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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】踵落とし機
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20220812BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A61H1/02 N
A63B23/04 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018186712
(22)【出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2020054573
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】511302356
【氏名又は名称】株式会社杉原クラフト
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】杉原 正治
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0125679(US,A1)
【文献】特開2015-142612(JP,A)
【文献】特開2003-339800(JP,A)
【文献】米国特許第04858599(US,A)
【文献】特開2016-131820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
A63B 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、基台の上方で上下に平行移動可能な可動板と、前記基台上に設けた、少なくとも3個又は4個の偏心カムと、これらの偏心カムを回転させるための回転駆動機と、前記回転駆動機の回転力を前記偏心カムに伝える動力伝達部とから成り、
前記回転駆動機による回転を前記動力伝達部を介して全ての前記偏心カムへと伝えることにより前記可動板が上下に平行移動を行い、
前記偏心カムに対応する前記可動板の裏面には前記偏心カムと接触する接触子を設け、この接触子は回転輪から成り、
前記偏心カムの最長半径部の片側に切欠を設けて、この偏心カムの回転により前記可動板の接触子が、最下位の位置から最上位の位置まで上昇し、その後最上位の位置から最下位の位置まで落下し、その後これらの動作を繰り返し、
これにより、可動板の上に乗った使用者は、その踵が上に持ち上げられ、その後下方に落下して、使用者の踵に衝撃を与えることを繰り返し行うことができ、
上記基台の両側に少なくとも2本ずつ上記可動板の上下動を案内するガイド支柱を設け、これら4本のガイド支柱の適宜位置に当接部をそれぞれ設け、この当接部が上記可動板の最下位置を規定し、
前記可動板の一方側縁部の両端部裏面と前記基台の他方側縁部の両端部上面とを連結する連結腕をそれぞれ設け、これにより前記基台に対する可動板の位置が規定されることを特徴とする踵落とし機。
【請求項2】
前記基台の一方側縁部の両端部に支柱を設け、これらの支柱の上端部を連結して前方手摺としたことを特徴とする請求項に記載の踵落とし機。
【請求項3】
前記前方手摺の両側から後方に向かって延長する側方手摺をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項に記載の踵落とし機。
【請求項4】
前記可動板の他方側縁部に、この他方側縁部に回動自在に補助板を設け、これにより車椅子等の車両に乗ったまま前記補助板に乗り上げて前記可動板上に乗ることができるようにしたことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の踵落とし機。
【請求項5】
前記動力伝達部はウォームギヤーを利用し、回転駆動機の回転軸と前記偏心カムの回転軸とを略直角に配置して、回転力を直角に変換するものであることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の踵落とし機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康器具又は健康装置に関するものであって、いわゆる踵落とし運動を自動的に実現できる踵落とし機に関するものである。
更に、本発明にあっては、車椅子を利用する障害者であっても使用できる踵落とし機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
踵落とし運動というのは、良く知られているように、人が床面等に直立した状態で、つま先立ちを行い、この踵を上に上げた状態からストンと下方に踵を床面に落とす動作をいうが、この踵を床面等に落とした際の衝撃を利用して健康増進を図る運動である。
この踵落とし運動を行うことにより、ダイエット効果や血糖値やコレステロール値を下げる効果が発見されている。
また、この踵落とし運動は、骨部に衝撃を与えることにより血中の骨ホルモンを増加させ、骨密度を高め、骨粗鬆症等の防止にも効果があることが知られている。
【0003】
下記特許文献に記載の健康器具は、上記踵落としの効果を狙ったものではないが、足部に所定の動作を与え、健康増進を図るものである。
下記特許文献1に記載の「足の健康器具」にあっては、使用者が意識しなくても足の運動を容易に長時間でも行うことができ、足の血行が促進され、運動不足やむくみ等を容易に解消することができるものである。
【0004】
その構成は、床に設置される基台部と、前記基台部の端部に設けられた軸部と、前記軸部に一端が枢着され、上面に足を載置可能な足載せ部が設けられた支持部と、前記支持部の下面に接触されると共に、前記軸部を支点にして、前記支持部を上下に振幅するように形成された回転ローラーとからなるものである。この回転ローラーの回転に応じて、前記支持部が連続して上下方向に振幅される構成である。
【0005】
下記特許文献2に記載の「歩行模擬刺激型健康増進機」にあっては、居ながらにして実際の歩行により与えられるのと同様の圧縮刺激を仙骨に与えることにより健康の増進を図る健康増進機である。
【0006】
その構成は、一対の足載せ台をその少なくとも踵支持部が上下に変位可能なように支持し、足載せ台の少なくとも踵支持部を周期的に上方へ滑らかに押し上げた後急速に降下させ、降下の開始位置より下方に隔たった位置にて踵支持部の降下を瞬間的に停止させる手段を有し、踵からの脚の支持力と落下する上体の慣性力との間に仙骨を圧縮して刺激するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-194051号公報
【文献】特開2003-339800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に係る足の健康器具は、例えば椅子に座った状態においても使用することが可能なもので、基本的には足首を支点としてつま先側の上下運動を行うものである。
他方、上記特許文献2に係る「歩行模擬刺激型健康増進機」は、その名称にもある通り、装置の上に両足を載せたままの状態で歩行運動を自動的に実現させるものである。
【0009】
そこで、上記のような単なる足首の運動や歩行動作の実現を目的とするものでなく、既に述べた踵落とし動作を自動的に実現するための踵落とし機を提供することをその課題として、本願出願人は特願2018-136631号として、先に特許出願を行った。
【0010】
上記特許出願の課題は、とりわけお年寄りの場合には、体重等の関係もあるが、つま先立ちをすることが困難な高齢者も居り、このような高齢者であっても踵落とし運動を自動的に実現できる装置を提供することにある。
【0011】
また、上記従来の歩行模擬刺激型健康増進装置にあっても、踵を下方に落とす動作も含まれているが、これはあくまでも歩行動作の一部であって、上記踵落とし効果を実現できるものではない。
換言すれば、この歩行動作にあっては、一方の足の踵の上下運動の際に他方の足によって身体が支持されており、踵落とし運動とは異なる歩行動作に他ならないものである。
【0012】
そこで、上記先願においては、純粋な踵落とし運動を実現できる自動機械を提供することがその課題であるが、更に、この踵落とし効果を利用者の要望に合致させてその強度を調整できる手段をも付加し、偏心カムの構造等々により使い勝手が良く、効果の高い踵落とし機を提供することをその課題としたものであった。
【0013】
本発明においても、その課題とするところは、上記特許出願と同様であるが、更に加えて、車椅子に着席した障害者であっても、車椅子に着席したままの状態で踵落とし運動を実践できる装置の提供を図ることをその課題としている。
【0014】
また、上記先願にあっては、上下に往復動する可動板は、その一方側縁部が回動して、その他方の側縁部が上下に往復動するために、足裏が斜めの状態となる。これを改良してこの足裏全体が斜めにならないタイプのものを提供することが本発明の課題である。
この後者の課題を解決することにより、上記車椅子に着席した障害者でも使用可能となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、基台と、基台の上方で上下に平行移動可能な可動板と、前記基台上に設けた、少なくとも3個又は4個の偏心カムと、これらの偏心カムを回転させるための回転駆動機と、前記回転駆動機の回転力を前記偏心カムに伝える動力伝達部とから成り、前記回転駆動機による回転を前記動力伝達部を介して全ての前記偏心カムへと伝えることにより前記可動板が上下に平行移動を行い、前記偏心カムに対応する前記可動板の裏面には前記偏心カムと接触する接触子を設け、この接触子は回転輪から成り、前記偏心カムの最長半径部の片側に切欠を設けて、この偏心カムの回転により前記可動板の接触子が、最下位の位置から最上位の位置まで上昇し、その後最上位の位置から最下位の位置まで落下し、その後これらの動作を繰り返し、これにより、可動板の上に乗った使用者は、その踵が上に持ち上げられ、その後下方に落下して、使用者の踵に衝撃を与えることを繰り返し行うことができ、上記基台の両側に少なくとも2本ずつ上記可動板の上下動を案内するガイド支柱を設け、これら4本のガイド支柱の適宜位置に当接部をそれぞれ設け、この当接部が上記可動板の最下位置を規定し、前記可動板の一方側縁部の両端部裏面と前記基台の他方側縁部の両端部上面とを連結する連結腕をそれぞれ設け、これにより前記基台に対する可動板の位置が規定されることを特徴とする踵落とし機である。
【0018】
本発明の第のものは、上記第1の発明において、前記基台の一方側縁部の両端部に支柱を設け、これらの支柱の上端部を連結して前方手摺としたことを特徴とする踵落とし機である。
【0019】
本発明の第のものは、上記第の発明において、前記前方手摺の両側から後方に向かって延長する側方手摺をそれぞれ設けたことを特徴とする踵落とし機である。
【0020】
本発明の第のものは、上記それぞれの発明において、前記可動板の他方側縁部に、この他方側縁部に回動自在に補助板を設け、これにより車椅子等の車両に乗ったまま前記補助板に乗り上げて前記可動板上に乗ることができるようにしたことを特徴とする踵落とし機である。
【0021】
本発明の第のものは、上記それぞれの発明において、前記動力伝達部はウォームギヤーを利用し、回転駆動機の回転軸と前記偏心カムの回転軸とを略直角に配置して、回転力を直角に変換するものであることを特徴とする踵落とし機である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1のものにおいては、基台と、基台の上方で上下に平行移動可能な可動板と、前記基台上に設けた、少なくとも3個又は4個の偏心カムと、これらの偏心カムを回転させるための回転駆動機と、前記回転駆動機の回転力を前記偏心カムに伝える動力伝達部とから成り、前記回転駆動機による回転を前記動力伝達部を介して全ての前記偏心カムへと伝えることにより前記可動板が上下に平行移動を行い、前記偏心カムに対応する前記可動板の裏面には前記偏心カムと接触する接触子を設け、この接触子は回転輪から成り、前記偏心カムの最長半径部の片側に切欠を設けて、この偏心カムの回転により前記可動板の接触子が、最下位の位置から最上位の位置まで上昇し、その後最上位の位置から最下位の位置まで落下し、その後これらの動作を繰り返すことができる。
【0023】
これにより、可動板の上に乗った使用者は、その踵が上に持ち上げられ、その後下方に落下して、使用者の踵に衝撃を与えることを繰り返し行うことができる。
また、とりわけ高齢者にあっては、自身で踵落とし運動を行うことが困難な場合であっても、本発明に係る踵落とし機の可動板の上に両足を載せて簡単に踵落とし運動を行うことができることとなる。
【0024】
更に、本発明にあっては、可動板が平面的なものであり、上記した先願のように可動板が斜めに傾斜することがないために、この可動板の上に車椅子のまま乗り上げることもでき、車椅子を使用する障害者であっても踵落とし運動を実践することができることとなるのである。
【0025】
本発明においては、上記基台の両側に少なくとも2本ずつ上記可動板の上下動を案内するガイド支柱を設け、これら4本のガイド支柱の適宜位置に当接部をそれぞれ設け、この当接部が上記可動板の最下位置を規定するようにしたものである。
上記ガイド支柱が無い場合には、偏心カムの最短の半径部が可動板の最下端の位置となるが、上記ガイド支柱によりその当接部の位置を最下端とすることができ、可動板の上下動のストロークを適宜規定し、変更することもできることとなる。
【0026】
本発明においては、前記可動板の一方側縁部の両端部裏面と前記基台の他方側縁部の両端部上面とを連結する連結腕をそれぞれ設け、これにより前記基台に対する可動板の位置が規定されるようにしたものであり、可動板と基台の両者を連結し、可動板の基台に対する位置を規定したものである。これにより、偏心カムと接触子の位置も適宜合致することとなる。
【0027】
本発明の第のものにおいては、上記発明において更に前記基台の一方側縁部に前方手摺を付加したものであり、これにより両手で手摺を把持して踵落とし運動を行うことができるようにしたものである。
【0028】
本発明の第のものにおいては、上記第の発明の手摺に加えて、可動板の両側にも手摺を設けたものであり、上記第の発明と共に、使用者が高齢者の場合を考慮して安全に配慮したものとした。
【0029】
本発明の第のものにおいては、上記発明において、前記可動板の他方側縁部に回動自在に補助板を設け、これにより車椅子等の車両に乗ったまま前記補助板に乗り上げて前記可動板上に乗ることができるようにしたものである。
【0030】
本発明の第のものにおいては、上記発明において、上記動力伝達部を特定したものであり、この動力伝達部としてはウォームギヤーを使用し、回転駆動機の回転軸と前記偏心カムの回転軸とを略直角に配置して、回転力を直角に変換するものであることを特定した。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の踵落とし機に係る一実施形態を図示する全体概念説明図である。
図2】上記実施形態において、手摺を省略し、可動板を上方に開放した状態を図示する説明図である。
図3図2に図示した実施形態において可動板を基台の上方に載置した状態を示す側面説明図であって、ガイド支柱の図示を省略したものである。
図4図3の要部拡大図であって、偏心カムと回転輪との関係を図示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の踵落とし機に係る一実施形態を図示する全体概念説明図である。図中、電源コードやスイッチ部等の図示は省略している(以下の図においても同じである。)。
【0033】
本発明に係る踵落とし機10は、平面視略矩形形状の基台11と、この基台11の上方で上下に平行移動可能で平面視略矩形形状の可動板12と、この可動板12と上記基台11との間で、基台11上に設けられた3個の偏心カム15と、これらの偏心カム15を回転させる回転駆動機となる電動モータ20とから成り、偏心カム15の回転軸15jと電動モータ20の回転軸20jとはギヤーボックス30内で直交し、これら両回転軸15jと20jとはウォームギヤーによって歯合され、回転力が直角に変換される。
尚、上記電動モータ20は、基台11と可動板12の間に配置せずとも実施可能である。
【0034】
基台11上には、この基台11の一方側縁部11f側(図中左側)の略中央部に電動モータ20を設け、この電動モータ20の回転軸20jは、この基台の他方側縁部11rに向かって延長し、この回転軸20jの一方側縁部11fの側(図中左側)と他方側縁部11rの側(図中右側)にそれぞれギヤーボックス30を設け、このギヤーボックス30内で直交するように偏心カム15の回転軸15jがそれぞれ配設されている。
【0035】
上記ギヤーボックス30内では、上記回転軸20jにウォームギヤーが設けられ、上記回転軸15jに歯車を設けて相互に歯合させることによって電動モータ20からの回転駆動力は回転軸20jから回転軸15jに直角に変換されて伝達される。
【0036】
上記一方側縁部11f側の回転軸15jには1個の偏心カム15が固定され、上記他方側縁部11r側の回転軸15jには、その両端部に偏心カム15をそれぞれ固定し、全部で3個設けている。
これらの偏心カム15は、上記一方側縁部11f側に2個設けて全部で4個配設することもできるし、これ以上の数の偏心カムを設けても実施可能である。
【0037】
また、基台11の両側にはそれぞれ2個ずつのガイド支柱13を設け、これらのガイド支柱13の適宜位置には当接部13tを設け、これら4本のガイド支柱13が上記可動板11の上下平行移動を案内する。
上記ガイド支柱の当接部13tが可動板12の一番下の位置となる最下支点となる。
【0038】
図1からは良く見て取ることができないが、上記基台11と可動板12は、その両側で連結腕14によりそれぞれ連結されている。
より詳しくは、可動板12の一方側縁部12fの下面の両端部と、基台11の他方側縁部11rの上面の両端部とをそれぞれ連結する連結腕14が設けられ、基台11に対する可動板12の位置が規定されている。この連結腕14については、後に詳説する。
【0039】
基台11の一方側縁部11f(図中左側)の両端部には支柱17をそれぞれ植設し、これらの支柱17、17の上端を横方向に連結して、前方手摺18を設けている。
また、上記支柱17、17の上方部位から後方に延長して、側方手摺19、19を設けている。
【0040】
更に、可動板12の他方側縁部12r(図中右側)に回動自在に補助板40を設け、この補助板40を利用して車椅子に腰掛けた使用者がこの補助板40を昇降板として使用し、可動板12の上に乗ることが可能となる。
これにより、車椅子に腰掛けた障害者は、車椅子に着席したままの状態で、踵落とし運動を行うことができることとなるのである。
【0041】
図2は、上記実施形態において、手摺を省略し、可動板を上方に開放した状態を図示する説明図である。
この図により基台11と可動板12の間の構造を良く見て取ることができる。
即ち、基台11上の一方側縁部11fの略中央部には電動モータ20が固定され、電動モータ20の回転軸20jが基台11の他方側縁部11rに向かって延長する。
【0042】
上記回転軸20jには2個のギヤーボックス30が配設され、それぞれ直角に配設された回転軸15jに偏心カム15が全部で3個固定される。
偏心カム15の半径の一番大きい最長半径部の半分が切り欠かれて切欠部が形成されており、これらの偏心カム15と対応する可動板12の裏面には接触子として回転輪16がそれぞれ設けられている。
【0043】
基台11の両側には2個ずつのガイド支柱13が設けられ、これらのガイド支柱13のそれぞれには段部から成る当接部13tが設けられ、上記可動板12の一番下の位置を規定する。
可動板12の一方側縁部12fの裏面両端部には連結腕14がそれぞれ連結され、この連結部14cに前記連結腕14の端部は上下に移動可能である。
上下移動可能としたのは、可動板11が上下に平行移動できるようにするためである。
【0044】
それぞれの連結腕14の他端は、基台11の他方側縁部11rの両端部に軸着されている。
これら2本の連結腕14、14によって可動板12は、基台11の上方で上記4本のガイド支柱13の当接部13t上に載置され、これらのガイド支柱13に案内されて上下に平行移動可能となる。
【0045】
図3は、図2に図示した実施形態において可動板を基台の上方に載置した状態を示す側面説明図であって、ガイド支柱の図示を省略したものである。
図4は、図3の要部拡大図であって、偏心カムと回転輪との関係を図示した説明図である。
【0046】
これら両図によって本発明に係る踵落とし機の動作について説明する。
まず、回転駆動機である電動モータ20に電源を投入する。
電動モータ20に電源が投入されると、電動モータ20の回転軸20jも回転し、動力伝達部であるギヤーボックス30によってその回転方向が90度変換されて回転軸15jが回転する。
【0047】
回転軸15jが回転すると、これに固定された3個の偏心カム15が回転する。
全部で3個の偏心カム15の切欠部の配置は同一として同調できるようにし、可動板の上下移動を平行移動とすることができる。
図3及び図4では、偏心カム15の最長半径部15mが回転輪16と当接している状態を図示しているために、可動板12は一番上の最上支点に位置している。
偏心カム15が右回転することにより、一気に回転輪16は下方に落下する。偏心カム15の位置に回転輪16を配設した理由は、この偏心カム15の回転により回転輪16が一気に下方に転がり落下するからである。
【0048】
回転輪16が一番下に落下して最下支点に落下した状態から、更に偏心カム15が右回転を続けることにより、回転輪16は徐々に上方に押し上げられる。その結果可動板12は、徐々に上方に平行移動を行う。
【0049】
そして、偏心カム15が図3及び図4の位置に来た時に回転輪16は最上支点に到達し、その後再度最下支点まで落下することとなるのである。以下、上記の動作を繰り返すこととなる。
尚、上記実施形態では、ガイド支柱を4本設けているため、このガイド支柱の当接部を上記偏心カムの最下支点よりも上に配置する場合には、上記最下支点は上記ガイド支柱の当接部となる。
【0050】
以上の動作に基づき、本発明に係る踵落とし機の可動板12に乗った使用者は、その両足の足裏部を前記可動板12の上に載せて使用するのであるが、可動板12が上下に平行移動を行い、特にその最上支点から最下支点に落下する際に踵落とし運動が行われることとなるのである。
【0051】
他方、車椅子等に腰掛けたままの障害者であっても、その車椅子のままで上記可動板の上に補助板を利用して乗ることができ、その後電動モータに電源を投入することによって簡単に踵落とし運動を行うことができることとなるのである。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては種々設計変更が可能である。
電動モータへの電源投入のためのスイッチ部に関しては、特に説明をしなかったが、単に電源を投入するばかりでなく、タイマーを設けたり、動作スピードの変更ボタンを設けたり、上下動作のカウンターを設けたり、その他の設定を選択するボタンを設けて実施することができる。
【0053】
基台及び可動板の縦横のサイズ及び厚みも適宜設定することができる。
前方手摺の高さや側方手摺の高さ及び長さも適宜設定することができる。
ガイド支柱については、その高さを変更できるようにすることも可能であり、その当接部の高さを高低自在に変更できる構成とすることもできる。これらの高さ調整を自動で行い、スイッチ部で操作可能とすることもできる。
【0054】
これらのガイド支柱の高さ変更を行うことにより、可動板の上下の平行移動距離を長短調整することが可能となるのである。
偏心カム及びこれと当接する回転輪に関しても、基台の一方側縁部側に2個、他方側縁部側に2個設け、同様に可動板の一方側縁部側の裏面に2個、他方側縁部側に2個、合計各4個ずつ設けてもよく、或いはそれ以上の個数を設けるのも自由である。
【0055】
連結腕に関しても、可動板の両側縁の裏面にそれぞれ設けたが、ガイド支柱と可動板の接合部位にそれぞれ係合部を設けて、このガイド支柱の内側面に沿って上下に移行できるような構成を採用することによって連結腕を設けずに実施することができる。
要は、偏心カムと回転輪との位置が合致し、平行移動できればよいのである。
【0056】
また、偏心カムのサイズ及び回転輪のサイズも適宜自由に設計することができる。
基台及び可動板は、上記実施形態では木材製のものを使用したが、その他合成樹脂製や金属製等のその他の素材のものを利用することができる。
手摺に関しては、金属製管体を使用したが、その他の材質のものを自由に選択することができる。
【0057】
以上、本発明においては、踵落とし運動を実現する自動機械を提供することができ、高齢者であっても或いは車椅子に腰掛けた障害者であっても簡単に使用することができ、しかも、その踵落とし運動が容易にできる極めて便利な健康装置である踵落とし機を提供することができたものである。
【符号の説明】
【0058】
10 踵落とし機
11 基台
11f、12f 一方側縁部
11r、12r 他方側縁部
12 可動板
13 ガイド支柱
13t 当接部
14 連結腕
15 偏心カム
15j 回転軸(偏心カムの)
16 回転輪(接触子)
18 前方手摺
19 側方手摺
20 電動モータ
20j 回転軸(電動モータの)
30 ギヤーボックス
図1
図2
図3
図4