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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 67/00 20060101AFI20220812BHJP
   A01D 67/02 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A01D67/00 A
A01D67/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018052743
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019162081
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 裕
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-037032(JP,U)
【文献】特開2017-055706(JP,A)
【文献】特開2008-133960(JP,A)
【文献】特開2005-059750(JP,A)
【文献】特開2007-028971(JP,A)
【文献】実開昭52-017742(JP,U)
【文献】特許第5739251(JP,B2)
【文献】特開2004-097039(JP,A)
【文献】実公平04-054756(JP,Y2)
【文献】特開2002-084863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0231155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/00 - 41/16
A01D 67/00 - 69/12
B62D 25/00 - 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の前方で操作部材を支持するフロントコラムと、
前記運転席の後方でシャシーフレームから立設される後方フレーム部と、を備え、
前記フロントコラムは、キャビンを取付可能な第1取付部を有し、
前記後方フレーム部は、前記シャシーフレームから立設される複数の縦フレームと、前記複数の縦フレームの上部同士を連結する連結部と、前記連結部から上方に延びるフレームと、前記フレームの上部に設けられるとともに前記キャビンを取付可能な第2取付部とを有し、
前記第2取付部は、前記キャビン後方の下端に左右方向にわたって配置される後部連結フレームと当接し、
前記複数の縦フレームは、前記運転席の下方に備えられるエンジンの後方に配置される、コンバイン。
【請求項2】
脱穀部を備え、
前記第2取付部は前記脱穀部に連結される、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記フレームは、前記連結部の後部から前方に向かって傾斜する姿勢で上方に延びて設けられ、
前記キャビンは、左右方向に延びる前記第2取付部の上部に載置された状態で前記第2取付部に取り付けられる、請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記キャビンが備えるキャビンフレームには、前記キャビンを前記第1取付部および前記第2取付部に対して取り付け及び取り外しをする際に前記キャビンを吊り下げる吊り下げ金具が設けられる、請求項1~3の何れか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記キャビンフレームには、前記吊り下げ金具の斜め前方に配置されると共に前記キャビンの吊り下げに利用可能な乗降用の手すりが設けられる、請求項4に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関し、特にはコンバインのキャビンに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインには、例えば、特許文献1に示すようなキャビンを備えない仕様と、特許文献2に示すようなキャビンを備える仕様とが存在する。ところで、ユーザは、購入時にキャビン無し仕様か、キャビン仕様かを選択する必要があり、購入時にキャビン無し仕様を選択した場合、キャビン仕様を新たに購入しなければキャビン仕様のコンバインを使用することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-78275号公報
【文献】特開2008-28号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャビン無し仕様を事後的にキャビン仕様に変更可能なコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコンバインは、運転席の前方で操作部材を支持するフロントコラムと、
前記運転席の後方でシャシーフレームから立設される後方フレーム部と、を備え、
前記フロントコラムは、キャビンを取付可能な第1取付部を有し、
前記後方フレーム部は、前記シャシーフレームから立設される複数の縦フレームと、前記縦フレームに取り付けられるとともに前記キャビンを取付可能な第2取付部とを有する。
【0006】
本発明において、脱穀部を備え、
前記第2取付部は前記脱穀部に連結されるものでもよい。
【0007】
本発明において、前記運転席の下方にエンジンを備え、
前記後方フレーム部は、前記エンジンの後方に配置される前記複数の縦フレームと、前記複数の縦フレームの上部同士を連結する連結部と、前記連結部の後部から前方に向かって傾斜する姿勢で上方に延びる傾斜部と、前記傾斜部の上部に設けられる前記第2取付部とを有し、
前記キャビンは、前記第2取付部の上部に載置された状態で前記第2取付部に取り付けられるものでもよい。
【0008】
本発明において、前記後方フレーム部及び前記キャビンには、前記後方フレーム部に対する前記キャビンの位置を規定する位置決め部が設けられるものでもよい。
【0009】
本発明において、前記第2取付部には、マフラーの前方側を保護する保護カバーが設けられるものでもよい。
【0010】
本発明によれば、キャビン無し仕様のコンバインを事後的にキャビン仕様に変更可能である。また、フロントコラムと複数の縦フレームにより、キャビンの前後左右を強固に支持することができ、キャビンを事後的に取り付けた場合でもキャビンの振動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コンバインの斜視図
図2】コンバインの斜視図
図3】キャビン無し仕様のコンバインの斜視図
図4A】キャビンの斜視図
図4B】キャビンの斜視図
図5】運転部フレームの斜視図
図6】キャビンフレームの斜視図
図7A】左前部の取付部の詳細を示す斜視図
図7B】右前部の取付部の詳細を示す斜視図
図7C】左後部の取付部の詳細を示す斜視図
図7D】右後部の取付部の詳細を示す斜視図
図7E】右底部の取付部の詳細を示す斜視図
図8】運転部を後方から見た図
図9】運転部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るコンバインの一例について説明する。
【0013】
[コンバインの全体構造]
図1及び2は、それぞれ、本実施形態のコンバイン100の左前方から見た斜視図、及び右前方から見た斜視図である。図中には、コンバイン100の前後方向、左右方向、及び、上下方向を矢印で示している。
【0014】
コンバイン100は、主に、走行装置1と、刈取装置2と、脱穀装置3と、選別装置4と、貯留装置5とによって構成されている。
【0015】
走行装置1は、シャシーフレーム10の下方に設けられている。走行装置1は、トランスミッション(不図示)と、左右一対に設けられたクローラ装置11とを備える。トランスミッションは、エンジン90(図8を参照)の動力をクローラ装置11に伝達する。クローラ装置11は、コンバイン100を前後方向に走行させたり、コンバイン100を左右方向に旋回させたりする。
【0016】
刈取装置2は、走行装置1の前方に設けられている。刈取装置2は、リール21と、カッター(刈刃)22と、オーガ(横送りスクリュー)23と、フィーダ24とを備える。リール21は、回転することによって圃場の穀稈をカッター22へ案内する。カッター22は、リール21によって案内された穀稈を切断する。オーガ23は、カッター22によって切断された穀稈を所定の位置に集合させる。フィーダ24は、刈取装置2で刈り取った穀稈をフィーダハウス25を介して脱穀装置3に供給する。フィーダハウス25には、オーガ23によって集合させた穀稈をロータまで搬送する搬送コンベアが内蔵されている。
【0017】
脱穀装置3は、刈取装置2の後方に設けられている。脱穀装置3は、扱胴と、受網と、フロントロータとを備える。扱胴は、回転することによって穀稈を脱穀する。また、扱胴は、回転することによって穀稈を搬送する。受網は、扱胴によって搬送される穀稈を支持するとともに、脱穀物を選別装置4へ落下させる。フロントロータは、フィーダ24が搬送してきた穀稈を脱穀装置3へ送り込む。また、フロントロータは、穀稈を搬送するだけでなく、予備的な脱穀(プレ脱穀)を行う機能も有する。
【0018】
選別装置4は、脱穀装置3の下方に設けられている。選別装置4は、揺動装置と、送風装置(唐箕)とを備える。揺動装置は、脱穀物をふるいにかけて穀粒を選別する。揺動装置で選別された穀粒は、穀粒搬送装置により搬送され、投入口を介してグレンタンク51に投入される。送風装置は、脱穀物に含まれる藁屑などの夾雑物を吹き飛ばすことによって穀粒の選別を補助する。藁屑などの夾雑物は、選別装置4の後方に設けられた排稈口(不図示)から外部へ排出される。
【0019】
貯留装置5は、脱穀装置3及び選別装置4の右側方に設けられている。従って、脱穀装置3及び選別装置4と、貯留装置5とは、シャシーフレーム10の上方で左右に並列配置される。貯留装置5は、グレンタンク51を備える。グレンタンク51は、選別装置4から搬送されてきた穀粒を貯留する。排出オーガ52は、グレンタンク51内の穀粒を排出する際に用いられる。排出オーガ52は、穀粒の排出作業を行う際に上下左右方向に回動され、穀粒を任意の場所に排出できるように構成されている。
【0020】
運転部6は、グレンタンク51の前方で機体の右側前部に設けられている。運転部6は、オペレータが着席する運転座席6a、その運転座席6aの前方に配置された操向ハンドル6b、操向ハンドル6bのステアリング軸を支持するハンドルコラムの前方に配置されたフロントコラム6c等を備え、それらの周囲に変速レバーやクラッチレバー、スイッチ類など種々の操作具が配置されている。運転部6の運転座席6a、操向ハンドル6b、フロントコラム6c等(図3参照)は、キャビン7で覆われる。
【0021】
運転部6は、図5に示すような運転部フレーム60を備えている。運転部フレーム60は、シャシーフレーム10上に載置される。運転部フレーム60は、フロントコラムフレーム61と、フロントコラムフレーム61から後方へ延びる左右のステップフレーム62L,62Rと、ステップフレーム62L,62Rの後端から立設されるフロアフレーム63と、フロアフレーム63から立設される背面プレート64と、背面プレート64の後端を支持する後方フレーム部65とを備える。
【0022】
フロントコラムフレーム61は、フロントコラム6cの骨格を形成するものであり、正面視で矩形枠状をしている。フロントコラムフレーム61は、上部フロントコラムフレーム611、下部フロントコラムフレーム612、左フロントコラムフレーム613L、右フロントコラムフレーム613Rで構成される。上部フロントコラムフレーム611及び下部フロントコラムフレーム612は、左右方向に延びている。左フロントコラムフレーム613L及び右フロントコラムフレーム613Rは、上部フロントコラムフレーム611と下部フロントコラムフレーム612の両端をそれぞれ連結する。左フロントコラムフレーム613L及び右フロントコラムフレーム613Rは、側面視で略台形状の板部材である。フロントコラムフレーム61は、キャビン7を取付可能な第1取付部に相当する。
【0023】
左右のステップフレーム62L,62Rは、前後方向に延びている。左右のステップフレーム62L,62Rの間には、不図示のフロアパネルが横架される。右ステップフレーム62Rには、昇降用ステップ621が取り付けられている。
【0024】
フロアフレーム63は、左右のステップフレーム62L,62R及びフロアパネルの後端から上方へ延びる第1立ち上がり面63aと、第1立ち上がり面63aの上端から後方へ延びる第1水平面63bと、第1水平面63bの後端から上方へ延びる第2立ち上がり面63cと、第2立ち上がり面63cの上端から後方へ延びる第2水平面63dとを備える。フロアフレーム63の上部、より具体的には第1水平面63bの上部には、運転座席6aが載置される。また、フロアフレーム63の下方には、エンジン90(図8を参照)が配置される。
【0025】
背面プレート64は、フロアフレーム63の第2立ち上がり面63cの上端から立設される。背面プレート64は、上方へ行くにつれて後方へ傾斜して後端が後方フレーム部65の上端に連結されている。背面プレート64とフロアフレーム63の第2水平面63dで囲まれる空間には、エンジン90用のエアクリーナ91が収容される(図8を参照)。
【0026】
後方フレーム部65は、図8も参照して、エンジン90の後方に配置される左右の縦フレーム66L,66Rと、左右の縦フレーム66L,66Rの上部同士を連結する連結フレーム67(連結部に相当)と、連結フレーム67の後部から前方に向かって傾斜する姿勢で上方に延びる一対の傾斜フレーム68,68(傾斜部に相当)と、傾斜フレーム68の上部に設けられる上部支持フレーム69(第2取付部に相当)とを備える。左右の縦フレーム66L,66R、連結フレーム67、一対の傾斜フレーム68,68、及び上部支持フレーム69は、溶接されて一体となっている。
【0027】
左右の縦フレーム66L,66Rは、左右に並べて配置され、シャシーフレーム10から立設されている。連結フレーム67は、平面視で矩形板状をしており、後端が縦フレーム66L,66Rで支持されている。連結フレーム67の前端は、フロアフレーム63の後端に連結されている。傾斜フレーム68は、連結フレーム67の後部から背面プレート64の後端に向かって傾斜して延びている。
【0028】
上部支持フレーム69は、一対の傾斜フレーム68,68の上部に横架される状態で配置されている。上部支持フレーム69は、左右の縦フレーム66L,66Rよりも前方に位置する。上部支持フレーム69は、背面プレート64の後端に連結されている。上部支持フレーム69の左端部には、マフラー92の前方側を保護する保護カバー69aが設けられている(図8を参照)。また、保護カバー69aは、脱穀装置3に連結されている。保護カバー69aを脱穀装置3に連結することで、運転部フレーム60が補強される。
【0029】
運転部フレーム60を上記のように構成することで、運転部6の下方にエンジン90を配置しながら、キャビン7を強固に支持できるとともに、グレンタンク51を大型化することができる。
【0030】
キャビン7は、図6に示すようなキャビンフレーム70を備えている。キャビンフレーム70は、左右の底部キャビンフレーム71,72と、左右の前部キャビンフレーム73,74と、左右の後部キャビンフレーム75,75と、ドア支持フレーム76と、ルーフフレーム77とを備える。
【0031】
キャビンフレーム70の前面には、フロントガラス7a(図4Aを参照)が設けられる。また、キャビンフレーム70の左側面には、左窓を含む側面パネル7b(図4Bを参照)が設けられる。また、キャビンフレーム70の右側面には、右窓を含むキャビンドア7c(図4Aを参照)が設けられる。また、キャビンフレーム70の上面には、ルーフ7d(図4Aを参照)が設けられる。
【0032】
また、キャビン7を運転部6に対して取り付け及び取り外しをする際、キャビン7は上方から吊り下げられる。キャビン7は、キャビンフレーム70の左後部に設けられた吊り下げ金具7e(図4Bを参照)、及びキャビンフレーム70の右前部に設けられた乗降用の手すり7f(図4Aを参照)を用いて吊り下げられる。吊り下げ金具7eは、キャビンフレーム70の左後部キャビンフレーム75の上部に左方向に突出して設けられている。手すり7fは、キャビンフレーム70の右前部キャビンフレーム74に設けられている。
【0033】
左底部キャビンフレーム71は、キャビン7の左側の底部を構成する。左底部キャビンフレーム71は、キャビン7の前部から後方に水平に延びた後、上方へ傾斜して延びている。左底部キャビンフレーム71の前端は、左前部キャビンフレーム73の下端に連結されている。左底部キャビンフレーム71の後端は、左後部キャビンフレーム75の下部に連結されている。
【0034】
右底部キャビンフレーム72は、キャビン7の右側の底部を構成する。右底部キャビンフレーム72は、前後方向に水平に延びる板状をしている。右底部キャビンフレーム72の前端は、右前部キャビンフレーム74の下端に連結されている。右底部キャビンフレーム72の後端は、ドア支持フレーム76の下端に連結されている。右底部キャビンフレーム72は、運転部6にキャビン7を取り付けた状態では、右ステップフレーム62Rの上方に位置する。
【0035】
左前部キャビンフレーム73及び右前部キャビンフレーム74は、上下方向に延び、キャビン7の前部左右にそれぞれ配置される。左前部キャビンフレーム73及び右前部キャビンフレーム74の上端は、ルーフフレーム77に連結されている。キャビン7は、右側の底部が左側の底部よりも低い位置に配置されている。そのため、右前部キャビンフレーム74は、左前部キャビンフレーム73よりも下方に長い。左前部キャビンフレーム73と右前部キャビンフレーム74は、前部連結フレーム78で連結されている。前部連結フレーム78は、左前部キャビンフレーム73と右前部キャビンフレーム74よりも前方に突出する左右の突片部78a,78bと、左右の突片部78a,78bの前端を連結して前方に湾曲する湾曲部78cとを備える。前部連結フレーム78は、運転部6にキャビン7を取り付けた状態では、上部フロントコラムフレーム611の前方に位置する。
【0036】
左右の後部キャビンフレーム75,75は、上下方向に延び、キャビン7の後部左右にそれぞれ配置される。後部キャビンフレーム75の上端は、ルーフフレーム77の後部に連結されている。左右の後部キャビンフレーム75の下端は、後部連結フレーム79で連結されている。後部連結フレーム79は、運転部6にキャビン7を取り付けた状態では、上部支持フレーム69の上方に位置する。
【0037】
ドア支持フレーム76は、キャビン7の右側の底部から上方へ延びた後、後方へ傾斜しながら延び、その後再び上方に延びている。ドア支持フレーム76の上端は、ルーフフレーム77の後部に連結されている。ドア支持フレーム76には、キャビンドア7cが回動可能に支持される。
【0038】
ルーフフレーム77は、キャビン7の天井部を構成する。ルーフフレーム77は、平面視で矩形枠状をしている。ルーフフレーム77の前部は、左右の前部キャビンフレーム73,74よりも前方に突出している。ルーフフレーム77は、ルーフ7dで覆われる。
【0039】
次に、キャビン7を運転部6に取り付ける取付構造の詳細を説明する。キャビン7は、左前部、右前部、左後部、右後部、及び右底部に位置する5つの取付部81~85で取り付けられる。
【0040】
左前部の取付部81は、キャビンフレーム70の左前部、具体的には、前部連結フレーム78の左端部に位置する。取付部81は、キャビンフレーム70の前部連結フレーム78の下端に設けられた上部ブラケット811と、運転部フレーム60の左フロントコラムフレーム613Lの側面に設けられた下部ブラケット812とを備える。
【0041】
上部ブラケット811は、前部連結フレーム78の左突片部78aの下部に固定されている。上部ブラケット811は、互いに垂直な2つの面(側面811aと下面811b)を備え、この2つの面が正面視でL字状となるように形成された部材である。上部ブラケット811の側面811aの上端は、左突片部78aの下部に連結されている。上部ブラケット811の下面811bには、2つの貫通孔が形成されている。
【0042】
下部ブラケット812は、左フロントコラムフレーム613Lの左側面に固定されている。下部ブラケット812は、左フロントコラムフレーム613Lの左側面にボルトで締結される第1ブラケット部材812aと、第1ブラケット部材812aの上部に溶接された第2ブラケット部材812bとを備える。第1ブラケット部材812aは、平面視でL字状をしており、第2ブラケット部材812bを下方から支持する。第2ブラケット部材812bは、側面視でL字状をしており、上面に2つの貫通孔が形成されている。この第2ブラケット部材812bの2つの貫通孔と、上部ブラケット811の下面811bの2つの貫通孔とにボルト813を挿入してナット814で締結することにより、上部ブラケット811を下部ブラケット812に取り付けることができる。これにより、キャビンフレーム70の前部連結フレーム78を運転部フレーム60の左フロントコラムフレーム613Lに取り付けることができる。
【0043】
なお、上部ブラケット811の下面811bの上方には、矩形状の板部材815が配置されている。板部材815と上部ブラケット811の下面811bとの間には防振用の板状ゴムが配置される。これにより、下部ブラケット812の振動がボルト813を伝って上部ブラケット811に伝わるのを防止できる。同様に、上部ブラケット811の下面811bと第2ブラケット部材812bの上面との間にも防振用の板状ゴムが配置される。これにより、下部ブラケット812の振動が上部ブラケット811に直接伝わるのを防止できる。詳細な説明は省略するが、このような防振支持の構造は、右前部、左後部、右後部、及び右底部の取付部82~85にも採用されている。
【0044】
また、下部ブラケット812の第2ブラケット部材812bの左前部に設けられているボルト816は、フィーダ24への取り込み口を照射する作業灯を取り付けるためのものである。
【0045】
右前部の取付部82は、キャビンフレーム70の右前部、具体的には、前部連結フレーム78の右端部に位置する。取付部82は、取付ステー821を備える。取付ステー821は、平面視で略Z字状をしたプレートである。Z字状の取付ステー821の前面821aが2本のボルト822により、運転部フレーム60の右フロントコラムフレーム613Rの左側面に固定される。より具体的には、右フロントコラムフレーム613Rの左側面から左方向に突出して設けられた取付プレート824に対して取付ステー821の前面821aが固定される。一方、Z字状の取付ステー821の後面821bが2本のボルト823により、キャビンフレーム70の右前部キャビンフレーム74の左側面に固定される。より具体的には、右前部キャビンフレーム74の左側面から左方向に突出して設けられた取付プレート825に対して取付ステー821の後面821bが固定される。取付ステー821により、キャビンフレーム70の右前部キャビンフレーム74を運転部フレーム60の右フロントコラムフレーム613Rに取り付けることができる。
【0046】
左後部の取付部83は、キャビンフレーム70の左後部、具体的には、後部連結フレーム79の左端部に位置する。取付部83は、運転部フレーム60の上部支持フレーム69の左端部に設けられた左ブラケット831(図5を参照)を備える。左ブラケット831は、上部支持フレーム69から後方に突出するように設けられ、上面に2つのボルト穴が形成されている。一方、後部連結フレーム79の左端部には、2つの貫通孔が形成されている。この後部連結フレーム79の2つの貫通孔にボルト832を挿入し、ボルト832を左ブラケット831のボルト穴で締結することにより、後部連結フレーム79を左ブラケット831に取り付けることができる。これにより、キャビンフレーム70の後部連結フレーム79を運転部フレーム60の上部支持フレーム69に取り付けることができる。
【0047】
右後部の取付部84は、キャビンフレーム70の右後部、具体的には、後部連結フレーム79の右端部に位置する。取付部84は、運転部フレーム60の上部支持フレーム69の右端部に設けられた右ブラケット841(図5を参照)を備える。右ブラケット841は、上部支持フレーム69から後方に突出するように設けられ、上面に2つのボルト穴が形成されている。一方、後部連結フレーム79の右端部には、2つの貫通孔が設けられている。この後部連結フレーム79の2つの貫通孔にボルト842を挿入し、ボルト842を右ブラケット841のボルト穴で締結することにより、後部連結フレーム79を右ブラケット841に取り付けることができる。これにより、キャビンフレーム70の後部連結フレーム79を運転部フレーム60の上部支持フレーム69に取り付けることができる。
【0048】
また、右ブラケット841の上面には、図5に示すように、上方に突出する位置決めピン843が設けられている。位置決めピン843は上述した右ブラケット841に形成された2つのボルト穴の後方であって、背面視で2つのボルト穴の間に位置する位置に設けられる。一方、後部連結フレーム79の右端部には、図6に示すように、位置決めピン843に対応する位置決め孔844が形成されている。位置決めピン843と位置決め孔844とで構成される位置決め部を設けることで、初めに位置決めをしてから各取付部の本固定を行うことができ、キャビン7が運転部6に対してずれることがない。また、位置決めピン843を2つのボルト穴の間に位置させることで、2つのボルト穴と後部連結フレーム79に形成された2つの貫通孔との位置合わせを行いやすくすることができる。
【0049】
右底部の取付部85は、キャビンフレーム70の右底部キャビンフレーム72に位置する。右底部キャビンフレーム72には、前後方向に2つ貫通孔が形成されている。一方、運転部フレーム60の右ステップフレーム62Rには、前後方向に2つのボルト穴が形成されている。右底部キャビンフレーム72の2つの貫通孔にボルト851を挿入し、ボルト851を右ステップフレーム62Rのボルト穴で締結することにより、キャビンフレーム70の右底部キャビンフレーム72を運転部フレーム60の右ステップフレーム62Rに取り付けることができる。
【0050】
上記の取付部81~85により、キャビンフレーム70を運転部フレーム60に確実に取り付けることができる。フロントコラムフレーム61と後方フレーム部65によりキャビン7の前後左右を強固に支持することができ、キャビン7を運転部6に事後的に取り付けた場合でもキャビン7の振動を抑制できる。
【0051】
図9に示すように、キャビン7を運転部6に取り付けた状態で、運転部6のフロントコラム6cとキャビンフレーム70の前部連結フレーム78との間にはスポンジ6dが介在される。スポンジ6dは、フロントコラム6cの前面及び両側面に連続して配置される。スポンジ6dの一部は、前部連結フレーム78で上方から押し潰されている。スポンジ6dを配置することにより、フロントコラム6cの外表面と前部連結フレーム78の内表面との間に生じる隙間を埋めることができる。
【0052】
本実施形態では普通型コンバインの例を示したが、これに限られず、本発明は自脱型コンバインであってもよい。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
3 脱穀装置
6 運転部
6b 操向ハンドル
6c フロントコラム
7 キャビン
10 シャシーフレーム
60 運転部フレーム
65 後方フレーム部
66L 左縦フレーム
66R 右縦フレーム
67 連結フレーム
68 傾斜フレーム
69 上部支持フレーム
69a 保護カバー
70 キャビンフレーム
90 エンジン
92 マフラー
100 コンバイン
843 位置決めピン
844 位置決め孔
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9