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  • 特許-検査装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20220812BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
G01N21/90 D
A61J3/00 311G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018567714
(86)(22)【出願日】2017-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2017065853
(87)【国際公開番号】W WO2018002049
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】16176600.1
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306021192
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルク, トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ドルン, アンケ
(72)【発明者】
【氏名】ルートヴィヒ, イムケ ソーニャ
(72)【発明者】
【氏名】マーラー, ハンス-クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リュートリンガー, デニス
(72)【発明者】
【氏名】レマ マルティネス, カルメン
(72)【発明者】
【氏名】リュムケマン, イェルク
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-033625(JP,A)
【文献】特開2006-098385(JP,A)
【文献】特開平06-160305(JP,A)
【文献】特開平10-090109(JP,A)
【文献】特表2008-508513(JP,A)
【文献】米国特許第05880359(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0025840(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02280271(EP,A2)
【文献】中国特許出願公開第101988906(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
A61J 3/00
G01M 3/00 - G01M 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子(5)の存在に関して、容器(4)内にある液体(7)を検査するための検査装置(1)であって、
前記液体(7)内にある粒子(5)を検出するように適合された粒子検出器(3)、
前記容器(4)を、前記粒子検出器(3)の稼働領域(311)に位置付けるために配置されている座面(6)、及び
前記容器(4)を振動させるための振動設備(2)、
を備え、前記振動設備(2)が、
電気信号をもたらす周波数発生器(21)と、
前記周波数発生器(21)によってもたらされる前記電気信号を、音波(221)に変換するように適合された変換器(22)と、を備え、
前記座面(6)は、前記容器(4)を、前記変換器(22)に隣接して位置付けるように配置されており、
前記振動設備(2)が、さらなる電気信号をさらなる音波(231)に変換するように適合されたさらなる変換器(23)を備え、
前記座面(6)が、前記容器(4)を、前記さらなる変換器(23)に隣接して位置付けるように配置されており、
前記振動設備(2)の前記変換器(22)によって発生された前記音波(221)が、第一の周波数を有し、
前記振動設備(2)の前記さらなる変換器(23)によって発生された前記さらなる音波(231)が、前記第一の周波数とは異なる第二の周波数を有
前記容器(4)が側壁部(41)及び底部(43)を有し、前記容器(4)の前記側壁部(41)を前記振動設備(2)の前記変換器(22)に隣接して位置付けるように、かつ前記容器(4)の前記底部(43)を、前記振動設備(2)の前記さらなる変換器(23)に隣接して位置付けるように、前記座面(6)が配置されている、検査装置(1)。
【請求項2】
前記音波(221)が、超音波(221)である、請求項1に記載の検査装置(1)。
【請求項3】
前記粒子検出器(3)が、カメラ(31)を備える、請求項1又は2に記載の検査装置(1)。
【請求項4】
前記振動設備(2)の前記変換器(22)が、圧電変換器(22)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項5】
前記振動設備(2)の前記周波数発生器(21)が、前記さらなる変換器(23)に前記さらなる電気信号をもたらすように適合されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項6】
前記第一の周波数が、約0.5MHz~約2MHzの範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項7】
前記第二の周波数が、約20Hz~約50Hzの範囲にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項8】
前記電気信号が、パルス状電気信号であり、前記振動設備(2)の前記変換器(22)によって変換される前記音波(221)が、パルス状音波である、請求項1からのいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項9】
前記さらなる電気信号が、パルス状電気信号であり、前記振動設備(2)の前記さらなる変換器(23)によって変換される前記さらなる音波(231)が、パルス状音波である、請求項1からのいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項10】
前記振動設備(2)の前記変換器(22)、及び前記振動設備(2)の前記さらなる変換器(23)が、前記容器(4)に、前記音波(221)及び前記さらなる音波(231)を間欠的にもたらすように配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項11】
前記粒子検出器(3)が、前記容器(4)を横方向から観察するように配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項12】
前記容器(4)がバイアル(4)である、請求項1から11のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項13】
前記容器(4)を、前記振動設備(2)の前記変換器(22)に沿って動かすように適合された搬送ユニットを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前提部に記載の検査装置に関する。液体中の粒子を検出するように適合された粒子検出器と、容器を粒子検出器の稼働領域に位置付けるために配置されている座面と、容器を振動させるための振動設備とを備えるこのような装置は、粒子の存在に関して容器内にある液体を検査するために使用できる。
【0002】
非経口薬品若しくはその他の液状薬品、栄養物、又は飲料など多くの種類の液体はしばしば、異物の微粒子が存在しないように管理され、それからさらに加工される。例えば液状薬品は、市場に導入する前に、粒子が存在しないことについて充分に検査しなければならない。この検査工程は通常、訓練された人間、検査システム、又はこれら両方の組み合わせによる視覚的又は光電子工学的な検査である。
【0003】
異物の微粒子を液体中で正確に検出可能にするため、通常は粒子の流動化が、検査工程の一部である。この流動化プロセスによって、粒子が容器の底部にあったり、容器の壁に付着していたり、又は検査すべき液体の表面に浮いていたとしても、液体中における粒子の検査を確実に行うことができる。流動化のためには、容器を振とうし、振動させ、又は回転させて、異物粒子を動かすことが知られている。例えば米国特許第8,576,279号には、飲料において異物を検出するための検査システムが記載されており、ここでは飲料ボトルを、検査工程で振動させる。
【0004】
しかしながらこのような流動化は、検査工程の間に幾つかの問題につながることがある。例えば、製品に気泡が導入されてしまうことがあり、これによって浮かんでいる粒子が隠され、又は液体中の粒子が偽装されて、検査工程が妨害される。或いは、液体中の粒子が容器閉鎖系の表面に運ばれてしまい、粒子同士が凝着力若しくは静電作用によって付着することがあり、その後は、特に光電子工学的な検出器による検出が、より困難になる。最後に、これも重要なのだが、通常の振とう又は慣用の事前回転のいかなる形態も普通は、開放系、又は部分的に開放系の容器における液状製品の検査に適していない。これは特に、化学的又は生物学的な医薬品液体(その後、乾燥、例えばフリーズドライしなければならないもの)との関連で重要である。乾燥工程が検査に続く場合、容器は通常、乾燥工程の間の昇華又は蒸発を可能にするため、まだ開いたままである。振とう又は事前回転によって、製品、また容器閉鎖系の領域にあり得る製品残渣がこぼれてしまうこともあり、これにより閉鎖容器完全性(CCI)が損なわれることもある。さらには製品が、通常の充填レベルを超えて一次容器と接触することを避ける必要もある。充填レベルを超えた領域が製品と接触し、それから乾燥工程を行うと、製品残渣が容器壁面で乾燥し、美観的な欠陥又は重大な欠陥につながることもある。
【0005】
よって、容器内に満たされた液体を正確かつ穏やかに検査することを可能にする、液体中の粒子を検出するための、例えば医薬品製造工程におけるフリーズドライ工程前の液体中にある粒子を検出するための装置又はシステムが、必要とされている。
【0006】
本発明によればこの必要性が、独立請求項1の特徴によって規定される検査装置によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【0007】
本発明は特に、粒子の存在に関して、容器内にある液体を検査するための検査装置を取り扱う。本検査装置は、容器内にある液体中の粒子を検出するように適合された粒子検出器、粒子検出器の稼働領域に容器を位置付けるように適合された座面、及び容器を振動させるための振動設備を備える。振動設備は、電気信号をもたらす周波数発生器と、周波数発生器によってもたらされる電気信号を音波に変換するように構成された変換器とを備える。この座面は、容器を変換器に隣接して位置付けるように配置されている。
【0008】
ここで使用する「液体」という用語は、あらゆる流動性物質(例えば液状薬品、栄養物、飲料など)に関連し得る。これは特に、化学物質、生化学物質又は医薬物質(例えば凍結乾燥が意図されているもの)に関連し得る。
【0009】
容器内にある液体との関連で「粒子」という用語は、液体中に存在するあらゆる物体又は固形微粒子に関連し得る。このような粒子には例えば、繊維又は液体に内在する粒子が含まれ得る。これらにはさらに、異物、例えばガラス、例えば容器又は金属から生じるもの、例えば容器のカップから生じるものが含まれ得る。
【0010】
容器及び変換器に関連して「隣接する」という用語は、音波によって容器、特に容器内の液体を振動させることが可能な位置に関連し得る。このため隣接とは、充分な強度又は品質の音波が容器又は液体に伝播可能な限りにおいて、変換器と容器との間に配置されている以外の態様を排除するものではない。音波が変換器から容器又は液体へと、実質的に妨害されることなく移動できるように、容器が変換器に隣接していることが、有利である。
【0011】
周波数発生器は、例えばケーブルなどを介して、変換器に接続された電気装置であってよい。周波数発生器には、もたらすべき周波数を調整するためのレギュレータと、調整された周波数を示すためのディスプレイとが、備えられていてよい。周波数発生器はさらに、例えばプラグ又はプラグ状コネクタを介して、電気エネルギー源に接続された電線を有することができる。
【0012】
座面は、容器を保持又は支持するための、容器の形状及び形態に適合された構造を有することができる。平坦な底部を有する多くの容器、例えばバイアルのために座面は、容器を位置付け可能な水平の平らな表面を有することができる。
【0013】
本検査装置によって、高周波で低振幅度の振とうを、容器に与えることができる。このように容器を振動させることにより、容器中に存在する粒子を、容器内にある液体中で効率的に流動化又は分散させることができ、その結果、これらの粒子を効率的に同定又はトレースすることができる。これによって特に、粒子を実質的に流動化できる一方、液体は比較的静かな状態に保つことができる。これによって比較的迅速かつ正確に検査することができ、また液体中に生じる気泡を防止又は少なくとも減少させることができ、浮かんでいる又は底部にある粒子の流動化を改善することができ、粒子が容器閉鎖系に移ることを防止することができ、化学的又は医薬的な製造工程(フリーズドライ含む)において比較的効率的に実施することができる。
【0014】
よって本発明による検査装置により、容器内に満たされた液体を正確かつ穏やかに検査すること、及び液体中の粒子を検出することが可能になる。本検査装置は、医薬製造工程におけるフリーズドライ工程の前に、液体中の粒子を検出するために特に適しており、その際には比較的高い精度及び信頼性が達成される。
【0015】
音波は好ましくは、超音波である。変換器は特に、周波数発生器によってもたらされる電気信号を、超音波に変換するように適合されていてよい。このように適正な周波数での超音波により、特に効率的かつ適切な検査が可能になる。
【0016】
液体の検査は特に、光電子工学的又は光学的(視覚的)な検査であり得る。よって粒子検出器は好ましくは、カメラを備える。カメラを用いる場合、粒子検出器の稼働領域は、カメラの視野によって画定できる。カメラは特に、容器の透明部分が、この透明部分を通じて効率的な検査を可能にするカメラの視野に入るように位置付けられていてよい。
【0017】
検査効率を高めるため、粒子検出器はさらに、1つ又は複数の光源を備えることができる。このような光源によって、容器及びその内部、ひいては液体を効率的に照らすことができる。粒子検出器の光源は例えば、使用時に、容器の下方に位置付けられるよう、座面の下方に配置されていてよい。このように照明は、容器の底部を通じて設けられていてよく、このことが特に効率的であると判明している。また、容器の検査を最適化するために、また装置のデザインを最適化するために、粒子検出器は、光学検知及び/又は照明を導く1つ又は1つより多いミラーを備えることができる。
【0018】
振動設備の変換器は好ましくは、圧電変換器である。このような圧電変換器によって、超音波を効率的にもたらすことができ、これにより比較的迅速な(高周波)振動から比較的低い程度(低振幅度)までが、引き起こされる。この変換器は、意図する用途に適したあらゆる形状を有することができる。これは例えば、立方形、円筒形、円筒形の孔を備える立法形、円筒形の孔を備える円筒形、環状、環-扇形、これらのあらゆる組み合わせなどであり得る。変換器の形状は特に、容器への音波の伝播を最適化できるように、適合されていてよい。
【0019】
振動設備は好ましくは、さらなる電気信号をさらなる音波に変換するように適合されているさらなる変換器を備え、座面は、容器をさらなる変換器に隣接して位置付けるように配置されており、振動設備の変換器によって発生された音波は、第一の周波数を有し、振動設備のさらなる変換器によって発生されたさらなる音波は、第一の周波数とは異なる第二の周波数を有する。
【0020】
複数の変換器を備えることによって、液体又は容器のより十全な振動が可能になる。これによってさらに、多様な振動運動をもたらすことができ、サイズ、形状及び粘度が様々な粒子を効率的に流動化することができる。
【0021】
さらなる電気信号は、さらなる周波数発生器によってもたらすことができる。しかしながら、振動設備の周波数発生器が、さらなる電気信号をさらなる変換器にもたらすように適合されていることが、好ましい。電気信号とさらなる電気信号の双方をもたらすこのような周波数発生器によって、検査装置の効率的な実施が可能になる。周波数発生器は、1つの電気信号を独立して調整するための手段を備えていてよい。
【0022】
第一の周波数は好ましくは、約0.5MHz~約2MHzの範囲にある。このように比較的高い周波数は、繊維及び内在粒子を流動化するために特に適していることがある。第二の周波数は好ましくは、約20Hz~約50Hzの範囲にある。このように比較的低い周波数により、液体表面における反射が原因となって、液体中に定在波を形成することができる。定在波は、比較的重い粒子、例えばガラス又は金属などを動かすために効率的である。変換器により容器の側壁部で比較的高い周波数をかけること、及びさらなる変換器により容器の底部で比較的低い周波数をかけることが、特に効率的であり得る。これによって、液体中における様々な種類の粒子を効率的、迅速かつ十全に流動化させることが可能になり、その後、これらの粒子を同定できる。
【0023】
容器が側壁部及び底部を有し、また座面は、容器の側壁部を振動設備の変換器に隣接して位置付けるように、かつ容器の底部を振動設備のさらなる変換器に隣接して位置付けるように、配置されているのが好ましい。このような配置により、第一及び第二の変換器を効率的に稼働させることができ、特に様々な波を正確にもたらすことができる。
【0024】
電気信号は、パルス状電気信号であり、振動設備の変換器によって変換される音波が、パルス状音波であるのが好ましい。同様に、さらなる電気信号がパルス状電気信号であるのが好ましく、振動設備のさらなる変換器によって変換されるさらなる音波が、パルス状音波であるのが好ましい。このようなパルス状電気信号及び音波によって、液体に導入されるエネルギー量を最小化することができ、これによって液体にダメージが与えられる危険性を、回避することができる。よって振動設備の変換器、及び振動設備のさらなる変換器は、音波及びさらなる音波を、容器に間欠的にもたらすように配置されているのが好ましい。
【0025】
粒子検出器は、容器を横方向から観察するように配置されているのが好ましい。それ以外の側面、例えば底部を通して容器を観察する場合と比べて、横方向から容器を観察することによって、干渉されずに液体をモニタリングすることができる。よって液体中の粒子を、比較的信頼性高く、また効率的に同定することができる。
【0026】
ここで使用する「容器」という用語は、液体を貯蔵及び輸送するために適したあらゆる容れ物に関連し得る。液体が薬などである場合、容器はバイアルであるのが好ましい。よって「バイアル」という用語は、文字通りあらゆるバイアル(すなわち、医薬製品若しくは医薬品若しくは薬剤を液状、粉末状又はカプセル形態で貯蔵するためにしばしば使用される比較的小さな器又は瓶)に関連し得る。バイアルは、滅菌材料製、例えばガラス又はプラスチック製、例えばポリプロピレン製のものであり得る。
【0027】
検査装置は好ましくは、振動設備の変換器に沿って容器を動かすように適合された搬送ユニットを備える。この搬送ユニットは、容器とともに完成座面を動かして振動装置を通過させるか、又は座面に沿って容器を動かすことができる。この搬送ユニットは例えば、移動ベルト(この上に容器が配置される)を備える。或いは、搬送ユニットは、複数の移動ベルト(この間で、前に進めるべき容器をクランプする)を備えることができる。このような搬送ユニットによって、容器を自動で効率的に処理することが可能になり、これにより工業的な規模で効率的な検査を行うことができる。
【0028】
本発明による検査装置を、以下で例示的な実施形態によって、また本発明による検査装置の一実施形態の概略を示す添付図面を参照しながら、より詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】座面6、粒子検出器3及び振動設備2を備える、本発明による検査装置1の一実施形態を示す。
【実施例
【0030】
以下の説明では、特定の用語を利便性のために使用することがあるが、これは本発明を制限することを意図していない。「右」、「左」、「上」、「下」、「上方」、及び「下方」という用語は、図中の方向を示す。これら用語の使用法は、明示的に言及された用語、またその派生形、及び類似の意味を有する用語を含む。また、空間に関する用語、例えば「真下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」、「近位」、「遠位」などは、図中で説明するような1つの要素または1つの特徴と、別の要素または特徴との関係性を説明するために使用することがある。これらの空間に関する用語は、図中に示された位置及び方向付け以外に、使用中又は稼働中の装置について異なる位置及び方向付けを包含することが意図されている。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、その他の要素若しくは特徴に対して「下方」又は「真下」と説明された要素は、その他の要素若しくは特徴に対して「上方」又は「真上」であり得る。よって、「下方」という例示的な用語は、「上方及び下方」という両方の位置及び方向付けを包含する。本装置は、それ以外に方向付けることもでき(90度回転して、又はその他の方向付けで)、ここで使用する空間に関する指示語は、それに従って解釈される。同様に、様々な軸に沿った動き、及び様々な軸を中心とした動きについての説明は、様々な空間的な装置位置及び方向付けを含む。
【0031】
図中において繰り返しを避けるため、また様々な態様及び説明的な実施形態についての説明を避けるために、多くの特徴が、多くの態様及び実施形態について共通であると理解されるべきである。明細書又は図面から或る態様を省略したことは、この態様が、当該態様を含む実施形態から失われたことを示すものではない。そうではなく、明確性のため、また冗長な説明を避けるために、こうした態様は省略されているのである。
【0032】
図1は、座面6、粒子検出器3、及び振動設備2を備える、本発明による検査装置1の一実施形態を示す。座面6は、水平な上部表面を有しており、この上にバイアル4を容器として位置付ける。バイアル4は、側壁41、底部43、及び首部42を有する、実質的に円筒形のガラス体を備える。ガラス体の首部42は、上端が開いており、この上端は、凍結乾燥ストッパ44によってゆるく閉鎖されている。バイアル4の本体は、凍結乾燥させる予定の液状薬品製品7を収容している。液体7は、固有の充填レベル71を有する。
【0033】
粒子検出器3は、バイアル4のそばに位置付けられている。粒子検出器3は、カメラ31を備える。カメラ31は、バイアル4の側壁41が、カメラの視野311に入るように配置され、調整されている。よってカメラ31は、バイアル4、及びバイアル4内にある液体7を横方向から観察する。
【0034】
振動設備2は、周波数発生器21、圧電変換器22、及びさらなる圧電変換器23を備える。周波数発生器21は、4つのスロット211を有し、これらのスロットのうち1つは、第一のケーブル222を介して変換器22に接続されており、これらのスロットのうちもう1つは、第二のケーブル232を介して、さらなる変換器23に接続されている。周波数発生器21は、各スロット211の上方に、制御部214を有する。各制御部214は、スロット211のいずれかに関連付けられており、スロット211を介してもたらされる電気信号を調整する。周波数発生器21にはさらに、電源スイッチ213、及び調整されたパラメータを示すディスプレイ212が備えられている。
【0035】
変換器22は、バイアル4の側壁41に横方向で隣接して位置付けられるよう、バイアルのそばに配置されている。さらなる変換器23は、バイアル4の底部43に隣接して真下に位置付けられるよう、バイアルの下方に配置されている。周波数発生器21は、第一のパルス状電気信号を、第一のケーブル222を介して変換器22にもたらす。第一の電気信号は、変換器22によって、約0.5MHz~約2MHzの範囲にある周波数を有する第一の超音波221に変換されるように、調整されている。同様に周波数発生器21は、第二のパルス状電気信号を、第二のケーブル232を介してさらなる変換器23にもたらす。第二の電気信号は、さらなる変換器23によって、約20Hz~約50Hzの範囲にある周波数を有するさらなる又は第二の超音波231に変換されるように、調整されている。
【0036】
変換器22は、右から左へ側壁41を介して第一の波221を、バイアル4内にある液体7へともたらす。第一の波221の比較的高い周波数が原因となって、この第一の波は実際に、主に液体7中の繊維及び内在粒子5を流動化させる。それに加えて、さらなる変換器23が、底部から上に底部43を介して第二の波231を、バイアル4内にある液体7にもたらす。液体7の上部表面における反射が原因で、比較的低い周波数の第二の波が、主に比較的重い粒子5を動かすことができる定在波を形成する。粒子検出器3を用いることによって、流動化された粒子5が、正確かつ穏やかなやり方で効率的に検出できる。
【0037】
本発明の態様及び実施形態を説明する明細書及び添付図面は、本発明の権利範囲を規定する請求項を制限するものと受け取られるべきではない。換言すれば、本発明は図面及び先の明細書において詳細に説明及び記載されているものの、このような説明及び記載は、説明的又は例示的なものに過ぎず、何ら制限するものではない。技術思想から、また本明細書及び特許請求の範囲から外れない限りにおいて、機械的、部材的、構造的、電気的、及び手順的に様々な変更を行うことができる。幾つかの例では、本発明をあいまいなものにしないため、よく知られた回路、構造及び技術は、詳細には示されていない。よって当業者であれば、以下の特許請求の範囲及び技術思想の範囲内において、変更及び修正を行うことができると理解されるべきである。特に本発明は、先に、また以下で説明する様々な実施形態からの特徴のあらゆる組み合わせによる、さらなる実施形態をカバーする。
【0038】
本開示はまた、先の、又は以下の明細書には記載されていないかもしれないが、図面に別個に示されたさらなるあらゆる特徴をカバーする。また、図面及び明細書に記載された実施形態の1つの選択肢、及びその特徴の1つの選択肢は、本発明の対象から、または開示された対象から、除く(disclaim)ことができる。本開示は、特許請求の範囲又は例示的な実施形態に規定された特徴から成る対象、またこれらの特徴を含む対象を包含する。
【0039】
さらに、特許請求の範囲において、「含む」という単語は、その他の要素または工程を排除するものではなく、不定冠詞「一つの(a又はan)」は、複数を排除するものではない。1つのユニット又は工程は、特許請求の範囲に記載された複数の機能を満たすことがある。特定の手段が、相互に異なる従属クレームにおいて言及されているという事実のみをもってしては、これらの手段の組み合わせが、有利に使用できないことを表すわけではない。「実質的に」、「約」、「ほぼ」などという表現は、属性又は値との関連では、属性を正確に、又は値を正確に、それぞれ規定する。所定の数値又は範囲という文脈において「約」という用語は、例えば所定の値又は範囲の20%以内、10%以内、5%以内、2%以内にある値又は範囲を指す。「結合して」、又は「接続して」と記載された部材は、電気的に、若しくは機械的に直接結合されているか、又はこれらの部材は、1つ若しくはそれより多い介在部材によって間接的に結合されている。特許請求の範囲におけるあらゆる参照用符号は、本発明の範囲を制限するものではない。
図1