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  • 特許-空容器検査装置の検査方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】空容器検査装置の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
G01N21/90 A ZAB
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017204534
(22)【出願日】2017-10-23
(65)【公開番号】P2019078592
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沢 厚司
(72)【発明者】
【氏名】青鬼 文広
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/171062(WO,A1)
【文献】特開2009-162575(JP,A)
【文献】特開2012-073067(JP,A)
【文献】特開2005-119706(JP,A)
【文献】特開平09-089805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - 21/958
G01B 11/00 - 11/30
G01M 11/00
B07C 5/00 - 5/38
H04N 5/222- 5/257
H04N 7/18
H04N 17/00 - 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を充填する前の空容器の異常を検査する空容器検査装置の検査方法であって、
異常を有する状態となっているサンプル空容器を前記空容器検査装置に検査させ、当該サンプル空容器が異常であると前記空容器検査装置が正しく判定するか否かを検査する検査工程を含み、
前記サンプル空容器は、空容器検査装置の検査のための異常とは別に、側面に貫通孔が形成されている空容器検査装置の検査方法。
【請求項2】
前記空容器、及び、前記サンプル空容器は、瓶である請求項1に記載の空容器検査装置の検査方法。
【請求項3】
前記サンプル空容器は、内部に液体が残っているという異常を有する状態、異物が付着しているという異常を有する状態、損傷しているという異常を有する状態、の少なくとも1つの状態である請求項1又は請求項2に記載の空容器検査装置の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空容器検査装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を充填する前の空容器に、異物の付着等の異常があるか否かを検査する空容器検査装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、検査対象の容器を、照明光が前記容器の底部側から入射して胴部内に導かれ、かつ胴部の外面からの前記照明光の入射は制限されるようにして照明する照明手段と、前記容器の口部から前記胴部の内壁を観察した画像を撮影する撮影手段と、を備えた容器検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-217825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような空容器検査装置を用いることにより、異物の付着等の異常な状態の空容器を特定し、当該異常な状態の空容器に液体が充填され製品化されてしまうといった事態を回避することができる。
ただ、この空容器検査装置に問題が発生している場合には、前記のような事態を回避できなくなってしまうため、当該装置を稼働する前(又は、適宜、稼働中や稼動終了後)において、当該装置が正常に稼働するか否かを検査する必要がある。
【0006】
空容器検査装置の検査方法としては、異常を有する状態としたサンプル空容器を当該装置に検査させ、異常があると正しく判定するか否か検査するという方法が挙げられる。
ここで、異常を有する状態としたサンプル空容器は、通常、製品用の空容器とは厳重に区別して保管されていることから、両者が混同してしまうような場面はほとんど想定できない。
しかしながら、万が一でもサンプル空容器に液体が充填された製品が消費者に届いてしまうといった可能性は、消費者保護の観点から可能な限り排除すべきであり、安心・安全な製品を消費者に届けるべく万全を期する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、サンプル空容器の製品化を防止することができる空容器検査装置の検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)液体を充填する前の空容器の異常を検査する空容器検査装置の検査方法であって、異常を有する状態となっているサンプル空容器を前記空容器検査装置に検査させ、当該サンプル空容器が異常であると前記空容器検査装置が正しく判定するか否かを検査する検査工程を含み、前記サンプル空容器は、空容器検査装置の検査のための異常とは別に、側面に貫通孔が形成されている空容器検査装置の検査方法。
(2)前記空容器、及び、前記サンプル空容器は、瓶である前記1に記載の空容器検査装置の検査方法。
(3)前記サンプル空容器は、内部に液体が残っているという異常を有する状態、異物が付着しているという異常を有する状態、損傷しているという異常を有する状態、の少なくとも1つの状態である前記1又は前記2に記載の空容器検査装置の検査方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る空容器検査装置の検査方法によれば、サンプル空容器の側面に貫通孔が形成されているため、そもそも当該サンプル空容器に液体は充填されないが、万が一、液体が充填されようとも、充填した液体が当該貫通孔から漏れ出ることにより、通常の製品とは明らかに異なる状態(液体が十分に充填されていない状態)となる。その結果、本発明に係る空容器検査装置の検査方法によれば、サンプル空容器の製品化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る空容器検査装置の検査方法の対象となる空容器検査装置の模式図である。
図2】本実施形態に係るサンプル空容器(口部が損傷しているという異常を有する状態)の模式図である。
図3】本実施形態に係るサンプル空容器(胴部に異物が付着しているという異常を有する状態)の模式図である。
図4】本実施形態に係るサンプル空容器(内部に液体が残っているという異常を有する状態)の模式図である。
図5】本実施形態に係るサンプル空容器(底部に異物が付着しているという異常を有する状態)の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る空容器検査装置の検査方法(以下、適宜「検査方法」という)、及び、サンプル空容器を実施するための実施形態について、図を参照して説明する。
【0013】
[空容器検査装置の概要]
最初に、図1を参照して、本実施形態に係る検査方法の対象となる空容器検査装置の概要を説明する。
(空容器検査装置)
空容器検査装置1は、空容器Eの洗浄後であって所望の液体が充填される前の段階において、当該空容器Eの異常を検査する装置である。
そして、空容器検査装置1は、データ取得第1手段11と、データ取得第2手段12と、データ取得第3手段13と、判定手段14と、制御手段(図示せず)と、を備える。
【0014】
データ取得第1手段11は、ラインr1~r3を流れてきた空容器Eの口部や胴部の画像データを取得する手段である。また、データ取得第2手段12は、ラインr4、r5を流れてきた空容器Eの内部に溜まった液体(水や塩素水などの洗浄液)の残液データを取得する手段である。また、データ取得第3手段13は、ラインr6を流れてきた空容器Eの底部の画像データを取得する手段である。
これらのデータ取得手段11、12、13は、公知の撮像装置やセンサ(光電センサ、レーザセンサ等)であればよい。
【0015】
判定手段14は、データ取得手段11、12、13によって取得された画像データ、残液データに基づいて、空容器Eの異常(異物の付着、損傷の発生、液体の残存)の有無を判定する手段である。
判定手段14による判定の方法については、公知の方法、例えば、データ取得第1手段11、第3手段13によって得られた画像データに2値化処理(白黒)を施し、黒(又は白)部分が検知された場合に異常あり(錆、残留物等の異物の付着あり、傷、割れ、ひび等の損傷の発生あり)と判定する方法が挙げられる。なお、画像データ上において異常ありと判定する黒(又は白)部分のサイズが、所定の基準よりも大きい場合は、再洗での対応が不可能な異常(錆、傷、割れ、ひび等の異常)と判定し、所定の基準よりも小さい場合は、再洗での対応が可能な異常(残留物、汚れ等の異常)と判定する方法であってもよい。
また、データ取得第2手段12によって得られた残液データについては、少しでも残液が存在するとの結果が得られた場合は、異常あり(液体の残存あり)と判定する方法が挙げられる。
【0016】
制御手段(図示せず)は、判定手段14の判定の結果に基づいて、空容器Eの移送を制御する手段である。
具体的には、制御手段は、判定手段14によって「異常なし」と判定された空容器Eについて、所望の液体を充填させる充填フィラーに送るため、充填ラインr9に移送するように制御する。また、制御手段は、判定手段14によって「異常はあるが再洗での対応が可能」と判定された空容器Eについて、再洗ラインr10に移送するように制御する。また、制御手段は、判定手段14によって「異常があり再洗での対応も不可能」と判定された空容器Eについて、廃棄ラインr11に移送するように制御する。
なお、前記した判定手段14、制御手段(図示せず)は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラムの実行処理や、専用回路等によって実現される。
【0017】
(空容器)
前記した空容器検査装置1の検査対象である空容器Eは、特に限定されず、瓶(リサイクル瓶、ワンウェイ瓶等)、PETボトル等が挙げられる。これらの容器の中でも、一旦使用されることによって何らかの異常が発生する可能性のあるリサイクル瓶(例えば、ビール瓶)が、検査対象として特に好適である。
リサイクル瓶は、液体を充填する前に徹底的に洗浄されるため、通常、汚れ等の問題はないが、稀に洗浄によって解消できない異常のあるリサイクル瓶が存在することがある。リサイクル瓶に対して、洗浄後であって所望の液体を充填する前の段階において、空容器検査装置1によって異常の発生の有無を検査することで、不適格なリサイクル瓶の製品化を回避することができる。
【0018】
[サンプル空容器]
次に、本実施形態に係るサンプル空容器について、図2~5を参照(適宜、図1を参照)して説明する。
【0019】
空容器検査装置1の検査方法に用いるサンプル空容器Sは、前記した製品化する空容器Eを空容器検査装置1によって検査する前(又は、適宜、稼働中や稼動終了後)において、空容器検査装置1が正常に稼働するか否かを検査するための容器である。
そして、サンプル空容器Sには、側面に貫通孔Hが設けられている。
【0020】
サンプル空容器Sの貫通孔Hの形状は、特に限定されないものの、形成のし易さの観点から、図2~5に示すような円形が好ましい。
サンプル空容器Sの貫通孔Hのサイズも、特に限定されないものの、万が一、所望の液体が充填された際に当該液体が好適に漏れ出すように、2mm以上が好ましく、貫通孔を開ける際に容器が暴発(破瓶等)しないように、6mm以下が好ましい。
サンプル空容器Sの貫通孔Hの設置場所も、特に限定されないものの、万が一、所望の液体が充填された際に当該液体が好適に漏れ出すように、肩部であるのが好ましい。
【0021】
そして、サンプル空容器Sには、空容器検査装置1が正常に稼働するか否かを検査できるように、貫通孔Hを設けるだけでなく、あえて所定の異常D1~D4を有する状態としている。
具体的には、図2のサンプル空容器S1は、空容器検査装置1のデータ取得第1手段11と判定手段14(特に口部の判定)と制御手段の正常な稼働を検査するため、口部に割れ等の損傷D1があるという異常を有する状態となっている。
また、図3のサンプル空容器S2は、空容器検査装置1のデータ取得第1手段11と判定手段14(特に胴部の判定)と制御手段の正常な稼働を検査するため、胴部に異物D2が付着しているという異常を有する状態となっている。
また、図4のサンプル空容器S3は、空容器検査装置1のデータ取得第2手段12と判定手段14と制御手段の正常な稼働を検査するため、内部に液体D3が残っているという異常を有する状態となっている。
また、図5のサンプル空容器S4は、空容器検査装置1のデータ取得第3手段13と判定手段14と制御手段の正常な稼働を検査するため、底部に残留物等の異物D4が付着しているという異常を有する状態となっている。
【0022】
[空容器検査装置の検査方法]
次に、本実施形態に係る検査方法について、図1~5を参照して説明する。なお、前記した空容器検査装置の動作も併せて説明する。
本実施形態に係る検査方法は、検査工程を含み、検査工程の前に準備工程を含んでもよい。
以下、本実施形態に係る検査方法の各工程について説明する。
【0023】
(準備工程)
準備工程は、サンプル空容器Sについて空容器検査装置1が検査すべき異常D1~D4を有する状態とする工程である。そして、この準備工程において、サンプル空容器Sの側面に貫通孔Hを形成させればよい。
サンプル空容器Sの異常D1~D4を有する状態、貫通孔Hの詳細については、前記したとおりである。なお、サンプル空容器Sは、空容器Eの中から前記した所定の異常D1~D4を有する状態のものを選出し、当該空容器Eに貫通孔Hを形成させてもよい。
なお、一旦、準備工程で前記した状態のサンプル空容器Sを準備すれば、当該サンプル空容器Sは何度も使用することができるため、次回からの検査方法では、当該準備工程を省略することができる。
【0024】
(検査工程)
検査工程は、準備工程で準備したサンプル空容器Sを空容器検査装置1に検査させ、当該サンプル空容器Sが異常であると空容器検査装置1が正しく判定するか否かを検査する工程である。
【0025】
検査工程での具体的な検査方法は、例えば、以下のとおりである。
まず、準備工程で準備したサンプル空容器S1~S4が、ラインr1~r3を移送された後、データ取得第1手段11によって、口部と胴部の画像データが取得される。そして、サンプル空容器S1~S4が、ラインr4、r5を移送された後、データ取得第2手段12によって、残液データが取得される。そして、サンプル空容器S1~S4が、ラインr6を移送された後、データ取得第3手段13によって、底部の画像データが取得される。
【0026】
そして、判定手段14が、データ取得手段11、12、13によって取得された各サンプル空容器S1~S4に関する画像データ・残液データに基づき、「異常なし」/「異常はあるが再洗での対応が可能」/「異常があり再洗での対応も不可能」の判定結果を導き出す。
詳細には、判定手段14は、口部に割れ等の損傷D1があるという異常を有する状態のサンプル空容器S1(図2)について、「異常があり再洗での対応も不可能」の判定結果を導き出す。なお、口部の異常は割れにつながる可能性があるため、安全性の面から、小さな異常であっても「異常があり再洗での対応も不可能」という判定結果を導き出すようにしている。
また、判定手段14は、胴部に異物D2(所定の基準よりも小さい異物)が付着しているという異常を有する状態のサンプル空容器S2(図3)について、「異常はあるが再洗での対応が可能」の判定結果を導き出す。
また、判定手段14は、内部に液体D3が残っているという異常を有する状態のサンプル空容器S3(図4)について、「異常はあるが再洗での対応が可能」との判定結果を導き出す。
また、判定手段14は、底部に残留物等の異物D4(所定の基準よりも小さい異物)が付着しているという異常を有する状態のサンプル空容器S4(図5)について、「異常はあるが再洗での対応が可能」の判定結果を導き出す。
【0027】
そして、制御手段(図示せず)が、判定手段14の判定結果に基づいて、サンプル空容器S1を廃棄ラインr11に移送するように制御し、サンプル空容器S2、S3、S4を再洗ラインr10に移送するように制御する。
【0028】
最終的に、各サンプル空容器S1~S4の移送結果をチェックすることによって、空容器検査装置1が正常に稼働するか否かを検査することができる。
詳細には、廃棄ライン11に移送されるべきサンプル空容器S1が、充填ラインr9又は再洗ラインr10に移送された場合は、データ取得第1手段11と判定手段14と制御手段の少なくとも1つに問題が発生していることが確認できる。
また、再洗ライン10に移送されるべきサンプル空容器S2が、充填ラインr9又は廃棄ラインr11に移送された場合は、データ取得第1手段11と判定手段14と制御手段の少なくとも1つに問題が発生していることが確認できる。
また、再洗ライン10に移送されるべきサンプル空容器S3が、充填ラインr9又は廃棄ラインr11に移送された場合は、データ取得第2手段12と判定手段14と制御手段の少なくとも1つに問題が発生していることが確認できる。
また、再洗ライン10に移送されるべきサンプル空容器S4が、充填ラインr9又は廃棄ラインr11に移送された場合は、データ取得第3手段13と判定手段14と制御手段の少なくとも1つに問題が発生していることが確認できる。
そして、検査工程が終了したサンプル空容器S1~S4は、製品用の空容器Eと混同しないように、次回の空容器検査装置の検査まで、厳重に区別して保管される。
【0029】
なお、ここまで、サンプル空容器S2、S4の異物D2、D4について、所定の基準よりも小さなサイズの異物の場合、言い換えると、サンプル空容器S2、S4について「異常はあるが再洗での対応が可能」の判定結果を導き出す場合を説明したが、サンプルS2、S4の異物D2、D4が所定の基準よりも大きなサイズの異物の場合、言い換えると、サンプル空容器S2、S4について「異常があり再洗での対応も不可能」の判定結果を導き出す場合としてもよい。
【0030】
[本実施形態に係る空容器検査装置の検査方法、及び、サンプル空容器の効果]
次に、本実施形態に係る空容器検査装置の検査方法、及び、サンプル空容器の効果について、図1~5を参照して説明する。
【0031】
本実施形態に係る検査方法によれば、サンプル空容器Sの側面に貫通孔Hが形成されているため、そもそも当該サンプル空容器Sに液体は充填されないが、万が一、液体が充填されようとも、充填した液体が当該貫通孔Hから漏れ出ることにより、通常の製品とは明らかに異なる状態(液体が十分に充填されていない状態)となる。その結果、本実施形態に係る検査方法によれば、サンプル空容器Sの製品化を防止することができる。
【0032】
本実施形態に係るサンプル空容器Sによれば、側面に貫通孔Hが形成されているため、そもそも当該サンプル空容器Sに液体は充填されないが、万が一、液体が充填されようとも、充填した液体が当該貫通孔Hから漏れ出ることにより、通常の製品とは明らかに異なる状態(液体が十分に充填されていない状態)となる。その結果、本実施形態に係るサンプル空容器Sによれば、当該サンプル空容器Sの製品化を防止することができる。
【0033】
特に、内部に液体(水や塩素水などの洗浄液)が残っているという異常については、従来のように貫通孔Hを有さない空容器をサンプルとして使用した場合、空容器自体には何ら問題がないため、万が一でも所望の液体が充填されてしまうと他の製品との見分けが全くつかなくなってしまう。
本実施形態に係る検査方法、及び、サンプル空容器Sによれば、内部に液体(水や塩素水などの洗浄液)が残っているという異常を判定する場合であっても、万が一、当該サンプル空容器Sに液体が充填されようとも、側面に貫通孔Hが形成されているため、当該サンプル空容器Sの製品化を防止することができる。
【0034】
[変形例]
前記した本実施形態に係る検査方法の検査工程では、サンプル空容器S1(図2)について、「異常があり再洗での対応も不可能」との判定結果を導き出し、サンプル空容器S2(図3)、サンプル空容器S3(図4)、サンプル空容器S4(図5)について、「異常はあるが再洗での対応が可能」との判定結果を導き出す構成としたが、当該構成に限られない。
例えば、内部に液体D3が残っているという異常を有する状態のサンプル空容器S3(図4)のみ、「異常はあるが再洗での対応が可能」との判定結果を導き出し、その他のサンプル空容器S1(図2)、S2(図3)、S4(図5)について、「異常があり再洗での対応も不可能」との判定結果を導き出す構成としてもよい。
【0035】
サンプル空容器Sとして、異常を有さない状態の容器(貫通孔Hが設けられているだけの容器)を、他のサンプル空容器S1~4と併せて準備してもよい。このサンプル空容器Sを用いることにより、異常を有さない状態の容器が充填ラインr9に問題なく移送されるか否かを確認することができる。
また、サンプル空容器Sとして、所定の異常D1~D4のいずれか1つを有する状態の容器(図2図5)を説明したが、同時に複数の異常を有する状態の容器(例えば、異常D1とD2の2つの異常を有する容器や、異常D1~D4の4つの異常を有する容器)を用いることもできる。
【0036】
前記した本実施形態に係る検査方法の対象となる空容器検査装置1のデータ取得手段11、12、13の数については3つに限定されず、増減させてもよい。また、データ取得手段11、12、13の設置場所についても特に限定されず、適宜、変更可能である。
また、前記した本実施形態に係る検査方法の対象となる空容器検査装置1のラインr1~r11の距離や環状の構成等についても特に限定されず、適宜、変更可能である。
【0037】
本実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0038】
1 空容器検査装置
11 データ取得第1手段(データ取得手段)
12 データ取得第2手段(データ取得手段)
13 データ取得第3手段(データ取得手段)
14 判定手段
r1~r11 ライン
r9 充填ライン
r10 再洗ライン
r11 廃棄ライン
E 空容器
S、S1~4 サンプル空容器
H 貫通孔
D1 割れ等の損傷(異常)
D2 異物(異常)
D3 内部の液体(異常)
D4 残留物等の異物(異常)
図1
図2
図3
図4
図5