限定するものではない。
【0104】
典型的には、道路舗装機械において、副スクリードは左右に2つあり、主スクリードは、中央に1つある。全てのスクリード装置に、本発明の構造を採用する場合、各スクリード装置に、ブロア18をそれぞれ設けてもよいが、ブロア18を共通化し、空気を分岐して、各スクリードのエアー供給層に、1つのブロアから、空気を供給するようにするとよい。
【0105】
次に、図7ないし図10を用いて、主スクリードに関するスクリード装置100の実施形態について説明する。なお、冒頭で述べたとおり、図7ないし図10に示す構造は、副スクリードに用いてもよい。なお、図7ないし図10において、スクリード装置1と同様の機能を有する箇所について、同一の部材名を用いることとするが、区別するために、異なる参照符号を用いる。ただし、同一の部材名を有する箇所については、同一の機能を有するものであるため、機能や構造についての詳しい説明は、適宜、省略するものとする。
【0106】
図7ないし図10に示すように、スクリード装置100は、スクリードプレート102,102と、スクリード加熱装置103,103と、外側側面板104,104とを備える。スクリード加熱装置103,103は、スクリード装置100の横方向中心に対して、左右対称の構造を有する。なお、主スクリードにおいて、1つのスクリード加熱装置103のみが横幅全体に設けられていてもよい。2つのスクリード加熱装置103を合体させて、1つのスクリード加熱装置103としてもよい。
【0107】
スクリード加熱装置103は、ダクト外筐体106と、バーナー固定部107と、バイブレータ固定部108と、ダクト内筐体110と、第1のダクト仕切り板111と、第2のダクト仕切り板112と、バーナー直下板113と、第1の火炎下部板114と、第2の火炎下部板115と、バーナー出口具116と、ブロア取り付け金具18bと、煙突部130とを含む。
【0108】
図10では、図示しないブロアからの送風の流れを白色破線矢印で示し、バーナー17からの加熱された空気の流れを白色実線矢印で示し、火炎によって加熱され送風によって送られる加熱空気の流れを白色太線矢印で示す。
【0109】
図8ないし図10に示すように、ダクト内筐体110の内部に、第1のダクト仕切り板111と、第2のダクト仕切り板112と、バーナー出口具116とが、溶接等で固定される。これにより、図10に示すように、ダクト内筐体110の上面と第2のダクト仕切り板112との間に、スペースW12が形成される。第2のダクト仕切り板112は、ブロアの下部においては、ダクト内筐体104の上面と平行になるように、ダクト内筐体110の内部に固定されている。したがって、スペースW12は、高さがほぼ均一のスペースである。
【0110】
第2のダクト仕切り板112は、スクリードプレート102の中央付近で、下方に屈曲し、当該屈曲先端において、断面コの字状の第1のダクト仕切り板111が設けられている。これによって、第1のダクト仕切り板111と、第2のダクト仕切り板112と、ダクト内筐体104の上面との間に、スペースW11が形成されている。
【0111】
図10に示すように、第1のダクト仕切り板111と、第2のダクト仕切り板112の屈曲部分の先端とには、隙間S11が設けられている。隙間S11は、バーナーから離れた位置に設けられていることとなる。隙間S11から、送風が送り出される。ここでは、隙間S11からの空気は、第1の火炎下部板114の下方に流れ込むこととしているが、第1の火炎下部板114の上方に流れ込んでもよい。
【0112】
隙間S11は、バーナー17とは反対側の端部に設けられている。ここでいう端部とは、スクリードプレート102を車幅方向に5分割したときのバーナー17とは反対側の分割領域のように、一定の範囲を示す領域である。ブロア18からの送風を第1の仕切り板111でバーナー17とは反対側の端面で反射させることで、隙間S11からは、バーナー17の火炎の噴射方向とは逆の方向に、空気が加熱層に供給される。
【0113】
また、バーナー出口具116と、第2のダクト仕切り版112の他端との間にも、隙間S12が設けられている。隙間S12は、バーナーの近傍に設けられていることとなる。隙間S12から、バーナーの噴射方向に沿って、送風が送り出される。
【0114】
バーナー直下板113は、バーナー17の直下に斜め下方に向かって配置されている。これにより、バーナー17からの火炎は、斜め下方向に送られる。第1の火炎下部板114は、第2のダクト仕切り板112の下部に配置されている。これにより、第1の火炎下部板114と第2のダクト仕切り板112との間には、スペースW13が形成される。第2の火炎下部板115の上に取り付けられた第1の火炎下部板114の上を、火炎が流れていくが、その際、隙間S12からの空気と合流して、火力が増すこととなる。
【0115】
第1の火炎下部板114及び第2の火炎下部板115とスクリードプレートとの間には、スペースW14が形成されている。
【0116】
図10の白色太矢印で示したように、火炎と空気が合流して、熱せられた加熱空気は、スペースW13を通って、第1の火炎下部板114の先端まで、到達する。第1の火炎下部板114のバーナーとは反対側の端部は、図9に示すように、一部が切り欠かれており、隙間S13を有するように構成されている。
【0117】
よって、図10の白色太矢印に示すように、隙間S11からの送風と隙間S13からの加熱空気とが合流して、第1の火炎下部板114の下に加熱空気が送り出されていく。そして、第1の火炎下部板114及び第2の火炎下部板115の下のスペースW14を通った加熱空気によって、スクリードプレート102が加熱される。その後、加熱空気は、煙突部130の穴130aから、排出されることとなる。
【0118】
上記実施形態においては、エアー供給層は、スペースW11及びW12である。加熱層は、スペースW13及びW14である。加熱層は、第2のダクト仕切り板112と第1の火炎下部板114との間に設けられた上側の層であるところのスペースW13と、第1及び第2の火炎下部板114,115とスクリードプレート102との間に設けられた下側の層であるところのスペースW14とに分けられる。
【0119】
一般に、主スクリードは、伸縮スクリードと比べて、幅は小さいが、奥行きと高さは、大きい。このような寸法条件の場合、エアー供給層から空気を導入する隙間を、バーナーの火炎放出部の直後(隙間S12)と、エアー供給層のダクトの端部に設ける(隙間S11)とよい。ダクトの端部では、送風を、第2のダクト仕切り板112の先端で、下方向に誘導した後、第1のダクト仕切り板111を用いて、逆方向に誘導する。これによって、スクリードプレート102の上部に、加熱空気が誘導されることとなり、スクリードプレートの加熱効率を向上させることができる。
【0120】
なお、煙突部130は、図1ないし図5に示した実施形態において設けられていてもよい。すなわち、加熱層の下側の層が、煙突部130とつながっており、煙突部130から、排気されるとよい。
【0121】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、スクリード装置およびそれを用いた道路舗装機械であり、産業上、利用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1,100 スクリード装置
2,102 スクリードプレート
2a 締結部
2b 補強プレート
2c L型補強プレート
3,103 スクリード加熱装置
4,104 外側側面板
5 内側側面板
6,106 ダクト外筐体
6a 送風口
6b 通気口
6c 穴
6d 穴
7 第1のバーナー取付部
107 バーナー固定部
8,108 バイブレータ固定部
9 伸縮ガイド取付部
10,110 ダクト内筐体
10a 送風口
10b バーナー用穴
10c 穴
11,111 第1のダクト仕切り板
12,112 第2のダクト仕切り板
13 火炎分岐板
113 バーナー直下板
14,114 第1の火炎下部板
14a 隙間(中央部分)
14b 穴
14c 屈曲部
15,115 第2の火炎下部板
16,116 バーナー出口具
17 バーナー
18 ブロア(空気供給源)
18a ダクトホース
18b ブロア用固定金具
130 煙突部
130a 穴
W1 スペース(エアー供給層)
W2 スペース(エアー供給層)
W3 スペース(加熱層)
W4 スペース(加熱層)
W5 スペース(加熱層)
W5 スペース(加熱層)
W11 スペース(エアー供給層)
W12 スペース(エアー供給層)
W13 スペース(加熱層)
W14 スペース(加熱層)
S1 隙間(バーナーからの火炎の出口部分)
S2 隙間(中央部分)
S11 隙間(端部分)
S12 隙間(バーナーからの火炎の出口部分)
S13 隙間(端部分)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13