(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】高速精密測位方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/07 20100101AFI20220812BHJP
G01S 19/10 20100101ALI20220812BHJP
G01S 19/23 20100101ALI20220812BHJP
G01S 19/40 20100101ALI20220812BHJP
G01S 19/45 20100101ALI20220812BHJP
G01S 19/46 20100101ALI20220812BHJP
G01S 19/48 20100101ALI20220812BHJP
【FI】
G01S19/07
G01S19/10
G01S19/23
G01S19/40
G01S19/45
G01S19/46
G01S19/48
(21)【出願番号】P 2020568476
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(86)【国際出願番号】 CN2018117070
(87)【国際公開番号】W WO2019233045
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】201810566043.4
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520476226
【氏名又は名称】北京未来導航科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】穆 旭成
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107153209(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107229061(CN,A)
【文献】特表2017-511885(JP,A)
【文献】特表2007-524089(JP,A)
【文献】特表2001-523335(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0091493(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0182502(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00-19/55
G01C 21/26-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ受信機によって実行される高速精密測位方法であって、
現在元期において、航法衛星及び低軌道補強衛星の観測データを取得して前処理を行うステップ1と、
前記航法衛星及び前記低軌道補強衛星の航法メッセージをそれぞれ取得し、取得された
前記航法衛星及び前記低軌道補強衛星の航法メッセージに基づいて、前記航法衛星の精密軌道及び時計誤差と、前記低軌道補強衛星の精密軌道及び時計誤差と、を得るステップ2と、
取得した前記航法メッセージに基づいて測位中に受けた誤差を補正するステップ3と、
1つの衛星航法システムを基準として正規化して得られた統一の線形観測方程式で、測位と速度の測定パラメータの観測値を計算するステップ4と、
計算された前記測位と速度の測定パラメータの観測値と、前の元期の測位と速度の測定パラメータの推定値とに基づいて、状態方程式によって前記現在元期の測位と速度の測定パラメータの推定値を得るステップ5と、
前記現在元期の測位と速度の測定パラメータの推定値に基づいて、前記現在元期の測位と速度の測定結果を生成して保存し、ステップ1に戻るステップ6と、を含む、高速精密測位方法。
【請求項2】
前記統一の線形観測方程式は、測位観測方程式を含み、グローバル・ポジショニング・システムGPSに対応する受信機時計誤差を基準とすると、前記GPS以外の衛星航法システムの測位観測方程式は、以下の通りである、請求項1に記載の測位方法。
【数1】
式において、
【数2】
はそれぞれ電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値であり、
【数3】
はそれぞれ受信機側電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数4】
はそれぞれ衛星側電離層を除く疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数5】
は電離層を除く組合せ観測値波長であり、
式中、cは真空中光速であり、f
1
は周波数ポイント1での搬送周波数であり、f
2
は周波数ポイント2での搬送周波数であり、
【数6】
は対応する全周不確定性パラメータであり、
式中、
【数7】
は前記GPSと前記GPS以外のいずれか1つの衛星航法システムが受信機端での擬似距離ハードウェア遅延の差、すなわち符号偏差であり、
【数8】
は衛星の初期座標から算出した局から衛星までの距離であり、l、m、nは線形化係数であり、それぞれ
【数9】
であるが、x
S、y
Sとz
Sは衛星座標であり、x
a、y
aとz
aは測定局の初期座標であり、Δx
a、Δy
aとΔz
aはそれぞれそれらの補正値である。
【請求項3】
前記統一の線形観測方程式は速度測定観測方程式を含み、前記速度測定観測方程式は以下の通りである、請求項2に記載の測位方法。
【数10】
【請求項4】
前記航法衛星は、米国グローバル・ポジショニング・システムGPS、中国BeiDou、欧州連合ガリレオ、及びロシアグロナスGLONASS衛星航法システムのうちの少なくとも一種を含む、請求項2に記載の測位方法。
【請求項5】
ユーザ受信機に配置される高速精密測位システムであって、
元期毎に、航法衛星及び低軌道補強衛星の観測データを取得して前記観測データを前処理するように設置されている衛星観測データ受信・処理装置と、
元期毎に、前記航法衛星及び前記低軌道補強衛星の航法メッセージをそれぞれ取得し、取得された
前記航法衛星及び前記低軌道補強衛星の航法メッセージに基づいて航法衛星の精密軌道及び時計誤差と、前記低軌道補強衛星の精密軌道及び時計誤差と、を得るように設置されている衛星航法メッセージ受信・処理装置と、
取得した前記航法メッセージに基づいて測位中に受けた誤差を補正するように設置されている測位誤差補正装置と、
1つの衛星航法システムを基準として正規化して得られた統一の線形観測方程式で、測位と速度の測定パラメータの観測値を計算するように設置されている測位速度測定パラメータ観測値計算装置と、
計算された前記測位と速度の測定パラメータの観測値と、保存された前の元期の測位と速度の測定パラメータの推定値とに基づいて、状態方程式によって現在元期の測位と速度の測定パラメータの推定値を計算するように設置されている測位速度測定パラメータ推定値計算装置と、
前記現在元期の測位と速度の測定パラメータの推定値に基づいて、前記現在元期の測位と速度の測定結果を生成して保存するように設置されている測位速度測定結果保存装置と、を備える、高速精密測位システム。
【請求項6】
前記衛星航法メッセージ受信・処理装置は、航法衛星航法メッセージ受信・処理ユニット及び低軌道補強衛星航法メッセージ受信・処理ユニットを含む請求項5に記載の測位システム。
【請求項7】
前記測位誤差補正装置は、航法衛星誤差補正ユニット及び低軌道補強衛星誤差補正ユニットを含む、請求項5に記載の測位システム。
【請求項8】
前記統一の線形観測方程式は、測位観測方程式を含み、グローバル・ポジショニング・システムGPSに対応する受信機時計誤差を基準とすると、前記GPS以外の衛星航法システムの測位観測方程式は、以下の通りである請求項5に記載の測位システム。
【数11】
式において、
【数12】
はそれぞれ電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値であり、
【数13】
はそれぞれ受信機側電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数14】
はそれぞれ衛星側電離層を除く疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数15】
は電離層を除く組合せ観測値波長であり、
式中、cは真空中光速であり、f
1
は周波数ポイント1での搬送周波数であり、f
2
は周波数ポイント2での搬送周波数であり、
【数16】
は対応する全周不確定性パラメータであり、
式において、
【数17】
は前記GPSと前記GPS以外のいずれか1つの衛星航法システムが受信機端での擬似距離ハードウェア遅延の差、すなわち符号偏差であり、
【数18】
は衛星の初期座標から算出した局から衛星までの距離であり、l、m、nは線形化係数であり、それぞれ
【数19】
であるが、x
S、y
Sとz
Sは衛星座標であり、x
a、y
aとz
aは測定局の初期座標であり、Δx
a、Δy
aとΔz
aはそれぞれそれらの補正値である。
【請求項9】
前記統一の線形観測方程式は速度測定観測方程式を含み、前記速度測定観測方程式は以下の通りである、請求項8に記載の測位システム。
【数20】
【請求項10】
記憶したプログラムを含むコンピューター可読記憶媒体であって、
前記プログラムの実行時に、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法が実行される、コンピューター可読記憶媒体。
【請求項11】
プログラムを実行するように設けられ、前記プログラムの実行時に請求項1~4のいずれか一項に記載の方法が実行される、プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年06月04日に中国特許庁で特許出願された、出願番号が201810566043.4である中国特許出願の優先権を主張するものであり、当該出願の全開示内容は援用により本明細書に組み合わせる。
【0002】
(技術分野)
本発明は衛星航法技術に関し、例えば、高速精密測位方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System、GNSS)は、米国グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System、GPS)、ロシアグロナス(Global Navigation Satellite System、GLONASS)、欧州連合ガリレオポジショニング・システム(Galileo)、中国BeiDou(北斗)システム、日本準天頂衛星システム(Quasi-ZenithSatelliteSystem、QZSS)及びインドのインド地域航法衛星システム(India Regional Navigation Satellite System、IRNSS)等を含む。全球測位衛星システムは、主に衛星から受信機までの距離を測定することによって、距離後方交会の原理を用いて運動キャリアの位置、速度及び時間(Position Velocity Time、PVT)を決定する。衛星航法システムPVT性能は衛星軌道、時計誤差の製品精度に制限される以外、電離層、対流圏等の誤差モデル精度及び不確定性パラメータ決定の正確性に関わっている。しかし、測位、速度測定及びタイムスタンプ測位パラメータ演算の収束速度は、主に航法衛星空間幾何学モデルによって決まっている。現在、精密測位収束プロセスは15分間から30分間程度であり、長い収束時間は高精度でリアルタイムな測位要求を満たすことが困難である。
【0004】
収束時間を減少させるために、現在、主にエリア補強又はマルチ航法システムを用いて共同で解を求めている。エリア補強システムは、例えば、リアルタイムキネマティック測位(Real Time Kinematic、RTK)、リアルタイム拡張測位(Real-Time eXtended、RTX)、リアルタイムキネマティック精密単独測位(Precine Point Positing-Real Time Kinematic 、PPP-RTK)は、エリア参照局を採用することによって現在エリアの電離層、対流圏等の誤差情報を演算することで、移動局箇所に対応する誤差を補正し、それにより、不確定性パラメータと位置パラメータの迅速な分離を達成すれば、いくつかの元期内に不確定性パラメータを決定し、センチメートルレベルの測位結果及び対応精度の速度測定とタイムスタンプ結果を達成することができる。マルチ航法衛星システムを利用して観測可能な衛星数を大幅に増加し、衛星の空間幾何学モデルを改善し、パラメータ演算の収束速度を加速することにより、PVT性能を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、上記方法はいずれもその制限性があり、例えば、エリア補強システムは一定の範囲内でしか高精度のPVTサービスを提供できず、マルチ航法衛星システムは精密単独測位(Precine Point Positioning 、PPP)の収束を加速する効果に限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下、本明細書で詳細に説明した主題に対する概要である。本概要は、特許請求の範囲の保護範囲を限定するためではない。
【0007】
エリア補強システムは地域の制限を受け、一般的に一定の範囲内でしか高精度のPVTサービスを提供できず、作用範囲を超えると、その補強情報が使用できなくなる。マルチ航法衛星システムはその収束速度を向上させることができるが、関連航法衛星はいずれも中高軌道に位置するため、衛星が短時間内で天頂を走査する角度が小さく、衛星空間の幾何学モデルの変化が目立たず、該方法は精密単独測位の収束を加速する効果に限界があり、不確定性が決定した場合にその収束時間は依然として少なくとも6分間を必要とする。低軌道補強衛星は地上測定局に対して動きが速く、幾何学構造の高速な変化及び不確定性パラメータと位置パラメータとの迅速な分離を引き起こし、それにより、PVT収束速度を加速することを考慮したので、中高低軌道補強衛星を連携して航法サービスを行うことは現在の高精度のPVTサービス障害を克服する有効な手段である。
【0008】
本発明は低軌道補強衛星群を用いて航法衛星信号を放送することにより、高中低軌道航法衛星を連携して大規模、高速、高精度のPVTサービスを実現する航法衛星及び低軌道補強衛星に基づく測位方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の技術的手段を採用する。
【0010】
本発明は高速精密測位方法を提供し、該方法は、現在元期において、航法衛星及び低軌道補強衛星の観測データを取得して前処理を行うステップ1と、航法衛星及び低軌道補強衛星の航法メッセージをそれぞれ取得し、取得された低軌道補強衛星の航法メッセージに基づいて、航法衛星の精密軌道と時計誤差及び低軌道補強衛星の精密軌道と時計誤差を取得するステップ2と、取得した航法メッセージに基づいて測位中に受けた誤差を補正するステップ3と、衛星航法システムを基準として正規化して得られた統一の線形観測方程式で、測位速度測定パラメータの観測値を計算するステップ4と、算出した測位速度測定パラメータ観測値及び前の元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、状態方程式によって現在元期の測位速度測定パラメータ推定値を得るステップ5と、現在元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて現在元期の測位及び速度測定結果を生成して保存し、ステップ1に戻るステップ6と、を含む。
【0011】
ここで、ステップ2は、ネットワークを介して状態空間表現SSR補正情報をリアルタイムに取得し、高精度のリアルタイム軌道及びリアルタイム時計誤差を取得する。
【0012】
ここで、GPSシステムに対応する受信機時計誤差を基準にすると、GPS以外の衛星航法システムの線形観測方程式は以下の通りである。
【0013】
【0014】
式中、
【数2】
はそれぞれ電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値であり、
【数3】
はそれぞれ受信機側電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延である。
【数4】
はそれぞれ衛星側電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数5】
は電離層を除く組合せ観測値波長であり、
式中、cは真空中光速であり、f
1
は周波数ポイント1での搬送周波数であり、f
2
は周波数ポイント2での搬送周波数であり、
【数6】
は対応する全周不確定性パラメータである。
式中、
【数7】
は前記GPSと前記GPS以外のいずれか1つの衛星航法システムが受信機側での擬似距離ハードウェア遅延の差、すなわち符号偏差である。
【数8】
は衛星までの初期座標から算出した局から衛星までの距離であり、l、m、nは線形化係数であり、それぞれ、
【数9】
であるが、x
S、y
Sとz
Sは衛星座標であり、x
a、y
aとz
aは測定局の初期座標であり、Δx
a、Δy
aとΔz
aはそれぞれそれらの補正値である。
【0015】
ここで、速度測定観測方程式は以下の通りである。
【0016】
【0017】
ここで、前記航法衛星は、米国GPS、中国BeiDou(北斗)、欧州連合ガリレオ、及びロシアGLONASS衛星航法システムのうちの少なくとも1種を含む。
【0018】
本発明は、元期毎に、航法衛星及び低軌道補強衛星の観測データを取得して前記観測データを前処理するように設置されている衛星観測データ受信・処理装置と、元期毎に、航法衛星及び低軌道補強衛星の航法メッセージをそれぞれ取得し、取得された低軌道補強衛星の航法メッセージに基づいて航法衛星の精密軌道と時計誤差及び低軌道補強衛星の精密軌道と時計誤差を得るように設置されている衛星航法メッセージ受信・処理装置と、取得した航法メッセージに基づいて測位中に受けた誤差を補正するように設置されている測位誤差補正装置と、1つの衛星航法システムを基準として正規化して得られた統一の線形観測方程式で、測位速度測定パラメータの観測値を計算するように設置されている測位速度測定パラメータ観測値計算装置と、算出された測位速度測定パラメータ観測値及び保存された前の元期の測位速度測定パラメータの推定値に基づいて、状態方程式によって測位速度測定パラメータ推定値を計算するように設置されている測位速度測定パラメータ推定値計算装置と、
前記現在元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、現在元期の測位及び速度測定結果を生成して保存するように設置されている測位速度測定結果保存装置と、を備える、測位システムをさらに提供する。
【0019】
前記衛星航法メッセージ受信・処理装置は、航法衛星航法メッセージ受信・処理ユニット及び低軌道補強衛星航法メッセージ受信・処理ユニットを含む。
【0020】
前記測位誤差補正装置は、航法衛星誤差補正ユニット及び低軌道補強衛星誤差補正ユニットを含む。
【0021】
ここで、GPSシステムに対応する受信機時計誤差を基準にすると、GPS以外の衛星航法システムの線形観測方程式は以下の通りである。
【0022】
【0023】
式中、
【数12】
はそれぞれ電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値であり、
【数13】
はそれぞれ受信機側電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延である。同様に、
【数14】
はそれぞれ衛星側電離層を除く疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数15】
は電離層を除く組合せ観測値波長であり、
式中、cは真空中光速であり、f
1
は周波数ポイント1での搬送周波数であり、f
2
は周波数ポイント2での搬送周波数であり、
【数16】
は対応する全周不確定性パラメータである。
式中、
【数17】
は前記GPSと前記GPS以外のいずれか1つの衛星航法システムが受信機端での擬似距離ハードウェア遅延の差、すなわち符号偏差である。
【数18】
は衛星の初期座標から算出した局から衛星までの距離であり、l、m、nは線形化係数であり、それぞれ、
【数19】
であるが、x
S、y
Sとz
Sは衛星座標であり、x
a、y
aとz
aは測定局の初期座標であり、Δx
a、Δy
aとΔz
aはそれぞれそれらの補正値である。
【0024】
ここで、速度観測方程式は以下の通りである。
【0025】
【0026】
本発明の一実施例は、コンピューター可読記憶媒体を提供し、前記記憶媒体は、記憶したプログラムを含み、前記プログラムの実行時に上記いずれか一項に記載の測位方法が実行される。
【0027】
本発明の一実施例は、プログラムを実行するように設けられ、前記プログラムの実行時に上記いずれか一項に記載の測位方法が実行されるプロセッサを提供する。
【0028】
図面及び詳細な説明を読んで理解した後、他の方面を明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面は例示的な実施形態を示すためだけであり、本発明を限定するものであると考えられない。また、図面全体において、同一の構成要素には同一の参照符号を付している。
【0030】
【
図1】本発明の一実施例に記載の高速精密測位方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例に記載の高速精密測位システムの構成概略図である。
【
図3】本発明の一実施例に記載の高速精密測位方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施例についてより詳細に説明する。図面には本開示の例示的な実施例が示されるが、理解されるように、ここで説明した実施例に限定されず、様々な形態で本開示を実現することができる。
【0032】
一、衛星航法システムを基準として正規化して得られた中高低軌道補強衛星が統一された線形観測方程式。
【0033】
本発明が提供する測位方法を実現するには、まず、中高低軌道補強衛星が統一された観測方程式を立てて線形化する必要があり、受信機は、立てた線形観測方程式に基づいて測位速度測定パラメータ観測値を得ることができる。そのうち、中高低軌道コンステレーションマルチ周波数情報源は、従来の全ての衛星航法システムのうちの少なくとも1種の衛星航法システム及び低軌道補強衛星航法システムのマルチ周波数情報源を含む。航法衛星と低軌道補強衛星は測位方式が一致しており、両者の観測値を組み合わせて調整することができる。観測方程式自体の数学的モデルは非線形方程式であるので、該方程式にテーラー展開を行い、2次項を捨てた後に線形方程式が得られる。航法衛星と低軌道補強衛星の観測値は位置と受信機時計誤差の線形方程式として表される。差分観測値を用いて、測定局速度項と受信機時計誤差変化率に関する観測方程式が得られる。これら2種類の観測方程式を立てることにより、PVTの3つのパラメータの最適推定値が得られる。
【0034】
受信機が航法メッセージから取得した航法衛星基本観測値は、多周波擬似距離ρと搬送波位相φという2種類を含む。周波数iにおける衛星sから測定局aまでの擬似距離と位相観測値は以下のように表される。
【0035】
【0036】
式中、R
S
aは衛星と測定局の間の幾何学的距離であり、T
aは測定局の天頂方向における対流圏遅延パラメータであり、T
aに対応するマップ関数はm
S
aであり、cは真空中光速であり、δt
S及びδt
aはそれぞれ衛星時計誤差と受信機時計誤差であり、γ
i=f
1
2/f
2
2、式中、f
iは周波数iの搬送波周波数であり、f
iに対応する波長はλ
i=c/f
iであり、I
S
aは傾斜電離層遅延であり、
【数22】
はそれぞれ受信機側の擬似距離と搬送波位相ハードウェア遅延であり、
【数23】
は衛星側の擬似距離と搬送波位相ハードウェア遅延であり、N
S
i,aは全周不確定性パラメータである。上式ではアンテナ位相偏差と変化、位相巻き、衛星時計誤差の相対論効果などの誤差補正、及びマルチパスと観測値ノイズなどの誤差が無視される。
【0037】
式(1)の天頂対流圏遅延パラメータTa、受信機時計誤差δtaは測定局のみに関連し、衛星時計誤差δtSは衛星のみに関連し、傾斜電離層遅延パラメータIS
aは測定局及び衛星に関連するが、衛星側又は受信機側での擬似距離及び位相のハードウェア遅延パラメータは主にそれぞれ測定局、衛星、観測値種類及びトラッキング周波数等に関連する。
【0038】
航法衛星のデータ処理においては、必要に応じて、異なる種類の位相及び擬似距離の観測値の組み合わせを構築することが多く、電離層を除く組合せにより1次電離層の影響が除去されるため、高精度のデータ処理の観測方程式を立てるために広く用いられている。前記観測方程式は以下のように表される。
【0039】
【0040】
式中、ρS
LC,a及びφS
LC,aはそれぞれ電離層を除く組合せ擬似距離と位相観測値であり、dρLC,a及びdφLC,aはそれぞれ受信機側電離層を除く組合せ擬似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、その値は以下のとおりである。
【0041】
【0042】
衛星側電離層を除く組合せ擬似距離と位相観測値ハードウェア遅延dS
ρLCとdS
φLCはそれぞれ以下の通りである。
【0043】
【0044】
式中、
【数27】
は電離層を除く組合せ観測値波長であり、N
S
LC,aは対応する全周不確定性パラメータであり、その値は以下の通りである。
【0045】
【0046】
式(2)における各パラメータと、測定局、衛星及び信号周波数などとの相関を考慮したので、マルチシステム観測値に対して、式(2)は以下のように拡張される。
【0047】
【0048】
式中、SはGNSSシステムを表す。GPS、Galileo、QZSS及びBeiDou(北斗)等の符号分割多元接続技術を用いる航法衛星システムについて、その異なる衛星の搬送波周波数が同じであるため、受信機側の擬似距離及び搬送波位相観測値のハードウェア遅延は全ての単一システム衛星に対して同じである。しかし、GLONASSシステムは周波数分割多元接続技術を用いるため、その対応する受信機側の擬似距離及び位相ハードウェア遅延はさらに衛星(周波数)に関連し、異なるGLONASS衛星(周波数)は異なる受信機側のハードウェア遅延に対応する。
【0049】
PVTモデルにおいて、航法衛星の時計誤差が一致し且つ推定時に衛星側の擬似距離ハードウェア遅延dS
ρLCを吸収するが、受信機側の擬似距離ハードウェア遅延は受信機の時計誤差dρLC,aに吸収されるため、この時、観測方程式は以下のとおりである。
【0050】
【0051】
式中、
【数31】
である。マルチモード航法システムが連携して処理する時、一般的に、一つの受信機時計誤差パラメータのみを推定する。しかし、前述から判明されるように、受信機時計誤差パラメータは受信機側における擬似距離観測値のハードウェア遅延を吸収するが、この遅延パラメータが信号周波数及び航法システムに関連するので、異なるシステムは異なる受信機時計誤差
【数32】
に対応することになり、GPSシステムに対応する受信機時計誤差
【数33】
を基準とすれば、他のシステム観測方程式は以下のように書き換えてもよい。
【0052】
【0053】
式中、
【数35】
は前記GPSと前記GPS以外のいずれか1つの衛星航法システムが受信機側での擬似距離ハードウェア遅延の差、すなわち符号偏差である。異なる航法システム間の時間基準の差異を考慮する場合、定数偏差パラメータを追加導入する必要があり、この定数偏差パラメータと差分符号偏差(Differential Code Bias、DCB)パラメータはシステム間偏差(Interer-System Bias、ISB)パラメータを構成する。符号分割多元接続を採用する航法システムについて、その全ての衛星は同じISBパラメータに対応するが、GLONASSシステムは周波数分割多元接続技術を採用するため、その異なる衛星(周波数)は異なるISBパラメータに対応し、この時、ISBパラメータは実際には異なるシステム間の符号偏差、時間基準差及びGLONASSシステム内の異なる衛星チャンネル間バイアス(Inter-Frequery Bias,IFB)の組み合わせである。低軌道補強衛星群は衛星航法システムとして、その測位数学モデルは相関するGNSSシステムと同じである。低軌道補強衛星航法システムは新しい航法システムと見なすことができ、ISBパラメータのみを追加推定すればよい。
【0054】
GNSS観測方程式自体は非線形方程式であり、関連するパラメータ推定方法は一般的に線形システムに適用するため、テーラー展開を行う必要がある。GNSS観測方程式を、測定局近似座標でテーラー式に従って展開し、その2次項を捨てることで、位置と時間に関する線形式が得られ、以下のとおりである。
【0055】
【0056】
式中、
【数37】
は衛星の初期座標に基づいて算出された局から衛星までの距離であり、l、m、nは線形化係数であり、それぞれ
【数38】
であるが、x
S、y
Sとz
Sは衛星座標であり、x
a、y
aとz
a
は測定局の初期座標であり、Δx
a、Δy
aとΔz
aはそれぞれそれらの補正値である。
【0057】
式(9)ではタイムスタンプ及び測位機能のみを達成するが、速度測定観測方程式は以下の通りである。
【0058】
【0059】
二、2乗平均平方根フィルタアルゴリズム測位速度測定パラメータ状態方程式を立てる。
【0060】
位置及び時間観測方程式及び速度観測方程式を立てた後、2乗平均平方根フィルタアルゴリズムを利用して測位速度測定パラメータに対して状態推定を行い、低軌道補強衛星観測値を追加するため、PPPの迅速な収束を実現し、より高精度のパラメータ情報を得ることができる。
【0061】
以下、2乗平均平方根情報フィルタの主なステップを示し、その状態方程式は以下のとおりである。
【0062】
【0063】
事前分散を平方根(Cholsky 分解)し、仮想観測方程式を立てる。
【0064】
【0065】
【0066】
これにより、状態ノイズ仮想観測方程式を立てる。
【0067】
【0068】
フィルタ観測方程式は以下の通りである。
【0069】
【0070】
最小分散基準に基づき、2乗平均平方根情報フィルタアルゴリズムの観測更新性能関数を立てることができる。
【0071】
【0072】
それをマトリクス形態に表記する。
【0073】
【0074】
上式を直交変換すると、以下を得る。
【0075】
【0076】
同様に、最小分散基準に基づき、2乗平均平方根情報フィルタアルゴリズム状態更新性能関数を立てることができる。
【0077】
【0078】
マトリクス形態に表記すると、以下になる。
【0079】
【0080】
直交変換することによって以下が得られる。
【0081】
【0082】
中高軌道情報源を利用して測位速度測定パラメータを演算する時に、衛星コンステレーションの制限のため、演算精度と収束時間は常に高速で高精度の測位の要求を満たすことができない。中高低軌道多周波情報源融合測位を採用し、可視衛星の幾何学構造を補強し、迅速な収束を実現することにより、測位演算の精度を向上させることができる。
図1は本発明の一実施例に記載の測位方法フローチャットを示す。該方法は、測位システムによって実行可能であり、当該測位システムはソフトウェア及びハードウェアのうちの少なくとも1種の方式を用いて実現される。そのうち、中高低軌道コンステレーションマルチ周波数情報源は、従来の全ての衛星航法システムにおける少なくとも1種の衛星航法システム及び低軌道補強衛星航法システムのマルチ周波数情報源を含む。
図1に示すように、本発明一実施例に記載の測位方法はステップS110~ステップS160を含む。
【0083】
ステップS110において、現在元期において、航法衛星及び低軌道補強衛星の観測データを取得して前処理を行う。そのプロセスは、受信機追跡観測により、マルチシステムマルチバンド観測値及び低軌道補強衛星観測値を取得して、データに対して前処理を行うというものである。
【0084】
ここで、航法衛星は、米国GPS、中国BeiDou(北斗)、欧州連合ガリレオ、及びロシアGLONASS衛星航法システムのうちの少なくとも1種を含む。
【0085】
ステップS120において、航法衛星及び低軌道補強衛星の航法メッセージを取得し、取得された低軌道補強衛星の航法メッセージに基づいて、航法衛星及び低軌道補強衛星の精密軌道及び時計誤差を同時に取得する。そのプロセスは、航法衛星と低軌道補強衛星の航法メッセージを取得し、航法メッセージが提供する軌道本数と時計誤差係数を利用して現在時刻の衛星位置と衛星時計誤差を補間するというものである。ここで、低軌道補強衛星は航法衛星と異なる特徴を有するため、低軌道補強衛星の航法メッセージは航法衛星の航法メッセージと相違点を有する。例えば、低軌道補強衛星の航法メッセージはパラメータの種類がより多いため、低軌道補強衛星の軌道と時計誤差の演算は、航法衛星の軌道と時計誤差の演算と相違点もあり、例えば、低軌道補強衛星の軌道の演算は、航法衛星の軌道の演算よりも考慮する必要がある摂動要素がより多い。放送暦により提供される航法衛星と低軌道補強衛星軌道及び衛星時計誤差の精度は一般的に高精度の測位要求を満たすことができないため、一実施例において、高精度のリアルタイム軌道及びリアルタイム時計誤差を取得するために、ネットワークを介して状態空間表現(State Space Representation、SSR)の補正情報をリアルタイムに取得することができる。
【0086】
ステップS130において、取得した航法メッセージに基づいて測位中に受けた誤差を補正する。
【0087】
誤差モデルが補正できる誤差について、ステップ130で補正し、誤差モデルが補正できない誤差について、ステップS140の測位速度測定パラメータ観測値演算及びステップS150の測位速度測定パラメータ推定によって補正する。低軌道補強衛星と航法衛星については幾つかの誤差が異なり、異なる衛星航法システムに応じて誤差を補正する必要がある。
【0088】
測位中、測位結果は多項誤差の影響を受けることが多く、各項の誤差を弱めるのは、高精度な測位結果を得る基礎である。これらの誤差は、相関によって、測定局に関する誤差、衛星に関する誤差、及び衛星信号伝播に関する誤差に分けてもよい。汎用の測位誤差を弱める方法はモデル補正とパラメータ推定が挙げられる。いくつかのその物理特性を知る誤差項について、補正式を利用してその影響を正確に解消することができ、例えば、相対論効果、地球自転効果等が挙げられる。いくつかのモデルでフィッティングできる誤差項について、フィッティングモデルで得られたモデル値を利用してその影響を解消することができ、例えば、地球潮汐補正、対流圏補正などが挙げられる。他のいくつかの物理特性が未知でモデルフィッティングが不良である誤差項について、パラメータ推定の方法を利用してその測位への影響を解消することができ、例えば、受信機時計誤差等が挙げられる。
【0089】
ステップS140において、1つの衛星航法システムを基準として正規化して得られた統一の線形観測方程式で、測位速度測定パラメータの観測値を計算する。そのプロセスは、取得した観測データと航法メッセージに基づいて、上記式(9)により受信機の位置を算出するとともに、受信機の時計誤差をさらに算出することができ、また、上記式(10)により受信機の速度を計算することもできるというものである。
【0090】
ステップS150において、算出した測位速度測定パラメータ観測値及び前の元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、状態方程式によって本元期の測位速度測定パラメータ推定を行い、現在元期の測位速度測定パラメータ推定値を得る。そのプロセスは、算出した測位速度測定パラメータ観測値及び前の元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、上記式(11)により本元期の測位速度測定パラメータ推定値を計算し、算出した測位速度測定パラメータ推定値を保存するというものである。
【0091】
ステップS160において、現在元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、現在元期の測位及び速度測定結果を生成して保存し、ステップS110に戻る。
【0092】
図2は本発明の一実施例に記載の測位システムを示す。そのうち、中高低軌道コンステレーションマルチ周波数情報源は、従来の全ての衛星航法システムのうちの少なくとも1種の衛星航法システム及び低軌道補強衛星航法システムのマルチ周波数情報源を含む。
【0093】
図2に示すように、本発明の一実施例に記載の測位システムは、衛星観測データ受信・処理装置11、衛星航法メッセージ受信・処理装置12、測位誤差補正装置13、測位速度測定パラメータ観測値計算装置14、測位速度測定パラメータ推定値計算装置15及び測位速度測定結果保存装置16を備える。
【0094】
ここで、衛星観測データ受信・処理装置11は、元期毎に、航法衛星及び低軌道補強衛星の観測データを取得してデータを前処理するように設置されている。
【0095】
衛星航法メッセージ受信・処理装置12は、元期毎に、航法衛星及び低軌道補強衛星の航法メッセージを取得し、取得された低軌道補強衛星の航法メッセージに基づいて航法衛星及び低軌道補強衛星の精密軌道及び時計誤差を同時に得るように設置されている。一実施例において、衛星航法メッセージ受信・処理装置12は、航法衛星航法メッセージ受信・処理ユニット及び低軌道補強衛星航法メッセージ受信・処理ユニットを含む。
【0096】
測位誤差補正装置13は、取得した航法メッセージに基づいて測位中に受けた誤差を補正するように設置されている。一実施例において、測位誤差補正装置13は、航法衛星誤差補正ユニット及び低軌道補強衛星誤差補正ユニットを含む。
【0097】
測位速度測定パラメータ観測値計算装置14は、1つの衛星航法システムを基準として正規化して得られた統一の線形観測方程式で、測位速度測定パラメータの観測値を計算するように設置されている。
【0098】
測位速度測定パラメータ推定値計算装置15は、算出された測位速度測定パラメータ観測値及び保存された前の元期の測位速度測定パラメータの推定値に基づいて、状態方程式によって本元期の測位速度測定パラメータの推定を行い、現在元期の測位速度測定パラメータの推定値を得るように設置されている。
【0099】
測位速度測定結果保存装置16は、測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、現在元期の測位及び速度測定結果を生成して保存するように設置されている。
【0100】
図3は本発明の一実施例が提供する高速精密測位方法の動作原理の概略図である。ここで、測位方法の実現は航法衛星コンステレーション、低軌道コンステレーション、地上演算制御システム及びユーザ受信機を含んでもよく、そのうち、航法衛星コンステレーションは、米国GPS 、中国BeiDou(北斗)、欧州連合ガリレオ、ロシアGLONASS衛星航法システムの少なくとも1種を含み、航法衛星信号を放送するように設置されている。低軌道コンステレーションは、複数の軌道面に分布する複数の低軌道衛星を含み、前記複数の低軌道衛星は特定のバンドで高精度の時間周波数基準に基づく航法直接信号を放送し、グローバル又は特定のサービスエリアに安定的に被覆し、航法直接信号及び航法補強情報を放送するように設置されている。地上演算制御システムは、業務計算処理を行い、衛星とコンステレーションを制御管理する。ユーザ受信機は、航法衛星及び低軌道衛星で放送された航法直接信号、及び低軌道衛星で放送された航法補強情報を受信し、航法衛星及び低軌道衛星の航法直接信号、及び前記航法補強情報に基づいて、精密測位、速度測定及びタイムスタンプを行う。
【0101】
(付記)
(付記1)
現在元期において、航法衛星及び低軌道補強衛星の観測データを取得して前処理を行うステップ1と、
前記航法衛星及び前記低軌道補強衛星の航法メッセージをそれぞれ取得し、取得された前記低軌道補強衛星の航法メッセージに基づいて、前記航法衛星の精密軌道及び時計誤差と、前記低軌道補強衛星の精密軌道及び時計誤差と、を得るステップ2と、
取得した前記航法メッセージに基づいて測位中に受けた誤差を補正するステップ3と、
1つの衛星航法システムを基準として正規化して得られた統一の線形観測方程式で、測位速度測定パラメータの観測値を計算するステップ4と、
算出した前記測位速度測定パラメータ観測値及び前の元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、状態方程式によって前記現在元期の測位速度測定パラメータ推定値を得るステップ5と、
前記現在元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、前記現在元期の測位及び速度測定結果を生成して保存し、ステップ1に戻るステップ6と、を含む、高速精密測位方法。
【0102】
(付記2)
前記統一の線形観測方程式は、測位観測方程式を含み、グローバル・ポジショニング・システムGPSに対応する受信機時計誤差を基準とすると、前記GPS以外の衛星航法システムの測位観測方程式は、以下の通りである、付記1に記載の測位方法。
【数51】
式において、
【数52】
はそれぞれ電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値であり、
【数53】
はそれぞれ受信機側電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数54】
はそれぞれ衛星側電離層を除く疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数55】
は電離層を除く組合せ観測値波長であり、
【数56】
は対応する全周不確定性パラメータであり、
式中、
【数57】
は前記GPSと前記GPS以外のいずれか1つの衛星航法システムが受信機端での擬似距離ハードウェア遅延の差、すなわち符号偏差であり、
【数58】
は衛星の初期座標から算出した局から衛星までの距離であり、l、m、nは線形化係数であり、それぞれ
【数59】
であるが、x
S、y
Sとz
Sは衛星座標であり、x
a、y
aとz
aは測定局の初期座標であり、Δx
a、Δy
aとΔz
aはそれぞれそれらの補正値である。
【0103】
(付記3)
前記統一の線形観測方程式は速度測定観測方程式を含み、前記速度測定観測方程式は以下の通りである、付記2に記載の測位方法。
【数60】
【0104】
(付記4)
前記航法衛星は、米国グローバル・ポジショニング・システムGPS、中国BeiDou、欧州連合ガリレオ、及びロシアグロナスGLONASS衛星航法システムのうちの少なくとも一種を含む、付記2に記載の測位方法。
【0105】
(付記5)
元期毎に、航法衛星及び低軌道補強衛星の観測データを取得して前記観測データを前処理するように設置されている衛星観測データ受信・処理装置と、
元期毎に、前記航法衛星及び前記低軌道補強衛星の航法メッセージをそれぞれ取得し、取得された前記低軌道補強衛星の航法メッセージに基づいて航法衛星の精密軌道及び時計誤差と、前記低軌道補強衛星の精密軌道及び時計誤差と、を得るように設置されている衛星航法メッセージ受信・処理装置と、
取得した前記航法メッセージに基づいて測位中に受けた誤差を補正するように設置されている測位誤差補正装置と、
1つの衛星航法システムを基準として正規化して得られた統一の線形観測方程式で、測位速度測定パラメータの観測値を計算するように設置されている測位速度測定パラメータ観測値計算装置と、
算出した前記測位速度測定パラメータ観測値及び保存された前の元期の測位速度測定パラメータの推定値に基づいて、状態方程式によって現在元期の測位速度測定パラメータの推定値を計算するように設置されている測位速度測定パラメータ推定値計算装置と、
前記現在元期の測位速度測定パラメータ推定値に基づいて、前記現在元期の測位及び速度測定結果を生成して保存するように設置されている測位速度測定結果保存装置と、を備える、高速精密測位システム。
【0106】
(付記6)
前記衛星航法メッセージ受信・処理装置は、航法衛星航法メッセージ受信・処理ユニット及び低軌道補強衛星航法メッセージ受信・処理ユニットを含む付記5に記載の測位システム。
【0107】
(付記7)
前記測位誤差補正装置は、航法衛星誤差補正ユニット及び低軌道補強衛星誤差補正ユニットを含む、付記5に記載の測位システム。
【0108】
(付記8)
前記統一の線形観測方程式は、測位観測方程式を含み、グローバル・ポジショニング・システムGPSに対応する受信機時計誤差を基準とすると、前記GPS以外の衛星航法システムの測位観測方程式は、以下の通りである付記5に記載の測位システム。
【数61】
式において、
【数62】
はそれぞれ電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値であり、
【数63】
はそれぞれ受信機側電離層を除く組合せ疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数64】
はそれぞれ衛星側電離層を除く疑似距離と位相観測値のハードウェア遅延であり、
【数65】
は電離層を除く組合せ観測値波長であり、
【数66】
は対応する全周不確定性パラメータであり、
式において、
【数67】
は前記GPSと前記GPS以外のいずれか1つの衛星航法システムが受信機端での擬似距離ハードウェア遅延の差、すなわち符号偏差であり、
【数68】
は衛星の初期座標から算出した局から衛星までの距離であり、l、m、nは線形化係数であり、それぞれ
【数69】
であるが、x
S、y
Sとz
Sは衛星座標であり、x
a、y
aとz
aは測定局の初期座標であり、Δx
a、Δy
aとΔz
aはそれぞれそれらの補正値である。
【0109】
(付記9)
前記統一の線形観測方程式は速度測定観測方程式を含み、前記速度測定観測方程式は以下の通りである、付記8に記載の測位システム。
【数70】
【0110】
(付記10)
記憶したプログラムを含むコンピューター可読記憶媒体であって、
前記プログラムの実行時に、付記1~4のいずれか一つに記載の方法が実行される、コンピューター可読記憶媒体。
【0111】
(付記11)
プログラムを実行するように設けられ、前記プログラムの実行時に付記1~4のいずれか一つに記載の方法が実行される、プロセッサ。