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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】バッテリ電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20220812BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220812BHJP
   G06F 1/28 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H02J1/00 308C
H02J7/00 302A
H02J7/00 S
G06F1/28
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019040851
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020145855
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 宏樹
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091832(JP,A)
【文献】特開2010-142098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
H02J 7/00
G06F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ装置とインバータ装置とを備えるバッテリ電源装置であって、
前記バッテリ装置は、
前記バッテリ装置内部の電圧値を検出する電圧検出部と、
前記インバータ装置のインバータ装置側コネクタとコネクタ接続するためのバッテリ装置側コネクタと、
バッテリと、
前記バッテリと前記バッテリ装置側コネクタとの間の接続を開閉する電磁接触器と、を備え、
前記電圧検出部が制御電源電圧の電圧値からの電圧減少を検出した場合、前記コネクタ接続があったと判定し、前記電磁接触器を閉じ、
前記電圧減少は、前記制御電源電圧よりも小さい所定値未満の電圧値が一定時間に亘って継続して測定されることであり、
前記バッテリ装置は、
前記制御電源電圧を出力するための電源スイッチと、
前記コネクタ接続の後に前記電源スイッチを操作しても前記電圧検出部が前記電圧減少を検出可能とするリレーと、をさらに備え、
前記電圧検出部が前記電圧減少後に前記所定値以上の電圧値を検出しなかった場合において、前記リレーの開閉を所定回数繰り返したとき、前記コネクタ接続があったと判定し、前記電磁接触器を閉じる、
ことを特徴とするバッテリ電源装置。
【請求項2】
1台の前記インバータ装置に接続している前記バッテリ装置を複数備え、
前記電圧検出部が前記バッテリのバッテリ電圧以上の電圧値を検出した場合、他の前記バッテリ装置で前記コネクタ接続があったと判定し、前記電磁接触器を閉じる、
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ装置とインバータ装置を別々の筺体で備えるバッテリ電源装置は、例えば、バッテリ装置のバッテリ装置側コネクタと、インバータ装置のインバータ装置側コネクタとをケーブルでコネクタ接続する。このようなバッテリ電源装置は、コネクタ接続無しでバッテリ装置側コネクタからバッテリ電圧が出力されている状態で、バッテリ装置側コネクタ端子に人が触れると感電またはやけどしてしまい、危険である。ゆえに、バッテリ電源装置を使用する際、コネクタ接続がなされているか否かを安全かつ確実に判定する判定手段が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-139031号公報
【文献】特開2006-054960号公報
【文献】特開2016-152696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術において、上記のような判定手段は存在しない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて、バッテリ装置とインバータ装置とのコネクタ接続を確実に判定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、
バッテリ装置とインバータ装置とを備えるバッテリ電源装置であって、
前記バッテリ装置は、
前記バッテリ装置内部の電圧値を検出する電圧検出部と、
前記インバータ装置のインバータ装置側コネクタとコネクタ接続するためのバッテリ装置側コネクタと、
バッテリと、
前記バッテリと前記バッテリ装置側コネクタとの間の接続を開閉する電磁接触器と、を備え、
前記電圧検出部が制御電源電圧の電圧値からの電圧減少を検出した場合、前記コネクタ接続があったと判定し、前記電磁接触器を閉じる、
ことを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バッテリ装置とインバータ装置とのコネクタ接続を安全かつ確実に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】バッテリ電源装置の回路ブロック図である。
図2】コネクタ接続に関するシミュレーション結果を示すグラフである。
図3】4台のバッテリ装置を並列接続したバッテリ電源装置のブロック図である。
図4】コネクタ接続検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
≪構成≫
図1に示す本実施形態のバッテリ電源装置1は、バッテリ装置10とインバータ装置50を別々の筺体で備える。バッテリ装置10は、直流電流(直流電圧)を出力する装置である。インバータ装置50は、バッテリ装置10からの直流電流(直流電圧)を所望の周波数の交流電流(交流電圧)に変換する装置である。
【0010】
(バッテリ装置)
バッテリ装置10は、バッテリ制御基板20と、バッテリ30と、バッテリ装置側コネクタ31と、電磁接触器32とを備える。
【0011】
バッテリ制御基板20は、バッテリ装置10の制御部として機能する。バッテリ制御基板20は、電圧検出部21と、制御電源22と、電源スイッチ23と、スイッチ制御部24と、ダイオード25と、リレー26と、電圧計27とを備える。なお、図1に示すバッテリ制御基板20のブロックにおいて、実線は電力線を示し、破線は、通信線を示す。
【0012】
電圧検出部21は、電圧計27を介して、バッテリ装置10内部の電圧値を検出する。
制御電源22は、バッテリ装置10を作動させるための制御電源電圧を出力する電源である。制御電源電圧は、例えば12Vとするが、これに限定されない。
電源スイッチ23は、人が操作する(押す)ことで制御電源電圧が出力される。
スイッチ制御部24は、リレー26の開閉(オンオフ)、および、電磁接触器32の開閉(オンオフ)を制御する。
【0013】
ダイオード25は、バッテリ30のバッテリ電圧がバッテリ制御基板20に流れ込むことを防ぐように接続されている。
リレー26は、電圧検出部21がコネクタ接続を確実に検出するための素子である。バッテリ制御基板20がリレー26を有しない場合には、コネクタ接続後に電源スイッチ23を押しても、電圧検出部21が電圧値の減少を検出できず、電磁接触器32が閉じずバッテリ電力が出力されない、という不都合がある。リレー26はこのような不都合を回避することができる。
電圧計27は、バッテリ装置10内部の電圧を測定する。
【0014】
バッテリ30は、インバータ装置50に供給する直流の電力を蓄えている。本実施形態では、バッテリ30のバッテリ電圧は、33.0V~48.0Vとすることができるが、この範囲に限定されない。なお、33.0Vは、バッテリ電圧の下限値であるが、48.0Vは、バッテリ30を充電するときの充電器2(図3参照)の出力電圧である。バッテリ電圧の上限値は、充電器2(図3参照)の出力電圧よりも小さくてもよい(例:43.2V)。
【0015】
バッテリ30は、例えば、複数の電池パックを接続して構成することができる。バッテリ30は、例えば、LiBを使用することができるが、これに限定されず、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、大容量キャパシタ、燃料電池等の2次電池を使用しても本発明を適用することができる。
【0016】
バッテリ装置側コネクタ31は、所定の電圧をバッテリ装置10の外部に出力するための接続部である。バッテリ装置側コネクタ31が有する端子(図示せず)と、インバータ装置50のインバータ装置側コネクタ51が有する端子(図示せず)とをケーブルCAで接続することでコネクタ接続が実現する。なお、ケーブルCAは、例えば、電力線であるがこれに限定されない。
【0017】
電磁接触器32は、バッテリ30とバッテリ装置側コネクタ31との間の接続の開閉手段である。電磁接触器32は、スイッチ制御部24の制御下で開閉する。電磁接触器32が閉じれば、バッテリ装置側コネクタ31にバッテリ電圧が出力される。
【0018】
(インバータ装置)
インバータ装置50は、インバータ装置側コネクタ51と、抵抗52と、フィルムコンデンサ53と、インバータ回路54とを備える。
【0019】
インバータ装置側コネクタ51は、所定の電圧をインバータ装置50の外部から入力するための接続部である。
抵抗52は、所定の電圧が出力された状態で、コネクタを抜いたとき、つまり、ケーブルCAを外したとき、フィルムコンデンサ53を放電することができる。抵抗52の抵抗値は、例えば、100kΩとすることができるが、この値に限定されない。
【0020】
フィルムコンデンサ53の容量は、例えば、1μFとすることができるが、この値に限定されない。ただし、フィルムコンデンサ53の充電時間を稼ぐため、フィルムコンデンサ53の容量は、所定値(例:1μF)以上であることが好ましい。換言すれば、フィルムコンデンサ53の容量は、フィルムコンデンサ53の充電に要する時間が、電圧検出部21が検出する電圧減少が継続する一定時間(詳細は後記)に対応する時間よりも長くすることができる容量であることが好ましい。また、大容量(例:100μF)にする場合、突入電流が発生する可能性を回避するため、制限抵抗を直列にするなどの補助手段を用意することが好ましい。フィルムコンデンサ53の代替手段として他の種類のコンデンサを用いることも可能である。ただし、電解コンデンサを用いたときには突入電流が発生する可能性があることやコスト面などを考慮すると、フィルムコンデンサが好ましい。
【0021】
インバータ回路54は、例えば、DC33.0V~57.0VをAC100Vに変換することができる。
【0022】
≪動作≫
バッテリ装置10の電源スイッチ23を、例えば人が押した場合、スイッチ制御部24は、リレー26を閉じる。すると、制御電源電圧(12V)がバッテリ装置側コネクタ31に出力される。また、電圧検出部21は、制御電源電圧の入力を確認する。なお、バッテリ装置側コネクタ31に出力される制御電源電圧は、バッテリ装置10が有する抵抗(図示せず。例:47kΩ)を介しているため、人がバッテリ装置側コネクタ31に触れても危険ではない。制御電源電圧は、それほど大きくない電圧として設計されている。
【0023】
もし、電源スイッチ23を押した時点で、ケーブルCAがコネクタ(31,51)間で接続済みであった場合(ケース1)、バッテリ装置側コネクタ31に出力された制御電源電圧は、インバータ装置側コネクタ51に出力され、フィルムコンデンサ53は充電される。その結果、電圧検出部21は、一定時間の電圧減少を検出することができる。よって、電圧検出部21は、コネクタ接続と判定することができる。
【0024】
また、電源スイッチ23を押した後に、ケーブルCAをコネクタ(31,51)間に接続した場合(ケース2)、ケーブルCAの接続時点で、バッテリ装置側コネクタ31に出力された制御電源電圧は、インバータ装置側コネクタ51に出力され、フィルムコンデンサ53は充電される。その結果、電圧検出部21は、一定時間の電圧減少を検出することができる。
【0025】
ケース1の場合であってもケース2の場合であっても、電圧検出部21は、一定時間の電圧減少を検出することができるので、コネクタ接続があったと判定することができる。一方、ケーブルCAが未接続である場合、電源スイッチ23が押されても、電圧検出部21は、一定時間の電圧減少を検出することがないため、コネクタ未接続と判定する。
【0026】
電圧検出部21が、コネクタ接続があったと判定すると、スイッチ制御部24は、電磁接触器32を閉じる。すると、バッテリ30のバッテリ電圧が、バッテリ装置側コネクタ31に出力され、インバータ装置50に出力される。電磁接触器32が閉じた後、電圧検出部21が検出する電圧値は、バッテリ電圧(33.0V~48.0V)になる。
【0027】
電磁接触器32が閉じた後、コネクタ接続を解除(脱抜)すると、電圧検出部21は、バッテリ電圧の電圧値ではなく、制御電源電圧の電圧値を検出する。電圧検出部21が制御電源電圧の電圧値を検出すると、電圧検出部21は、コネクタ未接続と判定し、スイッチ制御部24は、電磁接触器32を開放する。
【0028】
また、コネクタ接続が解除されると、インバータ装置50への電圧入力が無くなる。このとき、抵抗52によって、フィルムコンデンサ53は放電する。よって、ケーブルCAをコネクタ(31,51)間に再接続した場合、フィルムコンデンサ53の再充電によって、電圧検出部21は、一定時間の電圧減少を検出することができ、コネクタ再接続を判定することができる。
【0029】
[一定時間の電圧減少の検出の詳細]
図2のシミュレーション結果のグラフに示すように、経過時間が400msecの時点でコネクタ接続があった場合、フィルムコンデンサ53の充電が開始するため、電圧検出部21で検出した電圧値は、6Vから0Vに減少する。なお、図2中、0~400msecの期間の6Vは、制御電源電圧:12Vを分圧したときの値であり、制御電源電圧そのものを示す。制御電源電圧の分圧の有無で、一定時間の電圧減少の検出に相違は無い。
【0030】
0Vに減少してから約20msec経過後には、3.0Vにまで戻り、十分に長い時間経過後には、電圧検出部21で検出した電圧値は、所定の電圧値(例えば、約5V)にまで戻る(6Vに戻らないのは、インバータ装置50の抵抗52によりコネクタ接続時の分圧抵抗が変化するため)。このような電圧推移に鑑みて、例えば、電圧検出部21が、3.0V未満の電圧値を少なくとも10msecの間検出した場合、電圧検出部21が一定時間の電圧減少を検出した、とすることができる。
【0031】
「3.0V未満の電圧を少なくとも10msecの間検出した」とは、具体的には、電圧計27が1msecごとに電圧を測定した場合(サンプリング間隔が1msecの場合)、少なくとも10回連続で3.0V(所定値)未満の電圧値を検出したこととすることができる。しかし、検出の判断は、これに限定されず、サンプリング間隔は適宜変更することができる。
また、一定時間の電圧減少の検出の条件は、上記に限定されず、例えば、インバータ装置50に用いるコンデンサの種類、容量の選択等、適宜設計変更することができる。
【0032】
フィルムコンデンサ53の容量を1μF未満とした場合、充電時間が短くなりすぎてしまい、3.0V未満の電圧値を検出する期間が10msecよりも短くなってしまう。このため、電圧計27がこのような極短期間の電圧を測定できず、一定時間の電圧減少を検出できない可能性があり、コネクタ接続の誤判定を招くおそれがある。コネクタ接続の誤判定を回避するため、フィルムコンデンサ53の容量は、所定値(例:1μF)以上であることが好ましい。
【0033】
[バッテリ装置が複数ある場合]
図3に示すように、1台のインバータ装置50に対し、バッテリ装置10,10-1~10-3を端子台Tにて4台接続することができる。バッテリ装置10-1~10-3は、バッテリ装置10と同じ構成である。1台のインバータ装置50に接続するバッテリ装置10の数は、4台に限らず、3台以下でもよいし、5台以上でもよい。1台のインバータ装置50に接続するバッテリ装置10の数は、例えば、インバータ装置50の出力側にある負荷4の種類や運転時間などに応じて適宜決定することができる。
【0034】
なお、負荷4は、例えば、入力電圧、つまり、インバータ装置50の出力電圧がAC100V以下であり、入力電流が20A以下のものとすることができるがこれに限定されない。このような負荷4は、例えば、工事現場のLED照明や、電動工具とすることができるがこれらに限定されない。
また、バッテリ装置10,10-1~10-3の各々は、例えば、人が持ち運び可能となるように、寸法を333×265×274mm、重量を20kg未満(例:18.0kg)とすることができるが、これに限定されない。また、インバータ装置50は、例えば、人が持ち運び可能となるように、寸法を312×422×225mm、重量を20kg未満(例:17.5kg)とすることができるが、これに限定されない。
【0035】
図3に示す充電器2は、バッテリ装置10,10-1~10-3のバッテリ30を充電する。また、図3に示す入力外部電源3は、充電器2に電力供給する商用電源である。
【0036】
図3に示す構成の場合、例えば、バッテリ装置10の電磁接触器32が開放されていても、バッテリ装置10の電源スイッチ23を押したときに、バッテリ装置10の電圧検出部21は、バッテリ電圧以上の電圧値を検出する場合がある。この場合、他のバッテリ装置10-1~10-3の少なくとも何れかがインバータ装置50との間でコネクタ接続がなされていることを意味する。よって、バッテリ装置10の電圧検出部21は、バッテリ電圧以上の電圧値の検出を以って、コネクタ接続があったと判定し、スイッチ制御部24は、電磁接触器32を閉じる。バッテリ装置10におけるその後の動作は、既に説明した通りである。
なお、図3に示す構成において、コネクタ接続の解除とは、バッテリ装置10,10-1~10-3のすべてがコネクタ未接続にあることを意味する。
【0037】
≪処理≫
図4を参照して、バッテリ装置10におけるコネクタ接続検出処理について説明する。コネクタ接続検出処理の開始の際、電磁接触器32は開放している(オフ)。
【0038】
まず、電源スイッチを手動でオンにする(ステップS1)。次に、スイッチ制御部24は、リレー26をオン(閉)にする(ステップS2)。次に、電圧検出部21は、制御電源電圧(12V)が入力されたことを確認する(ステップS3)。
【0039】
次に、電圧検出部21は、電磁接触器32が開放している状態で、バッテリ電圧の下限値である33V未満の電圧値を検出したか否かを判定する(ステップS4)。33V未満の電圧値を検出した場合(ステップS4でYes)、電圧検出部21は、フィルムコンデンサ53の充電に起因する電圧減少を示唆する3.0V未満を10~20msecの期間に亘って検出したか否かを判定する(ステップS5)。
【0040】
3.0V未満を10~20msecの期間に亘って検出した場合(ステップS5でYes)、電圧検出部21は、その期間後に3.0V以上を検出したか否かを判定する(ステップS6)。3.0V以上を検出しない場合(ステップS6でNo)、電圧検出部21は、一定時間の電圧減少を検出した回数である電圧減少検出回数をインクリメントする(ステップS13)。次に、電圧検出部21は、電圧減少検出回数が3回に到達したか否かを判定する(ステップS14)。なお、3回は例示であって、2回以下でも4回以上でもよい。
【0041】
電圧減少検出回数が3回に到達していない場合(ステップS14でNo)、スイッチ制御部24は、リレー26をオフ(開)にし(ステップS15)、例えば、数秒後にリレー26を再度オンにする(ステップS16)。3.0V未満を10~20msecの期間に亘って検出し(ステップS5でYes)、かつ、電圧減少検出回数が3回に到達する(ステップS14でYes)まで、リレー26のオンオフを繰り返す。
【0042】
3.0V以上を検出した場合(ステップS6でYes)、電圧検出部21は、電圧減少検出回数をクリアする(ステップS7)。3.0V以上を検出した場合は、電圧検出部21は、一定時間の電圧減少を確実に検出したことになる。また、電圧減少検出回数が3回に到達した場合も(ステップS14でYes)、電圧検出部21は、電圧減少検出回数をクリアする(ステップS7)。電圧減少検出回数が3回に到達した場合は、リレー26のオンオフを繰り返しても、電圧検出部21が検出した電圧値が3.0V以上に戻らず長期間に亘って、電圧減少状態にあったことを意味する。電圧検出部21は、このような電圧減少状態については、3.0V以上の電圧値を検出しなかったとしても、誤検出とせず、一定時間の電圧減少の正常な検出があったとみなす。
【0043】
電圧減少検出回数をクリア(ステップS7)した後、電圧検出部21は、一定時間の電圧減少の検出を以ってコネクタ接続があったと判定する(ステップS8)。また、33V未満の電圧値を検出しなかった場合(ステップS4でNo)、33V以上の電圧値を検出したことになる。この場合は、電圧検出部21は、他のバッテリ装置10-1~10-3(図3)の少なくとも何れかがインバータ装置50との間でコネクタ接続があったと判定する(ステップS8)。
【0044】
次に、スイッチ制御部24は、電磁接触器32をオン(閉)にする(ステップS9)。すると、バッテリ30のバッテリ電圧(33.0V~48.0V)がバッテリ装置側コネクタ31に出力される。
【0045】
次に、電圧検出部21は、電磁接触器32が閉じている状態で、バッテリ電圧の下限値である33V未満の電圧値を検出したか否かを判定する(ステップS10)。33V未満の電圧値を検出しなかった場合(ステップS10でNo)、コネクタ接続によって、バッテリ電圧がインバータ装置50に出力されており、インバータ装置50は使用可能な状態にあることを意味している。よって、コネクタ接続検出処理を終了する。
【0046】
一方、33V未満の電圧値を検出した場合(ステップS10でYes)、電圧検出部21は、コネクタ未接続があったと判定する(ステップS11)。この場合、一度判定されたコネクタ接続(ステップS8)が解除されたことを意味する。または、3.0V未満を10~20msecの期間に亘って検出しなかった場合において(ステップS5でNo)、元々コネクタ接続がされてなかったことを意味する。
【0047】
次に、スイッチ制御部24は、電磁接触器32をオフ(開)にする(ステップS12)。すると、バッテリ30のバッテリ電圧(33.0V~48.0V)がバッテリ装置側コネクタ31に出力されない。なお、3.0V未満を10~20msecの期間に亘って検出しなかった場合には(ステップS5でNo)、電磁接触器32は元々オフであるため、ステップS13をスキップすることができる。その後、ステップS4に戻って、電磁接触器32が開放している状態で、バッテリ電圧の下限値である33V未満の電圧値を検出したか否かを判定し、既に説明した処理を繰り返す。
【0048】
図4のコネクタ接続検出処理によれば、一定期間の電圧減少を以ってコネクタ接続の有無を確実に判定することができる。
【0049】
以上の説明から、本実施形態によれば、制御電源電圧の電圧値からの電圧減少を監視してコネクタ接続があったか否かを判定するとともに、バッテリ装置10とインバータ装置50とのコネクタ接続が判定されるまでは、バッテリ装置側コネクタ31からバッテリ30のバッテリ電圧を出力しないように制御することができる。
したがって、バッテリ装置とインバータ装置とのコネクタ接続を安全かつ確実に判定することができる。
【0050】
また、電圧減少を定義づけることで、コネクタ接続の判定精度を向上させることができる。
また、想定と異なる態様で電圧減少が検出されたとしても、リレー26の開閉を繰り返すことで、実際になされたコネクタ接続を、電圧検出部21の電圧監視から判定することができる。
また、インバータ装置50のフィルムコンデンサ53の容量を所定の容量以上にすることで、電圧検出部21が電圧減少を確実に検出することができ、コネクタ接続の判定精度を向上させることができる。
また、バッテリ装置10が複数ある場合でも、コネクタ接続を確実に判定することができる。
【0051】
(変形例)
1台のインバータ装置50に対して、バッテリ装置10,10-1~10-3が複数接続している場合、バッテリ装置10,10-1~10-3の各々がバッテリ制御基板20を備えるように構成することができる。この場合、それぞれのバッテリ制御基板20間でバッテリ装置10,10-1~10-3内部の電圧の情報をやり取りし、コネクタ接続の判定に利用することができる。
【0052】
また、1台のインバータ装置50に対して、バッテリ装置10,10-1~10-3が複数接続している場合、バッテリ装置10,10-1~10-3のうち、例えば、バッテリ装置10のみバッテリ制御基板20を備えるように構成することができる。この場合、バッテリ装置10のバッテリ制御基板20が、バッテリ装置10内部の電圧値を検出すると共に、バッテリ装置10-1~10-3の各々の内部の電圧値を検出するように構成することができる。
【0053】
なお、本実施形態で説明した技術を組み合わせた技術を実現できる。
その他、本発明の装置を構成する部材の形状、配置などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【符号の説明】
【0054】
1 バッテリ電源装置
10 バッテリ装置
20 バッテリ制御基板
21 電圧検出部
22 制御電源
23 電源スイッチ
24 スイッチ制御部
25 ダイオード
26 リレー
27 電圧計
30 バッテリ
31 バッテリ装置側コネクタ
32 電磁接触器
50 インバータ装置
51 インバータ装置側コネクタ
52 抵抗
53 フィルムコンデンサ
54 インバータ回路
図1
図2
図3
図4