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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】フィルム補正装置及び包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/067 20120101AFI20220812BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20220812BHJP
   B65B 57/02 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B65B9/067
B65B57/00 H
B65B57/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018159649
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020033040
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森永 太
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-159967(JP,A)
【文献】特開2009-280259(JP,A)
【文献】特開2007-62823(JP,A)
【文献】特開2018-8741(JP,A)
【文献】特開2020-40725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/067
B65B 57/00
B65B 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のフィルムの内側に前記フィルムの長手方向に間隔を置いて配列された複数の被包装物と前記フィルムを前記長手方向に沿って前方へ搬送するコンベヤ上の前記フィルムの左右の蛇行を補正するフィルム補正装置であって、
前記フィルムをその上から抑えながら前方に走行する抑えベルトと、
前記抑えベルトを左右に揺動させる揺動駆動部と、
を備えるフィルム補正装置。
【請求項2】
前記フィルムが右に蛇行した場合に、前記揺動駆動部が前記抑えベルトを左に揺動させ、前記フィルムが左に蛇行した場合に、前記揺動駆動部が前記抑えベルトを右に揺動させる
請求項1に記載のフィルム補正装置。
【請求項3】
前記抑えベルトの前方において前記フィルムを撮像することによって、前記フィルムが写った画像を出力する撮像手段と、
前記撮像手段によって出力された画像に基づいて前記フィルムの左右のずれ量を求めて、求めたずれ量に応じた揺動角度に前記抑えベルトを揺動させるよう前記揺動駆動部を制御する制御部と、
を備える請求項1又は2に記載のフィルム補正装置。
【請求項4】
長手方向に搬送される帯状のフィルムの両側部を曲げることによって前記フィルムを連続的に筒状に丸める製袋器と、
前記製袋器の後方に設けられ、前記製袋器によって丸められる前記フィルムの内側に複数の被包装物を間隔を置いて供給する被包装物供給機と、
前記製袋器の前に設けられ、前記製袋器によって丸められた前記筒状のフィルムの両側部を連続的にシールするセンターシール装置と、
前記センターシール装置の前方に設けられ、前記複数の被包装物と前記筒状のフィルムを前記長手方向に沿って前方へ搬送するコンベヤと、
前記コンベヤの上方に設けられ、前記筒状のフィルムをその上から抑えながら前方に走行する抑えベルトと、
前記抑えベルトを左右に揺動させる揺動駆動部と、
前記コンベヤ及び前記抑えベルトの前方に設けられ、前記筒状のフィルムのうち前記被包装物の間の部位をシールするエンドシール装置と、
を備える包装装置。
【請求項5】
筒状のフィルムの内側に前記フィルムの長手方向に間隔を置いて配列された複数の被包装物と前記フィルムを前記長手方向に沿って前方へ搬送するベルトコンベヤ上の前記フィルムの左右の蛇行を補正するフィルム補正装置であって、
前記ベルトコンベヤのベルトの搬送面が前後に分割された箇所において前記搬送面に揃うように設けられ、前記フィルムを前方に送る送りローラと、
前記ベルトコンベヤの上方に設けられ、前記フィルムをその上から抑える上側抑え部と、
前記送りローラを左右に揺動させる揺動駆動部と、
を備えるフィルム補正装置。
【請求項6】
前記フィルムが右に蛇行した場合に、前記揺動駆動部が前記送りローラを左に揺動させ、前記フィルムが左に蛇行した場合に、前記揺動駆動部が前記送りローラを右に揺動させる
請求項5に記載のフィルム補正装置。
【請求項7】
前記ベルトコンベヤの前方において前記フィルムを撮像することによって、前記フィルムが写った画像を出力する撮像手段と、
前記撮像手段によって出力された画像に基づいて前記フィルムの左又は右のずれ量を求めて、求めたずれ量に応じた揺動角度に前記送りローラを揺動させるよう前記揺動駆動部を制御する制御部と、
を備える請求項5又は6に記載のフィルム補正装置。
【請求項8】
長手方向に搬送される帯状のフィルムの両側部を曲げることによって前記フィルムを連続的に筒状に丸める製袋器と、
前記製袋器の後方に設けられ、前記製袋器によって丸められる前記筒状のフィルムの内側に複数の被包装物を間隔を置いて供給する被包装物供給機と、
前記製袋器の前に設けられ、前記製袋器によって丸められた前記筒状のフィルムの両側部を連続的にシールするセンターシール装置と、
前記センターシール装置の前方に設けられ、前記複数の被包装物と前記筒状のフィルムを前記長手方向に沿って前方へ搬送するベルトコンベヤと、
前記ベルトコンベヤのベルトの搬送面が前後に分割された箇所において前記搬送面に揃うように設けられ、前記筒状のフィルムを前方に送る送りローラと、
前記送りローラを左右に揺動させる揺動駆動部と、
前記ベルトコンベヤの前方に設けられ、前記筒状のフィルムのうち前記被包装物の間の部位をシールするエンドシール装置と、
を備える包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される筒状フィルムの左右のずれを補正するフィルム補正装置及びそのフィルム補正装置を備える包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロー包装装置は、帯状のフィルムを製袋器によって筒状に丸めることによってその筒状のフィルムによって被包装物を包み込んだ上で、その筒状のフィルムの重ね合わせ縦綴じ目をセンターシール装置によってシールし、その後のフィルムのうち被包装物の間の部分をエンドシール装置によってシールする装置である。ピロー包装装置としては、例えば特許文献1~3に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1には、フィルムの蛇行を調整する機能を備えた縦ピロー包装装置が開示されている。
特許文献2,3には、製袋器によって筒状に丸められるフィルムをその上から抑える抑え装置を備えた横ピロー包装装置が開示されている。筒状フィルムが抑え装置によって上から抑えられることによって筒状フィルム及びその内側の被包装物が持ち上がらないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-280259号公報
【文献】特許第5898845号公報
【文献】特許第5189821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、筒状のフィルムがセンターシール装置からエンドシール装置に搬送される過程で、縦綴じ目が左又は右に折り畳まれる。その際に、フィルムの可撓性が高いと、センターシールされて筒状になったフィルムが蛇行して捻れが発生することがある。そうすると、フィルムに印刷された絵柄の中心がずれるため、完成した包装物の見栄えが良くない。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、筒状フィルムの左右の蛇行が発生した場合に、その蛇行を解消できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、筒状のフィルムの内側に前記フィルムの長手方向に間隔を置いて配列された複数の被包装物と前記フィルムを前記長手方向に沿って前方へ搬送するベルトコンベヤ上の前記フィルムの左右の蛇行を補正するフィルム補正装置は、前記フィルムをその上から抑えながら前方に走行する抑えベルトと、前記抑えベルトを左右に揺動させる揺動駆動部と、を備える。
【0008】
また、以上の課題を解決するために、筒状のフィルムの内側に前記フィルムの長手方向に間隔を置いて配列された複数の被包装物と前記フィルムを前記長手方向に沿って前方へ搬送するベルトコンベヤ上の前記フィルムの左右の蛇行を補正するフィルム補正装置は、前記ベルトコンベヤのベルトの搬送面が前後に分割された箇所において前記搬送面に揃うように設けられ、前記フィルムを前方に送る送りローラと、前記ベルトコンベヤの上方に設けられ、前記フィルムをその上から抑える上側抑え部と、前記送りローラを左右に揺動させる揺動駆動部と、を備える。
【0009】
以上によれば、筒状のフィルムが左に蛇行していた場合、揺動駆動部が抑えベルト又は送りローラを右に揺動させると、フィルムが右にずれ動くため、フィルムの左蛇行が解消される。筒状のフィルムが右に蛇行していた場合、揺動駆動部が抑えベルト又は送りローラを右に揺動させると、フィルムが左にずれ動くため、フィルムの右蛇行が解消される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筒状フィルムの左右の蛇行が発生した場合に、その蛇行を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ピロー包装装置の概略側面図である。
図2】ピロー包装装置の要部の概略上面図である。
図3】ピロー包装装置のブロック図である。
図4】センターシール後の筒状フィルムを示した図面である。
図5】縦綴じ目が折り畳まれた筒状フィルムを示した図面である。
図6】ピロー包装装置によって作製された包装物の上面図である。
図7】ピロー包装装置によって作製された包装物の上面図である。
図8】ピロー包装装置によって作製された包装物の上面図である。
図9】第2実施形態のピロー包装装置の概略側面図である。
図10図9に示すX部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているので、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
図1は、ピロー包装装置1の概略側面図である。図2は、ピロー包装装置1の要部の概略上面図である。図3は、ピロー包装装置1のブロック図である。
【0014】
このピロー包装装置1は、被包装物3をフィルム4により順次包装することによって、包装物2を順次作製する装置である。このピロー包装装置1では、被包装物3及び包装物2が後ろから前に向かって搬送される。そのため、搬送される被包装物3及び包装物2の流れの上流が後方であり、下流が前方である。
【0015】
ピロー包装装置1は、搬送台28、受け板(上板)68、フィルム供給機10、製袋器(フォーマ)18、被包装物供給機20、ベルトコンベヤ30、搬出ベルトコンベヤ35、ガゼット形成機40、センターシール装置60、エンドシール装置70、上側抑え部80、検査カメラ(撮像手段)95、制御部90等を備える。ここで、ピロー包装装置1は、ベルトコンベヤ30上の筒状のフィルム4の左右のずれフィルム補正装置を備える。そのフィルム補正装置は上側抑え部80、検査カメラ95及び制御部90を有する。制御部90はピロー包装装置1の制御部とフィルム補正装置の制御部を兼ねている。
【0016】
制御部90は、モータドライバ及びコンピュータ等を有する制御回路である。
【0017】
搬送台28はその上面が水平に設けられており、搬送台28にはスリットが形成されている。搬送台28の前方には、左右一対の水平な受け板68が設けられている。一対の受け板68の間には、スリット(隙間)が形成されている。受け板68は搬送台28の上面に高さが揃うように設けられている。搬送台28と受け板68との間には、製袋器18が設けられている。
【0018】
製袋器18の後方には、被包装物供給機20が設けられている。被包装物供給機20は、搬送台28上の被包装物3を所定間隔で製袋器18に供給する。被包装物供給機20は押送コンベヤであって、第1スプロケット21、第2スプロケット(図示略)、無端チェーン22、複数の押送部材23及びモータ24を備える。第1スプロケット21は搬送台28及び製袋器18の下に配置されている。第2スプロケットは第1スプロケット21の後方且つ搬送台28の下に配置されている。無端チェーン22は第1スプロケット21及び第2スプロケットに掛け渡されている。押送部材23は無端チェーン22に所定間隔で取り付けられている。
【0019】
第1スプロケット21がモータ24によって回転駆動されると、無端チェーン22が走行する。無端チェーン22の走行によって、押送部材23が搬送台28のスリットを通って搬送台28の上へ突出した状態で第2スプロケットから第1スプロケット21に向かって移動する。そのため、搬送台28上の被包装物3はその後ろから押送部材23によって前へ押されて送られる。制御部90がモータ24を制御することによって、被包装物供給機20の供給速度が制御される。
【0020】
製袋器18の上方には、フィルム供給機10が設けられている。フィルム供給機10は、原反ロール11、フィードローラ12及びフィードモータ13等を備える。原反ロール11には、帯状のフィルム4が巻回されている。フィルム4には、文字、記号、色彩、模様、図形若しくは絵柄又はこれらの結合が印刷されている。原反ロール11は製袋器18の上方にセッティングされている。フィードローラ12は製袋器18の斜め上において水平に設けられている。原反ロール11から繰り出されたフィルム4はフィードローラ12を経由して製袋器18に案内される。
【0021】
フィードモータ13がフィードローラ12を回転駆動すると、フィルム4が原反ロール11から引き出される。これにより、フィルム供給機10がフィルム4を製袋器18に連続的に供給する。制御部90がフィードモータ13を制御することによって、フィルム供給機10の供給速度が制御される。なお、原反ロール11がフィードモータ13によって駆動されることによって、原反ロール11からフィルム4が繰り出されるものとしてもよい。
【0022】
フィルム供給機10によって供給されるフィルム4が製袋器18を前方へ通過する際に、フィルム4の両側部5(以下、縦綴じ目5という。)が製袋器18によって下方に曲げられて、フィルム4がその印刷面が表側になるように製袋器18によって筒状に丸められる。フィルム4が筒状に丸められることによって、製袋器18に供給された被包装物3がフィルム4に包み込まれる。縦綴じ目5は製袋器18によって重ね合わされて垂下するようにフィン状に形成され、受け板68のスリットを通って受け板68の下へ突出する。
【0023】
製袋器18よりも下流側では、被包装物供給機20によって供給された複数の被包装物3が筒状フィルム4の内側において筒状フィルム4の長手方向(前後方向)に所定間隔を置いて配列されている。そして、これら被包装物3は、それらの配列を保った状態で、受け板68及び後述のベルトコンベヤ30上で筒状フィルム4に従動して下流側へ搬送される。
【0024】
製袋器18の前方且つ受け板68の下方には、センターシール装置60が設けられている。このセンターシール装置60は、受け板68のスリットから下に突き出た縦綴じ目5を左右両側から挟み込みながら加熱することによって縦綴じ目5をシールする。この図示例では、センターシール装置60は、受け板68の下側に設けられた左右一対の棒状ヒータ61と、棒状ヒータ61の前方に設けられた左右一対のプレスローラ62と、を有する。一対の棒状ヒータ61の間の隙間を縦綴じ目5が通過することによって加熱される。加熱された縦綴じ目5がプレスローラ62によって所定の圧力で挟み込まれることによって、縦綴じ目5がシールされる。棒状ヒータ61の前方と後方には、縦綴じ目5を挟み込む左右一対のピンチローラ63が設けられ、プレスローラ62の下流側には、縦綴じ目5を挟み込む左右一対のピンチローラ64が設けられ、縦綴じ目5がピンチローラ63,64によって下流へ送られる。
【0025】
センターシール装置60の前方には、ベルトコンベヤ30が設けられている。ベルトコンベヤ30の前方には、搬出ベルトコンベヤ35が設けられている。ベルトコンベヤ30の無端ベルトの搬送面は、受け板68の前端から水平方向前方へ延在している。搬出ベルトコンベヤ35の無端ベルトの搬送面は、ベルトコンベヤ30の無端ベルトの搬送面の前端から前方へ離れているとともに、水平方向前方へ延在している。制御部90がベルトコンベヤ30及び搬出ベルトコンベヤ35のモータを制御することによって、ベルトコンベヤ30及び搬出ベルトコンベヤ35の搬送速度が制御される。なお、ベルトコンベヤ30及び搬出ベルトコンベヤ35は別々のモータを動力源としてもよいし、共通のモータを動力源としてもよい。
【0026】
センターシール装置60によってシールされた筒状フィルム4及びその内側の被包装物3が受け板68からベルトコンベヤ30の無端ベルト上に送られる。そして、ベルトコンベヤ30上の筒状のフィルム4及びその内側の被包装物3がベルトコンベヤ30によって前方へ搬送される。
【0027】
センターシール装置60によってシールされた縦綴じ目5は、ピンチローラ64からベルトコンベヤ30の無端ベルト上に送られる際に筒状フィルム4の下面に接するように左又は右へ折り畳まれる。縦綴じ目5が折り畳まれるに際して、筒状フィルム4が蛇行する虞がある。筒状フィルム4が左又は右に蛇行すると、筒状フィルム4が捻れて周方向に回ってしまうため、上から見て、筒状フィルム4の印刷内容が左又は右にずれ動いてしまう。ここで、図4は縦綴じ目5の折り畳み前の筒状フィルム4を前方に向かって見た断面図であり、図5は縦綴じ目5の折り畳み後の筒状フィルム4を前方に向かって見た断面図である。図5において、筒状フィルム4が捻れた状態を実線で示し、筒状フィルム4が捻れた状態を二点鎖線で示す。
【0028】
このような筒状フィルム4の蛇行が発生した場合に、上側抑え部80及び揺動駆動部89により筒状フィルム4の蛇行が解消されるようになっている。以下に、上側抑え部80及び揺動駆動部89について詳細に説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、上側抑え部80は、エンドシール装置70のすぐ後ろにおいてベルトコンベヤ30の上方に設けられている。上側抑え部80は、ベルトコンベヤ30上の被包装物3及び筒状フィルム4をその上から抑えて、被包装物3及び筒状フィルム4が持ち上がるのを抑制する。
【0030】
上側抑え部80はボディ81、テールローラ82、ドライブローラ83、抑えベルト84及びドライブモータ85を備える。ボディ81はベルトコンベヤ30の上方に設けられている。テールローラ82はボディ81の後部に回転可能に取り付けられ、ドライブローラ83がボディ81の前部に回転可能に設けられ、無端状の抑えベルト84がテールローラ82とドライブローラ83に掛け渡されている。この抑えベルト84の下面が筒状フィルム4の上から被包装物3を抑えている。
【0031】
ドライブローラ83がドライブモータによって回転駆動されると、抑えベルト84はその下面が筒状フィルム4とともに前に向かって走行する。制御部90がドライブモータ85を制御することによって、抑えベルト84の速度がベルトコンベヤ30による筒状フィルム4及び被包装物3の搬送速度に等しくなる。
【0032】
抑えベルト84はヨーイング可能に設けられている。つまり、抑えベルト84は鉛直な軸線86の回りに左右に揺動可能に設けられている。具体的には、上側抑え部80のボディ81が軸線86の回りに回転可能に揺動駆動部89に連結されることで、抑えベルト84が左右に揺動可能に設けられている。揺動駆動部89はモータ及び伝動機構等を有し、抑えベルト84を軸線86回りに揺動させるように上側抑え部80のボディ81を駆動する。揺動駆動部89による抑えベルト84の揺動範囲は例えば右に5°から左に5°までの範囲である。
【0033】
抑えベルト84の揺動角度がゼロ°である場合、ドライブローラ83とテールローラ82は上面視でベルトコンベヤ30の搬送方向に対して垂直であり、抑えベルト84の下面の走行の向きがベルトコンベヤ30の搬送方向に対して平行である。この状態の上側抑え部80は図2において実線で示される。
【0034】
抑えベルト84が右に揺動した状態では、抑えベルト84の下面の走行の向きがベルトコンベヤ30の搬送方向から右に傾斜している。この状態の上側抑え部80は図2において符号80Aの二点鎖線で示される。抑えベルト84が右に揺動することによって、筒状フィルム4が右にずれ動く。そのため、筒状フィルム4が上側抑え部80よりも後方で左に蛇行していた場合、その左蛇行が抑えベルト84によって解消されるとともに、筒状フィルム4の捻れも解消される。
【0035】
抑えベルト84が左に揺動した状態では、抑えベルト84の下面の走行の向きがベルトコンベヤ30の搬送方向から左に傾斜している。この状態の上側抑え部80は図2において符号80Bの二点鎖線で示される。抑えベルト84が左に揺動することによって、筒状フィルム4が左にずれ動く。そのため、筒状フィルム4が上側抑え部80よりも後方で右に蛇行していた場合、その右蛇行が抑えベルト84によって解消されるとともに、筒状フィルム4の捻れも解消される。
【0036】
制御部90が揺動駆動部89を制御することによって、揺動駆動部89による抑えベルト84の揺動角度が制御される。その制御については、後に詳述する。
【0037】
ベルトコンベヤ30の前端まで搬送された筒状のフィルム4及び被包装物3はベルトコンベヤ30から搬出ベルトコンベヤ35に載せ換えられる。
【0038】
ベルトコンベヤ30の前部及び搬出ベルトコンベヤ35の後部の左右側方には、ガゼット形成機40が設けられている。このガゼット形成機40は、周期的に筒状フィルム4の左右側面を内側に折り込むことによって、筒状フィルム4の左右側面にガゼットを形成するものである。ガゼット形成機40が筒状フィルム4にガゼットを形成するタイミングは、被包装物3がガゼット形成機40を通過してから次の被包装物3がガゼット形成機40を通過するまでの間である。つまり、フィルム4のうち隣り合う被包装物3の間の部位がベルトコンベヤ30から搬出ベルトコンベヤ35に載せ替えられる際に、その部位にガゼットがガゼット形成機40により形成される。なお、ガゼット形成機40は設けられていなくてもよい。
【0039】
ベルトコンベヤ30と搬出ベルトコンベヤ35との間には、エンドシール装置70が設けられている。このエンドシール装置70は、筒状フィルム4を周期的にシールするとともに切断する。エンドシール装置70がフィルム4のシール及び切断をするタイミングは、被包装物3がエンドシール装置70を通過してから次の被包装物3がエンドシール装置70を通過するまでの間である。つまり、フィルム4のうち隣り合う被包装物3の間の部位がベルトコンベヤ30から搬出ベルトコンベヤ35に載せ替えられる際に、その部位がエンドシール装置70によりシールされるとともに切断される。
【0040】
エンドシール装置70はアッパーシーラ71、ロアシーラ72及び駆動機構73を備える。アッパーシーラ71とロアシーラ72はそれぞれヒータを内蔵する。アッパーシーラ71はベルトコンベヤ30と搬出ベルトコンベヤ35の間の上側において所定の軌道に沿って昇降可能に設けられ、ロアシーラ72はベルトコンベヤ30と搬出ベルトコンベヤ35の間の下側において所定の軌道に沿って昇降可能に設けられている。筒状フィルム4及びその中の被包装物3はシーラ71,72の間を通過する。
【0041】
駆動機構73は、モータ等を有し、モータの動力を利用してアッパーシーラ71とロアシーラ72を上下方向に接離させる。駆動機構73はボックスモーション式の駆動機構であってもよいし、回転式の駆動機構であってもよい。制御部90が駆動機構73のモータと、ベルトコンベヤ30及び搬出ベルトコンベヤ35のモータと、被包装物供給機20のモータ24と、フィルム供給機10のフィードモータ13との同期制御を行うことによって、エンドシール装置70によるフィルム4のシール及び切断のタイミングが隣り合う被包装物3の間の部位がエンドシール装置70の通過タイミングに同期する。
【0042】
ボックスモーション式の場合、駆動機構73はアッパーシーラ71を下降させ且つロアシーラ72を上昇させることによって筒状フィルム4をシーラ71,72の間に挟み込んだ状態で、シーラ71,シーラ72を筒状フィルム4と同速で前方へ所定距離移動する。その後、駆動機構73は、アッパーシーラ71及びロアシーラ72を後方へ所定距離移動させながら、アッパーシーラ71を上昇させた後に下降させるとともに、アッパーシーラ71の昇降に同期してロアシーラ72を下降させた後に上昇させる。アッパーシーラ71の下降タイミングとロアシーラ72の上昇タイミングが同期することで、シーラ71,72が互いに近接して、フィルム4がシーラ71,72の間に挟み込まれてシールされる。アッパーシーラ71の上昇タイミングとロアシーラ72の下降タイミングが同期することで、シーラ71,72がシールされたフィルム4から離間する。駆動機構73がシーラ71,72にこのような動作を繰り返し行わせることによって、フィルム4が繰り返しシールされる。
【0043】
回転式の場合、駆動機構73が、左右に延在した上側の回転軸周りにアッパーシーラ71を旋回させるとともに、左右に延在した下側の回転軸周りにロアシーラ72を旋回させる。アッパーシーラ71が円軌道の最下点を通過するタイミングと、ロアシーラ72が円軌道の最上点を通過するタイミングが同期することによって、フィルム4がアッパーシーラ71とロアシーラ72の間に挟み込まれてシールされる。なお、回転式の場合、ベルトコンベヤ30の代わりにローラーコンベヤを設けてもよい。
【0044】
ボックスモーション式の場合、アッパーシーラ71に刃が内蔵されている。フィルム4がシーラ71,72の間に挟まれた時に、駆動機構73又は別の動力源がその刃をアッパーシーラ71からロアシーラ72内に進出させる。そうすると、シーラ71,72によってシールされる部分が刃によって切断される。なお、その刃がロアシーラ72に内蔵されて、ロアシーラ72からアッパーシーラ71に進出するものとしてもよい。
回転式の場合、刃がシーラ71,72のうち一方に設けられ、受け刃が他方に設けられている。そうすると、フィルム4がシーラ71,72の間に挟まれた時に、シーラ71,72によって熱圧着された部分が刃及び受け刃によって切断される。
【0045】
また、ボックスモーション式である場合、ベルトコンベヤ30の前端部と搬出ベルトコンベヤ35の後端部がシーラ71,72の前後動に同期して前後に往復移動する。ベルトコンベヤ30の前端部とは、ベルトコンベヤ30の無端ベルトの折り返し部のことをいう。搬出ベルトコンベヤ35の後端部も同様である。
【0046】
筒状のフィルム4がエンドシール装置70によってシールされた上で切断されると、完成した包装物2が筒状フィルム4から切り離される。切り離された包装物2は搬出ベルトコンベヤ35によって前へ搬送される。
【0047】
ここで、エンドシール装置70の上流側において筒状フィルム4が左右に蛇行せずに、エンドシール装置70によってシール及び切断された場合、図6に示すような正常な包装物2が完成する。この包装物2のフィルム4の表面上の印刷内容が正常な位置になる。
また、筒状フィルム4が右蛇行により捻れた状態でシール及び切断された場合、図7に示すような不良な包装物2が完成する。この包装物2のフィルム4の表面上の印刷内容が右にずれている。
また、筒状フィルム4が左蛇行により捻れた状態でシール及び切断された場合、図8に示すような不良な包装物2が完成する。この包装物2のフィルム4の表面上の印刷内容が左にずれている。
【0048】
完成した包装物2のフィルム4の左右のずれ状態を観察するべく、搬出ベルトコンベヤ35によって搬送される包装物2が検査カメラ95によって撮像される。図1及び図2に示すように、この検査カメラ95は、エンドシール装置70のすぐ前において搬出ベルトコンベヤ35の上方に設けられている。また、この検査カメラ95は、下方に向けて設けられており、包装物2をその上方から撮像する。検査カメラ95の撮像タイミングは包装物2が検査カメラ95の下を前へ通過する時である。検査カメラ95によって撮像された包装物2の画像に基づいてその包装物2のフィルム4の左右のずれ量を検出するべく、その画像が検査カメラ95から制御部90に転送される。検査カメラ95から出力されて制御部90に入力される画像を以下では入力画像という。
【0049】
制御部90は、予め、包装物2が写った複数のサンプル画像の特徴抽出処理した上で、ニューラルネットワークを利用したディープラーニングによってそれらのサンプル画像の特徴量を機械学習している。制御部90が予め機械学習した複数のサンプル画像には、フィルム4が左右にずれていない正常な包装物2のサンプル画像と、フィルム4が左にずれ動いた包装物2のサンプル画像(フィルム4の左のずれ量が様々な画像がある。)と、フィルム4が右にずれ動いた包装物2のサンプル画像(フィルム4の右のずれ量が様々な画像がある。)とが含まれている。制御部90は、各サンプル画像に左右のずれ量を対応付けて予め記憶している。
【0050】
入力画像が検査カメラ95から制御部90に転送される度に、つまり完成した包装物2が検査カメラ95によって撮像される度に、制御部90が以下のような処理を実行する。
【0051】
まず、制御部90は、入力画像と複数のサンプル画像を対比することによって、入力画像に最も近似したサンプル画像を決定する。つまり、制御部90は、入力画像の特徴抽出処理をした上で、入力画像の特徴量及び複数のサンプル画像の特徴量に基づいてサンプル画像ごとに近似度(尤度)を求めて、最も近似度の高いサンプル画像を決定する。そして、制御部90は、決定したサンプル画像に対応する左右のずれ量を求める。
【0052】
次に、制御部90は、求めたずれ量に比例した揺動角度になるように揺動駆動部89を制御する。そうすると、上側抑え部80の抑えベルト84がその揺動角度まで揺動駆動部89により揺動する。ここで、求めたずれ量がゼロであれば、揺動角度がゼロ°であり、求めた右のずれ量が大きくなるほど左の揺動角度が大きくなり、求めた左のずれ量が大きくなるほど右の揺動角度が大きくなる。
【0053】
従って、抑えベルト84の揺動前に筒状フィルム4が左又は右に蛇行していた場合、その蛇行が抑えベルト84によって補正されて解消される。よって、抑えベルト84の揺動後は、完成した包装物2のフィルム4が左右にずれておらず、縦綴じ目や印刷内容も適切な位置になり、完成した包装物2の見栄えが良い。抑えベルト84の揺動後、フィルム4が左右にずれていない包装物2が検査カメラ95の下を通過すれば、上述のような制御によって抑えベルト84がゼロ°の揺動角度に戻る。
【0054】
〔第2の実施の形態〕
図9は、第2実施形態のピロー包装装置1Aの斜視図である。図10は、図9に示すX部を拡大して示した図面である。
【0055】
第2実施形態のピロー包装装置1Aの各構成要素には、それに相当する第1実施形態のピロー包装装置1の各構成要素と同一の符号を付す。また、以下では、第2実施形態のピロー包装装置1Aと第1実施形態のピロー包装装置1との間で相違する点について主に説明する。
【0056】
第1実施形態のピロー包装装置1では、上側抑え部80の抑えベルト84が左右に揺動する。それに対して、第2実施形態のピロー包装装置1Aでは、上側抑え部80の抑えベルト84が左右に揺動しない。
【0057】
また、第2実施形態のピロー包装装置1Aでは、ベルトコンベヤ30の無端ベルトの搬送面がローラ30a~30dによって前後に分割されている。具体的には、ベルトコンベヤ30の無端ベルトが前端折り返し部と後端折り返し部の間においてローラ30aによって下方に折り返され、更にローラ30bによって前方に折り返され、更にローラ30cによって上方に折り返され、更にローラ30dによって前方に折り返されている。
【0058】
また、第2実施形態のピロー包装装置1Aでは、下側支持部50及び揺動駆動部59がローラ30a~30dによって囲われる領域に設けられている。下側支持部50は、ボディ51と、ボディ51に回転可能に取り付けられるとともに互いに平行な複数の送りローラ52と、これら送りローラ52を回転駆動するモータ53とを有する。送りローラ52の軸線が左右に延在しており、送りローラ52の外周面の頂部がベルトコンベヤ30の無端ベルトの搬送面に高さが揃っている。
【0059】
ベルトコンベヤ30によって搬送される筒状フィルム4及びその内側の被包装物3は、送りローラ52によりその下から支持される。ここで、送りローラ52がモータ53によって回転駆動されるため、ベルトコンベヤ30のみならず送りローラ52も被包装物3及び筒状フィルム4に前方へ送る。送りローラ52の外周面の周速度とベルトコンベヤ30の搬送速度は等しい。
【0060】
下側支持部50のボディ51が鉛直な軸線56の回りに回転可能に揺動駆動部59に連結されることによって、送りローラ52が左右に揺動可能に設けられている。揺動駆動部59はモータ及び伝動機構等を有し、送りローラ52を軸線56回りに揺動させるように下側支持部50のボディ51を駆動する。揺動駆動部59による送りローラ52の揺動範囲は例えば右に5°から左に5°までの範囲である。なお、送りローラ52の揺動角度がゼロ°である場合、送りローラ52が上面視でベルトコンベヤ30の搬送方向に対して直交する。
【0061】
また、第1実施形態と同様に、入力画像が検査カメラ95から制御部90に転送される度に、制御部90がずれ量を求めて、求めたずれ量に比例した揺動角度になるように揺動駆動部59を制御する。そうすると、下側支持部50の送りローラ52がその揺動角度まで揺動駆動部59により揺動する。つまり、筒状のフィルム4が右に蛇行していた場合に、送りローラ52が左に揺動し、筒状のフィルム4が左に蛇行していた場合に、送りローラ52が右に揺動する。ここで、求めたずれ量がゼロであれば、揺動角度がゼロ°であり、求めた右のずれ量が大きくなるほど左の揺動角度が大きくなり、求めた左のずれ量が大きくなるほど右の揺動角度が大きくなる。
【0062】
従って、送りローラ52の揺動前に筒状フィルム4が左又は右に蛇行していた場合、その蛇行が送りローラ52によって補正されて解消される。
【符号の説明】
【0063】
1,1A…ピロー包装装置(包装装置)
10…フィルム供給機
18…製袋器
20…被包装物供給機
30…ベルトコンベヤ
50…下側支持部
52…送りローラ
59…揺動駆動部
60…センターシール装置
70…エンドシール装置
80…上側抑え部
84…抑えベルト
89…揺動駆動部
90…制御部
95…検査カメラ(撮像手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10