(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】誘発性形状記憶誘導デバイス
(51)【国際特許分類】
A61K 9/00 20060101AFI20220812BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220812BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220812BHJP
A61M 37/00 20060101ALN20220812BHJP
【FI】
A61K9/00
A61K47/34
A61K47/02
A61M37/00 550
(21)【出願番号】P 2021081654
(22)【出願日】2021-05-13
(62)【分割の表示】P 2017556845の分割
【原出願日】2016-04-29
【審査請求日】2021-05-13
(32)【優先日】2015-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】シーイー ザン
(72)【発明者】
【氏名】イーダー ザオ
(72)【発明者】
【氏名】カルロ ジョバンニ トラバーソ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エス. ランガー
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-518392(JP,A)
【文献】特表2005-537342(JP,A)
【文献】特表2011-506726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00
A61K 47/34
A61K 47/02
A61M 37/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激を受け取ると、対象の体内位置から除去されるように構成されるデバイスであって、
ここで、前記デバイスは、第1のポリマー材料および第2のポリマー材料を含むポリマーネットワーク、
複数の非ポリマー部分であって、常磁性粒子を含みそして前記ポリマーネットワークと会合し、それが、外部刺激に曝露した際に、前記第1のポリマー材料の少なくとも約45℃への加熱を容易にする、非ポリマー部分
を含み、
ここで、前記第1のポリマー材料は、約45℃以上の軟化温度を有し、
前記第1のポリマー材料の軟化温度より上で前記デバイスが第2の立体構造を得、前記第2の立体構造が、前記デバイスが前記対象の前記体内位置から除去されるように十分小さく、
前記デバイスは、前記第1のポリマー材料の前記軟化温度未満では、前記第2の立体構造と異なる第1の立体構造を有し、
前記第2の立体構造は、前記第1の立体構造の最大断面寸法より少なくとも10%小さい最大断面寸法を有し、および/または
前記第2の立体構造は、前記第1の立体構造の凸包体積より少なくとも10%小さい凸包体積を有する、
デバイス。
【請求項2】
前記デバイスが、前記デバイスを投与するステップの前および/または前記デバイスを投与するステップの間に、カプセル内に含有される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記刺激が、外部シグナルを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記刺激が、熱を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記刺激が、誘導を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスが、45℃から65℃の間の範囲(両端を含む)の温度まで加熱される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ポリマーネットワークが、45℃から65℃の間の範囲(両端を含む)の軟化温度を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ポリマーネットワークが、ポリカプロラクトンおよび/またはポリ乳酸を含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記対象の前記体内位置が、胃腸管内である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1のポリマー材料が、架橋されていないポリマーである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第2のポリマー材料が、共有結合により架橋されたポリマーである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記複数の非ポリマー部分が、常磁性粒子を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記軟化温度が、前記第1のポリマー材料のガラス転移温度である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記軟化温度が、前記第1のポリマー材料の溶融温度である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2のポリマー材料が、前記第1のポリマー材料の前記軟化温度より高い軟化温度を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の立体構造における前記デバイスの少なくとも一部が、前記第2の立体構造における前記デバイスの前記一部と、形状および/または配向において異なる、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年5月1日に出願された同時係属中の米国仮出願番号第62/15
6,000号に基づく米国特許法第119条(e)項の下の優先権を主張しており、この
仮出願は、その全体がすべての目的のために参考として本明細書中に援用される。
【0002】
発明の分野
この発明は、一般に、誘発性(triggerable)形状記憶組成物およびデバイ
ス、ならびに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
薬効は、患者の薬品に対する遵守に依存する。服薬遵守が低いことに伴う健康上のリス
クにもかかわらず、患者のほぼ半数は、処方されたレジメンを遵守しない。徐放を可能に
する送達デバイスにより、薬物を長期間にわたって放出する単回用量の投与を可能にする
ことによって、この問題への有効な解決策が提供される。しかし、依然として残っている
重要な課題は、薬物の投与がもはや必要とされない場合に、要求に応じて体から、および
下部胃腸管を通る安全な経路から排出することである。したがって、新たな材料および方
法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要旨
本発明は、一般に、誘発性形状記憶組成物およびデバイス、ならびに関連する方法に関
する。
【0005】
一態様では、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、デバイスが第2の立体
構造を得るようにデバイスを刺激するステップであって、第2の立体構造が、デバイスが
対象の体内位置から除去されるように十分小さいステップを含み、デバイスは、刺激する
ステップの前には、第2の立体構造と異なる第1の立体構造を有し、第2の立体構造は、
第1の立体構造の最大断面寸法より少なくとも約10%小さい最大断面寸法を有し、およ
び/または第2の立体構造は、第1の立体構造の凸包より少なくとも約10%小さい凸包
を有する。
【0006】
一部の実施形態では、方法は、第1の立体構造を有するデバイスを投与するステップで
あって、デバイスが、対象の体内位置で第2の立体構造を得て、その結果デバイスがその
位置内に保持されるステップと、一定期間後、デバイスが第1の立体構造を得るようにデ
バイスを刺激するステップであって、第1の立体構造は、デバイスがその位置から除去さ
れるようなものであるステップとを含む。
【0007】
別の態様では、組成物が提供される。一部の実施形態では、組成物は、第1のポリマー
材料および第2のポリマー材料を含むポリマーネットワークと、外的刺激に曝露した際に
、第1のポリマー材料の加熱を少なくとも約45℃まで促進する、ポリマーネットワーク
と会合する複数の非ポリマー部分とを含み、第1のポリマー材料は、約45℃超もしくは
それに等しい軟化温度を有し、ポリマーネットワークは、第1のポリマー材料の軟化温度
未満では第1の立体構造を、そして第1のポリマー材料の軟化温度を超えると第1の立体
構造と異なる第2の立体構造を有するよう構築されて配置され、第2の立体構造は、第1
の立体構造の最大断面寸法より少なくとも約10%小さい最大断面寸法を有し、および/
または第2の立体構造は、第1の立体構造の凸包より少なくとも約10%小さい凸包を有
する。
【0008】
一部の実施形態では、組成物は、第1のポリマー材料および第2のポリマー材料を含む
ポリマーネットワークと、ポリマーネットワークと会合する複数の常磁性粒子とを含み、
第1のポリマー材料は、約45℃超もしくはそれに等しい軟化温度を有する架橋されてい
ないポリマーであり、第2のポリマー材料は、架橋されたポリマーであり、ポリマーネッ
トワークは、第1のポリマー材料の軟化温度未満では第1の立体構造を、そして第1のポ
リマー材料の軟化温度を超えると第1の立体構造と異なる第2の立体構造を有するよう構
築されて配置され、第2の立体構造は、第1の立体構造の最大断面寸法より少なくとも約
10%小さい最大断面寸法を有し、および/または第2の立体構造は、第1の立体構造の
凸包より少なくとも約10%小さい凸包を有する。
【0009】
さらに別の態様では、デバイスが提供される。一部の実施形態では、デバイスは、対象
の体内位置に置かれると、通常の生理学的条件下でその位置に保持される膨張プロファイ
ルを含み、デバイスは、対象の外部から加えられる刺激に対して感受性であり、それによ
ってデバイスは収縮プロファイルをとり、対象の体内位置から排除される。
【0010】
本発明の他の利点および新規特徴は、添付の図面と併せて考えた場合に、本発明の種々
の非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなる。本明細書および参照により組
み込まれる文書が矛盾するおよび/または一致しない開示を含む場合、本明細書が優先さ
れる。
【0011】
本発明の非限定的実施形態は、概略であり、スケール通りに描かれることを意図しない
添付の図面を参照して、例として記載される。図面では、例示されるそれぞれ同一のまた
はほぼ同一の構成要素は、通常、単一の参照番号で表される。明確性を目的として、すべ
ての構成要素がすべての図面において標識されているわけではなく、本発明の各実施形態
のすべての構成要素が、当業者に本発明を理解させるために必要な例示を示しているわけ
ではない。以下の図では:
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aは、一組の実施形態による、形状記憶特性の概略図である。
【
図1B】
図1Bは、一組の実施形態による、ポリマーネットワークの凸包の概略図である。
【
図2】
図2は、一組の実施形態による、ポリマーネットワークに対する例示的反応スキームである。
【
図3】
図3は、一組の実施形態による、(i)D3T1L10k.5、(ii)D3T1L45k.33、(iii)D3T1L45k.5についての、温度に対するヤング率および損失正接(tan delta)を示す動的機械分析のプロットである。
【
図4A】
図4Aは、一組の実施形態による、架橋されていないPCLの質量比および数平均分子量に対する室温における弾性率のプロットである。
【
図4B】
図4Bは、一組の実施形態による、
図4Aにおける架橋されていないPCLの質量比および数平均分子量に対する室温における弾性率のプロットのワイヤーフレームプロットである。
【
図4C】
図4Cは、一組の実施形態による、種々のポリマーネットワークについての、架橋されていないPCLの質量比に対する軟化温度のプロットである。
【
図5A】
図5Aは、一組の実施形態による、形状記憶プロセスの概略図である。
【
図5B】
図5Bは、一組の実施形態による、示された時間および温度における形状回復プロセスを受けているポリマーネットワークのフォトグラムである。
【
図6-1】
図6Aは、36.5℃で10日間、10mlのSGF中で個別にインキュベートされた20mm
3のD3T1L10k.5およびD3T1L45k.4の試料の顕微鏡画像である。次いで、SGFは、NaOH溶液によって中和された。一組の実施形態によれば、細胞毒性を試験するために、中和されたSGFにおいてHeLaおよびCaco-2細胞株がインキュベートされる。
【
図6-2】
図6B~Eは、一組の実施形態による、almarBlue(登録商標)染色を使用する細胞生存率のプロットである。
【
図7】
図7は、一組の実施形態による、40秒の誘導加熱後の正規化された温度変化のプロットである。
【
図8】
図8は、2MHz、5kAm-1の交流磁場の下、40秒での形状回復を伴うD3T1L45k.4から作製されたポリマーネットワークを示す。一組の実施形態によれば、赤外線パイロメータによって得られたIR画像は、十分な熱が磁性粒子から放出されたことを示す。
【
図9A】
図9Aは、一組の実施形態による、サイズ4のゼラチンカプセルに充填することができる胃内保持デバイスを示す。
【
図9B】
図9Bは、一組の実施形態による、
図9Aにおけるデバイスの形状記憶について、溶出および刺激を示す。
【
図10A】
図10Aは、一組の実施形態による、例示的な形状記憶デバイスのポジティブモールドの概略図を示す。
【
図10B】
図10Bは、一組の実施形態による、例示的な形状記憶デバイスのポジティブモールドの写真である。
【
図10C】
図10Cは、一組の実施形態による、例示的な形状記憶デバイスのポジティブモールドの模式図である。
【
図10D】
図10Dは、一組の実施形態による、
図10Bにおけるポジティブモールドを使用して製造された例示的な形状記憶デバイスのネガティブモールドである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明に従って、組成物、デバイス、および関連する方法は、医療関連および他の用途
に対して開発されている。一部の実施形態では、本明細書に記載されているデバイスおよ
び組成物は、誘発性形状記憶ポリマーネットワークを含む。特定の実施形態では、ポリマ
ーネットワークは、共有結合により架橋されたポリマー材料および架橋されたポリマー材
料と会合した架橋されていないポリマー材料を含む。一部の場合では、ポリマーネットワ
ークは、第1の立体構造(例えば、重合された)、および第2の立体構造(例えば、加熱
および変形した際)を有し、その結果、ポリマーネットワークは、ポリマー材料をポリマ
ー材料の軟化温度を超えて加熱した際に第1の立体構造を回復するように誘発され得る。
特定の実施形態では、ポリマーネットワークは、外的刺激、例えば誘導、高周波、または
磁気共鳴の存在下で、ポリマーネットワークの温度を上昇させることができる(例えば、
軟化温度を超えて)複数の粒子を含み、その結果、ポリマーネットワークの立体構造が変
化する。ポリマー材料は、任意の適切な形状に成型することができる。
【0014】
本明細書に記載されている組成物およびデバイスは、例えば保持デバイスなどの生物医
学的用途において有用である場合がある。一部の実施形態では、胃内保持デバイスなどの
保持デバイスを配備する、および/または除去するための方法が提供される。保持デバイ
スは、例えば、ポリマーネットワークが立体構造を変えるようにポリマーネットワークを
遠隔から刺激することによって、対象の体内から除去されてもよい。用語「対象」は、本
明細書で使用する場合、個々の生物、例えばヒトまたは動物を指す。一部の実施形態では
、対象は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、または非ヒト哺乳動物)、脊椎動物
、実験動物、飼育動物、農業用動物、または伴侶動物である。一部の実施形態では、対象
はヒトである。一部の実施形態では、対象は、げっ歯類、マウス、ラット、ハムスター、
ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、またはブタである。
【0015】
本明細書に記載されている組成物、デバイス、および方法は、従来の材料(例えば、形
状記憶材料)および従来の保持デバイスに対して、デバイスの立体構造の変化を遠隔から
誘発する能力および/または対象の体内へのデバイスの排出を誘導する能力を含むいくつ
かの利点をもたらす。本明細書に記載されている組成物およびデバイスは、一般に生態適
合性であり、対象の組織が損傷する(火傷する)温度より十分に低い温度で局所的誘導加
熱を受ける。本明細書に記載されている組成物およびデバイスは、薬物などの生理活性化
合物で装填されてもよく、および/または経口送達のためのカプセルに封じ込められても
よい。
【0016】
一部の実施形態では、誘発性形状記憶組成物は、ポリマーネットワークを含む。特定の
実施形態では、ポリマーネットワークは、2種またはそれ超のポリマー材料を含む。一部
の場合では、2種またはそれ超のポリマー材料の少なくとも1種は架橋されていないポリ
マー材料を含み、2種またはそれ超のポリマー材料の少なくとも1種は共有結合により架
橋されたポリマー材料を含む。本明細書に記載されている架橋されていないポリマー材料
は、一般に、任意選択で置換され、任意選択で分岐したポリマー主鎖を含むが、他のポリ
マー材料との共有結合による架橋は含まない。一部の実施形態では、架橋されていないポ
リマー材料は、架橋されていないポリマー材料の軟化温度未満で、1つまたは複数の結晶
性ドメインを含む。
【0017】
一部の実施形態では、ポリマーネットワークは、第1の二官能性ポリマー材料と、三官
能性ポリマー材料と、第1の二官能性ポリマー材料とは異なる第2の二官能性ポリマー材
料または二官能性オリゴマー材料との反応によって形成される場合がある。適切な官能基
の非限定例として、アミン、カルボン酸、アルコールおよびチオールが挙げられる。
【0018】
一部の実施形態では、ポリマーネットワークは、式(I):
【化1】
(式中、各Rは、同一であるかまたは異なっており、H、O、アルキル基であるが、但し
少なくとも1つのRは酸素であり、mは、1~10であり、nは、1~5000である)
におけるようなポリマー繰り返し構造を含む。
【0019】
一部の実施形態では、mは、1~3、2~4、3~6、4~8、または5~10である
。例示的な実施形態では、mは、6である。
【0020】
特定の実施形態では、nは、1~100、1~1000、50~500、250~75
0、500~1000、500~2000、1000~4000、または2500~50
00である。
【0021】
例示的な実施形態では、ポリマーネットワークは、式(II):
【化2】
(式中、nは、1~1000である)におけるようなポリマー繰り返し構造を含む。一部
のこのような実施形態では、ポリマーネットワークは、ポリカプロラクトン(PCL)を
含む。
【0022】
別の例示的な実施形態では、ポリマーネットワークは、式(III):
【化3】
(式中、nは、1~1000である)におけるようなポリマー繰り返し構造を含む。一部
のこのような実施形態では、ポリマーネットワークは、ポリ乳酸(PLA)を含む。
【0023】
特定の実施形態では、ポリマーネットワークは、第1のポリマー材料(例えば、架橋さ
れていないポリマー材料)および第2のポリマー材料(例えば、共有結合により架橋され
たポリマー材料)を含む。
【0024】
特定の実施形態では、第1のポリマー材料は、式(I)におけるような構造を含むジオ
ールポリマーとジイソシアネートとの反応によって形成される。一部の実施形態では、ジ
イソシアネートは、式(IV):
【化4】
(式中、xは、1~10である)におけるような構造を有する。一部の実施形態では、x
は、1~3、2~4、3~6、4~8、または5~10である。例えば、一部の実施形態
では、第1のポリマー材料は、ポリカプロラクトンジオールおよび/またはポリ乳酸ジオ
ールとジイソシアネートとの反応によって形成される。
【0025】
一部の実施形態では、第2のポリマー材料は、式(I)におけるような構造を含むジオ
ールポリマーと、式(I)におけるような構造を含むトリオールポリマーと、ジイソシア
ネート(例えば、式(IV)におけるような)との反応によって形成される。例えば、一
部の実施形態では、第2のポリマー材料は、ポリカプロラクトントリオールおよび/また
はポリ乳酸トリオールとジイソシアネートとの反応によって形成される。
図1Aは、本明
細書に記載されている、第1のポリマー材料(例えば、架橋されていないポリマー材料)
および第2のポリマー材料(例えば、共有結合により架橋されたポリマー材料)が形成さ
れるようなジオールポリマーと、トリオールポリマーと、ジイソシアネートとの反応の非
限定例のスキームを示す。本明細書の記載は、主に、式(I)におけるような構造を含む
トリオールポリマーに焦点を当てているが、当業者は、この明細書の教示に基づき、ジオ
ールポリマーおよびジイソシアネートを用いて反応させるために、より高次の官能性ポリ
マー(functionality polymer)(例えば、テトラ、ペンタ、ヘキサ)を選択することが
できる。
【0026】
特定の実施形態では、第1のポリマー材料と第2のポリマー材料を含むポリマーネット
ワークは、式(I)におけるような構造を含むジオール、式(I)におけるような構造を
含むトリオール、およびジイソシアネートの混合物の反応によって形成される。ジオール
ポリマーおよびトリオールポリマーは、例えば、約1:5から約5:1の間を含む任意の
適切な比で混合物中に存在してもよい。一部の実施形態では、混合物中に存在するトリオ
ールポリマーに対するジオールポリマーの比は、少なくとも約1:5、少なくとも約1:
4、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、または少なくとも約1:1、少なくとも
約2:1、少なくとも約3:1、または少なくとも約4:1である。特定の実施形態では
、混合物中に存在するトリオールポリマーに対するジオールポリマーの比は、約5:1未
満もしくはそれに等しい、約4:1未満もしくはそれに等しい、約3:1未満もしくはそ
れに等しい、約2:1未満もしくはそれに等しい、約1:1未満もしくはそれに等しい、
約1:2未満もしくはそれに等しい、約1:3未満もしくはそれに等しい、または約1:
4未満もしくはそれに等しい。上記範囲の組合せも可能である(例えば、1:5から5:
1の間、1:1から4:1の間、2:1から4:1の間)。例示的な実施形態では、トリ
オールポリマーに対するジオールポリマーの比は、約3:1である。
【0027】
一部の場合では、ジイソシアネートは、任意の適切な量で混合物中に存在してもよい。
例えば、一部の実施形態では、ジイソシアネートは、ヒドロキシル基(-OH)に対する
イソシアネート基(-NCO)の比が、約1:1から約1.1:1の間であるように、混
合物中に存在する。一部の実施形態では、混合物中に存在するヒドロキシル基に対するイ
ソシアネート基の比は、少なくとも約1:1または少なくとも約1.05:1である。特
定の実施形態では、混合物中に存在するヒドロキシル基に対するイソシアネート基の比は
、約1.1:1未満もしくはそれに等しい、または約1.05:1未満もしくはそれに等
しい。上記範囲の組合せも可能である(例えば、1:1から1.1:1の間)。
【0028】
式(I)におけるような構造を含むジオールと、式(I)におけるような構造を含むト
リオールと、ジイソシアネートとの混合物は、任意の適切な温度で反応することができる
。例えば、一部の実施形態では、この混合物は、約50℃から約90℃の間の範囲の反応
温度で反応する。一部の実施形態では、反応温度は、少なくとも約50℃、少なくとも約
60℃、少なくとも約70℃、または少なくとも約80℃である。特定の実施形態では、
反応温度は、約90℃未満もしくはそれに等しい、約80℃未満もしくはそれに等しい、
約70℃未満もしくはそれに等しい、または約60℃未満もしくはそれに等しい。上記範
囲の組合せも可能である(例えば、50℃から90℃の間、60℃から80℃の間)。
【0029】
一部の実施形態では、混合物は、上記のように、モールドに注がれ、任意の適切な反応
温度で硬化される。一部の場合では、混合物は、少なくとも約4時間、少なくとも約12
時間、または少なくとも約24時間モールド中で硬化される場合がある。
【0030】
上記の記載は、主に、ジオールとジイソシアネートとの反応に関するが、当業者は、こ
の明細書の教示に基づき、他の官能基を含む他の適切なポリマー材料を選択することがで
きる。一部の実施形態では、架橋されていないポリマー材料は、共有結合により架橋され
たポリマー材料と会合している。理論に束縛されることを望むものではないが、2つのポ
リマー材料は、水素結合および/または絡み合いによって会合している場合がある。
【0031】
本明細書に記載されているポリマー材料は、特定の軟化温度を有してもよい。一部の実
施形態では、軟化温度は、ポリマー材料のガラス転移温度(glass transitional tempe
rature)である。特定の実施形態では、軟化温度は、ポリマー材料の溶融温度である。一
部の場合では、第1のポリマー材料は、第1の軟化温度を有し、第2のポリマー材料は、
第1の軟化温度と異なる第2の軟化温度を有する。一部の場合では、第1の軟化温度は、
第2の軟化温度より高い。特定の実施形態では、第1の軟化温度は、第2の軟化温度より
低い。
【0032】
一部の実施形態では、ポリマー材料(例えば、第1のポリマー材料、第2のポリマー材
料)の軟化温度は、約37℃から約65℃の間である。特定の実施形態では、ポリマー材
料の軟化温度は、少なくとも約37℃、少なくとも約45℃、少なくとも約50℃、少な
くとも約55℃、または少なくとも約60℃である。一部の実施形態では、軟化温度は、
約65℃未満もしくはそれに等しい、約60℃未満もしくはそれに等しい、約55℃未満
もしくはそれに等しい、約50℃未満もしくはそれに等しい、または約45℃未満もしく
はそれに等しい。上記範囲の組合せも可能である(例えば、45℃から65℃の間)。
【0033】
例示的な実施形態では、第1のポリマー材料は、45℃から65℃の間の溶融温度を有
し、第2のポリマー材料は、65℃超の溶融温度を有する。
【0034】
一部の実施形態では、ポリマーネットワークは、第1のポリマー材料の軟化温度を超え
る温度まで加熱され、その結果、ポリマーネットワークの立体構造が変化する。ポリマー
ネットワークは、任意の適切な立体構造を有してもよい。一部の実施形態では、ポリマー
ネットワークは、ポリマーネットワークの断面積によって規定される特定の形状を有する
。適切な断面形状の非限定例として、四角、丸、楕円、多角形、管状、円形、星形などが
挙げられる。当業者は、用途に応じて、およびこの明細書の教示に基づき、適切な形状を
選択することができる。
【0035】
一部の実施形態では、ポリマーネットワークは、第1のポリマー材料を含み、第2のポ
リマー材料は、第1のポリマー材料および/または第2のポリマー材料の軟化温度未満で
第1の立体構造、ならびに上記軟化温度を超えると第1の立体構造と異なる第2の立体構
造を有する。
【0036】
特定の実施形態では、ポリマーネットワークの立体構造は、最大断面寸法によって特徴
付けられる場合がある。一部の実施形態では、第1の立体構造の最大断面寸法は、第2の
立体構造の最大断面寸法より、少なくとも約10%小さく、少なくとも約20%小さく、
少なくとも約40%小さく、少なくとも約60%小さく、または少なくとも約80%小さ
い。特定の実施形態では、第2の立体構造の最大断面寸法は、第1の立体構造の最大断面
寸法より、少なくとも約10%小さく、少なくとも約20%小さく、少なくとも約40%
小さく、少なくとも約60%小さく、または少なくとも約80%小さい。
【0037】
一部の実施形態では、ポリマーネットワークの立体構造は、ポリマーネットワークの凸
包体積によって特徴付けられる場合がある。凸包体積という用語は、当技術分野で公知で
あり、一般に、面によって特定の体積が規定されるような3D物体の外周によって規定さ
れる一組の面を指す。例えば、
図1Bに例示するように、3Dの星状物体150は、凸包
160によって規定される凸包体積を有する。一部の実施形態では、第1の立体構造の凸
包体積は、第2の立体構造の凸包体積より、少なくとも約10%小さく、少なくとも約2
0%小さく、少なくとも約40%小さく、少なくとも約60%小さく、または少なくとも
約80%小さい。特定の実施形態では、第2の立体構造の凸包体積は、第1の立体構造の
凸包体積より、少なくとも約10%小さく、少なくとも約20%小さく、少なくとも約4
0%小さく、少なくとも約60%小さく、または少なくとも約80%小さい。他の範囲も
可能である。
【0038】
当業者は、第1の立体構造と第2の立体構造の間の差は、2つの立体構造の間にはある
程度の膨張または収縮が起こるかもしれないが、(例えば、溶媒の存在下での)構造の膨
張または収縮について言及するものではなく、(例えば、熱および/または機械的圧力/
圧縮などの刺激の存在下での)構造の少なくとも一部の形状および/または配向の変化に
ついて言及するものであることを理解する。
【0039】
一部の実施形態では、第1の立体構造は、ポリマーネットワークを含むデバイスが、対
象の体内位置に保持されるように構築および配置され、第2の立体構造は、デバイスが対
象の体内位置から排除されるように構築および配置される。一部の場合では、第1の立体
構造は、デバイスが対象の体内位置に保持されるように十分大きく、第2の立体構造は、
デバイスが対象の体内位置から排除できるように十分小さい。
【0040】
例示的な実施形態では、ポリマーネットワークを含むデバイスは、第1の位置で対象の
体内に位置付けられ、第1の立体構造を有し、刺激を加えられると、デバイスは第2の立
体構造を得て、第1の位置と異なる対象の体内の第2の位置に移動する。
【0041】
特定の実施形態では、ポリマーネットワークは重合され、第1の立体構造でキャストさ
れ、ポリマーネットワークが第2の立体構造を得るように、熱の存在下で(例えば、第1
のポリマー材料の軟化温度を超えて)機械的に変形され、冷却される(例えば、室温まで
)。例えば、架橋されていないポリマー材料と架橋されたポリマー材料とを含むポリマー
ネットワークは、架橋されていないポリマー材料の軟化温度未満の第1の温度において第
1の立体構造でキャストされてもよい。次いで、ポリマーネットワークは、架橋されてい
ないポリマー材料の軟化温度を超える温度まで加熱され(例えば、結晶性ドメインが非晶
質になるように)、機械的に変形されて第2の立体構造を得る場合がある。ポリマーネッ
トワークは、例えば、ポリマーネットワークを曲げること、ねじること、折りたたむこと
、成型すること(例えば、材料を新たな形状を有するモールドにプレスすること)、拡大
すること(例えば、材料に張力をかけること)、圧縮すること、および/または縮めるこ
とを含む任意の適用な方法を使用して機械的に変形させることができる。ポリマーネット
ワークは、第2の立体構造が維持されるように、ポリマーネットワークを機械的に変形さ
せた後に冷却してもよい。本明細書に記載されているように、ポリマーネットワークは、
ポリマーネットワークが第1の立体構造を得るように刺激されてもよい(例えば、第1の
ポリマー材料の軟化温度を超える温度まで加熱されてもよい)。上述のこのような形状記
憶プロセスは、
図2において模式的に例示されている。
【0042】
ポリマーネットワークは、刺激を受ける前の任意の適切な期間、第2の立体構造を維持
することができる。有利には、本明細書に記載されているポリマーネットワークは、第1
または第2の立体構造で比較的長い貯蔵寿命を有することができる。一部の実施形態では
、第2の立体構造は、少なくとも約1日、少なくとも約3日、少なくとも約7日、少なく
とも約2週間、少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、または少なくとも約6か月間
、周囲条件(例えば、室温、大気圧および相対湿度)および/または生理学的条件(例え
ば、生理液中、37℃または約37℃)下で安定でありうる。
【0043】
一部の実施形態では、第2の立体構造のポリマーネットワークは、ポリマーネットワー
クが第1の立体構造に戻るように誘発されてもよい(すなわち、刺激されてもよい)。刺
激すること
【0044】
一部の実施形態では、ポリマーネットワークを刺激することは、ポリマーネットワーク
を加熱すること(例えば、第1のポリマー材料の軟化温度を超える温度まで)を含む。ポ
リマーネットワークは、例えば、熱風を当てること、ポリマーネットワークを基質上に置
き、基質を加熱すること、加熱した液体にポリマーネットワークの少なくとも一部を沈め
ることなどを含む任意の適切な方法を使用して加熱することができる。ポリマーネットワ
ークが対象の体内に位置付けられている実施形態では、対象は、加熱された液体を飲むこ
とでポリマーネットワークを加熱することができる。一部の実施形態では、ポリマーネッ
トワークは、ポリマーネットワークが第1のポリマー材料の軟化温度を超える温度まで加
熱されるように、外的刺激によって刺激されてもよい。
【0045】
一部の実施形態では、本明細書に記載されているポリマーネットワークは、複数の非ポ
リマー部分を含む。一部の実施形態では、非ポリマー部分は、非ポリマー粒子を含む。複
数の非ポリマー材料は、一部の場合では、複数の非ポリマー材料が、第1のおよび/また
は第2のポリマー材料の軟化温度より高い温度まで、ポリマーネットワークの加熱を促進
するように、刺激に曝露することができる。有利には、非ポリマー材料の外的刺激への曝
露によって、65℃を超える温度まで、非ポリマー材料は加熱されず、ポリマーネットワ
ークは加熱されない(例えば、ポリマーネットワークが体内に位置付けられた対象の火傷
を防ぐため)。一部の実施形態では、複数の非ポリマー材料は、第1のポリマー材料が、
その軟化温度(例えば、少なくとも約45℃)を超える温度まで加熱されるように刺激さ
れてもよい。一部の実施形態では、複数の非ポリマー材料は、ポリマーネットワークの温
度が第2のポリマー材料の軟化温度より低いように刺激されてもよい。
【0046】
複数の非ポリマー粒子は、任意の適切な材料を含んでもよい。適切な材料の非限定例と
して、例えば、低炭素鉄粒子、純鉄、Fe3O4、Fe2O3などの常磁性粒子が挙げら
れる。当業者は、この明細書の教示に基づき、刺激に曝露した際にポリマーネットワーク
を加熱するために、追加の適切な非ポリマー粒子を選択することができる。
【0047】
一部の実施形態では、非ポリマー粒子は、粒子サイズを有する。一部の実施形態では、
非ポリマー粒子は、1ミクロンから2mmの間の平均径を有する。特定の実施形態では、
非ポリマー粒子は、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約1
0ミクロン、少なくとも約50ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約5
00ミクロン、少なくとも約750ミクロン、少なくとも約1mm、または少なくとも約
1.5mmの平均径を有する。一部の実施形態では、非ポリマー粒子は、約2mm未満も
しくはそれに等しい、約1.5mm未満もしくはそれに等しい、約1mm未満もしくはそ
れに等しい、約750ミクロン未満もしくはそれに等しい、約500ミクロン未満もしく
はそれに等しい、約100ミクロン未満もしくはそれに等しい、約50ミクロン未満もし
くはそれに等しい、約10ミクロン未満もしくはそれに等しい、または約5ミクロン未満
もしくはそれに等しい平均径を有する。上記範囲の組合せも可能である(例えば、1ミク
ロンから2mmの間、5ミクロンから100ミクロンの間、50ミクロンから1000ミ
クロンの間、500ミクロンから1.5mmの間)。他の範囲も可能である。
【0048】
特定の実施形態では、非ポリマー粒子は、体積に対する表面積の特定の比を有する。一
部の実施形態では、非ポリマー粒子の体積に対する表面積の比は、1mm-1から100
0mm-1の間(例えば、1mm-1から3mm-1の間、1mm-1から5mm-1の
間、3mm-1から8mm-1の間、8mm-1から600mm-1の間、8mm-1か
ら1000mm-1の間)の範囲である。
【0049】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている刺激は、外的刺激である。外的刺激の
非限定例として、電波を当てること(例えば、高周波誘導により)、磁気共鳴の適用(例
えば、MRIへの曝露により)、または他の誘導方法が挙げられる。例えば、特定の実施
形態では、高周波誘導などの外的刺激は、本明細書に記載されているように、対象の体内
に位置付けられた複数の非ポリマー粒子を含むポリマーネットワークの温度が上昇するよ
うに(例えば、非ポリマー粒子の加熱により)、対象に近接して適用される。
【0050】
本明細書に記載されているポリマーネットワークは、例えば、保持デバイスを含むいく
つかの用途において有用である場合がある。一部の実施形態では、ポリマーネットワーク
を含むデバイス(例えば、保持デバイス)は、デバイスが、対象の体内位置に置かれると
、通常の生理学的条件下でその位置に保持される膨張プロファイルを有する。一部のこの
ような実施形態では、上記のように、デバイスは、対象の外部から加えられる刺激に対し
て感受性であり、それによってデバイスは収縮プロファイルをとり、対象の体内位置から
排除される。
【0051】
デバイスは、胃、膀胱、食道、結腸などの位置において、対象の体内に保持されうる。
特定の実施形態では、デバイスは胃内保持デバイスである。
【0052】
一部の実施形態では、ポリマーネットワークは、第1の立体構造でキャストされ、加熱
され、第2の立体構造を得るように機械的に変形される。第2の立体構造は、例えば、ポ
リマーネットワークの経口投与のために、カプセルに圧縮および/または変形されてもよ
い。一部の実施形態では、ポリマーネットワーク(すなわち、ポリマーネットワークを含
有するカプセル)は、経口投与、内視鏡的投与、または細胞スコープ的投与されてもよい
。一部のこのような実施形態では、カプセルは、ポリマーネットワークが所望の位置で対
象の体内に位置付けられるように、溶解するおよび/または開くことができる。カプセル
を溶解するおよび/または開く際に、ポリマーネットワークは第2の立体構造を回復する
ことができる。特定の実施形態では、本明細書に記載されているように、次いで、ポリマ
ーネットワークは、ポリマーネットワークが第1の立体構造を得るように外的に誘発され
てもよい(すなわち、刺激されてもよい)。一部のこのような実施形態では、第1の立体
構造によって、所望の位置からデバイスを排除することが可能となる。特定の実施形態で
は、排除は通常の生理学的条件下で起こる。一部の場合では、排除は、温かい飲料を飲む
ことによって刺激される(例えば、ポリマーネットワークが、第1のポリマー材料の軟化
温度を超える温度に達するように)。
【0053】
本明細書に記載されているデバイスは、モニタリング、肥満処置、および/または薬物
送達用途に対して有用である場合がある。例えば、本明細書に記載されているデバイスは
、2型糖尿病、胃食道逆流性疾患および他の慢性疾患の処置において有用である場合があ
る。特定の実施形態では、本明細書に記載されているポリマーネットワークを含むデバイ
スは、可食電子デバイスを装填するためのプラットフォームとして使用することができる
。
【0054】
本明細書で使用される、例えば、1つまたは複数の物品、組成物、構造、材料および/
またはその副次構成要素および/またはそれらの組合せおよび/またはこのような用語に
よる特徴付けに従う上記に列挙されていない任意の他の有形もしくは無形の要素の形状、
配向、アラインメント、および/または幾何学的関係、あるいはこれらの間の形状、配向
、アラインメント、および/または幾何学的関係に関する任意の用語は、他に定義または
示されていなければ、このような用語の数学的定義に対する絶対的な適合を要さないこと
が理解されるが、むしろ主題が、このような主題に最も密接に関係する当業者によって理
解されるように特徴付けられる程度に、このような用語の数学的定義に対する適合を示す
ことが理解される。形状、配向、および/または幾何学的関係に関するこのような用語の
例として、形状、例えば丸、四角、円の/円、長方形の/長円形、三角形の/三角形、円
柱の/円柱、楕円形の/楕円形、(n)角形の/(n)角形など;角度配向、例えば垂直
の、直交の、並行の、鉛直の、水平の、共線のなど;外形および/または軌道、例えば平
面/平面の、同一表面の、半球状の、略半球状の、直線/直線の、双曲線の、放物線の、
平らな、曲線の、まっすぐな、弓状の、正弦の、接線/接線のなど;表面および/または
バルク材料特性および/または空間分解能/時間分解能および/または分布、例えば平滑
な、反射的な、透明の、清澄な、不透明な、剛性の、不浸透性の、均一な(均一に)、不
活性の、非湿潤性の、不溶性の、一定の、不変の、定常性の、均一ななど;ならびに関連
する技術分野における当業者に明らかとなる多くの他の物を記述する用語が挙げられるが
、これらに限定されない。一例として、「四角」であると本明細書に記載されている製作
された物品は、好ましくは平面または直線であり、正確に90度の角度で交差する面また
は側面を有するこのような物品を要求しない(実際に、このような物品は、数学的抽象概
念として存在することしかできない)が、むしろ、このような物品の形状は、当業者に理
解されるようにまたは具体的に記載されるように列挙された製作技法に対して通常達成可
能であり達成される程度まで、数学的に定義される「四角」をほぼ正確な「四角」として
解釈されるべきである。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「反応する(させる)」または「反応する(させる)こ
と」は、安定で、単離できる化合物を生成するために2種またはそれ超の成分の間で結合
を形成することを指す。例えば、第1の成分と第2の成分が反応して、共有結合によって
接合された第1の成分と第2の成分を含む1つの反応生成物を形成することができる。用
語「反応する(させる)こと」は、成分間の反応の発生を促すために作用することができ
る溶媒、触媒、塩基、リガンド、または他の材料の使用も含む場合がある。「安定で、単
離できる化合物」は、単離された反応生成物を指し、不安定な中間体または遷移状態は指
さない。
【0056】
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)
基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂
肪族基のラジカルを指す。アルキル基は、以下により十分に記載されているように、任意
選択で置換されていてもよい。アルキル基の例として、これらに限定されないが、メチル
、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、2-エチ
ルヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙
げられる。「ヘテロアルキル」基は、少なくとも1つの原子がヘテロ原子(例えば、酸素
、硫黄、窒素、リンなど)であり、原子の残りが炭素原子であるアルキル基である。ヘテ
ロアルキル基の例として、これらに限定されないが、アルコキシ、ポリ(エチレングリコ
ール)-、アルキル置換アミノ、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、モルホリニルな
どが挙げられる。
【0057】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、上述のアルキル基と類似する不飽和脂肪
族基を指すが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含有する。「ヘテロ
アルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、1つまたは複数の原子がヘテロ原子(例え
ば、酸素、窒素、硫黄など)である、本明細書に記載されているアルケニルおよびアルキ
ニル基を指す。
【0058】
用語「アリール」は、いずれも任意選択で置換されている、単環(例えば、フェニル)
、多環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも1つが芳香族である縮合多環(例えば
、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリ
ル)を有する芳香族炭素環式基を指す。「ヘテロアリール」基は、芳香環における少なく
とも1つの環原子がヘテロ原子であり、環原子の残りが炭素原子であるアリール基である
。ヘテロアリール基の例として、いずれも任意選択で置換されている、フラニル、チエニ
ル、ピリジル、ピロリル、N低級アルキルピロリル、ピリジルNオキシド、ピリミジル、
ピラジニル、イミダゾリル、インドリルなどが挙げられる。
【0059】
用語「アミン」および「アミノ」は、非置換および置換アミンの両方を指し、例えば、
一般式:N(R’)(R’’)(R’’’)(R’、R’’、およびR’’’は、それぞ
れ独立して、原子価の規則によって許容されている基を表す)で表すことのできる部分を
指す。
【0060】
用語「アシル」、「カルボキシル基」、または「カルボニル基」は、当技術分野で認識
されており、一般式:
【化5】
(式中、Wは、H、OH、O-アルキル、O-アルケニル、またはその塩である)で表す
ことのできるような部分を含むことができる。WがO-アルキルである場合、式は「エス
テル」を表す。WがOHである場合、式は「カルボン酸」を表す。一般に、上記式の酸素
原子が硫黄で置き換えられている場合、式は「チオカルボニル」基を表す。WがS-アル
キルである場合、式は「チオールエステル」を表す。WがSHである場合、式は「チオー
ルカルボン酸」を表す。一方、Wがアルキルである場合、上記式は「ケトン」基を表す。
Wが水素である場合、上記式は「アルデヒド」基を表す。
【0061】
本明細書で使用する場合、用語「複素環」または「ヘテロシクリル」は、飽和環または
不飽和非芳香族環のいずれかである単環式または多環式複素環を指す。通常、複素環は、
3員から14員環を含んでもよい。一部の場合では、3員複素環は、最大3つのヘテロ原
子を含有することができ、4~14員複素環は、1~約8個のヘテロ原子を含有すること
ができる。各ヘテロ原子は、四級化されうる窒素、酸素、ならびにスルホキシドおよびス
ルホンを含む硫黄から独立して選択することができる。用語「複素環」または「ヘテロシ
クリル」は、以下により十分に記載されているように、ヘテロ芳香族またはヘテロアリー
ル基を含んでもよい。複素環は、任意のヘテロ原子環原子または炭素環原子を介して結合
してもよい。代表的な複素環として、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル
、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オ
キシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒド
ロピリンジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロ
チオピラニルなどが挙げられる。ヘテロ原子は、当業者に公知の保護基で置換されていて
もよく、例えば、窒素に結合する水素が、tert-ブトキシカルボニル基で置換されて
いてもよい。さらに、ヘテロシクリルは、1つまたは複数の置換基(これらに限定されな
いが、ハロゲン原子、アルキルラジカルまたはアリールラジカルを含む)で任意選択で置
換されていてもよい。
【0062】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロ芳香環」または「ヘテロアリール」は、炭素原
子環員および1つまたは複数のヘテロ原子環員(例えば、酸素、硫黄または窒素など)を
含む、単環式または多環式のヘテロ芳香環(またはそのラジカル)を意味する。通常、ヘ
テロ芳香環は、5~約14環員を有し、ここで少なくとも1環員が、酸素、硫黄および窒
素から選択されるヘテロ原子である。別の実施形態では、ヘテロ芳香環は、5または6員
環であり、1~約4個のヘテロ原子を含有してもよい。別の実施形態では、ヘテロ芳香環
系は、7~14環員を有し、1~約7個のヘテロ原子を含有してもよい。代表的なヘテロ
アリールとして、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル
、インドリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリ
ダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、ピリジニル、チア
ジアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル
、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、イソチアゾ
リル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベ
ンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、カルバゾリル、インドリル、テトラヒド
ロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、クニザオリニル、プリニル、ピロロ
[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジル、ベンゾ(b)チエニルなどが挙
げられる。これらのヘテロアリール基は、1つまたは複数の置換基で任意選択で置換され
ていてもよい。
【0063】
用語「置換されている」は、有機化合物のすべての許容可能な置換基を含むことを企図
し、「許容可能な」は、当業者に公知の原子価の化学規則の文脈にある。一部の場合では
、「置換されている」とは、一般に、水素の、本明細書に記載されている置換基での置き
換えを指す。しかし、「置換されている」とは、本明細書で使用する場合、例えば、「置
換されている」官能基は、置換によって異なる官能基になるような、分子が特定される重
要な官能基の置き換えおよび/または変更を包含しない。例えば、「置換されているフェ
ニル」は、依然としてフェニル部分を含んでいなければならず、この定義においては、例
えば、ピリジンなどのヘテロアリール基になる置換によって修飾され得ない。広い態様で
は、許容可能な置換基として、非環式および環式の、分岐状および非分岐状の、炭素環式
および複素環式の、芳香族および非芳香族の、有機化合物の置換基が挙げられる。例示的
置換基としては、例えば、本明細書に記載されているものが挙げられる。許容可能な置換
基は、適当な有機化合物に対して1つまたは複数であってもよく、同じかまたは異なって
いてもよい。本発明の目的として、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満た
す、本明細書に記載されている有機化合物の水素置換基および/または任意の許容可能な
置換基を有してもよい。本発明は、有機化合物の許容可能な置換基によっていかなる様式
でも限定されることを意図しない。
【0064】
置換基の例として、これらに限定されないが、アルキル、アリール、アラルキル、環状
アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ペルハロ
アルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールア
ルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アミノ、ハロゲン、アルキルチオ、オキソ、アシ
ル、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキシル、カルボキサミド、ニトロ、ア
シルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルア
ミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスル
ホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキ
ル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル
、アルコキシアルキル、ペルハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキルなどが挙げ
られる。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語「ネットワーク」は、架橋によって互いに接続している
オリゴマーまたはポリマーのストランドを有する3次元の物質を指す。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語「ストランド」は、1種のモノマー単位のオリゴマーも
しくはポリマーの鎖、または2種またはそれ超の異なるモノマー単位のオリゴマーもしく
はポリマーの鎖を指す。
【0067】
本明細書で使用する場合、用語「主鎖」は、それを介してモノマー単位が一緒に結合す
る原子および結合を指す。本明細書で使用する場合、用語「ペンダント基」は、ストラン
ドの文脈で使用する場合、ストランドに結合するが、それを介してモノマー単位が接合さ
れる結合には関与しない官能基を指す。
【0068】
本明細書で使用する場合、用語「架橋」は、2つのストランド間の接続を指す。架橋は
、化学結合、単一の原子、または複数の原子のいずれかであってよい。架橋は、1つのス
トランドのペンダント基と異なるストランドの主鎖との反応によって、または1つのペン
ダント基と別のペンダント基との反応によって形成されてもよい。架橋は、別々のストラ
ンド分子間に存在してもよく、同じストランドの異なる点の間に存在してもよい。
【0069】
本明細書で使用する場合、用語「オリゴマー」および「ポリマー」はそれぞれ、繰り返
し単量体サブユニットの化合物を指す。一般的に言えば、「オリゴマー」は、「ポリマー
」よりも少ない単量体単位を含有する。当業者は、特定の化合物が、オリゴマーまたはポ
リマーのいずれを指しているかは、化合物のアイデンティティおよび使用される文脈の両
方によるものであることを認識する。
【0070】
当業者は、多くのオリゴマーおよびポリマー化合物が異なる数のモノマーを有する複数
の化合物から構成されることを認識する。このような混合物は、混合物中のオリゴマーお
よびポリマー化合物の平均分子量によって指定される場合が多い。本明細書に記載されて
いるように、オリゴマーまたはポリマー化合物に言及する単数の「化合物」の使用は、こ
のような混合物を含む。
【0071】
用語「脂肪族基」は、直鎖、分岐鎖、または環式脂肪族炭化水素基を指し、アルキル基
、アルケニル基、およびアルキニル基などの飽和および不飽和の脂肪族基を含む。
【0072】
用語「アルコキシ」は、上記のように、それに結合する酸素原子を有するアルキル基を
指す。代表的なアルコキシ基として、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、およびte
rt-ブトキシが挙げられる。「エーテル」は、酸素によって共有結合により連結した2
つの炭化水素である。
【0073】
用語「アルキルチオ」は、上記のように、それに結合する硫黄原子を有するアルキル基
を指す。一部の実施形態では、「アルキルチオ」部分は、-s-アルキル、-s-アルケ
ニル、および-s-アルキニルのうちの1つによって表される。代表的なアルキルチオ基
として、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。
【0074】
用語「アミド」は、カルボニル基で置換されたアミノとして当技術分野で認識されてい
る。
【0075】
用語「アラルキル」は、本明細書で使用する場合、アリール基で置換されたアルキル基
を指す。用語「ヘテロアラルキル」は、本明細書で使用する場合、ヘテロアリール基で置
換されたアルキル基を指す。
【0076】
用語「ヘテロ原子」は、本明細書で使用する場合、炭素または水素以外の任意の元素の
原子を意味する。例示的なヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄である。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「チオール」は、-SHを意味し、用語「ヒドロキシル
」は、-OHを意味し、用語「スルホニル」は、-SO2-を意味する。
【0078】
本明細書で使用する場合、用語「オキソ」は、カルボニル酸素原子を指す。
【0079】
本明細書で使用する場合、用語「アルカロイド」は、少なくとも1つの非ペプチド性の
窒素原子を含有する天然に存在する有機化合物を指す。
【0080】
「微粒子(Microparticle)」は、本明細書で使用する場合、一般に、約
1ミクロン~約100ミクロン、約1~約50ミクロン、約1~約30ミクロン、または
約1ミクロン~約10ミクロンの、平均径などの直径を有する粒子を指す。微粒子は任意
の形状を有することができる。球形を有する微粒子は、一般に「ミクロスフェア」と称さ
れる。
【0081】
「ナノ粒子(Nanoparticle)」は、本明細書で使用する場合、一般に、こ
れらに限定されないが、約1nm~約1ミクロンまで、約5nm~約500nm、または
約5nm~約300nmの平均径を有する任意の形状の粒子を指す。一部の実施形態では
、粒子は、約100nm~約300nm、約100nm~約250nm、または約100
nm~約200nmの平均径を有する。球形を有するナノ粒子は、一般に「ナノスフェア
」と称される。
【0082】
「平均粒子サイズ」は、本明細書で使用する場合、一般に、粒子の集団における粒子の
統計的平均粒子サイズ(径)を指す。本質的な球粒子の径は、物理学的または流体力学的
径として言及される場合がある。非球粒子の径は、主に、流体力学的径を指す場合がある
。本明細書で使用する場合、非球粒子の径は、粒子表面の2点間の最大直線距離を指す場
合がある。平均粒子サイズは、動的光散乱法などの当技術分野で公知の方法を使用して測
定することができる。
【0083】
「単分散の」および「均一サイズ分布」は、本明細書で互換的に使用され、粒子が、同
じかまたはほぼ同じ径または空気力学的径を有する複数のリポソームナノ粒子または微粒
子について記載する。本明細書で使用する場合、単分散分布は、75、76、77、78
、79、80、81、82、83、84、85、86、86、88、89、90、91、
92、93、94、95%またはそれ超の分布が、質量中央径または空気力学的径の85
、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、
15、または10%以内にある粒子分布を指す。
【実施例】
【0084】
以下の例は、本発明の特定の実施形態を例示することを意図するものであって、本発明
の全範囲を例示するものではない。
(実施例1)
合成
【0085】
以下の例は、本明細書に記載されている、ポリマーネットワークの合成を実証する。
【0086】
ジオールPCL、トリオールPCL、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび非反応性
PCLの混合物を70℃でブレンドし、ポリジメチルシロキサン(PDMS)モールドに
注いだ。次いで、モールドを64℃のオーブン中に24時間置いた。硬化のためのやや低
い温度は、一般に、重合体ポリマーマトリックスに泡の形成を生じる<ヘキサメチレンジ
イソシアネートの蒸発を最小化するためである。架橋されていないPCLが、その溶融温
度(Tm)より低い温度で結晶性ドメインを形成し、物理的な架橋ネットワークを形成し
た。架橋したPCLは共有結合ネットワークを形成し、これは、概して、温度変化によっ
て影響を受けなかった。結晶性ドメインの存在は、一般に、ポリマーの機械特性に重要な
影響を及ぼす。結晶性ドメインの融点まで加熱すると、物理的ネットワークは機能を失い
(switch off)、以前の力の平衡が崩壊し、したがって、巨視的形状は、主に
、共有結合ネットワークの形状によって決定され、したがって、形状の変形が行われた。
【0087】
PCLに基づく形状記憶ポリマーは、DaTbLc.d(a、b、cおよびdは実数で
ある)、例えばD3T1L45k.4の形態を使用して標識され、ここで、D、Tおよび
Lは、ジオールPCL、トリオールPCLおよび架橋されていないPCLの省略形であり
、D3T1は、ジオールPCLとトリオールPCLが、3~1のヒドロキシル基の比で反
応することを意味し、L45k.4は、数平均分子量(Mn)が45キロダルトンである
架橋されていないPLCが使用され、これが、総質量の40%を構成することを指す。ヘ
キサメチレンジイソシアネートは、すべての配合について、チオールPCLおよびジオー
ルPCLにおけるヒドロキシル基に対して、1.05NCO基(反応中の蒸発を補填する
ために5%過剰)に従って添加された。
(実施例2)
材料の特徴付け
【0088】
以下の例は、本明細書に記載されているポリマーネットワーク材料の機械特性を例示す
る。
【0089】
組成物と機械および熱特性の間の関係を見出すために、
図3に示すように、動的機械分
析(DMA)を行った。
図3は、軟化温度、軟化温度未満および軟化温度超でのエネルギ
ー消散(損失正接)および機械特性を示す。損失正接のグラフは、1つのプラトーから別
のプラトーへの増加を示し、変形が結晶構造の溶融であることを示している。架橋されて
いないPCLの質量比および平均分子量を調整することによって調節される弾性率を比較
することによる。
【0090】
添加された架橋されていない分子の割合と測定された温度の読み取りに対する弾性率か
らのポリマーブレンドの弾性率との間の相関が観察された。
図3は、架橋されていないP
CLの質量比が、軟化温度と弾性率の両方に影響を及ぼすことを示し、例えば、架橋され
ていないPCLの質量比は、D3T1L145k.33における33%~D3T1L45
k.5における50%まで増加し、弾性率は、40℃で34.9~114.7MPaまで
増加し、一方、軟化温度は、67~62℃まで低下した。DMAの結果はまた、分子量を
10キロダルトン~45キロダルトンまで変化させることによって、弾性率が、40℃で
75.6~114.7MPaまで増加し、軟化温度が2℃上昇したことを示した。また、
温度図に対する損失正接は、1つのプラトーから別のプラトーへ増加することを示す。こ
れらのデータは、変形の性質が結晶構造の溶融によるものであったこと、ならびに架橋し
たPCLの熱および機械特性のモジュレーションは、これらの組成物を調節することによ
って達成することができることを示唆する。材料の機械特性は、軟化温度未満では有意に
変化しないことが観察された。
【0091】
図4Aは、15種の異なる配合の弾性率の結果をまとめており、異なる配合の機械的挙
動の予測を可能にするカウンターマップに外挿する。
図4Bは、
図4Aに示される架橋さ
れていないPCLの質量比および数平均分子量に対する室温における弾性率のプロットの
ワイヤーフレームプロットである。
【0092】
図4Cは、3つの異なる配合ついての、質量比に対する軟化温度のプロットを示す。
(実施例3)
形状回復
【0093】
さらなるポリマーネットワークを、実施例1に記載されているように合成し、以下の表
1にまとめた。以下の例は、これらのポリマーネットワークの形状回復(歪み回復)を例
示する。
【0094】
1つの材料特異的パラメーターは歪み回復であり、熱誘発された後にその形状を回復す
る形状記憶ポリマーの能力を特徴付ける。
図5Aに示すように、平らな試験片を60℃ま
で加熱して折りたたみ、記憶角度を0℃にクエンチした後に記録し、回復角度を特定の温
度で材料から測定した。形状回復比を以下の等式で定義する:
形状回復=1-((記憶角度)/(回復角度))。
【0095】
表1に示すように、D3T1L10k.6、D3T1L0k.4およびD3T1L45
k.4などの組成物は、45~53℃の温度範囲で完全な変形を達成する(45℃で0お
よび53℃で1.0)ことが示されている。安全性を考慮して、一部の場合では、デバイ
スは、53℃未満で変形を有効に達成することができる。形状回復の開始温度は、例えば
、温かい食品や液体を摂取することによる変形特性の意図的でない誘発を防ぐために、4
5℃超で調節することができる。したがって、D3T1L10k.6、D3T1L45k
.3、D3T1L45k.4、D3T1L80k.2、D1T1L10k.4を含む一連
の材料は、安全な温度範囲で新規形状記憶を実施することが見出された。
【表1】
【0096】
図5Bは、それらの個々の軟化温度超(示されているように、約47℃および約53℃
)で形状回復を受けるポリマーネットワークのさらなる例を示す。左側では、写真は、一
時的形状におけるプログラムされたポリマーネットワークを示す。示された温度の水浴で
インキュベートされた後、それらは、MおよびT形状であるキャスト形状として回復する
。
(実施例4)
生体適合性/細胞毒性
【0097】
以下の例は、実施例1~3に記載したポリマーネットワークの生体適合性/細胞毒性を
実証する。
【0098】
材料の細胞毒性を、4つの細胞株:HT29-MTX C2BBe1、T4、Hela
を使用して試験した。ISO 10993-1:粘膜との表面接触を有する移植片を24
時間~30日間試験するための基準に従い、材料は、細胞毒性物質を放出するべきではな
い。PCLに基づくSMP試料を、一定の動きで胃の環境をシミュレーションするために
、37℃の撹拌下で模擬胃液(SGF)に沈めた。10日後、SGFを水酸化ナトリウム
を用いてpH7.0に中和して、1対1の比で細胞培養培地に添加した。試験材料と材料
が沈められた中和されたSGFの間の体積比は、1:1000であった。細胞培養培地は
、DMEM、10%FBS、1%のペニシリンおよびストレプトマイシン抗生物質ならび
に1%の非必須アミノ酸を混合することによって調製した。細胞を、細胞培養培地-中和
混合物を用いて10日間インキュベートした。陽性対照は、細胞を細胞培養培地のみを用
いてインキュベートすることによって得た。陰性対照は、細胞を70%エタノールで30
分間インキュベートすることによって得た。
図6Aは、定性的な生/死アッセイを示し、
細胞生存率は、架橋したPCLを含有する培地に影響を及ぼさなかった。AlmarBl
ue(登録商標)試薬を細胞株に添加し、生存率の蛍光的定量を可能にする蛍光色素を用
いて生細胞を染色した。細胞数のカウントの結果を、
図6B~6Eに示すように生存率プ
ロットにプロットした。PCLに基づくSMP試料は、概して、陰性対照より有意に高い
生存率を実証した。
(実施例5)
形状記憶の誘導
【0099】
遠隔から誘発した形状記憶は、ミクロンサイズの常磁性粒子(種々の幾何学的形状の鉄
および酸化鉄粒子を含む)をPCLに基づくポリマーネットワークに埋め込むことによっ
て得て、磁気感受性形状記憶複合体(MSMC)を形成した。電波(radio)を使用
して形状記憶を誘発し、概して、ヒトの身体に安全に侵入することができる。誘導によっ
て生じた温度は局在化し、その結果ヒトの身体と接触する表面は安全な温度範囲内に保た
れた。
【0100】
種々の常磁性粒子を
図7に示すように試験した。正規化された温度変化は、誘導ヒータ
ーのスイッチを入れて40秒後に、埋め込まれた常磁性粒子周囲の領域の温度を比較する
ことによって得た。体積に対してより大きな表面比を有する鉄のボール、例えばφ=0.
79mmが、他の粒子より材料を加熱する際に最も効果的であることが見出された。
【0101】
図8は、2MHz、5kAm
-1の交流磁場を生じる高周波誘導ヒーターを用いた誘導
加熱により、曲がったT形状からもとの形状に形状回復する一連の画像を示す。赤外線画
像は、鉄粒子に直接隣接する材料のみが加熱され(78℃まで)、表面の材料は、比較的
低い温度(47℃未満)であったことを示す。
【0102】
図9は、写真に示すように、架橋したPCLとMSMCを用いて作製したプロトタイプ
保持デバイスを示す。このプロトタイプは、ラットの胃内保持を行うことに基づいて設計
した。デバイスを、標準サイズ4のカプセルに封じ込め、36℃で模擬胃液に配備し、動
物の胃の中のカプセルからの脱出および胃内保持のためのもとの形状への復元をシミュレ
ーションした。2分間の誘導加熱の際に、デバイスの最大断面寸法は20mm~4mmに
減少し、このデバイスがラットの胃に配備される場合、胃からのデバイスの移動を開始す
るために十分に小さい。
(実施例6)
プロトタイプデバイスの製造
【0103】
図10A~10Dは、ラットの保持試験のために設計されたミニチュアプロトタイプを
示す。
図10Aは、設計された三つ腕-星型の3D形状の概略図であり、
図10Cにさら
に詳細に示す。
図10Bは、
図10Aおよび10Cで示された設計の3D印刷した金属の
ポジティブモールドの写真である。三つ腕-星型の保持デバイスは、例えば、ラットにカ
プセル化したデバイスを経口送達するために、サイズ5のカプセルに封じ込め、フィット
させるよう設計した。
図10Dは、ネガティブPDMSモールドを示し、これは、ポジテ
ィブモールド(
図10B)を使用して作製され、例えば、保持デバイスの少なくとも一部
分を製作するために使用することができる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書に記載し、例示したが、当業者は、本明細書に
記載されている機能を果たしならびに/または結果および/もしくは1つまたは複数の利
点を得るために様々な他の手段および/または構造を容易に想起し、かつこのような変形
および/または修正は、本発明の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者は
、本明細書に記載されているすべてのパラメーター、寸法、材料、および立体構造は例示
であることを意味し、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または立体構造は、本
発明の教示が使用される特定の用途に依存することを容易に認識する。当業者は、日常的
な実験の範囲を超えない実験を使用して、本明細書に記載されている発明の特定の実施形
態に対する多くの均等物を認識し、確認することができる。したがって、前述の実施形態
は単に例として示されており、他に、本発明は、具体的に記載され、特許請求された範囲
を超えて、添付の特許請求の範囲およびそれに対する均等物の範囲内で、実施することが
できることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載されているそれぞれ個々
の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、2
つまたはそれ超のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法
の任意の組合せは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方
法が互いに矛盾していなければ、本発明の範囲内に含まれる。
【0105】
本明細書および特許請求の範囲における不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(a
n)」は、本明細書で使用する場合、逆の内容が明確に示されていなければ、「少なくと
も1つの(at least one)」を意味するものと理解されるべきである。
【0106】
本明細書および特許請求の範囲における句「および/または(and/or)」は、等
位接続する要素、すなわち一部の場合に接続的に存在し、他の場合には非接続的に存在す
る要素の「いずれかまたは両方(either or both)」を意味するものと理
解されるべきである。他の要素は、逆の内容が明確に示されていなければ、具体的に特定
した要素に関連するか関連しないかにかかわらず、「および/または(and/or)」
の句によって具体的に特定される要素以外に任意選択で存在してよい。したがって、「A
および/またはB(A and/or B)」への言及は、非限定例として、「含む(c
omprising)」などのオープンエンド言語と併せて使用される場合、一実施形態
では、Bを含まないA(任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態では、Aを含ま
ないB(任意選択でA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AとBの両方(任
意選択で他の要素を含む)を指すことができる。
【0107】
本明細書で使用する場合、本明細書においておよび特許請求の範囲において、「または
(or)」は、上記のように「および/または(and/or)」と同じ意味を有すると
理解されるべきである。例えば、リストの項目を分離する際に、「または(or)」また
は「および/または(and/or)」は、包括的であると解釈され、すなわち、要素の
数またはリストの少なくとも1つ(1つより多い場合を含む)および、任意選択でさらに
列挙されていない項目も含む。逆の内容が明確に示されている用語のみ、例えば「のうち
の1つだけ(only one of)」もしくは「のうちの正確に1つ(exactl
y one of)」、または特許請求の範囲で使用する場合、「からなる(consi
sting of)」は、要素の数またはリストのうちの正確に1つの要素を含むことを
指す。一般に、用語「または(or)」は、本明細書で使用する場合、排他的に、「いず
れか(either)」、「のうちの1つ(one of)」、「のうちの1つだけ(o
nly one of)」、または「のうちの正確に1つ(exactly one o
f)」などの用語に先行される場合、排他的な選択肢(すなわち、「1つまたは両方では
ない他方(one or the other but not both)」)を示す
ものとしてのみ解釈される。特許請求の範囲で使用される場合、「から本質的になる(c
onsisting essentially of)」は、特許法の分野で使用される
通常の意味を有する。
【0108】
本明細書で使用する場合、本明細書においておよび特許請求の範囲において、句「少な
くとも1つ(at least one)」は、1つまたは複数の要素のリストを参照し
て、要素のリストにおける任意の1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの
要素を意味するものと理解されるべきであるが、要素のリスト内に具体的に列挙された各
およびすべての要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリストにおける要素の任
意の組合せを除外しない。この定義によって、要素は、具体的に特定されたこれらの要素
に関連するか関連しないかにかかわらず、句「少なくとも1つ(at least on
e)」が言及する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外で任意選択で存在するこ
とが可能となる。したがって、非限定例として、「AおよびBの少なくとも1つ(at
least one of A and B)」(または、同等に、「AまたはBの少な
くとも1つ(at least one of A or B)」、もしくは、同等に、
「Aおよび/またはBの少なくとも1つ(at least one of A and
/or B)」)は、一実施形態では、1より大きいを任意選択で含む少なくとも1つの
AであってBは存在しない(かつB以外の要素を任意選択で含む)、または別の実施形態
では、1より大きいを任意選択で含む少なくとも1つのBであってAは存在しない(かつ
A以外の要素を任意選択で含む)、さらに別の実施形態では、1より大きいを任意選択で
含む少なくとも1つのA、および1より大きいを任意選択で含む少なくとも1つのB(か
つ他の要素を任意選択で含む)などを指すことができる。
【0109】
特許請求の範囲、および上記本明細書において、「含む(comprising)」、
「含む(including)」、「有する(carrying)」、「有する(hav
ing)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」
、「保つ(holding)」などのすべての移行句は、オープンエンド、すなわち、含
むが限定されないことを意味するものと理解されるべきである。移行句「からなる(co
nsisting of)」および「から本質的になる(consisting ess
entially of)」のみが、米国特許庁特許審査便覧、セクション2111.0
3に記載されているように、それぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句である。
【0110】
例えば、1つまたは複数の物品、構造、力、場、流れ、方向/軌道、および/またはそ
の副次成分および/またはその組合せおよび/またはこのような用語による特徴付けに従
う上記に列挙されていない任意の他の有形もしくは無形の要素の形状、配向、アラインメ
ント、および/または幾何学的関係、あるいはこれらの間の形状、配向、アラインメント
、および/または幾何学的関係に関する任意の用語は、本明細書で使用する場合、他に定
義または示されていなければ、このような用語の数学的定義に対する絶対的な適合を要さ
ないことが理解されるが、むしろ主題が、このような主題に最も密接に関係する当業者に
よって理解されるように特徴付けられる程度に、このような用語の数学的定義に対する適
合を示すことが理解される。形状、配向、および/または幾何学的関係に関するこのよう
な用語の例として、これらの用語に限定されないが、形状、例えば丸、四角、円の/円、
長方形の/長円形、三角形の/三角形、円柱の/円柱、楕円形の/楕円形、(n)角形の
/(n)角形など;角度配向、例えば垂直の、直交の、並行の、鉛直の、水平の、共線の
など;外形および/または軌道、例えば平面/平面の、同一表面の、半球状の、略半球状
の、直線/直線の、双曲線の、放物線の、平らな、曲線の、まっすぐな、弓状の、正弦の
、接線/接線のなど;方向、例えば北、南、東、西など;表面および/またはバルク材料
特性および/または空間分解能/時間分解能および/または分布、例えば平滑な、反射的
な、透明の、清澄な、不透明な、剛性の、不浸透性の、均一な(均一に)、不活性の、非
湿潤性の、不溶性の、一定の、不変の、定常性の、均一ななど;ならびに関連する技術分
野における当業者に明らかとなる多くの他の物を記述する用語が挙げられるが、これらに
限定されない。一例として、「四角」であると本明細書に記載されている製作された物品
は、好ましくは平面または直線であり、正確に90度の角度で交差する面または側面を有
するこのような物品を要求しない(実際に、このような物品は、数学的抽象概念として存
在することしかできない)が、むしろ、このような物品の形状は、当業者に理解されるよ
うにまたは具体的に記載されるように列挙された製作技法に対して通常達成可能であり達
成される程度まで、数学的に定義される「四角」をほぼ正確な「四角」として解釈される
べきである。別の例として、本明細書に「アラインされた」と記載される2つまたはそれ
超の製作された物品は、このような物品が、完全にアラインされた面または側面を有する
ことを要さず(実際に、このような物品は、数学的抽象概念として存在することしかでき
ない)、むしろ、このような物品のアラインメントは、当業者に理解されるようにまたは
具体的に記載されるように列挙された製作技法に対して通常達成可能であり達成される程
度まで、数学的に定義されるほぼ「アラインされた」と解釈されるべきである。
【0111】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項目1)
対象の体内位置からデバイスを除去する方法であって、
前記デバイスが第2の立体構造を得るように、前記デバイスを刺激するステップであって、前記第2の立体構造が、前記デバイスが前記対象の前記体内位置から除去されるように十分小さいステップを含み、
前記デバイスは、刺激するステップの前には、前記第2の立体構造と異なる第1の立体構造を有し、
前記第2の立体構造は、前記第1の立体構造の最大断面寸法より少なくとも約10%小さい最大断面寸法を有し、および/または
前記第2の立体構造は、前記第1の立体構造の凸包より少なくとも約10%小さい凸包を有する、方法。
(項目2)
対象の体内位置にデバイスを選択的に保持する方法であって、
第1の立体構造を有するデバイスを投与するステップであって、前記デバイスが、前記対象の前記体内位置で第2の立体構造を得て、前記デバイスが前記位置内に保持されるステップと、
一定期間後、前記デバイスが前記第1の立体構造を得るように前記デバイスを刺激するステップであって、前記第1の立体構造は、デバイスが前記位置から除去されるようなものであるステップと
を含む、方法。
(項目3)
前記デバイスが、経口投与される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記デバイスが、前記デバイスを投与するステップの前および/または前記デバイスを投与するステップの間に、カプセル内に含有される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記デバイスを刺激するステップが、前記対象に外部シグナルを加えることを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記デバイスを刺激するステップが、前記デバイスを加熱することを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記デバイスを刺激するステップが、誘導を含む、前記項目のいずれかに記載の方法。(項目8)
前記デバイスが、45℃から65℃の間の範囲(両端を含む)の温度まで加熱される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記デバイスが、45℃から65℃の間の範囲(両端を含む)の軟化温度を有するポリマーネットワークを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
第1のポリマー材料および第2のポリマー材料を含むポリマーネットワークと、
前記ポリマーネットワークと会合する複数の常磁性粒子とを含む誘発性形状記憶組成物であって、
前記第1のポリマー材料は、約45℃超もしくはそれに等しい軟化温度を有する架橋されていないポリマーであり、
前記第2のポリマー材料は、架橋されたポリマーであり、
前記ポリマーネットワークは、前記第1のポリマー材料の前記軟化温度未満では第1の立体構造、前記第1のポリマー材料の前記軟化温度を超えると前記第1の立体構造と異なる第2の立体構造を有するよう構築されて配置され、
前記第2の立体構造は、前記第1の立体構造の最大断面寸法より少なくとも約10%小さい最大断面寸法を有し、および/または
前記第2の立体構造は、前記第1の立体構造の凸包より少なくとも約10%小さい凸包を有する、誘発性形状記憶組成物。
(項目11)
第1のポリマー材料および第2のポリマー材料を含むポリマーネットワークと、
外的刺激に曝露した際に、前記第1のポリマー材料の加熱を少なくとも約45℃まで促進する、前記ポリマーネットワークと会合する複数の非ポリマー部分とを含む誘発性形状記憶組成物であって、
前記第1のポリマー材料は、約45℃超もしくはそれに等しい軟化温度を有し、
前記ポリマーネットワークは、前記第1のポリマー材料の前記軟化温度未満では第1の立体構造を、そして前記第1のポリマー材料の前記軟化温度を超えると前記第1の立体構造と異なる第2の立体構造を有するよう構築されて配置され、
前記第2の立体構造は、前記第1の立体構造の最大断面寸法より少なくとも約10%小さい最大断面寸法を有し、および/または
前記第2の立体構造は、前記第1の立体構造の凸包より少なくとも約10%小さい凸包を有する、誘発性形状記憶組成物。
(項目12)
前記複数の非ポリマー部分が常磁性粒子を含む、項目10または11に記載の誘発性形状記憶組成物。
(項目13)
前記軟化温度が、前記第1のポリマー材料のガラス転移温度である、項目10から12のいずれか一項に記載の誘発性形状記憶組成物。
(項目14)
前記軟化温度が、前記第1のポリマー材料の溶融温度である、項目10から13のいずれか一項に記載の誘発性形状記憶組成物。
(項目15)
前記第2のポリマー材料が、前記第1のポリマー材料の前記軟化温度より高い軟化温度を有する、項目10から14のいずれか一項に記載の誘発性形状記憶組成物。
(項目16)
項目10から15のいずれか一項に記載の誘発性形状記憶組成物を含む保持デバイス。(項目17)
対象の体内での保持を制御するための誘発性保持デバイスであって、
前記デバイスが、前記対象の体内位置に置かれると、通常の生理的学条件下でその位置に保持される膨張プロファイルを含み、
前記デバイスが、前記対象の外部から加えられる刺激に対して感受性であり、それによって前記デバイスが収縮プロファイルをとり、前記対象の前記体内位置から排除されるデバイス。
(項目18)
収縮プロファイルをとり、通常の生理学的条件下で前記対象の前記体内位置から排除される、項目17に記載のデバイス。
(項目19)
前記ポリマー材料が、ポリカプロラクトンおよび/またはポリ乳酸を含む、前記項目のいずれかに記載の組成物、デバイス、または方法。
(項目20)
前記対象の前記体内位置が、胃腸管内である、前記項目のいずれかに記載の組成物、デバイス、または方法。