(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】光検出装置およびその操作方法
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20220812BHJP
G01T 1/20 20060101ALN20220812BHJP
【FI】
G01T7/00 C
G01T7/00 A
G01T1/20 E
G01T1/20 G
(21)【出願番号】P 2018086146
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】201710404793.7
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521197128
【氏名又は名称】睿生光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】InnoCare Optoelectronics Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】陳 宇▲はん▼
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-033659(JP,A)
【文献】特開2007-181183(JP,A)
【文献】特開2008-134237(JP,A)
【文献】特開2011-053037(JP,A)
【文献】特開2014-044171(JP,A)
【文献】特開2015-118005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0140484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 7/00
G01T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置される感知基板と、
前記筐体の内部に配置され、前記感知基板の上方に配置されるシンチレータ層と、
前記筐体の内部に少なくとも部分的に配置される光源モジュールと、を備える光検出装置
であって、
第1画像データを捕捉し、
前記光源モジュールをオンにして第2画像データを捕捉し、
前記第1画像データを前記第2画像データと比較して、前記光検出装置の状態を判定し、
前記光検出装置を検出光で照射して第4画像データを捕捉し、
前記第4画像データを前記第2画像データと比較し、その表面に異物があるかどうか、またはその中に異物があるかどうかを判定する光検出装置。
【請求項2】
前記光源モジュールは、前記感知基板の下方に配置され、
前記感知基板は、前記シンチレータ層と前記光源モジュールとの間に配置される請求項1記載の光検出装置。
【請求項3】
前記光源モジュールは、前記シンチレータ層の上方に配置され、
前記シンチレータ層は、前記光源モジュールと前記感知基板との間に配置される請求項1記載の光検出装置。
【請求項4】
前記光源モジュールは、前記シンチレータ層と前記感知基板との間に配置される請求項1記載の光検出装置。
【請求項5】
前記感知基板は、複数のスイッチングユニットと複数の光感知ユニットとを備え、
前記光感知ユニットのそれぞれは、前記スイッチングユニットの少なくとも一つと電気的に接続される請求項1記載の光検出装置。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体の内部に配置される感知基板と、
前記筐体の内部に配置され、前記感知基板の上方に配置されるシンチレータ層と、
前記筐体の内部に少なくとも部分的に配置される光源モジュールと、を備える光検出装置を提供し、
前記光検出装置をオンにして第1画像データを捕捉し、
前記光源モジュールをオンにして第2画像データを捕捉し、
前記第1画像データを前記第2画像データと比較して、前記光検出装置の状態を判定
し、
前記光検出装置を検出光で照射して第4画像データを捕捉し、
前記第4画像データを前記第2画像データと比較し、
前記光検出装置の表面に異物があるかどうか、または前記光検出装置の中に異物があるかどうかを判定する光検出装置の操作方法。
【請求項7】
前記第1画像データを捕捉するステップで、前記光源モジュールはオフにされる請求項6記載の光検出装置の操作方法。
【請求項8】
前記光源モジュールから各々異なる強さで光を放射し、異なる強さの前記光に対応した複数の第3画像データを捕捉して、前記光検出装置の状態を判定することをさらに含む請求項6記載の光検出装置の操作方法。
【請求項9】
前記検出光はX線からなる請求項
6記載の光検出装置の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置およびその操作方法に関し、特に光源モジュールを含む光検出装置と、この光源モジュールを用いた自己検出を含む光検出装置の操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光感知技術は、関連する開発を伴いつつ、多くの電子製品や検出装置に適用されてきており、X線を検出可能にする光感知技術は、相当な注目を受ける応用分野の一つとされる。X線を検出するのにフィルムを使用する伝統的なアプローチは、照射線量が低く、電子撮像が高速であるという諸特性と、電子画像の表示、コピー、補足、転写、分析の便利さを理由として、徐々にディジタル検出装置に置き換えられており、ディジタル検出装置は、ディジタル医療画像の開発における近年のトレンドとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7777167号明細書
【文献】米国特許第7989772号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォトダイオードは一般に、X線エネルギーを検出するために、ディジタル光検出装置の光感知ユニットとして使用される。しかし、人間にX線を1回照射した後に、光検出装置が異常であると判明した場合には、X線が人間に対してある程度の害を有し、そして累積的な効果を有することから、今回のX線の照射と次回のX線の照射との間に、一定の時間を設けなければならない。これは被験者にとって不便であり、それに応じて医学的な論争が発生する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の目的の一つは、光検出装置およびその操作方法を提供することにある。光源モジュールは光検出装置に配置され、光源モジュールは光検出装置が正常であるか否かを判定する自己検出を行なうために使用される。その結果、異常な光検出装置によって発生する検出エラーや、それに関連する諸問題を回避できる。
【0006】
本開示の実施形態では、光検出装置が提供される。光検出装置は、筐体と、感知基板と、シンチレータ層と、光源モジュールとを含む。感知基板は、筐体の内部に配置される。シンチレータ層は筐体の内部に配置され、感知基板の上方に配置される。光源モジュールは、筐体の内部に少なくとも部分的に配置される。
【0007】
本開示の別の実施形態では、光検出装置の操作方法が提供される。光検出装置の操作方法は、次のステップを含む。光検出装置が提供される。光検出装置は、筐体と、感知基板と、シンチレータ層と、光源モジュールとを含む。感知基板は、筐体の内部に配置される。シンチレータ層は筐体の内部に配置され、感知基板の上方に配置される。光源モジュールは、筐体の内部に少なくとも部分的に配置される。光検出装置がオンにされ、第1画像データが捕捉される。その後、光源モジュールがオンにされ、第2画像データが捕捉される。第1画像データが第2画像データと比較され、光検出装置の状態を判定する。
【0008】
本開示のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に示されている実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者において確実に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に応じた光検出装置を示す断面概略図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に応じた感知基板の一部を示す概略回路図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に応じた光検出装置の操作方法を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施形態に応じた第1画像データを示す概略図である。
【
図5】本開示の一実施形態に応じた第2画像データを示す概略図である。
【
図6】本開示の第2実施形態に応じた光検出装置の操作方法を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の第2実施形態における光検出装置の操作方法に従い、光源モジュールから放射される異なる強度の光の下でそれぞれ捕捉された第3画像データ間の比較を示す概略図である。
【
図8】本開示の第3実施形態に応じた光検出装置の操作方法を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の第4実施形態に応じた光検出装置を示す断面概略図である。
【
図10】本開示の第5実施形態に応じた光検出装置を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の技術分野における当業者に対して、本開示のより良い理解を提供するために、例示的な実施形態を以下に詳述する。本開示の例示的な各実施形態は、達成されるべき内容および効果を詳述するために、番号の付いた要素と共に添付の図面に示されている。各実施形態は例示的なものに過ぎず、本開示の範囲を意図的に限定するものではない。さらに、本開示で使用される用語「含む(include)」、「備える、からなる(comprise)」、および/または「有する(have)」は、特徴、領域、ステップ、動作、および/またはユニットの存在を指摘するのに使用され得るが、一乃至複数の別な特徴、領域、ステップ、動作、ユニット、および/またはそれらの組み合わせの存在を排除しないことを理解されたい。層または領域のような要素が、別な要素(またはその変形)の「上(on)」にあるか、または別な要素に「及ぶ(extend to)」と言及されている場合、それは別な要素の直接上にあるか、別な要素に直接及ぶとすることができ、介在する要素が存在してもよいことを理解すべきである。対照的に、ある要素が別な要素(またはその変形)の「直接上(directly on)」にあるか、または別な要素に「直接及ぶ(directly extend to)」と言及される場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別な要素(またはその変形)と「連結(coupled with)」されると言及されている場合、それは別な要素と直接連結され得る、若しくは一乃至複数の介在する要素を通して、別な要素と(電気的に連結されるように)間接的に連結され得ることを理解すべきである。
【0011】
図1および
図2を参照する。
図1は、本開示の第1実施形態に応じた光検出装置を示す断面概略図であり、
図2は、本実施形態における感知基板の一部の概略回路図である。
図1に示すように、本実施形態では、光検出装置101が設けられている。光検出装置101は、筐体10と、感知基板30と、シンチレータ層40と、光源モジュール50とを備える。感知基板30とシンチレータ層40は、筐体10の内部に配置される。シンチレータ層40は感知基板30の上方に配置され、光源モジュール50は筐体10の内部に少なくとも部分的に配置される。筐体の内部に配置される光源モジュール50の部分は、光を放出することができなければならない。光検出装置101は、検出光90を感知して、対応する画像データを生成するのに使用されてもよく、検出光90はX線、或いはガンマ線(γ線)などの他の適切な波長範囲内の光を含んでもよい。光源モジュール50は、自己検出の間に感知基板30に光を提供するために使用される。したがって、いくつかの実施形態において、光源モジュール50は筐体10の内部に完全に配置されてもよいし、光源モジュール50は筐体10の内部に部分的に配置されてもよく、自己検出に必要な光を提供する。いくつかの実施形態において、筐体10は、筐体10に入る可視光または他の波長範囲内の光を遮断するための不透明材料からなるが、これに限定されない。また、シンチレータ層40は、特定の波長領域(例えば、X線)内の光を可視光に変換するために用いられ、シンチレータ層40の材料は、ヨウ化セシウム(CsI)を含むことができるが、これに限定されない。
【0012】
図1および
図2に示すように、いくつかの実施形態において、感知基板30は、複数のスイッチングユニットTおよび複数の光感知ユニットPDを含むことができ、各々の光感知ユニットPDは、スイッチングユニットTのうちの少なくとも一つと電気的に接続される。例えば感知基板30は、アレイを形成するために、互いに交錯させた複数のデータラインDLと複数のゲートラインGLを含むことができる。各スイッチングユニットTは、対応するデータ線DL及び対応するゲート線GLと電気的に接続されたトランジスタを含み、光感知ユニットPDは、対応するスイッチングユニットTと連結されたフォトダイオードを含むことができる。スイッチングユニットTのトランジスタにおける半導体材料は、低温ポリシリコン(LTPS)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、またはアモルファスシリコン(a-Si)であってもよいが、これに限定されるものではない。スイッチングユニットTのスイッチング状態は、ゲート線GLを経由して制御されることができ、スイッチングユニットTがターンオンされると、対応する光感知ユニットPDから生成される信号がデータ線DLを経由して受信され、各々の光感知ユニットPDとそれに対応するスイッチングユニットTは、1つのピクセルと見なすことができるが、これに限定されない。本開示の光検出装置における感知基板30は、上述のスイッチング状態に限定されず、本開示において他の適切な種類の感知基板が適用されてもよいことに注目すべきである。
【0013】
図1に示すように、光検出装置101は、筐体10の内部に配置された支持基板20をさらに含み、感知基板30、シンチレータ層40、および光源モジュール50を、支持基板20の上に配置することができるが、これに限定されない。また、いくつかの実施形態では、感知基板30に対して垂直な平面視(投影)方向Zにおいて、光源モジュール50を感知基板30の下側に配置することができ、感知基板30をシンチレータ層40と光源モジュール50との間に配置することができるが、これに限定されない。すなわち、平面視方向Zにおいて、光源モジュール50を支持基板20と感知基板30との間に配置することができ、シンチレータ層40と光源モジュール50を、感知基板30の上側と下側にそれぞれ配置することができる。従って、光源モジュール50は、感知基板30の下側から感知基板30に光を提供して自己検出を行なうことができる。さらに、いくつかの実施形態において、光源モジュール50は、側光式光源モジュールまたは直下式光源モジュールを含むことができる。例えば、光源モジュール50が側光式光源モジュールである場合に、その光源モジュール50は、互いに近接して配置される光源51(発光ダイオード、LED、OLEDなど)と導光板52とを含むことができる。光源51で発生された光は、導光板52の光入射面から導光板52に入射され、感知基板30に対向する光源面から均一に出射される。入射面の法線方向は、平面視方向Zに対して直角に交わり、光源面の法線方向は、平面視方向Zと平行である。また、光源モジュール50を、支持基板20の背面に配置された回路基板60に電気的に接続することができ、回路基板60を、光源モジュール50のスイッチング状態と光強度を制御するのに使用することができるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、光源モジュール50は、感知基板30に照射する可視光を提供するように構成された可視光源モジュールを含むことができるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、光源モジュール50から放射される光の波長範囲は、感知基板30が検査できる光の波長範囲に対応するように変更されてもよい。例えば、光源モジュール50は、赤外線光源モジュールまたは他の適切な波長範囲内の光源モジュールであってもよい。さらに、いくつかの実施形態において、光検出装置101は、シンチレータ層40の上方に配置された光フィルタ層70をさらに含むことができる。光検出装置101がX線を検査するのに使用される場合、可視光は光フィルタ層70で遮られ、X線(すなわち検出光90)は光フィルタ層70を通過することができ、光フィルタ層70の材料は炭素繊維を含むことができるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、筐体10の材料は、可視光を遮断し、X線を通過可能にする炭素繊維とすることができるが、本開示はこれに限定されず、他の適切な材料を用いて、筐体10および/または光フィルタ層70を形成してもよい。
【0014】
図3~
図5および
図1を参照する。
図3は、本実施形態における光検出装置101の操作方法を示すフローチャートであり、
図4は、本開示の一実施形態に応じた第1画像データを示す概略図であり、
図5は、本開示の一実施形態に応じた第2画像データを示す概略図である。
図3~5および
図1に示すように、本実施形態では光検出装置101の操作方法が提供され、その操作方法は以下のステップを含む。まずステップS11において、光検出装置101が提供され、光検出装置101がターンオンされる。ステップS12では、第1画像データM1が捕捉される。続いて、ステップS13において、光源モジュール50がターンオンされ、第2画像データM2が捕捉される。ステップS14では、第1画像データM1が第2画像データM2と比較され、光検出装置101の状態を判定し、光検出装置101の状態が正常または異常であるかを判定する。具体的には、ステップS11およびステップS12において、感知基板30がターンオンされ、光源モジュール50がターンオフされる。つまり、光源モジュール50がオフにされた状態の下で第1画像データM1が取り込まれ、第1画像データM1は黒画面画像と見なすことができる。これに対して、ステップS13では、光源モジュール50がオンにされた状態の下で第2画像データM2が取り込まれ、第2画像データM2は光源モジュール50から放射された光を感知基板30で受けた後に得られた画像データとなる。
【0015】
上述のステップS11~S14は、光検出装置101によって標準の検出を行なうステップの前に、光検出装置101が正常かどうかを確認するのに、光検出装置101で行われる自己検出フローとして見なせることに注目すべきである。それにより、光検出装置が異常である場合に、標準の検出で光検出装置101により生成された検出エラーや、他の関連する問題を回避できる。従って、上述のステップS11~S14において、光検出装置101には検出光90が照射されず、上記の異常である状態は、感知基板30の回路および/または画素(例えば、破損した導電線や欠陥ピクセル)、に関連した異常状態、筐体10に入り込む異物、および他の可能性のある異常状態を含むことができる。例えば、
図4に示す第1画像データM1を、
図5に示す第2画像データM2と比較すると、第2画像データM2に異常領域Fが観察され、感知基板30の回路および/または画素に関する異常状態により、異常領域Fが発生することがある。従って、その第2画像データM2の状態によって、光検出装置101が異常であると判定されてもよい。しかし、第1画像データM1と第2画像データM2を比較した後に、第2画像データM2の光強度が均一であり、第2画像データM2に異常領域が何等存在しなければ、光検出装置101が正常であると判定して、X線の検出を行なうのに利用できるようにし、さもなければ光検出装置101が正常であると判定して、その検出を終了すべきである。
【0016】
以下の説明は、本開示の様々な実施形態を詳述するものである。説明を簡単にするために、以下の各実施形態の同一の構成要素には同一の符号を付している。各実施形態の間で違いを容易に理解できるように、以下の説明では、異なる実施形態間の相違点を詳細に説明し、同一の特徴部については重複して説明しない。
【0017】
図6および
図1を参照する。
図6は、本開示の第2実施形態に応じた光検出装置の操作方法を示すフローチャートである。
図6および
図1に示すように、本実施形態における操作方法と上記の第1実施形態における操作方法との違いは、本実施形態における光検出装置の操作方法は、ステップS12の後であってステップS13の前に行われるステップS21をさらに含むことができる、ということである。ステップS21では、第1画像データの状態のみを用いて、光検出装置101の状態が正常か異常かを判定できる。理想的には、光検出装置に検出光90が照射されず、光源モジュール50がターンオフの状態の下で、第1画像データが取り込まれるため、第1画像データの強度は均一となると考えられる。しかし、第1画像データ上にドット状の異常領域、線状の異常領域、或いは塊状の異常領域があるなどして、第1画像データが異常であると判定された場合には、光検出装置101は異常であると判定し、ステップS91を実行して、光検出装置101からの異常メッセージを送出することができる。異常メッセージは、異常情報を通知するために、音、表示ランプ、或いは表示パネル上のテキストを含むことができるが、これに限定されない。ステップS21において、光検出装置101の状態が正常であると判定された場合には、ステップS13を実行して光源モジュール50をオンにし、第2画像データを取り込むことができる。続いてステップS22を実行し、第1画像データを第2画像データと比較して、ドット状の異常領域、線状の異常領域、或いは塊状の異常領域があるかどうかを判断し、異常メッセージを送出するために、ステップS92を実行する必要があるかどうかを判断する。また、ステップS22において、光検出装置101が正常であると判定された場合には、ステップS23を実行して、第2画像データが均一であるか否かを判定し、異常メッセージを送出するために、ステップS93を実行する必要があるかどうかを確認することができる。
【0018】
図6、
図7および
図1を参照すると、
図7は、本実施形態に応じた光検出装置の操作方法において、光源モジュール50から放射される異なる強度の光の下でそれぞれ捕捉された第3画像データの比較を示す概略図である。
図6、
図7および
図1に示すように、ステップS23において、第2画像データが均一であると判定された場合には、ステップS24を実行して、光源モジュール50から各々異なる強度(または、輝度と見なしてもよい)で光を放射し、ステップS25で光検出装置101の状態が正常か異常かを判定するために、異なる強度の光に対応した複数の第3画像データを取り込む。例えば光源モジュール50が、第1強度の光P1、第2強度の光P2、第3強度の光P3、及び第4強度の光P4をそれぞれ放射すると、異なる強度の光に対応して複数の第3画像データを捕捉できる。第3画像データは、異なる強度の光の下での画像データの分布を構築するのに使用されてもよい。
図7に示す第1関係線L1および第2関係線L2は、感知基板30内の各画素が正常な性能であると見なすことができ、光の強度が上限よりも高い場合、対応する画像データが飽和することがある。
図7に示す画像データの強度は、上述した第3画像データと第1画像データとの差であり、感知基板30の光感知ユニット(フォトダイオードなど)から取得した電圧信号または電流信号を変換して、対応する画像データを生成してもよいことに注目すべきである。また、光感知ユニット(フォトダイオードなど)から取得した電圧信号または電流信号を、さらなる処理のために増幅器で増幅してもよいが、これに限定されない。
図7に示す第3関係線L3および第4関係線L4は、第1強度の光P1、第2強度の光P2、第3強度の光P3、および第4強度の光P4の照射を受けて、感知基板30の異なる画素で捕捉された第3画像データから生成された関係線とすることができる。正常な状態の下での第1関係線L1および第2関係線L2と比較すると、第3関係線L3の傾きは、第1関係線L1の傾きや第2関係線L2の傾きよりも明らかに小さく、感知基板30の第3関係線L3に対応する画素が異常であると判定できる。また、正常な状態の下での第1関係線L1および第2関係線L2と比較すると、第4関係線L4は早期に飽和しており、それを利用して感知基板30の第4関係線L4に対応する画素が異常であると判定できる。ステップS25において、第3画像データを算出することで生成された関係線が異常であると判定された場合には、ステップS94を実行して、異常メッセージを送出できる。それと比較して、ステップS25において、第3画像データを算出することで生成された関係線が正常であると判定された場合には、ステップS26を実行して、光検出装置101の使用に備えることができる。言い換えれば、光検出装置101の状態が上述した自己検出の各ステップによって正常であると判定された場合には、光検出装置101を用いて標準の検出(例えば、X線検出)を行なうことができる。
【0019】
図8および
図1を参照する。
図8は、本発明の第3実施形態に応じた光検出装置の操作方法を示すフローチャートである。
図8および
図1に示すように、本実施形態における操作方法と上記の第2実施形態における操作方法との違いは、本実施形態の光検出装置の操作方法は、検出光90で光検出装置101を照射して、第4画像データを取り込むために、ステップS23の後に行われるステップS31をさらに含むことができる、ということである。次のステップS32において、第4画像データは第2画像データと比較され、ステップS33において、光検出装置101の表面に異物があるかどうか、および/または光検出装置101の中に異物があるかどうかを判定する。ステップS33で異物が判別された場合には、ステップS95を実行して異常メッセージを送出することができる。また、第4画像データと第2画像データとの間の比較結果を用いて、シンチレータ層40の材料が劣化しているか否かを判定し、シンチレータ層40の材料劣化が検出結果に及ぼす影響を避けるようにしてもよい。
【0020】
図9は、本開示の第4実施形態に応じた光検出装置102を例示する断面概略図である。
図9に示すように、ここでの光検出装置102と上記の第1実施形態における光検出装置との違いは、光検出装置102において、光源モジュール50をシンチレータ層40の上方に配置でき、シンチレータ層40を光源モジュール50と感知基板30との間に配置できる、ということである。言い換えれば、平面視方向Zにおいて、光源モジュール50をシンチレータ層40と光フィルタ層70との間に配置でき、このときの光源モジュール50は、標準の光検出とその検出結果の影響を回避するために、側光式光源モジュールとすることができる。
【0021】
図10を参照する。
図10は、本開示の第5実施形態に応じた光検出装置103を例示する断面概略図である。
【0022】
図10に示すように、ここでの光検出装置103と上記の第1実施形態における光検出装置との違いは、光検出装置103において、シンチレータ層40と感知基板30との間に光源モジュール50を配置でき、このときの光源モジュール50は、標準の光検出とその検出結果の影響を回避するために、側光式光源モジュールとすることができる、ということである。
【0023】
本開示の光検出装置における光源モジュールの配置は、上述した各実施形態の状態に限定されないことに注目すべきである。光源モジュール50によって提供される光が感知基板30を照射できれば、光源モジュール50は、光検出装置の別な位置として、例えば筐体の角部や、側面部や、底部などに配置されてもよいし、光源モジュール50の一部が筐体の外部に配置されてもよい。
【0024】
以上の記述をまとめると、本開示に応じた光検出装置及びその操作方法では、光検出装置による標準の検出を行なう前に、光検出装置の状態が正常か異常かを判定する自己診断を行なうのに、筐体の内部に少なくとも一部が配置された光源モジュールを利用できる。それにより、標準の検出で異常な光検出装置により生成された検出エラーや、それに関連する問題を回避できる。
【0025】
当業者であれば、本開示の教示を保持しながら、装置および方法の幾つかの改変や変更を行なえることは、容易に理解するであろう。したがって、上述の開示は、添付の請求項の境界および範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0026】
10 筐体
30 感知基板
40 シンチレータ層
50 光源モジュール
T スイッチングユニット
PD 光感知ユニット
101、102、103 光検出装置