(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】静電チャック、および、静電チャックの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220812BHJP
B24B 7/00 20060101ALI20220812BHJP
B24B 37/04 20120101ALI20220812BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H01L21/68 R
B24B7/00 Z
B24B37/04
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2018119524
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨永 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 和孝
(72)【発明者】
【氏名】駒津 貴久
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-269313(JP,A)
【文献】特開2007-109827(JP,A)
【文献】国際公開第01/13423(WO,A1)
【文献】特開2003-318251(JP,A)
【文献】特開2002-170871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B24B 7/00
B24B 37/04
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に略垂直な略平面状の第1の表面を有するセラミックス部材と、
前記セラミックス部材に配置され、静電引力を発生させる吸着電極と、
を備え、
前記セラミックス部材の前記第1の表面上に対象物を保持する静電チャックにおいて、
前記セラミックス部材の前記第1の表面における最頂部と最低部との間の前記第1の方向の距離は、0.5μmより長く、
前記セラミックス部材の前記第1の表面の内、前記第1の方向に垂直な第2の方向視で、前記第1の表面の
前記最頂部を通り、かつ、前記第2の方向に平行な仮想直線からの前記第1の方向の距離が0.5μm以内の表面部分の面積を第1の面積とするとき、前記第1の表面の面積に対する前記第1の面積の割合である面積率が70%以上である、
ことを特徴とする静電チャック。
【請求項2】
第1の方向に略垂直な略平面状の第1の表面を有するセラミックス部材と、
前記セラミックス部材に配置され、静電引力を発生させる吸着電極と、
を備え、
前記セラミックス部材の前記第1の表面上に対象物を保持する静電チャックの製造方法において、
前記セラミックス部材を準備する工程と、
前記セラミックス部材の前記第1の表面の表面粗さ(Ra)が0.1μm以上、0.5μm以下になるように、前記第1の表面に対して研磨加工を施す第1の研磨工程と、
前記第1の研磨工程後に、
前記セラミックス部材の前記第1の表面における最頂部と最低部との間の前記第1の方向の距離は、0.5μmより長く、前記セラミックス部材の前記第1の表面の内、前記第1の方向に垂直な第2の方向視で、前記第1の表面の
前記最頂部を通り、かつ、前記第2の方向に平行な仮想直線からの前記第1の方向の距離が0.5μm以内の表面部分の面積を第1の面積とするとき、前記第1の表面の面積に対する前記第1の面積の割合である面積率が70%以上になるように、前記第1の表面に対してラップ研磨加工を施す第2の研磨工程と、
を含む、
ことを特徴とする静電チャックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体を製造する際にウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、所定の方向(以下、「第1の方向」という)に略垂直な略平面状の表面(以下、「吸着面」という)を有するセラミックス部材と、セラミックス部材に配置された吸着電極と、を備えており、吸着電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、セラミックス部材の吸着面にウェハを吸着して保持する。
【0003】
このような静電チャックは、吸着電極への電圧印加の停止後も、ウェハに対する吸着面の吸着力の持続性が要求される用途で使用されることがある。例えば、吸着電極への電圧印加の停止後、ウェハを吸着面に配置した状態でウェハと静電チャックとを一体的に搬送したり、また、その搬送後に、吸着面に配置されたウェハに対して研磨等の加工処理を施したりすることがある。このような場合、吸着電極への電圧印加の停止後、ウェハが吸着面上において容易に移動できるとすると、例えば、ウェハを所定の場所に搬送するための搬送精度や、ウェハに対する加工精度が低下するおそれがある。このため、静電チャックでは、吸着電極への電圧印加の停止後も、吸着面に対するウェハの移動(いわゆる横滑り)を抑制するために、ウェハに対する吸着面の吸着力の持続性が要求されることがある。
【0004】
従来、ウェハに対する吸着面の吸着力を持続させるため、セラミックス部材の吸着面の表面粗さRaが、0.1~1.0[mm]に調整された静電チャックが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、静電チャックにおけるウェハに対する吸着面の吸着力の持続性の更なる向上が要望されており、改良の余地があった。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される静電チャックは、第1の方向に略垂直な略平面状の第1の表面を有するセラミックス部材と、前記セラミックス部材に配置され、静電引力を発生させる吸着電極と、を備え、前記セラミックス部材の前記第1の表面上に対象物を保持する静電チャックにおいて、前記セラミックス部材の前記第1の表面の内、前記第1の方向に垂直な第2の方向視で、前記第1の表面の最頂部を通り、かつ、前記第2の方向に平行な仮想直線からの前記第1の方向の距離が0.5μm以内の表面部分の面積を第1の面積とするとき、前記第1の表面の面積に対する前記第1の面積の割合である面積率が70%以上である。静電チャックは、吸着電極への電圧印加の停止後も、対象物に対する第1の表面の吸着力の持続性が要求される用途で使用されることがある。本願発明者は、第1の表面の面積に対する第1の面積の割合である面積率が70%以上であると、対象物に対する第1の表面の吸着力の持続性が大きく向上することを見出した。これにより、本静電チャックによれば、対象物に対する第1の表面の吸着力の持続性を向上させることができる。
【0010】
(2)本明細書に開示される静電チャックの製造方法は、第1の方向に略垂直な略平面状の第1の表面を有するセラミックス部材と、前記セラミックス部材に配置され、静電引力を発生させる吸着電極と、を備え、前記セラミックス部材の前記第1の表面上に対象物を保持する静電チャックの製造方法において、前記セラミックス部材を準備する工程と、前記セラミックス部材の前記第1の表面の表面粗さ(Ra)が0.1μm以上、0.5μm以下になるように、前記第1の表面に対して研磨加工を施す第1の研磨工程と、前記第1の研磨工程後に、前記セラミックス部材の前記第1の表面の内、前記第1の方向に垂直な第2の方向視で、前記第1の表面の最頂部を通り、かつ、前記第2の方向に平行な仮想直線からの前記第1の方向の距離が0.5μm以内の表面部分の面積を第1の面積とするとき、前記第1の表面の面積に対する前記第1の面積の割合である面積率が70%以上になるように、前記第1の表面に対してラップ研磨加工を施す第2の研磨工程と、を含む。本静電チャックの製造方法によれば、対象物に対する第1の表面の吸着力の持続性を向上させた静電チャックを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。
【
図3】セラミックス部材10の吸着面S1の表面状態を模式的に示す説明図である。
【
図4】本実施形態における静電チャック100の製造方法を示すフローチャートである。
【
図5】各サンプルにおけるウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性に関する評価結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.実施形態:
A-1.静電チャック100の構成:
図1は、本実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、
図2は、本実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
【0013】
セラミックス部材10は、上下方向(Z軸方向)に略垂直な略円形平面状の上面(以下、「吸着面」という)S1を有する板状部材であり、セラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)により形成されている。セラミックス部材10の直径は例えば50mm~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)であり、セラミックス部材10の厚さは例えば0.9mm~1.3mm程度である。セラミックス部材10の吸着面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。また、本明細書では、Z軸方向に垂直な方向を「面方向」という。
【0014】
図2に示すように、セラミックス部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成された一対の吸着電極40が配置されている。上下方向(Z軸方向)視での各吸着電極40の形状は、例えば略半円形である。一対の吸着電極40に電源(図示しない)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によって対象物(例えばウェハW)がセラミックス部材10の吸着面S1に吸着固定される。
【0015】
また、セラミックス部材10における吸着面S1とは反対側の下面S2側には、一対の接続端子22と固定用電極50とが配置されている。一対の接続端子22は、セラミックス部材10に埋設されており、各接続端子22の上端部は、各吸着電極40の下面に電気的に接続されており、各接続端子22の下端部は、セラミックス部材10の下面S2から外部に露出している。固定用電極50は、セラミックス部材10の下面S2のうち、接続端子22の下端部および該下端部の周囲部分を避けるように配置された平板状の電極である。すなわち、接続端子22と固定用電極50とは、互いに離間するように配置されている。
【0016】
静電チャック100は、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内に配置されたプロセス用基台(図示せず)上に配置されると、プロセス用基台から発生する静電引力により、セラミックス部材10に配置された固定用電極50が電気的に吸着されることにより、静電チャック100がプロセス用基台上に固定される。また、静電チャック100がプロセス用基台上に固定されると、静電チャック100に備えられた一対の吸着電極40が、一対の接続端子22を介して、プロセス用基台に設けられた電源(図示せず)に電気的に接続される。これにより、一対の吸着電極40に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、ウェハWが吸着面S1に電気的に吸着され保持される。また、静電チャック100は、搬送アーム(図示しない)に保持されることにより、セラミックス部材10の吸着面S1上にウェハWが配置された状態で、プロセス用基台から別の場所への搬送可能とされている。ただし、静電チャック100がプロセス用基台から離間すると、一対の吸着電極40への電圧印加が停止される。ウェハWを吸着面S1上に配置した状態でウェハWとセラミックス部材10とを一体的に搬送するために、静電チャック100は、吸着電極40への電圧印加の停止後も、ウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性が要求される。
【0017】
A-2.セラミックス部材10の吸着面S1の表面状態:
図3は、セラミックス部材10の吸着面S1の表面状態を模式的に示す説明図である。
図3には、面方向(Y軸方向)視における吸着面S1の凹凸状態が例示されている。
セラミックス部材10の吸着面S1は、次の表面条件を満たす。
<表面条件>
(吸着面S1における特定表面部分の面積/吸着面S1の全体の面積)×100 ≧ 70%
吸着面S1における特定表面部分は、吸着面S1の内、面方向(例えばY軸方向)視で、吸着面S1の最頂部Pを通り、かつ、面方向に平行な仮想直線Lからの上下方向の距離ΔZが0.5μm以内の表面部分である。なお、仮想直線Lは、セラミックス部材10の中心軸に略垂直な線である。また、上記閾値である「0.5μm」は、本実施形態におけるセラミックス部材10を形成するセラミックス材料の平均粒径と同等以下の寸法である。以下、「(吸着面S1における特定表面部分の面積/吸着面S1の全体の面積)×100」を「吸着面S1における特定表面部分の面積率」という。吸着面S1における特定表面部分の面積は、特許請求の範囲における第1の面積に相当し、吸着面S1における特定表面部分の面積率は、特許請求の範囲における面積率に相当する。なお、上記表面条件を満たすか否かは、公知のレーザ顕微鏡を用いてセラミックス部材10の吸着面S1の表面の凹凸を測定することにより判定することができる。
【0018】
図3Aに例示された吸着面S1は、特定表面部分の面積率が相対的に高く、上記表面条件を満たす。一方、
図3Bに例示された吸着面S1は、特定表面部分の面積率が相対的に低く、上記表面条件を満たさない。
【0019】
A-3.静電チャック100の製造方法:
図4は、本実施形態における静電チャック100の製造方法を示すフローチャートである。
【0020】
(セラミックス焼成体の準備工程):
まず、セラミックス焼成体を準備する(S110)。セラミックス焼成体は、後述の平研・マシニング加工(S120)やラップ研磨加工(S130)が施されることによって上述の静電チャック100におけるセラミックス部材10となるものである。セラミックス焼成体は、公知の作製方法によって作製可能である。例えば、複数のセラミックスグリーンシート(例えばアルミナグリーンシート)を準備し、各セラミックスグリーンシートに、吸着電極40および固定用電極50や接続端子22等を構成するためのメタライズインクの印刷や孔開け加工等を行い、その後、複数のセラミックスグリーンシートを積層して熱圧着し、所定の円板形状にカットした上で焼成することにより、セラミックス焼成体が作製される。
【0021】
(平研・マシニング工程):
次に、セラミックス焼成体のうち、固定用電極50が形成された面とは反対側の上面(吸着面S1になる表面)に対して、平研加工を施し、次に、カップ砥石を用いたマシニング加工を施す(S120)。具体的には、セラミックス焼成体の上面の表面粗さ(Ra)が0.1μm以上、0.5μm以下になるように、セラミックス焼成体の上面に対して、例えば平研加工およびマシニング加工を施す。S120の工程は、特許請求の範囲における第1の研磨工程に相当する。なお、平研・マシニング加工後のセラミックス焼成体の上面については、上述した吸着面S1における特定表面部分の面積率が70%未満であり、上記表面条件を満たさない(
図3B参照)。
【0022】
(ラップ研磨工程):
次に、平研・マシニング加工後のセラミックス焼成体の上面に対してラップ研磨加工を施す(S130)。具体的には、セラミックス焼成体の上面における特定表面部分の面積率が70%以上になるように、セラミックス焼成体の上面に対して、例えば鏡面研磨加工を施す。これにより、
図3Bに示された凹凸における凸部の頂部がそぎ落とされ、特定表面部分の面積率が高くなり、上記表面条件を満たす吸着面S1が形成される。これにより、上述した構成の静電チャック100の製造が完了する。なお、本実施形態では、吸着面S1に複数の突起を形成しないため、吸着面S1に対してブラスト処理を施さない。S130の工程は、特許請求の範囲における第2の研磨工程に相当する。
【0023】
A-4.性能評価:
図5は、各サンプルにおけるウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性に関する評価結果を示す説明図である。
図5には、各サンプルについて、吸着電極40への電圧印加の停止時点からの経過時間(hour)と、その経過時間に伴う吸着面S1の吸着力(kgf)の変化の推移が示されている。
【0024】
図5に示すように、静電チャックの3つのサンプルについて、ウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性に関する評価を行った。3つのサンプルは、全体として、上述のセラミックス部材10と略同一構成であり、吸着面S1における特定表面部分の面積率が互いに異なる。具体的には、サンプル1の吸着面S1における特定表面部分の面積率は77.26%であり、サンプル2の吸着面S1における特定表面部分の面積率は66.28%であり、サンプル3の吸着面S1における特定表面部分の面積率は44.92%である。
【0025】
本評価では、各サンプルを、複数ずつ作製し、それぞれについて、互いに異なる測定時間が経過した時に吸着面S1における吸着力を確認した。吸着面S1における吸着力は、次の方法により確認した。すなわち、予め、ウェハWを吸着面S1から側方にはみ出すように吸着面S1に電気的に吸着させる。その後、吸着電極40への電圧印加を停止し、その停止時点から予め定められた各測定時間を経過したときに、ウェハWのはみ出した部分に押圧力を与えつつその押圧力の大きさを増加させていき、ウェハWが吸着面S1に対して面方向に相対的に移動(いわゆる横滑り)したときの押圧力の大きさを測定した。
【0026】
図5に示すように、サンプル2,3の評価結果では、吸着電極40への電圧印加の停止直後から、吸着面S1における吸着力が急激に減少したことが確認された。これに対して、サンプル1の評価結果では、吸着電極40への電圧印加の停止後においても、吸着面S1における吸着力がほとんど減少せずに維持されたことが確認された。これらの評価結果から、セラミックス部材10の吸着面S1が、上述の表面条件(吸着面S1における特定表面部分の面積率が70%以上)を満たすことにより、ウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性が大きく向上することが分かる。この原因は必ずしも定かではないが、上記表面条件を満たすことにより、吸着面S1における残留電荷による吸着力が長く維持されることに加え、吸着面S1とウェハWとの間でリンギングによる吸着力が発生したことによると考えられる。
【0027】
A-5.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、吸着電極40への電圧印加の停止後も、ウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性が要求される用途で使用される。本願発明者は、吸着面S1における特定表面部分の面積率が70%以上であると、ウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性が大きく向上することを見出した。これにより、本静電チャック100によれば、ウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性を向上させることができる。
【0028】
また、上述した静電チャック100の製造方法によれば、ウェハWに対する吸着面S1の吸着力の持続性を向上させた静電チャック100を、比較的簡単に製造することができる。
【0029】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0030】
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、セラミックス部材10の吸着面S1(第1の表面)は、平面であるとしたが、例えば、緩やかな凹面状であるとしてもよい。要するに、吸着面S1は、略平面状であればよい。
【0031】
また、上記実施形態では、セラミックス部材10の内部に一対の吸着電極40が設けられた双極方式が採用されているが、セラミックス部材10の内部に1つの吸着電極40が設けられた単極方式が採用されてもよい。また、上記実施形態の静電チャック100における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
【0032】
また、上記実施形態における静電チャック100の製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、
図4のS120において、平研・マシニング加工以外の加工により、セラミックス焼成体の上面の表面粗さ(Ra)が0.1μm以上、0.5μm以下になるようにしてもよい。また、
図4のS130において、ラップ研磨加工以外に加工により、セラミックス焼成体の上面における特定表面部分の面積率が70%以上になるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10:セラミックス部材 22:接続端子 40:吸着電極 50:固定用電極 100:静電チャック L:仮想直線 P:最頂部 S1:吸着面 S2:下面 W:ウェハ
ΔZ: 距離