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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】半導体製造装置用部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018092745
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019201013
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛利 紘彰
(72)【発明者】
【氏名】七田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】土田 淳
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-188394(JP,A)
【文献】特開2005-197393(JP,A)
【文献】特開2005-085657(JP,A)
【文献】特開2000-174411(JP,A)
【文献】特開2010-050198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成されたセラミックス部材と、
前記凹部の底面に露出した電極と、
金属製の端子部材であって、前記凹部内に収容された柱状の第1の部分を有する、端子部材と、
前記電極と前記端子部材の前記第1の部分とを接合するろう付け部と、
を備える半導体製造装置用部品において、
前記端子部材の前記第1の部分の中心軸を含む断面において、前記第1の部分の外周面に、ワイヤが巻き付けられて固定され、前記中心軸方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部および複数の凹部が形成されている、
ことを特徴とする半導体製造装置用部品。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体製造装置用部品において、
前記端子部材の前記第1の部分は、柱状の開口側部分と、前記開口側部分に対して前記凹部の底面側に位置し、前記開口側部分より径の小さい柱状の底面側部分と、を有し、
前記端子部材の前記第1の部分の中心軸を含む前記断面において、前記複数の凸部および複数の凹部は、前記第1の部分の前記底面側部分の外周面に形成されている、
ことを特徴とする半導体製造装置用部品。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体製造装置用部品において、
前記端子部材の前記第1の部分は、前記開口側部分と前記底面側部分との間に位置し、前記底面側部分の最小径より径の小さい柱状の中間部分を有する、
ことを特徴とする半導体製造装置用部品。
【請求項4】
凹部が形成されたセラミックス部材と、
前記凹部の底面に露出した電極と、
金属製の端子部材であって、前記凹部内に収容された柱状の第1の部分を有する、端子部材と、
前記電極と前記端子部材の前記第1の部分とを接合するろう付け部と、
を備える半導体製造装置用部品において、
前記端子部材の前記第1の部分の中心軸を含む断面において、前記第1の部分の外周面に、前記中心軸方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部および複数の凹部が形成されており、
前記端子部材の前記第1の部分は、柱状の開口側部分と、前記開口側部分に対して前記凹部の底面側に位置し、前記開口側部分より径の小さい柱状の底面側部分と、を有し、
前記端子部材の前記第1の部分の中心軸を含む前記断面において、前記複数の凸部および複数の凹部は、前記第1の部分の前記底面側部分の外周面に形成されており、
前記端子部材の前記第1の部分は、前記開口側部分と前記底面側部分との間に位置し、前記底面側部分の最小径より径の小さい柱状の中間部分を有する、
ことを特徴とする半導体製造装置用部品。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の半導体製造装置用部品において、
前記端子部材の前記第1の部分の中心軸を含む断面において、前記第1の部分の外周面に形成された少なくとも1つの前記凹部内に、前記ろう付け部の一部分が収容されている、
ことを特徴とする半導体製造装置用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、半導体製造装置用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置を構成する半導体製造装置用部品として、対象物(例えば、半導体ウェハ)を保持しつつ所定の処理温度に加熱する加熱装置(「サセプタ」とも呼ばれる)が知られている。
【0003】
一般に、加熱装置は、セラミックスにより形成された保持部材を備える。保持部材は、例えば、一の表面(以下、「保持面」という)と、保持面とは反対側の表面(以下、「裏面」という)とを有する板状部材である。保持部材には、抵抗発熱体と、抵抗発熱体に電気的に接続された受電電極とが配置されている。受電電極は、保持部材の裏面に形成された凹部の底面に露出しており、少なくとも一部分が凹部内に収容された金属製の端子部材と、ろう付けにより接合されている。電源から端子部材および受電電極を介して抵抗発熱体に電圧が印加されると、抵抗発熱体が発熱し、これにより、保持部材の保持面上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハ)が加熱される。
【0004】
従来、端子部材と受電電極とを接合するろう付け部における残留応力を低減して、該残留応力に起因する保持部材のクラックの発生を抑制するために、端子部材における受電電極側の部分の径を細くする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-235166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、ろう付け部における残留応力の低減が十分ではなく、該残留応力に起因する保持部材のクラックの発生を効果的に抑制することができない、という課題がある。
【0007】
なお、このような課題は、上述した構成の加熱装置に限らず、凹部が形成されたセラミックス部材と、該凹部の底面に露出した電極と、該凹部内に収容された柱状の第1の部分を有する金属製の端子部材と、上記電極と上記端子部材の第1の部分とを接合するろう付け部とを備える半導体製造装置用部品に共通の課題である。
【0008】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0010】
(1)本明細書に開示される半導体製造装置用部品は、凹部が形成されたセラミックス部材と、前記凹部の底面に露出した電極と、金属製の端子部材であって、前記凹部内に収容された柱状の第1の部分を有する、端子部材と、前記電極と前記端子部材の前記第1の部分とを接合するろう付け部と、を備える半導体製造装置用部品において、前記端子部材の前記第1の部分の中心軸を含む断面において、前記第1の部分の外周面に、前記中心軸方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部および複数の凹部が形成されている。本半導体製造装置用部品では、端子部材の第1の部分の中心軸を含む断面において、第1の部分の外周面に、中心軸方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部および複数の凹部が形成されているため、端子部材の第1の部分の表面積が比較的大きくなる。すなわち、端子部材の第1の部分の外周面が、比較的多くのろう材を保持する(収容する)ことができる。そのため、端子部材と電極とのろう付け接合の際に、十分な接合強度を確保するために過剰に供給されたろう材が、端子部材の外周面に沿って比較的長い距離を移動することを回避することができ、その結果、ろう付け部のフィレットが適正な形状となって、ろう付け部における残留応力が比較小さくなる。従って、本半導体製造装置用部品によれば、端子部材と電極との間の接合強度が低下することを抑制しつつ、ろう付け部における残留応力を効果的に低減することができ、ろう付け部における残留応力に起因してセラミックス部材にクラックが発生することを効果的に抑制することができる。また、本半導体製造装置用部品によれば、端子部材の第1の部分の表面積を比較的大きくすることができるため、過剰なろう材がセラミックス部材の凹部の側面と端子部材との間の隙間に進入して(這い上がって)両者が接合されることを抑制することができ、セラミックス部材と端子部材との間の熱膨張差に起因してクラックが発生することを抑制することができる。
【0011】
(2)上記半導体製造装置用部品において、前記端子部材の前記第1の部分は、柱状の開口側部分と、前記開口側部分に対して前記凹部の底面側に位置し、前記開口側部分より径の小さい柱状の底面側部分と、を有し、前記端子部材の前記第1の部分の中心軸を含む前記断面において、前記複数の凸部および複数の凹部は、前記第1の部分の前記底面側部分の外周面に形成されている構成としてもよい。本半導体製造装置用部品によれば、セラミックス部材に形成された凹部の側面と端子部材の第1の部分との間に大きな空間が確保されるため、ろう材が大幅に過剰であっても、ろう材が端子部材の外周面に沿って比較的長い距離を移動することを回避することができ、ろう付け部のフィレットを適正な形状とすることができ、ろう付け部における残留応力に起因してセラミックス部材にクラックが発生することを効果的に抑制することができる。また、本半導体製造装置用部品によれば、セラミックス部材に形成された凹部の側面と端子部材の第1の部分との間に大きな空間が確保されるため、ろう材が大幅に過剰であっても、ろう材がセラミックス部材の凹部の側面と端子部材との間の隙間に進入して両者が接合されることを効果的に抑制することができ、セラミックス部材と端子部材との間の熱膨張差に起因してクラックが発生することを効果的に抑制することができる。
【0012】
(3)上記半導体製造装置用部品において、前記端子部材の前記第1の部分は、前記開口側部分と前記底面側部分との間に位置し、前記底面側部分の最小径より径の小さい柱状の中間部分を有する構成としてもよい。本半導体製造装置用部品によれば、セラミックス部材に形成された凹部の側面と端子部材の第1の部分との間にさらに大きな空間が確保されるため、ろう材が大幅に過剰であっても、ろう材が端子部材の外周面に沿って比較的長い距離を移動することを回避することができ、ろう付け部のフィレットを適正な形状とすることができ、ろう付け部における残留応力に起因してセラミックス部材にクラックが発生することを極めて効果的に抑制することができる。また、本半導体製造装置用部品によれば、セラミックス部材に形成された凹部の側面と端子部材の第1の部分との間にさらに大きな空間が確保されるため、ろう材が大幅に過剰であっても、ろう材がセラミックス部材の凹部の側面と端子部材との間の隙間に進入して両者が接合されることを極めて効果的に抑制することができ、セラミックス部材と端子部材との間の熱膨張差に起因してクラックが発生することを極めて効果的に抑制することができる。
【0013】
(4)上記半導体製造装置用部品において、前記端子部材の前記第1の部分の中心軸を含む断面において、前記第1の部分の外周面に形成された少なくとも1つの前記凹部内に、前記ろう付け部の一部分が収容されている、ことを特徴とする構成としてもよい。本半導体製造装置用部品によれば、ろう材が不足して端子部材と電極との間の接合強度が低下することを抑制しつつ、ろう付け部における残留応力やセラミックス部材と端子部材との間の熱膨張差に起因してクラックが発生することを抑制することができる。
【0014】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、半導体製造装置用部品、加熱装置、保持装置、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図である。
図2】第1実施形態における加熱装置100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。
図3図2のX1部における加熱装置100のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。
図4】本実施形態の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の構成を示す説明図である。
図5】比較例の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の構成を示す説明図である。
図6】第2実施形態の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の詳細構成を示す説明図である。
図7】第3実施形態の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の詳細構成を示す説明図である。
図8】第4実施形態の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の詳細構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態:
A-1.加熱装置100の構成:
図1は、第1実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態における加熱装置100のXZ断面構成を概略的に示す説明図であり、図3は、図2のX1部における加熱装置100のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、加熱装置100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。他の図についても同様である。
【0017】
加熱装置100は、対象物(例えば、半導体ウェハW)を保持しつつ所定の処理温度(例えば、400~800℃程度)に加熱する装置であり、サセプタとも呼ばれる。加熱装置100は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置を構成する半導体製造装用部品として使用される。
【0018】
図1および図2に示すように、加熱装置100は、保持部材10と支持部材20とを備える。
【0019】
保持部材10は、Z軸方向(上下方向)に略直交する一の表面(以下、「保持面」という)S1と、保持面S1とは反対側の表面(以下、「裏面」という)S2とを有する略円板状の部材である。保持部材10は、例えばAlN(窒化アルミニウム)やAl(アルミナ)を主成分とするセラミックスにより構成されている。なお、本明細書では、主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。保持部材10の直径は、例えば100mm以上、500mm以下程度であり、保持部材10の厚さ(Z軸方向における寸法)は、例えば3mm以上、30mm以下程度である。保持部材10は、特許請求の範囲におけるセラミックス部材に相当する。
【0020】
図2および図3に示すように、保持部材10の裏面S2には、後述する一対の端子部材70や一対の受電電極53に対応する一対の凹部12が形成されている。各凹部12のZ軸方向に直交する断面(XY断面)の形状は、略円形である。
【0021】
支持部材20は、Z略方向に延びる略円管状の部材である。支持部材20は、保持部材10と同様に、例えばAlNやAlを主成分とするセラミックスにより構成されている。支持部材20の外径は、例えば30mm以上、90mm以下程度であり、支持部材20の高さ(Z軸方向における寸法)は、例えば100mm以上、300mm以下程度である。
【0022】
図2に示すように、支持部材20には、支持部材20の上面S3から下面S4までZ軸方向に延びる貫通孔22が形成されている。貫通孔22のZ軸方向に直交する断面(XY断面)の形状は、略円形である。
【0023】
図2に示すように、保持部材10と支持部材20とは、保持部材10の裏面S2と支持部材20の上面S3とがZ軸方向に互いに対向するように、かつ、保持部材10と支持部材20とが互いに略同軸となるように配置されており、公知の接合材料により形成された接合部30を介して互いに接合されている。
【0024】
図2に示すように、保持部材10の内部には、保持部材10を加熱するヒータとしての抵抗発熱体50が配置されている。抵抗発熱体50は、例えば、Z軸方向視で略螺旋状に延びるパターンを構成している。抵抗発熱体50は、例えば、タングステンやモリブデン等の導電性材料により形成されている。
【0025】
また、図2および図3に示すように、保持部材10には、一対の受電電極53が配置されている。各受電電極53は、例えば、Z軸方向視で略円形の板状部材である。各受電電極53は、例えば、タングステンやモリブデン等の金属により形成されている。受電電極53は、特許請求の範囲における電極に相当する。
【0026】
一対の受電電極53の内の一方は、保持部材10の裏面S2に形成された一対の凹部12の内の一方の底面に露出しており、かつ、略螺旋状パターンを構成する抵抗発熱体50の一端付近の下面に接触することによって抵抗発熱体50と電気的に接続されている。また、一対の受電電極53の内の他方は、保持部材10の裏面S2に形成された一対の凹部12の内の他方の底面に露出しており、かつ、抵抗発熱体50の他端付近の下面に接触することによって抵抗発熱体50と電気的に接続されている。
【0027】
また、図2および図3に示すように、支持部材20に形成された貫通孔22内には、一対の端子部材70が収容されている。各端子部材70は、略円柱状の部材である。各端子部材70は、例えば、ニッケルやチタン等の導電性材料により形成されている。
【0028】
一対の端子部材70の内の一方における上端部分は、保持部材10の裏面S2に形成された一対の凹部12の内の一方に収容されており、該凹部12の底面に露出した受電電極53と、ろう付け部56によって接合されている。また、一対の端子部材70の内の他方における上端部分は、保持部材10の裏面S2に形成された一対の凹部12の内の他方に収容されており、該凹部12の底面に露出した受電電極53と、ろう付け部56によって接合されている。各ろう付け部56は、例えば、Ni合金(Ni-Cr系合金等)、Au合金(Au-Ni系合金等)、純Auといった金属ろう材を用いて形成されている。端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の構成については、後に詳述する。
【0029】
このような構成の加熱装置100において、図示しない電源から各端子部材70および各受電電極53を介して抵抗発熱体50に電圧が印加されると、抵抗発熱体50が発熱し、これにより、保持部材10の保持面S1上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハW)が所定の温度(例えば、400~650℃程度)に加熱される。
【0030】
A-2.端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の詳細構成:
上述したように、各端子部材70の上端部分は、保持部材10の裏面S2に形成された各凹部12内に収容されている。以下、各端子部材70における凹部12内に収容された柱状部分を、凹部内部分71という。上述したように、各端子部材70の凹部内部分71は、ろう付け部56によって受電電極53に接合されている。端子部材70の凹部内部分71は、特許請求の範囲における第1の部分に相当する。
【0031】
図3に示すように、本実施形態では、各端子部材70の凹部内部分71は、開口側部分74と、底面側部分72と、中間部分73とから構成されている。開口側部分74は、保持部材10の裏面S2に形成された凹部12の開口13に近い柱状部分である。また、底面側部分72は、開口側部分74に対して凹部12の底面側(本実施形態では上側)に位置する柱状部分である。また、中間部分73は、開口側部分74と底面側部分72との間に位置する柱状部分である。底面側部分72の長さ(Z軸方向における寸法)は、例えば、2mm以上であることが好ましい。また、中間部分73の長さ(Z軸方向における寸法)は、例えば、2mm以上であることが好ましい。
【0032】
本実施形態では、底面側部分72の径D2の最大値は、開口側部分74の径D4より小さく、また、中間部分73の径D3は、底面側部分72の径D2の最小値より小さい。なお、開口側部分74の径D4は、例えば、3.5mm以上、5mm以下である。また、開口側部分74の径D4と底面側部分72の径D2の最大値との差は、例えば、0.2mm以上であることが好ましい。また、底面側部分72の径D2の最大値と中間部分73の径D3との差は、例えば、0.3mm以上であることが好ましい。
【0033】
また、図3に示すように、本実施形態では、各端子部材70の凹部内部分71を構成する各部分の内、開口側部分74および中間部分73の外周面には凹凸が形成されていない。一方、底面側部分72の外周面には、溝が形成されている。この溝は、互いに独立した複数の溝であってもよいし、螺旋状に延びる1本の溝であってもよい。そのため、端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面(例えば、図3に示す断面)において、底面側部分72の外周面には、上記中心軸CL方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部78および複数の凹部79が形成されている。
【0034】
また、図3に示すように、本実施形態では、各端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面(例えば、図3に示す断面)において、底面側部分72の外周面に形成された少なくとも1つの凹部79内に、ろう付け部56の一部分が収容されている。図3に示す例では、底面側部分72の外周面に形成された複数の凹部79の内、受電電極53側(上側)に位置する2つの凹部79内に、ろう付け部56の一部分が収容されている。
【0035】
A-3.加熱装置100の製造方法:
本実施形態の加熱装置100の製造方法は、例えば以下の通りである。はじめに、保持部材10と支持部材20とを作製する。
【0036】
保持部材10は、例えば、窒化アルミニウム粉末に、必要に応じて適量の酸化イットリウム粉末が添加された混合原料粉末を成形した成形体を、ホットプレス焼成することにより作製することができる。なお、保持部材10の内部に抵抗発熱体50を形成するために、例えば、メッシュ金属や金属箔からなる抵抗発熱体50、または、抵抗発熱体50の材料である金属粉末が、上記混合原料粉末に挟み込まれる。同様に、保持部材10に受電電極53を形成するために、例えば、金属板からなる受電電極53、または、受電電極53の材料である金属粉末が、抵抗発熱体50に接続された状態で上記混合原料粉末に挟み込まれる。この状態で全体をホットプレス焼成することにより、抵抗発熱体50と受電電極53とが配置された保持部材10を作製することができる。
【0037】
また、保持部材10の裏面S2の凹部12は、例えば、上述したホットプレス焼成後に、研削工具を用いた研削加工を行うことにより形成される。この研削加工は、受電電極53が露出するまで行われる。なお、受電電極53の厚さを抵抗発熱体50より厚くして、凹部12の形成のための研削加工の際に研削工具によって多少研削されても、受電電極53に割れなどの破損が生じないようにすることが好ましい。
【0038】
また、支持部材20は、例えば、窒化アルミニウム粉末に、必要に応じて適量の酸化イットリウム粉末、バインダ、分散剤および可塑剤を加えた混合物にメタノール等の有機溶剤を加え、ボールミルにて混合してスラリーを得、このスラリーをスプレードライヤーにて顆粒化することによって原料粉末を作製し、該原料粉末をゴム型に充填して冷間静水圧プレスを行うことにより成形体を得、得られた成形体を脱脂した後で焼成することにより作製することができる。
【0039】
次に、保持部材10と支持部材20とを接合する。保持部材10の裏面S2および支持部材20の上面S3に対して必要によりラッピング加工を行った後、保持部材10の裏面S2と支持部材20の上面S3との少なくとも一方に、例えば希土類や有機溶剤等を混合してペースト状にした公知の接合剤を均一に塗布した後、脱脂処理する。次いで、保持部材10の裏面S2と支持部材20の上面S3とを重ね合わせ、荷重を掛けながら常圧焼成を行うことにより、保持部材10と支持部材20とを接合する接合部30を形成する。
【0040】
次に、支持部材20の貫通孔22内に端子部材70を挿入し、端子部材70の上端部分(凹部内部分71の底面側部分72)を受電電極53にろう付けして、ろう付け部56を形成する。以上の製造方法により、上述した構成の加熱装置100が製造される。
【0041】
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の加熱装置100は、凹部12が形成された保持部材10と、凹部12の底面に露出した受電電極53と、凹部12内に収容された柱状の凹部内部分71を有する金属製の端子部材70と、受電電極53と端子部材70の凹部内部分71とを接合するろう付け部56とを備える。また、本実施形態の加熱装置100では、端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面(例えば、図3に示す断面)において、凹部内部分71の外周面(より詳細には、凹部内部分71の底面側部分72の外周面)に、中心軸CL方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部78および複数の凹部79が形成されている。本実施形態の加熱装置100は、このような構成であるため、以下に詳述するように、端子部材70と受電電極53との間の接合強度が低下することを抑制しつつ、ろう付け部56における残留応力を効果的に低減することができ、該残留応力に起因する保持部材10のクラックの発生を効果的に抑制することができる。
【0042】
図4は、本実施形態の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の構成を示す説明図である。図4のA欄には、端子部材70と受電電極53とをろう付けにより接合する際のろう材の量が適正であった場合の構成が示されており、図4のB欄には、上記ろう材の量が適正量より僅かに多かった場合の構成が示されており、図4のC欄には、上記ろう材の量が適正量より大幅に多かった場合の構成が示されている。
【0043】
また、図5は、比較例の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の構成を示す説明図である。図4と同様に、図5のA欄には、端子部材70と受電電極53とをろう付けにより接合する際のろう材の量が適正であった場合の構成が示されており、図5のB欄には、上記ろう材の量が適正量より僅かに多かった場合の構成が示されており、図5のC欄には、上記ろう材の量が適正量より大幅に多かった場合の構成が示されている。図5に示す比較例の加熱装置100は、端子部材70における凹部内部分71(凹部12内に収容された部分)が、開口側部分74と底面側部分72とから構成されており、かつ、凹部内部分71の外周面に凸部78や凹部79が形成されていない点が、第1実施形態の加熱装置100とは異なる。
【0044】
ここで、端子部材70と受電電極53とのろう付け接合の際には、ろう材不足による接合強度の低下を回避するために、ろう材の適正量として、両部材の接合面間の領域を充填できる量より多めの量が設定される。そのため、端子部材70と受電電極53とのろう付け接合の際には、ろう材が、両部材の接合面間の領域より外周側に流れ出て、この流れ出たろう材が表面張力によって両部材の表面に沿って進み、該表面上に溜まった状態で凝固する。その結果、ろう付け部56には、両部材の接合面間の領域を外周側から取り囲むフィレットFが形成される。ろう材は冷却固化する際に収縮するため、フィレットFの形状が適切ではないと、具体的には、受電電極53の表面とフィレットFの傾斜面とのなす角(以下、「特定角θ」という)が大きいと、ろう付け部56における残留応力が大きくなる。ろう付け部56における残留応力は、保持部材10のクラック発生の原因となるため、小さい方が好ましい。
【0045】
図5に示す比較例の加熱装置100では、端子部材70の凹部内部分71の外周面に、凸部78や凹部79が形成されていないため、端子部材70の凹部内部分71の表面積が比較的小さい。すなわち、端子部材70の凹部内部分71の外周面は、あまり多くのろう材を保持(収容)することができない。そのため、端子部材70と受電電極53とのろう付け接合の際に、ろう材が端子部材70の凹部内部分71の外周面に沿って比較的長い距離を移動し、その結果、フィレットFの特定角θが比較的大きくなって、ろう付け部56における残留応力が比較大きくなる。従って、比較例の加熱装置100では、ろう付け部56における残留応力に起因して保持部材10にクラックが発生するおそれがある。特に、図5のB欄やC欄に示すように、ろう材の量が適正量より多かった場合に、フィレットFの特定角θが非常に大きくなり、ろう付け部56における残留応力に起因して保持部材10にクラックが発生するおそれが高くなる。
【0046】
これに対し、本実施形態の加熱装置100では、端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面(例えば、図3に示す断面)において、凹部内部分71の外周面に、中心軸CL方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部78および複数の凹部79が形成されているため、端子部材70の凹部内部分71の表面積が比較的大きい。すなわち、端子部材70の凹部内部分71の外周面は、比較的多くのろう材を保持する(収容する)ことができる。そのため、端子部材70と受電電極53とのろう付け接合の際に、ろう材が端子部材70の外周面に沿って比較的長い距離を移動することを回避することができ、その結果、フィレットFの特定角θが比較的小さくなって、ろう付け部56における残留応力が比較小さくなる。なお、図4のB欄やC欄に示すように、ろう材の量が適正量より多い場合であっても、端子部材70の凹部内部分71の外周面が過剰なろう材を保持することによって、ろう材が端子部材70の外周面に沿って比較的長い距離を移動することを回避することができ、フィレットFの形状を適正に保つことができる。従って、本実施形態の加熱装置100によれば、ろう付け部56における残留応力を効果的に低減することができ、ろう付け部56における残留応力に起因して保持部材10にクラックが発生することを効果的に抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の加熱装置100によれば、端子部材70の凹部内部分71の表面積を比較的大きくすることができるため、過剰なろう材が保持部材10の凹部12の側面と端子部材70の開口側部分74との間の隙間に進入して(這い上がって)両者が接合されることを抑制することができ、保持部材10と端子部材70との間の熱膨張差に起因してクラックが発生することを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態の加熱装置100では、端子部材70の凹部内部分71は、柱状の開口側部分74と、開口側部分74に対して凹部12の底面側に位置し、開口側部分74より径の小さい柱状の底面側部分72とを有し、端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面において、複数の凸部78および複数の凹部79は底面側部分72の外周面に形成されている。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、保持部材10に形成された凹部12の側面と端子部材70の凹部内部分71との間に大きな空間が確保されるため、ろう材が大幅に過剰であっても、ろう材が端子部材70の外周面に沿って比較的長い距離を移動することを回避することができ、ろう付け部56のフィレットFを適正な形状とすることができ、ろう付け部56における残留応力に起因して保持部材10にクラックが発生することを効果的に抑制することができる。また、本実施形態の加熱装置100によれば、保持部材10に形成された凹部12の側面と端子部材70の凹部内部分71との間に大きな空間が確保されるため、ろう材が大幅に過剰であっても、ろう材が保持部材10の凹部12の側面と端子部材70の開口側部分74との間の隙間に進入して(這い上がって)両者が接合されることを効果的に抑制することができ、保持部材10と端子部材70との間の熱膨張差に起因してクラックが発生することを効果的に抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態の加熱装置100では、端子部材70の凹部内部分71が、開口側部分74と底面側部分72との間に位置し、底面側部分72の最小径より径の小さい柱状の中間部分73を有する。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、保持部材10に形成された凹部12の側面と端子部材70の凹部内部分71との間にさらに大きな空間が確保されるため、ろう材が大幅に過剰であっても、ろう材が端子部材70の外周面に沿って比較的長い距離を移動することを回避することができ、ろう付け部56のフィレットFを適正な形状とすることができ、ろう付け部56における残留応力に起因して保持部材10にクラックが発生することを極めて効果的に抑制することができる。また、本実施形態の加熱装置100によれば、保持部材10に形成された凹部12の側面と端子部材70の凹部内部分71との間にさらに大きな空間が確保されるため、ろう材が大幅に過剰であっても、ろう材が保持部材10の凹部12の側面と端子部材70の開口側部分74との間の隙間に進入して(這い上がって)両者が接合されることを極めて効果的に抑制することができ、保持部材10と端子部材70との間の熱膨張差に起因してクラックが発生することを極めて効果的に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態の加熱装置100では、端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面において、凹部内部分71の外周面に形成された少なくとも1つの凹部79内に、ろう付け部56の一部分が収容されている。この構成は、端子部材70と受電電極53とのろう付け接合の際のろう材の量が、両部材の接合面間の領域を充填できる量より多めに設定されており、かつ、過剰なろう材が端子部材70の凹部内部分71の外周面に形成された凹部79内に適切に収容されていることを意味する。そのため、本実施形態の加熱装置100によれば、ろう材が不足して端子部材70と受電電極53との間の接合強度が低下することを抑制しつつ、ろう付け部56における残留応力や保持部材10と端子部材70との間の熱膨張差に起因してクラックが発生することを抑制することができる。
【0051】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の詳細構成を示す説明図である。図6には、図3に示された第1実施形態の加熱装置100のXZ断面構成に対応する第2実施形態の加熱装置100のXZ断面構成が示されている。以下では、第2実施形態の加熱装置100の構成の内、上述した第1実施形態の加熱装置100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0052】
図6に示すように、第2実施形態の加熱装置100は、主として、端子部材70の凹部内部分71を構成する底面側部分72aの構成が、第1実施形態の加熱装置100と異なっている。具体的には、第2実施形態の加熱装置100では、底面側部分72aは、端子部材70の外周面にワイヤ75が巻き付けられて固定された構成を有している。このワイヤ75は、互いに独立した複数のワイヤであってもよいし、略螺旋状に延びる1本のワイヤであってもよい。そのため、端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面(例えば、図6に示す断面)において、凹部内部分71の底面側部分72aの外周面には、上記中心軸CL方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部78(すなわち、ワイヤ75が存在する部分)および複数の凹部79(すなわち、ワイヤ75が存在しない部分)が形成されている。
【0053】
このように、第2実施形態の加熱装置100では、上述した第1実施形態の加熱装置100と同様に、端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面において、凹部内部分71の外周面(より詳細には、凹部内部分71の底面側部分72aの外周面)に、中心軸CL方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部78および複数の凹部79が形成されている。そのため、第2実施形態の加熱装置100によれば、上述した第1実施形態の加熱装置100と同様に、端子部材70と受電電極53との間の接合強度が低下することを抑制しつつ、ろう付け部56における残留応力を効果的に低減することができ、該残留応力に起因する保持部材10のクラックの発生を効果的に抑制することができる。
【0054】
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の詳細構成を示す説明図である。図7には、図3に示された第1実施形態の加熱装置100のXZ断面構成に対応する第2実施形態の加熱装置100のXZ断面構成が示されている。以下では、第3実施形態の加熱装置100の構成の内、上述した第1実施形態の加熱装置100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0055】
図7に示すように、第3実施形態の加熱装置100は、主として、端子部材70の凹部内部分71bの構成が、第1実施形態の加熱装置100と異なっている。具体的には、第3実施形態の加熱装置100では、端子部材70の凹部内部分71bが、開口側部分74と底面側部分72bから構成されている。第3実施形態では、底面側部分72bの径D2は、開口側部分74の径D4と略同一である。なお、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、底面側部分72bの外周面に溝が形成されており、その結果、端子部材70の凹部内部分71bの中心軸CLを含む断面(例えば、図7に示す断面)において、底面側部分72bの外周面に、上記中心軸CL方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部78および複数の凹部79が形成されている。
【0056】
このように、第3実施形態の加熱装置100では、上述した第1実施形態の加熱装置100と同様に、端子部材70の凹部内部分71bの中心軸CLを含む断面において、凹部内部分71bの外周面(より詳細には、凹部内部分71bの底面側部分72bの外周面)に、中心軸CL方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部78および複数の凹部79が形成されている。そのため、第3実施形態の加熱装置100によれば、上述した第1実施形態の加熱装置100と同様に、端子部材70と受電電極53との間の接合強度が低下することを抑制しつつ、ろう付け部56における残留応力を効果的に低減することができ、該残留応力に起因する保持部材10のクラックの発生を効果的に抑制することができる。
【0057】
D.第4実施形態:
図8は、第4実施形態の加熱装置100における端子部材70と受電電極53との接合箇所付近の詳細構成を示す説明図である。図8には、図3に示された第1実施形態の加熱装置100のXZ断面構成に対応する第4実施形態の加熱装置100のXZ断面構成が示されている。以下では、第4実施形態の加熱装置100の構成の内、上述した第1実施形態の加熱装置100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0058】
図8に示すように、第4実施形態の加熱装置100は、主として、端子部材70と受電電極53との間に緩衝部材(第1の緩衝部材81および第2の緩衝部材82)が配置されている点が、第1実施形態の加熱装置100と異なっている。具体的には、第4実施形態の加熱装置100では、受電電極53の下側に第1の緩衝部材81が配置され、第1の緩衝部材81の下側に第2の緩衝部材82が配置され、第2の緩衝部材82の下側に端子部材70(端子部材70の底面側部分72)が配置されている。
【0059】
第1の緩衝部材81および第2の緩衝部材82は、Z軸方向視で略円形の板状部材であり、例えば、タングステンやモリブデン、コバール等の金属により形成されている。ただし、第1の緩衝部材81および第2の緩衝部材82は、端子部材70と受電電極53との熱膨張差を緩和するために配置されるものである。そのため、第1の緩衝部材81の形成材料としては、受電電極53の形成材料と同じ材料、または、受電電極53の熱膨張係数と第2の緩衝部材82の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する材料が用いられ、また、第2の緩衝部材82の材料としては、第1の緩衝部材81の熱膨張係数と端子部材70の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する材料が用いられる。なお、第4実施形態でも、第1の緩衝部材81および第2の緩衝部材82を挟みつつ、端子部材70と受電電極53とがろう付け部56により接合されている。
【0060】
このように、第4実施形態では、端子部材70と受電電極53との間に第1の緩衝部材81および第2の緩衝部材82が配置されている点が異なるものの、第1実施形態と同様に、端子部材70の凹部内部分71を構成する底面側部分72の外周面に溝が形成されており、その結果、端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面(例えば、図8に示す断面)において、凹部内部分71の外周面(より詳細には、凹部内部分71の底面側部分72の外周面)に、上記中心軸CL方向に沿って交互に並ぶ複数の凸部78および複数の凹部79が形成されている。そのため、第4実施形態の加熱装置100によれば、上述した第1実施形態の加熱装置100と同様に、端子部材70と受電電極53との間の接合強度が低下することを抑制しつつ、ろう付け部56における残留応力を効果的に低減することができ、該残留応力に起因する保持部材10のクラックの発生を効果的に抑制することができる。また、第4実施形態の加熱装置100によれば、端子部材70と受電電極53との熱膨張差に起因して、保持部材10等にクラックが発生することを抑制することができる。
【0061】
E.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0062】
上記実施形態における加熱装置100の構成は、あくまで例示であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、抵抗発熱体50と受電電極53とが接触することにより電気的に接続されているが、両者が他の導電性部材(例えば、ビア)を介して電気的に接続されているとしてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態では、各端子部材70の凹部内部分71の中心軸CLを含む断面において、底面側部分72の外周面に形成された少なくとも1つの凹部79内に、ろう付け部56の一部分が収容されているとしているが、必ずしも凹部79内にろう付け部56の一部分が収容されている必要はない。
【0064】
また、上記第1,2,4実施形態では、端子部材70の凹部内部分71が、開口側部分74と底面側部分72と中間部分73とから構成されているが、凹部内部分71が、開口側部分74と底面側部分72とから構成されており、中間部分73が存在しないとしてもよい。また、上記第1,2,4実施形態では、底面側部分72の径D2が開口側部分74の径D4より小さいとしているが、底面側部分72の径D2が開口側部分74の径D4と略同一であるとしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、各端子部材70が、1つの部材として構成されているが、各端子部材70が、上下方向に並ぶと共に、ネジやかしめ等により互いに接続された複数の部材から構成されているとしてもよい。その場合においても、各端子部材70を構成する複数の部材の内、保持部材10の凹部12の底面に露出した受電電極53と接合される部材が、特許請求の範囲における端子部材に相当する。また、その場合において、各端子部材70を構成する複数の部材の内、受電電極53と接合される部材は、その一部分のみが保持部材10の凹部12内に収容されていてもよいし、その全体が保持部材10の凹部12内に収容されていてもよい。いずれの場合も、保持部材10の凹部12内に収容された部分が、特許請求の範囲における第1の部分に相当する。
【0066】
また、上記実施形態の加熱装置100を構成する各部材の形状や個数、形成材料等は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
【0067】
また、上記実施形態における加熱装置100の製造方法はあくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、保持部材10がホットプレス焼成により作製されるとしているが、保持部材10がセラミックスグリーンシートの積層体を焼成することにより作製されるとしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、加熱装置100が備える抵抗発熱体50に電気的に接続された受電電極53と端子部材70との接合箇所の構成について詳細に説明したが、本明細書に開示された技術は、凹部が形成されたセラミックス部材と、該凹部の底面に露出した電極と、該凹部内に収容された柱状の第1の部分を有する金属製の端子部材と、該電極と該端子部材の第1の部分とを接合するろう付け部とを備える半導体製造装置用部品にも同様に適用することができる。例えば、本明細書に開示された技術は、半導体製造装置用部品である静電チャックを構成するセラミックス部材のチャック電極に電気的に接続された電極と端子部材との接合箇所についても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
10:保持部材 12:凹部 13:開口 20:支持部材 22:貫通孔 30:接合部 50:抵抗発熱体 53:受電電極 56:ろう付け部 70:端子部材 71:凹部内部分 72:底面側部分 73:中間部分 74:開口側部分 75:ワイヤ 78:凸部 79:凹部 81:第1の緩衝部材 82:第2の緩衝部材 100:加熱装置 CL:中心軸 F:フィレット S1:保持面 S2:裏面 S3:上面 S4:下面 W:半導体ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8