(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】シルセスキオキサン複合高分子を含む熱可塑性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20220812BHJP
C08G 77/04 20060101ALI20220812BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20220812BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
C08L83/06
C08G77/04
C08K7/02
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2016555296
(86)(22)【出願日】2015-03-06
(86)【国際出願番号】 KR2015002193
(87)【国際公開番号】W WO2015133864
(87)【国際公開日】2015-09-11
【審査請求日】2018-02-27
【審判番号】
【審判請求日】2020-01-23
(31)【優先権主張番号】10-2014-0027182
(32)【優先日】2014-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0031279
(32)【優先日】2015-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502081871
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】チョイ スンソク
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジェウォン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ドンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム トゥシク
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジョンウォン
【合議体】
【審判長】杉江 渉
【審判官】土橋 敬介
【審判官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-292767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83
C08G 77
C08K 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA、B、DないしEのうち、選択された反復単位を含む下記の化学式1乃至6のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物:
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
[化学式5]
【化5】
[化学式6]
【化6】
上記化学式1乃至6において、
Aは
【化7】
であり、Bは
【化8】
であり、Dは
【化9】
であり、Eは
【化10】
であり、
このとき、上記A及びEは同一又は異なることができ、
Yは、それぞれ独立して、O、NR
21または[(SiO
3/2R)
4+2nO]であり、少なくとも一つは[(SiO
3/2R)
4+2nO]であり、
Xは、それぞれ独立して、R
22または[(SiO
3/2R)
4+2nR]であり、少なくとも一つは[(SiO
3/2R)
4+2nR]であり、
R、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10
、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;アミン基;エポキシ基;シクロヘキシルエポキシ基;(メタ)アクリル基;チオール基;イソシアネート基;ニトリル基;ニトロ基;フェニル基;または置換基で置換若しくは非置換のC
1~C
40のアルキル基;C
2~C
40のアルケニル基;C
1~C
40のアルコキシ基;C
3~C
40のシクロアルキル基;C
3~C
40のヘテロシクロアルキル基;C
6~C
40のアリール基;C
3~C
40のヘテロアリール基;
C
7
~C
40のアラルキル基;
C
6
~C
40のアリールオキシ基;または
C
6
~C
40のアリールチオール基であり、上記置換基は重水素、ハロゲン、アミン基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、
またはフェニル基を含み、
aおよびdは、それぞれ独立して、1乃至100,000の整数であり、
bは、それぞれ独立して、1乃至500の整数であり、
eは、それぞれ独立して、1または2であり、
nは、それぞれ独立して、1乃至20の整数であり、
n値の平均が4ないし6である。
【請求項2】
aは3乃至1000であり、bは1乃至500、dは1乃至500であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
n値の平均が4乃至5であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記シルセスキオキサン複合高分子の重量平均分子量が1,000乃至1,000,000であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂組成物は、
前記の化学式1乃至6のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子、および高分子樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記高分子樹脂は、PC(Polycarbonate)、PMMA(Polymethylmethacrylate)、PES(Polyethersulfone)、PET(Polyethyleneterephtalate)、PEN(Polyethylenenaphthalate)、COC(Cyclic olefin copolymer)、PAc(Polyacrylate)、PE(Polyethylene)、PEEK(Polyetheretherketone)、PEI(Polyetherimide)、PI(Polyimide)、PSF(Polysulfone)、PVA(Polyvinylalcohol)、PVCi(Polyvinylcinnamate)、TAC(Triacetylcellulose)、ポリシリコン(Poly Silicone)、ポリウレタン(Polyurethane)およびエポキシ樹脂(Epoxy Resin)からなる群より選択される1種以上の高分子樹脂であることを特徴とする
請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂組成物は、
前記の化学式1乃至6のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子、および無機繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記シルセスキオキサン複合高分子が少なくとも1重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記組成物が顔料をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物から製造した物品。
【請求項11】
前記物品が、電子製品のハウジングであることを特徴とする請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記物品が、機能性繊維または機能性衣類であることを特徴とする請求項10に記載の物品。
【請求項13】
前記物品が、プラスチック生活用品、照明、ヘルメット、自動車内外装材、釣り竿、ゴルフクラブ、ヨット、建築内外装材、配管、家具またはフィルムであることを特徴とする請求項10に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシルセスキオキサン複合高分子を用いた熱可塑性樹脂組成物に関するものであって、より詳しくは、一つの高分子内に特定構造の線状シルセスキオキサン鎖およびかご型シルセスキオキサンを含むシルセスキオキサン複合高分子を含み、耐熱性、耐化学性、防汚性、気体透過防止特性、透過性、着色性、耐摩耗性および表面硬度などに優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、高い加工性で様々な分野に射出または押出を通じた成形物、フィルム、繊維フィラメントなど多様な形態に応用されて活用されており、代表的な熱可塑性樹脂としては、PC(Polycarbonate)、PMMA(Polymethylmethacrylate)、PES(Polyethersulfone)、PET(Polyethyleneterephtalate)、PEN(Polyethylenenaphthalate)、COC(Cyclic olefin copolymer)、PAc(Polyacrylate)、PE(Polyethylene)、PEEK(Polyetheretherketone)、PEI(Polyetherimide)、PI(Polyimide)、PSF(Polysulfone)、PVA(Polyvinylalcohol)、PVCi(Polyvinylcinnamate)、TAC(Triacetylcellulose)、ポリシリコン(Poly Silicone)、ポリウレタン(Polyurethane)およびエポキシ樹脂(Epoxy Resin)などが使用されている。
【0003】
前記のような熱可塑性樹脂は、耐熱性、耐化学性、気体透過防止特性、撥水性、透明性、着色性、耐摩耗性および表面硬度などが低いため産業の発展と共に現場で要求する物理的特性を満足させるには不十分であり、これを解決するためにそれぞれの熱可塑性樹脂を混合して使用するか、各種機能性添加剤を添加して物性を強化させようとする努力がたゆまず行われている。
【0004】
一例として、大韓民国特許公開第10-2002-0034542号では、熱可塑性ポリカーボネート樹脂にゴム変性グラフト共重合体、およびビニル系共重合体から構成された基礎樹脂にリン酸エステルモルホリド化合物およびフッ素化ポリオレフィンを添加させた難燃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を開示しており、大韓民国特許公開10-2011-0069592号では、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコン系化合物0.01-10重量部、平均粒径が100-400μmである有機スルホン酸金属塩0.01-1.5重量部、およびポリフルオロエチレン樹脂0.01-1重量部を含むことを特徴とするポリカーボネート難燃フィルム用樹脂組成物を開示しているが、需要者の高い難燃性と耐化学性を満足させるには足りなく、その他気体透過防止特性、防汚性、撥水性、着色性、耐摩耗性および表面硬度などに対しては解決されない問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような問題点を解決するために、本発明は、一つの高分子内に特定構造の線状シルセスキオキサン鎖およびかご型シルセスキオキサンを含むシルセスキオキサン複合高分子を含み、耐熱性、耐化学性、防汚性、気体透過防止特性、透過性、着色性、耐摩耗性および表面硬度などに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物から製造して耐熱性、耐化学性、防汚性、気体透過防止特性、透過性、着色性、耐摩耗性および表面硬度などに優れた物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、下記の化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する:
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
[化学式5]
【化5】
[化学式6]
【化6】
[化学式7]
【化7】
[化学式8]
【化8】
[化学式9]
【化9】
【0008】
上記化学式1乃至9において、
Aは
【化10】
であり、Bは
【化11】
であり、
Dは
【化12】
であり、Eは
【化13】
であり、
Yは、それぞれ独立して、O、NR
21または[(SiO
3/2R)
4+2nO]であり、少なくとも一つは[(SiO
3/2R)
4+2nO]であり、
Xは、それぞれ独立して、R
22または[(SiO
3/2R)
4+2nR]であり、少なくとも一つは[(SiO
3/2R)
4+2nR]であり、
R, R
1, R
2, R
3, R
4, R
5, R
6, R
7, R
8, R
9, R
10, R
11, R
12, R
13, R
14, R
15, R
16, R
17, R
18, R
19, R
20, R
21, R
22は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;アミン基;エポキシ基;シクロヘキシルエポキシ基;(メタ)アクリル基;チオール基;イソシアネート基;ニトリル基;ニトロ基;フェニル基;重水素、ハロゲン、アミン基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、フェニル基に置換若しくは非置換のC
1~C
40のアルキル基;C
2~C
40のアルケニル基;C
1~C
40のアルコキシ基;C
3~C
40のシクロアルキル基;C
3~C
40のヘテロシクロアルキル基;C
6~C
40のアリール基;C
3~C
40のヘテロアリール基;C
3~C
40のアラルキル基;C
3~C
40のアリールオキシ基;またはC
3~C
40のアリールチオール基であり、好ましくは、重水素、ハロゲン、アミン基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、フェニル基、シクロヘキシルエポキシ基に置換若しくは非置換のC
1~C
40のアルキル基、C
2~C
40のアルケニル基、アミン基、エポキシ基、シクロヘキシルエポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、フェニル基またはイソシアネート基を含み、
aおよびdは、それぞれ独立して、1乃至100,000の整数であり、好ましくは、aは3乃至1000であり、dは1乃至500であり、さらに好ましくは、aは5乃至300であり、dは2乃至100であり、
bは、それぞれ独立して、1乃至500の整数であり、
eは、それぞれ独立して、1または2であり、好ましくは、1であり、
nは、それぞれ独立して、1乃至20の整数であり、好ましくは、3乃至10である。
【0009】
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物から製造したことを特徴とする物品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による熱可塑性樹脂組成物は、一つの高分子内に特定構造の線状シルセスキオキサン鎖およびかご型シルセスキオキサンを含むシルセスキオキサン複合高分子を含み、耐熱性、耐化学性、防汚性、気体透過防止特性、透過性、着色性、耐摩耗性および表面硬度などに優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、下記の化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子を含むことを特徴とする:
[化学式1]
【化14】
[化学式2]
【化15】
[化学式3]
【化16】
[化学式4]
【化17】
[化学式5]
【化18】
[化学式6]
【化19】
[化学式7]
【化20】
[化学式8]
【化21】
[化学式9]
【化22】
【0012】
上記化学式1乃至9において、
Aは
【化23】
であり、Bは
【化24】
であり、
Dは
【化25】
であり、Eは
【化26】
であり、
Yは、それぞれ独立して、O、NR
21または[(SiO
3/2R)
4+2nO]であり、少なくとも一つは[(SiO
3/2R)
4+2nO]であり、
Xは、それぞれ独立して、R
22または[(SiO
3/2R)
4+2nR]であり、少なくとも一つは[(SiO
3/2R)
4+2nR]であり、
R,R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7,R
8,R
9,R
10
,R
16,R
17,R
18,R
19,R
20,R
21,R
22は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;アミン基;エポキシ基;シクロヘキシルエポキシ基;(メタ)アクリル基;チオール基;イソシアネート基;ニトリル基;ニトロ基;フェニル基;重水素、ハロゲン、アミン基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、フェニル基に置換若しくは非置換のC
1~C
40のアルキル基;C
2~C
40のアルケニル基;C
1~C
40のアルコキシ基;C
3~C
40のシクロアルキル基;C
3~C
40のヘテロシクロアルキル基;C
6~C
40のアリール基;C
3~C
40のヘテロアリール基;
C
7
~C
40のアラルキル基;
C
6
~C
40のアリールオキシ基;または
C
6
~C
40のアリールチオール基であり、好ましくは、重水素、ハロゲン、アミン基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、フェニル基、シクロヘキシルエポキシ基に置換若しくは非置換のC
1~C
40のアルキル基、C
2~C
40のアルケニル基、アミン基、エポキシ基、シクロヘキシルエポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、フェニル基またはイソシアネート基を含み、
aおよびdは、それぞれ独立して、1乃至100,000の整数であり、好ましくは、aは3乃至1000であり、dは1乃至500であり、さらに好ましくは、aは5乃至300であり、dは2乃至100であり、
bは、それぞれ独立して、1乃至500の整数であり、
eは、それぞれ独立して、1または2であり、好ましくは、1であり、
nは、それぞれ独立して、1乃至20の整数であり、好ましくは、3乃至10である。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記高分子内に前記[A]aと[D]dの繰り返し単位を有し、選択的に[B]bまたは[E]e繰り返し単位を有する特定構造のシルセスキオキサンを含み、熱可塑性樹脂組成物から製造した物品が耐熱性、耐化学性、防汚性、気体透過防止特性、透過性、着色性、耐摩耗性および表面硬度を有するようにすることができる。
【0014】
本発明の前記化学式1で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合して下記化学式10を製造する第1段階;および前記第1段階以後に、化学式10に[D]d(OR
2)
2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;および前記2段階以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階を含んで製造することができる。
[化学式10]
【化27】
上記式において、R
1、R
2、R
16、D、aおよびdは、化学式1乃至9で定義した通りである。
【0015】
本発明の前記化学式2で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合して前記化学式10を製造する第1段階;および前記第1段階以後に、化学式10に[D]d(OR3)2および[D]d(OR4)2構造を化学式2のように導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、過量の有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記2段階以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;前記3段階以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第4段階;および第3段階反応を経て、単独で生成される副産物であるかご(cage)構造を再結晶で除去する精製段階を行なって製造することができる。
【0016】
本発明の前記化学式3で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合して前記化学式10を製造する第1段階;および前記第1段階以後に、化学式10に[D]d(OR5)2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記2段階以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;および前記第3段階以後に、複合高分子の末端に[E]eX2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を投入して反応液を酸性雰囲気に変換し有機シラン化合物を混合して攪拌する第4段階を含んで製造することができる。
【0017】
本発明の前記化学式4で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度を調節して前記化学式10を製造する第1段階;および前記第1段階以後に、化学式10に[B]b構造および[D]d(OR7)2構造を導入するために反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;および前記2段階以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階を含んで製造することができる。
【0018】
本発明の前記化学式5で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合して前記化学式10を製造する第1段階;および前記第1段階以後に、化学式10に[B]b構造および[D]d(OR8)2、[D]d(OR9)2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、過量の有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;および前記2段階以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;および第3段階以後、再結晶とフィルター過程を通じて、単独かご(cage)生成構造を除去する第4段階を含んで製造することができる。
【0019】
本発明の前記化学式6で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合して前記化学式10を製造する第1段階;および前記第1段階以後に、化学式10に[B]b構造および[D]d(OR10)2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記2段階以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;および前記第3段階以後に、複合高分子の末端に[E]eX2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を投入して反応液を酸性雰囲気に変換し有機シラン化合物を混合して攪拌する第4段階を含んで製造することができる。
【0020】
好ましくは、前記化学式1乃至6を製造する方法において、本発明の第1段階の反応液のpHは9乃至11.5であるのが好ましく、第2段階の反応液のpHは2乃至4であるのが好ましく、第3段階の反応液のpHは8乃至11.5であるのが好ましく、Eeを導入する第4段階の反応液のpHは1.5乃至4であるのが好ましい。前記範囲内である場合、製造されるシルセスキオキサン複合高分子の収率が高いだけでなく、製造されたシルセスキオキサン複合高分子の機械的物性を向上させることができる。
【0021】
本発明の前記化学式7で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式10を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式10に[B]b構造および[D]d(OR12)2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;および前記3段階を通じて得られた2種類以上の物質を塩基性条件で縮合して連結する4段階を含んで製造することができる。
【0022】
本発明の前記化学式8で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式10を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式10に[B]b構造、[D]d(OR14)2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;前記3段階を通じて得られた2種類以上の物質を塩基性条件で縮合して連結する4段階;前記4段階以後、[D]d(OR13)2を導入するための反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第5段階;および前記5段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第6段階を含んで製造することができる。
【0023】
本発明の前記化学式9で示されるシルセスキオキサン複合高分子は、
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式10を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式10に[B]b構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;前記3段階を通じて得られた2種類以上の化合物を塩基性条件で縮合して連結する4段階;前記第4段階以後、[D]d(OR5)2を導入するための反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第5段階;前記5段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第6段階;前記第6段階以後に、複合高分子の末端に[E]eX2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を投入して反応液を酸性雰囲気に変換し有機シラン化合物を混合して攪拌する第7段階を含んで製造することができる。
【0024】
好ましくは、前記化学式7乃至9の高分子を製造する方法において、第1段階の反応液のpHは9乃至11.5であるのが好ましく、第2段階の反応液のpHは2乃至4であるのが好ましく、第3段階の反応液のpHは8乃至11.5であるのが好ましく、第4段階の反応液のpHは9乃至11.5であるのが好ましく、第5段階の反応液のpHは2乃至4であるのが好ましく、第6段階の反応液のpHは8乃至11.5であるのが好ましく、Eeを導入する第7段階の反応液のpHは1.5乃至4であるのが好ましい。前記範囲内である場合、製造されるシルセスキオキサン複合高分子の収率が高いだけでなく、製造されたシルセスキオキサン複合高分子の機械的物性を向上させることができる。
【0025】
また、必要な場合、それぞれの複合高分子に[B]b構造および[D]d(OR)2構造をさらに導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する段階;および前記段階以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する段階を通じて複合高分子内に[B]b繰り返し単位をさらに含むことができる。
【0026】
また、必要な場合、それぞれの複合高分子の末端に[E]eX2構造を導入するために、反応器に酸性触媒を投入して反応液を酸性雰囲気に変換し有機シラン化合物を混合して攪拌する段階を含んで複合高分子の末端に[E]eの繰り返し単位をさらに含むことができる。
【0027】
前記シルセスキオキサン複合高分子の製造方法では、塩基性触媒として、好ましくは2種以上の塩基性触媒の混合触媒を使用し、これを酸性触媒で中和および酸性化して再加水分解を誘導し、再び2種以上の塩基性触媒の混合触媒を用いて塩基性で縮合を行うことによって、一つの反応器内で酸度と塩基度を連続的に調節することができる。
【0028】
この時、前記塩基性触媒は、Li、Na、K、CaおよびBaからなる群より選択された金属系塩基性触媒およびアミン系塩基性触媒から選択される2種以上の物質を適切に組み合わせて製造することができる。好ましくは、前記アミン系塩基性触媒がテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)であり、金属系塩基性触媒がカリウムヒドロキシド(KOH)または重炭酸ナトリウム(NaHCO3)であり得る。前記混合触媒において各成分の含量は、好ましくは、アミン系塩基性触媒と金属系塩基性触媒の比率が10乃至90:10乃至90重量部の比率で任意に調節することができる。前記範囲内である場合、加水分解時に官能基と触媒との反応性を最小化させることができ、これによって、Si-OHまたはSi-アルコキシなどの有機官能基の欠陥が顕著に減少し縮合度を自由に調節することができる長所がある。また、前記酸性触媒としては、当分野で通常使用する酸性物質であれば制限なく使用することができ、例えば、HCl、H2SO4、HNO3、CH3COOHなどの一般酸性物質を使用することができ、また、乳酸(lactic acid、酒石酸(tartaric acid)、マレイン酸(maleic acid)、クエン酸(citric acid)などの有機系酸性物質も適用することができる。
【0029】
本発明のシルセスキオキサン複合高分子の製造方法において、前記有機溶媒は、当分野で通常使用する有機溶媒であれば制限なく使用することができ、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、セロソルブ系などのアルコール類、乳酸系、アセトン、メチル(イソブチル)エチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールなどのグリコール類、テトラヒドロフランなどのフラン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒だけでなく、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロロホルム、ジクロロベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ピリジン、メチルナフタレン、ニトロメタン、アクリロニトリル(acrylonitrile)、メチレンクロライド、オクタデシルアミン、アニリン、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコールなど多様な溶媒を使用することができる。
【0030】
また、前記有機シラン系化合物としては、本発明のシルセスキオキサン複合高分子の化学式1乃至9のR、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22を含む有機シランを使用することができ、好ましくは、シルセスキオキサン複合高分子の耐化学性を増加させて非膨潤性を向上させる効果があるフェニル基またはアミノ基を含む有機シラン化合物、または複合高分子の硬化密度を増加させて硬化層の機械的強度および硬度を向上させる効果があるエポキシ基または(メタ)アクリル基を含む有機シラン化合物を使用することができる。
【0031】
前記有機シラン系化合物の具体的な例としては、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、3-(メタアクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3,4-エポキシブチルトリメトキシシラン、3,4-エポキシブチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリイソブトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルテトラメトキシシロキサン、ジフェニルテトラメトキシシロキサンなどが挙げられ、これらの中の1種単独でまたは2種以上を併用して使用することもできる。最終製造される組成物の物性のために2種以上を混合して使用することがより好ましい。
【0032】
本発明で前記化学式の繰り返し単位[D]dに導入された[(SiO
3/2R)
4+2nO]構造のnは1乃至20の整数に置換することができ、好ましくは3乃至10であり、さらに好ましくは平均n値が4乃至5であり、例えば、前記nが4である時、置換された構造を表現すれば下記化学式11の通りである:
[化学式11]
【化28】
上記の式において、Rは前記で定義した通りである。
【0033】
本発明において、前記化学式の繰り返し単位[B]bまたは[E]eに導入された[(SiO
3/2R)
4+2nR]構造のnは1乃至20の整数に置換することができ、好ましくは3乃至10であり、さらに好ましくは平均n値が4乃至5であり、例えば、前記nが4である時の置換された構造を表現すれば下記化学式12の通りである:
[化学式12]
【化29】
上記の式において、Rは前記で定義した通りである。
【0034】
具体的な例として本発明によるシルセスキオキサン高分子は、下記表1乃至18に記載された高分子であり得る。下記表1乃至9において、ECHEは(Epoxycyclohexyl)ethyl、GlyPはGlycidoxypropyl、POMMAは(methacryloyloxy)propylを意味し、二つ以上が記載された場合は混合使用を意味する。nは、それぞれ独立して、1乃至8である。
【0035】
前記化学式1のシルセスキオキサン複合高分子は下記表1または2に記載された高分子であり得る。
【0036】
【0037】
【0038】
具体的な例として前記化学式2のシルセスキオキサン複合高分子は下記表3および4に記載された高分子であり得る。
【表3】
【0039】
【0040】
【0041】
具体的な例として前記化学式3のシルセスキオキサン複合高分子は下記表5および6に記載された高分子であり得る。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
具体的な例として前記化学式4のシルセスキオキサン複合高分子は下記表7および8に記載された高分子であり得る。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
具体的な例として前記化学式5のシルセスキオキサン複合高分子は下記表9および10に記載された高分子であり得る。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
具体的な例として前記化学式6のシルセスキオキサン複合高分子は下記表11および12に記載された高分子であり得る。
【表11-1】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
具体的な例として前記化学式7のシルセスキオキサン複合高分子は下記表13および14に記載された高分子であり得る。
【表13-1】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
具体的な例として前記化学式8のシルセスキオキサン複合高分子は下記表15および16に記載された高分子であり得る。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
具体的な例として前記化学式9のシルセスキオキサン複合高分子は下記表17および18に記載された高分子であり得る。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
本発明の前記シルセスキオキサン複合高分子は、優れた保管安定性を確保して幅広い応用性を得るために、縮合度が1乃至99.9%以上に調節することができる。即ち、末端および中央のSiに結合されたアルコキシグループの含量が全体高分子の結合基に対して50%から0.01%までに調節することができる。
【0086】
また、本発明によるシルセスキオキサン複合高分子の重量平均分子量は1,000乃至1,000,000、好ましくは5,000乃至100,000であり、さらに好ましくは7、000乃至50,000であり得る。この場合、シルセスキオキサンの加工性および物理的特性を同時に向上させることができる。
【0087】
前記化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子はガラス転移温度(Tg)が50乃至250℃を有し、繰り返し単位[A]aの含量が多いほどTgが低く、繰り返し単位[B]b、[D]dおよび[E]eの含量が多いほどTgが高いので、使用される用途によって適切に繰り返し単位の含量を調節してTgを有するようにすることができる。
【0088】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子のみから構成され、従来熱可塑性樹脂組成物に使用される高分子と混合して使用することもできる。前記混合使用可能な高分子としては特に限定されず、一例としてPC(Polycarbonate)、PMMA(Polymethylmethacrylate)、PES(Polyethersulfone)、PET(Polyethyleneterephtalate)、PEN(Polyethylenenaphthalate)、COC(Cyclic olefin copolymer)、PAc(Polyacrylate)、PE(Polyethylene)、PEEK(Polyetheretherketone)、PEI(Polyetherimide)、PI(Polyimide)、PSF(Polysulfone)、PVA(Polyvinylalcohol)、PVCi(Polyvinylcinnamate)、TAC(Triacetylcellulose)、ポリシリコン(Poly Silicone)、ポリウレタン(Polyurethane)およびエポキシ樹脂(Epoxy Resin)からなる群より選択される1種以上の高分子樹脂を用いることができる。前記混合使用時、化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子の含量は0.1乃至99重量%から任意に選択して使用することができ、好ましくは1重量%以上を使用する場合に熱可塑性樹脂に耐化学性などの物性をさらに向上させることができる。
【0089】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子と共にガラス繊維または炭素繊維のような無機繊維を混合して使用することもできる。前記混合使用時、化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子の含量は1乃至90重量%から任意に選択して使用することができ、好ましくは5重量%以上を使用する場合に熱可塑性樹脂に防水性などの物性をさらに向上させることができる。
【0090】
本発明による熱可塑性樹脂組成物は、化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子の官能基であるR、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22をシルセスキオキサン複合高分子と混合使用される高分子樹脂または無機繊維との相溶性に優れた官能基を選択して使用することによって、熱可塑性樹脂の安全性を高め、難燃性、防水性、防汚性、透明性などの物性を安定的に持続可能に維持するようにすることができる。
【0091】
また、前記樹脂組成物は顔料をさらに含むことができる。本発明の前記化学式1乃至9のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子は顔料の分散性を向上させ、顔料との相溶性に優れ、熱可塑性樹脂組成物が顔料を含む場合、優れた着色効果を有するようにすることができる。前記顔料は公知の顔料を使用することができるのはもちろんであり、顔料の含量は当業者が適切な範囲で選択して使用することができる。
【0092】
本発明で前記熱可塑性樹脂組成物は必要によって当分野で通常使用する可塑剤、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レべリング剤、撥水剤、難燃剤、接着改善剤、その他の機能性添加剤などの添加剤を追加的に含むことで物性を向上させることができる。このような添加剤は、その使用において特別に制限はないが、熱可塑性樹脂の物性を害しない範囲内で適切に添加することができ、具体的な例として、前記添加剤をそれぞれ独立して組成物総重量100増量部に対して0.01-10重量部で含まれる。
【0093】
本発明で使用可能な添加剤としては、ポリエーテルジメチルポリシロキサン系(Polyether-modified polydimethylsiloxane、例えば、BYK社のBYK-300、BYK-301、BYK-302、BYK-331、BYK-335、BYK-306、BYK-330、BYK-341、BYK-344、BYK-307、BYK-333、BYK-310など)、ポリエーテルヒドロキシポリジメチルシロキサン系(Polyether modified hydroxyfunctional poly-dimethyl-siloxane、例えば、BYK-308、BYK-373など)、ポリメチルアルキルシロキサン系(Methylalkylpolysiloxane、例えば、BYK-077、BYK-085など)、ポリエーテルポリメチルアルキルシロキサン系(Polyether modified methylalkylpolysiloxane、例えば、BYK-320、BYK-325など)、ポリエステルポリメチルアルキルシロキサン系(Polyester modified poly-methyl-alkyl-siloxane、例えば、BYK-315など)、アラルキルポリメチルアルキルシロキサン系(Aralkyl modified methylalkyl polysiloxane、例えば、BYK-322、BYK-323など)、ポリエステルヒドロキシポリジメチルシロキサン系(Polyester modified hydroxy functional polydimethylsiloxane、例えば、BYK-370など)、ポリエステルアクリルポリジメチルシロキサン系(Acrylic functional polyester modified polydimethylsiloxane、例えば、BYK-371、BYK-UV3570など)、ポリエーテル-ポリエステルヒドロキシポリジメチルシロキサン系(Polyeher-polyester modified hydroxy functional polydimethylsiloxane、例えば、BYK-375など)、ポリエーテルポリジメチルシロキサン系(Polyether modified dimethylpolysiloxane、例えば、BYK-345、BYK-348、BYK-346、BYK-UV3510、BYK-332、BYK-337など)、非イオンポリアクリル系(Non-ionic acrylic copolymer、例えば、BYK-380など)、イオン性ポリアクリル系(Ionic acrylic copolymer、例えば、BYK-381など)、ポリアクリレート系(Polyacrylate、例えば、BYK-353、BYK-356、BYK-354、BYK-355、BYK-359、BYK-361N、BYK-357、BYK-358N、BYK-352など)、ポリメタクリレート系(Polymethacrylate、例えば、BYK-390など)、ポリエーテルアクリルポリジメチルシロキサン系(Polyether modified acryl functional polydimethylsiloxane、例えば、BYK-UV3500、BYK-UV3530など)、ポリエーテルシロキサン系(Polyether modified siloxane、例えば、BYK-347など)、アルコールアルコキシレート系(Alcohol alkoxylates、例えば、BYK-DYNWET800など)、アクリレート系(Acrylate、例えば、BYK-392など)、ヒドロキシシリコンポリアクリレート系(Silicone modified polyacrylate(OH-functional)、例えば、BYK-Silclean3700など)などが挙げられる。
【0094】
また、本発明は前記熱可塑性樹脂組成物を用いて製造した物品を提供するところ、前記物品は前記熱可塑性樹脂組成物を用いて製造したものであれば特に限定されず、一例としてフィルム、射出または押出を通じて成形物、発泡物、繊維フィラメントを含む。前記フィルム、成形物、発泡物または繊維フィラメントを製造する方法は、前記本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて公知されたそれぞれのフィルム、成形物、発泡物または繊維フィラメントを製造する工程を用いて製造することができるのはもちろんである。具体的な前記物品の例としては、各種電子製品のケースを含むハウジング、アクセサリーを含むプラスチック生活用品、照明、ヘルメット、自動車内外装材、釣り竿、ゴルフクラブ、ヨット、建築内外装材、配管、家具、フィルム、機能性繊維、機能性衣類などが挙げられる。
【0095】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【0096】
下記本発明の実施例において、ECHETMSは2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、GPTMSはGlycidoxypropytrimethoxysilane、MAPTMSは(methacryloyloxy)propyltrimethoxysilane、PTMSはPhenyltrimethoxysilane、MTMSはMethyltrimethoxysilane、ECHETMDSはDi(epoxycyclohexyethyl)tetramethoxy disiloxane、GPTMDSはDi(glycidoxypropyl)tetramethoxy disiloxane、MAPTMDSはDi(methacryloyloxy)propy、PTMDSはDi(phenyl)tetramethoxy disiloxane、MTMDSはDi(Methyl)tetramethoxy disiloxaneを意味する。
【0097】
[実施例1]共重合体1および9を含むコーティング組成物の製造
実施例1:共重合体1および9を含むコーティング組成物の製造
合成段階は、下記のように、連続加水分解および縮合を段階的に行った。
[実施例1-a]触媒の製造
塩基度の調節のために、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Tetramethylammonium hydroxide;TMAH)25重量%水溶液に10重量%カリウムヒドロキシド(Potassium hydroxide;KOH)水溶液を混合して触媒1aを準備した。
【0098】
[実施例1-b]線状シルセスキオキサン構造の合成
冷却管と攪拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水5重量部、テトラヒドロフラン15重量部、前記実施例1-aで製造された触媒1重量部を滴加し、1時間常温で攪拌した後、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン20重量部を滴加し、再びテトラヒドロフランを15重量部滴加し、5時間追加攪拌した。攪拌中の混合溶液を滴取り、二度洗浄することで触媒と不純物を除去しフィルターした後、IR分析を通じて末端基に生成されたSI-OH官能基を確認することができ(3200cm-1)、分子量を測定した結果、化学式10の構造のような線状構造のシルセスキオキサンが8,000スチレン換算分子量を有するのを確認することができた。
【0099】
[実施例1-c]連続的かご(cage)構造の生成
前記実施例1-b混合溶液に0.36重量%HCl水溶液を非常に徐々に5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジフェニルテトラメトキシジシロキサン(Diphenyltetramethoxydisiloxane)5重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図り、1時間攪拌後に実施例1-aで製造された触媒を7重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、線状高分子とは別途にアルコキシ(alkoxy)が開いているD構造の前駆体が形成される。少量のサンプルを滴取り、H-NMRとIRで分析してメトキシ(methoxy)の残存率を確認した後、残存率が20%である時、0.36重量%HCl水溶液を10重量部徐々に滴加して、pHを酸性に調節した。その後、フェニルトリメトキシシラン(Phenyltrimethoxysilane)1重量部を一度に滴加し、15分間攪拌後、1-aで製造された触媒20重量部を添加した。4時間の混合攪拌以後、確認結果、高分子内にかご(cage)形態の高分子が生成されるのを確認することができた。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して、全体的な反応物が水溶液混合物に変換されるようにした。4時間の混合攪拌以後、一部を滴取り、29Si-NMRを通じて分析した結果、フェニル(phenyl)基を用いて導入された構造の分析ピークが鋭い形態の2つで示され、別途に残存する副産物なく、化学式1のようなA-D高分子が50%以上製造されたのを確認することができた。また、スチレン換算分子量は11,000と測定され、n値は4-6であった。29Si-NMR(CDCl3)δ
【0100】
[実施例1-D]
ローチップポリエチレンテレフタレート(TEIJIN社、TR-8550T1)の溶融状態で全体重量対比10重量%で前記実施例1-Cで製造したシルセスキオキサン複合高分子を配合してポリエチレンテレフタレート複合チップを製造した。
【0101】
[実施例1-E]
ローチップポリカーボネート(TEIJIN社、PanliteR)の溶融状態で全体重量対比5重量%で前記実施例1-Cで製造したシルセスキオキサン複合高分子を配合してポリカーボネート複合チップを製造した。
【0102】
[実施例1-F]
ローチップポリエチレンナフタレート(TEIJIN社、TeonexRTN8065S)の溶融状態で全体重量対比5重量%で前記実施例1-Cで製造したシルセスキオキサン複合高分子を配合してポリエチレンナフタレート複合チップを製造した。
【0103】
また、下記表19に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子および複合チップを製造した。この時、製造方法は前記実施例1-b、1-c、1-d、1-eおよび1-fで用いた方法を対等に適用した。
【0104】
【0105】
実施例2:シルセスキオキサンD-A-D構造複合高分子の合成
D-A-D構造の複合高分子を製造するために下記の実施例を用い、前記実施例1に記載された方法と対等の方法で複合チップを製造した。触媒および線状構造の製造は実施例1-aおよび1-bの方法を同一に使用し、その後連続的D-A-D構造を生成するために下記の方法で製造を実施した。
[実施例2-a]過量の連続的かご(cage)構造の生成
前記実施例1-b混合溶液に0.36重量%HCl水溶液を非常に徐々に5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、実施例1-bで使用されたジフェニルテトラメトキシジシロキサン(Diphenyltetramethoxydisiloxane)の5倍である25重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図り、1時間攪拌後に実施例1-aで製造された触媒を7重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、線状高分子とは別途にアルコキシ(alkoxy)が開いているD構造の前駆体が形成される。少量のサンプルを滴取り、H-NMRとIRで分析してメトキシ(methoxy)の残存率を確認した後、残存率が20%である時、0.36重量%HCl水溶液を10重量部徐々に滴加して、pHを酸性に調節した。その後、フェニルトリメトキシシラン(Phenyltrimethoxysilane)1重量部を一度に滴加し、15分間攪拌後、1-aで製造された触媒20重量部を添加した。4時間の混合攪拌以後、確認結果、高分子内にかご(cage)形態の高分子が生成されるのを確認することができた。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して、全体的な反応物が水溶液混合物に変換されるようにした。4時間の混合攪拌以後、一部を滴取り、29Si-NMRを通じて分析した結果、フェニル(phenyl)基を用いて導入された構造の分析ピークが鋭い形態の2つで示され、別途に残存する副産物なく化学式1のようなA-D高分子が製造されたのを確認することができた。また、スチレン換算分子量は14,000と測定され、n値は4-6であった。また、Si-NMR分析でA-D構造とは異なりA構造の末端で現れた-68ppm近辺のピークが無くなり、A構造の末端がD構造に全て変換されてD-A-D構造に生成されるのを確認した。29Si-NMR(CDCl3)δ-72.3(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-82.5(broad)
【0106】
また、下記表20に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子および複合チップを製造した。この時、製造方法は前記実施例2で用いた方法を対等に適用した。
【0107】
【0108】
実施例3:シルセスキオキサンE-A-D構造複合高分子の合成
E-A-D構造の複合高分子を製造するために下記の実施例を用い、前記実施例1に記載された方法と対等の方法で複合チップを製造した。触媒および線状構造の製造は実施例1の方法を同一に使用し、その後E-A-D構造を生成するために下記の方法で製造を実施した。
[実施例3-a]鎖末端E構造の生成
実施例1-cで得られたA-D混合物に別途の精製なくメチレンクロリド20重量部を滴加し、0.36重量%HCl水溶液を5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジメチルテトラメトキシジシロキサン(dimethyltetramethoxydisiloxane)1重量部を一度に滴加した。この時、まだ分子構造内で加水分解されずに存在した部分が溶媒と分離された酸性水溶液層で加水分解物に容易に変換され、生成された別途の反応物と有機溶媒層で縮合され末端単位にEが導入された。5時間の攪拌後、反応の攪拌を停止し、常温に反応器の温度を調節した。
【0109】
[実施例3-b]末端E構造にかご(cage)導入
前記実施例3-aで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。反応が進行中である実施例3-a混合溶液にメチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図り、24時間攪拌後、実施例1-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、E構造末端にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ、化学式3のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0110】
[実施例3-c]沈殿および再結晶を通じた副産物の除去、結果物の収得
前記実施例3-bで反応が完了した混合物を得た後、蒸溜水を用いて洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かし、-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図り、精製が容易に行われるようにするためである。
【0111】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式3の高分子が様々な副産物と共に得られることを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(sharp)形態のかご(Cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で17,000であり、n値は4-6であり、特に化学式3の結果は次の通りである。
29Si-NMR(CDCl3)δ-68.2、-71.8(sharp)。-72.3(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-82.5(broad)
【0112】
また、下記表21に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子および複合チップを製造した。この時、製造方法は前記実施例3で用いた方法を対等に適用した。
【0113】
【0114】
【0115】
実施例4:A-B-D構造複合シルセスキオキサン高分子の合成
合成段階は下記のように、連続加水分解および縮合を段階的に行ってE-A-D構造の複合高分子を製造し、前記実施例1に記載された方法と対応した方法で複合チップを製造した。
[実施例4-a]加水分解および縮合反応のための触媒の製造
塩基度調節のために、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Tetramethylammonium hydroxide;TMAH)25wt%水溶液に10wt%カリウムヒドロキシド(Potassium hydroxide;KOH)水溶液を混合して触媒1aを準備した。
【0116】
[実施例4-b]線状シルセスキオキサン構造の合成(A-B前駆体の合成)
冷却管と攪拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水5重量部、テトラヒドロフラン40重量部、前記実施例4-aで製造された触媒0.5重量部を滴加し、1時間常温で攪拌した後、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン10重量部を滴加し、再びテトラヒドロフランを20重量部滴加し、2時間追加攪拌した。攪拌中の混合溶液を滴取り、二回の洗浄で触媒と不純物を除去しフィルターした後、1H-NMR分析を通じて残存するアルコキシ基(alkoxy group)が0.1mmol/g以下で残存している線状シルセスキオキサンを得た。これは、以後にかご(cage)を連続反応で導入するのに用いられる部分である。線状構造の形態分析は、XRD分析を通じて全体的な構造が線状構造体であるのを確認した。分子量を測定した結果、線状構造のシルセスキオキサンが6,000スチレン換算分子量を有するのを確認することができた。
1H-NMR(CDCl3)δ3.7、3.4、3.3(broad)、3.1,2.8、2.6、1.5(broad)、0.6。
【0117】
[実施例4-c]鎖内かご(cage)構造の生成のためのpH変換反応(B、D構造の導入)
反応が進行中である実施例4-b混合溶液に0.36wt%HCl水溶液を非常に徐々に5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジフェニルテトラメトキシジシロキサン(DiPhenyltetramethoxydisiloxane)5重量部を一度に滴加し、1時間攪拌後、実施例4-aで製造された触媒を5重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、線状構造体とは別途にかご(cage)形態の構造体が生成され高分子鎖に導入されるのを確認することができ、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して、全体的な反応物が水溶液混合物に変換されるようにした。4時間の混合攪拌以後、一部を滴取り、29Si-NMRおよび1H-NMRを通じて分析した結果、B構造内に存在するアルコキシ基(alkoxy group)の量が0.025mmol/gに変化し、BとDの繰り返し単位が約5:5比率で導入されたのを確認することができた。また、スチレン換算分子量は10,000と測定された。また、かご(cage)型構造が導入されたが、高分子のGPC形態で単独かご(cage)型物質の分子量分布が見られないので、かご(cage)構造が連続反応を通じて高分子鎖によく導入されたのを確認することができた。
1H-NMR(CDCl3)δ7.5,7.2、3.7、3.4、3.3(broad)、3.1,2.8、2.6、1.5(broad)、0.6。29Si-NMR(CDCl3)δ-72.5(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-79.9(sharp)、-82.5(broad)
【0118】
[実施例4-d]B構造内X導入(B、D構造の導入)
前記実施例4-cで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。実施例4-cで得られた物質100重量部を50重量部のテトラヒドロフランに溶かした後、5重量部の蒸溜水を入れて混合溶液を製造した。その後、製造された混合溶液に0.36wt%HCl10重量部を添加し、10分間攪拌後、メチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図った。24時間攪拌後、実施例4-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、B構造のX部分にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式4のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0119】
[実施例4-e]沈殿および再結晶を通じた副産物除去、結果物の収得
前記実施例4-dで反応が完了した混合物にメチレンクロリド200重量部を入れて、蒸溜水と共に分別洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かし、-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図り、精製が容易に行われるようにするためである。
【0120】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式4の高分子が様々な副産物なく得られるのを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で12,000の値を得ることができ、Xのn値は4-6であり、Yのn値は4-6であり、特に化学式4の結果は次の通りである。
29Si-NMR(CDCl3)δ-72.5(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-79.9(sharp)、-81.5(sharp)、-82.5(broad)
【0121】
また、下記表22に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子および複合チップを製造した。この時、製造方法は前記実施例4で用いた方法を対等に適用した。
【0122】
【0123】
実施例5:D-A-B-D構造複合シルセスキオキサン高分子の合成
D-A-B-D構造の複合高分子を製造するために下記の方法を用い、前記実施例1と対等の方法で複合チップを製造した。
[実施例5-a]D構造の過量生成のためのpH変換反応(B、D構造の導入)
反応が進行中である実施例4-b混合溶液に0.36wt%HCl水溶液を非常に徐々に5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジフェニルテトラメトキシジシロキサン(DiPhenyltetramethoxydisiloxane)の量を実施例4-bの5倍である25重量部で準備して一度に滴加し、1時間攪拌後、実施例1-aで製造された触媒を5重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。反応完了後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して、全体的な反応物が水溶液混合物に変換されるようにした。4時間の混合攪拌以後、一部を滴取り、29Si-NMRおよび1H-NMRを通じて分析した結果、B構造内に存在するアルコキシ基(alkoxy group)の量が0.012mmol/gに変化し、BとDの繰り返し単位が約1:9の比率で導入されたのを確認することができた。また、スチレン換算分子量は24,000と測定された。また、かご(cage)型構造が導入されたが、高分子のGPC形態で単独かご(cage)型物質の分子量分布が見られないので、かご(cage)構造が連続反応を通じて高分子鎖によく導入されたのを確認することができた。
1H-NMR(CDCl3)δ7.5,7.2、3.7、3.4、3.3(broad)、3.1,2.8、2.6、1.5(broad)、0.6。29Si-NMR(CDCl3)δ-72.5(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-79.9(sharp)、-82.5(broad)
【0124】
[実施例5-b]B構造内X導入(B、D構造の導入)
前記実施例5-aで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。実施例5-aで得られた物質100重量部を50重量部のテトラヒドロフランに溶かした後、5重量部の蒸溜水を入れて混合溶液を製造した。その後、製造された混合溶液に0.36wt%HCl10重量部を添加し、10分間攪拌後、メチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図った。24時間攪拌後、実施例4-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、B構造のX部分にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式5のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0125】
[実施例5-c]沈殿および再結晶を通じた副産物除去、結果物の収得
前記実施例5-bで反応が完了した混合物にメチレンクロリド200重量部を入れて、蒸溜水と共に分別洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かし、-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図り、精製が容易に行われるようにするためである。
【0126】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式5の高分子が様々な副産物なく得られるのを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で16,000の値を得ることができ、Xのn値は4-6であり、Yのn値は4-6であり、特に化学式5の結果は次の通りである。
29Si-NMR(CDCl3)δ-72.5(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-79.9(sharp)、-81.5(sharp)、-82.5(broad)
【0127】
また、下記表23に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子および複合チップを製造した。この時、製造方法は前記実施例5で用いた方法を対等に適用した。
【0128】
【0129】
実施例6:シルセスキオキサンE-A-B-D構造複合高分子の合成
E-A-B-D構造の複合高分子を製造するために下記の方法を用い、前記実施例1と対等の方法で複合チップを製造した。
[実施例6-a]鎖末端E構造の生成
実施例4-cで得られた混合物に別途の精製なくメチレンクロリド20重量部を滴加し、0.36重量%HCl水溶液を5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジメチルテトラメトキシジシロキサン(dimethyltetramethoxydisiloxane)1重量部を一度に滴加した。この時、まだ分子構造内で加水分解されずに存在した部分が溶媒と分離された酸性水溶液層で加水分解物に容易に変換され、生成された別途の反応物と有機溶媒層で縮合されて、末端単位にEが導入された。5時間の攪拌後、反応の攪拌を停止し常温に反応器の温度を調節した。
【0130】
[実施例6-b]B構造および末端E構造のXにかご(cage)導入
前記実施例6-aで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。反応が進行中である実施例6-a混合溶液にメチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図り、24時間攪拌後、実施例1-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、E構造末端にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式6のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0131】
[実施例6-c]沈殿および再結晶を通じた副産物除去、結果物の収得
前記実施例6-bで反応が完了した混合物を得た後、蒸溜水を用いて洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かし、-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図って、精製が簡単に行われるようにするためである。
【0132】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式6の高分子が様々な副産物と共に得られるのを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で21,000の値を得ることができ、Xのn値は4-6であり、Yのn値は4-6であり、特に化学式6の結果は次の通りである。
29Si-NMR(CDCl3)δ-68.2、-71.8(sharp)、-72.3(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-82.5(broad)
【0133】
また、下記表24に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子および複合チップを製造した。この時、製造方法は前記実施例6で用いた方法を対等に適用した。
【0134】
【0135】
【0136】
実施例7:シルセスキオキサンA-B-A-D構造複合高分子の合成
合成段階は下記のように、連続加水分解および縮合を段階的に行い、前記実施例1と同一の方法で複合チップを製造した。
[実施例7-a]触媒の製造
塩基度調節のために、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Tetramethylammonium hydroxide;TMAH)25重量%水溶液に10重量%カリウムヒドロキシド(Potassium hydroxide;KOH)水溶液を混合して触媒1aを準備した。
【0137】
[実施例7-b]線状シルセスキオキサンの合成(A前駆体)
冷却管と攪拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水5重量部、テトラヒドロフラン15重量部、前記実施例7-aで製造された触媒1重量部を滴加し、1時間常温で攪拌した後、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン20重量部を滴加し、再びテトラヒドロフランを15重量部滴加して5時間追加攪拌した。攪拌中の混合溶液を滴取り、二回洗浄することで触媒と不純物を除去しフィルターした後、IR分析を通じて末端基に生成されたSI-OH官能基を確認することができ(3200cm-1)、分子量を測定した結果、線状構造のシルセスキオキサンが6,000スチレン換算分子量を有するのを確認することができた。
【0138】
[実施例7-c]線状シルセスキオキサン構造の合成(A-B前駆体の合成)
冷却管と攪拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水5重量部、テトラヒドロフラン40重量部、前記実施例7-aで製造された触媒0.5重量部を滴加し、1時間常温で攪拌した後、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン10重量部を滴加し、再びテトラヒドロフランを20重量部滴加して2時間追加攪拌した。攪拌中の混合溶液を滴取り、二回洗浄することで触媒と不純物を除去しフィルターした後、1H-NMR分析を通じて残存するアルコキシ基(alkoxy group)が0.1mmol/g以下に残存している線状シルセスキオキサンを得た。これは、以後にかご(cage)を連続反応で導入するのに用いられる部分である。線状構造の形態分析はXRD分析を通じて全体的な構造が線状構造体であることを確認した。分子量を測定した結果、線状構造のシルセスキオキサンが8,000スチレン換算分子量を有するのを確認することができた。
【0139】
[実施例7-d]線状シルセスキオキサン構造の合成(A-B-A前駆体の合成)
冷却管と攪拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水5重量部、テトラヒドロフラン5重量部、製造された実施例7-a触媒を10重量部を滴加し、1時間常温で攪拌した後、実施例7-b前駆体と7-c前駆体を20重量部ずつそれぞれ滴加し、再びテトラヒドロフランを10重量部滴加して24時間追加攪拌した。攪拌中の混合溶液を滴取り、二回洗浄することで触媒と不純物を除去しフィルターした後、IR分析を通じて末端基に生成されたSI-OH官能基を確認することができ(3200cm-1)、分子量を測定した結果、線状構造のシルセスキオキサンが15,000スチレン換算分子量を有するのを確認することができた。
1H-NMR(CDCl3)δ3.7、3.4、3.3(broad)、3.1,2.8、2.6、1.5(broad)、0.6。
【0140】
[実施例7-e]連続的かご(cage)構造の生成(D構造の導入)
前記実施例7-d混合溶液に0.36重量%HCl水溶液を非常に徐々に5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジフェニルテトラメトキシジシロキサン(DiPhenyltetramethoxydisiloxane)5重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図り、1時間攪拌後、実施例7-aで製造された触媒を7重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、線状高分子とは別途にアルコキシ(alkoxy)が開いているD構造の前駆体が形成される。少量のサンプルを滴取り、H-NMRとIRで分析してメトキシ(methoxy)の残存率を確認した後、残存率が10%である時、0.36重量%HCl水溶液を10重量部徐々に滴加して、pHを酸性に調節した。その後、フェニルトリメトキシシラン(Phenyltrimethoxysilane)1重量部を一度に滴加して15分間攪拌後、1-aで製造された触媒20重量部を添加した。4時間の混合攪拌以後、確認結果、高分子内にかご(cage)形態の高分子が生成されるのを確認することができた。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して、全体的な反応物が水溶液混合物に変換されるようにした。4時間の混合攪拌以後、一部を滴取り、29Si-NMRを通じて分析した結果、フェニル(phenyl)基を用いて導入された構造の分析ピークが鋭い形態の2つで示され、別途に残存する副産物なく化学式7のような高分子が製造されたのを確認することができた。また、スチレン換算分子量は18,000と測定された。
29Si-NMR(CDCl3)δ-68.2、-72.3(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-82.5(broad)
【0141】
[実施例7-f]B構造内X導入(A-B-A-D構造の完成)
前記実施例7-eで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。実施例7-eで得られた物質100重量部を50重量部のテトラヒドロフランに溶かした後、5重量部の蒸溜水を入れて混合溶液を製造した。その後、製造された混合溶液に0.36wt%HCl10重量部を添加し、10分間攪拌後、メチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図った。24時間攪拌後、実施例7-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、B構造のX部分にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式7のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0142】
[実施例7-g]沈殿および再結晶を通した副産物除去、結果物の収得
前記実施例7-fで反応が完了した混合物にメチレンクロリド200重量部を入れ、蒸溜水と共に分別洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かして-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図って、精製が容易に行われるようにするためである。
【0143】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式7の高分子が様々な副産物なく得られることを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で24,000の値であり、Xのnの平均値は4-6であり、Yのn値は4-6であった。
【0144】
また、下記表25に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子および複合チップを製造した。この時、製造方法は前記実施例7で用いた方法を対等に適用した。
【0145】
【0146】
実施例8:D-A-B-A-D構造複合シルセスキオキサン高分子の合成
D-A-B-D構造の複合高分子を製造するために下記の実施例を用い、前記実施例1と同一の方法で複合チップを製造した。
[実施例8-a]D構造の過量生成のためのpH変換反応
反応が進行中である実施例7-d混合溶液に0.36wt%HCl水溶液を非常に徐々に15重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジフェニルテトラメトキシジシロキサン(DiPhenyltetramethoxydisiloxane)の量を実施例7-eの5倍である25重量部で準備して一度に滴加し、1時間攪拌後、実施例7-aで製造された触媒を20重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。反応完了後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して、全体的な反応物が水溶液混合物に変換されるようにした。4時間の混合攪拌以後、一部を滴取り、29Si-NMRおよび1H-NMRを通じて分析した結果、B構造内に存在するアルコキシ基(alkoxy group)の量が0.006mmol/gに変化し、BとDの繰り返し単位が約5:5比率で導入されたのを確認することができた。また、スチレン換算分子量は32,000と測定された。また、かご(cage)型構造が導入されたが、高分子のGPC形態で単独かご(cage)型物質の分子量分布が見られないので、かご(cage)構造が連続反応を通じて高分子鎖によく導入されたのを確認することができた。 1H-NMR(CDCl3)δ7.5,7.2、3.7、3.4、3.3(broad)、3.1,2.8、2.6、1.5(broad)、0.6。29Si-NMR(CDCl3)δ-72.5(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-79.9(sharp)、-82.5(broad)
【0147】
[実施例8-b]B構造内X導入
前記実施例8-aで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。実施例8-aで得られた物質100重量部を50重量部のテトラヒドロフランに溶かした後、5重量部の蒸溜水を入れて混合溶液を製造した。その後、製造された混合溶液に0.36wt%HCl10重量部を添加し、10分間攪拌後、メチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図った。24時間攪拌後、実施例7-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、B構造のX部分にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式8のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0148】
[実施例8-c]沈殿および再結晶を通じた副産物除去、結果物の収得
前記実施例8-bで反応が完了した混合物にメチレンクロリド200重量部を入れて、蒸溜水と共に分別洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かし、-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図り、精製が容易に行われるようにするためである。
【0149】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式1の高分子が様々な副産物なく得られることを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で36,000の値を得ることができ、Xのn値は4-6であり、Yのn値は4-6であり、特に化学式8の結果は次の通りである。
29Si-NMR(CDCl3)δ-72.5(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-79.9(sharp)、-81.5(sharp)、-82.5(broad)
【0150】
また、下記表26に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子および複合チップを製造した。この時、製造方法は前記実施例8で用いた方法を対等に適用した。
【0151】
【0152】
実施例9:シルセスキオキサンE-A-B-A-D構造複合高分子の合成
E-A-B-A-D構造の複合高分子を製造するために下記の実施例を用い、前記実施例1と対等の方法で複合チップを製造した。
[実施例9-a]鎖末端E構造の生成
実施例7-gで得られた混合物に別途の精製なくメチレンクロリド20重量部を滴加し、0.36重量%HCl水溶液を5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジメチルテトラメトキシジシロキサン(dimethyltetramethoxydisiloxane)1重量部を一度に滴加した。この時、まだ分子構造内で加水分解されずに存在した部分が溶媒と分離された酸性水溶液層で加水分解物に容易に変換され、生成された別途の反応物と有機溶媒層で縮合され、末端単位にEが導入された。5時間の攪拌後、反応の攪拌を停止し、常温に反応器の温度を調節した。
【0153】
[実施例9-b]B構造および末端E構造のXにかご(cage)導入
前記実施例9-aで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。反応が進行中である実施例9-a混合溶液にメチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図り、24時間攪拌後、実施例7-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、E構造末端にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式9のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0154】
[実施例9-c]沈殿および再結晶を通じた副産物除去、結果物の収得
前記実施例9-bで反応が完了した混合物を得た後、蒸溜水を用いて洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かし、-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図り、精製が容易に行われるようにするためである。
【0155】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式9の高分子が様々な副産物と共に得られることを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で28,000の値を得ることができ、Xのn値は4-6であり、Yのn値は4-6であった。
【0156】
また、下記表27に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子を製造した。この時、製造方法は前記実施例9で用いた方法を対等に適用した。
【0157】
【0158】
【0159】
[実験]
前記実施例1乃至9で製造された複合チップを用いて製作したシート(Sheet)に対する物理的、光学的特性を測定した。
【0160】
-ガラス転移温度評価(IPC-TM-650):0.3mm厚さで製作したシート(Sheet)を2×20mm大きさに切断し動的粘弾性分析器(DMA-8000)のテンションジオメトリ(Tension geometry)に装着して測定した。この時、測定条件は一般に使用する1Hz振動数で分当り2℃の速度で測定した。
【0161】
-表面硬度測定:一般に鉛筆硬度法(JIS 5600-5-4)は一般に750g荷重で評価するが、これより苛酷条件の1kgf荷重でコーティング面に45度角度で鉛筆を毎秒0.5mmの速度で水平に10mm移動してコーティング膜をかき、かかれた痕跡で評価した。5回実験のうち、3mm以上のかかれた痕跡が2回以上確認されなければ上位の硬度の鉛筆を選択して評価し、かかれた痕跡が2回以上確認されればその鉛筆硬度より一段下位の鉛筆を選択して鉛筆硬度と評価した。
【0162】
-スクラッチテスト(Scratch test)測定:スチールウール(Steel wool)による摩耗評価法は、1kg程度の重量の金づちの先端に#0000のスチールウール(Steel wool)を巻いて15回往復して試験片を擦り、そのヘイズ値を測定するが、今回の評価ではこれより苛酷な条件の400回試験片を擦り、ヘイズ測定および顕微鏡で肉眼評価を行った。結果は、ヘイズ増加が0.05%以上増加する場合、失敗と判断した。
【0163】
-透過度(ASTM D1746):製作したシート(sheet)に対して入射する光の全光線透過率をUV/vis分光法(UV/vis spectroscopy)を用いて測定した。
【0164】
-黄色度(ASTM D1925):標準光源(CIE)に対するシート(sheet)の色座値を色差計を(CM-3700A)用いて測定した。
【0165】
【0166】
上記表28に示したようにそれぞれの高分子にブレンディングした時、ガラス転移温度の上昇效果が顕著に示され、光学的特性および表面硬度、スクラッチ特性などが共に改善されるのを確認することができた。