(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】動作試験器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20220812BHJP
G08B 17/06 20060101ALI20220812BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20220812BHJP
G08B 29/14 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
G08B17/00 D
G08B17/06 K
G08B17/10 L
G08B29/14
(21)【出願番号】P 2022008814
(22)【出願日】2022-01-24
【審査請求日】2022-01-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510268772
【氏名又は名称】アークリード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】尾阪 則将
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-074797(JP,A)
【文献】特開2012-118962(JP,A)
【文献】登録実用新案第3097430(JP,U)
【文献】特開2003-331367(JP,A)
【文献】国際公開第2011/086599(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験源(25)を有する試験器本体(19)を備える試験ユニット(3)と、
試験ユニット(3)が先端に連結される棒状支持体(2)と、
を備え、
試験ユニット(3)は、個別に構成される、試験器本体(19A(19))の内部に試験熱を生成する試験源(25A(25))を備える加熱ユニット(3A(3))、および試験器本体(19B(19))の内部に試験煙を生成する試験源(25B(25))を備える加煙ユニット(3B(3))の二種を含み、
加熱ユニット(3A(3))と棒状支持体(2)、または加煙ユニット(3B(3))と棒状支持体(2)が、共通の構成からなる連結構造(43)で一体的に連結できるようになっており、加熱ユニット(3A(3))と棒状支持体(2)とを連結することで加熱試験器(1A)として構成され、加煙ユニット(3B(3))と棒状支持体(2)とを連結することで加煙試験器(1B)として構成され
ており、
棒状支持体(2)は、棒状の支持棒(6)と、支持棒(6)の先端に設けられるユニットソケット(7)とを有し、ユニットソケット(7)は、支持棒(6)と連結されるソケットベース(8)と、ソケットベース(8)から平行に延設される一対のソケットアーム(9・9)とを備えており、
試験ユニット(3(3A・3B))は、試験器本体(19(19A・19B))を支持し、ユニットソケット(7)に連結される本体ホルダー(20(20A・20B))を備え、本体ホルダー(20(20A・20B))は、ソケットベース(8)の一対のソケットアーム(9・9)の間に差込まれる装着ブロック(31(31A・31B))を備えており、
連結構造(43)が、一対のソケットアーム(9・9)の間への装着ブロック(31(31A・31B))の差込みにより係合される、各ソケットアーム(9・9)に対して装着ブロック(31(31A・31B))を保持する一対の第1係合構造(44)、およびソケットベース(8)に対して装着ブロック(31(31A・31B))を保持する第2係合構造(45)と、第1および第2の係合構造(44・45)でユニットソケット(7)に対して保持された本体ホルダー(20(20A・20B))の分離を阻止するロック具(46)とで構成されていることを特徴とする動作試験器。
【請求項2】
装着ブロック(31(31A・31B))の外郭形状は、一対のソケットアーム(9・9)の対向面と、該対向面に連続するソケットベース(8)の外面とで形成される装着切欠(13)に合致する形状に形成されており、
第1係合構造(44)は、装着切欠(13)に装着ブロック(31(31A・31B))が差込まれた状態において正対する、装着ブロック(31(31A・31B))とソケットアーム(9)のいずれか一方に設けられる突条からなる係合リブ(47)と、他方に設けられて係合リブ(47)を受け入れる溝からなる係合スリット(48)とで構成されており、
第2係合構造(45)は、装着切欠(13)に装着ブロック(31(31A・31B))が差込まれた状態において正対する、装着ブロック(31(31A・31B))とソケットベース(8)のいずれか一方に設けられる突起からなる係合突起(49)と、他方に設けられて係合突起(49)が嵌入される凹部からなる係合凹部(50)とで構成されている請求項1に記載の動作試験器。
【請求項3】
装着ブロック(31(31A・31B))に係合リブ(47(47A・47B))が設けられ、各ソケットアーム(9)と係合リブ(47(47A・47B))との間にロック具(46)が設けられており、
ロック具(46)が、ソケットアーム(9)で装着切欠(13)に対する装着ブロック(31)の差込み方向と直交する軸まわりに回動可能に軸支され、ロック具(46)のロック状態とアンロック状態とを切換える操作レバー(51)と、一端が操作レバー(51)で回動可能に軸支される環状の係止環(52)と、係合リブ(47(47A・47B))に設けられて、係止環(52)の他端が係止される係止フック(53(53A・53B))とを備えるクイックファスナーで構成されている請求項2に記載の動作試験器。
【請求項4】
試験ユニット(3(3A・3B))は、試験源(25(25A・25B))の動作を制御する制御部(27(27A・27B))を備えており、
試験ユニット(3(3A・3B))の制御部(27(27A・27B))および試験源(25(25A・25B))は、支持棒(6)に設けられたバッテリー(68)からユニットソケット(7)と本体ホルダー(20(20A・20B))との間に設けられた給電構造(72)を介して電力が供給されるように構成されており、
給電構造(72)が、係合突起(49)と係合凹部(50)のいずれか一方に設けられ、ユニットソケット(7)に対する本体ホルダー(20(20A・20B))の差込み方向に突設される通電ピン(73)と、他方に設けられ、ユニットソケット(7)に対する本体ホルダー(20(20A・20B))の差込み時に通電ピン(73)が差込み連結される通電ソケット(74)とで構成されている請求項
2または3に記載の動作試験器。
【請求項5】
試験器本体(19(19A・19B))は、試験源(25(25A・25B))が収容され、一方の開口が底蓋(24(24A・24B))で閉塞される筒状の内筒体(22(22A・22B))と、内筒体(22(22A・22B))に外嵌する筒状の外筒体(23(23A・23B))とを含む有底筒状のフード(21(21A・21B))を備えており、
内外の筒体(22(22A・22B)・23(23A・23B))の筒軸心方向をフード(21(21A・21B))の軸心方向と規定したとき、内筒体(22(22A・22B))と外筒体(23(23A・23B))とは、フード(21(21A・21B))の軸心方向に相対スライド可能に構成されており、
内外の筒体(22(22A・22B)・23(23A・23B))が、フード(21(21A・21B))の開口側において内筒体(22(22A・22B))の端面よりも外筒体(23(23A・23B))の端面がフード(21(21A・21B))の軸心方向に突出して、相対的にフード(21(21A・21B))の軸心方向の寸法(H)が大きな伸長姿勢と、フード(21(21A・21B))の開口側において内筒体(22(22A・22B))の端面と外筒体(23(23A・23B))の端面とが同一面上に位置して、相対的にフード(21(21A・21B))の軸心方向の寸法(H)が小さな収縮姿勢との間で姿勢変更できるように構成されている請求項
1から4のいずれかひとつに記載の動作試験器。
【請求項6】
内筒体(22(22A・22B))と外筒体(23(23A・23B))とはそれぞれ円筒状に形成されて、フード(21(21A・21B))の軸心方向まわりに相対回動可能に構成されており、
内筒体(22(22A・22B))と外筒体(23(23A・23B))との間に、内外の筒体(22(22A・22B)・23(23A・23B))の相対回動動作を、フード(21(21A・21B))の軸心方向の相対スライド動作に変換する動作変換構造(77(77A・77B))が設けられており、
動作変換構造(77(77A・77B))が、内筒体(22(22A・22B))の外周面と外筒体(23(23A・23B))の内周面のいずれか一方に凹み形成された円筒カム溝(78(78A・78B))と、他方に設けられ、円筒カム溝(78(78A・78B))に沿って移動する突起(79(79A・79B))とで構成されるカム機構からなる請求項
5に記載の動作試験器
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の天井などに設置される火災感知器の動作試験に用いられる動作試験器に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル等の建物に設置される火災報知設備を構成し、各部屋の天井に設置されて火災の発生を感知する火災感知器には、熱を感知する感熱式と、煙を感知する感煙式とがある。火災報知設備の設備点検において、感熱式の火災感知器に対する動作試験では、熱源を備える「加熱試験器」と称される動作試験器が使用される。一方、感煙式の火災感知器の試験に対する動作試験では、発煙源を備える「加煙試験器」と称される動作試験器が使用される。加熱試験器は、感知器を加熱する熱源を内部に有する試験器本体と、試験器本体を回動自在に支持する支持棒とで構成される。加煙試験器は、発煙源を内部に有する試験器本体と、試験器本体を回動自在に支持する支持棒とで構成される。これら動作試験器を用いた動作試験では、天井に設置された各火災感知器に対して試験器本体を被せ付けることが必要であるため、試験器本体を支持する支持棒は長尺の棒体で構成されている。設備点検においては、試験員は、加熱試験器および加煙試験器の両方を携えて各部屋を巡回し、部屋に設置された感熱式と感煙式の火災感知器のそれぞれに応じた試験器を用いて順次動作試験を行っていく。そのため、試験員は設備点検の間、長尺の支持棒を備える複数の動作試験器を携えながら部屋間を移動するものであり、また動作試験では、複数の動作試験器を持ち替えながら試験を行うものであり、試験員の負担は極めて大きい。
【0003】
上記のような試験員の負担を軽減するため、特許文献1の動作試験器(発明の名称:感知器検査装置)では、支持棒(棒状支持体)で回動自在に支持される有底筒状の本体部(試験器本体)の内部に、発煙手段(発煙源)と感知器加熱手段(加熱源)とを設けており、試験対象となる火災感知器に応じて、発煙手段と感知器加熱手段のいずれか一方を動作させることができるように構成している。発煙手段は、棒ヒータ、加熱プレート、煙源となるパラフィンを支持するハウジング、およびDCファンなどで構成されており、感知器加熱手段は、熱を発生させるハロゲンランプと熱を反射するリフレクタなどで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の動作試験器では、本体部の内部に発煙手段と感知器加熱手段が設けられているため、ひとつの動作試験器で感熱式および感煙式の両火災感知器の動作試験を行うことができる。しかし、動作試験器はひとつになるため、取扱いは容易になるものの、本体部に発煙手段または感知器加熱手段の一方のみを備える動作試験器に比べて、支持棒の先端で支持される本体部の重量が大幅に増加することが避けられない。動作試験器の支持棒の先端側の重量が大きいと、天井に設置された各火災感知器に本体部を被せ付ける際に持ち重りし、また、位置を定めるためにはより大きな力が必要となるため、試験員の負担は大きくなる。
【0006】
本発明は、以上のような従来の動作試験器の抱える問題を解決することを目的としてなされたものであり、感熱式および感煙式の両火災感知器の動作試験に対応でき、さらに運搬および取扱いにおける試験員の負担の軽減を図ることができる動作試験器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の動作試験器1は、試験源25を有する試験器本体19を備える試験ユニット3と、試験ユニット3が先端に連結される棒状支持体2とを備える。試験ユニット3は、個別に構成される、試験器本体19A(19)の内部に試験熱を生成する試験源25A(25)を備える加熱ユニット3A(3)、および試験器本体19B(19)の内部に試験煙を生成する試験源25B(25)を備える加煙ユニット3B(3)の二種を含む。そして、加熱ユニット3A(3)と棒状支持体2、または加煙ユニット3B(3)と棒状支持体2は、共通の構成からなる連結構造43で一体的に連結できるようになっており、加熱ユニット3A(3)と棒状支持体2とを連結することで加熱試験器1Aとして構成され、加煙ユニット3B(3)と棒状支持体2とを連結することで加煙試験器1Bとして構成される。
【0008】
棒状支持体2は、棒状の支持棒6と、支持棒6の先端に設けられるユニットソケット7とを有し、ユニットソケット7は、支持棒6と連結されるソケットベース8と、ソケットベース8から平行に延設される一対のソケットアーム9・9とを備える。試験ユニット3(3A・3B)は、試験器本体19(19A・19B)を支持し、ユニットソケット7に連結される本体ホルダー20(20A・20B)を備え、本体ホルダー20(20A・20B)は、ソケットベース8の一対のソケットアーム9・9の間に差込まれる装着ブロック31(31A・31B)を備える。連結構造43は、一対のソケットアーム9・9の間への装着ブロック31(31A・31B)の差込みにより係合される、各ソケットアーム9・9に対して装着ブロック31(31A・31B)を保持する一対の第1係合構造44、およびソケットベース8に対して装着ブロック31(31A・31B)を保持する第2係合構造45と、第1および第2の係合構造44・45でユニットソケット7に対して保持された本体ホルダー20(20A・20B)の分離を阻止するロック具46とで構成される。
【0009】
装着ブロック31(31A・31B)の外郭形状は、一対のソケットアーム9・9の対向面と、該対向面に連続するソケットベース8の外面とで形成される装着切欠13に合致する形状に形成される。第1係合構造44は、装着切欠13に装着ブロック31(31A・31B)が差込まれた状態において正対する、装着ブロック31(31A・31B)とソケットアーム9のいずれか一方に設けられる突条からなる係合リブ47と、他方に設けられて係合リブ47を受け入れる溝からなる係合スリット48とで構成される。第2係合構造45は、装着切欠13に装着ブロック31(31A・31B)が差込まれた状態において正対する、装着ブロック31(31A・31B)とソケットベース8のいずれか一方に設けられる突起からなる係合突起49と、他方に設けられて係合突起49が嵌入される凹部からなる係合凹部50とで構成される。
【0010】
装着ブロック31(31A・31B)に係合リブ47(47A・47B)が設けられ、各ソケットアーム9と係合リブ47(47A・47B)との間にロック具46が設けられている。ロック具46は、ソケットアーム9で装着切欠13に対する装着ブロック31の差込み方向と直交する軸まわりに回動可能に軸支され、ロック具46のロック状態とアンロック状態とを切換える操作レバー51と、一端が操作レバー51で回動可能に軸支される環状の係止環52と、係合リブ47(47A・47B)に設けられて、係止環52の他端が係止される係止フック53(53A・53B)とを備えるクイックファスナーで構成される。
【0011】
試験ユニット3(3A・3B)は、試験源25(25A・25B)の動作を制御する制御部27(27A・27B)を備え、試験ユニット3(3A・3B)の制御部27(27A・27B)および試験源25(25A・25B)は、支持棒6に設けられたバッテリー68からユニットソケット7と本体ホルダー20(20A・20B)との間に設けられた給電構造72を介して電力が供給されるように構成される。給電構造72は、係合突起49と係合凹部50のいずれか一方に設けられ、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の差込み方向に突設される通電ピン73と、他方に設けられ、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の差込み時に通電ピン73が差込み連結される通電ソケット74とで構成される。
【0012】
試験器本体19(19A・19B)は、試験源25(25A・25B)が収容され、一方の開口が底蓋24(24A・24B)で閉塞される筒状の内筒体22(22A・22B)と、内筒体22(22A・22B)に外嵌する筒状の外筒体23(23A・23B)とを含む有底筒状のフード21(21A・21B)を備える。内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)の筒軸心方向をフード21(21A・21B)の軸心方向と規定したとき、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)とは、フード21(21A・21B)の軸心方向に相対スライド可能に構成されており、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)とは、内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)の筒軸心方向に相対スライド可能に構成されている。内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)の筒軸心方向をフード21(21A・21B)の軸心方向と規定したとき、内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)が、フード21(21A・21B)の開口側において内筒体22(22A・22B)の端面よりも外筒体23(23A・23B)の端面がフード21(21A・21B)の軸心方向に突出して、相対的にフード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hが大きな伸長姿勢と、フード21(21A・21B)の開口側において内筒体22(22A・22B)の端面と外筒体23(23A・23B)の端面とが同一面上に位置して、相対的にフード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hが小さな収縮姿勢との間で姿勢変更できるように構成されている。
【0013】
内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)とはそれぞれ円筒状に形成されて、フード21(21A・21B)の軸心方向まわりに相対回動可能に構成されている。内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)との間に、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)との間に、内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)の相対回動動作を、フード21(21A・21B)の軸心方向の相対スライド動作に変換する動作変換構造77(77A・77B)が設けられている。動作変換構造77(77A・77B)は、内筒体22(22A・22B)の外周面と外筒体23(23A・23B)の内周面のいずれか一方に凹み形成された円筒カム溝78(78A・78B)と、他方に設けられ、円筒カム溝78(78A・78B)に沿って移動する突起79(79A・79B)とで構成されるカム機構からなる形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の動作試験器1においては、棒状支持体2の先端に連結される試験ユニット3を、個別に構成される、試験熱を生成する試験源25A(25)を備える加熱ユニット3A(3)と、試験煙を生成する試験源25B(25)を備える加煙ユニット3B(3)の二種を含むものとして、加熱ユニット3A(3)に棒状支持体2を連結することで加熱試験器1Aとして構成され、加煙ユニット3B(3)に棒状支持体2を連結することで加煙試験器1Bとして構成されるようにする。これによれば、試験ユニット3(3A・3B)を棒状支持体2に装着されるアタッチメントとして構成して、一つの棒状支持体2に対して、いずれか一方の試験ユニット3(3A・3B)を連結することで、動作試験器1を加熱試験器1Aと加煙試験器1Bとに適宜に切換えることができる。
このように、本発明によれば、一つの棒状支持体2を加熱試験器1Aと加煙試験器1Bとで共用するので、加熱試験器と加煙試験器のそれぞれに棒状支持体が設けられている構成に比べて、全体重量を小さくして運搬時における試験員の負担を小さくできる。また、本発明によれば、一つの棒状支持体の先端に設けられた本体部内に発熱手段と感知器加熱手段の両者が設けられている従来技術に係る動作試験器に比べて、各試験ユニット3(3A・3B)の重量、すなわち棒状支持体の先端側の重量を小さくできるので、試験員が天井に設置された各火災感知器に試験ユニット3(3A・3B)を被せ付ける際に持ち重りすることはなく、より軽い力で試験ユニット3(3A・3B)の位置を定めることができる。したがって、取扱い時における試験員の負担も小さくできる。
以上のように、本発明の動作試験器1によれば、感熱式および感煙式の両火災感知器100A・100B(100)の動作試験に対応でき、さらに運搬および取扱いにおける試験員の負担の軽減を図ることができる。
【0015】
棒状支持体2は、棒状の支持棒6と、支持棒6の先端に設けられるユニットソケット7とを有し、ユニットソケット7は、支持棒6と連結されるソケットベース8と、ソケットベース8から平行に延設される一対のソケットアーム9・9とを備えており、試験ユニット3(3A・3B)は、試験器本体19(19A・19B)を支持し、ユニットソケット7に連結される本体ホルダー20(20A・20B)を備え、本体ホルダー20(20A・20B)は、ソケットベース8の一対のソケットアーム9・9の間に差込まれる装着ブロック31(31A・31B)を備えている。そのうえで、連結構造43は、一対のソケットアーム9・9の間への装着ブロック31(31A・31B)の差込みにより係合される、各ソケットアーム9・9に対して装着ブロック31(31A・31B)を保持する一対の第1係合構造44、およびソケットベース8に対して装着ブロック31(31A・31B)を保持する第2係合構造45と、第1および第2の係合構造44・45でユニットソケット7に対して保持された本体ホルダー20(20A・20B)の分離を阻止するロック具46とで構成する。これによれば、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)とを連結する際には、一対のソケットアーム9・9の間へ装着ブロック31(31A・31B)を差し込むだけで、ユニットソケット7に対して本体ホルダー20(20A・20B)を第1および第2の係合構造44・45で保持することができるので、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)とを簡単な操作で迅速かつ素早く連結することができる。また、一対の第1係合構造44・44と第2係合構造45の3点で両者(ユニットソケット7・本体ホルダー20(20A・20B))をぐらつくことなく保持することができる。加えて、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)とが不用意に分離されることをロック具46で阻止して、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)との連結状態を確実に維持することができる。
【0016】
装着ブロック31(31A・31B)の外郭形状が、一対のソケットアーム9・9の対向面と、該対向面に連続するソケットベース8の外面とで形成される装着切欠13に合致する形状に形成されていると、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の装着位置を部材形状で明示できるので、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)との連結作業をスムーズに進めることができる。加えて、第1係合構造44が、装着切欠13に装着ブロック31(31A・31B)が差込まれた状態において正対する、装着ブロック31(31A・31B)とソケットアーム9のいずれか一方に設けられる突条からなる係合リブ47と、他方に設けられて係合リブ47を受け入れる溝からなる係合スリット48とで構成されていると、突条および溝からなる簡便な係合構造で第1係合構造44を構成することができる。したがって、第1係合構造44の構造が複雑化することに伴って、動作試験器1の全体コストが上昇することを抑えることができる。また、第2係合構造45が、装着切欠13に装着ブロック31(31A・31B)が差込まれた状態において正対する、装着ブロック31(31A・31B)とソケットベース8のいずれか一方に設けられる突起からなる係合突起49と、他方に設けられて係合突起49が嵌入される凹部からなる係合凹部50とで構成されていると、突起および凹部からなる簡便な係合構造で第2係合構造45を構成することができる。したがって、第2係合構造45の構造が複雑化することに伴って、動作試験器1の全体コストが上昇することを抑えることができる。
【0017】
装着ブロック31(31A・31B)に係合リブ47(47A・47B)が設けられ、各ソケットアーム9と係合リブ47(47A・47B)との間にロック具46が設けられている。そのうえで、ロック具46は、ソケットアーム9で上下回動可能に軸支され、ロック具46のロック状態とアンロック状態とを切換える操作レバー51と、一端が操作レバー51で回動可能に軸支される環状の係止環52と、係合リブ47(47A・47B)に設けられて、係止環52の他端が係止される係止フック53(53A・53B)とを備えるクイックファスナーで構成する。このようなクイックファスナーからなるロック具46によれば、係止環52を係止フック53(53A・53B)に係止し、操作レバー51を回動操作してクイックファスナーのロック状態を確立させるだけの簡単な操作で、ユニットソケット7から本体ホルダー20(20A・20B)が分離することを阻止することができる。また、ロック状態から操作レバー51を回動操作してクイックファスナーをアンロック状態とすることで、ユニットソケット7から本体ホルダー20(20A・20B)を分離可能な状態とすることができる。したがって、ユニットソケット7と本体ホルダー20(20A・20B)と着脱時におけるロック具46の状態を容易に切換えて、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)との着脱を迅速かつ素早く行うことができる。
【0018】
試験ユニット3(3A・3B)は、試験源25(25A・25B)の動作を制御する制御部27(27A・27B)を備えており、試験ユニット3(3A・3B)の制御部27(27A・27B)および試験源25(25A・25B)は、支持棒6に内蔵されたバッテリー68からユニットソケット7と本体ホルダー20(20A・20B)との間に設けられた給電構造72を介して電力が供給されるように構成されている。そのうえで、給電構造72は、係合突起49と係合凹部50のいずれか一方に設けられ、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の差込み方向に突設される通電ピン73と、他方に設けられ、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の差込み時に通電ピン73が差込み連結される通電ソケット74とで構成した。これによれば、第1および第2の係合構造44・45を係合させる操作に伴って給電構造72を構成する通電ピン73と通電ソケット74とを連結することができるので、別途電力を供給する構造の接続操作をする必要がない分、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)とをより容易に着脱することができる。
【0019】
試験器本体19(19A・19B)は、試験源25(25A・25B)が収容され、一方の開口が底蓋24(24A・24B)で閉塞される筒状の内筒体22(22A・22B)と、内筒体22(22A・22B)に外嵌する筒状の外筒体23(23A・23B)とを備える有底筒状のフード21(21A・21B)を備えており、内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)の筒軸心方向をフード21(21A・21B)の軸心方向と規定したとき、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)とは、フード21(21A・21B)の軸心方向に相対スライド可能に構成されており、内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)は、フード21(21A・21B)の開口側において内筒体22(22A・22B)の端面よりも外筒体23(23A・23B)の端面がフード21(21A・21B)の軸心方向に突出して、相対的にフード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hが大きな伸長姿勢と、フード21(21A・21B)の開口側において内筒体22(22A・22B)の端面と外筒体23(23A・23B)の端面とが同一面上に位置して、相対的にフード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hが小さな収縮姿勢との間で姿勢変更できるように構成した。これによれば、棒状支持体2に装着されていない試験ユニット3(3A・3B)の内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)を収縮姿勢とすることで、フード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hを小さくできるので、試験ユニット3(3A・3B)をコンパクト化することができる。したがって、棒状支持体2に装着されていない運搬や動作試験中に携帯される試験ユニット3(3A・3B)が嵩張ることを解消することができるので、単独の試験ユニット3(3A・3B)の運搬および取扱いを容易化することができる。
【0020】
内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)とはそれぞれ円筒状に形成されて、フード21(21A・21B)の軸心方向まわりに相対回動可能に構成されており、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)との間に、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)との相対回動動作を、内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)の相対回動動作を、フード21(21A・21B)の軸心方向の相対スライド動作に変換する動作変換構造77(77A・77B)が設けられている。そのうえで、動作変換構造77(77A・77B)は、内筒体22(22A・22B)の外周面と外筒体23(23A・23B)の内周面のいずれか一方に凹み形成された円筒カム溝78(78A・78B)と、他方に設けられ、円筒カム溝78(78A・78B)に沿って移動する突起79(79A・79B)とからなるカム機構で構成した。このようなカム機構からなる動作変換構造77(77A・77B)によれば、雌雄のねじ体を有する送りねじ機構に比べて、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)とを少ない回動角度で大きく相対スライドさせることができるので、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)との姿勢を簡便かつ迅速に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る動作試験器の全体構成を示す正面図である。
【
図2】棒状支持体に加熱ユニットを連結して動作試験器を加熱試験器として構成した状態を示す正面図である。
【
図3】棒状支持体に加煙ユニットを連結して動作試験器を加煙試験器として構成した状態を示す正面図である。
【
図4】動作試験器の全体を示す側面図であり、ユニットソケットを前方側に屈折させた状態を示している。
【
図5】第1係合構造およびロック具を示す部分破断正面図である。
【
図6】支持棒と連結軸との連結構造を示す分解正面図である。
【
図7】試験器本体のフードを構成する内筒体に対する外筒体のスライド変位について説明する図であり、(a)は伸長姿勢を示し、(b)は収縮姿勢を示す。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る動作試験器の要部の分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1から
図8に本発明に係る動作試験器の第1実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、
図1および
図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図1において動作試験器1は、火災感知器100の動作試験を行うために使用されるものであり、試験員(ユーザー)が把持する棒状支持体2と、棒状支持体2の先端に連結されて、火災感知器100を動作させる試験ユニット3とを備える。
【0023】
動作試験器1で動作試験を行う火災感知器100について、その外観の形態は複数あるが、
図2および
図3に示すような、天井面に固定される大径のベース部101と、ベース部101の下面中央から突出する小径のセンサ部102とを備えるものが一般的な形態である。また、通常の火災報知設備においては、熱を感知して動作する感熱式の火災感知器100Aと、煙を感知して動作する感煙式の火災感知器100Bとの二種の火災感知器100が設置される。感熱式の火災感知器100Aにおいては、熱を感知する感熱体103は下側のセンサ部102Aに収容されて、センサ部102Aの底面の露出口(図示していない)を介して下方(外方)へ露出している(
図2参照)。また、感煙式の火災感知器100Bにおいては、煙を感知する感煙部104は下側のセンサ部102Bに収容されて、センサ部102Bの周囲壁に煙の取込口が開口されている(
図3参照)。
【0024】
図1に示すように棒状支持体2は、棒状の支持棒6と、支持棒6の先端に設けられ、試験ユニット3が連結されるユニットソケット7とを備える。ユニットソケット7は、支持棒6と連結されるソケットベース8と、ソケットベース8から延設される左右一対のソケットアーム9・9とを備える。また、ソケットベース8は、正面視が略T字状であり板状のベース本体10と、支持棒6が連結される丸軸状の連結軸11とで構成されており、ベース本体10と連結軸11とはヒンジ12で水平軸まわりに回動可能に連結されている。
【0025】
図1に示すように一対のソケットアーム9・9は、ベース本体10の上端左右にそれぞれ上向きに設けられており、一対のソケットアーム9・9の対向面と、該対向面に連続するソケットベース8の外面とで、試験ユニット3が装着される横臥コ字状の装着切欠13が形成されている。具体的には、装着切欠13は、左側のソケットアーム9の右側内面と、右側のソケットアーム9の左側内面と、ベース本体10の上面とで画成されており、装着切欠13の左右辺(左右のソケットアーム9・9の内面どうし)は平行な直線面とされ、装着切欠13の下辺(ベース本体10の上面)は下突状の湾曲面とされている。
【0026】
図1および
図6に示すようにヒンジ12は、ベース本体10の下端に一体に設けられる左右一対のヒンジアーム14と、連結軸11の上端に一体に設けられるヒンジブロック15と、一対のヒンジアーム14およびヒンジブロック15を連結するヒンジ軸16とを備えている。ヒンジ12はトルクヒンジで構成されており、ベース本体10と連結軸11とは、ベース本体10の長手方向(
図1における上下方向)が連結軸11の中心軸(
図1における上下方向)と一致する直立姿勢(
図2、
図3参照)と、ベース本体10の長手方向が連結軸11の中心軸と直交する直交姿勢(
図4参照)との間で90度回動できる。ヒンジ12はトルクヒンジで構成されているので、直立姿勢と直交姿勢との間の任意の屈折角度において、連結軸11に対するベース本体10の姿勢が維持される。
【0027】
図1に示すように試験ユニット3は、感熱式の火災感知器100A(100)に試験熱を付与する加熱ユニット3Aと、感煙式の火災感知器100B(100)に試験煙を供給する加煙ユニット3Bとを有し、加熱ユニット3Aを棒状支持体2に連結することで動作試験器1は
図2に示す加熱試験器1Aとして構成され、加煙ユニット3Bを棒状支持体2に連結することで動作試験器1は
図3に示す加熱試験器1Bとして構成される。試験ユニット3である加熱ユニット3Aと加煙ユニット3Bとは、火災感知器100(100A・100B)を動作させる試験要素が異なる以外は同様の構成とされており、以下の記載および各図面においては、説明および図示を簡略化するために両試験ユニット3A・3Bで同様の構成および機能を有する部材については同一の数字符号を付与する。そのうえで、加熱ユニット3Aを構成するものには数字符号の後に「A」を付し、加煙ユニット3Bを構成するものには符号数字の後に「B」を付して区別し、適宜、「数字符号A」「数字符号B」の記載は省略する。
【0028】
図1から
図3に示すように試験ユニット3(加熱ユニット3A・加煙ユニット3B)は、火災感知器100(感熱式の火災感知器100A・感煙式の火災感知器100B)に被せ付けられる有底筒状の試験器本体19(19A・19B)と、試験器本体19を回動自在に支持する本体ホルダー20(20A・20B)とを備える。試験器本体19は、筐体となるフード21(21A・21B)を備え、フード21は円筒状(筒状)の内筒体22(22A・22B)と、内筒体22に外嵌する円筒状(筒状)の外筒体23(23A・23B)と、内筒体22の下側(一方)の開口を閉塞する丸皿状の底蓋24(24A・24B)とで構成される。試験器本体19の内筒体22と外筒体23の上下高さ寸法は略同一に設定されている。
【0029】
内筒体22(22A・22B)と底蓋24(24A・24B)とで囲まれる空間には、火災感知器100を動作させる試験要素である試験源25が配されている。加熱ユニット3Aにおける試験源25は、試験熱を生成するヒーター26A(26)を有するヒーターユニット25Aで構成されており、加煙ユニット3Bにおける試験源25は、煙源となるパラフィンを気化させて試験煙を生成するヒーター26B(26)を有する発煙ユニット25Bで構成されている。試験源25(ヒーターユニット25A・発煙ユニット25B)は、本体ホルダー20の内部に設けられる制御部27(27A・27B)で駆動状態が制御される。
【0030】
図1から
図3に示すように本体ホルダー20(20A・20B)は、試験器本体19(19A・19B)を水平軸まわりに回動自在に支持するホルダー支持枠30(30A・30B)と、ホルダー支持枠30の下側に一体に設けられ、ユニットソケット7の装着切欠13に差込まれる装着ブロック31(31A・31B)とを備え、ユニットソケット7のベース本体10と略同厚の板状に形成されている。ホルダー支持枠30は、部分円弧状の枠基部32(32A・32B)と枠基部32の両端からそれぞれ上方に伸びる左右一対の支持アーム33(33A・33B)・33とを備え、各支持アーム33に左右方向に形成された貫通孔からなる支持孔34(34A・34B)で、外筒体23の外周面の左右に突設された丸軸からなる回動軸35(35A・35B)を軸支することで、試験器本体19(19A・19B)は、ホルダー支持枠30(30A・30B)に対して回動自在に支持される。内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)の筒軸心方向をフード21(21A・21B)の軸心方向と規定したとき、回動軸35(35A・35B)まわりに軸支される試験器本体19(19A・19B)は、自重でフード21(21A・21B)の軸心方向が上下方向に指向するように回動する。各支持アーム33の先端には、支持アーム33の伸び方向に光を照射するLEDからなる照明36(36A・36B)が設けられている。
【0031】
図1に示すように、装着ブロック31の左右幅は、枠基部32の左右幅よりも小さく形成されており、左右および下側の外郭形状は、装着切欠13に合致する形状に形成されている。具体的には、装着ブロック31の左右幅寸法は、装着切欠13の左右幅寸法と略同一に形成されており、装着ブロック31の左右辺(装着ブロック31の左右側面)は直線面とされ、装着ブロック31の下辺(装着ブロック31の下面)は下突状の湾曲面とされている。なお、一対のソケットアーム9・9の上端面は、装着ブロック31の左右における枠基部32の下面に接触するように形成されている(
図2、
図3参照)。
【0032】
加熱ユニット3Aの制御部27Aは、装着ブロック31Aおよび枠基部32Aに跨って内蔵されており、支持アーム33Aおよび回動軸35Aを介してヒーターユニット25Aに接続されている。また、照明36Aも制御部27Aでオンオフが制御される。同様に、加煙ユニット3Bの制御部27Bは、装着ブロック31Bおよび枠基部32Bに跨って内蔵されており、支持アーム33Bおよび回動軸35Bを介して発煙ユニット25Bに接続されている。また、照明36Bも制御部27Bでオンオフが制御される。
【0033】
図2および
図3に示すように、ホルダー支持枠30(30A・30B)の後面には、制御部27(27A・27B)を操作する操作パネル37(37A・37B)が設けられており、操作パネル37には、制御部27のオンオフおよびモードを変更するボタンや照明36のオンオフを変更するボタン群38(38A・38B)と、試験源25(ヒーターユニット25A・発煙ユニット25B)の駆動状態を表示するインジケータランプ39(39A・39B)が設けられている。
図2および
図3において符号40は、制御部27に駆動信号を無線送信する駆動スイッチである。加熱ユニット3Aにおいては、駆動スイッチ40から送信された信号を制御部27Aが受信すると、制御部27Aは選択されたモードに応じてヒーター26Aに通電してヒーターユニット25Aを駆動し、感熱式の火災感知器100Aを加熱する試験熱を生成する。また、加煙ユニット3Bにおいては、駆動スイッチ40から送信された信号を制御部27Bが受信すると、制御部27Bは選択されたモードに応じてヒーター26Bに通電して発煙ユニット25Bを駆動し、感煙式の火災感知器100Bに供給する試験煙を生成する。
【0034】
図1に示すように棒状支持体2と試験ユニット3、すなわち棒状支持体2と加熱ユニット3A(3)、または棒状支持体2と加煙ユニット3B(3)は、ユニットソケット7と本体ホルダー20(20A・20B)との間に設けられた連結構造43で連結される。連結構造43は、装着ブロック31(31A・31B)と各ソケットアーム9・9との間に設けられ、各ソケットアーム9・9に対して装着ブロック31を保持する左右一対の第1係合構造44・44と、装着ブロック31とベース本体10(ソケットベース8)との間に設けられ、ベース本体10に対して装着ブロック31を保持する第2係合構造45とを備え、第1および第2の係合構造44・45は、ともに一対のソケットアーム9・9の間、換言すれば装着切欠13への装着ブロック31(31A・31B)の差込み操作により係合される。また、連結構造43は、第1および第2の係合構造44・45でユニットソケット7に対して保持された装着ブロック31の分離を阻止する左右一対のロック具46を備えている。
【0035】
図1から
図3において第1係合構造44は、装着切欠13に装着ブロック31(31A・31B)が差込まれた状態において、装着ブロック31とソケットアーム9とが正対する部分における装着ブロック31側に設けられる突条からなる係合リブ47(47A・47B)と、ソケットアーム9側に設けられて係合リブ47を受け入れる溝からなる係合スリット48とで構成されている。係合リブ47は、装着ブロック31と枠基部32とに跨るように形成されており、その前後厚みが装着ブロック31の略半分であって装着ブロック31の前後方向の略中央に設けられている。係合スリット48を構成する溝は、ソケットアーム9の上面および左右の側面に開口する状態で形成されている。係合リブ47と係合スリット48とは、装着切欠13に対して装着ブロック31をソケットアーム9の伸び方向に沿ってスライドさせるように差し込むことで係合状態を確立できる。係合状態が確立された係合リブ47と係合スリット48とは、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20の前後方向の移動を規制した状態で、ソケットアーム9に対して装着ブロック31を保持する。
【0036】
図1から
図3において第2係合構造45は、装着切欠13に装着ブロック31(31A・31B)が差込まれた状態において、装着ブロック31とベース本体10(ソケットベース8)とが正対する部分における装着ブロック31側に設けられる突起からなる係合突起49(49A・49B)と、ベース本体10側に設けられて係合突起49が嵌入される有底穴(凹部)からなる係合凹部50とで構成されている。係合突起49は、装着ブロック31の下面の左右中央において下向きに突設され、係合凹部50を構成する有底穴は、ベース本体10の上面の左右中央において下向きに凹み形成されている。係合突起49と係合凹部50とは、装着切欠13に対して装着ブロック31をソケットアーム9の伸び方向に沿ってスライドさせるように差し込むことで係合状態を確立できる。係合状態が確立された係合突起49と係合凹部50とは、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20の前後方向の移動を規制した状態で、ベース本体10に対して装着ブロック31を保持する。
【0037】
上記の第1および第2の係合構造44・45の係合方向は、共にソケットアーム9の伸び方向である上下方向に設定されており、第1係合構造44の係合リブ47と係合スリット48、および第2係合構造45の係合突起49と係合凹部50とは、上記のような装着切欠13に対して装着ブロック31をソケットアーム9の伸び方向に沿ってスライドさせるように差し込む操作で両係合構造44・45を同時に係合させることができる。
【0038】
ロック具46は、ソケットアーム9で上下回動可能に軸支される操作レバー51と、一端が操作レバー51で回動可能に軸支される四角環状(環状)の係止環52と、係合リブ47(47A・47B)に設けられて、係止環52の他端が係止される係止フック53(53A・53B)とを備える、クイックファスナー(パチン錠)からなる係止構造とされている。ロック具46を
図5に示すロック状態とするときには、操作レバー51を上方へ回動させた状態で、係止環52の自由端側を係止フック53に係止し、さらに係止フック53に対する係止環52の係止状態を維持したままで、操作レバー51を下方へ回動させる操作を行う。逆に、ロック具46を
図5の二点鎖線で示すアンロック状態とするときには、操作レバー51を上方へ回動させ、さらに、係止フック53から係止環52の自由端側を抜き出す操作を行う。
【0039】
棒状支持体2を構成する支持棒6とユニットソケット7とは着脱可能に構成されている。具体的には、
図6に示すように、支持棒6が連結される連結軸11は段付き軸状に形成された軸本体56を備えている。軸本体56の小径軸部は、下端が開口し支持棒6の直径と略同一の内径を有する中空軸状に形成されており、当該小径軸部に中空軸状のロック軸57が外嵌される。軸本体56の小径軸部の外面には雄ねじ体58が刻設されており、軸本体56の小径軸部の下端は、周回方向に複数のスリットが設けられた拡縮可能な拡縮軸59とされている。ロック軸57の内面には雄ねじ体58と螺合する雌ねじ体60が刻設されており、雌ねじ体60の下方に、拡縮部59を縮径変形させるテーパー面からなる作用面61が設けられている。
【0040】
図2および
図3に示すように支持棒6の下端には、下端が開口し支持棒6の直径と略同一の内径を有する中空軸からなる延長軸62が設けられており、延長軸62の外面には雄ねじ体63が刻設され、延長軸62の下端は、周回方向に複数のスリットが設けられた拡縮軸64とされている。
図4において符号65は、拡縮軸64を保護するキャップである。先のロック軸57と支持棒6とを別途用意し、延長軸62に連結することで支持棒6の長さを延長することができる。
【0041】
図4に示すように支持棒6の上端内部には二次電池からなるバッテリー68が着脱可能に設けられている。試験ユニット3(加熱ユニット3A・加煙ユニット3B)の制御部27(27A・27B)、試験源25(ヒーターユニット25A・発煙ユニット25B)、および照明36(36A・36B)は、バッテリー68から出力される電力で駆動される。
図6において符号69はバッテリー68から導出される給電リードであり、符号70は、ユニットソケット7内に配線された受電リードである。給電リード69と受電リード70とは、着脱可能なコネクタ71で接続される。
【0042】
支持棒6と連結軸11との連結は、まず、ロック軸57を支持棒6に外嵌させた状態で、分離されているコネクタ71を連結して給電リード69と受電リード70とを接続する。続いて、支持棒6の先端を軸本体56の小径軸部に下方から差込み、この状態で軸本体56の雄ねじ体58とロック軸57の雌ねじ体60とを螺合させる。さらにロック軸57を締込み操作すると、ロック軸57の作用面61で拡縮軸59が縮径され、支持棒6は拡縮軸59で抱持固定される。これにて、支持棒6と連結軸11とは相対回転不能かつ分離不能に連結される。
【0043】
ユニットソケット7から試験ユニット3(加熱ユニット3A・加煙ユニット3B)へ電力を送給するために、ユニットソケット7と本体ホルダー20(20A・20B)との間に、給電構造72が設けられている。給電構造72は第2係合構造45に設けられており、係合凹部50に設けられ、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の差込み方向(上下方向)に突設される通電ピン73と、係合突起49(49A・49B)に設けられ、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の差込み時に通電ピン73が差込み連結される通電ソケット74(74A・74B)とで構成される。棒状支持体2に試験ユニット3(加熱ユニット3A・加煙ユニット3B)を連結すると、通電ピン73と通電ソケット74とが接続され、給電構造72の通電状態が確立される。
【0044】
図7および
図8に示すように、フード21(21A・21B)を構成する円筒状の内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)は、フード21の軸心方向まわりに相対回動可能に構成されている。また、内筒体22と外筒体23との間には、内筒体22と外筒体23との相対回動動作を、内筒体22と外筒体23とのフード21の中心軸方向の相対スライド動作に変換する動作変換構造77(77A・77B)が設けられている。当該動作変換構造77により、内筒体22と外筒体23とはフード21の軸心方向に相対スライド変位可能にも構成されている。
【0045】
具体的には、動作変換構造77(77A・77B)は、外筒体23(23A・23B)の内周面に凹み形成された円筒カム溝78(78A・78B)と、内筒体22(22A・22B)の外周面に設けられ、円筒カム溝78に沿って移動する突起79(79A・79B)とからなるカム機構で構成されている。円筒カム溝78は、外筒体23の周方向に対して傾斜する溝からなり、外筒体23の内周面の4か所に等間隔置きに設けられている。突起79は、内筒体22の外周面から外向きに突設される丸軸からなり、円筒カム溝78に対応するように内筒体22の外周面の4か所に等間隔置きに設けられている。
【0046】
外筒体23に対して内筒体22を時計まわりに回転させ、突起79が平面視における円筒カム溝78の時計まわり方向の端部に位置するとき、内筒体22と外筒体23とは、フード21の開口側の端面、すなわち内筒体22の上端面よりも外筒体23の上端面が上方に突出する伸長姿勢(
図7(a)参照)とされ、相対的にフード21(21A・21B)の軸心方向の寸法H(外筒体23の上端面と底蓋24の底面との間の寸法)が大きくなる。伸長姿勢における内筒体22と外筒体23とは、内筒体22の上側と外筒体23の下側との一部が重畳している。また、外筒体23に対して内筒体22を反時計まわりに回転させ、突起79が平面視における円筒カム溝78の反時計まわり方向の端部に位置するとき、内筒体22と外筒体23とは、フード21の開口側の端面、すなわち内筒体22の上端面と外筒体23の上端面とが同一面上に位置する収縮姿勢(
図7(b)参照)とされ、相対的にフード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hが小さくなる。収縮姿勢における内筒体22と外筒体23とは、内筒体22と外筒体23との全体が重畳している。
【0047】
図7および
図8に示すように、内筒体22と外筒体23との相対位置を位置で固定するためのロック構造80が設けられており、ロック構造80(80A・80B)は、外筒体23(23A・23B)の前側壁を貫通するねじ孔81(81A・81B)と、ねじ孔81にねじ込まれる雄ねじ軸を有する固定ピン82(82A・82B)とで構成されている。固定ピン82をねじ込んで内筒体22側に移動させることで、固定ピン82はその先端で内筒体22を押圧し、当該押圧により内筒体22が外筒体23の内周面に押付けられることにより、内筒体22と外筒体23との相対回動が規制される。
【0048】
動作試験器1を感熱式の火災感知器100Aの動作試験を行う加熱試験器1Aとして使用したい場合には、棒状支持体2に加熱ユニット3A(試験ユニット3)を連結する。具体的には、ユニットソケット7の装着切欠13に対して加熱ユニット3Aの装着ブロック31Aをソケットアーム9に沿って差込み、第1係合構造44・44および第2係合構造45を係合させ、ユニットソケット7に加熱ユニット3Aを保持させる。当該保持とともに給電構造72の通電状態が確立される。続いて、左右のロック具46をロック状態とすることで、棒状支持体2に対する加熱ユニット3Aの連結が完了し、動作試験器1を
図2に示す加熱試験器1Aとして構成することができる。
【0049】
また、動作試験器1を感煙式の火災感知器100Bの動作試験を行う加煙試験器1Bとして使用したい場合には、棒状支持体2に加煙ユニット3B(試験ユニット3)を連結する。具体的には、ユニットソケット7の装着切欠13に対して加煙ユニット3Bの装着ブロック31Bをソケットアーム9に沿って差込み、第1係合構造44・44および第2係合構造45を係合させ、ユニットソケット7に加煙ユニット3Bを保持させる。当該保持とともに給電構造72の通電状態が確立される。続いて、左右のロック具46をロック状態とすることで、棒状支持体2に対する加煙ユニット3Bの連結が完了し、動作試験器1を
図3に示す加煙試験器1Bとして構成することができる。
【0050】
動作試験器1を加熱試験器1Aとして構成したときの加煙ユニット3B(3)、あるいは動作試験器1を加煙試験器1Bとして構成したときの加熱ユニット3A(3)である棒状支持体2に装着されていない試験ユニット3は、試験員のベルト等にホルスター状の収納具を取付け、当該収納具に収納すれば運搬および動作試験の邪魔になることがない。このとき、フード21(21A・21B)を収縮姿勢として、試験ユニット3(3A・3B)のサイズをコンパクト化し、さらにフード21(21A・21B)の軸心方向に対して支持アーム33(33・33)の伸び方向を直交させた状態(
図7(b)の状態)で収納具に収納するとよい。
【0051】
続いて、火災感知器100の動作試験について説明する。動作試験では、試験員は棒状支持体2に試験対象となる火災感知器100の感知方式に適合する試験ユニット3(加熱ユニット3A・加煙ユニット3B)を連結し、ボタン群38を操作して制御部27の電源を投入し、さらに駆動するモードを選択する。続いて、フード21を伸長姿勢に、ベース本体10と連結軸11とを直立姿勢(
図2、
図3参照)にして、フード21(21A・21B)を火災感知器100(感熱式の火災感知器100A・感煙式の火災感知器100B)に下方から被せ付ける。これにより、外筒体23(23A・23B)の上端面が天井面に受け止められて、試験器本体19(19A・19B)を火災感知器100(100A・100B)の動作試験を行う位置に配することができる。試験器本体19が火災感知器100に被せ付けられた状態においては、ベース部101(101A・101B)が外筒体23(23A・23B)の内側に、またセンサ部102(102A・102B)が内筒体22(22A・22B)の内側に、それぞれ収容される。
【0052】
この状態で駆動スイッチ40を押込み操作すると、加熱試験器1Aの場合には、ヒーター26Aが発熱することで試験熱が生成され、当該試験熱を感熱体103が感知すると、火災感知器100Aが動作する。また、加煙試験器1Bの場合には、ヒーター26Bの発熱によりパラフィンが気化されて試験煙が生成され、当該試験煙を感煙部104が感知すると、火災感知器100Bが動作する。感熱式および感煙式の両火災感知器100A・100Bが設置された部屋においては、まずいずれか一方の火災感知器100A(100B)の動作試験を終えたのち試験ユニット3(3A・3B)を交換し、他方の火災感知器100B(100A)の動作試験を行うことで、効率よく設備点検を進めることができる。
【0053】
例えば、倉庫や住宅の押入れ等では、試験対象の火災感知器100(100A・100B)の下方に物品が置かれている場合があり、このような状況においては、
図4に示すようにベース本体10と連結軸11とを直交姿勢として天井と物品の間隙に差込むようにすることで、支持棒6を傾斜させることなく試験器本体19(19A・19B)を火災感知器100(100A・100B)の動作試験を行う位置に容易に配することができる。このように支持棒6を傾斜させることなく火災感知器100(100A・100B)に試験器本体19(19A・19B)を被せ付けることができるようにすると、動作試験器1(加熱試験器1A・加煙試験器1B)を把持する試験員の手元を中心とする回動モーメントが動作試験器1に生じることを抑制して、持ち重りすることなく動作試験を行うことができる。
【0054】
以上のように、本実施形態の動作試験器1では、棒状支持体2の先端に連結される試験ユニット3を、個別に構成される、加熱ユニット3A(3)および加煙ユニット3B(3)の二種を含むアタッチメントとして構成したので、ひとつの棒状支持体2に対して、適宜に加熱ユニット3A(3)あるいは加煙ユニット3B(3)を連結構造43で連結することで、動作試験器1を感熱式の火災感知器100Aの動作試験を行う加熱試験器1Aと、感煙式の火災感知器100Bの動作試験を行う加煙試験器1Bとに切換えることができる。また、棒状支持体2を加熱試験器1Aと加煙試験器1Bとで共用するようにしたので、動作試験器1の運搬および取扱いを容易化することが可能となる。さらに、加熱ユニット3A(3)は試験熱を生成する試験源25A(25)を備えるものとし、加煙ユニット3B(3)は試験煙を生成する試験源25B(25)を備えるものとして個別に構成したので、それぞれの試験ユニット3(3A・3B)が重量化することを回避して、天井に設置された火災感知器100(100A・100B)に対して試験器本体19(19A・19B)を容易に被せ付けることができ、持ち重りが生じることもない。以上のように、本実施形態の動作試験器1によれば、感熱式および感煙式の両火災感知器100A・100B(100)の動作試験に対応でき、さらに運搬および取扱いにおける試験員の負担の軽減を図ることができる。
【0055】
連結構造43を、一対のソケットアーム9・9の間への装着ブロック31(31A・31B)の差込みにより係合される、各ソケットアーム9・9に対して装着ブロック31(31A・31B)を保持する一対の第1係合構造44、およびソケットベース8に対して装着ブロック31(31A・31B)を保持する第2係合構造45と、第1および第2の係合構造44・45でユニットソケット7に対して保持された本体ホルダー20(20A・20B)の分離を阻止するロック具46とを備えるものとした。これによれば、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)とを連結する際には、一対のソケットアーム9・9の間へ装着ブロック31(31A・31B)を差し込むだけで、ユニットソケット7に対して本体ホルダー20(20A・20B)を第1および第2の係合構造44・45で保持することができるので、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)とを簡単な操作で迅速かつ素早く連結することができる。また、一対の第1係合構造44・44と第2係合構造45の3点で両者(ユニットソケット7・本体ホルダー20(20A・20B))をぐらつくことなく保持することができる。加えて、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)とが不用意に分離されることを阻止するロック具46を備えるものとしたので、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)との連結状態を確実に維持することができる。
【0056】
装着ブロック31(31A・31B)の外郭形状を、一対のソケットアーム9・9の対向面と、該対向面に連続するソケットベース8の外面とで形成される装着切欠13に合致する形状に形成したので、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の装着位置を部材形状で明示でき、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)との連結作業をスムーズに進めることができる。加えて、第1係合構造44を、装着ブロック31(31A・31B)に設けられる突条からなる係合リブ47(47A・47B)と、ソケットアーム9に設けられて係合リブ47を受け入れる溝からなる係合スリット48とで構成したので、突条および溝からなる簡便な係合構造で第1係合構造44を構成して、第1係合構造44の構造が複雑化することに伴うコストアップを抑えることができる。また、第2係合構造45を、装着ブロック31(31A・31B)に設けられる突起からなる係合突起49(49A・49B)と、ソケットベース8に設けられて係合突起49が嵌入される凹部からなる係合凹部50とで構成したので、突起および凹部からなる簡便な係合構造で第2係合構造45を構成して、第2係合構造45の構造が複雑化することに伴うコストアップを抑えることができる。
【0057】
ロック具46を、ソケットアーム9で上下回動可能に軸支され、ロック具46のロック状態とアンロック状態とを切換える操作レバー51と、一端が操作レバー51で回動可能に軸支される環状の係止環52と、係合リブ47(47A・47B)に設けられて、係止環52の他端が係止される係止フック53(53A・53B)とを備えるクイックファスナーで構成したので、係止環52を係止フック53(53A・53B)に係止し、操作レバー51を回動操作してクイックファスナーのロック状態を確立させるだけの簡単な操作で、ユニットソケット7から本体ホルダー20(20A・20B)が分離されることを阻止することができる。また、ロック状態から操作レバー51を回動操作してクイックファスナーをアンロック状態とすることで、ユニットソケット7から本体ホルダー20(20A・20B)を分離可能な状態とすることができる。したがって、ユニットソケット7と本体ホルダー20(20A・20B)と着脱時におけるロック具46の状態を容易に切換えて、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)との着脱を迅速かつ素早く行うことができる。
【0058】
給電構造72を、係合凹部50に設けられ、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の差込み方向に突設される通電ピン73と、係合突起49(49A・49B)に設けられ、ユニットソケット7に対する本体ホルダー20(20A・20B)の差込み時に通電ピン73が差込み連結される通電ソケット74とで構成したので、第1および第2の係合構造44・45を係合させる操作に伴って給電構造72を構成する通電ピン73と通電ソケット74とを連結することができる。したがって、別途電力を供給する構造の接続操作をする必要がない分、棒状支持体2と試験ユニット3(3A・3B)とをより容易に着脱することができる。
【0059】
内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)を、フード21(21A・21B)の開口側において内筒体22(22A・22B)の端面よりも外筒体23(23A・23B)の端面がフード21(21A・21B)の軸心方向に突出して、相対的にフード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hが大きな伸長姿勢と、フード21(21A・21B)の開口側において内筒体22(22A・22B)の端面と外筒体23(23A・23B)の端面とが同一面上に位置して、相対的にフード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hが小さな収縮姿勢との間で姿勢変更できるように構成したので、棒状支持体2に装着されていない試験ユニット3(3A・3B)の内外の筒体22(22A・22B)・23(23A・23B)を収縮姿勢とすることで、フード21(21A・21B)の軸心方向の寸法Hを小さくできる。したがって、試験ユニット3(3A・3B)をコンパクト化することができ、棒状支持体2に装着されていない運搬や動作試験中に携帯される試験ユニット3(3A・3B)が嵩張ることを解消することができるので、単独の試験ユニット3(3A・3B)の運搬および取扱いを容易化することができる。
【0060】
内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)との相対回動動作を、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)とのフード21(21A・21B)の軸心方向の相対スライド動作に変換する動作変換構造77(77A・77B)を、内筒体22(22A・22B)の外周面と外筒体23(23A・23B)の内周面のいずれか一方に凹み形成された円筒カム溝78(78A・78B)と、他方に設けられ、円筒カム溝78(78A・78B)に沿って移動する突起79(79A・79B)とからなるカム機構で構成したので、雌雄のねじ体を有する送りねじ機構に比べて、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)とを少ない回動角度で大きく相対スライドさせることができ、内筒体22(22A・22B)と外筒体23(23A・23B)との姿勢を簡便かつ迅速に変更することができる。
【0061】
(第2実施形態)
図9に本発明に係る動作試験器の第2実施形態を示す。本実施形態では、装着切欠13に対する装着ブロック31(31A・31B)の差込みをガイドするガイド構造85を設けた点が第1実施形態と相違する。なお、加熱ユニット3Aおよび加煙ユニット3Bとは試験要素以外は同様の構成のため、
図9では数字符号の後の「A」および「B」は省略して図示する。ガイド構造85(85A・85B)は、装着ブロック31の左右の側面および下面に突設された左右一対のガイドリブ86(86A・86B)と、装着切欠13を形成する両ソケットアーム9・9の対向面およびベース本体10の上面に凹み形成され、ガイドリブ86を受け入れる一対のガイド溝87(87A・87B)とで構成される。ガイドリブ86は、一端が係合リブ47に連続し、他端が係合突起49に至る。ガイド溝87は、一端が係合スリット48に連通し、他端が係合凹部50に至る。
【0062】
ユニットソケット7に対して本体ホルダー20(20A・20B)を連結するとき、差し込み初期にガイド溝87にガイドリブ86を挿入することで、装着切欠13と装着ブロック31とがソケットアーム9の伸び方向に沿ってガイドされつつ差し込むことができ、最終的に第1および第2の係合構造44・45が係合される。したがって、装着切欠13と装着ブロック31との差し込み時に、ガイドリブ86とガイド溝87とを一旦位置合わせしたのちは、ユニットソケット7と本体ホルダー20とを近付ける方向に力を加えるだけで、第1および第2の係合構造44・45が係合される。このように、装着切欠13と装着ブロック31との差し込み初期からガイド構造85で両者(装着切欠13、装着ブロック31)を案内するので、より容易に連結作業を進めることができる。他の構成および作用効果は第1実施形態と同様であるため、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
上記の実施形態以外に、試験ユニット3は加熱ユニット3Aおよび加煙ユニット3Bに限らず、炎を感知する火災感知器を試験するためのユニットなど、他の感知形式の火災感知器を試験するためのユニットを用意することもできる。内外の筒体22・23は、円筒状に限らず、楕円筒状、多角形筒状であってもよい。第1係合構造44は、装着ブロック31に係合スリット48が設けられ、ソケットアーム9に係合リブ47が設けられる形態であってもよい。また、第2係合構造45は、装着ブロック31に係合凹部50が設けられ、ベース本体10(ソケットベース8)に係合突起49が設けられる形態であってもよい。給電構造72は、係合凹部50に通電ソケット74が設けられ、係合突起49に通電ピン73が設けられる形態であってもよい。バッテリー68は一次電池であってもよい。ヒンジ12はトルクヒンジに限らず、ねじ構造や偏芯カム構造等で一対のヒンジアーム14・14とヒンジブロック15とを挟持することで屈折角度が維持される形態のヒンジであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 動作試験器
1A 加熱試験器
1B 加煙試験器
2 棒状支持体
3 試験ユニット
3A 加熱ユニット
3B 加煙ユニット
6 支持棒
7 ユニットソケット
8 ソケットベース
9 ソケットアーム
13 装着切欠
19(19A・19B) 試験器本体
20(20A・20B) 本体ホルダー
21(21A・21B) フード
22(22A・22B) 内筒体
23(23A・23B) 外筒体
24(24A・24B) 底蓋
25 試験源
25A 試験源(ヒーターユニット)
25B 試験源(発煙ユニット)
27(27A・27B) 制御部
31(31A・31B) 装着ブロック
43 連結構造
44 第1係合構造
45 第2係合構造
46 ロック具
47(47A・47B) 係合リブ
48 係合スリット
49 係合突起
50 係合凹部
51 操作レバー
52 係止環
53(53A・53B) 係止フック
68 バッテリー
72 給電構造
73 通電ピン
74 通電ソケット
77(77A・77B) 動作変換構造
78(78A・78B) 円筒カム溝
79(79A・79B) 突起
H フードの軸心方向の寸法
【要約】
【課題】感熱式および感煙式の両火災感知器の動作試験に対応でき、さらに運搬および取扱いにおける試験員の負担の軽減を図ることができる動作試験器を提供する。
【解決手段】動作試験器1は、試験源25を有する試験器本体19を備える試験ユニット3と、試験ユニット3が先端に連結される棒状支持体2とを備える。試験ユニット3は、個別に構成される、試験熱を生成する試験源25A(25)を備える加熱ユニット3A(3)、および試験煙を生成する試験源25B(25)を備える加煙ユニット3B(3)の二種を含む。加熱ユニット3A(3)または加煙ユニット3B(3)と棒状支持体2とは、共通の構成からなる連結構造43で一体的に連結できるようになっており、加熱ユニット3A(3)と棒状支持体2とを連結することで加熱試験器1Aとして構成され、加煙ユニット3B(3)と棒状支持体2とを連結することで加煙試験器1Bとして構成される。
【選択図】
図1