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特許7122107交通運用情報統合管理システム、交通運用情報統合管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】交通運用情報統合管理システム、交通運用情報統合管理方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 27/00 20220101AFI20220812BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20220812BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220812BHJP
【FI】
B61L27/00
B61L25/02 A
G06Q50/30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017236769
(22)【出願日】2017-12-11
(65)【公開番号】P2019104306
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 貴寛
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-085876(JP,A)
【文献】特開2006-079440(JP,A)
【文献】特開2004-224290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0185472(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 27/00
B61L 25/02
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車のダイヤ情報に基づいて1または複数の線区に対応する列車の列車情報を作成して前記列車の運行を管理する列車運行システムと、列車計画及びその計画により運行される列車の車両及び前記列車の運転士及び乗務員に関する長期間にわたる運用情報である計画系情報を作成する輸送情報管理システムと、前記列車運行システムによって作成された列車情報に基づいて前記輸送情報管理システムで作成された前記計画系情報を変更する運用変更端末と、前記運用変更端末により変更された前記計画系情報を表示する統合輸送情報表示端末と、前記列車運行システムと前記輸送情報管理システムと前記運用変更端末と前記統合輸送情報表示端末とを制御する統合輸送管理サーバとを備えた交通運用情報統合管理システムであって、
前記統合輸送情報表示端末は、
前記計画系情報のうち、前記列車の車両、前記列車の乗務員、前記列車の運転士の運用情報である計画系の運用情報のいずれかの指定、前記列車のダイヤ情報に基づいて定められる当日の列車に関する運用情報である当日系の運用情報の指定を受け付ける端末入力部と、
前記端末入力部から指定された前記計画系の運用情報に基づいて、前記統合輸送管理サーバに対して最新の情報の取得要求を送信し、前記端末入力部から指定された前記当日系の運用情報に基づいて、前記統合輸送管理サーバに対して最新の情報の取得要求を送信する端末制御部と、
前記計画系の運用情報についての前記取得要求に基づいて前記統合輸送管理サーバから受信した最新の情報を表示し、前記当日系の運用情報についての前記取得要求に基づいて前記統合輸送管理サーバから受信した最新の情報を表示部に表示する表示部と、を備え、
前記統合輸送管理サーバは、
前記計画系の運用情報に基づいて、記憶部に記憶されている車両運用データベース、運転士運用データベース、乗務員運用データベースを読み取り、最新の前記計画系の運用情報を前記統合輸送情報表示端末に送信し、前記当日系の運用情報に基づいて、記憶部に記憶されている前記ダイヤ情報を読み取り、最新の前記当日系の運用情報を前記統合輸送情報表示端末に送信するサーバ制御部と、を備え、
前記統合輸送情報表示端末は、前記計画系の運用情報、前記当日系の運用情報のそれぞれについて、利用者から取得要求を受けた場合に、前記統合輸送管理サーバに当該取得要求を送信し、
前記統合輸送管理サーバは、前記統合輸送情報表示端末から受信したそれぞれの前記取得要求に基づいて、前記計画系の運用情報、前記当日系の運用情報を前記統合輸送情報表示端末に送信し、
前記統合輸送情報表示端末は、前記統合輸送管理サーバから受信した前記計画系の運用情報、前記当日系の運用情報を表示部に表示する、
ことを特徴とする交通運用情報統合管理システム。
【請求項2】
列車のダイヤ情報に基づいて1または複数の線区に対応する列車の列車情報を作成して前記列車の運行を管理する列車運行システムと、列車計画及びその計画により運行される列車の車両及び前記列車の運転士及び乗務員に関する長期間にわたる運用情報である計画系情報を作成する輸送情報管理システムと、前記列車運行システムによって作成された列車情報に基づいて前記輸送情報管理システムで作成された前記計画系情報を変更する運用変更端末と、前記運用変更端末により変更された前記計画系情報を表示する統合輸送情報表示端末と、前記列車運行システムと前記輸送情報管理システムと前記運用変更端末と前記統合輸送情報表示端末とを制御する統合輸送管理サーバとを備えた交通運用情報統合管理システムで行われる交通運用情報統合管理方法であって、
前記統合輸送情報表示端末の端末入力部が、前記計画系情報のうち、前記列車の車両、前記列車の乗務員、前記列車の運転士の運用情報である計画系の運用情報のいずれかの指定、前記列車のダイヤ情報に基づいて定められる当日の列車に関する運用情報である当日系の運用情報の指定を受け付け、
前記統合輸送情報表示端末の端末制御部が、前記端末入力部から指定された前記計画系の運用情報に基づいて、前記統合輸送管理サーバに対して最新の情報の取得要求を送信し、前記端末入力部から指定された前記当日系の運用情報に基づいて、前記統合輸送管理サーバに対して最新の情報の取得要求を送信し、
前記統合輸送管理サーバのサーバ制御部が、前記計画系の運用情報に基づいて、記憶部に記憶されている車両運用データベース、運転士運用データベース、乗務員運用データベースを読み取り、最新の前記計画系の運用情報を前記統合輸送情報表示端末に送信し、前記当日系の運用情報に基づいて、記憶部に記憶されている前記ダイヤ情報を読み取り、最新の前記当日系の運用情報を前記統合輸送情報表示端末に送信し、
前記統合輸送情報表示端末の端末制御部が、前記計画系の運用情報についての前記取得要求に基づいて前記統合輸送管理サーバから受信した最新の情報を表示部に表示し、前記当日系の運用情報についての前記取得要求に基づいて前記統合輸送管理サーバから受信した最新の情報を表示部に表示する、場合において、
前記統合輸送情報表示端末は、前記計画系の運用情報、前記当日系の運用情報のそれぞれについて、利用者から取得要求を受けた場合に、前記統合輸送管理サーバに当該取得要求を送信し、
前記統合輸送管理サーバは、前記統合輸送情報表示端末から受信したそれぞれの前記取得要求に基づいて、前記計画系の運用情報、前記当日系の運用情報を前記統合輸送情報表示端末に送信し、
前記統合輸送情報表示端末は、前記統合輸送管理サーバから受信した前記計画系の運用情報、前記当日系の運用情報を表示部に表示する、
ことを特徴とする交通運用情報統合管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道等の公共交通機関をはじめとする交通の運用情報を管理する交通運用情報統合管理システム、交通運用情報統合管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長期間にわたる列車運行ダイヤ及び計画した列車に乗務する乗務員・運転士の運用と車両の運用情報(総称して計画系情報と呼称する)を作成・管理する情報処理装置(EDP:Electric Data Processor)及びEDPにて作成された列車運行ダイヤに基づいて当日制御する列車の在線状況を元に信号・転轍機の動作を判断し、CTC(Centralized Traffic Control)へ動作指示を行う装置(PRC:Programmed Route Control)、列車運行に関する情報(総称して当日系情報と呼称する)が、交通運用情報統合管理システムが有する各々のシステム内に備えられている。列車運行ダイヤに変更が発生した場合、計画系情報のみを参照している乗務員や車両区所の鉄道職員には、その変更が電話・FAXといった通信手段を用いて伝達されるため、必ずしも必要な時に必要とする情報が展開されているわけではない。特に輸送障害時には、ダイヤが大幅に変更されると、乗務員・運転士・車両の情報は計画時から大幅な差異が発生する。
【0003】
上記技術では、各種の列車運行管理装置は、長期間にわたる列車運行ダイヤ計画と列車が跨って運行される複数の線区ごとに独立して設置されている。このため、各種装置内で情報が閉じられており、情報の集約および利用が行われていないという問題があった。そのような問題に鑑みて、特許文献1では、運行管理装置12a1~12a3が、各線区の運行制御機器11a1~11anにより検出された各線区の複数の列車のリアルタイムの運行状態を表す運行状態データに基づいて、各列車の現在走行位置を表す情報や各列車の実績ダイヤ情報を収集している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4557453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、各列車のダイヤ情報を収集することはできるが、乗務員、運転士、車両の運用情報については収集することができず、必ずしも列車運行ダイヤの変更に対応するために必要な情報が鉄道職員に提供されないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、変更された列車運行ダイヤ情報を収集し、列車運行ダイヤの変更に伴う乗務員・運転士・車両の運用情報を、適時鉄道職員に提供することが可能な交通運用情報統合管理システム、交通運用情報統合管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる交通運用情報統合管理システムは、列車のダイヤ情報に基づいて1または複数の線区に対応する列車の列車情報を作成して前記列車の運行を管理する列車運行システムと、列車計画及びその計画により運行される列車の車両及び前記列車の運転士及び乗務員に関する運用情報である計画系情報を作成する輸送情報管理システムと、前記列車運行システムによって作成された列車情報に基づいて前記輸送情報管理システムで作成された前記計画系情報を変更する運用変更端末と、前記運用変更端末により変更された前記計画系情報を表示する統合輸送情報表示端末と、前記列車運行システムと前記輸送情報管理システムと運用変更端末と統合輸送情報表示端末とを制御する統合輸送管理サーバとを備えた交通運用情報統合管理システムであって、前記統合輸送情報表示端末は、前記計画系情報のうち、前記列車の車両、前記列車の乗務員、前記列車の運転士の運用情報のいずれかの指定を受け付ける端末入力部と、前記端末入力部から指定された前記運用情報に基づいて、前記統合輸送管理サーバに対して最新の前記運用情報の取得要求を送信する端末制御部と、前記取得要求に基づいて前記統合輸送管理サーバから受信した最新の前記運用情報を表示する表示部と、を備え、前記統合輸送管理サーバは、前記統合輸送情報表示端末から受信した前記運用情報に基づいて、記憶部に記憶されている前記車両運用データベース、運転士運用データベース、乗務員運用データベースを読み取り、最新の前記運用情報を前記統合輸送情報表示端末に送信するサーバ制御部と、を備えることを特徴とする交通運用情報統合管理システムとして構成される。
【0008】
また、本発明は、上記交通運用情報統合管理システムで行われる交通運用情報統合管理方法としても把握される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変更された列車運行ダイヤ情報を収集し、列車運行ダイヤの変更に伴う乗務員・運転士・車両の運用情報を、適時鉄道職員に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】統合輸送情報管理システムの全体構成を示す図である。
図2】車両情報要求処理の処理手順を示すフローチャートである。
図3】列車情報要求処理の処理手順を示すフローチャートである。
図4】乗務員情報要求処理の処理手順を示すフローチャートである。
図5】運転士情報要求処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる交通運用情報統合管理システム、交通運用情報統合管理方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る統合輸送情報管理システム1000の全体構成を示す図である。図1に示すように、統合輸送情報管理システム1000は、統合輸送管理サーバ1と、一または複数の列車運行システム2と、輸送情報管理システム3と、運用変更端末4と、統合輸送情報表示端末5とを有して構成されている。なお、統合輸送管理サーバ1、列車運行システム2、輸送情報管理システム3の間は、WAN(Wide Area Network)等の一般的な広域回線網6により接続され、統合輸送管理サーバ1、運用変更端末4、統合輸送情報表示端末5は、LAN(Local Area Network)等の一般的な構内回線網7により接続されている。統合輸送管理サーバ1と運用変更端末4との間は、バス等のコネクタにより直接接続されていてもよい。
【0013】
統合輸送管理サーバ1は、本システムの全体を制御するサーバである。列車運行システム2は、複数の線区(複数の列車の交通経路毎の区別を表すものであり、本実施形態では、A線区、B線区の2線区とする)に対応する複数の列車を運行管理・制御するシステムである。本例では、列車運行システム2は、1または複数の線区に対応する列車の列車情報を作成して前記列車の運行を管理するシステムである。輸送情報管理システム3は、長期間の列車計画及びその計画に対する車両運用及び各列車の乗務員運用情報を作成・管理するシステムである。本例では、輸送情報管理システム3は、列車計画及びその計画により運行される列車の車両及び列車の運転士及び乗務員に関する運用情報である計画系情報を作成するシステムである。運用変更端末4は、列車運行システム2によって変更された列車情報をリアルタイムに閲覧しながら、輸送情報管理システム3で作成された列車に関わる各種運用を変更可能とする端末である。本例では、運用変更端末4は、列車運行システム2によって作成された列車情報に基づいて輸送情報管理システム3で作成された計画系情報を変更する端末である。統合輸送情報表示端末5は、上記運用変更端末4と各線区に対応する複数の駅構内の随所にそれぞれ設置された最新の統合輸送情報を表示するための端末である。
【0014】
統合輸送管理サーバ1は、例えば、一般的なコンピュータから構成され、各線区に対応する複数の列車の運行ダイヤ情報を記憶する実行ダイヤDB1011、列車情報に対応する乗務員の運用情報を記憶する乗務員運用DB1012、列車情報に対応する車両の運用情報を記憶する車両運用DB1013、列車情報に対応する運転士の運用情報を記憶する運転士運用DB1014、運行された列車の実績ダイヤを記憶する実績ダイヤDB1015を記憶する記憶部101と、統合輸送情報管理システム1000内の他のシステムや端末、装置との間で各種情報を送受信する通信部102と、上記各部および統合輸送管理サーバ1で行われる処理を制御する制御部103と、を有して構成されている。
【0015】
実行ダイヤDB1011は、各線区の列車運行システム2からWAN3等を介して送信され、各線区内で運行されると計画されている列車の実行ダイヤを線区毎に記憶する。実績ダイヤ1015は、各線区の列車運行システム2からWAN3等を介して送信され、各線区内で実際に運行された複数の列車の実績ダイヤを線区毎に記憶する。各列車に対する運用情報(乗務員運用DB1012、車両運用DB1013、運転士運用DB1014)は、輸送情報管理システム3からWAN3等を介して送信され、各列車に対する運用情報として記憶される。
【0016】
例えば、乗務員運用DB1012は、上記実行ダイヤDB1011および実績ダイヤ1015に記憶されているダイヤと、そのダイヤで実行されるまたは実行された列車の乗務員とを対応付けて記憶する。統合輸送管理サーバ装置1の制御部103は、列車運行システム2から、変更された実行ダイヤや実績ダイヤを受け取ると、上記実行ダイヤDB1011および実績ダイヤ1015を、受信したこれらの情報に更新するとともに、変更された実行ダイヤや実績ダイヤに対応する乗務員運用DB1012(例えば、これらのダイヤに記載されている列車の乗務員に関する情報)を更新する。
【0017】
また、例えば、車両運用DB1013は、上記実行ダイヤDB1011および実績ダイヤ1015に記憶されているダイヤと、運行されるまたは運行された列車の構成とを対応付けて記憶する。統合輸送管理サーバ装置1の制御部103は、列車運行システム2から、変更された実行ダイヤや実績ダイヤを受け取ると、上記実行ダイヤDB1011および実績ダイヤ1015を、受信したこれらの情報に更新するとともに、変更された実行ダイヤや実績ダイヤに対応する車両運用DB1013(例えば、これらのダイヤに記載されている列車の車両編成に関する情報)を更新する。
【0018】
また、例えば、運転士運用DB1014は、上記実行ダイヤDB1011および実績ダイヤ1015に記憶されているダイヤと、そのダイヤで実行されるまたは実行された列車の運転士とを対応付けて記憶する。統合輸送管理サーバ装置1の制御部103は、列車運行システム2から、変更された実行ダイヤや実績ダイヤを受け取ると、上記実行ダイヤDB1011および実績ダイヤ1015を、受信したこれらの情報に更新するとともに、変更された実行ダイヤや実績ダイヤに対応する運転士運用DB1014(例えば、これらのダイヤに記載されている列車の運転士に関する情報)を更新する。
【0019】
なお、上記乗務員運用DB1012、車両運用DB1013、運転士運用DB1014は、あらかじめ長期間にわたる列車の運行ダイヤ情報とともに定められているものであるため、これらの運用に関する情報を総称して計画系情報と呼ぶ。また、上記計画系情報に対して、列車の運行ダイヤ情報に基づいて定められる当日の列車の運行を含む列車の運用に関する情報を、当日系情報と呼ぶ。
【0020】
統合輸送管理サーバ装置1の制御部103は、各線区の自動進路制御装置22に対して実行ダイヤの出力要求を送信する。その要求を受信した自動進路制御装置22では、その時点の実行ダイヤが統合輸送管理サーバ1に送信され、制御部103は、その実行ダイヤを実行ダイヤDB1011に登録する。
【0021】
同様に、統合輸送管理サーバ1の制御部103は、各線区の自動進路制御装置22に対して実績ダイヤの出力要求および列車位置情報の出力要求を順次送信する。これらの要求を受信した自動進路制御装置22では、その時点の実績ダイヤが統合輸送管理サーバ1に送信され、制御部103は、その実績ダイヤを実績ダイヤDB1015に登録する。
【0022】
さらに、統合輸送管理サーバ1の制御部103は、輸送情報管理システム3に対して上記計画系情報(車両・乗務員・運転士の運用情報)の出力要求を送信する。その要求を受信した輸送情報管理システム3では、その時点のこれらの運用情報が統合輸送管理サーバ1に送信され、制御部103は、その運用情報を、それぞれ乗務員運用DB1012、車両運用DB1013、運転士運用DB1014に登録する。
【0023】
また、統合輸送管理サーバ1の制御部103は、列車運行システム2から収集した実行ダイヤ、実績ダイヤを、それぞれ実行ダイヤDB1011、実績ダイヤDB1015に順次蓄積する。したがって、統合輸送管理サーバ1には、常にリアルタイムの実行ダイヤおよび実績ダイヤが記憶されることになる。
【0024】
列車運行システム2は、一または複数のコンピュータから構成され、列車集中制御装置21と、自動進路制御装置22と、ダイヤ管理装置23とを有している。列車集中制御装置21は、各線区に対応する複数の列車の運行を制御する複数の運行制御機器、軌道回路等の列車の運行に必要な装置を制御する列車集中制御装置である。運行制御機器とは、例えば、信号機、転徹器(分岐用機器)、保安制御装置を制御する機器である。保安制御装置は、例えば、信号機、転徹器等を効率よく制御して閉塞制御運転を行なう装置である。
【0025】
また、軌道回路とは、レール間に専用の電流を流しておき、列車の存在検知を行なう回路である。自動進路制御装置22は、上記列車集中制御装置21に動作の指示を出す装置である。ダイヤ管理装置23は、各線区に対応する複数の列車の運行ダイヤ情報および災害や事故等に起因した走行予定列車の運休情報等を、列車毎および駅毎に記憶して管理する装置である。運行ダイヤ情報には、当日以降の運行ダイヤである実行ダイヤを含む。実行ダイヤとは、各線区に対応する複数の列車の複数の駅に対する着発予定時刻を定めたものであり、臨時に列車が増発された場合、その増発列車の着発予定時刻を含むものである。上記各装置は、列車の運行や進路、ダイヤを管理する専用の装置である前提で説明しているが、例えば、一般的なコンピュータから構成されていてもよい。
【0026】
列車運行システム2では、線区毎に列車の運行制御を行なう列車集中制御装置21は、ダイヤ管理装置23により管理された実行ダイヤに基づいて、各線区の自動進路制御装置22に対して制御指示データを送信し、線区内の列車の運行を制御する。自動進路制御装置22は、列車集中制御装置21を介して運行制御機器及び軌道回路により検出された各線区の複数の列車のリアルタイムの運行状態を表す運行状態データに基づいて、各列車の現在走行位置を表す情報や各列車の実際に走行した実績ダイヤに含まれる着発時刻等を収集して管理する。
【0027】
各線区の自動進路制御装置22は、輸送情報管理システム3で作成された列車情報を参照し、列車集中制御装置21からリアルタイムで順次送信されてくる運行状態データに基づいて、その運行状況に対応するために変更した列車の実行ダイヤを生成し、装置内の不図示の記憶装置に記憶する。また、上記自動進路制御装置22は、上記リアルタイムの運行状態データに基づいて変更された当日の各列車の実績ダイヤと現在走行位置を表す列車走行位置情報とを生成し、それぞれ実績ダイヤを順次更新する。
【0028】
輸送情報管理システム3は、一または複数のコンピュータから構成され、不図示の記憶部に、長期間の列車情報とその列車情報に紐づく車両運用及び乗務員・運転士運用情報を保持している。なお、各列車情報との紐付けには、各列車に振られた列車番号(特急列車の場合には1M、2M等の番号)が用いられている。上記システムは、列車の運行や進路、ダイヤを管理する専用の装置である前提で説明しているが、列車運行システム2と同様、例えば、一般的なコンピュータから構成されていてもよい。なお、上記列車情報とは、例えば、運行ダイヤや実績ダイヤに記憶されている情報(例えば、車両編成数、車両の型式、運行区間、運行時期等の情報を含む)である。
【0029】
運用変更端末4は、例えば、一般的なコンピュータから構成され、入力部41と、表示部42と、通信部43と、制御部44とを有して構成されている。入力部44は、例えば、キーボードやマウス等の入力装置であり、表示部42は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置である。また、通信部43は、NIC(Network Interface Card)等の通信機器であり、制御部44は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置である。制御部44は、統合輸送管理サーバ1の記憶部101に登録された実行ダイヤDB1011及び実績ダイヤDB1015を参照しながら、列車運行の状況に応じて、車両運用情報・乗務員運用情報・運転士運用情報を実行ダイヤ情報に沿って変更し、統合輸送管理サーバ1内の各種計画系情報(乗務員運用DB1012、車両運用DB1013、運転士運用DB1014)を最新の情報に更新する。これらの情報を最新の情報に更新するタイミングは、これらの情報に変更が生じた場合、運用変更端末4が職員から入力を受け付けて手動で行われてもよいし、上記変更が生じた場合、それらの変更情報を、構内回線網7を介して他の装置から受信する都度、リアルタイムに自動的に実行されてもよい。また、本例では、運用変更端末4が上記計画系情報を更新しているが、統合輸送管理サーバ1の制御部103が実行してもよい。
【0030】
統合輸送情報表示端末5は、例えば、一般的なコンピュータから構成され、運用変更端末4と同様の入力部51と、表示部52と、通信部53と、制御部54とを有して構成されている。入力部44は、例えば、上記計画系情報のうち、列車の車両、列車の乗務員、列車の運転士の運用情報のいずれかの指定を受け付ける。制御部54は、輸送情報表示画面を統合輸送情報管理サーバ1から各種の情報をダウンロードし、表示部52に表示する。例えば、制御部54は、入力部51から指定された計画系情報の運用情報に基づいて、統合輸送管理サーバ1に対して最新の上記運用情報の取得要求を送信し、統合輸送管理サーバ1が、その要求に基づいて処理を実行した結果を表示部52に表示する。この場合、統合輸送管理サーバ1の制御部103は、統合輸送情報表示端末5から受信した上記運用情報に基づいて、記憶部に記憶されている車両運用DB1013、運転士運用DB1014、乗務員運用DB1012を読み取り、その時点で最新の上記運用情報を、統合輸送情報表示端末5に送信する。
【0031】
各線区における駅員や乗務員区所あるいは車両所区所に駐屯する職員である利用者は、各駅・各区所に設置された統合輸送情報表示端末5の入力部51を操作して、統合輸送情報管理サーバ1から各種の情報をダウンロードし、表示部52に表示する。続いて、本システムで行われる処理について説明する。
【0032】
図2は、統合輸送情報表示端末5が、本システムで管理される車両の運用情報を要求して表示するまでの処理(車両情報要求処理)の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すように、車両情報要求処理では、まず、統合輸送情報表示端末5の入力部51は、職員である利用者から、その職員所望の輸送情報(例えば、列車の運行状況を示す情報、上記計画系情報を含む。図2では、車両の運用情報の場合)の指定を受け付け、制御部54は、Webブラウザに基づく処理により、通信部53を介して、最新の車両の運用情報を取得する要求を、構内回線網7を介して、統合輸送管理サーバ装置1に送信する(ステップS21)。
【0033】
このとき、統合輸送管理サーバ1の制御部103は、構内回線網7および通信部102を介して受信した上記要求が車両の運用情報であるか否かを判定する。制御部103は、上記判定の結果、上記要求が車両の運用情報であると判定した場合、上記要求に含まれる車両が、記憶部101に記憶されている車両運用DB1013に記憶されているか否かを判定する。制御部103は、上記要求に含まれている車両が、車両運用DB1013に記憶されていると判定した場合、車両運用DB1013の中から、その車両に対応する情報を読み取る。例えば、上記要求に含まれている車両を特定するための識別情報をキーにして、車両運用DB1013の中から、その識別情報に一致する識別情報を読み取り、読み取った上記一致する識別情報に対応する情報(例えば、その車両の運用情報)を読み取る。制御部103は、読み取った上記対応する情報を、要求された統合輸送情報表示端末5に送信する(ステップS22)。例えば、制御部103は、上記対応する情報を、Webブラウザで閲覧可能なHTML形式で生成し、生成した情報を、統合輸送情報表示端末5に送信する。
【0034】
統合輸送情報表示端末5の制御部54は、統合輸送管理サーバ1から受信した上記対応する情報を、表示部52に表示する(ステップS23)。ステップS23の処理が終了すると、図2に示した車両情報要求処理が終了する。
【0035】
図3は、統合輸送情報表示端末5が、本システムで管理される列車の運用情報を要求して表示するまでの処理(列車情報要求処理)の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、列車情報要求処理では、まず、統合輸送情報表示端末5の入力部51は、職員である利用者から、その職員所望の輸送情報(例えば、列車の運行状況を示す情報、上記当日系情報を含む。図3では、列車の運用情報の場合)の指定を受け付け、制御部54は、Webブラウザに基づく処理により、通信部53を介して、最新の列車の運用情報を取得する要求を、構内回線網7を介して、統合輸送管理サーバ装置1に送信する(ステップS31)。
【0036】
このとき、統合輸送管理サーバ1の制御部103は、構内回線網7および通信部102を介して受信した上記要求が列車の運用情報であるか否かを判定する。制御部103は、上記判定の結果、上記要求が列車の運用情報であると判定した場合、上記要求に含まれる列車が、記憶部101に記憶されている実行ダイヤDB1011または実績ダイヤDB1015に記憶されているか否かを判定する。制御部103は、上記要求に含まれている列車が、実行ダイヤDB1011または実績ダイヤDB1015に記憶されていると判定した場合、実行ダイヤDB1011または実績ダイヤDB1015の中から、その列車に対応する情報を読み取る。例えば、上記要求に含まれている列車を特定するための識別情報をキーにして、実行ダイヤDB1011または実績ダイヤDB1015の中から、その識別情報に一致する識別情報を読み取り、読み取った上記一致する識別情報に対応する情報(例えば、その列車の運用情報)を読み取る。制御部103は、読み取った上記対応する情報を、要求された統合輸送情報表示端末5に送信する(ステップS32)。例えば、制御部103は、上記対応する情報を、Webブラウザで閲覧可能なHTML形式で生成し、生成した情報を、統合輸送情報表示端末5に送信する。
【0037】
統合輸送情報表示端末5の制御部54は、統合輸送管理サーバ1から受信した上記対応する情報を、表示部52に表示する(ステップS33)。ステップS33の処理が終了すると、図3に示した列車情報要求処理が終了する。
【0038】
図4は、統合輸送情報表示端末5が、本システムで管理される乗務員の運用情報を要求して表示するまでの処理(乗務員情報要求処理)の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、乗務員情報要求処理では、まず、統合輸送情報表示端末5の入力部51は、職員である利用者から、その職員所望の輸送情報(例えば、列車の運行状況を示す情報、上記計画系情報を含む。図4では、乗務員の運用情報の場合)の指定を受け付け、制御部54は、Webブラウザに基づく処理により、通信部53を介して、最新の乗務員の運用情報を取得する要求を、構内回線網7を介して、統合輸送管理サーバ装置1に送信する(ステップS41)。
【0039】
このとき、統合輸送管理サーバ1の制御部103は、構内回線網7および通信部102を介して受信した上記要求が乗務員の運用情報であるか否かを判定する。制御部103は、上記判定の結果、上記要求が乗務員の運用情報であると判定した場合、上記要求に含まれる乗務員が、記憶部101に記憶されている乗務員運用DB1012に記憶されているか否かを判定する。制御部103は、上記要求に含まれている乗務員が、乗務員運用DB1012に記憶されていると判定した場合、乗務員運用DB1012の中から、その乗務員に対応する情報を読み取る。例えば、上記要求に含まれている乗務員を特定するための識別情報をキーにして、乗務員運用DB1012の中から、その識別情報に一致する識別情報を読み取り、読み取った上記一致する識別情報に対応する情報(例えば、その乗務員の運用情報)を読み取る。制御部103は、読み取った上記対応する情報を、要求された統合輸送情報表示端末5に送信する(ステップS42)。例えば、制御部103は、上記対応する情報を、Webブラウザで閲覧可能なHTML形式で生成し、生成した情報を、統合輸送情報表示端末5に送信する。
【0040】
統合輸送情報表示端末5の制御部54は、統合輸送管理サーバ1から受信した上記対応する情報を、表示部52に表示する(ステップS43)。ステップS43の処理が終了すると、図4に示した乗務員情報要求処理が終了する。
【0041】
図5は、統合輸送情報表示端末5が、本システムで管理される運転士の運用情報を要求して表示するまでの処理(運転士情報要求処理)の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、運転士情報要求処理では、まず、統合輸送情報表示端末5の入力部51は、職員である利用者から、その職員所望の輸送情報(例えば、列車の運行状況を示す情報、上記計画系情報を含む。図5では、運転士の運用情報の場合)の指定を受け付け、制御部54は、Webブラウザに基づく処理により、通信部53を介して、最新の運転士の運用情報を取得する要求を、構内回線網7を介して、統合輸送管理サーバ装置1に送信する(ステップS51)。
【0042】
このとき、統合輸送管理サーバ1の制御部103は、構内回線網7および通信部102を介して受信した上記要求が運転士の運用情報であるか否かを判定する。制御部103は、上記判定の結果、上記要求が運転士の運用情報であると判定した場合、上記要求に含まれる運転士が、記憶部101に記憶されている運転士運用DB1014に記憶されているか否かを判定する。制御部103は、上記要求に含まれている乗務員が、運転士運用DB1014に記憶されていると判定した場合、運転士運用DB1014の中から、その運転士に対応する情報を読み取る。例えば、上記要求に含まれている運転士を特定するための識別情報をキーにして、運転士運用DB1014の中から、その識別情報に一致する識別情報を読み取り、読み取った上記一致する識別情報に対応する情報(例えば、その運転士の運用情報)を読み取る。制御部103は、読み取った上記対応する情報を、要求された統合輸送情報表示端末5に送信する(ステップS52)。例えば、制御部103は、上記対応する情報を、Webブラウザで閲覧可能なHTML形式で生成し、生成した情報を、統合輸送情報表示端末5に送信する。
【0043】
統合輸送情報表示端末5の制御部54は、統合輸送管理サーバ1から受信した上記対応する情報を、表示部52に表示する(ステップS53)。ステップS53の処理が終了すると、図5に示した運転士情報要求処理が終了する。
【0044】
図2から5に示したように、本システムでは、ステップS23、S33、S43、S53の各処理を実行することにより、統合輸送情報表示端末5の表示部52に、上記のような各輸送情報が閲覧可能に表示される。したがって、利用者は、ディスプレイを視認することにより、例えば、列車の運行状況を示す情報、車両の運用情報、乗務員の運用情報、運転士の運用情報を含む輸送情報など、所望の情報を最新の状態で把握することができる。
【0045】
以上述べたように、本実施形態によれば、利用者は、自ら利用可能な統合輸送情報表示端末を、ネットワークを経由して統合輸送管理サーバ装置に接続することにより、利用者は、リアルタイムの列車運行状況情報、最新の車両運用・乗務員運用・運転士運用を、直接統合輸送情報表示端末にダウンロードしてその端末を介して閲覧・確認することができるため、職員は、列車運行の乱れに対して迅速かつ的確に対処することができ、列車運行の乱れを早期に回復させるとともに、引いては乗客の満足度を大幅に向上させることができる。
【0046】
例えば、本システムでは、線区に対応する列車および列車車両情報または乗務する乗務員・運転士の情報を作成・管理する情報管理装置とその情報に基づいて当日の制御する線区の列車の在線位置・発着駅情報・遅延時分の情報を管理する。そして、列車の在線状況を元に信号・転轍機の動作を判断し、列車集中制御へ動作指示を行う進路制御装置、及び路線・一定区間の単位で信号や分岐器の連動装置を運転指令所又は列車制御所にて遠隔制御できるようにした列車集中制御及び当日の列車の変更に合わせて車両情報または乗務する乗務員・運転士の情報を修正する。このため、統合輸送情報管理システムに対して通信可能であり、各区所に設置してある利用者の端末に対して列車の運行状況及び乗務員・運転士・車両運用の変更に関する情報を提供することができる。
【0047】
また、輸送に関わる情報である計画系情報及び当日系情報を一元管理できる。また、鉄道職員に対して従来より正確な変更情報をリアルタイムに配信するとともに、各関連部署にも迅速に各種の変更情報を提供することを実現することができる。さらに、複数の独立した列車運行管理装置・情報それぞれが保有する列車運行関連情報を蓄積して統合することにより統合データベース装置を構築し、上記統合データベースに接続した統合輸送管理サーバにより、線区を越えた列車運行関連情報を入手可能である。また、各乗務員・運転士に対しても詳細な運行情報及び最新の車両・乗務員・運転士の運用をタイムリーに提供することが可能となる。
【0048】
また、輸送に関わる情報は大きく分けて計画系と当日系の2つが存在し、そのうち計画系の情報の運用(例えば、乗務員・運転士・車両の運用情報)については、当日の列車の運行管理上十分に活用されていなかった。当該システムでは、その運用に関わる情報を当日の運行管理においても活用することで、輸送障害時における運行管理の精度を向上させることができる。したがって、輸送障害発生時における車両の手配、運転士及び乗務員の割り当てを迅速かつ確実に行い、輸送障害による列車運行の乱れの回復を図ることができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれ、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
1・・・統合輸送管理サーバ
2・・・列車運行システム
3・・・輸送情報管理システム
4・・・運用変更端末
5・・・統合輸送情報表示端末
6・・・ネットワーク(WAN)
7・・・ネットワーク(LAN)。
図1
図2
図3
図4
図5