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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】食品用包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/28 20060101AFI20220812BHJP
   B65D 85/36 20060101ALI20220812BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B65D30/28 Q
B65D85/36 100
B65D85/50 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018109018
(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公開番号】P2018184217
(43)【公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 由佳
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-191038(JP,A)
【文献】特開平09-012039(JP,A)
【文献】特開2013-230864(JP,A)
【文献】特開2008-100716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/28
B65D 85/50
B65D 85/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わされ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備える食品用包装袋において、
前記袋本体は、前記開口部の角部に切欠部を備え、
該切欠部は、
該切欠部によって形成される前記側部接合部の端点を始点とする第1の外形線であって、前記袋本体の一端側に近づくように傾斜し、かつ、前記側部接合部の前記端点における第1の外形線の接線と前記側部接合部の前記端点における前記袋本体の幅方向の線との交差角が2度以上25度以下となる第1の外形線と、
該第1の外形線の終点を始点とし、前記袋本体の一端側に凹となる第2の外形線であって、該第2の外形線に接する前記袋本体の前記側縁の法線から前記袋本体の他端側に突出する凸部の最大突出量が10mm以下となる第2の外形線と、
該第2の外形線の終点を始点とし、前記袋本体の前記開口部の開口端縁との交点を終点とする第3の外形線であって、前記袋本体の幅方向の中心線に近づくように傾斜し、かつ、第3の外形線の終点から前記中心線までの距離が前記頂部接合部の端点から前記中心線までの距離の150%以上250%以下となる第3の外形線と
を備えて構成される
食品用包装袋。
【請求項2】
前記交差角は、2度以上15度以下である
請求項1に記載の食品用包装袋。
【請求項3】
前記最大突出量は、8mm以下である
請求項1又は請求項2に記載の食品用包装袋。
【請求項4】
前記側部接合部の幅は、1mm以下である
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の食品用包装袋。
【請求項5】
食品を前記袋本体内に収容した状態で該食品の底面からはみ出ることとなる余分なシート片であって、前記食品の前記底面を覆うようにして折り畳まれる前記一対のシートのいずれかのシートのシート片と、まだ折り畳まれないシート片とが重なる部分のうち、前記食品の前記底面の左右の端縁近傍における箇所が接合される
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の食品用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装するための食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
側面形状が三角形状(主として直角三角形状)あるいはこれに類似する形状で、所定の厚みないし幅を有する立体形状に仕上げられたサンドイッチ等の食品を包装するための食品用包装袋は、図9に示す形態のものが一般的であり、新しいものでは、特許文献1に記載されたものが公知である。
【0003】
かかる食品用包装袋1’は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート2’,3’が重ね合わされ、一端側の頂部接合部11’と両側縁の側部接合部12’,12’により三方が封止されて他端側が開口部13’となる袋本体10’を備えるものであり、開口部13’の両角部には、該角部を斜め直線状に切り落とすことで、切欠部14’、14’が形成される。
【0004】
また、食品の生産数量が多いために食品用包装袋を多く必要とする生産者に対しては、図10に示す如く、裏シート3’の他端に、切り離し線30’を介して耳片31’を接続した形態にするとともに、複数の食品用包装袋1’,…をきれいに揃えた状態で、複数の耳片31’,…を適宜の箇所で接合(接合部32’)して、複数の食品用包装袋1’,…を束体にして提供することが一般的である。
【0005】
食品の包装に際しては、耳片31’に形成された挿通孔33’に、図11(a)に示す如く、ピンPを通して、束体を包装装置(図示しない)にセットする。次に、ブロワ(図示しない)で開口部13’から袋本体10’内に所定圧の空気を吹き込み、あるいは、吸引ヘッド(図示しない)で表シート2’の開口部13’側を吸引して持ち上げる等して、開口部13’を開く。そして、この状態で食品Fを袋本体10’内に挿入する。
【0006】
食品Fを袋本体10’内に収容すると、同図(b)に示す如く、食品用包装袋1’を束体から切り離す。なお、食品Fを袋本体10’内に収容すると、開口部13’の開口形状は、長方形状ないし略長方形状となり、また、表シート2’及び裏シート3’の各側部接合部12’に跨った部分が一対の対向する三角形状ないし略三角形状の側面部10A’となり、表シート2’の中間部分が長方形状ないし略長方形状の正面部10B’となり、裏シート3’の中間部分が長方形状ないし略長方形状の背面部10C’となる。
【0007】
食品Fを袋本体10’に収容した後、同図(c)に示す如く、例えば、まず始めに、開口部13’の余分なシート片(食品の底面からはみ出るシート片)のうち、裏シート3’のシート片を食品Fの底面を覆うようにして折り畳み、次に、図12(a)に示す如く、左右の一方のシート片を、先に折り畳んだ裏シート3’の上に重なるようにして折り畳み、次に、同図(b)に示す如く、左右の他方のシート片を、同じく先に折り畳んだ裏シート3’の上に重なるようにして折り畳み、次に、残った表シート2’のシート片を、先に折り畳んだ左右のシート片の上に重なるようにして折り畳む。
【0008】
そして、開口部13’の余分なシート片を折り畳んで食品用包装袋1’の開口部13’を閉塞した後、同図(d)に示す如く、ラベル又はテープ4’を貼着して開口部13’を封止する。これにより、食品包装体が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-171326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の食品用包装袋においては、開口部13’を開く際や開口部13’を開いている間、表シート2’の開口部13’側が持ち上がることにより、表シート2’に上向きの力が加わることで、図13に示す如く、表シート2’と裏シート3’の境界である側部接合部12’のうち、とりわけ端点12a’に引張力Tが作用する。側部接合部12’は、通常、溶断シールであるため、線状シールであり、接合強度は高くない。したがって、側部接合部12’の端点12a’に引張力Tが作用すると、そこから側部接合部12’が剥離して、開裂が発生するという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、開口部を開いても側部接合部に開裂が生じにくい食品用包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る食品用包装袋は、
一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わされ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備える食品用包装袋において、
袋本体は、開口部の角部に切欠部を備え、
切欠部は、
切欠部によって形成される側部接合部の端点を始点とする第1の外形線であって、袋本体の一端側に近づくように傾斜し、かつ、側部接合部の端点における第1の外形線の接線と側部接合部の端点における袋本体の幅方向の線との交差角が2度以上25度以下となる第1の外形線と、
第1の外形線の終点を始点とし、袋本体の一端側に凹となる第2の外形線であって、第2の外形線に接する袋本体の側縁の法線から袋本体の他端側に突出する凸部の最大突出量が10mm以下となる第2の外形線と、
第2の外形線の終点を始点とし、袋本体の開口部の開口端縁との交点を終点とする第3の外形線であって、袋本体の幅方向の中心線に近づくように傾斜し、かつ、第3の外形線の終点から中心線までの距離が頂部接合部の端点から中心線までの距離の150%以上250%以下となる第3の外形線と
を備えて構成される。
また、本発明に係る食品用包装袋の一態様として、交差角は、2度以上15度以下であるとの構成、最大突出量は、8mm以下であるとの構成、又は、側部接合部の幅は、1mm以下であるとの構成を採用することができる。
【0013】
かかる構成によれば、開口部を開く際や開口部を開いている間に開口部に生じる引張力は、主として切欠部の外形線に作用するようになるため、側部接合部の端点には作用しにくくなる。したがって、開口部を開いても、側部接合部の端点には、側部接合部を剥離する力は作用せず、側部接合部の開裂は生じにくい。
【0014】
また、本発明に係る食品用包装袋の他態様として、食品を袋本体内に収容した状態で食品の底面からはみ出ることとなる余分なシート片であって、食品の底面を覆うようにして折り畳まれる一対のシートのいずれかのシートのシート片と、まだ折り畳まれないシート片とが重なる部分のうち、食品の底面の左右の端縁近傍における箇所が接合される、との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、本発明に係る食品用包装袋によれば、切欠部の外形線を上記の形状とすることで、開口部を開く際や開口部を開いている間に開口部に生じる引張力が側部接合部の端点に作用しにくくなるため、開口部を開いた際に側部接合部に開裂が生じるのを好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
図2図2は、同食品用包装袋の正面図である。
図3図3は、同食品用包装袋の背面図である。
図4図4(a)及び(b)は、同食品用包装袋の開口部の角部に形成された切欠部の拡大図であり、図4(c)は、同食品用包装袋のヘッダ部及び開口部の拡大図である。
図5図5は、同食品用包装袋の開口部を開いた状態の切欠部の拡大図である。
図6図6(a)ないし(i)は、同食品用包装袋の開口部を開いた状態の切欠部の拡大図であって、それぞれ切欠部の第1の外形線の角度が異なるものを示す。
図7図7(a)ないし(c)は、同食品用包装袋の開口部における裏シートのシート片を折り畳んだ状態の斜視図である。
図8図8(a)ないし(c)は、それぞれ他実施形態に係る食品用包装袋の開口部の拡大図である。
図9図9は、従来の食品用包装袋の正面図である。
図10図10は、同食品用包装袋を複数束ねて構成した束体の斜視図である。
図11図11(a)ないし(c)は、同食品用包装袋を用いて食品を包装する過程の説明図である。
図12図12(a)ないし(d)は、図11の続きの説明図である。
図13図13は、同食品用包装袋の開口部を開いた状態の切欠部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る食品用包装袋の一実施形態として、サンドイッチの包装に用いられる食品用包装袋について、図1ないし図7を参酌して説明する。
【0018】
図1ないし図3に示す如く、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート(表シート2、裏シート3)が重ね合わされ、一端側の頂部接合部11と両側縁の側部接合部12,12により三方が封止されて他端側が開口部13となる袋本体10と、一対のシート2,3のうち、頂部接合部11から突出する一対の突出片で構成されるヘッダ部17とを備える。
【0019】
表シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、一端側から他端側に向かって漸次幅広となる形状の胴部20と、胴部20の一端から延びる幅狭の先端部21(上記突出片となる)とを備えて構成される。
【0020】
裏シート3も、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、一端側から他端側に向かって漸次幅広となる形状の胴部30と、胴部30の一端から延びる幅狭の先端部31(上記突出片となる)とを備えて構成される。
【0021】
本実施形態においては、胴部20,30は、台形状ないし略台形状であり、先端部21,31は、矩形状ないし略矩形状である。そのため、胴部20,30の一端(及びこれに一致する先端部21,31の他端)は、一端側から他端側に向かう方向(以下、「長手方向」という。」に対して直交する直線状であり、言い換えれば、長手方向と直交する方向(以下、「幅方向」という。)と平行な直線状であり、胴部20,30の両側縁は、長手方向に対して傾斜する直線状であり、先端部21,31の両側縁は、長手方向と平行な直線状である。ただし、胴部20,30の両側縁の他端側は、切欠部14によって欠如しており、胴部20,30の他端側は、切欠部14の分だけ幅狭とされる。
【0022】
頂部接合部11は、胴部20,30の一端に沿って表シート2及び裏シート3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、胴部20,30の側縁(斜辺)及び先端部21,31の側縁(縦辺)をヒートシールすることにより形成される。ただし、頂部接合部11は、例えばヒートシールバーを用いた溶着により形成されることにより、長手方向に所定の幅を有する帯状シールとなっているのに対し、側部接合部12は、溶断により形成されることにより、線シールとなっている。具体的には、頂部接合部11は、数ミリ以上の幅を有するのに対し、側部接合部12の幅は、1mm以下である。
【0023】
このようにして構成された袋本体10の内部が食品の収容部となるが、袋本体10における表フィルム2の内面には、内シート4が貼着される。内シート4は、例えば他端部が二箇所でポイントシール等により接合され(接合部22)、一端側が自由端となっている。これにより、収容部内で食品が動いたとしても、内シート4が食品の表面に密着してその動きに追従するため、表シート2が汚れることがなく、外観が損なわれることがない。
【0024】
ヘッダ部17における裏シート3の内面には、切込線32が形成される。切込線32は、全切線、半切線(ハーフカット)、ミシン目等によってU字形、半円形、V字形、X字形、十字形、-字形等に形成され、切込線32の形成によって開封起点としての摘み部33が形成される。そして、摘み部33から裏シート3の他端側にかけて開封案内手段5が設けられる。開封案内手段5は、例えば、裏シート3の内面に貼着されるカットテープや、一対のハーフカットや糸等である。これにより、摘み部33を引き下ろすことにより、開封案内手段5が所定の幅で裏シート3を切断し、開封することができる。
【0025】
開口部13の角部には、切欠部14が形成される。切欠部14は、側部接合部12を除去して、開口部13における表シート2と裏シート3の分離性を高め、開口部13の開口操作を容易にするためのものである。
【0026】
図4に示す如く、切欠部14は、切欠部14によって形成された側部接合部12の端点12aを始点とする第1の外形線14Aと、第1の外形線14Aの終点14aを始点とする第2の外形線14Bと、第2の外形線14Bの終点14bを始点とし、袋本体10の開口端縁(幅方向(長手方向と直交する方向)に沿った開口部13の端縁)13Aとの交点を終点14cとする第3の外形線14Cで構成される。
【0027】
なお、表シート2と裏シート3は、厳密には長手方向の長さが異なっており、裏シート3が若干長い。したがって、表シート2の開口端縁13B(同図(c)参照)よりも裏シート3の開口端縁13Aが突出する形となる。本実施形態においては、長い方の開口端縁である開口端縁13Aとの関係で第3の外形線14Cについて説明する。
【0028】
同図(a)に示す如く、第1の外形線14Aは、側部接合部12の端点12aにおける第1の外形線14Aの接線T1(第1の外形線14Aは直線なので、接線T1は第1の外形線14Aと一致する)と、幅方向(長手方向と直交する方向)に延びる線H1との交差角θ1が鋭角となる線である。交差角θ1は、後述する理由により、2度以上であって、50度以下の範囲に設定される。
【0029】
第2の外形線14Bは、第1の外形線14Aと同様、第1の外形線14Aの終点14aにおける第2の外形線14Bの接線(図示しない)と、幅方向(長手方向と直交する方向)に延びる線(図示しない)との交差角が鋭角となる線である。第3の外形線14Cは、第2の外形線14Bの終点14bにおける第3の外形線14Cの接線T2(第3の外形線14Cは直線なので、接線T2は第3の外形線14Cと一致する)と、幅方向(長手方向と直交する方向)に延びる線H1との交差角θ2が鋭角となる線である。
【0030】
第1の外形線14Aは、上述のとおり、直線である。第2の外形線14Bは、側部接合部12の端点12aを通る幅方向(長手方向と直交する方向)に延びる線H1よりも袋本体10の一端側に凹となる線であり、所定の曲率半径を有する曲線である。第3の外形線14Cは、上述のとおり、直線である。また、第2の外形線14Bは、同図(b)に示す如く、側部接合部12の端点12aを通る袋本体10の側縁の法線P2よりも袋本体10の一端側に凹となる線である。
【0031】
第1の外形線14Aは、第2の外形線14Bに接する袋本体10の側縁の法線P1から第1の外形線14Aまでの最大距離(すなわち、法線P1から最も離れている側部接合部12の端点12aから法線P1までの距離)L1、言い換えれば、法線P1から袋本体10の他端側に突出する凸部15の最大突出量L1、が所定範囲に収まるように設定される。本実施形態においては、最大距離ないし最大突出量L1は、10mm以下、より好ましくは、8mm以下である。
【0032】
同図(c)に示す如く、第3の外形線14Cの傾き(交差角θ2)は、開口端縁13Aの幅W2を規定するものである。後述する理由により、第3の外形線14Cの傾き(交差角θ2)は、左右の一対の第3の外形線14C,14Cの終点14c,14c間の距離(すなわち、開口端縁13Aの幅W2)が、頂部接合部11の端点(側部接合部12との交点)11a,11a間の距離(すなわち、頂部接合部11の幅W1)の130%以上、より好ましくは、150%以上であって、250%以下、より好ましくは230%以下の範囲となるように、設定される。
【0033】
言い換えれば、第3の外形線14Cの傾き(交差角θ2)は、第3の外形線14Cの終点14cから食品用包装袋1の幅方向の中心線CLまでの距離(すなわち、開口端縁13Aの幅W2の1/2)が、頂部接合部11の端点11aから中心線CLまでの距離(すなわち、頂部接合部11の幅W1の1/2)の130%以上、より好ましくは、150%以上であって、250%以下、より好ましくは230%以下の範囲となるように、設定される。
【0034】
本実施形態に係る食品用包装袋は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係る食品用包装袋を用いた食品の包装方法について説明する。概略は、〔背景技術〕欄で説明したとおりである。
【0035】
まず、図11(a)に示す如く、ピンPを通して、本実施形態に係る食品用包装袋を複数束ねて形成した束体を包装装置(図示しない)にセットする。次に、ブロワ(図示しない)で開口部13から袋本体10内に所定圧の空気を吹き込み、あるいは、吸引ヘッド(図示しない)で表シート2の開口部13側を吸引して持ち上げる等して、開口部13を開く。そして、この状態で食品Fを袋本体10内に挿入する。
【0036】
食品Fを袋本体10内に収容すると、同図(b)に示す如く、食品用包装袋1を束体から切り離す。なお、食品Fを袋本体10内に収容すると、開口部13の開口形状は、長方形状ないし略長方形状となり、また、表シート2及び裏シート3の各側部接合部12に跨った部分が一対の対向する三角形状ないし略三角形状の側面部となり、表シート2の中間部分が長方形状ないし略長方形状の正面部となり、裏シート3の中間部分が長方形状ないし略長方形状の背面部となる。
【0037】
食品Fを袋本体10に収容した後、同図(c)に示す如く、まず始めに、開口部13の余分なシート片(食品の底面からはみ出るシート片)のうち、裏シート3のシート片(背面部のシート片)を食品Fの底面を覆うようにして折り畳み、次に、図12(a)に示す如く、左右の一方のシート片(一方の側面部のシート片)を、先に折り畳んだ裏シート3の上に重なるようにして折り畳み、次に、同図(b)に示す如く、左右の他方のシート片(他方の側面部のシート片)を、同じく先に折り畳んだ裏シート3の上に重なるようにして折り畳み、次に、残った表シート2のシート片(正面部のシート片)を、先に折り畳んだ左右のシート片の上に重なるようにして折り畳み、食品用包装袋1の開口部13を閉塞する。
【0038】
ただし、まず、正面部のシート片を折り畳み、次に、側面部のシート片を折り畳み、最後に、背面部のシート片を折り畳むとか、まず、背面部又は正面部の一方のシート片を折り畳み、次に、他方のシート片を折り畳み、最後に、側面部のシート片を折り畳むとか、まず、側面部のシート片を折り畳み、次に、背面部又は正面部の一方のシート片を折り畳み、最後に、他方のシート片を折り畳む等してもよく、四つのシート片を折り畳む順序は特に限定されない。
【0039】
開口部13を閉塞すると、テープを貼着して開口部13を封止する。あるいは、ラベルを貼着したり、フィルム片の折り畳んで重なり合った所定箇所をヒートシール等で接合して、開口部13を封止するようにしてもよい。これにより、食品包装体が完成する。そして、食品包装体は、頂部接合部11、一対の側部接合部12,12、及び封緘された開口部13の閉塞部(底面部)によって気密状態に維持される。このため、外気等が内部に侵入することはなく、包装された食品は、所期の品質が維持される。
【0040】
次に、本実施形態に係る食品用包装袋の特徴について説明する。
【0041】
〔発明が解決しようとする課題〕欄でも説明したとおり、食品を食品用包装袋1内に挿入するに際しては、図11(a)に示す如く、開口部13を開くことで、表シート2に上向きの力が加わり、表シート2と裏シート3に対して引張力Tが発生する。しかし、本実施形態に係る食品用包装袋においては、開口部13の角部の切欠部14の形状が、上述した、第1の外形線14A、第2の外形線14B及び第3の外形線14Cの三つの連続した外形線で構成される。これにより、図5(a)に示す如く、引張力Tは、主として第2の外形線14Bに作用することとなり、側部接合部12の端点12aに作用しにくくなる。このため、本実施形態に係る食品用包装袋によれば、開口部13を開いた際に側部接合部12に開裂が生じるのを好適に防止することができる。
【0042】
ここで、本願出願人は、鋭意研究の結果、第1の外形線14Aの、側部接合部12の端点12aにおける第1の外形線14Aの接線T1と、幅方向(長手方向と直交する方向)に延びる線H1との交差角θ1が、2度(図6(a)参照)以上、好ましくは、4度(同図(b)参照)以上であれば、上記の開裂防止効果が認められることを突き止めている。
【0043】
なお、本実施形態においては、袋本体10の側縁及び側部接合部12は、食品用包装袋1の幅方向の中心線CLに対して約20度で傾斜するため、第1の外形線14Aは、側部接合部12の法線に対して(θ1+約20度)の角度となるものである。
【0044】
他方、交差角θ1が大きければ、上記の開裂防止効果が奏されるが、大きくなり過ぎると、側部接合部12の端点12a付近の切欠部14の外形線によって形成される凸部15(図4(b)参照)の尖り具合が大きくなり過ぎる。このような凸部15は、引張力Tが第2の外形線14Bに作用することにより、袋本体10の内側に折れ曲がりやすくなる。そうすると、食品を挿入する際、この折れ曲がった凸部15が食品に引っかかって、開口形状が崩れ、挿入不良を引き起こす可能性がある。また、折れ曲がった凸部15がシートの内面に当たり、シートに傷が入ることも懸念される。本願出願人は、鋭意研究の結果、交差角θ1が、50度(同図(i)参照)以下、好ましくは、30度(同図(g)参照)以下、より好ましくは、25度(同図(f)参照)以下、さらに好ましくは、20度(同図(e)参照)以下であれば、そのような問題は生じないことを確認している。
【0045】
ただし、交差角θ1が50度以下の場合の凸部15であっても、引張力Tが第2の外形線14Bに作用することにより、袋本体10の内側に折れ曲がるという事象は起こり得る。そこで、袋本体10の内側への突出量が大きくならないよう、上述のとおり、第2の外形線14Bに接する袋本体10の側縁の法線P1から第1の外形線14Aまでの最大距離L1(図4(b))は、10mm以下、より好ましくは、8mm以下とする(尖り具合が大きい凸部15の折れ曲がり角度は、70~90度くらいになり得るが、そうではない凸部15の場合は、その形状上、折れ曲がり角度は大きくはないため、袋本体10の内側への突出量は10mmや8mmといった大きさにはならない。)。
【0046】
このように、本実施形態に係る食品用包装袋によれば、開口部13を開く際や開口部13を開いている間に開口部13に生じる引張力Tが側部接合部12の端点12aに作用しにくくなるため、開口部13を開いた際に側部接合部12に開裂が生じることはなく、また、開口部13には、食品を袋内に挿入する際に食品が引っかかってしまう部位が生じないため、食品の挿入不良が生じることもない。
【0047】
加えて、本実施形態に係る食品用包装袋によれば、切欠部14の形成によって形成される開口部13の開口端縁13Aの幅W2は、頂部接合部11の幅W1の130%以上の幅となっている。頂部接合部11の幅W1は、実質的には食品Fの幅に等しいので、図7(a)に示す如く、裏シート3の余分なシート片(背面部のシート片)を折り畳んだ状態では、シート片は、食品Fの底面を確実に覆うとともに、食品Fの底面からはみ出した部分がまだ折り畳まれていないシート片の内面に広い範囲で重なる。そのため、開口部13は確実に閉塞され、ここから内部に外気、異物等が侵入するのを確実に防止することができる。
【0048】
しかも、折り畳んだ裏シート3のシート片とまだ折り畳んでいないシート片との重なり合わさる部分の面積が広いため、例えば、同図(b)に示す如く、食品Fの底面の左右の端縁近傍における箇所の、端縁に沿った接合(接合部18)や、同図(c)に示す如く、食品Fの底面の左右及び正面の端縁近傍における三方箇所の、端縁に沿った接合(接合部19)を確実に行うことができる領域を確保することができる。これにより、開口部13の閉塞効果をより高めることができる。
【0049】
なお、本発明に係る食品用包装袋は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態においては、袋本体10の側縁及び側部接合部12は、直線状であった。しかし、袋本体10の側縁及び側部接合部12は、外側に膨らむ曲線であったり、内側に凹となる曲線であってもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、切欠部14の第1の外形線14Aは、直線であり、第2の外形線14Bは、曲線であり、第3の外形線14Cは、直線であった。しかし、例えば、第1ないし第3の外形線14A~14Cは、直線、曲線、直線によって構成される線(不連続点を有する曲線)、直線と曲線を適宜組み合わせた線等、各種の形態を採用することができる。
【0052】
また、上記実施形態においては、開口部13の左右の角部のそれぞれに切欠部14が形成されるものであった。しかし、側部接合部12の開裂の問題が左右の側部接合部12の片側だけに生じるものであるのであれば(例えば、開口部13の中心から空気が吹き込まれるのではなく、左右のいずれかに片寄った位置から空気が吹き込まれる等して、開口部13を開く力が左右均等でないような場合とか、表シート2の開口部13側の吸引箇所が左右のいずれかに片寄った位置である場合等)、例えば、図8(a)に示す如く、一方の角部にだけ切欠部14を形成するとか、同図(b)に示す如く、他方の角部には通常の切欠部14’を形成するとか、同図(c)に示す如く、左右の切欠部14の大きさや形状を変えるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、食品はサンドイッチであった。しかし、食品用包装袋に収容できる形であれば、パン、ケーキ、カステラ、おにぎり等の米飯加工食品等、食品の種類は限定されない。
【符号の説明】
【0054】
1…食品用包装袋、10…袋本体、11…頂部接合部、11a…端点、12…側部接合部、12a…端点(第1の外形線の始点)、12b…交点、13…開口部、13A…開口端縁、14…切欠部、14A…第1の外形線、14a…第1の外形線の終点(第2の外形線の始点)、14B…第2の外形線、14b…第2の外形線の終点(第3の外形線の始点)、14C…第3の外形線、14c…第3の外形線の終点、15…凸部、17…ヘッダ部、18,19…接合部、2…表シート、20…胴部、21…先端部、22…接合部、3…裏シート、30…胴部、31…先端部、32…切込線、33…開封起点、4…内シート、5…開封案内手段、F…食品、T…張力、T1,T2…接線、H1…線、θ1,θ2…交差角、P1,P2…法線、L1…最大距離、W1,W2…幅、CL…中心線
図1
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