IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社キラックスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】物品収容ケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/08 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
B65D21/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018169252
(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公開番号】P2020040705
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】592110808
【氏名又は名称】株式会社キラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100101524
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】吉良 伸一
(72)【発明者】
【氏名】福谷 高子
(72)【発明者】
【氏名】林 篤希
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-254311(JP,A)
【文献】特開2017-141053(JP,A)
【文献】実開平04-001136(JP,U)
【文献】実開昭57-085475(JP,U)
【文献】実開昭60-007287(JP,U)
【文献】特開2006-199307(JP,A)
【文献】実開平06-069128(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0203875(US,A1)
【文献】国際公開第2010/075950(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0092637(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、
ほぼ同一の高さを有する複数の筒状体を有し、
前記すべての筒状体は、各々複数の壁部を有し、相互に対応する横断面形状を有し、
前記複数の筒状体のうち最先順の筒状体には底部が設けられており、
前記複数の筒状体のうち最後順の筒状体には蓋部が設けられており、
前記複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体の横断面が後順の筒状体の横断面の内部に収容され得る関係にあるとともに、先順の筒状体と後順の筒状体とが、両者がほぼ同一高さ位置に位置する略同一高さ関係と、後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する後順高位置関係との間を相対的に変位可能に、当該先順の筒状体と当該後順の筒状体とが、可撓性を有する筒状体連結材によって連結されており、
前記最先順の筒状体においては、一の側部が開口して側部開口部が形成されており、
前記最後順の筒状体の複数の前記壁部のうち前記側部開口部に対応する側部開口部対応壁部には、可撓性を有する閉塞用連結材を介して閉塞用壁体が相対的に昇降可能に連結されており、当該閉塞用壁体は、前記最先順の筒状体と前記最後順の筒状体とがいずれの高さ関係においても少なくとも前記側部開口部のうちの下部以外を閉塞可能とされている、
物品収容ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収容ケースであって、
前記最後順の筒状体の前記側部開口部対応壁部の下部は折り曲げ可能片であり、
前記折り曲げ可能片は、下方に向かう基本姿勢と、上方に折り曲げられた上方折り曲げ姿勢との間を変位可能であり、当該上方折り曲げ姿勢の当該折り曲げ可能片は、当該側部開口部対応壁部のうちの当該折り曲げ可能片以外の部分に着脱可能に結合されるものである、
物品収容ケース。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の物品収容ケースであって、
前記最先順の筒状体には、可撓性を有し当該最先順の筒状体の下縁部から離隔する方向に延びる伸長防止用連結材が設けられ、
前記伸長防止用連結材は、前記最先順の筒状体との間で種々の高さ関係にある前記最後順の筒状体に対して着脱可能に結合され、当該最後順の筒状体が当該最先順の筒状体から離隔するのを防止するものである、
物品収容ケース。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の物品収容ケースであって、
前記最先順の筒状体の前記側部開口部のうちの左右の縁部には、前記閉塞用壁体に対向する閉塞用壁体対向片が設けられ、
前記閉塞用壁体と、前記閉塞用壁体対向片、又は、最先順と最後順との間の筒状体とは、磁力によって着脱可能に接着される、
物品収容ケース。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の物品収容ケースであって、
前記閉塞用壁体には結合用連結材が設けられ、
前記結合用連結材は、前記最後順の筒状体の前記側部開口部対応壁部の種々の高さ位置に対して、着脱可能に結合されるものである、
物品収容ケース。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の物品収容ケースであって、
前記最後順の筒状体においては、前記蓋部と前記側部開口部対応壁部とが連続して蓋部・側部開口部対応壁部連続体が形成されており、
前記蓋部・側部開口部対応壁部連続体の左右の各縁部と、前記最後順の筒状体の複数の前記壁部のうち前記側部開口部対応壁部の左右に隣接する一対の壁部の上縁部及び縦縁部とが、ファスナによって着脱可能に結合される、
物品収容ケース。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の物品収容ケースであって、
可撓性を有し一方向に延び相互に結合可能な一対の遮障材が、その基端部において前記最後順の筒状体の相対向する上縁部近傍に対して設けられ、
前記両遮障材は結合状態において、ほぼ水平に延びつつ前記最後順の筒状体の断面を横切るものである、
物品収容ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が収容されるケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の物品を輸送等するために、ケース(容器,箱)が使用される場合が多い。
保冷状態・保温状態を維持しつつ搬送するためには、断熱効果を有するケースが、少なくともほぼ密閉状態で使用される。
【0003】
物品収容ケース内に収容される物品については、それが少ない又は小さい場合(全体としての体積が小さい場合)がある一方で、多い又は大きい場合(全体としての体積が大きい場合)もある。
そこで、物品が多い又は大きい場合を想定して、大きい物品収容ケース(正確には、容積が大きい物品収容ケース)を用意すると、物品が少ない又は小さい場合には、内部に空きの空間が生じて、省スペースが図れないこととなる。
また、種々の大きさ(容積)の物品収容ケースを用意しておくのも効率が悪い。
【0004】
このため、本出願人は、特許文献1に開示された物品収容ケースについて出願し、特許を受けている。
その物品収容ケースは、複数の筒状体を有し、複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体の横断面が後順の筒状体の横断面の内部に収容され得る関係にある。
そして、先順の筒状体と後順の筒状体とが可撓性を有する連結シート(筒状体連結シート)によって連結されており、両筒状体がほぼ同一高さ位置に位置する略同一高さ関係と、後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する後順高位置関係との間を相対的に変位可能とされている。
【0005】
ところで、物品収容ケース(物品)が運搬(移動)される際には、フォークリフトが使用される場合がある。
その際は、物品収容ケースがパレットの上に載置され、フォークリフト用パレットに形成された被挿通部に対してフォークリフトのフォーク(ツメ)が挿通される場合がある。
一方で、物品収容ケースの内部のうちの下部に予めパレットが収容され、そのパレットに形成された被挿通部に対してフォークリフトのフォーク(ツメ)が挿通されることが考慮されている。
前者の場合は、搬送前に物品収容ケースをパレットの上に載置する必要があるとともに、搬送後に物品収容ケースをパレットから外す必要があり、煩雑である。
一方で、後者の場合は、そのような作業は不要である。このため、作業の能率からは後者が望ましい。
しかしながら、特許文献1の物品収容ケースでは、後者のようにフォークリフト用パレットを収容してフォークリフトで搬送する、ということができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-254311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高さを変化させることができるとともに、ほぼ密閉状態を維持しつつ、予めフォークリフト用パレットを収容してフォークリフトで容易に運搬することが可能である物品収容ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の第1の態様は、内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、ほぼ同一の高さを有する複数の筒状体を有し、前記すべての筒状体は、各々複数の壁部を有し、相互に対応する横断面形状を有し、前記複数の筒状体のうち最先順の筒状体には底部が設けられており、前記複数の筒状体のうち最後順の筒状体には蓋部が設けられており、前記複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体の横断面が後順の筒状体の横断面の内部に収容され得る関係にあるとともに、先順の筒状体と後順の筒状体とが、両者がほぼ同一高さ位置に位置する略同一高さ関係と、後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する後順高位置関係との間を相対的に変位可能に、当該先順の筒状体と当該後順の筒状体とが、可撓性を有する筒状体連結材によって連結されており、前記最先順の筒状体においては、一の側部が開口して側部開口部が形成されており、前記最後順の筒状体の複数の前記壁部のうち前記側部開口部に対応する側部開口部対応壁部には、可撓性を有する閉塞用連結材を介して閉塞用壁体が相対的に昇降可能に連結されており、当該閉塞用壁体は、前記最先順の筒状体と前記最後順の筒状体とがいずれの高さ関係においても少なくとも前記側部開口部のうちの下部以外を閉塞可能とされている、物品収容ケースである。
【0009】
「少なくとも前記側部開口部のうちの下部以外を閉塞可能に」には、「前記側部開口部を閉塞可能に」や「側部開口部のうちの下部以外を閉塞可能に」がある。
【0010】
この態様の物品収容ケースでは、次の作用効果が得られる。
まずは、この物品収容ケースでは、複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体と後順の筒状体とは、連結材によって連結されつつ、略同一高さ関係(両筒状体がほぼ同一高さ位置に位置する関係)と後順高位置関係(後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する関係)との間を相対的に変位可能である。
このため、隣順の2つの筒状体からなる組み合わせの各々において、両筒状体がいずれかの高さ関係となることによって、物品収容ケースが伸縮して、全体としての高さが変化することとなる。
このようにして、この物品収容ケースでは、収容される物品(その合計)の高さに応じて、その高さを調整することが可能となる。
【0011】
そして、この物品収容ケースにおいては、いずれの高さ状態においても、閉塞用壁体が、最先順の筒状体のうちの下部以外を閉塞することが可能である。
このため、この物品収容ケースでは、側部開口部対応壁部が側部開口部の下部を閉塞しない高さ関係にある状態においては、その内部(下部)にフォークリフト用パレットが収容された状態において、ほぼ密閉状態を維持しつつ、そのパレットを覗かせることができる。
このため、そのパレットにフォークリフトのフォーク(ツメ)を挿通することによって、この物品収容ケースをフォークリフトで搬送することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様の物品収容ケースであって、前記最後順の筒状体の前記側部開口部対応壁部の下部は折り曲げ可能片であり、前記折り曲げ可能片は、下方に向かう基本姿勢と、上方に折り曲げられた上方折り曲げ姿勢との間を変位可能であり、当該上方折り曲げ姿勢の当該折り曲げ可能片は、当該側部開口部対応壁部のうちの当該折り曲げ可能片以外の部分に着脱可能に結合されるものである、物品収容ケースである。
【0013】
「着脱可能に結合される」の一例として、「面ファスナによって着脱可能に結合される」がある。
【0014】
この態様の物品収容ケースでは、第1の態様の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この物品収容ケースにおいては、最も縮小した状態及びそれに近い状態以外においては、本来的には、側部開口部対応壁部が側部開口部の下部を閉塞しかねない。
その場合は、折り曲げ可能片が上方折り曲げ姿勢とされることによって、側部開口部の下部を閉塞しない状態にすることができる。
このため、この物品収容ケースでは、最も縮小した状態及びそれに近い状態以外においても、その内部(下部)にフォークリフト用パレットが収容された状態において、ほぼ密閉状態を維持しつつ、そのパレットを覗かせることができる。
このため、この物品収容ケースでは、いずれの高さ状態においても、そのパレットにフォークリフトのフォーク(ツメ)を挿通することによって、この物品収容ケースをフォークリフトで搬送することができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の物品収容ケースであって、前記最先順の筒状体には、可撓性を有し当該最先順の筒状体の下縁部から離隔する方向に延びる伸長防止用連結材が設けられ、前記伸長防止用連結材は、前記最先順の筒状体との間で種々の高さ関係にある前記最後順の筒状体に対して着脱可能に結合され、当該最後順の筒状体が当該最先順の筒状体から離隔するのを防止するものである、物品収容ケースである。
【0016】
「着脱可能に結合される」の一例として、「面ファスナによって着脱可能に結合される」がある。
「前記最先順の筒状体との間で種々の高さ関係にある前記最後順の筒状体に対して着脱可能に結合され、当該最後順の筒状体が当該最先順の筒状体から離隔するのを防止する、」には、次のような態様があり得る。
1)伸長防止用連結材の一部(例えば先端部)に面ファスナ(オス・メスのうちの一方)Aが設けられ、最後順の筒状体の壁部に、高さ方向に延びる面ファスナ(オス・メスのうちの他方)Bが設けられ、AがBの高さ方向におけるいずれかの位置に着脱可能に結合される。
2)伸長防止用連結材の長さ方向における全て又は大半に面ファスナ(オス・メスのうちの一方)Aが設けられ、最後順の筒状体の壁部の高さ方向の一部に面ファスナ(オス・メスのうちの他方)Bが設けられ、Aの長さ方向におけるいずれかの部分がBに着脱可能に結合される。
3)伸長防止用連結材の長さ方向における全て又は大半に面ファスナ(オス・メスのうちの一方)Aが設けられ、最後順の筒状体の壁部に、高さ方向に延びる面ファスナ(オス・メスのうちの他方)Bが設けられ、Aの長さ方向における全て又は一部がBの高さ方向における全て又は一部に着脱可能に結合される。
【0017】
この態様の物品収容ケースでは、第1又は第2の態様の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この物品収容ケースでは、所定の高さに調整された状態で、最先順の筒状体に設けられた伸長防止用連結材が最後順の筒状体に対して結合されることによって、最後順の筒状体が最先順の筒状体から離隔するのが防止され、この物品収容ケースの高さが所定のものに維持される。
こうして、この物品収容ケースは、フォークリフトによって適切に搬送される。
【0018】
本発明の第4の態様は、第1~第3のいずれかの態様の物品収容ケースであって、前記最先順の筒状体の前記側部開口部のうちの左右の縁部には、前記閉塞用壁体に対向する閉塞用壁体対向片が設けられ、前記閉塞用壁体と、前記閉塞用壁体対向片、又は、最先順と最後順との間の筒状体とは、磁力によって着脱可能に接着される、物品収容ケースである。
【0019】
この態様の物品収容ケースでは、第1~第3のいずれかの態様の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この物品収容ケースでは、閉塞用壁体が閉塞用壁体対向片又は最先順と最後順の間との間の筒状体と対峙する状態において、閉塞用壁体と当該対峙するものとが磁力によって着脱可能に接着される。
こうして、この物品収容ケースでは、閉塞用壁体を所定の筒状体に対して容易に取り付けたり、所定の筒状体から容易に取り外したりすることが可能である。
【0020】
本発明の第5の態様は、第1~第4のいずれかの態様の物品収容ケースであって、前記閉塞用壁体には結合用連結材が設けられ、前記結合用連結材は、前記最後順の筒状体の前記側部開口部対応壁部の種々の高さ位置に対して、着脱可能に結合されるものである、物品収容ケースである。
【0021】
「着脱可能に結合される」の一例として、「面ファスナによって着脱可能に結合される」がある。
【0022】
この態様の物品収容ケースでは、第1~第4のいずれかの態様の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この物品収容ケースでは、閉塞用壁体の結合用連結材が最後順の筒状体の側部開口部対応壁部と対峙する状態において、結合用連結材が側部開口部対応壁部の種々の高さ位置に着脱可能に結合される。
こうして、閉塞用壁体が、側部開口部対応壁部に沿った状態に維持される。
【0023】
本発明の第6の態様は、第1~第5のいずれかの態様の物品収容ケースであって、前記最後順の筒状体においては、前記蓋部と前記側部開口部対応壁部とが連続して蓋部・側部開口部対応壁部連続体が形成されており、前記蓋部・側部開口部対応壁部連続体の左右の各縁部と、前記最後順の筒状体の複数の前記壁部のうち前記側部開口部対応壁部の左右に隣接する一対の壁部の上縁部及び縦縁部とが、ファスナによって着脱可能に結合される、物品収容ケースである。
【0024】
「連続して」には「一体的に形成され」「結合され」等がある。
【0025】
この態様の物品収容ケースでは、第1~第5のいずれかの態様の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この物品収容ケースでは、ファスナが開状態にされることによって、蓋部とともに側部開口部対応壁部が、最後順の筒状体のうち一対の隣接壁部の上縁部及び縦縁部とが分離される。
このため、この物品収容ケースの内部に対して容易に物品を収容する作業を行ったり、内部に収容された物品を容易に取り出したりすることが可能である。
【0026】
本発明の第7の態様は、第1~第6のいずれかの態様の物品収容ケースであって、可撓性を有し一方向に延び相互に結合可能な一対の遮障材が、その基端部において前記最後順の筒状体の相対向する上縁部近傍に対して設けられ、前記両遮障材は結合状態において、ほぼ水平に延びつつ前記最後順の筒状体の断面を横切るものである、物品収容ケースである。
【0027】
この態様の物品収容ケースでは、第1~第6のいずれかの態様の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
この物品収容ケースでは、いずれかの昇伸状態(すなわち、少なくとも、最後順の筒状体が最先順の筒状体よりも高い位置に位置する状態)の際に、一対の遮障材同士が結合されることによって、その結合された両遮障材がほぼ水平に延びつつ最後順の筒状体の内部空間を遮る状態となり、収容された物品の上部にその遮障材が当接することによって、最高順の筒状体が下降することが防止される。
こうして、この物品収容ケースは、容易に所定の昇伸状態に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本発明の実施例1の物品収容ケースを示す分解斜視図である。斜め前方から見た図である。
図1B】本発明の実施例1の物品収容ケースを示す分解斜視図である。斜め後方から見た図である。
図1C】本発明の実施例1の物品収容ケースを示す分解斜視図である。斜め前方から見た図である。図1とは異なる分解をした図である。
図2】本発明の実施例1の物品収容ケース示す斜視図である。蓋部・開閉長辺壁部連続体が開状態のものを示す。
図3】本発明の実施例1の物品収容ケースの伸縮状態を示す図である。(a)は最縮小状態を示し、(c)は最伸長状態を示し、(b)は両者間の状態を示す。
図4A】本発明の実施例1の物品収容ケース(最縮小状態)の使用状態を示す斜視図である。
図4B】本発明の実施例1の物品収容ケース(同上)の使用状態(各部材の結合直前)を示す縦断面図である。
図4C】本発明の実施例1の物品収容ケース(同上)の使用状態を示す縦断面図である。便宜的に、閉塞用連結シート70は省略されている(このことは、図5C図6C図7Cにおいても同様である)。
図5A】本発明の実施例1の物品収容ケース(通常の使用が可能な状態における最も縮小した状態)の使用状態を示す斜視図である。
図5B】本発明の実施例1の物品収容ケース(同上)の使用状態(各部材の結合直前)を示す縦断面図である。
図5C】本発明の実施例1の物品収容ケース(同上)の使用状態を示す縦断面図である。
図6A】本発明の実施例1の物品収容ケース(最伸長状態)の使用状態を示す斜視図である。
図6B】本発明の実施例1の物品収容ケース(同上)の使用状態(各部材の結合直前)を示す縦断面図である。
図6C】本発明の実施例1の物品収容ケース(同上)の使用状態を示す縦断面図である。
図7A】本発明の実施例1の物品収容ケース(最伸長状態)の使用状態を示す斜視図である。フォークリフト用パレットを収容してフォークリフトによって搬送する、ということをしない状態を示す(図7B及び図7Cも同様である)。
図7B】本発明の実施例1の物品収容ケース(同上)の使用状態(各部材の結合直前)を示す縦断面図である。
図7C】本発明の実施例1の物品収容ケース(同上)の使用状態を示す縦断面図である。
図8】本発明の実施例2の物品収容ケースを示す分解斜視図である。斜め前方から見た図である。
図9A】本発明の実施例2の物品収容ケース(最伸長状態)の使用状態を示す斜視図である。
図9B】本発明の実施例2の物品収容ケース(同上)の使用状態(各部材の結合直前)を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[実施例1]
次に、本発明の実施例1である物品収容ケースについて、図1図7Cに基づいて説明する。なお、その物品収容ケースが水平面に載置された状態に基づいて説明する。
この実施例1は、2段のもの、すなわち、2つの筒状体を有するものである。
【0030】
図1A図2図4B等に示すように、この物品収容ケースは、2つの筒状体(先順筒状体10,後順筒状体40),筒状体連結シート30a,30b,蓋部・開閉長辺壁部連続体50(蓋部・側部開口部対応壁部連続体)を有している。
また、この物品収容ケースは、閉塞用連結シート70,閉塞用壁体80を有している。
さらに、これらに併せて、この物品収容ケースは、一対の伸長防止用連結材20,各々左右一対の壁体連結部84(図1B)及び上方延出連結材85(結合用連結材)等も有している。
「先順筒状体10」「後順筒状体40」が、各々、本発明の「最先順の筒状体」「最後順の筒状体」に該当する。
【0031】
図3等に示すように、この物品収容ケースでは、2つの筒状体(先順筒状体10,後順筒状体40)がいわゆる「いれこ」状態に組み合わされている。先順筒状体10の横断面は、後順筒状体40の横断面の内部に収容され得る関係にある。
そして、この物品収容ケースは、最も縮小した最縮小状態(図3(a),図4A図4C)と最大限に伸長した最伸長状態(図3(c),図6A図7C)との間(その中間の状態(図3(b),図5A図5C)を含む)を変相可能である。
【0032】
図1A図2等に示すように、2つの筒状体(先順筒状体10,後順筒状体40)は四角筒状をしている。
先順筒状体10,後順筒状体40は、相互に対応する長方形状の横断面形状を有している。すなわち、後順筒状体40は、先順筒状体10よりも若干大きい横断面形状を有している。
両筒状体(先順筒状体10,後順筒状体40)は、ほぼ同一の高さを有している。
【0033】
先順筒状体10は、1つの長辺壁部12a,一対の短辺壁部12bを有しているとともに、底部14を有している。いずれも可撓性を有している。底部14は、正方形に近い長方形状をしている。長辺壁部12a,短辺壁部12bも長方形状をしている。
1つの長辺壁部12aに対向する側部は、壁部を有さず開口しており、側部開口部15が形成されている。
側部開口部15のうちの左右の各縁部には、閉塞用壁体対向片16が設けられている。各閉塞用壁体対向片16は、閉塞用壁体80(そのうちの左右の各縁部及びその近傍)に対向するものである。
【0034】
図1A図2等に示すように、後順筒状体40は、1つの長辺壁部42a,一対の短辺壁部42bを有しているとともに、蓋部・開閉長辺壁部連続体50(蓋部・側部開口部対応壁部連続体)を有している。いずれも可撓性を有している。
【0035】
長辺壁部42a,短辺壁部42bは長方形状をしている。
蓋部・開閉長辺壁部連続体50は、蓋部51及び開閉長辺壁部52(側部開口部対応壁部)を有しており、両者が連続して形成されている。
蓋部51は、正方形に近い長方形状をしており、後順筒状体40の上方開口部に対応している。
蓋部51(蓋部・開閉長辺壁部連続体50)は、蓋部51の一縁部(長辺壁部42aに対応する縁部)において、長辺壁部42aの上縁部に対して回動可能に結合されている。
開閉長辺壁部52は、長辺壁部42aに対向するものであり、先順筒状体10の側部開口部15に対応している。
【0036】
蓋部・開閉長辺壁部連続体50は、両短辺壁部42bに対して、一対のファスナ55を介して着脱可能に結合される。
すなわち、蓋部・開閉長辺壁部連続体50の左右の各縁部と、後順筒状体40の各短辺壁部42bの上縁部及び一縦縁部(先順筒状体10の側部開口部15に該当する一縦縁部)が、各々ファスナ55によって着脱可能とされている。
【0037】
蓋部・開閉長辺壁部連続体50がファスナ55によって両短辺壁部42bに結合された状態で、蓋部・開閉長辺壁部連続体50は閉状態となる。
すなわち、蓋部51は、後順筒状体40の上方開口部を閉塞し、開閉長辺壁部52は、長辺壁部42aに対向する長辺壁部に相当することとなる。
【0038】
図1A図1C図3図4B等に示すように、先順筒状体10と後順筒状体40とは、3枚の筒状体連結シート(1つの筒状体長辺連結シート30a,一対の筒状体短辺連結シート30b)によって連結されている。
すべての筒状体連結シート30a,30bは、合成樹脂によって形成され、可撓性を有している。すべての筒状体連結シート30a,30bは、長方形状をしている。「筒状体連結シート30a,30b」が本発明の「筒状体連結材」に該当する。
【0039】
筒状体長辺連結シート30aは、先順筒状体10の長辺壁部12aと、後順筒状体40の長辺壁部42aとを連結している(図4B等参照)。筒状体長辺連結シート30aの幅は、先順筒状体10の長辺壁部12aの幅とほぼ同一である。
一対の筒状体短辺連結シート30bは、先順筒状体10の一対の短辺壁部12bと、後順筒状体40の一対の短辺壁部42bとを各々連結している(図3等参照)。各筒状体短辺連結シート30bの幅は、先順筒状体10の各短辺壁部12bの幅とほぼ同一である。
各筒状体連結シート30a,30bの長さ(高さ)は、先順筒状体10及び後順筒状体40の高さのほぼ半分である。
【0040】
各筒状体連結シート30a,30bの一端部(基端部)は、先順筒状体10の各壁部12a,12bの外面の上縁部近傍に結合されている。
各筒状体連結シート30a,30bの他端部(先端部)は、後順筒状体40の各壁部42a,42bの内面のほぼ中央高さ部分に結合されている。
【0041】
こうして、図3図7Cに示すように、先順筒状体10及び後順筒状体40は、略同一高さ関係と最大限の後順高位置関係との間を相対的に昇降(変位)可能であり、この物品収容ケースは、最縮小状態(基本状態)と最伸長状態との間を変相可能である。
【0042】
略同一高さ関係とは、図3(a),図4A図4Cに示すように、先順筒状体10と後順筒状体40とがほぼ同一高さ位置に位置する関係である。その際、各筒状体連結シート30a,30bは、その基端部が先端部よりも高い位置に位置し、ほぼ鉛直な平面状となっている。この状態が最縮小状態である。
【0043】
後順高位置関係とは、図3(b)(c),図5A図7Cに示すように、後順筒状体40が先順筒状体10よりも高い位置に位置する関係である。
図3(c),図6A図7Cに示すように、最大限の後順高位置関係の状態においては、各筒状筒状体連結シート30a,30bは、その先端部が基端部よりも高い位置に位置し、ほぼ鉛直な平面状となっている。また、その状態で、後順筒状体40の下縁部と先順筒状体10の上縁部とがほぼ一致する(前者が後者より若干低い)。この状態が最伸長状態である。
【0044】
また、図3(b),図5A図5Cに示すように、先順筒状体10と後順筒状体40とが略同一高さ関係と最大限の後順高位置関係との間(すなわち、中程度の後順高位置関係等)の状態においては、各筒状体連結シート30a,30bは、その基端部と先端部との間の部分において折れ曲がった状態となる。
【0045】
図1A図2等に示すように、一対の伸長防止用連結材20は、先順筒状体10に設けられている。
各伸長防止用連結材20は、可撓性を有する帯状をなしている。各伸長防止用連結材20は、その基端部が先順筒状体10の短辺壁部12bの下縁部のうちの中央部に結合されており、短辺壁部12bの下縁部から離隔する方向に延びている。
各伸長防止用連結材20の先端部の内側(各伸長防止用連結材20がその基端部から上方に延びる状態における内側)には、面ファスナ(オス)26が設けられている。
【0046】
一対の伸長防止用連結材20に対応して、後順筒状体40には、一対の面ファスナ(メス)46が設けられている。
各面ファスナ(メス)46は、帯状をなし、後順筒状体40の各短辺壁部42bの幅方向における中央部において、その下端部から上端部にまで及んでいる。
【0047】
図3図7Cに基づいて前述したように、先順筒状体10と後順筒状体40とは、略同一高さ関係と最大限の後順高位置関係との間において、種々の高さ関係になり得る。
そのいずれの高さ関係においても、図2に示すように、各伸長防止用連結材20が最大限上方に向かうようにされた状態で、各面ファスナ(オス)26(図1A等)が、各面ファスナ(メス)46のうちの対応する部位に結合されることによって、後順筒状体40がそれ以上相対的に上昇することが防止され、この物品収容ケースがそれ以上伸長することが防止される(図4A図5A図6A図7Aも参照)。
【0048】
図1C図2等に示すように、後順筒状体40には、一対の遮障材48が設けられている。
各遮障材48は、可撓性を有する幅細の帯状(紐材)をなし、その基端部において、後順筒状体40の各短辺壁部42bの上縁部近傍(内面)の中央部(短辺壁部42bの幅方向における中央部)に対して取り付けられている。
一方の遮障材48の先端部には面ファスナ(オス)49aが設けられている。それに対応して、他方の遮障材48の先端部(その近傍を含む)に面ファスナ(メス)49bが設けられている。
両遮障材48は、通常においては、重力に基づいて、後順筒状体40の各短辺壁部42bの内面にほぼ沿って下方に垂れた状態にある。
一方、使用者の操作によって、両遮障材48は、後順筒状体40の断面を横切った状態で、面ファスナ(オス)49a・面ファスナ(メス)49bにおいて、着脱可能に相互に結合され得る。
【0049】
図1A図1C図4B等に示すように、後順筒状体40の開閉長辺壁部52(蓋部・開閉長辺壁部連続体50)には、閉塞用連結シート70を介して、閉塞用壁体80が連結されている。
【0050】
閉塞用壁体80は、長方形状をしており、開閉長辺壁部52とほぼ同一の大きさを有しており、先順筒状体10の側部開口部15に対応している。
【0051】
閉塞用連結シート70は、合成樹脂によって形成され、可撓性を有している。「閉塞用連結シート70」が本発明の「閉塞用連結材」に該当する。
閉塞用連結シート70は、長方形状をしている。閉塞用連結シート70の幅は閉塞用壁体80の幅とほぼ同一である。閉塞用連結シート70の長さ(高さ)は、閉塞用壁体80の高さとほぼ同一である。
閉塞用連結シート70の一端部(基端部)は、開閉長辺壁部52の外面のほぼ中央高さ部分に結合されている。閉塞用連結シート70の他端部(先端部)は、閉塞用壁体80の内面のうちの中央高さ部分よりも上方の部分に結合されている。
【0052】
こうして、図4A図7Cに示すように、閉塞用壁体80は、後順筒状体40の開閉長辺壁部52に対して、相対的に昇降(開閉長辺壁部52の高さ方向に変位)可能である。
図7B及び図7Cに示すように、閉塞用壁体80が開閉長辺壁部52に対して最も下降した状態において、閉塞用壁体80の下縁部から開閉長辺壁部52の上縁部までの長さは、最大限の後順高位置関係の状態(前述)における物品収容ケースの高さとほぼ同一の長さとなる。そのように設定されている。
【0053】
図1A図2等に示すように、先順筒状体10の側部開口部15のうちの左右の縁部には、閉塞用壁体対向片16が設けられている。
各閉塞用壁体対向片16は、先順筒状体10の高さと同一の長さを有する帯状をなし、先順筒状体10の各短辺壁部12bの一側縁部(側部開口部15の側の側縁部)から、側部開口部15を塞ぐ方向に(他方の閉塞用壁体対向片16に向かうように)短く延びている。
【0054】
図1A等に示すように、各閉塞用壁体対向片16の内部には、鉄片17が内蔵されている。
閉塞用壁体80の中途高さ位置及び下部における左右の端部には、永久磁石87が内蔵されている。
こうして、閉塞用壁体80は、各閉塞用壁体対向片16に対して、磁力によって着脱可能に結合される。
【0055】
図1B図4B等に示すように、各々左右一対の壁体連結部84及び上方延出連結材85は、閉塞用壁体80に設けられている。「壁体連結部84」及び「上方延出連結材85」が本発明の「結合用連結材」に該当する。
【0056】
各壁体連結部84は、閉塞用壁体80の高さ方向に延びる帯状の面ファスナ(オス)であり、閉塞用壁体80の裏面に結合されている。壁体連結部84は、閉塞用壁体80のうち閉塞用連結シート70の先端部が結合されている部分から閉塞用壁体80の上端部まで及んでいる。
各上方延出連結材85は、可撓性を有する帯状をなしている。各上方延出連結材85は、その基端部が閉塞用壁体80の上縁部(各壁体連結部84の上端部)に結合されており、閉塞用壁体80の上縁部から離隔する方向に延びている。
各上方延出連結材85の裏面(各結合用連結材がその基端部から上方に延びる状態における内側の面)には、面ファスナ(オス)86が設けられている。
各上方延出連結材85と各壁体連結部84とは連続しており、ほぼ一直線状とされている。
【0057】
一対の壁体連結部84及び上方延出連結材85に対応して、後順筒状体40の蓋部・開閉長辺壁部連続体50の開閉長辺壁部52には、一対の面ファスナ(メス)56が設けられている。
各面ファスナ(メス)56は、帯状をなし、開閉長辺壁部52のおもて面(外面)において、その上下方向(開閉長辺壁部52が各短辺壁部42bに結合され鉛直の状態における上下方向)に延びている。
各結合用連結材の基端部は、開閉長辺壁部52のおもて面のうち閉塞用連結シート70の基端部が結合されている部分において、閉塞用連結シート70とともに結合され、開閉長辺壁部52のおもて面において上方に延び、開閉長辺壁部52の上縁部にまで及んでいる。
【0058】
図3図7Cに基づいて前述したように、閉塞用壁体80は、後順筒状体40の開閉長辺壁部52に対して、相対的に昇降(開閉長辺壁部52の高さ方向に変位)可能である。
そのいずれの高さ関係においても、各壁体連結部84(面ファスナ(メス)及び上方延出連結材85(面ファスナ(オス)86)が各面ファスナ(メス)56のうちの対応する部位に結合されることによって、閉塞用壁体80が開閉長辺壁部52に沿った状態に維持される。すなわち、開閉長辺壁部52が鉛直の状態において、閉塞用壁体80が鉛直に維持される。
【0059】
図1C図4B等に示すように、後順筒状体40の開閉長辺壁部52(蓋部・開閉長辺壁部連続体50)の下部(先端部)は、折り曲げ可能片60とされている。
折り曲げ可能片60は、折り曲げ線65を基準に、上方に向けて(すなわち、開閉長辺壁部52の基端部に向けて)折り曲げ可能である。折り曲げ線65は、開閉長辺壁部52の下縁部(先縁部)の近傍において、当該下縁部(先縁部)と平行に延び、おもて側において谷状に折り曲げられる線である。
こうして、折り曲げ可能片60は、基本姿勢と折り曲げ姿勢との間を変位可能である。
なお、ここで、上/下は、開閉長辺壁部52が、側部開口部15に対応して鉛直になった状態に基づくものである。
【0060】
基本姿勢は、折り曲げ可能片60が下方に向かい、開閉長辺壁部52がほぼ一平面状になる姿勢である。
折り曲げ姿勢とは、折り曲げ可能片60が上方に折り曲げられ、開閉長辺壁部52のうちの折り曲げ可能片60以外の部分(折り曲げ線65を基準に )に沿う状態である。
【0061】
折り曲げ可能片60(その下縁部の近傍)における左右の端部には、面ファスナ(オス)68が設けられている。
これに対応して、開閉長辺壁部52のうちの折り曲げ線65を基準に面ファスナ(オス)68とは対称的な位置に、面ファスナ(メス)58が設けられている。
このため、折り曲げ可能片60が折り曲げ姿勢にある状態において、面ファスナ(オス)68と面ファスナ(メス)58とが着脱可能に結合されることによって、折り曲げ可能片60が折り曲げ姿勢に維持される。
【0062】
次に、この物品収容ケースの使用方法及び作用効果について説明する。
この物品収容ケースをフォークリフトで搬送する際には、図2図4A図6Cに示すように、この物品収容ケースの内部に予めフォークリフト用パレットPが収容される。フォークリフト用パレットPは、この物品収容ケースの最下部において底部14の上に載置される。
その状態で、物品収容ケースの内部に物品Lが収容される。すなわち、フォークリフト用パレットPの上に物品Lが載置される。
【0063】
上述のようにフォークリフト用パレットPや物品Lが物品収容ケースに収容する作業がされる場合は、図2に示すように、蓋部・開閉長辺壁部連続体50は開状態とされる。
すなわち、一対のファスナ55が開状態とされ、蓋部・開閉長辺壁部連続体50の左右の各縁部と後順筒状体40の各短辺壁部42bの上縁部及び一縦縁部とが分離され、蓋部51がほぼ上方又は後方に向かう状態とされ、開閉長辺壁部52が後方又は後方においてほぼ下方に向かう状態とされる。
この状態とされることによって、物品L等の収容作業を容易に行うことができる。
逆に、物品収容ケースから物品L等が取り出す作業がされる場合も、同様である。
【0064】
物品収容ケースに物品Lを収容する作業がされる際(フォークリフト用パレットP上に載置された直後)には、その物品Lの高さ(複数の物品Lが収容される場合は、その全体の高さ)に応じて、先順筒状体10に対する後順筒状体40の高さが調整され、この物品収容ケース全体の高さが調整される。すなわち、図3図7Cに基づいて前述したように、この物品収容ケースは、最縮小状態(図3(a),図4A図4C)と最伸長状態(図3(c),図6A図6C)との間を変相される。
【0065】
すなわち、図1A等に示すように、伸長防止用連結材20(面ファスナ(オス)26)が後順筒状体40の面ファスナ(メス)46から分離され、かつ、図2等に示すように、遮障材48同士も分離された状態で、物品Lの収容作業がされ、後順筒状体40が昇降される。そして、図4B図5B図6B等に示すように、後順筒状体40が所定の高さに位置づけられた状態で、遮障材48同士が結合される。
より正確にいうと、後順筒状体40が所定の高さより若干高い位置に位置づけられた状態で、遮障材48同士が結合され、その状態で後順筒状体40が若干下降され、結合状態の遮障材48が物品Lの上端部に当接することによって、後順筒状体40が所定の高さ位置に位置づけられる。
こうして、後順筒状体40が所定の高さ位置から下降することが防止される。
【0066】
その状態で、蓋部・開閉長辺壁部連続体50は閉状態とされる。
すなわち、図4A図5A図6A等に示すように、蓋部51が水平状態とされ、開閉長辺壁部52が前方において鉛直下方に向かう状態とされる。その状態で、一対のファスナ55が閉状態とされ、蓋部・開閉長辺壁部連続体50の左右の各縁部と後順筒状体40の各短辺壁部42bの上縁部及び一縦縁部とが結合される。
【0067】
上述のようにして後順筒状体40が所定の高さに位置づけられた状態で、伸長防止用連結材20(面ファスナ(オス)26(図1A等))が後順筒状体40の面ファスナ(メス)46に結合される。
より詳細にいえば、伸長防止用連結材20がまっすぐ上方に延びる状態で、面ファスナ(オス)26が面ファスナ(メス)46のうちの対応する部分に結合される。すなわち、面ファスナ(メス)46のうちのできるだけ高い位置に結合される。
こうして、後順筒状体40が所定の高さ位置から上昇することが防止され、物品収容ケースが所定の高さよりも伸長することが防止される。
【0068】
以上のようにして、収容される物品Lの高さに応じて、後順筒状体40が所定の高さ位置に調整され、その所定の高さ位置に維持される。すなわち、物品収容ケースが所定の高さに調整され、所定の高さに維持される。
なお、当然ながら、収容される物品Lの高さが最縮小状態の物品収容ケースに相応する高さ未満の場合は、この物品収容ケースは最縮小状態にされ、維持される。
【0069】
そして、この物品収容ケースが最縮小状態又はそれに近い状態(略最縮小状態ということとする)以外の場合は、次のようにされる。
この物品収容ケースが略最縮小状態よりもやや伸長した状態(通常の使用が可能な状態における最も縮小した状態)においては、図5A図5Cのようにされる。なお、「通常の使用」とは、開閉長辺壁部52が一鉛直平面状をなし、折り曲げ可能片60が基本姿勢(折り曲げられない状態)のまま使用する態様をいうこととする。
また、この物品収容ケースが最伸長状態においては、図6A図6Cのようにされる。
図5A図6Cに示すように、両状態において、閉塞用壁体80が、先順筒状体10及び後順筒状体40の所定の高さ位置に取り付けられる。両状態の間の状態においても同様である。
【0070】
図5A図6Cに示すように、先順筒状体10に対しては、側部開口部15のうちフォークリフト用パレットPに対応する部分以外を塞ぐようにされる。すなわち、先順筒状体10においては、閉塞用壁体80の下縁部がフォークリフト用パレットPの上縁部とほぼ同一になるようにされ、この物品収容ケースの密閉状態が維持されつつ、フォークリフト用パレットPが外部に覗く状態とされる。
その位置関係になるべく、閉塞用壁体80は、先順筒状体10(一対の閉塞用壁体対向片16)に対して取り付けられる。すなわち、閉塞用壁体80に内蔵された永久磁石87が閉塞用壁体対向片16に内蔵された鉄片17を吸着することによって、閉塞用壁体80が先順筒状体10(閉塞用壁体対向片16)に対して取り付けられる。
こうして、この物品収容ケースがほぼ密閉状態に維持されつつ、フォークリフト用パレットPに対してフォークリフトのフォークFが挿通され得る状態となる。
【0071】
後順筒状体40に対しては、左右一対の壁体連結部84及び/又は上方延出連結材85が、開閉長辺壁部52の左右一対の面ファスナ(メス)56に各々結合される。
すなわち、図5A図5Cに示すように、この物品収容ケースが略最縮小状態よりもやや伸長した状態(通常の使用が可能な状態における最も縮小した状態)においては、左右一対の壁体連結部84(面ファスナ(オス))、及び、上方延出連結材85(面ファスナ(オス)86)のうちの下部(基端部及びその近傍)が、開閉長辺壁部52の左右一対の面ファスナ(メス)56に各々結合される。
また、図6A図6Cに示すように、この物品収容ケースが最伸長状態においては、上方延出連結材85(面ファスナ(オス)86)のうちの略上半部(先端部の側の略半部)が、開閉長辺壁部52の左右一対の面ファスナ(メス)56に各々結合される。
こうして、閉塞用壁体80がほぼ鉛直に維持される。
【0072】
また、この物品収容ケースが最縮小状態の場合は、図4A図4Cのようにされる。最縮小状態に近い状態(略最縮小状態ということとする)も同様である。
この場合は、後順筒状体40の開閉長辺壁部52(蓋部・開閉長辺壁部連続体50)の折り曲げ可能片60が折り曲げ姿勢とされる。すなわち、折り曲げ可能片60が上方に折り曲げられ、面ファスナ(オス)68が面ファスナ(メス)58に結合され、折り曲げられた状態に維持される。
【0073】
その状態で、閉塞用壁体80が後順筒状体40に取り付けられる。
すなわち、閉塞用壁体80の下縁部が折り曲げ線65(折り曲げ可能片60の基縁部)とほぼ同一高さ位置に位置づけられ、閉塞用壁体80の各壁体連結部84(面ファスナ(オス))が、開閉長辺壁部52の各面ファスナ(メス)56に結合される。
こうして、この物品収容ケースがほぼ密閉状態に維持されつつ、フォークリフト用パレットPが外部に覗く状態とされ、フォークリフト用パレットPに対してフォークリフトのフォーク(ツメ)が挿通され得る状態となる。
【0074】
また、フォークリフトで搬送することを想定しない場合や、この物品収容ケースがフォークリフト用パレットPの上に載置されてフォークリフトによって搬送される場合は、この物品収容ケースの内部にフォークリフト用パレットPが収容されることなく、使用される。
その場合は、次のように使用される。
図4A図4Cに対応する場合は、後順筒状体40の開閉長辺壁部52(蓋部・開閉長辺壁部連続体50)の折り曲げ可能片60が基本姿勢とされ、開閉長辺壁部52は、その下縁部が開閉長辺壁部52の下縁部に対応する(ほぼ同一高さに位置する)高さ位置において、開閉長辺壁部52に取り付けられる。
【0075】
図6A図6Cに対応する場合は、図7A図7Cに示すように、開閉長辺壁部52は、その下縁部が開閉長辺壁部52の下縁部に対応する(ほぼ同一高さに位置する)高さ位置において、開閉長辺壁部52に取り付けられる。
図5A図5Cに対応する場合も同様である。
【0076】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2である物品収容ケースについて、図8図9Bに基づいて説明する。
実施例2は実施例1の変形例であるため、同一又は共通する要素については同一の符号を付して説明を適宜省略し、相違点を中心に説明する。
この実施例2は、4段のもの、すなわち、4つの筒状体を有するものである。
【0077】
この物品収容ケースは、実施例1の要素に加えて、2つの筒状体(第1中間筒状体100A,第2中間筒状体100B)を有している。
また、実施例1における「先順筒状体10」「後順筒状体40」を「最先順筒状体10」「最後順筒状体40」と称することとする。
【0078】
この物品収容ケースでは、4つの筒状体(最先順筒状体10,第1中間筒状体100A,第2中間筒状体100B,最後順筒状体40)がいわゆる「いれこ」状態に組み合わされている。
すなわち、最先順筒状体10の横断面は、第1中間筒状体100Aの横断面の内部に収容され得る関係にある。
第1中間筒状体100Aの横断面は、第2中間筒状体100Bの横断面の内部に収容され得る関係にある。
第2中間筒状体100B横断面は、最後順筒状体40の横断面の内部に収容され得る関係にある。
そして、この物品収容ケースは、最も縮小した最縮小状態(実施例1における図3(a)に相当する)と最伸長状態(図9A及び図9B)との間(その中間の状態を含む)を変相可能である。
【0079】
2つの筒状体(最先順筒状体10,最後順筒状体40)とともに、2つの筒状体(第1中間筒状体100A,第2中間筒状体100B)も四角筒状をしている。
最先順筒状体10,第1中間筒状体100A,第2中間筒状体100B,最後順筒状体40は、相互に対応する長方形状の横断面形状を有している。
すなわち、最後順筒状体40は、第2中間筒状体100Bよりも若干大きい横断面形状を有している。
第2中間筒状体100Bは、第1中間筒状体100Aよりも若干大きい横断面形状を有している。
第1中間筒状体100Aは、最先順筒状体10よりも若干大きい横断面形状を有している。
4つの筒状体(最先順筒状体10,第1中間筒状体100A,第2中間筒状体100B,最後順筒状体40)は、ほぼ同一の高さを有している。
【0080】
第1中間筒状体100A及び第2中間筒状体100Bは、ともに、一対の長辺壁部112a,一対の短辺壁部112bを有している。いずれも可撓性を有している。
【0081】
最先順筒状体10と第1中間筒状体100Aとは、3枚の筒状体連結シート(1つの筒状体長辺連結シート30a,一対の筒状体短辺連結シート30b)によって連結されている。
第1中間筒状体100Aと第2中間筒状体100Bとは、4枚の筒状体連結シート(一対の筒状体長辺連結シート30a,一対の筒状体短辺連結シート30b)によって連結されている。
第2中間筒状体100Bと最後順筒状体40とは、3枚の筒状体連結シート(1つの筒状体長辺連結シート30a,一対の筒状体短辺連結シート30b)によって連結されている。
【0082】
4つの筒状体10,100A,100B,40における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、各筒状体連結シート30a,30bの一端部(基端部)は、先順の筒状体(10,100A,100B)の各壁部(12a,12b,112a,112b)の外面の上縁部近傍に結合されている。
また、各筒状体連結シート30a,30bの他端部(先端部)は、後順の筒状体(100A,100B,40)の各壁部(112a,112b,42a,42b)の内面のほぼ中央高さ部分に結合されている。
【0083】
こうして、最先順筒状体10及び第1中間筒状体100Aは、略同一高さ関係と最大限の後順高位置関係との間を相対的に昇降(変位)可能である。
第1中間筒状体100A及び第2中間筒状体100Bは、略同一高さ関係と最大限の後順高位置関係との間を相対的に昇降(変位)可能である。
第2中間筒状体100B及び最後順筒状体40は、略同一高さ関係と最大限の後順高位置関係との間を相対的に昇降(変位)可能であり、
こうして、この物品収容ケースも、最縮小状態(基本状態)と最伸長状態との間を変相可能である。
【0084】
第1中間筒状体100A及び第2中間筒状体100Bの各々一対の長辺壁部112aのうち、前方の長辺壁部112a(最先順筒状体10において側部開口部15が形成されている側の長辺壁部112a)の左右の各縁部近傍には、鉄片117が内蔵されている。
この鉄片117は、実施例1における各閉塞用壁体対向片16に内蔵された鉄片17に相当するものである。
【0085】
この実施例2における閉塞用連結シート70は、実施例1における閉塞用連結シート70よりも長く形成されている。
同様に、この実施例1における各上方延出連結材85は、実施例1における各上方延出連結材85よりも長く形成されている。
【0086】
実施例2の物品収容ケースは、実施例1と同様に使用され、実施例1と同様の作用効果が得られる。
この物品収容ケースが最伸長状態においては、図9A及び図9Bに示すように、閉塞用壁体80が、最先順筒状体10の所定の高さ位置に取り付けられる。
【0087】
先順筒状体10に対しては、側部開口部15のうちフォークリフト用パレットPに対応する部分を以外を塞ぐようにされる。すなわち、先順筒状体10においては、閉塞用壁体80の下縁部がフォークリフト用パレットPの上縁部とほぼ同一になるようにされる。
その位置関係になるべく、閉塞用壁体80は、先順筒状体10(一対の閉塞用壁体対向片16)に対して取り付けられる。すなわち、閉塞用壁体80に内蔵された永久磁石87が閉塞用壁体対向片16に内蔵された鉄片17を吸着することによって、閉塞用壁体80が先順筒状体10(閉塞用壁体対向片16)に対して取り付けられる。
こうして、この物品収容ケースがほぼ密閉状態に維持されつつ、フォークリフト用パレットPに対してフォークリフトのフォークが挿通され得る状態となる。
また、上方延出連結材85(面ファスナ(オス)86)のうちの上部が、開閉長辺壁部52の左右一対の面ファスナ(メス)56に各々結合される。
こうして、閉塞用壁体80がほぼ鉛直に維持される。
【0088】
また、最伸長状態よりも縮小した状態であって、閉塞用壁体80が第1中間筒状体100A又は第2中間筒状体100Bに対峙する場合は、閉塞用壁体80に内蔵された永久磁石87が第1中間筒状体100A又は第2中間筒状体100Bに内蔵された鉄片117を吸着することによって、閉塞用壁体80が第1中間筒状体100A又は第2中間筒状体100Bに対して取り付けられる。
なお、この物品収容ケースが、第1中間筒状体100A又は第2中間筒状体100Bに閉塞用壁体80が対峙することになる高さの場合は、第1中間筒状体100A及び/又は第2中間筒状体100Bについては、最も下降した位置より若干高い位置に維持して、フォークリフト用パレットPが覗いた状態を維持させる。
【0089】
なお、上記のものはあくまで本発明の2例の実施例にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【0090】
例えば、上記実施例は、2つ又は4つの筒状体(10,100A,100B,40)を有するものであるが、筒状体の数は、3つ、又は5つ以上でもよい。
また、上記実施例における各要素を結合させる各面ファスナについては、そのオス・メスが逆にされてもよい。
また、各要素を結合させるものとして、例えば、ホック(フック)等、面ファスナ以外のものが使用されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 先順筒状体/最先順筒状体(最先順の筒状体)
12a 長辺壁部(壁部)
12b 短辺壁部(壁部)
14 底部
15 側部開口部
16 閉塞用壁体対向片
17 鉄片
20 伸長防止用連結材
30a 筒状体長辺連結シート(筒状体連結シート)
30b 筒状体短辺連結シート(筒状体連結シート)
40 後順筒状体/最後順筒状体(最後順の筒状体)
42a 長辺壁部(壁部)
42b 短辺壁部(壁部)
48 遮障材
50 蓋部・開閉長辺壁部連続体(蓋部・側部開口部対応壁部連続体)
52 開閉長辺壁部(側部開口部対応壁部)
55 ファスナ
60 折り曲げ可能片
70 閉塞用連結シート
80 閉塞用壁体
84 壁体連結部(結合用連結材)
85 上方延出連結材(結合用連結材)
87 永久磁石
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B