(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】外転型回転電機および巻上機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/22 20060101AFI20220812BHJP
H02K 5/18 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H02K9/22
H02K5/18
(21)【出願番号】P 2018169497
(22)【出願日】2018-09-11
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀 雅寛
(72)【発明者】
【氏名】三好 努
(72)【発明者】
【氏名】税所 亮平
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-104620(JP,A)
【文献】実開昭56-164688(JP,U)
【文献】特開2005-098163(JP,A)
【文献】特開2000-224821(JP,A)
【文献】特開2018-090381(JP,A)
【文献】特開平05-344683(JP,A)
【文献】特開2001-327152(JP,A)
【文献】特開2017-050908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/22
H02K 5/18
H02K 7/14
H02K 7/102
H02K 7/08
B66B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と、該軸の軸中心まわりに回転可能な回転子フレームと、該回転子フレームの内周側に取付けた回転子コアおよび永久磁石を備えた回転子と、前記軸のまわりに設け
内径側に内径側空間部を有する固定子フレームと、前記永久磁石と所定の空隙を有して前記回転子の内径側に配置され前記固定子フレームに取付けられた固定子コアおよびコイルを備えた固定子と、
前記内径側空間部に放熱フィンと、を有する外転型回転電機であって、
前記放熱フィンは、前記固定子
フレームの前記
内径側空間部から前記軸に平行に前記固定子フレームの外側の
端面を超えて延伸する
フィン吸熱部と前記フィン吸熱部の熱を前記固定子フレームの外側で放熱するフィン放熱部とが一体に形成されており、前記放熱フィンを固定子フレームの外側から前記内径側空間部に挿入し、該挿入された前記放熱フィンの前記フィン放熱部と前記固定子フレームの前記端面とを固定したことを特徴とする外転型回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載された外転型回転電機において、前記固定はネジを用いて行う外転型回転電機。
【請求項3】
請求項1に記載された外転型回転電機において、前記外転型回転電機は全閉型である外転型回転電機。
【請求項4】
請求項1に記載された外転型回転電機において、前記軸は回転軸であり、前記回転子フレームは該回転軸まわりに固定され、前記固定子は前記回転軸の回転を可能にする軸受を有する外転型回転電機。
【請求項5】
請求項1に記載された外転型回転電機において、前記軸は固定軸であり、前記回転子フレームは該固定軸まわりを回転可能にする軸受を有する外転型回転電機。
【請求項6】
請求項1に記載された外転型回転電機において、前記放熱フィンの表面を粗面に加工した外転型回転電機。
【請求項7】
請求項1に記載された外転型回転電機において、前記放熱フィンは、複数枚のフィンが連結されたフィンユニットを構成している外転型回転電機。
【請求項8】
請求項7に記載された外転型回転電機において、前記放熱フィンが前記固定子に放射状に配置され、前記固定子フレームの外側端面に固定されている外転型回転電機。
【請求項9】
請求項
1に記載された外転型回転電機において、前記軸の前記軸中心から前記フィン吸熱部の端面までの位置よりも前記軸中心からフィン放熱部までの位置が大きくなるようにした前記フィン放熱部を有する外転型回転電機。
【請求項10】
請求項
9に記載された外転型回転電機において、前記放熱フィンは断面がL字状である外転型回転電機。
【請求項11】
請求項
1に記載された外転型回転電機において、前記放熱フィンは、前記フィン吸熱部と前記フィン放熱部とを高熱伝導材で連結した外転型回転電機。
【請求項12】
請求項
1に記載された外転型回転電機において、前記放熱フィンは、前記フィン吸熱部と前記フィン放熱部とが略直交して接合されている外転型回転電機。
【請求項13】
請求項
12に記載された外転型回転電機において、前記フィン放熱部は重力方向に配置されている外転型回転電機。
【請求項14】
請求項1に記載された外転型回転電機において、前記回転子フレームの外側にロープを巻付けるためのシーブと、前記固定子フレームに前記回転子フレームの回転を抑制するためのブレーキと、を設けた巻上機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外転型回転電機およびエレベータなどに用いる巻上機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、巻上機(例えば、エレベータ用の巻上機)の小型化のニーズにより、機構(シーブ、筐体)とブレーキ、回転電機が一体となった構造が主流となっている。
そのため、回転電機においても小型化(高トルク密度化)が求められる。回転電機の高トルク密度化の手段の一つとして、外転型回転電機がある。外転型回転電機は、回転子が、固定子の外周側に配置されているため、回転子と固定子間の間隙(ギャップ)の半径を大きくできる。また、外転型回転電機は、回転子が外側にあるため1極分の周長が長くなり大きな磁石を配置できるという特徴がある。このため、外転型回転電機は、内転型回転電機に対し、高トルク密度化が可能となる。
しかし、外転型回転電機は、主な発熱源であるコイルが内径側に位置するため、コイルの配置スペースが小さくなることで放熱面積も小さくなり、回転電機内の温度が高くなる。よって、小型・軽量の外転型回転電機を実現するには、外転型回転電機の冷却性能向上が必要となる。
【0003】
外転型回転電機の冷却性能向上を図った技術として、特開2017-50908号公報(特許文献1)、特開2018-90381号公報(特許文献2)が知られている。
特許文献1の技術は、外転型回転電機において、固定子の内周側の空間に固定子で発生する熱を放熱するための放熱フィンを設けている。また、この内周側空間の空気を排気するため回転子の回転子フレーム内部に回転翼を設けている。この構成により、回転子内部の放熱を促進することができるため、冷却性能を向上させることができる。
また、特許文献2の技術は、特許文献1と同様に、外転型回転電機において、固定子の内周側の空間に固定子で発生する熱を伝導して放熱するための放熱フィンを設け、さらにこの内部空間内に回転軸と一緒に回転するファンを設けている。このような構成により、特許文献1と同様に、回転子内径側の放熱を促進することができるため、冷却性能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-50908号公報
【文献】特開2018-90381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、固定子内周側に放熱フィンを固定子と密着させるように取付けているが、放熱フィンを固定子内周側にどのようにして取付けるのかについての記載はない。また、特許文献2では、固定子内周側への放熱フィンを取付けは、ネジ止め等で行うことが記載されている。しかし、放熱フィンをネジ等で固定する場合、ステータ内径側にネジ穴を加工する必要があるが、固定子フレームの内部の円筒部にネジ穴を設ける作業は非常に困難である。つまり、固定子の内径側は円筒形状であるため位置決めが難しいこと、スペースに制約があるため大きな工具が使用できないことなどの理由により固定子フレームへの加工が困難である。さらに、実際に固定子フレーム内部の狭い空間において放熱フィンをネジ止め固定する作業も困難である。
このように、特許文献1および2に記載された外転型回転電機の場合、組立前の加工および組立作業が大変であり、作業工数、作業時間がかかるという問題を残している。なお、フィンのフレームへの加圧が不十分であると、フィンとフレームとの間に空気層が形成され、熱抵抗が大きくなり十分な冷却性能を得られない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は固定子と放熱フィンの取付けを容易にし、かつ冷却性を向上することができる外転型回転電機および、その外転型回転電機を用いた巻上機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、その一例を挙げると、軸と、該軸の軸中心まわりに回転可能な回転子フレームと、該回転子フレームの内周側に取付けた回転子コアおよび永久磁石を備えた回転子と、前記軸のまわりに設け内径側に内径側空間部を有する固定子フレームと、前記永久磁石と所定の空隙を有して前記回転子の内径側に配置され前記固定子フレームに取付けられた固定子コアおよびコイルを備えた固定子と、前記内径側空間部に放熱フィンと、を有する外転型回転電機であって、前記放熱フィンは、前記固定子フレームの前記内径側空間部から前記軸に平行に前記固定子フレームの外側の端面を超えて延伸するフィン吸熱部と前記フィン吸熱部の熱を前記固定子フレームの外側で放熱するフィン放熱部とが一体に形成されており、前記放熱フィンを固定子フレームの外側から前記内径が空間部に挿入し、該挿入された前記放熱フィンの前記フィン放熱部と前記固定子フレームの前記端面とを固定したことを特徴とする外転型回転電機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、放熱フィンを固定子フレームの外側にて固定するようにしたので、放熱フィンの取付けが簡単で、かつ放熱フィンの面積を多くすることができ冷却性能の高い外転型回転電機および巻上機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施例における外転型回転電機を採用した巻上機の軸方向の半分の断面を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施例における外転型回転電機の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施例における外転型回転電機の外転型回転電機の放熱フィンの取付け方法を示す図である。
【
図4】
図4は、外転型回転電機の放熱フィンの取付け方法の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、外転型回転電機の放熱フィンの取付け方法の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、外転型回転電機の放熱フィンの取付け方法の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施例における外転型回転電機を採用した巻上機の軸方向の半分の断面を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施例における外転型回転電機の斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4の実施例における外転型回転電機の斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第5の実施例における外転型回転電機を採用した巻上機の軸方向の半分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための実施例について図面を用いて説明する。なお、以下に説明する本発明の実施例により、本発明が限定されるものではない。また、以下の各実施例において、同一物または同様の機能を有する構成部品には同一符号を用いて、実施例における重複する説明を省略する場合がある。また、図に示す各構成機器の形状、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易にするために、実際の形状、位置関係、等とは異なる記載になっている場合がある。
【0011】
(第1の実施例)
まず、
図1~
図3を用いて、本発明の第1の実施例を説明する。
図1は、本発明の第1の実施例における外転型回転電機を採用した巻上機の軸方向の半分の断面を示す図である。すなわち、
図1では、軸の中心から上半分の断面図を示しており、下半分の断面の記載は省略している。
図2は、本発明の第1の実施例における外転型回転電機の斜視図である。
図3は、本発明の第1の実施例における外転型回転電機の放熱フィンの固定方法(取付け方法)を示す図である。
【0012】
第1の実施例における外転型回転電機を用いた巻上機1は、外転型回転電機の回転子5の外側(回転子フレーム4の外側面)にシーブ25を備えている。また、固定子9(固定子フレーム8)に固定した、ブレーキ27を備えている。
図1において、シーブ25と、ブレーキ27を除いた部分が外転型回転電機の構成である。
回転子5は、回転子コア2と、永久磁石3と、回転子フレーム4とで構成される。永久磁石3は、回転子コア2の内径側に取付けられている。
固定子9は、固定子コア6とコイル7と、固定子フレーム8とで構成されている。固定子フレーム8は、固定子コア6とコイル7を取付けており、回転子5の外周面を覆う部分を有している。固定子9の外周面と回転子5の内周側に取付けられている永久磁石3との間は、所定の間隙を設けて配置されている。
軸中心(
図1の一点鎖線)に設けられた回転軸12と、回転子5の回転子フレーム4の軸側端部は回転軸12に固定されている。これにより、回転軸12と、回転子5とが一体として回転可能になっている。また、回転軸12は、固定子9の固定子フレーム8と軸受10を介して取付けられており、回転軸12は軸中心まわりに回転が可能になっている。固定子フレーム8は、回転子5の外周面を覆う部分も設けており、これにより回転電機内に塵埃(ごみや埃、鉄粉など)が入り込むことを防止している。
【0013】
ここで、コイル7は、集中巻により固定子コア6に取り付けられることが望ましい。これにより、コイル7の軸方向短部の長さが短くなり、外転型回転電機の軸方向長さが短くなることで、小型化が可能となる。また、軸受10は、固定子9の軸方向中心に対し片側に配置され、固定子フレーム8の内径側に空間を設けるように構成される。
【0014】
また、外転型回転電機は、外部の空気を回転電機内部に取込まない全閉構造が望ましい。これにより、ごみや埃、鉄粉などが回転電機内部に入ることを防ぎ、メンテナンス性が向上する。なお、本実施例では、回転子5の外周面を覆う部分を有しており、回転子外周面と固定子の外部の覆っている部分との間の隙間からは空気の出入りがほとんどないので、ごみや埃、鉄粉などが電機内に侵入する心配はない。
なお、
図1の実施例では、軸受10の他に、回転を安定させるために補助軸受11を設けている。しかし、この補助軸受11は必ずしも必要ではなく、軸受10をより固定子9の軸方向中心側に配置しても良い。
【0015】
外転型回転電機は、固定子9のコイル7に電流を流し、コイル7で発生する磁界と回転子5側の永久磁石3の磁界との間の磁気的な吸引と反発により、回転子5が回転する。このとき、コイル7に発生した熱は、固定子コア6を介して固定子フレーム8の内径側空間部13内を上昇させる。固定子フレーム8の内径側空間部13は、固定子フレーム8の外側の端面から見て窪みとなっている。そのため、そのままでは内部の熱が外部に放出されにくく、高温のまま留まる。つまり、このままでは外転型回転電機の内部の温度上昇を低減することはできない。この発生する熱を効果的に放熱(冷却)するために、放熱フィン15を設けている。
【0016】
図1における放熱フィン15は、固定子フレーム8の内径側空間部13から固定子フレーム8の外側の端面を超えて延伸する構成となっている。すなわち、放熱フィン15は、フィンの内径側空間部13内にある部分(フィン吸熱部16)が、固定子フレーム8の外側にまで延伸し、外部に露出した部分(フィン放熱部17)を有している。具体的には、放熱フィン15は、固定子フレーム8の外側まで延伸し断面がL字状構成されている。
このような構成により、固定子9の内径側空間部13の熱をフィン吸熱部16が吸熱し、固定子フレーム外面に配備されているフィン放熱部17に熱を伝導し外部空間に放熱する。これにより、固定子フレーム8の内部(内径側空間部13)の温度を低減させ、結果的に回転電機内部の温度を低減する(冷却する)ことができる。この放熱フィン15は、フィン放熱部17を有しているため、放熱面積が大きく、冷却能力は向上する。
なお、フィン吸熱部16は、熱伝導を効率良く行わせるために内部で固定子フレーム8と接触するように構成するのが好ましい。なお、この接触がなくても一定の冷却は可能である。また、フィン放熱部17もできるだけ固定子フレーム8と近接させ、接触するようにした方が固定子フレーム8の部分も冷却に使用できるので冷却性能が向上する。
【0017】
放熱フィン15は、固定子フレーム8の外側の面において固定される。この固定部14における固定は、固定子フレーム8の外側の面で行うので、作業空間は広く、取付けのための加工や取付け作業が容易である。すなわち、固定子フレーム8の内径側空間で固定する(取付ける)のではなく、内径側にある放熱フィン(フィン吸熱部16)を延伸させてフィン放熱部17を形成し、このフィン放熱部17と固定子フレーム8の外面とを固定している。
そのため、固定子9の内面部の狭い空間における固定のための加工が不要となり、かつ狭い空間内における固定作業も不要になる。また、固定子フレーム8の外側の端面は平面であり加工が容易であり、確実に放熱フィン15を固定することができるので、冷却効果が高い。加えて、フィン放熱部17自体が大きな面積を有しているので、冷却能力は向上する。
【0018】
次に、この放熱フィン15の具体的な取付け方法を
図2と
図3により説明する。
図2における固定部14の取付け方法の詳細は、
図3に示される。
図3から明らかなように、放熱フィン15は、放熱フィン15(フィン放熱部17)に固定用の座面31を設け、この座面31にネジ用の穴をあける。一方、固定子フレーム8の外部の端面の固定位置にはネジ32を受入れるネジ穴を設ける。放熱フィン15は座面31と一体構成となっており、この座面31をネジ32によって固定する(ネジを締める)ことにより、放熱フィン15を固定子フレーム8にしっかりと固定することができる。
【0019】
なお、放熱フィン15を固定子フレーム8に固定する方法は、この方法に限らず、適切な固定具を用いて固定することができる。例えば、
図4に示すように、座面を設けず、放熱フィン15の固定子フレーム8外側に配置される部分(フィン放熱部17位置)をネジ32、ボルト等で固定子フレーム8に直接取付けても良い。また、固定は、ネジによらず他の固定具でも実現できる。例えば、
図5に示すように、放熱フィン15に凸部33を設け、対応する固定子フレーム8の固定位置にはその凸部を受入れる凹部34を設けておき、この凸部33を凹部34に篏合することにより固定が可能である。この場合、接着剤を使用すれば、より一層強固に固定することができる。また、篏合による固定は、
図6の方法でも良い。
図6の方法は、凹部34を固定子フレーム8の下端部まで伸ばし、その凹部34に放熱フィン15を篏合させている。この場合、放熱フィン15の凸部33は不要である。
また、本発明では、図に示した固定方法のみでなく、その他の方法でも良い。例えば、溶接や接着による固定方法なども使用可能である。つまり、放熱フィンを固定子フレームの外側面に確実に固定することができるものであればどのような手段でも使用することができる。
【0020】
図1に示す第1の実施例では、放熱フィン15をL字状にしたものを用いたが、これに限定されない。つまり、回転軸12の軸中心からフィン吸熱部16の端面までの位置(半径R1)よりも、回転軸12の軸中心からフィン放熱部17の端面までの位置(半径R2)を大きくしておけば、固定子フレーム8の外部において放熱フィン15を固定することは容易である。
【0021】
なお、放熱フィン15は面積が大きいほど、あるいは放熱フィンの数を増加すればするほど冷却性能が向上する。ただし、これらはコストや設置工数増加につながる。そのため、サイズ、個数を最適に検討することが望ましい。さらに、放熱フィン15は熱伝導率が高く、軽量な材料で構成することが望ましい。例えば、アルミニウムなどである。これにより、冷却性能の向上や、取付け工数の低減が可能となる。放熱フィン15の表面は、ブラスト加工やエッチング加工により粗面に加工すると良い。これにより、表面積が増加し、冷却性能が向上することができる。なお、前記放熱フィン15の表面を研削加工などを行なわなくても良い。
【0022】
図1に示す第1の実施例では巻上機1の例を説明したが、
図1においてシーブ25、等を設けなければ、通常の外転型回転電機の構成となる。これは、以下の巻上機の実施例においても同様である。
【0023】
(第2の実施例)
次に、
図7により、本発明の第2の実施例を説明する。
図7は、本発明の第2の実施例における外転型回転電機を採用した巻上機の軸方向の半分の断面を示す図である。
図7の実施例の場合、基本的な構成は
図1の場合と同じであり、同様の構成部分には同一の符号を用いて、その詳細な説明を省略する。
図7の説明は、主に
図1の実施例との差異部分を中心に説明する。
図7の実施例と
図1の実施例との大きな違いは、軸、固定子、および回転子の取付けの違いである。また、放熱フィンの構成にも違いがある。
【0024】
図7において、外転型回転電機の軸は、
図1の場合と異なり、固定軸22を用いている。これに伴い、回転子5の回転子フレーム4の内径部は、軸受23を介して取付けられており、回転子5(回転子フレーム4)が固定軸22の軸中心(
図7の一点鎖線)まわりに回転可能になっている。一方、固定子9は、固定軸と一体に固定している。このような構成により、回転子5は、固定軸22の周りを回転することができる。
【0025】
また、放熱フィン18は、
図1の放熱フィン15と異なり、固定子フレーム8の内部空間に位置するフィン吸熱部16と、外部に位置するフィン放熱部17とを別体として加工し、それらを接合した構成となっている。すなわち、放熱フィン18は、フィン吸熱部16とフィン放熱部17とをL字状になるように接合し、その後、放熱フィン18を固定子フレーム8に固定する。放熱フィン18の固定子フレーム8に固定する固定部14の固定方法は、
図1における場合と同様に行うことができる。もちろん、
図4~
図6のような方法や、その他の固定方法でも良い。
【0026】
なお、
図7の実施例において、放熱フィン18の代わりに、
図1に示す放熱フィン15や、後述するその他の放熱フィンを使用することができる。また、
図1の実施例において、放熱フィン15の代わりに、
図7に示す放熱フィン18や、後述するその他の放熱フィンを使用することができる。
【0027】
(第3の実施例)
次に、
図8により、本発明の第3の実施例について説明する。
図8は、本発明の第3の実施例における外転型回転電機の斜視図である。この
図8の実施例の基本的な構成は、第1の実施例(
図1~
図3)と同様の構成である。
図8についても、同様の構成部分には同一の符号を用い、その詳細な説明は省略する。
図8の説明は、上述した実施例との差異部分を中心に説明する。
【0028】
まず、
図8における放熱フィン19は、複数枚のフィンを連結し1つの放熱フィンユニットとして構成している。すなわち、第1の実施例(
図1~
図3)の放熱フィン15や、
図7における放熱フィン18は1枚のフィンで構成していたのに対し、本実施例の放熱フィン19は複数枚のフィンを連結して放熱フィンユニットを構成している点で相違がある。
【0029】
この構成により、放熱フィン19の取付けの工数を低減することができる。ここで、放熱フィンユニットのフィンの配置は略等間隔の放射線状に配置することが望ましい。これにより、固定子9の内径側空間の空気を均等に冷却できるため、温度勾配が少なくなる。前述したように放熱フィンのサイズや枚数は、コストを考慮し適切に選択すべきであることは言うまでもない。
【0030】
なお、この実施例における放熱フィン19の具体的な固定方法は、放熱フィン19の軸方向側の円弧状部35に穴36を設け、そこにネジ(図示せず)を用いて固定子フレーム8に固定している。この固定部14の取付け方法は、この方法に限らない。放熱フィン19(放熱フィンユニット)を固定子フレーム8に固定できる方法であれば他の固定方法で良い。
【0031】
(第4の実施例)
次に、
図9により、本発明の第4の実施例を説明する。
図9は、本発明の第4の実施例における外転型回転電機の斜視図である。上述の
図8の場合と同様、基本的な構成は第1の実施例(
図1~
図3)、第2の実施例(
図7)と同様の構成である。
図9についても、同一または同様の機能を有する構成部分には同一の符号を用いて、その詳細な説明を省略する。
図9の実施例の説明は、主に上述の実施例との差異部分を中心に説明する。
【0032】
図9において、放熱フィン20は、内部のフィン吸熱部16と外部にあるフィン放熱部17とで構成されるが、フィン吸熱部16に対して、直交する位置にフィン放熱部17を配置し接合している。フィン吸熱部16とフィン放熱部17の接合は、放熱フィン20を固定子フレーム8に固定する作業の前までに行うと、作業が容易である。放熱フィン20の固定方法は、上述したような固定方法を採用することができる。例えば、
図3に示すようなネジや、ボルト、あるいは溶接などにより固定することができる。
【0033】
このような構成によれば、放熱フィン15のフィン吸熱部16とフィン放熱部17の向きを変えることができる。ここで、放熱フィン20の放熱部(フィン放熱部17)を重力と略等しい方向とすることが望ましい。これにより、上昇気流によりフィン放熱部17の周囲の空気を循環でき、冷却性能を向上できる。
【0034】
(第5の実施例)
次に、
図10により、本発明の第5の実施例を説明する。
図10は、本発明の第5の実施例における外転型回転電機を採用した巻上機の軸方向の半分の断面図である。基本的な構成は第1の実施例(
図1~
図3)と同様の構成である。
図10についても、同一または同様の機能を有する構成部分には同一の符号を用いて、その詳細な説明を省略する。
図10の実施例の説明は、主に上述した実施例との差異部分を中心に説明する。
【0035】
図10において、放熱フィン21は、フィン吸熱部16と、フィン放熱部17と、それらを連結(接続)するヒートパイプ28とで構成している。なお、この連結には、ヒートパイプに限らず、高熱伝導部材が使用できる。
【0036】
このような構成により、より効果的に前記固定子の内径側空間部の空気を冷却でき、冷却性能が向上させることができる。固定部14の詳細は省略するが、上述したような方法で固定すれば良い。
【0037】
(その他の実施例)
上記した本発明の実施例では、特許文献1に記載されたような送風翼や、特許文献2に記載されたようなファンを設けていないが、本発明は、このような回転翼や、ファンを設けても良い。上述した本発明の実施例において、さらに送風翼や、ファンを設けることにより、より一層冷却能力を向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…巻上機、2…回転子コア、3…永久磁石、4…回転子フレーム、5…回転子、6…固定子コア、7…コイル、8…固定子フレーム、9…固定子、10…軸受、11…補助軸受、12…回転軸、13…内径側空間部、14…固定部、15…放熱フィン、16…フィン吸熱部、17…フィン放熱部、18…放熱フィン、19…放熱フィン、20…放熱フィン、21…放熱フィン、22…固定軸、23…軸受、25…シーブ、26…ロープ、27…ブレーキ、28…ヒートパイプ、31…座面、32…ネジ、33…凸部、34…凹部、35…円弧状部、36…穴