(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】清掃用パッド
(51)【国際特許分類】
A47L 13/17 20060101AFI20220812BHJP
A47L 13/16 20060101ALI20220812BHJP
A47K 11/10 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A47L13/17 A
A47L13/16 C
A47K11/10
(21)【出願番号】P 2017223051
(22)【出願日】2017-11-20
【審査請求日】2020-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 菊夫
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-149237(JP,A)
【文献】特開2013-074943(JP,A)
【文献】特開2016-169442(JP,A)
【文献】特表平03-503125(JP,A)
【文献】特開2011-030793(JP,A)
【文献】特表2006-525038(JP,A)
【文献】国際公開第2015/182784(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/16-13/17
A47K 11/10
D04H 1/425
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなり、凹凸形状が形成され、0.1~0.5W/W%のバインダーを含む
圧縮されたパルプ積繊シートを山折り部及び谷折り部が繰り返す蛇腹状に折り畳んで形成された折畳み積層体からなり、該折畳み積層体は、山折り部又は谷折り部において、前記パルプ積繊シート同士が接合されており、更に
乾燥した洗浄用組成物を含むものであることを特徴とする、清掃用パッド。
【請求項2】
前記凹凸形状は、前記折畳み積層体を形成するパルプ積繊シートの全体に亘って
均一に形成された、請求項1に記載の清掃用パッド。
【請求項3】
前記バインダーは、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコ
ール)、アクリル、及びエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)の少なくとも1である、請求項1または請求項2に記載の清掃用パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ便器等の硬質表面に付着した汚れを清掃するための清掃具として、支持具の先端等に、ブラシやスポンジなどの清掃用パッドが固定された清掃具が広く用いられている。かかる清掃具の使用により、手を汚すことなくトイレ便器等の清掃が可能となる。一方清掃後、先端のブラシやスポンジに汚物が付着して残り、これを水洗トイレの水流に晒すだけでは洗い流せないことがあった。かかる汚物が先端に付着したままで清掃具を収納すれば、衛生面での問題がある。またトイレ清掃後、先端のブラシやスポンジを最終的には手元で洗う等となれば、やはり手元を汚すこととなる。
【0003】
上記問題に鑑み、例えば、特許文献1には、トイレ便器等の清掃中には、清掃性等がよく、清掃後には先端の清掃用パッド部を支持具先端から取り外して使い捨てることが可能な清掃用パッド等が開示されている。しかし、特許文献1に開示の清掃用パッドや清掃具においては、支持具に取り付けてトイレ便器等を清掃する際の操作性や、清掃後に便器等に使い捨てた際のパッドの水解性等につき、更なる改良が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち本発明は、トイレ便器等の清掃中には良好な操作性で清掃可能であり、また清掃後、便器などに使い捨てても優れた水解性を有する清掃用パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明にあっては、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなり、凹凸形状が形成され、0.1~0.5W/W%のバインダーを含むパルプ積繊シートの折畳み積層体からなり、該折畳み積層体が、そのいずれか一方端において、前記パルプ積繊シート同士が接合されており、更に洗浄用組成物を含むものであることを特徴とする、清掃用パッドとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トイレ便器等の清掃中には、良好な強度、操作性、汚れの清掃力を有すると共に、清掃後に便器などに使い捨てた場合には、優れた水解性を発揮する清掃用パッドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の清掃用パッドの一態様を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の清掃用パッドにおけるパルプ積繊シートの製造方法を説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[清掃用パッド]
本発明の清掃用パッドは、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなり、凹凸形状が形成され、所定量のバインダーを含むパルプ積繊シートの折畳み積層体からなる。当該折畳み積層体は、そのいずれか一方端において、パルプ積繊シート同士が接合されており、更に洗浄用組成物を含み、必要に応じてその他の成分を含む。
【0010】
(パルプ積繊シート)
パルプ積繊シートは、粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維シートを、圧縮・押圧等して得られるものである。
【0011】
<原料繊維シート>
原料繊維シートは、多数の繊維の集合体により構成されており、吸水性を有している。原料繊維シートは、パルプ等の天然繊維やレーヨン等の再生繊維、あるいは天然繊維と再生繊維の混合物等により形成される。パルプ以外の天然繊維としては、例えばケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸、サトウキビ等を用いることができる。原料繊維シートは、厚さ方向における繊維の密集する度合いが異なるように構成されていることが好ましい。
【0012】
粉砕パルプは、紙材料等の原料となるパルプ材料を粉砕機等によって細かく粉砕して綿状にしたものをいう。粉砕パルプの原料としては、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を挙げることができ、トイレットペーパー材料を用いることもできる。トイレットペーパー材料としては、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプを配合したものを用いることができるが、針葉樹晒クラフトパルプからなる原料パルプを用いることが製造上の観点から好ましい。針葉樹晒クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹晒クラフトパルプより得た粉砕パルプを用いて水解性パルプ積繊シートを構成すると、繊維相互の絡み具合が高まり、その結果、強度が向上する。また繊維同士の絡み合いによる繊維間空間容積が、繊維長の短い広葉樹晒クラフトパルプ等を用いた場合より大きくなり、各繊維が動く自由度が大きくなるため、柔軟性も向上する。
【0013】
原料繊維シートにおいては、粉砕パルプの配合割合が30%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。さらには、粉砕パルプの配合割合が80%以上であるのが好ましく、100%が粉砕パルプで形成されているのがより好ましい。粉砕パルプは、パルプ材料を粉砕して綿状に形成したものであるから、繊維が圧縮された状態にある抄紙された紙に比べ、繊維間に無数の空間が形成されている。繊維間に無数の空間が形成されていると、パルプ積繊シートを構成している各繊維が動く自由度を大きくすることができる。このため粉砕パルプの配合を上記した割合にすることにより、より少ない目付量でもパルプ積繊シートの嵩高形成機能を大きくすることができる。この結果、全体としての柔軟性を向上させ、また製造時の生産効率を向上させることができる。
【0014】
パルプ積繊シートの目付量は、80g/m2以下であるのが好ましく、また60g/m2以下であるのがより好ましい。目付量を上記範囲にすることで、トイレ便器等を効率的に清掃するために適切な嵩高性、強度等を有する清掃用パッドが提供される。
【0015】
<圧縮・押圧(凹凸形状)>
原料繊維シートに対する圧縮・押圧の方法には、特に限定はないが、エンボスロース等を用いた圧縮・押圧が行われるのが好ましい。これにより、凹凸形状が適切に形成されたパルプ積繊シートが形成される。圧縮・押圧工程の詳細は後述するが、例えば、一対のロール対のうち、上ロール及び下ロールの少なくとも一方が、エンボスロール等であってよい。
【0016】
各凹凸パターンの形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形、菱形、これらの組み合わせであってよく、また、これら以外の形状、例えば模様図柄や、線状の凸部と凹部とを繰り返し形成した波形形状であってもよい。更に凹凸形状は、原料繊維シートの全面に亘って形成されていてもよく、一部にのみ形成されていてもよい。特に本発明においては、凹凸形状が、折畳み積層体を形成するパルプ積繊シートの全体に亘って略均一に形成されるのが好ましい。またエンボス加工による凹凸形成は、例えば、原料繊維シートのいずれか一方から片面のみに対して行われてもよく、原料繊維シートの表裏両面に対して行われてもよい。これらの凹凸形状(凹凸の深さ、密度、形状)のコントロールにより、得られる清掃用パッドの操作性及び水解性、強度等を適切にコントロールすることが可能となる。
【0017】
パルプ積繊シートは、0.1~0.5W/W%のバインダーを含む。当該バインダーとしては、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、アクリル、及びエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)の少なくとも1であるのが好ましい。これらのバインダーは、1種単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらのバインダーの組み合わせ、各々の使用量等を適宜調整することにより、得られる清掃用ブラシの水解性を適切にコントロールすることが可能となる。これにより、清掃中には、良好な操作性・強度で清掃可能で、かつ、清掃後に便器などに使い捨てた際には、優れた水解性を発揮することが可能な清掃用パッド及びそれを用いる清掃具が提供される。尚、パルプ積繊シートは、少なくとも、バインダー塗布の前に、前述の圧縮・押圧が施されているのが好ましい。
【0018】
(折畳み積層体)
パルプ積繊シートの折畳み積層体としては、本発明の清掃用パッドを用いてトイレ便器等を清掃する際の操作性が良好であれば特に制限はない。
本発明の折畳み用の清掃用パッドの構成について、
図1に基づいて具体的に説明する。
図1には、清掃用パッドとして用いることが可能な折畳み積層体101が斜視図にて示されている。折畳み積層体101を形成するパルプ積繊シート102には、全体に亘って凹凸形状が略均一に形成されている。パルプ積繊シート102は、山折り部及び谷折り部の繰り返し構造を有するように蛇腹状に折畳まれている。
【0019】
折畳み積層体101の大きさとしては、通常の汎用されているトイレ便器内を効率よく清掃するために適切な大きさであれば問題ない。折畳み積層体101の形状としては、公知の様々な折り畳み方によって折り畳まれて積層されて構成されたものであれば特に制限はなく、直方体、円形、楕円形、等種々の形状が挙げられる。例えば、パルプ積繊シートがロール状に巻かれたロール形状、蛇腹状に折り畳まれた蛇腹形状のほか、V折り、Z折り、観音折り、等、各種の折り方の1以上を組み合わせ、全体として、折畳み積層体が前述の形状に構成されているのがよい。また、パルプ積繊シートが複数枚積層された後に、各種の折り畳み方により折り畳まれ、積層されて形成されたものも好ましい。
【0020】
これらの中でも、製造容易性、使用時の強度、使用時の性能安定性等の観点から、複数枚のパルプ積繊シートを積層した後、山折り谷折りにして繰り返し折畳むことにより形成された蛇腹状の折畳み積層体を形成し、その一方端(山折り部又は谷折り部)において、積層されたパルプ積繊シート同士が接合されているのが好ましい。接合の方法としては、例えば、折畳み積層体の一方端(山折り部又は谷折り部)を、ロール等を用いて潰すことによる接合、等が挙げられる。
【0021】
(洗浄剤組成物)
洗浄剤組成物としては、例えば、洗浄剤としての界面活性剤、防腐剤、着色剤(顔料、染料)、コーティング剤、等を含有する洗浄剤組成物が挙げられる。これらの成分のほか、溶剤、漂白成分、研磨剤、香料、殺菌剤、除菌剤、消臭剤、等の成分が含まれていてもよい。
【0022】
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、特に、硫酸エステル塩、スルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、及び、高級アルコール、アルキルエーテル等のポリエチレングリコールエーテル型の非イオン系界面活性剤が好ましい。例えば、ラウリルグルコシド等が好ましい。
【0023】
防腐剤としては、洗浄剤組成物に用いられる公知の防腐剤が挙げられる。防腐剤としては、例えば、ラウリルトリモニウムクロリド、フェノキシエタノール等が好適である。これらは、単独で用いられてもよく、併用されてもよい。
【0024】
着色剤(顔料、染料)は、主に、清掃時に使用者が洗浄度合や洗浄範囲を認識でき、清掃満足度が得られる観点から含まれる。着色剤(顔料、染料)としては、例えば、直接染料、酸性染料、水溶性有機顔料等が挙げられ、これらの中でも酸性染料が好ましい。
【0025】
コーティング剤としては、特に制限はないが、例えば、ベヘントリモニウムクロリド、等が挙げられる。
【0026】
溶剤としては、特に制限はないが、例えば、水のほか、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、などの一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、これらグリコール類とメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールとのモノエーテル又はジエーテル、上述したグリコール類と低級脂肪酸とのエステル、グリセリンやソルビトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いることができる。これらの溶剤は、1種単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0027】
洗浄剤組成物は、清掃用パッド中に、乾燥状態で含まれているのが好ましい。トイレ便器等の清掃時に、清掃用パッドにトイレ便器中の水分等が供給されることにより、この乾燥した洗浄剤組成物が溶解して液状の洗浄剤組成物となり清掃用パッド中に保持される。この液体洗浄剤組成物が、清掃用パッドにて、清掃中にトイレ便器等の被清掃物を摩擦する際、清掃用パッド内部から溶解し流れ出すことによって優れた洗浄効果を発揮することとなる。
【0028】
洗浄剤成分は、清掃用パッドの折畳み積層体の最表層のパルプ積繊シートにおいて、全体的に含まれていてもよく、一部に含まれていてもよい。折畳み積層体の側面や積層体内部に含まれていてもよい。洗浄剤組成物が、清掃用パッドの最表層のパルプ積繊シートに含まれていれば、清掃時、清掃用パッドに水分が供給された際に、洗浄剤組成物が迅速に溶解し、液状の洗浄剤組成物となってトイレ便器等の被清掃面に直接且つ連続的に付与される。
【0029】
(パルプ積繊シートの水解性(ほぐれやすさ))
本発明の清掃用パッドに含まれるパルプ積繊シートは、JISP4501に準じて測定されるほぐれやすさが200秒以内であるのが好ましい。かかる水中でのほぐれやすさの評価により、清掃用パッドに用いられるパルプ積繊シートは、トイレ便器等の清掃中には、良好な操作性で清掃可能であり、かつ、清掃後に便器などに使い捨てた際には、優れた水解性を有すると評価される。
なお、JISP4501は、以下のように測定することにより、試験片のほぐれやすさを評価するものである。
まず、毎分600回転で攪拌している水中に114mm角の試験片を投入する。このとき、試験片の抵抗により回転数が一時的に毎分約500回転に下降するが、その後、試験片がほぐれるにつれて回転数が上昇する。この場合に、試験片の投入から毎分540回転までに回復するまでの時間を計測する。本発明のパルプ積線シートは、好ましくは200秒以内、より好ましくは、150秒以内、更に好ましくは100秒以内に毎分540回転まで回復する程度に、ほぐれやすさに優れているものとする。
【0030】
(パルプ積繊シートの製造方法の一例)
以下、本発明の清掃用パッドを構成する、パルプ積繊シート102の製造方法の一例を
図2に基づいて説明する。
【0031】
図2において、原料シート供給部10は、原料シート1を巻回した送りロールである。原料シート1は、原料シート供給部10より矢印X方向に送り出されて粉砕部20の中に送り込まれる。
【0032】
粉砕部20は、ハウジング21と、そのハウジング21の内部に配置された粉砕機22と、ハウジング21の内部の空気を吸引して空気流を形成する気流形成部23とを備える。原料シート供給部10より供給された原料シート1は、ハウジング21内に送られ、粉砕機22で粉砕され粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維1aが得られる。
【0033】
搬送ベルト6には気流が通過可能な複数の開口(メッシュ体)が設けられており、気流形成部23は搬送ベルト6の下に配置され、開口を通して空気を吸引する。粉砕されて得られた原料繊維1a(粉砕パルプなど)は、ハウジング21内において、繊維同士の交絡が解除され、また該交絡が弱められながら、搬送ベルト6の表面方向(図中のY方向)に向けて移動し、搬送ベルト6の上に吸引されて順次圧縮されながら積繊される。
【0034】
このようにして、粉砕部20のハウジング21内において原料繊維1aは搬送ベルト(メッシュ体)6上に積繊され、原料繊維シート2としてX方向に移動しながら粉砕部20の外部に送り出される。
【0035】
圧縮・押圧部30では、原料繊維シート2をロール31により圧縮・押圧する。ロール31は、上ロールとしてのエンボスロール31a、下ロールとしての平面ロール31bを有する。エンボスロール31aは、原料繊維シート2に対し、搬送方向Xと垂直な方向に、凹形状、凸形状、又は凹凸形状(以下、これらを纏めて「凹凸(エンボス)」形状という。)のパターンを形成可能である。つまり、「凹凸(エンボス)」とは、凹部と凸部とが略同様な間隔で形成されているもののみならず、平坦な部分に凸部が形成されている場合や、平坦な部分に凹部が形成されている場合も含む。さらに、平坦な部分に凸部と凹部が形成されている場合も含む。
【0036】
「凹凸(エンボス)」の各パターンの形状としては、前述のように、円形、楕円形、三角形、四角形、菱形等であってもよいし、また、これら以外の形状、例えば模様図柄や、線状の凸部と凹部とを繰り返し形成した波形形状であってもよい。
【0037】
なお、ロール31は上ロールとしてエンボスロールを有し、下ロールとして平面ロールを有していたが、これらには何ら限定されるものではない。すなわち、原料繊維シート2に対して適切な圧縮・押圧処理を行うことができる限り特に制限はなく、いかなる公知の形状のロール対をも用いることもできる。例えば、上下ともエンボスロールであって、原料繊維シート2に対して搬送方向Xと垂直な方向に凹凸(エンボス)を形成するエンボスロールによる圧縮・押圧処理がなされてもよい。また上下とも平面ロールであってもよい。その他、点止めのための一対のロール等が用いられても良い。
【0038】
なお、平面ロールは、実質的に表面が平面であるものであり、表面が平滑なものに限定されない。具体的には、平面ロールには、その表面に、格子状、砂目状、梨地状などの小さな凹や凸の形状が付与されているものも含まれる。
【0039】
圧縮・押圧部30において一対のロール間を、原料繊維シート2が通過すると、原料繊維シート2には、表面に対する法線方向成分を有する押圧力が加わり、ロール31a,ロール31bにより適切に圧縮・押圧処理された原料繊維シートが得られる。
【0040】
その後、原料繊維シート2の少なくとも一方の面に、バインダー液4を塗布する。
図2において、バインダー液供給部40はスプレー式のバインダー液噴霧装置41を備える。バインダー液噴霧装置41は、ノズルからバインダー液4を原料繊維シート2の表面に噴霧するものである。本実施形態では、バインダー液4を表面に噴霧するが、これに限定されず、裏面から噴霧してもよい。また、両面から噴霧するのも、均一塗布の観点からは好ましい。
【0041】
バインダー液4は、原料繊維シート2に所定の強度を付与できるものであればよく、前述したバインダーを、1種単独で又は2種以上併用して用いることができる。
【0042】
なお、ここでは、原料繊維シート2へのバインダー液4の溶液を供給する手段としてスプレー噴霧を用いて説明したが、バインダー液4の溶液を供給する手段としては、バインダー液4を供給できる限り特に制限はなく、公知の適切な塗布手段を適宜用いることができる。
【0043】
前述のバインダー液4の塗布の後、原料繊維シート2を乾燥させる。
図2において、乾燥部50は、近赤外線、遠赤外線等の赤外線乾燥機、熱風乾燥機、電磁波乾燥機、のほか、ガス乾燥機、ドラム乾燥機、熱ロール乾燥機など、従来から公知の乾燥機51を備える。バインダー液4が供給された原料繊維シート2は、乾燥機51に送られ、乾燥される。
【0044】
乾燥後の原料繊維シート2に、前述の清浄用組成物を適切に塗布することで、パルプ積繊シート102が得られ、これを適切に折り畳み、積層体を形成・切断等を施すことにより、パルプ積繊シート102の折畳み積層体101(
図1参照)が得られる。
【0045】
なお、当然のことであるが、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【0046】
[清掃具]
清掃具は、本発明の清掃用パッド、及びこれを支持する支持具を有し、必要に応じてその他の構成を有する。支持具としては、清掃中に本発明の清掃用パッドを、適切に支持し得るものであれば特に限定はなく、公知の支持具を好適に用いることができる。
【0047】
特に、本発明の清掃用パッドを簡単に着脱可能で、使用後の清掃用パッドに手を触れることなく清掃用パッドを廃棄することができる構成を有する支持具を用いることが好ましい。これにより、衛生的、かつ、水洗トイレを清掃した後には、清掃用パッド等を便器中に直接廃棄し水で流すことができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
【0049】
<清掃用パッドの作製>
表1に示す成分を含み、凹凸形状が形成されたパルプ積繊シートを折り畳み、その一方端をロールで圧着することにより接合した
図1に示す構成を有するパルプ積繊シートの折畳み積層体を形成した。次に、表2に示す成分を含む洗浄剤組成物を塗布し、実施例1の清掃用パッドを作製した。
【0050】
【0051】
【0052】
(実施例1及び比較例1)
下記手順に従い、上記で得られた清掃用パッド(実施例1のサンプル)及び市販の清掃用パッド(ジョンソン社製 商品名:流せるトイレブラシ(比較例1用サンプル))につき、下記実験を行った。
【0053】
<実験1> 容量4リットルのペッドボトルに、精製水約2リットルを入れ、実施例1用サンプル及び比較例1用サンプルを同時に投入した。投入後手に持ち、直ちにストローク約30cmで上下に震蕩することにより、水解状態を確認した。結果を表3に示す。
【0054】
-評価基準-
・水解性に優れる(◎)
・水解性は良好(〇)
・水解性が良好でない(部分的に水解しない箇所が残存する)(△)
・水解しない(×)
【0055】
<実験2> 容量5リットルのポリビーカーに、精製水約500mlを入れ、実施例1用サンプル及び比較例1用サンプルを、各々支持具に取り付けて清掃具として、ポリビーカー内(水中)で、各清掃用パッドをビーカー内の内壁面に擦り付けることにより、摩擦・崩壊状態を確認した。結果を表3に示す。
【0056】
-評価基準-
・清掃中は、摩耗・崩壊せず、強度・操作性に優れる(◎)
・清掃中は、摩耗・崩壊せず、強度・操作性は良好(〇)
・清掃中に摩耗・崩壊が始まり、強度・操作性に劣る(△)
・清掃中の摩耗・崩壊が酷く、最後まで清掃することができない(×)
【0057】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の清掃用パッドは、トイレ便器等の清掃中には、良好な強度、操作性、ひいては汚れの清掃力を有し、清掃後に便器などに使い捨てた場合には、優れた水解性を発揮する。よって、トイレ便器内をはじめ、浴槽や水回りを清掃するための使い捨て清掃用パッドとして、支持具と共に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0059】
1 原料シート
1a 粉砕原料
2 原料繊維シート
4 バインダー液
6 搬送ベルト
10 原料シート供給部
20 粉砕部
21 ハウジング
22 粉砕機
23 気流形成部
30 圧縮・押圧部
31a エンボスロール
31b 平面ロール
40 バインダー液供給部
41 バインダー液噴霧装置
50 乾燥部
51 乾燥機