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  • 特許-全固体電池の製造方法および全固体電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】全固体電池の製造方法および全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0562 20100101AFI20220812BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220812BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220812BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220812BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H01M10/0562
H01M10/058
H01M10/052
H01M4/36 C
H01M4/62 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018068215
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179669
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 友弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 羊一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 信三
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/003036(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/157046(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/121642(WO,A1)
【文献】特開2017-220318(JP,A)
【文献】国際公開第2012/001808(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
10/05-10/0587
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体的な焼結体で、正極層と負極層との間に電解質層が狭持された積層電極体を備えた全固体電池の製造方法において、
正極と負極のそれぞれの活物質に酸化物系固体電解質と導電助剤とを含むコーティング層を形成するコーティングステップと、
前記コーティング層を有する正極の前記活物質と前記酸化物系固体電解質とバインダーとを含むシート状の正極材料、前記酸化物系固体電解質と前記バインダーとを含むシート状の電解質材料、及び前記コーティング層を有する負極の前記活物質と前記酸化物系固体電解質と前記バインダーとを含むシート状の負極材料を、この順に積層して積層体を得る積層ステップと、
前記積層体を熱処理して前記バインダーを分解させる脱バインダーステップと、
前記当該積層体を焼成して前記積層電極体を得る焼成ステップと、
を含み、
前記コーティングステップでは、前記活物質と前記酸化物系固体電解質の原料と前記導電助剤とを含む混合物を当該導電助剤の蒸発温度よりも低い温度で熱処理して、前記活物質の表面に前記酸化物系固体電解質をコーティングするとともに、当該酸化物系固体電解質に前記導電助剤を担持させる、
全固体電池の製造方法。
【請求項2】
一体的な焼結体で、シート状の正極層とシート状の負極層との間にシート状の電解質層が狭持された積層電極体を備えた全固体電池であって、
前記正極層と前記負極層は、表面にコーティング層が形成された活物質と固体電解質とを含み、
前記電解質層は、前記固体電解質を含み、
前記固体電解質は、酸化物系固体電解質であり
前記コーティング層は、導電助剤を担持した前記酸化物系固体電解質からなる、
全固体電池。
【請求項3】
請求項1に記載の全固体電池の製造方法において、前記酸化物系固体電解質としてLi1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦1)なる一般式で表される固体電解質を用いる、全固体電池の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の全固体電池であって、前記酸化物系固体電解質は、Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦1)なる一般式で表される固体電解質である全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体電池の製造方法および全固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、携帯電話、電気自動車等の情報関連機器や通信機器、交通関連機器の急速な発展に伴い、その電源として高性能な二次電池が重要視されている。そして、リチウムイオン二次電池は、各種二次電池の中でもエネルギー密度が高いことで知られている。リチウム二次電池は、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、および有機系非水電解液あるいは高分子からなる有機系非水電解質を発電要素としている。
【0003】
しかしながら、有機溶媒を用いる非水電解液は可燃性であり、リチウムイオン二次電池は、液漏れ、短絡、過充電などを想定した安全対策が欠かせない。特に、高容量、高エネルギー密度の電池はさらなる安全性の向上が求められる。そこで近年、電解質として酸化物系固体電解質や硫化物系固体電解質を用いた全固体電池に関する研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能なイオン伝導体を主体として構成される材料であり、従来のリチウム二次電池のように可燃性の有機電解液に起因する各種問題が原理的に発生しない。
【0004】
全固体電池の製造方法の一工程として、ドクターブレード法がある。ドクターブレード法では、焼成前の無機酸化物などのセラミックス粉体に、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル系、エチルメチルセルロース等のバインダー、および溶剤等を混合して得たスラリーを塗布や印刷により薄板状に成形したグリーンシートを作製する。このような方法で、正極シート、負極シート、固体電解質シートを作製し、その後、必要に応じてこれらを積層し、焼結させる。
【0005】
グリーンシート法を利用した全固体電池の製造方法では、一般的に電解質シートには、固体電解質材料の他にバインダーや、場合によっては、可塑剤や分散剤を使用する。バインダーは、通常、イオン伝導性等、固体電解質に要求される性能を有していないために、固体電解質の成形後に加熱により分解除去される。脱脂工程において、バインダーが十分に分解されず、炭素化した場合、固体電解質層中に導電性炭化物が残留して自己放電や内部短絡等の発生の原因になる。
【0006】
ところで、バルク焼結型の酸化物全固体電池は、電極層と電解質層、さらには集電体層を同時焼成することで作製が可能である。電極層のパラメータとしてはイオン伝導性と電子伝導性が必要であり、固体電解質層のパラメータとしてはイオン伝導性が必要である。
【0007】
全固体電池では、活物質表面に前記イオン伝導性を有する固体電解質をコーティングすることが行われている。この際、例えば特許文献1では、電子伝導性も満たすために、活物質表面に電解質と炭素材料である導電助剤との同時コートを行っている。以下の特許文献1では、電解質層に硫化物系固体電解質を用い、(焼成することなく)活物質層と電解質層とをプレスで一体化し評価しているが、次のような問題がある。
【0008】
酸化物系電解質を用いて全固体電池を形成する場合は、酸化物シートと電解質シートとをプレスし、脱バインダー処理の後、焼成を行うが、前記脱バインダー工程の高熱にさらされることにより、炭素材料である導電助剤が蒸発してしまう。
【0009】
さらに、特許文献1において活物質をコーティングする電解質層は、LiNbOのようなイオン伝導性の低い材料を用いる影響で、抵抗を抑えるためにコーティング層を100nm未満にしなければならない制限がある。言い換えると、炭素粒子の大きさが制限されることとなる。なお、固体電解質としては、以下の特許文献2に記載されているLi1.5Al0.5Ge1.5(POもよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開2014/003036号
【文献】特開2013-45738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明は、電解質層に酸化物系固体電解質を用いるとともに、電解質層と活物質層のシートを一体化したのち焼成する全固体電池の製造方法において、シート用バインダーを脱バインダーする工程を経ても、導電助剤が蒸発することなくコーティング層内に残留させ、電子伝導性を劣化させないようにすることを目的としている。また、電子伝導性に優れた全固体電池を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、一体的な焼結体で、正極層と負極層との間に電解質層が狭持された積層電極体を備えた全固体電池の製造方法において、
正極と負極のそれぞれの活物質に酸化物系固体電解質と導電助剤とを含むコーティング層を形成するコーティングステップと、
前記コーティング層を有する正極の前記活物質と前記酸化物系固体電解質とバインダーとを含むシート状の正極材料、前記酸化物系固体電解質と前記バインダーとを含むシート状の電解質材料、及び前記コーティング層を有する負極の前記活物質と前記酸化物系固体電解質と前記バインダーとを含むシート状の負極材料を、この順に積層して積層体を得る積層ステップと、
前記積層体を熱処理して前記バインダーを分解させる脱バインダーステップと、
前記当該積層体を焼成して前記電極積層体を得る焼成ステップと、
を含み、
前記コーティングステップでは、前記活物質と前記酸化物系固体電解質の原料と前記導電助剤とを含む混合物を当該導電助剤の蒸発温度よりも低い温度で熱処理して、前記活物質の表面に前記酸化物系固体電解質をコーティングするとともに、当該酸化物系固体電解質に前記導電助剤を担持させる、
全固体電池の製造方法である。
【0013】
上記目的を達成するための本発明の他の態様は、前記酸化物系固体電解質としてLi1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦1)なる一般式で表される固体電解質を用いる、全固体電池の製造方法である。
【0014】
また、本発明は、一体的な焼結体で、シート状の正極層とシート状の負極層との間にシート状の電解質層が狭持された積層電極体を備えた全固体電池であって、
前記正極層と前記負極層は、表面にコーティング層が形成された活物質と固体電解質とを含み、
前記電解質層は、前記固体電解質を含み、
前記固体電解質は、酸化物系固体電解質であり
前記コーティング層は、導電助剤を担持した前記酸化物系固体電解質からなる。
前記酸化物系固体電解質を、Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦1)なる一般式で表される固体電解質とした全固体電池としてもよい
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シート用バインダーを脱バインダーする工程を経ても、導電助剤が蒸発することなくコーティング層内に残留し、電子伝導性に優れた全固体電池と、その全固体電池の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の全固体電池の作製手順を示す図である。
図2】本発明の実施例において、全固体電池を構成する活物質に固体電解質および導電助剤をコーティングする手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の範囲は、実施例を含めた当該記載に限定されるものではない。
【0018】
<活物質>
本発明に係る全固体電池に用いられる活物質としては、非水電解液を用いた従来のリチウム二次電池に用いられる材料と同様のものを用いることができる。例えば、正極活物質であれば、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などの層状酸化物や、オリビン構造を持つ化合物(LiFePO,LiCoPO4等)、スピネル構造を持つマンガン酸リチウム(LiMn,LiMnO,LiMO)、ポリアニオン構造を持つ化合物(Li32(PO43等)、ピロリン酸構造を持つ化合物(LiFeP,LiCoP,LiNiP,LiMnP等)などが挙げられる。
【0019】
負極活物質もリチウムイオン電池用として分類される物質であれば特に限定はされない。例えば、炭素材料(天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維など)、酸化チタン(TiO)、チタン酸リチウム(LiTi12)などの金属酸化物、金属(シリコン(Si)、錫(Sn)等)が挙げられる。
【0020】
ここで、本発明における活物質には、下記で述べるように、固体電解質および導電助剤がコーティングされており、かつ、前記コーティング層内に前記導電助剤が担持されていることを特徴とするものである。
【0021】
<固体電解質>
全固体電池に用いられる固体電解質としては、酸化物系固体電解質および硫化物系固体電解質が存在するが、本発明においては、Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦1)なる一般式で表される酸化物系固体電解質を用いることを特徴とする。
【0022】
活物質にコーティングされる前記酸化物系固体電解質を熱処理する際、前記酸化物系固体電解質がガラス状態を形成することにより、脱バインダーする工程を経ても、導電助剤が蒸発することなくコーティング層内に残留し、保護される。
【0023】
なお、全固体電池を構成する固体電解質層に含まれる固体電解質は、イオン伝導性の観点から、前記Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦1)と同様のものであるか、少なくともイオン伝導性が近い物質を用いることが好ましい。
【0024】
<導電助剤>
上述の通り、本発明においては、シート用バインダーを脱バインダーする工程を経ても、導電助剤は蒸発せずにコーティング層に残留することを特徴とする。
【0025】
このような導電助剤としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバーなどの炭素材料が挙げられる。
【0026】
その他、全固体電池を作製する際に用いられるバインダーや溶剤なども、従来のリチウム二次電池に使用されていた公知のものが用いられる。
【0027】
===全固体電池の製造方法===
全固体電池の主要な構成である積層電極体は、一体的な焼結体で、固体電解質層を正極と負極の電極層で狭持させた構造を有する。全固体電池は、その積層電極体の最上層と最下層に金属箔などからなる薄膜状の集電体を形成したものである。本発明の実施例に係る全固体電池の製造方法では、上述したように、活物質に固体電解質および導電助剤をコーティングする手順が含まれる。図1に本発明に係る全固体電池の製造方法の概略を示した。
【0028】
まず、活物質に固体電解質および導電助剤をコーティングする工程を行う(s11)。具体的には、Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦1)で表される酸化物系固体電解質を熱処理することによって、その後の脱バインダー処理を経ても、前記導電助剤は蒸発せずに前記活物質表面に担持された状態となる。そして、そのような活物質を用いて、正極層シートと負極層シートを作製する。
【0029】
正極層シートについては、前記活物質、固体電解質、およびバインダー成分を含むスラリー状の正極層材料を作製する(s12a)。そして、そのスラリー状の正極層材料をシート状に成形して正極層シートを作製する(s13a)。負極層シートについても同様に、前記活物質、固体電解質、およびバインダー成分を含むスラリー状の正極層材料を作製し(s12b)、その負極層材料をシート状に成形して負極層シートを作製する(s13b)。なお、この工程で用いられる電解質は、前記Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦1)と異なっていても良いが、少なくともイオン伝導性が近い物質を用いることが好ましい。
【0030】
電解質層シートについては、固体電解質とバインダー成分とを含むスラリー状の電解質層材料を作製し(s12c)、その電解質層材料をシート状に成形して電解質層シートを作製する(s13c)。
【0031】
上記の手順で各層のグリーンシートを作製したならば、正極層シート、電解質層シート、および負極層シートをこの順で積層して得た積層体を圧着する(s14)。次いで、あるいは必要に応じ、その圧着後の積層体を適宜な大きさに裁断し(s15)、所定の平面形状と平面サイズとを有する積層体を得る。
【0032】
そして、所定の平面形状と平面サイズの積層体に対して脱脂工程を行い(s16)、前記脱脂工程を経た積層体を所定の温度で焼成し(s17)、積層体を構成するグリーンシート中の固体電解質を結晶化させる。それによって、焼結体である積層電極体が得られ、この積層電極体の最上層と最下層に金属箔からなる集電体をスパッタリングなどによって形成すれば全固体電池が完成する(s18)。
【0033】
===本発明の実施例===
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるべきものではない。
【0034】
[実施例1]
以下に示す手順により、活物質(TiO)表面に、Li1+xAlGe2-x(PO(x=0.5)なる一般式で表される固体電解質および導電助剤としてカーボンナノファイバーであるVGCF(昭和電工社製、登録商標)のコーティングを行った。なお、上述した各種バインダーが完全に分解する温度が500℃程度であることから、実施例1では、焼成に先立って、バインダーの脱脂工程を想定した500℃での熱処理を行った。また、後述の実施例2、比較例1,2についても同様の熱処理を行った。
【0035】
(1)アンモニア水(0.45mol/L)の溶液に、固体電解質の原料(CHCOOLi・2HO , NHPO , Al(NO・9HO , GeO)を所定の組成比で混合した。
【0036】
(2)さらに前記混合液に、導電助剤として前記VGCFを混合した。
【0037】
(3)さらに前記混合液に、活物質としてTiOを混合した。
【0038】
(4)前記のようにして得られたコーティング液を100℃で加熱し、溶媒成分を除去した。
【0039】
(5)オーブン(260℃)で一晩乾燥した。
【0040】
(6)焼成に先立って、窒素雰囲気中で450℃の温度で仮焼きを行い、固体電解質をガラス化させた。
【0041】
(7)シート用バインダーの脱脂工程に相当する熱処理を行った。(大気雰囲気下 500℃ 5時間)
(8)次に、窒素雰囲気下、600℃、2時間焼成を行った。
【0042】
(9)得られたコーティング活物質を加圧セルにて圧粉し、電子伝導率を評価した。
【0043】
上記(1)-(9)を図示すると図2の通りである。なお、(1)-(8)が、図2中のs1-s8にそれぞれ対応する。
【0044】
なお、前記活物質と、コーティングする固体電解質と前記VGCFとの比率は、89:7:4である。
【0045】
[比較例1]
前記実施例1において、(2)におけるVGCF添加を行わず、(6)における仮焼きと(7)における焼成による脱脂処理の間に、実施例1と同じ比率のVGCFを混合したこと以外は同様に処理を行い、電子伝導率を評価した。
【0046】
[実施例2]
前記実施例1において、(2)における導電助剤を、前記VGCFより粒子径の小さいアセチレンブラックであるHS-100(デンカ株式会社製)を使用したこと以外は同様に処理を行い、電子伝導率を評価した。
【0047】
[比較例2]
前記比較例1において、(2)における導電助剤を、前記VGCFより粒子径の小さいアセチレンブラックであるHS-100(デンカ株式会社製)を使用したこと以外は同様に処理を行い、電子伝導率を評価した。
【0048】
上記実施例および比較例の組成を、表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1と比較例1の結果より、活物質に、固体電解質としてLi1+xAlGe2-x(PO(x=0.5)、および導電助剤としてカーボンナノファイバーをコートすることによって、500℃の高温での脱脂工程の際にも、導電助剤の蒸発を抑制し、結果として電子伝導率の低下を防ぐ効果が確認された。具体的には、実施例1は比較例1よりも電子伝導率の値は6.8倍向上する結果となった。
【0051】
また、実施例2と比較例2の結果より、導電助剤としてカーボンナノファイバーに代えてアセチレンブラックをコートすることによっても、同様の効果が確認された。実施例2は比較例2よりも電子伝導率の値は9.1倍向上する結果となった。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の全固体電池の製造方法によれば、酸化物固体電解質を用いる全固体電池において、活物質のコーティング層にイオン電導性と電子伝導性との両方を持たせることが可能になるため、低抵抗な全固体電池の作製が可能となる。
図1
図2