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特許7122182磁気位置検知システム、磁気位置検知システムの作製方法、および回転体の位置の推定方法
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  • 特許-磁気位置検知システム、磁気位置検知システムの作製方法、および回転体の位置の推定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】磁気位置検知システム、磁気位置検知システムの作製方法、および回転体の位置の推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20220812BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20220812BHJP
   G01P 3/487 20060101ALI20220812BHJP
   H01F 7/02 20060101ALN20220812BHJP
【FI】
G01B7/30 H
G01D5/245 110L
G01P3/487 Z
H01F7/02 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018129638
(22)【出願日】2018-07-09
(65)【公開番号】P2019020402
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】15/648,717
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506283927
【氏名又は名称】ローズマウント・エアロスペース・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ROSEMOUNT AEROSPACE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ジャガディーシュ クマル タングドゥ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エス.バベル
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06305234(US,B1)
【文献】国際公開第97/014608(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0127901(US,A1)
【文献】特開2016-151539(JP,A)
【文献】特開平11-051608(JP,A)
【文献】国際公開第00/005548(WO,A1)
【文献】特開2002-162252(JP,A)
【文献】米国特許第06124709(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/30
G01D 5/245
G01P 3/487
H01F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気位置検知システムであって、
回転体の第1の表面に装着された第1の環状磁石と、
前記回転体の第1の表面に対して垂直な、前記回転体の第2の表面に装着された第2の環状磁石と、を備え、前記第1および第2の環状磁石は、それぞれ
第1端部、
第2端部、
内径表面、及び
外径表面を備え、
前記内径表面及び前記外径表面は、それらの間に半径方向厚さを画定し、前記半径方向厚さは前記第1端部から前記第2端部まで変化する、磁気位置検知システム。
【請求項2】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つは、前部表面及び後部表面、ならびに前記前部表面と後部表面との間の軸方向厚さをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つの前記軸方向厚さは、前記外径表面から前記内径表面へと、前記第1端部に隣接する領域で減少する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つの前記軸方向厚さは、前記外径表面から前記内径表面へと、前記第2端部に隣接する領域で増加する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つの前記軸方向厚さは、前記外径表面から前記内径表面へと、前記第1端部に隣接する領域で増加する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つの前記軸方向厚さは、前記外径表面から前記内径表面へと、前記第2端部に隣接する領域で減少する、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つは、複数のセグメントを備え、前記セグメントのそれぞれは第1端部及び第2端部、ならびに前記第1端部と前記第2端部との間で変化する半径方向厚さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つに近接する少なくとも1つのホール効果ポジションセンサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つは、希土類元素、非希土類元素、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される材料で形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の表面は、前記回転体の外径表面である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の表面は、前記回転体の端面である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1環状磁石の前記第1端部は、前記第2環状磁石の前記第1端部からオフセットしている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
磁気位置検知システムの作製方法であって、
回転体の第1の表面上に第1の環状磁石を位置決めすることと、
前記回転体の前記第1の表面に対して垂直な、前記回転体の第2の表面上に第2の環状磁石を位置決めすることと、
を備え、前記第1および第2の環状磁石は、それぞれ
第1端部、
第2端部、
内径表面、及び
外径表面を備え、
前記内径表面及び前記外径表面はそれらの間に半径方向厚さを画定し、前記半径方向厚さは前記第1端部から前記第2端部まで変化する方法。
【請求項14】
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つの近部に少なくとも1つのポジションセンサを位置決めすることをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の表面は、前記回転体の外径表面である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の表面は、前記回転体の端である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
回転体の位置の推定方法であって、
回転体の第1の表面上に第1の環状磁石を位置決めすることと、
前記回転体の前記第1の表面に対して垂直な、前記回転体の第2の表面上に第2の環状磁石を位置決めすることと、
を備え、前記第1および第2の環状磁石は、それぞれ
第1端部、
第2端部、
内径表面、及び
外径表面を備え、
前記内径表面及び前記外径表面は、それらの間に半径方向厚さを画定し、前記半径方向厚さは、前記第1端部から前記第2端部まで変化し、
前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つの近部に配置された少なくとも1つのポジションセンサを使用して、前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つの磁束密度を検知することであって、前記第1および第2の環状磁石のうち少なくとも1つの前記半径方向厚さに対応する磁束密度を検知することと、
前記検知した磁束密度に基づいて、前記回転体の位置を計算することと、
を備えた、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ位置の推定用の環状磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する構成要素を含む多くの用途は、ロータ位置、速度、及び/または方向の正確な検出を必要とする。典型的なロータ位置推定技術は、シャフトまたは他の回転体の周面または端面の周りに交互に極性を配置した個々の永久磁石の配置に関連する、エンコーダ、リゾルバ、及びホール効果センサ方式の技術を含む。1つまたは複数の磁場センサが、磁場内に配置され、ロータの回転の関数として出力波形が多数回繰り返され得るように、N-S極の対のそれぞれに対して出力波形を生じることができ、このような波形の数はロータボディに装着される磁石対の数の関数である。しかし、これ等の波形は、単一の周囲ポイントの位置を提供するように、互いに識別可能ではないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、ゼロ速度及び固定速度の双方においてロータ周囲に沿う個別のポイントを検出することができるより正確な位置推定システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
磁気位置検知システムは、回転体の表面に装着された少なくとも1つの環状磁石を含む。環状磁石は、第1端部、第2端部、内径表面、及び外径表面を含む。内径表面及び外径表面はそれらの間に半径方向厚さを画定し、この半径方向厚さは第1端部から第2端部まで変化する。
【0005】
位置検知システムを作製する方法は、回転体の表面上に少なくとも1つの環状磁石を位置決めすることを含む。環状磁石は、第1端部、第2端部、内径表面、及び外径表面を含む。内径表面及び外径表面はそれらの間に半径方向厚さを画定し、この半径方向厚さは第1端部から第2端部まで変化する。
【0006】
回転体の位置を推定する方法は、少なくとも1つの環状磁石を回転体の表面上に位置決めすることを含む。環状磁石は、第1端部、第2端部、内径表面、及び外径表面を含む。内径表面及び外径表面はそれらの間に半径方向厚さを画定し、この半径方向厚さは第1端部から第2端部まで変化する。本方法は、環状磁石に近接配置されたポジションセンサを使用し、環状磁石の磁束密度を検出することをさらに含む。磁束密度は、環状磁石の半径方向厚さに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】磁気位置検知システムの斜視図である。
図2】磁気位置検知システムの正面図である。
図3A】第1代替的磁気位置検知システムの斜視図である。
図3B図3Aの実施形態による環状磁石の断面図である。
図3C図3Aの実施形態による環状磁石の断面図である。
図4図3Aに示すシャフトの回転の全体にわたる角度シグネチャを表すグラフである。
図5】ロータ位置を計算するためのステップを表すフローチャートである。
図6】第2代替的磁気位置検知システムの斜視図である。
図7】第3代替的磁気位置検知システムの斜視図である。
図8】第4代替的磁石位置検知システムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
磁気位置検知システムが本明細書に記載されている。このシステムは、シャフトに取り付けられた1つまたは複数の環状磁石を含む。それぞれの環状磁石の幅は、一端から他端に、軸方向及び/または半径方向にテーパ状とすることができる。テーパ状デザインは、磁石のそれぞれの周囲/半径方向位置において独特の磁束シグネチャを提供し、これは、シャフトの位置に対応する。
【0009】
図1は、磁気位置検知システム10の斜視図である。システム10は、シャフト14の端面30に取り付けられた環状磁石12を含む。磁石12は、第1端部16、第2端部18、外径(OD)表面20、内径(ID)表面22、前部表面24、及び後部表面26を含む。シャフト14は、外径(OD)表面28及び端面30を含む。図1に示す実施形態では、環状磁石12が、後部表面26において端面30に取り付けられている。磁石12は、N極が前部表面24と整列し、S極が後部表面26と整列するように軸方向に分極化される。極性は、代替実施形態では逆にすることができる。第1端部16は、図示のように第2端部18に当接することができ、または、両端部16、18はある程度の距離に離隔して配置することができる。
【0010】
システム10は、磁石12から空隙距離を置いてポジションセンサ32をさらに含む。空隙距離は、いくつかの実施形態では1ミリメートル未満から数ミリメートルの範囲とすることができるが、しかし、用途、ならびに、センサの許容差、磁石形状、及び磁力にしたがってより大きな距離とすることができる。センサ32の典型的な検知範囲は、いくつかの実施形態では10mTから150mTとすることができ、さらに適切な空隙距離を磁場によるセンサ32の飽和を避けるために選択することができる。センサ32は、磁石12及びシャフト14に近接する静止構造体(図1には示してない)に装着することができる。例示的な実施形態では、センサ32は、磁石12の磁場に応じて電圧を出力するように構成されるホール効果センサである。センサ32は、x-y平面に沿う導電要素を有する平坦構造体として構成することができ、磁場の成分に沿って位置決めされる。システム10は、単一のセンサ32で機能するが、システム10の精度を向上し、またはセンサの故障が生じたときの冗長性をもたせるために多数のセンサ32を使用することができる。図示の実施形態では、それぞれのセンサ32は、磁場の2つの成分(例えば、Bx及びBy)を測定するように構成されているが、しかし、センサ32は単一の成分を測定するように構成し、または3軸(Bx、By、Bz)センサとして構成することもできる。センサ出力信号は、図1にセンサ32との通信を概略的に示すように、コントローラ34に提供することができる。
【0011】
図2は、図1に示すシステム10の正面図であり、センサ32は簡略にするために示していない。図2に見られるように、環状磁石12は、OD表面20とID表面22との間で軸A(図3Aに示す)に対して半径方向外方に延びるものとして定義される半径方向厚さTRを有する。この半径方向厚さの定義は、本明細書で検討する全ての実施形態に当てはまる。図示の実施形態では、半径方向厚さTRは、第1端部16から第2端部18まで先細りになる。磁石12の厚さは、センサ32が検出する磁束密度が0°(第1端部16)から360°(第2端部18)まで増大する(または、回転方向にしたがって減少する)ように、センサ32(図1に示す)が測定する磁束密度に比例する。したがって、システム10は、それぞれの半径方向位置が独特の磁束シグネチャを有するため、シャフト14の位置をより正確に推測可能とする。これは、システム10がシャフト14の回転方向を検出することに適している。磁石12は、軸方向厚さを変化させることも可能であり、これは、以下により詳細に論じる。
【0012】
図3Aは、代替システム110の斜視図である。図3Aに示す実施形態では、環状磁石112は、ID表面122がシャフトOD表面128に接触するように、シャフト114に取付けられている。厚さTRが第1端部116から第2端部118まで変化することに加え、軸方向厚さTAも変化する。本明細書で考察した実施形態のそれぞれについて、軸方向厚さは、シャフト114の回転軸Aに沿って前部表面124と後部表面126との間のいずれかの方向に延びるものとして画定される。図3A~3Cに見られるように、軸方向厚さTAは、第1端部116の近部でOD表面120からID表面122に向けて減少する。逆に、軸方向厚さTAは、第2端部118の近部でOD表面120からID表面122に向けて増大する。これは、図3B及び3Cにより明確に示してあり、これらは、それぞれ第1端部116の領域及び第2端部118の領域における磁石112の断面を示す。図3B及び3Cにも見られるように、第1端部116(図3B)における半径方向厚さTRが第2端部118(図3C)におけるよりも大きい。しかし、変化する軸方向厚さTAを有する他の実施形態では、半径方向厚さTRは一定のままとすることができる。
【0013】
図3B及び3Cに示す断面は、全体的に台形形状を有するが、しかし、他の実施形態では、第2端部118に近接する磁石112の断面は、前部表面124及び後部表面126がOD表面120で交わってポイントを形成するように、三角形とすることができる。120、124、及び126を表す他の可能性のある表面は、半円形、または種々の数の辺及び/または丸められた角部を有する多角形形状を含むことができる。
【0014】
図3Aに示す実施形態では、磁石112は、N極がOD表面120に整列し、S極がID表面122に整列し、またはその逆に整列するように、半径方向に分極化することができる。センサ132は、磁石112の半径方向上方に配置して示してあり、発生磁場を測定する。センサのデザインに応じて、センサ132はその面をOD表面120に垂直に(図示のように)または平行に配置することができる。他の実施形態は、磁石112から半径方向または軸方向に空隙距離を置いて配置される追加センサ132を含むことができる。
【0015】
図4は、システム110で測定し、逆タンジェント(または、atan2)(θ)関数を使用して計算した単一回転中におけるシャフト114の角シグネチャ(angular signature)のグラフである。図4で見られるように、シグネチャは、シャフトが360°移動するときに-π(-3.14rad)と+π(3.14rad)との間で変動する。atan(θ)関数を使用する場合、シグネチャは、-π/2から+π/2までプロットすることができる。図5は、シャフト位置(ステップ145または146)を判断するために使用されるプロセスを示す。続くステップ140及び142では、シャフト位置は、磁場の大きさ(|B|)を測定し、ルックアップテーブルを使用して角度θを決定することにより、決定することができる。このアプローチは、シャフト位置が磁束の大きさの線形関数ではないときに有用となり得る。シャフト位置はさらに、ステップ141及び143Aに示すように、atan2(θ)関数と、磁場のBx及びBy(該当する場合は、及びBz)成分との関係に基づくことができる。第3方法は、磁場成分に基づく磁場の大きさを計算すること、及び磁場の関数としてシャフト位置を決定すること(ステップ141、143B、及び144)を含む。
【0016】
図6は、代替システム210の斜視図である。図6に示す実施形態では、システム210は、シャフト214の端面230に取り付けられる2つの同軸状環状磁石212を含む。両磁石212は、磁石12及び112と同様なテーパ状形状を有する。図6に示すように、内側磁石212の第1端部216は、外側磁石212の第1端部216から約180°オフセットしている。しかし、他の実施形態では、第1端部216は、検出用途及びシステムデザインに応じて、整列し、または0°~360°の任意のインクリメントずつオフセットすることができる。
【0017】
図7は、代替システム310の斜視図である。図7に示す実施形態では、システム310は、シャフト314のOD表面328に取り付けられた第1磁石312、及びシャフト314の端面330に取り付けられた第2磁石312を含む。磁石212と同様に、第1端部316は、この場合ほぼ90°だけ互いにオフセットしている。他の実施形態では、第1端部316は、整列し、または0°から360°までの任意のインクリメントずつオフセットすることができる。図7は、シャフトOD表面328に取り付けられた磁石312を示し、ここでは軸方向厚さTAは第1端部316の近部でOD表面320からID表面322まで増加し、一方、軸方向厚さTAは第2端部318の近部でOD表面320からID表面322まで減少する。他の実施形態では、磁石312は、図3Aの磁石112と同様にデザインすることができ、逆もまた同様である。
【0018】
図8は、代替システム410の正面図である。図8に示す実施形態では、システム410は、鋸刃形状の環状磁石412を含む。磁石412は、反復するテーパ状セグメントを含み、それぞれは第1端部416及び第2端部418、ならびに第1端部416から第2端部418まで減少する半径方向厚さ(図8では、識別符号を付してない)を有する。セグメントの第2端部418は、隣接するセグメントの第1端部416に当接することができ、またはこれらのセグメントはある程度の距離に離隔配置することができる。磁石412はシャフト414の端面430に装着して示してあるが、磁石412はシャフト314の他の場所に装着することができ、複数の磁石412を含むことができる。さらに、磁石412は、システムデザイン及び検知要件にしたがってどのような数のセグメントも含むことができる。
【0019】
本明細書で検討する磁石は、複数の希土類元素及び非希土類元素材料から形成することができる。実施例は、ネオジウム、サマリウム、鉄、ニッケル、コバルト、及びそれらの合金、ならびにセラミック、フェライト、及びマンガンビスマスを含む。記載の磁石は、伝統的製造技術または積層造形技術のいずれかを使用して形成することもできる。伝統的方法を使用する場合、磁石は、シャフトに取り付ける前に焼結またはボンディングなどのプロセスにより形成することができる。積層方法を使用する場合、磁石をシャフト上に構築し、後処理工程で磁化することができる。例示的な積層造形技術は、直接書き込み、粉末ベッドフュージョン、電子ビーム溶融(EBM)、及びコールドスプレイを含むことができる。他の適切な伝統的製造技術及び積層造形技術が、本明細書で想定される。
【0020】
伝統的に製造された磁石は、シャフトから独立した構造体であるため、回転中に磁石が移動する及び/またはシャフトから分離する恐れがある。この恐れを最小にするため、炭素繊維バンド等の保持構造体を磁石の周りに装着し、ロータ表面から脱落するのを防止することができる。代替的アプローチは、シャフトに装着される磁石面と逆形状を有する切欠きを含むようにロータをマッチングすることを含み、これは、磁石が結合されるシャフト表面積の大きさを増加させ、シャフトに対して磁石をより強固に取り付ける。
【0021】
上述の実施形態に加え、位置検知システムは、シャフトの周りに、またはシャフトの端面に、またはこの2つの組み合わせに装着された3つ以上の磁石を含むことができる。第1端部は、整列され、または0°と360°との間の任意のインクリメントずつオフセットすることができる。開示した環状磁石の代替的実施形態は、磁石、または異なる形状を備える磁石の組み合わせをさらに含むことができる。
【0022】
開示した磁気位置検知システムは、多くの利点を有する。環状磁石のデザインは、回転体の位置をより正確に判断することを可能とする独特の磁束シグネチャを提供する。開示したシステムは、さらに、回転方向の判断を可能とする。システムは、環状磁石が多くの製造技術で形成することができるため、高度にカスタマイズ可能であり、種々のシステム構成要素は、空間的要件、検知要件、及び他の要件に適合するように配置することができる。開示したシステムは、航空宇宙、自動車、及び、回転要素を含む一般的に任意の用途を含む種々の検出用途に使用することができる。
(可能な実施形態の説明)
以下は、本発明の可能性のある実施形態の非限定的説明である。
【0023】
磁気位置検知システムは、回転体の表面に装着された少なくとも1つの環状磁石を含む。環状磁石は、第1端部、第2端部、内径表面、及び外径表面を含む。内径表面及び外径表面はそれらの間に半径方向厚さを画定し、この半径方向厚さは第1端部から第2端部まで変化する。
【0024】
先行する段落のシステムは、追加的及び/または代替的に、以下の特徴、構成及び/または追加構成要素の任意の1つまたは複数を任意選択的に含むことができる。
【0025】
少なくとも1つの環状磁石は、前部表面及び後部表面、ならびに前部表面と後部表面との間の軸方向厚さを含む。
【0026】
軸方向厚さは、第1端部に隣接する領域で、外径表面から内径表面まで減少する。
【0027】
軸方向厚さは、第2端部に隣接する領域で、外径表面から内径表面まで増大する。
【0028】
軸方向厚さは、第1端部に隣接する領域で、外径表面から内径表面まで増大する。
【0029】
軸方向厚さは、第2端部に隣接する領域で、外径表面から内径表面まで減少する。
【0030】
少なくとも1つの環状磁石は、複数のセグメントを含み、セグメントのそれぞれは第1端部及び第2端部、ならびに第1端部と第2端部との間で変化する半径方向厚さを有する。
【0031】
少なくとも1つのホール効果ポジションセンサが、環状磁石に近接して位置する。
【0032】
少なくとも1つの環状磁石が、希土類元素、非希土類元素、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される材料で形成されている。
【0033】
少なくとも1つの環状磁石が、回転体の外径表面に取り付けられている。
【0034】
少なくとも1つの環状磁石が、第1環状磁石及び第2環状磁石を含み、第2環状磁石は、回転体の端面に取り付けられている。
【0035】
第1環状磁石の第1端部は、第2環状磁石の第1端部からオフセットしている。
【0036】
少なくとも1つの環状磁石は、回転体の端面に取り付けられている。
【0037】
少なくとも1つの環状磁石は、第1環状磁石及び第2環状磁石を含み、第2環状磁石は、回転体の端面に、第1環状磁石の内側で同心状に取り付けられている。
【0038】
第1環状磁石の第1端部は、第2環状磁石の第1端部からオフセットしている。
【0039】
位置検知システムを作製する方法は、回転体の表面上に少なくとも1つの環状磁石を位置決めすることを含む。環状磁石は、第1端部、第2端部、内径表面、及び外径表面を含む。内径表面及び外径表面はそれらの間に半径方向厚さを画定し、この半径方向厚さは第1端部から第2端部まで変化する。
【0040】
先行する段落の方法は、追加的及び/または代替的に、以下の特徴、構成及び/または追加構成要素の任意の1つまたは複数を任意選択的に含むことができる。
【0041】
該方法は、少なくとも1つのポジションセンサを環状磁石の近部に位置決めすることを含む。
【0042】
少なくとも1つの環状磁石は、回転体の外径表面と端面との一方に取り付けられる。
【0043】
少なくとも1つの環状磁石は、第1環状磁石及び第2環状磁石を含み、それぞれが回転体の外径表面と端面との一方に取り付けられる。
【0044】
回転体の位置を推定する方法は、少なくとも1つの環状磁石を回転体の表面上に位置決めすることを含む。環状磁石は、第1端部、第2端部、内径表面、及び外径表面を含む。内径表面及び外径表面はそれらの間に半径方向厚さを画定し、この半径方向厚さは第1端部から第2端部まで変化する。該方法は、環状磁石に近接配置されたポジションセンサを使用し、環状磁石の磁束密度を検知することをさらに含む。磁束密度は、環状磁石の半径方向厚さに対応する。
【0045】
先行する段落の方法は、追加的及び/または代替的に、以下の特徴、構成及び/または追加構成要素の任意の1つまたは複数を任意選択的に含むことができる。
【0046】
該方法は、検知した磁束密度に基づいて回転体の位置を計算することを含む。
【0047】
本発明を例示的な実施形態(複数可)を参照して説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を施し、均等物をその要素と置換してもよいことが理解される。更に、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対して特定の状況または材料を適合させるために多くの変更を施してもよい。したがって、本発明は、開示した特定の実施形態(複数可)に限定されるのではなく、本発明は添付の特許請求の範囲の範囲に入る全ての実施形態を含むことが理解される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8