(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】内部温度測定装置、内部温度測定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
A61B5/01 100
A61B5/01 ZDM
(21)【出願番号】P 2022530851
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022007428
【審査請求日】2022-05-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518224912
【氏名又は名称】Biodata Bank株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(72)【発明者】
【氏名】小寺 裕也
(72)【発明者】
【氏名】塩津 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】平山 勝啓
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-176934(JP,A)
【文献】特開2018-044804(JP,A)
【文献】特表2019-516960(JP,A)
【文献】国際公開第2020/184511(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
112)と、該熱電素子(
112)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(
111)と、を含み、該熱電素子(
112)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第1温度、該熱電素子(
112)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第2温度を出力する測定部(
1,41,42)と、
前記測定部(
1,41,42)から前記第1熱流量と前記第1温度とを取得し、前記熱電素子(
112)に電力を供給して前記被測定対象の表面の温度を変化させた後に、前記測定部(
1,41,42)から前記第2熱流量と前記第2温度とを取得し
、前記測定部(
1,41,42)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める制御部(6)と、
を備える内部温度測定装置(
100)。
【請求項2】
前記制御部(6)は、前記熱電素子(
112)に所定期間電力を供給した後、前記測定部(
1,41,42)から入力される前記熱流量が一定になったか否かを判別し、
前記熱流量が一定になったと判別した場合、前記測定部(
1,41,42)から入力される該熱流量と前記温度とを、前記第2熱流量及び前記第2温度として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の内部温度測定装置(
100)。
【請求項3】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
821)と、該熱電素子(
821)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(
111)と、熱源として利用される熱源用熱電素子(822)と、を含み、該熱電素子(
821)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第1温度、該熱電素子(
821)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第2温度を出力する測定部(
71)と、
前記熱電素子(821)によって測定された前記第1熱流量、及び前記温度センサ(111)によって測定された前記第1温度を取得し、前記
熱源用熱電素子(822)に電力を供給して前記被測定対象の表面の温度を変化させた後に、前記熱電素子(821)によって測定された前記第2熱流量、及び前記温度センサ(111)によって測定された前記第2温度を取得し、前記測定部(
71)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める制御部(6)と、
を備える内部温度測定装置(700)。
【請求項4】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
112)と、該熱電素子(
112)の該被測定対象側の面の温度を測定する第1及び第2温度センサ
を含む温度センサ(611,612)と、を含み、前記第2温度センサ(612)と前記第1温度センサ(611)と前記熱電素子(112)とを略等間隔で配置し、該熱電素子(
112)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(
611,612)が測定した第1温度、該熱電素子(
112)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
611,612)が測定した第2温度を出力する測定部(
101)と、
前記第2温度センサ(612)によって測定された温度と、前記第1温度センサ(611)によって測定された温度と、が略同一である場合、該第1温度センサ(611)によって測定された温度を、該熱電素子(112)の該被測定対象側の面の温度として取得し、前記第2温度センサ(612)によって測定された温度と、前記第1温度センサ(611)によって測定された温度と、が略同一でない場合、該第2温度センサ(612)によって測定された温度と該第1温度センサ(611)によって測定された温度との差分と、該第1温度センサ(611)によって測定された温度と、から前記熱電素子(112)の前記被測定対象側の面の温度を求め、前記測定部(
101)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める制御部(6)と、
を備える内部温度測定装置(1000)。
【請求項5】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
112)と、該熱電素子(
112)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(
111)と、を含む測定部(
1,41,42)が、該熱電素子(
112)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(111,611)が測定した第1温度、該熱電素子(
112)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第2温度を出力し、
制御部(6)が、前記測定部(
1,41,42)から前記第1熱流量と前記第1温度とを取得し、
前記制御部(6)が、前記熱電素子(
112)に電力を供給して前記被測定対象の表面の温度を変化させた後に、前記測定部(
1,41,42)から前記第2熱流量と前記第2温度とを取得し、
前記制御部(6)が、前記測定部(
1,41,42)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める、
ことを特徴とする内部温度測定方法。
【請求項6】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
821)と、該熱電素子(
821)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(
111)と、熱源として利用される熱源用熱電素子(822)と、を含む測定部(
71)が、該熱電素子(
821)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第1温度、該熱電素子(
821)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第2温度を出力し、
制御部(6)が、前記熱電素子(821)によって測定された前記第1熱流量、及び前記温度センサ(111)によって測定された前記第1温度を取得し、
前記制御部(6)が、前記
熱源用熱電素子(822)に電力を供給して前記被測定対象の表面の温度を変化させた後に、前記熱電素子(821)によって測定された前記第2熱流量、及び前記温度センサ(111)によって測定された前記第2温度を取得し、
前記制御部(6)が、前記測定部(
71)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める、
ことを特徴とする内部温度測定方法。
【請求項7】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
112)と、該熱電素子(
112)の該被測定対象側の面の温度を測定する第1及び第2温度センサ
を含む温度センサ(611,612)と、を含み、前記第2温度センサ(612)と前記第1温度センサ(611)と前記熱電素子(112)とを略等間隔で配置する測定部(
101)が、該熱電素子(
112)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(
611,612)が測定した第1温度、該熱電素子(
112)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
611,612)が測定した第2温度を出力し、
制御部(6)が、前記第2温度センサ(612)によって測定された温度と、前記第1温度センサ(611)によって測定された温度と、が略同一である場合、該第1温度センサ(611)によって測定された温度を、該熱電素子(112)の該被測定対象側の面の温度として取得し、
前記制御部(6)が、前記第2温度センサ(612)によって測定された温度と、前記第1温度センサ(611)によって測定された温度と、が略同一でない場合、該第2温度センサ(612)によって測定された温度と該第1温度センサ(611)によって測定された温度との差分と、該第1温度センサ(611)によって測定された温度と、から前記熱電素子(112)の前記被測定対象側の面の温度を求め、
前記制御部(6)が、前記測定部(
101)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める、
ことを特徴とする内部温度測定方法。
【請求項8】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
112)と、該熱電素子(
112)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(
111)と、を含み、該熱電素子(
112)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第1温度、該熱電素子(
112)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第2温度を出力する測定部(
1,41,42)を備える内部温度測定装置(
100)のコンピュータに、
前記測定部(
1,41,42)から前記第1熱流量と前記第1温度とを取得する手順と、
前記熱電素子(
112)に電力を供給して前記被測定対象の表面の温度を変化させた後に、前記測定部(
1,41,42)から前記第2熱流量と前記第2温度とを取得する手順と、
前記測定部(
1,41,42)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
821)と、該熱電素子(
821)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(
111)と、熱源として利用される熱源用熱電素子(822)と、を含み、該熱電素子(
821)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第1温度、該熱電素子(
821)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
111)が測定した第2温度を出力する測定部(
71)を備える内部温度測定装置(
700)のコンピュータに、
前記熱電素子(821)によって測定された前記第1熱流量、及び前記温度センサ(111)によって測定された前記第1温度を取得する手順と、
前記
熱源用熱電素子(822)に電力を供給して前記被測定対象の表面の温度を変化させた後に、前記熱電素子(821)によって測定された前記第2熱流量、及び前記温度センサ(111)によって測定された前記第2温度を取得する手順と、
前記測定部(
71)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(
112)と、該熱電素子(
112)の該被測定対象側の面の温度を測定する第1及び第2温度センサ
を含む温度センサ(611,612)と、を含み、前記第2温度センサ(612)と前記第1温度センサ(611)と前記熱電素子(112)とを略等間隔で配置し、該熱電素子(
112)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(
611,612)が測定した第1温度、該熱電素子(
112)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(
611,612)が測定した第2温度を出力する測定部(
101)を備える内部温度測定装置(
1000)のコンピュータに、
前記第2温度センサ(612)によって測定された温度と、前記第1温度センサ(611)によって測定された温度と、が略同一である場合、該第1温度センサ(611)によって測定された温度を、該熱電素子(112)の該被測定対象側の面の温度として取得する手順と、
前記第2温度センサ(612)によって測定された温度と、前記第1温度センサ(611)によって測定された温度と、が略同一でない場合、該第2温度センサ(612)によって測定された温度と該第1温度センサ(611)によって測定された温度との差分と、該第1温度センサ(611)によって測定された温度と、から前記熱電素子(112)の前記被測定対象側の面の温度を求める手順と、
前記測定部(
101)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部温度測定装置、内部温度測定方法、及びプログラム、特に低コストで製造可能な内部温度測定装置、内部温度測定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
深部体温を測定する装置として、比較的に面積の広い熱抵抗(断熱材)の上下面にそれぞれ温度センサ(測温素子)を取り付けた熱流束センサを二つ用いて深部体温を測定する深部体温計が知られている(例えば特許文献1参照)。なお、本明細書中に特許文献1の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参考として取り込むものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の深部体温計では、熱流束センサを、二つの温度センサで熱抵抗体を挟み込んだサンドイッチ構造で製造する必要があったため、製造コストが高くなってしまうといった課題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、低コストで製造可能な内部温度測定装置、内部温度測定方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る内部温度測定装置(100,500,700,1000)は、被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(112,621,622,821)と、該熱電素子(112,621,622,821)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(111,611,612)と、を含み、該熱電素子(112,621,821)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(111,611)が測定した第1温度、該熱電素子(112,622,821)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(111,612)が測定した第2温度を出力する測定部(1,41,42,51,52,71,101)と、前記測定部(1,41,42,51,52,71,101)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める制御部(6)と、を備える。
【0007】
上記の内部温度測定装置(100,700,1000)において、前記制御部(6)は、前記測定部(1,41,42,71)から前記第1熱流量と前記第1温度を取得し、前記熱電素子(112,822)に電力を供給して前記被測定対象の表面の温度を変化させた後に、前記測定部(1,41,42,71)から前記第2熱流量と前記第2温度を取得し、前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める、ようにしてもよい。
【0008】
上記の内部温度測定装置(700)において、前記測定部(71)は、熱源として利用される熱源用熱電素子(822)をさらに含み、前記制御部(6)は、前記熱電素子(821)によって測定された前記第1熱流量、及び前記温度センサ(111)によって測定された前記第1温度を取得し、前記熱原用熱電素子(822)に電力を供給して前記被測定対象の表面の温度を変化させた後に、前記熱電素子(821)によって測定された前記第2熱流量、及び前記温度センサ(111)によって測定された前記第2温度を取得する、ようにしてもよい。
【0009】
上記の内部温度測定装置(100,700,1000)において、前記制御部(6)は、前記熱電素子(112,822)に所定期間電力を供給した後、前記測定部(1,41,42,71)から入力される前記熱流量が一定になったか否かを判別し、前記熱流量が一定になったと判別した場合、前記測定部(1,41,42,71)から入力される該熱流量と前記温度とを、前記第2熱流量及び前記第2温度として取得する、ようにしてもよい。
【0010】
上記の内部温度測定装置(1000)において、前記温度センサ(611,612)は、第1温度センサ(611)と、第2温度センサ(612)と、を含み、前記測定部(101)は、前記第2温度センサ(612)と前記第1温度センサ(611)と前記熱電素子(112)とを略等間隔で配置し、前記制御部(6)は、前記第2温度センサ(612)によって測定された温度と、前記第1温度センサ(611)によって測定された温度と、が略同一である場合、該第1温度センサ(611)によって測定された温度を、該熱電素子(112)の該被測定対象側の面の温度として取得し、前記第2温度センサ(612)によって測定された温度と、前記第1温度センサ(611)によって測定された温度と、が略同一でない場合、該第2温度センサ(612)によって測定された温度と該第1温度センサ(611)によって測定された温度との差分と、該第1温度センサ(611)によって測定された温度と、から前記熱電素子(112)の前記被測定対象側の面の温度を求める、ようにしてもよい。
【0011】
上記の内部温度測定装置(500)において、前記測定部(51,52)は、第1測定部(51)と、第2測定部(52)と、を含み、前記第1測定部(51)は、第1熱電素子(621)と、該第1熱電素子(621)の前記被測定対象側の面の温度を測定する第1温度センサ(611)と、を含み、該第1熱電素子(621)が測定した該第1熱流量、及び該第1温度センサ(611)が測定した該第1温度を出力し、前記第2測定部(52)は、前記第1熱電素子(621)とは熱抵抗値が異なる第2熱電素子(622)と、該第2熱電素子(622)の該被測定対象側の面の温度を測定する第2温度センサ(612)と、を含み、該第2熱電素子(622)が測定した該第2熱流量、及び該第2温度センサ(612)が測定した該第2温度を出力する、ようにしてもよい。
【0012】
本発明の第2の観点に係る内部温度測定方法は、被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(112,621,622,821)と、該熱電素子(112,621,622,821)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(111,611,612)と、を含む測定部(1,41,42,51,52,71,101)が、該熱電素子(112,621,821)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(111,611)が測定した第1温度、該熱電素子(112,622,821)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(111,612)が測定した第2温度を出力し、制御部(6)が、前記測定部(1,41,42,51,52,71,101)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、被測定対象の内部からの熱流量を測定する熱電素子(112,621,622,821)と、該熱電素子(112,621,622,821)の該被測定対象側の面の温度を測定する温度センサ(111,611,612)と、を含み、該熱電素子(112,621,821)が測定した第1熱流量、該第1熱流量のときに該温度センサ(111,611)が測定した第1温度、該熱電素子(112,622,821)が測定した該第1熱流量とは異なる第2熱流量、及び該第2熱流量のときに該温度センサ(111,612)が測定した第2温度を出力する測定部(1,41,42,51,52,71,101)を備える内部温度測定装置(100,500,700,1000)のコンピュータに、前記測定部(1,41,42,51,52,71,101)から入力される前記第1熱流量、前記第1温度、前記第2熱流量、及び前記第2温度に基づいて、前記被測定対象の内部温度を求める手順を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低コストで製造可能な内部温度測定装置、内部温度測定方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る深部体温計の全体構成を例示するブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【
図3】本実施形態に係る深部体温測定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図4】(a)は、変形例1に係る測定部の構成例を示す断面図、(b)は、変形例2に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【
図5】変形例3に係る深部体温計の全体構成を例示するブロック図である。
【
図6】変形例3に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【
図7】変形例4に係る深部体温計の全体構成を例示するブロック図である。
【
図8】変形例4に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【
図9】変形例4に係る深部体温測定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】変形例5に係る深部体温計の全体構成を例示するブロック図である。
【
図11】変形例5に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
まず、本発明の実施形態に係る深部体温計(内部温度測定装置)の構成について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係る深部体温計(内部温度測定装置)は、被測定対象である被検者の頭部や体幹部等の中枢部の体表面に装着され、脳や臓器等の深部(内部)からの熱流量を求め、深部の体内温度である深部体温(内部温度)を測定するものである。なお、本発明における内部温度の測定には、内部温度の測定それ自体のみならず、内部温度の推定や内部温度の変化の検出等も含まれる。
【0019】
図1は、本実施形態に係る深部体温計の構成例を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、深部体温計100は、測定部1と、電源2と、切替部3と、温度信号処理部4と、熱流信号処理部5と、制御部6と、出力部7と、を具備する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【0022】
図2に示すように、測定部1は、樹脂製の筐体10内の、被検者の体表面に接触して深部体温を測定する測定面側に、基板11と、熱拡散層12と、断熱層13と、を備える。また、測定部1は、筐体10の測定面側の面に集熱板14を、その反対側の面に熱伝導シート15を、それぞれ備える。
【0023】
基板11は、例えばポリイミド等の絶縁性を有する素材から構成され、本実施形態では、8mm×10mmの平板状に形成された可撓性を有するフレキシブル基板(フィルム基板)である。なお、基板11は、変形可能なフレキシブル基板に限定されるものではなく、変形不能なプリント基板であってもよい。
【0024】
基板11は、測定面と反対側の面上に、温度センサ111と熱電素子112とを、温度センサ111が測定する温度Tと熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’とが略等しくなる程、近接して配置している。この点については、国際公開第2020/184511号にその詳細が記載されている。なお、本明細書中に国際公開第2020/184511号公報の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参考として取り込むものとする。
【0025】
温度センサ111は、例えば温度によって抵抗値が変化するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ等のサーミスタ等から構成される。温度センサ111は、被検者の体表面の温度Tを測定する。本実施形態では、応答性を高める観点から、できるだけ熱容量が小さい方が好ましいため、温度センサ111として、チップNTCサーミスタが用いられる。温度センサ111は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した温度Tを示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。
【0026】
熱電素子112は、例えばペルティエ素子等から構成される。熱電素子112は、被験者の脳や臓器等の深部からの熱流量HFを求める熱流センサとして機能する。熱電素子112は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した熱流量HFを示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。また、熱電素子112は、電源2から電力が供給されると、直流電流が流れ、被験者の体表面を加温又は冷却して(被測定対象の表面の温度を変化させて)深部からの熱流量HFを変化させる熱源としても機能する。
【0027】
熱拡散層12は、効率良く熱伝導させるべく、極めて熱伝導率(例えば1350[W/mK]等)が高いグラファイトシートやカーボンシート等の炭素系熱伝導シート等から構成される。なお、熱拡散層12は、アルミシートや銅箔等の金属薄膜等から構成されてもよい。熱拡散層12は、基板11の測定面側の面に設けられ、集熱板14から入った熱を拡散して、測定面と水平な方向に熱伝達させ、基板11の測定面側の面内における温度分布を均一にする。これにより、熱拡散層12は、温度センサ111が測定する温度Tと、熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’と、を略等しくすることができる。この結果、温度センサ111は、熱電素子112の被験者側の面(下面)の温度を測定することができる。
【0028】
断熱層13は、例えば対流のない空気層、ポリイミド、ポリエチレン発泡体、及びウレタン発泡体等の断熱性を有する素材から構成され、温度センサ111と熱電素子112とを覆うように筐体10内に充填される。断熱層13は、温度センサ111と熱電素子112とを断熱することで、測定面と平行方向に熱が逃げづらくし、温度センサ111と熱電素子112との測定精度を上げることができる。
【0029】
集熱板14は、例えば純銅等のような被検者に比べて熱伝導率が大きい金属板等から構成される。集熱板14は、被験者の体表面の熱を集めて熱拡散層12を介して温度センサ111と熱電素子112とに伝達することで、温度センサ111と熱電素子112とがそれぞれ樹脂製の筐体10越しに被検者の体表面の温度Tと熱流量HFとを測定することを可能にする。
【0030】
熱伝導シート15は、例えば熱伝導性の良好な(例えば3~4[W/mK]等)アルミシートや銅箔等の金属薄膜等から構成される。
【0031】
このように、測定部1は、集熱板14と熱伝導シート15とを設けることで、熱電素子112の測定面側の面と、その反対側の面と、に温度差を作り、測定面と垂直な方向への熱の移動を促すことができる。
【0032】
図1に示す電源2は、例えば汎用の一次電池又は二次電池等の電池等から構成され、熱電素子112に電力(例えば0.5W未満程度)を供給する。
【0033】
切替部3は、例えば汎用の切替回路等から構成される。切替部3は、制御部6による制御の下、熱電素子112の動作(モード)を切り替える。具体的に、切替部3は、熱電素子112を熱流センサとして利用する場合、熱電素子112を熱流信号処理部5と電気的に接続する。これに対して、切替部3は、熱電素子112を熱源として利用する場合、熱電素子112を電源2と電気的に接続する。
【0034】
温度信号処理部4及び熱流信号処理部5は、例えば汎用の増幅器及び汎用のA/D(Analog-to-digital)コンバータ(ADC)等から構成される。温度信号処理部4は、温度センサ111から入力されるアナログの電気信号を増幅した後、デジタルの電気信号に変換して出力する。熱流信号処理部5は、熱電素子112から入力されるアナログの電気信号を増幅した後、デジタルの電気信号に変換して出力する。
【0035】
制御部6は、例えばMCU(Micro Control Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成される。MCUは、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されている各種プログラム等を適宜実行することによって、深部体温計100の各種動作を制御する。本実施形態において、制御部6は、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度Tと、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、に基づいて、被験者の深部体温を測定する。ここで、温度センサ111が測定する温度Tと熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’とは略等しいことから、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度Tは、熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’を示すものとして扱われる。
【0036】
具体的に、制御部6は、まず、熱電素子112と熱流信号処理部5との電気的接続を指示する第1制御信号を切替部3に出力して、熱電素子112を熱流センサとして機能させる。次に、制御部6は、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を被験者の体表面を加温又は冷却する前の通常状態における被験者の温度T1及び熱流量HF1として取得する。通常状態において取得した温度T1と熱流量HF1とについては、以下の(1)式の関係が成り立つ。
(Ti-T1)/Rz=HF1 …(1)
ここで、Tiは深部体温、Rzは被検者の皮下組織130の熱抵抗値で、ともに未知数である。
【0037】
続いて、制御部6は、熱電素子112と電源2との電気的接続を指示する第2制御信号を切替部3に出力して、熱電素子112を熱源として機能させる。換言すれば、制御部6は、熱電素子112に電力を供給して被験者の表面の温度を変化させる。熱電素子112を熱源として機能させてから所定期間(例えば数十秒から一分程度)が経過した後、制御部6は、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を取得する。さらに、制御部6は、取得した熱流量HFが一定になっているか否かを判別し、一定になっていなければ、所定期間経過後、再度温度Tと熱流量HFとを取得する。これに対して、制御部6は、取得した熱流量HFが一定になっている場合、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を熱平衡状態における被験者の温度T2及び熱流量HF2として取得する。熱平衡状態において取得した温度T2と熱流量HF2とには、以下の(2)式の関係が成り立つ。
(Ti-T2)/Rz=HF2 …(2)
【0038】
上記(1)及び(2)式中の未知数は、皮下組織130の熱抵抗値Rz及び深部体温Tiだけである。そこで、未知数である皮下組織130の熱抵抗値Rz及び深部体温Tiについての連立方程式を解いて、(1)及び(2)式から、場所による違いや個人差がある皮下組織130の熱抵抗値Rzを消去すれば、以下の(3)式を得ることができる。
【0039】
【0040】
そして、制御部6は、通常状態において取得した温度T1及び熱流量HF1と、熱平衡状態において取得した温度T2及び熱流量HF2と、を式(3)に代入することにより、被験者の深部体温Tiを求める。
【0041】
制御部6は、求めた深部体温Tiを出力部7の画面上に表示して、被験者に深部体温Tiを通知する。
【0042】
なお、制御部6は、深部体温の遷移から、被検者が熱中症のおそれがあるか否かを判定してもよい。そして、制御部6は、深部体温が所定の閾値(危険値)を超えた場合や、深部体温の変化が所定の範囲を超えた場合など所定の条件を満たす場合、熱中症のおそれがあると判定して、出力部7の画面上に表示したり、スピーカから警告音を発したり、LEDを点灯或いは点滅したりして、被検者に熱中症のおそれがあることを警告してもよい。
【0043】
出力部7は、例えば汎用の液晶表示器等から構成される。出力部7は、制御部6が求めた深部体温Tiを画面上に表示する。なお、出力部7は、例えばフラッシュメモリ等の汎用の不揮発性メモリ等から構成され、制御部6が求めた深部体温Tiを格納するものであってもよい。また、出力部7は、例えば汎用の無線通信装置等から構成され、制御部6が求めた深部体温Tiをインターネット等のネットワークを介して外部のサーバコンピュータに送信するものであってもよい。さらに、出力部7は、汎用の液晶表示器、汎用の不揮発性メモリ、及び汎用の無線通信装置等を組み合わせたものであってもよい。
【0044】
次に、上記構成を備える深部体温計100が実行する深部体温測定処理について図面を参照して説明する。
【0045】
図3は、本実施形態に係る深部体温測定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0046】
図3に示す深部体温測定処理において、深部体温計100の制御部6は、まず、熱電素子112と熱流信号処理部5との電気的接続を指示する第1制御信号を切替部3に出力して、熱電素子112を熱流センサとして機能させる(ステップS301)。
【0047】
次に、制御部6は、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を被験者の体表面を加温又は冷却する前の通常状態における被験者の温度T1及び熱流量HF1として取得する(ステップS302)。
【0048】
続いて、制御部6は、熱電素子112と電源2との電気的接続を指示する第2制御信号を切替部3に出力して、熱電素子112を熱源として機能させる(ステップS303)。
【0049】
その後、制御部6は、熱電素子112を熱源として機能させてから所定期間が経過したか否かを判別し(ステップS304)、経過していなければ(ステップS304;No)、ループして待つ。
【0050】
そして、制御部6は、所定期間が経過したときには(ステップS304;Yes)、第1制御信号を切替部3に出力して、熱電素子112を再度熱流センサとして機能させる(ステップS305)。
【0051】
続いて、制御部6は、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を取得する(ステップS306)。
【0052】
さらに、制御部6は、ステップS306で取得した熱流量HFが一定になっているか否かを判別し(ステップS307)、一定になっていなければ(ステップS307;No)、ステップS303へとリターンして、所定期間経過後、再度温度Tと熱流量HFとを取得する。
【0053】
そして、制御部6は、ステップS306で取得した熱流量HFが一定になったときには(ステップS307;Yes)、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を熱平衡状態における被験者の温度T2及び熱流量HF2として取得する(ステップS308)。
【0054】
続いて、制御部6は、通常状態において取得した温度T1及び熱流量HF1と、熱平衡状態において取得した温度T2及び熱流量HF2と、を式(3)に代入することにより、被験者の深部体温Tiを求める(測定する)(ステップS309)。
【0055】
そして、制御部6は、ステップS309で求めた深部体温Tiを出力部7の画面上に表示して、被験者に深部体温Tiを通知してから(ステップS310)、深部体温測定処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る深部体温計(内部温度測定装置)100は、測定部1と制御部6とを備える。測定部1は、被測定対象である被験者の内部からの熱流量HFを測定する熱電素子112と、熱電素子112の被験者側の面の温度Tを測定する温度センサ111と、を含んでいる。測定部1は、熱電素子112が測定した熱流量HF1、熱流量HF1のときに温度センサ111が測定した温度T1、熱電素子112が測定した熱流量HF1とは異なる熱流量HF2、及び熱流量HF2のときに温度センサ111が測定した温度T2を出力する。制御部6は、測定部1から入力される熱流量HF1、温度T1、熱流量HF2、及び温度T2に基づいて、被験者に深部体温Tiを求める。
【0057】
具体的に、制御部6は、測定部1から熱流量HF1と温度T1とを取得する。次に、制御部6は、熱電素子112に電力を供給して被験者の表面の温度を変化させた後に、測定部1から熱流量HF2と温度T2とを取得する。より詳しくは、制御部6は、熱電素子112に所定期間電力を供給した後、測定部1から入力される熱流量HFが一定になったか否かを判別する。制御部6は、熱流量HFが一定になったと判別した場合、測定部1から入力される熱流量HFと温度Tとを、熱流量HF2及び温度T2として取得する。そして、制御部6は、熱流量HF1、温度T1、熱流量HF2、及び温度T2に基づいて、被験者に深部体温Tiを求める。
【0058】
このように、深部体温計100は、製造コストの高いサンドイッチ構造の熱流束センサを備えることなく、温度センサ111及び熱電素子112により、サンドイッチ構造の熱流束センサと略同一の機能を実現することができるため、従来より低コストで製造することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施形態の変形態様について、説明する。
【0060】
上記の実施形態では、温度センサ111と熱流センサ112とが、基板11の測定面と反対側の面上に近接して配置されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
[変形例1]
【0061】
図4(a)は、変形例1に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【0062】
図4(a)に示す変形例1に係る測定部41のように、温度センサ111は、熱電素子112の下面(測定面側の面)に設置され、熱電素子112の下面(測定面側の面)の温度を測定するものであってもよい。
[変形例2]
【0063】
図4(b)は、変形例2に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【0064】
また、
図4(b)に示す変形例2に係る測定部42のように、温度センサ111は、熱電素子112の上部の熱伝導シート15の上面(測定面と反対側の面)に設置されてもよい。
【0065】
上記の実施形態において、測定部1は、温度センサ111と熱流センサ112とを、それぞれ一つずつ備えるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
以下、本発明の変形例3、4、及び5について説明する。なお、上記の実施形態に係る深部体温計100と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
[変形例3]
【0067】
まず、測定部が、二つの温度センサと各々熱抵抗値の異なる二つの熱電素子とを備える変形例3について説明する。
【0068】
図5は、変形例3に係る深部体温計の全体構成を例示するブロック図である。
【0069】
図5に示すように、深部体温計500は、第1及び第2測定部51及び52と、第1及び第2温度信号処理部53及び54と、第1及び第2熱流信号処理部55及び56と、制御部6と、出力部7と、を具備する。
【0070】
図6は、変形例3に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【0071】
図6に示すように、第1測定部51の基板11は、測定面と反対側の面上に、第1温度センサ611と第1熱電素子621とを、第1温度センサ611が測定する温度T1と第1熱電素子621の下面(測定面側)の温度T1’とが略等しくなる程、近接して配置している。第1温度センサ611は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した温度T1を示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。第1熱電素子621は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した熱流量HF1を示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。
【0072】
また、第2測定部52の基板11は、測定面と反対側の面上に、第2温度センサ612と第2熱電素子622とを、第2温度センサ612が測定する温度T2と第2熱電素子622の下面(測定面側)の温度T2’とが略等しくなる程、近接して配置している。第2温度センサ612は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した温度T2を示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。本変形例において、第2熱電素子622は、第1熱電素子621とは異なる熱抵抗値を有しているため、第2熱電素子622は、第1熱電素子621が測定した熱流量HF1とは異なる熱流量HF2を測定する。第2熱電素子622は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した熱流量HF2を示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。
【0073】
熱拡散層12は、基板11の測定面側の面に設けられ、集熱板14から入った熱を拡散して、測定面と水平な方向に熱伝達させ、基板11の測定面側の面内における温度分布を均一にする。これにより、熱拡散層12は、第1温度センサ611が測定する温度T1と、第1熱電素子621の下面(測定面側)の温度T1’と、を略等しくすることができる。この結果、第1温度センサ611は、第1熱電素子621の被験者側の面(下面)の温度を測定することができる。また、熱拡散層12は、第2温度センサ612が測定する温度T2と、第2熱電素子622の下面(測定面側)の温度T2’と、を略等しくすることができる。この結果、第2温度センサ612は、第2熱電素子622の被験者側の面(下面)の温度を測定することができる。
【0074】
図5に示す第1温度信号処理部53は、第1温度センサ611から入力されるアナログの電気信号を増幅した後、デジタルの電気信号に変換して出力する。第2温度信号処理部54は、第2温度センサ612から入力されるアナログの電気信号を増幅した後、デジタルの電気信号に変換して出力する。第1熱流信号処理部55は、第1熱電素子621から入力されるアナログの電気信号を増幅した後、デジタルの電気信号に変換して出力する。第2熱流信号処理部56は、第2熱電素子622から入力されるアナログの電気信号を増幅した後、デジタルの電気信号に変換して出力する。
【0075】
そして、制御部6は、第1測定部51が測定した温度T1(≒T1’)及び熱流量HF1と、第2測定部52が測定した温度T2(≒T2’)及び熱流量HF2と、を式(3)に代入することにより、被験者の深部体温Tiを求めればよい。
【0076】
以上説明したように、本変形例に係る深部体温計500において、測定部は、第1測定部51と、第2測定部52と、を含んでいる。第1測定部51は、第1熱電素子621と、第1熱電素子621の被験者側の面の温度を測定する第1温度センサ611と、を含んでいる。そして、第1測定部51は、第1熱電素子621が測定した熱流量HF1、及び第1温度センサ611が測定した第1温度T1を出力する。第2測定部52は、第1熱電素子621とは熱抵抗値が異なる第2熱電素子622と、第2熱電素子622の被験者側の面の温度を測定する第2温度センサ612と、を含んでいる。そして、測定部52は、第2熱電素子622が測定した熱流量HF2、及び第2温度センサ612が測定した温度T2を出力する。
【0077】
このように、深部体温計500は、製造コストの高いサンドイッチ構造の熱流束センサを備えることなく、第1及び第2温度センサ611及び612、並びに第1及び第2熱電素子621及び622により、サンドイッチ構造の熱流束センサと略同一の機能を実現することができるため、従来より低コストで製造することができる。
【0078】
なお、本変形例においても、変形例1に係る測定部41のように、第1及び第2温度センサ611及び621が、それぞれ第1及び第2熱電素子612及び622の下面(測定面側の面)に設置されてもよい。また、変形例2に係る測定部42のように、第1及び第2温度センサ611及び621が、それぞれ第1及び第2熱電素子612及び622の上部の熱伝導シート15の上面(測定面と反対側の面)に設置されてもよい。
[変形例4]
【0079】
次に、測定部が、被験者の熱流量を測定する測定用熱電素子及び熱源として利用される熱源用熱電素子といった各々役割の異なる二つの熱電素子を備える変形例4について説明する。
【0080】
図7は、変形例4に係る深部体温計の全体構成を例示するブロック図である。
【0081】
図7に示すように、深部体温計700は、測定部71と、電源2と、温度信号処理部4と、熱流信号処理部5と、制御部6と、出力部7と、を具備する。
【0082】
図8は、変形例4に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【0083】
図8に示すように、測定部71の基板11は、測定面と反対側の面上に、温度センサ111と測定用熱電素子821とを、温度センサ111が測定する温度Tと測定用熱電素子821の下面(測定面側)の温度T’とが略等しくなる程、近接して配置している。また、熱伝導シート15の上面(測定面と反対側の面)には、基板81が設けられている。基板81は、測定面と反対側の面上の、測定用熱電素子821と対応する位置に、熱源用熱電素子822が配置されている。すなわち、変形例4に係る測定部71は、被験者の熱流量を測定する測定用熱電素子821及び熱源として利用される熱源用熱電素子822といった各々役割の異なる二つの熱電素子を備えている。
【0084】
測定用熱電素子821は、熱流センサとして機能するもので、被験者の脳や臓器等の深部からの熱流量HFを求める。測定用熱電素子821は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した熱流量HFを示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。
【0085】
熱源用熱電素子822は、熱源として機能するもので、電源2から電力が供給されると、直流電流が流れ、被験者の体表面を加温又は冷却して(被測定対象の表面の温度を変化させて)深部からの熱流量HFを変化させる。
【0086】
熱拡散層12は、基板11の測定面側の面に設けられ、集熱板14から入った熱を拡散して、測定面と水平な方向に熱伝達させ、基板11の測定面側の面内における温度分布を均一にする。これにより、熱拡散層12は、温度センサ111が測定する温度Tと、熱測定用熱電素子821の下面(測定面側)の温度T’と、を略等しくすることができる。この結果、温度センサ111は、測定用熱電素子821の被験者側の面(下面)の温度を測定することができる。
【0087】
断熱層13は、熱源用熱電素子822を覆うように筐体80内に充填される。また、筐体10の測定面と反対側の面には、熱伝導シート85が設けられている。
【0088】
図7に示す制御部6は、まず、電源2をオフにして熱源用熱電素子822を停止する。次に、制御部6は、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を被験者の体表面を加温又は冷却する前の通常状態における被験者の温度T1及び熱流量HF1として取得する。
【0089】
次に、制御部6は、電源2をオンにして熱源用熱電素子822を起動するとともに、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度Tと、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を取得する。さらに、制御部6は、取得した熱流量HFが一定になっているか否かを判別し、一定になっていれば、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を熱平衡状態における被験者の温度T2及び熱流量HF2として取得する。
【0090】
そして、制御部6は、通常状態において取得した温度T1及び熱流量HF1と、熱平衡状態において取得した温度T2及び熱流量HF2と、を式(3)に代入することにより、被験者の深部体温Tiを求めればよい。
【0091】
次に、上記構成を備える深部体温計700が実行する深部体温測定処理について図面を参照して説明する。
【0092】
図9は、変形例4に係る深部体温測定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0093】
図9に示す深部体温測定処理において、深部体温計700の制御部6は、まず、電源2をオフにして熱源用熱電素子822を停止する(ステップS901)。
【0094】
次に、制御部6は、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を被験者の体表面を加温又は冷却する前の通常状態における被験者の温度T1及び熱流量HF1として取得する(ステップS902)。
【0095】
続いて、制御部6は、電源2をオンにして熱源用熱電素子822を起動するとともに(ステップS903)、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を取得する(ステップS904)。
【0096】
続いて、制御部6は、ステップS904で取得した熱流量HFが一定になっているか否かを判別し(ステップS905)、一定になっていなければ(ステップS905;No)、ステップS904へとリターンして、再度温度T(≒T’)と熱流量HFとを取得して熱流量HFが一定になっているか否かを判別する。
【0097】
そして、制御部6は、ステップS904で取得した熱流量HFが一定になったときには(ステップS905;Yes)、温度信号処理部4から入力される電気信号が示す温度T(≒T’)と、熱流信号処理部5から入力される電気信号が示す熱流量HFと、を熱平衡状態における被験者の温度T2及び熱流量HF2として取得する(ステップS906)。
【0098】
続いて、制御部6は、通常状態において取得した温度T1及び熱流量HF1と、熱平衡状態において取得した温度T2及び熱流量HF2と、を式(3)に代入することにより、被験者の深部体温Tiを求める(測定する)(ステップS907)。
【0099】
そして、制御部6は、ステップS907で求めた深部体温Tiを出力部7の画面上に表示して、被験者に深部体温Tiを通知してから(ステップS908)、深部体温測定処理を終了する。
【0100】
以上説明したように、本変形例に係る深部体温計700において、測定部71は、熱源として利用される熱源用熱電素子822をさらに含んでいる。制御部6は、測定用熱電素子821によって測定された熱流量HF1、及び温度センサ111によって測定された温度T1を取得する。そして、制御部6は、熱原用熱電素子822に電力を供給して被験者の表面の温度を変化させた後に、熱電素子821によって測定された熱流量HF2、及び温度センサ111によって測定された温度T2を取得する。
【0101】
このように、深部体温計1は、製造コストの高いサンドイッチ構造の熱流束センサを備えることなく、温度センサ111及び熱電素子112により、サンドイッチ構造の熱流束センサと略同一の機能を実現することができるため、従来より低コストで製造することができる。
【0102】
なお、本変形例においても、変形例1に係る測定部41のように、温度センサ111が、測定用熱電素子821の下面(測定面側の面)に設置されてもよい。また、変形例2に係る測定部42のように、温度センサ111が、測定用熱電素子821の上部の熱伝導シート85の上面(測定面と反対側の面)に設置されてもよい。
【0103】
続いて、測定部が、各々等間隔に配置された二つの温度センサと熱電素子とを備える変形例5について説明する。
[変形例5]
【0104】
図10は、変形例5に係る深部体温計の全体構成を例示するブロック図である。
【0105】
図10に示すように、深部体温計1000は、測定部101と、電源2と、切替部3と、第1及び第2温度信号処理部53及び54と、熱流信号処理部5と、制御部6と、出力部7と、を具備する。
【0106】
図11は、変形例5に係る測定部の構成例を示す断面図である。
【0107】
図11に示すように、測定部101の基板11は、測定面と反対側の面上に、第2温度センサ612と第1温度センサ611と熱電素子112とを略等間隔に、且つ第2温度センサ612が測定する温度T”と第1温度センサ611が測定する温度Tと熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’とが略等しくなる程、近接して配置している。
【0108】
第1温度センサ611は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した温度Tを示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。第2温度センサ612は、図示せぬプリント配線を介して制御部6と電気的に接続され、測定した温度T”を示す電気信号(電圧値)を図示せぬプリント配線を介して出力する。
【0109】
熱拡散層12は、集熱板14から入った熱を拡散して、測定面と水平な方向に熱伝達させ、基板11の測定面側の面内における温度分布を均一にする。これにより、熱拡散層12は、第2温度センサ612が測定する温度T”と、第1温度センサ611が測定する温度Tと、熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’と、を略等しくすることができる。この結果、第1及び第2温度センサ611及び612は、熱電素子112の被験者側の面(下面)の温度を測定することができる。
【0110】
図10に示す第1温度信号処理部53は、第1温度センサ611から入力されるアナログの電気信号を増幅した後、デジタルの電気信号に変換して出力する。第2温度信号処理部54は、第2温度センサ612から入力されるアナログの電気信号を増幅した後、デジタルの電気信号に変換して出力する。
【0111】
制御部6は、第1温度信号処理部53から入力される電気信号が示す温度Tが、第2温度信号処理部54から入力される電気信号が示す温度T”と略等しいか否かを判別する。制御部6は、温度Tが温度T”と略等しい場合、熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’も、温度T及びT”と略等しいとして、温度T(又はT”)を熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’を示すものとして取得する。
【0112】
ここで、温度Tが温度T”と略等しくない場合、第2温度センサ612と第1温度センサ611と熱電素子112とが略等間隔に配置されていることから、第1温度センサ611が測定する温度Tと第2温度センサ115が測定する温度T”との差分(T-T”)と、熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’と第1温度センサ111が測定する温度Tとの差分(T’-T)は、略等しくなり、以下の(4)式が成立する。
T-T”=T’-T …(4)
【0113】
このため、温度Tが温度T”と略等しくない場合、熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’は、以下の(5)式で表される。
T’=2T-T” …(5)
【0114】
したがって、制御部6は、温度Tが温度T”と略等しくない場合、温度T及びT”を(5)式に代入して、熱電素子112の下面(測定面側)の温度T’を求めればよい。
【0115】
以上説明したように、本変形例に係る深部体温計1000において、温度センサは、第1温度センサ611と、第2温度センサ612と、を含んでいる。そして、測定部101は、第2温度センサ612と第1温度センサ611と熱電素子112とを略等間隔で配置している。制御部6は、第2温度センサ612によって測定された温度と、第1温度センサ611によって測定された温度と、が略同一である場合、第1温度センサ611によって測定された温度を、熱電素子112の被験者側の面の温度として取得する。これに対して、制御部6は、第2温度センサ612によって測定された温度と、第1温度センサ611によって測定された温度と、が略同一でない場合、第2温度センサ612によって測定された温度と第1温度センサ611によって測定された温度との差分と、第1温度センサ611によって測定された温度と、から熱電素子112の被験者側の面の温度を求める。
【0116】
このように、深部体温計1000は、製造コストの高いサンドイッチ構造の熱流束センサを備えることなく、第1及び第2温度センサ611及び612、並びに熱電素子112により、サンドイッチ構造の熱流束センサと略同一の機能を実現することができるため、従来より低コストで製造することができる。また、深部体温計1000は、第2温度センサ612と第1温度センサ611と熱電素子112とを略等間隔に配置することで、熱電素子112の下面(測定面側)の温度、ひいては深部体温Tiをより正確に求めることができる。
【0117】
なお、本変形例に係る深部体温計1000のように、各々等間隔に配置された二つの温度センサと熱電素子とを備える構成については、本実施形態に係る深部体温計100のみならず、変形例3及び4に係る深部体温計500及び700にも適用可能である。
【0118】
上記の実施形態において、被測定対象は、被検者、すなわち人間であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、被測定対象は、動物であってもよい。
【0119】
上記の実施形態において、測定部1は、被検者の体表面に接触して深部体温を測定するものとして説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、被検者の体表面に接触することなく(非接触で)深部体温を測定するものであってもよい。
【0120】
上記の実施形態において、深部体温計100、500、700、及び1000は、被検者の深部体温が所定の条件を満たしたときに、熱中症のおそれがあるとして、所定の警告を発するものとして説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、被検者の深部体温が所定の条件を満たしたときに、熱中症以外の心身の異変のおそれがあることを警告するものであってもよく、深部体温が関係する心身の異変であれば任意であり、例えば低体温症や、睡眠の質、基礎体温、免疫、ストレス等であってもよい。
【0121】
上記の実施形態では、本発明に係る内部温度測定装置として、深部体温Tiを測定する深部体温計100、500、700、及び1000を例示して説明した。しかしながら、本発明に係る内部温度測定装置はこれに限定されるものではなく、パルス信号や交流信号の信号を送ることで電気回路の解析を行うものであってもよい。例えば、インピーダンス(交流信号時の抵抗値)によって人体組成の測定等を行うものであってもよい。また、熱パルスを発生させることで水分含有量の測定等の物性解析を行うものであってもよい。
【0122】
上記の実施形態では、本発明に係る内部温度測定装置として、被測定対象である被検者の頭部や体幹部等の中枢部の体表面に装着され、脳や臓器等の深部の体内温度である深部体温Tiを測定する深部体温計100、500、700、及び1000を例示して説明した。しかしながら、本発明に係る内部温度測定装置はこれに限定されるものではなく、体幹部以外に装着されて深部体温Ti以外の体内温度を測定(推測等も含む)するものであってもよい。例えば、本発明に係る体内温度計は、被検者の腕や足首等といった体幹から離れた末端部に装着されて末端部の体内温度を測定(推測等も含む)するものであってもよい。
【0123】
この場合、制御部6は、被検者の末端部の体内温度から深部体温Tiを推定するようにしてもよい。具体的には、被検者の末端部の体内温度と中枢部の深部体温とを予め複数測定して両者の相関関係を求め、これを制御部6に保持すればよい。そして、制御部6は、測定した被検者の末端部の体内温度から、予め求めた相関関係を用いて、深部体温Tiを推定すればよい。例えば、深部体温Tiが、末端部の体内温度よりも略5℃高いという相関関係が求められた場合、測定した被検者の末端部の体内温度が32℃であれば、定数5℃を加算して37℃を、深部体温Tiと推定すればよい。そして、制御部6は、推定した深部体温が所定の閾値を超えた場合など所定の条件を満たす場合、被検者に熱中症のおそれがあることを警告すればよい。
【0124】
上記の実施形態において、制御部6のCPUが実行するプログラムは、予めROM等に記憶されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述の処理を実行させるためのプログラムを、既存の汎用コンピュータに適用することで、上記の実施形態に係る深部体温計100、500、700、及び1000として機能させてもよい。
【0125】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えばコンピュータが読取可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等)に格納して配布してもよいし、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより提供してもよい。
【0126】
さらに、上記の処理をOS(Operating System)とアプリケーションプログラムとの分担、又はOSとアプリケーションプログラムとの協働によって実行する場合には、アプリケーションプログラムのみを記録媒体やストレージに格納してもよい。また、搬送波にプログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に上記プログラムを掲示し、ネットワークを介してプログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0127】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0128】
1,41,42,71,101 測定部
2 電源
3 切替部
4 温度信号処理部
5 熱流信号処理部
6 制御部
7 出力部
10 筐体
11,81 基板
12 熱拡散層
13 断熱層
14 集熱版
15,85 熱伝導シート
51 第1測定部
52 第2測定部
53 第1温度信号処理部
54 第2温度信号処理部
55 第1熱流信号処理部
56 第2熱流信号処理部
100,500,700,1000 深部体温計(内部温度測定装置)
111 温度センサ
112 熱電素子
130 皮下組織
611 第1温度センサ
612 第2温度センサ
621 第1熱電素子
622 第2熱電素子
821 測定用熱電素子
822 熱源用熱電素子
【要約】
低コストで製造可能な内部温度測定装置、内部温度測定方法、及びプログラムを提供する。
深部体温計(100)は、測定部(1)と制御部(6)とを備える。測定部(1)は、被測定対象である被験者の内部からの熱流量HFを測定する熱電素子(112)と、熱電素子112)の被験者側の面の温度Tを測定する温度センサ(111)と、を含んでいる。測定部(1)は、熱電素子(112)が測定した熱流量HF1、熱流量HF1のときに温度センサ(111)が測定した温度T1、熱電素子(112)が測定した熱流量HF1とは異なる熱流量HF2、及び熱流量HF2のときに温度センサ(111)が測定した温度T2を出力する。制御部(6)は、測定部(1)から入力される熱流量HF1、温度T1、熱流量HF2、及び温度T2に基づいて、被験者に深部体温Tiを求める。