(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】取付構造、ワイヤハーネス、及び、支持部材
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20220812BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/04 062
(21)【出願番号】P 2019084036
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】小池 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】本多 亨
(72)【発明者】
【氏名】高村 修平
(72)【発明者】
【氏名】岡本 陽介
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-201963(JP,A)
【文献】特開2000-152468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に対する取り付け対象である取付対象部材と、
前記取付面に形成された係止孔に対して挿入方向に沿って挿入され係止される係止部、及び、前記係止部と一体で形成され前記取付対象部材を前記挿入方向と交差する着脱方向に沿って着脱可能に保持する保持部を有する支持部材と、
前記取付対象部材と前記保持部とを着脱可能に組み付け、前記取付対象部材と前記保持部とを相互に組み付けた状態で、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向に沿った前記取付対象部材と前記保持部との相対移動を規制可能である着脱構造とを備え、
前記取付対象部材は、
アーム状に形成された第1係止爪部を含み前記第1方向に沿って突出して設けられる第1クランプ部と、
アーム状に形成された第2係止爪部を含み前記第2方向に沿って突出して設けられる第2クランプ部と、
前記第1クランプ部と前記第2クランプ部との間に設けられ前記第1方向と前記第2方向とに渡って屈曲して延在する嵌合リブ部とを有し、
前記保持部は、
前記第1方向と交差する方向に延在する基部と、
前記基部から前記第1方向に沿って突出しかつ前記第2方向に沿って相互に対向して設けられ、前記第2方向に沿って前記取付対象部材の一部を挟み込む一対の側壁部と、
前記一対の側壁部の一方と前記基部とに渡って設けられ前記第1方向と前記第2方向とに渡って延在し前記嵌合リブ部が嵌合可能であり、当該嵌合リブ部が嵌合した状態で前記第3方向に沿った当該嵌合リブ部の相対移動を規制する嵌合孔部と、
前記基部に設けられ、前記嵌合リブ部が前記嵌合孔部に嵌合した状態で、前記第1方向に沿って前記第1係止爪部が係止され、前記第1方向に沿った前記第1クランプ部の相対移動を規制する第1係止切り欠き部と、
前記一対の側壁部の前記一方に設けられ、前記嵌合リブ部が前記嵌合孔部に嵌合した状態で、前記第2方向に沿って前記第2係止爪部が係止され、前記第2方向に沿った前記第2クランプ部の相対移動を規制する第2係止切り欠き部とを有し、
前記第1クランプ部、前記第2クランプ部、前記嵌合リブ部、前記基部、前記一対の側壁部、前記嵌合孔部、前記第1係止切り欠き部、及び、前記第2係止切り欠き部は、前記着脱構造を構成する、
取付構造。
【請求項2】
前記保持部は、前記一対の側壁部の前記一方に前記嵌合孔部と連通して設けられ、前記第2クランプ部を前記第1方向に沿って前記第2係止切り欠き部側に誘い込む誘い込み開口部を有し、
前記誘い込み開口部は、前記着脱構造を構成する、
請求項
1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記取付対象部材は、配索材に装着され当該配索材を保護するプロテクタである、
請求項1又は請求項2に記載の取付構造。
【請求項4】
導電性を有する配索材と、
前記配索材に装着され当該配索材を保護するプロテクタと、
取付面に形成された係止孔に対して挿入方向に沿って挿入され係止される係止部、及び、前記係止部と一体で形成され前記プロテクタを前記挿入方向と交差する着脱方向に沿って着脱可能に保持する保持部を有する支持部材と、
前記プロテクタと前記保持部とを着脱可能に組み付け、前記プロテクタと前記保持部とを相互に組み付けた状態で、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向に沿った前記プロテクタと前記保持部との相対移動を規制可能である着脱構造とを備え、
前記プロテクタは、
アーム状に形成された第1係止爪部を含み前記第1方向に沿って突出して設けられる第1クランプ部と、
アーム状に形成された第2係止爪部を含み前記第2方向に沿って突出して設けられる第2クランプ部と、
前記第1クランプ部と前記第2クランプ部との間に設けられ前記第1方向と前記第2方向とに渡って屈曲して延在する嵌合リブ部とを有し、
前記保持部は、
前記第1方向と交差する方向に延在する基部と、
前記基部から前記第1方向に沿って突出しかつ前記第2方向に沿って相互に対向して設けられ、前記第2方向に沿って前記プロテクタの一部を挟み込む一対の側壁部と、
前記一対の側壁部の一方と前記基部とに渡って設けられ前記第1方向と前記第2方向とに渡って延在し前記嵌合リブ部が嵌合可能であり、当該嵌合リブ部が嵌合した状態で前記第3方向に沿った当該嵌合リブ部の相対移動を規制する嵌合孔部と、
前記基部に設けられ、前記嵌合リブ部が前記嵌合孔部に嵌合した状態で、前記第1方向に沿って前記第1係止爪部が係止され、前記第1方向に沿った前記第1クランプ部の相対移動を規制する第1係止切り欠き部と、
前記一対の側壁部の前記一方に設けられ、前記嵌合リブ部が前記嵌合孔部に嵌合した状態で、前記第2方向に沿って前記第2係止爪部が係止され、前記第2方向に沿った前記第2クランプ部の相対移動を規制する第2係止切り欠き部とを有し、
前記第1クランプ部、前記第2クランプ部、前記嵌合リブ部、前記基部、前記一対の側壁部、前記嵌合孔部、前記第1係止切り欠き部、及び、前記第2係止切り欠き部は、前記着脱構造を構成することを特徴とする、
ワイヤハーネス。
【請求項5】
取付面に形成された係止孔に対して挿入方向に沿って挿入され係止される係止部と、
前記係止部と一体で形成され前記取付面に対する取り付け対象である取付対象部材を前記挿入方向と交差する着脱方向に沿って着脱可能に保持する保持部とを備え、
前記取付対象部材は、
アーム状に形成された第1係止爪部を含み第1方向に沿って突出して設けられる第1クランプ部と、
アーム状に形成された第2係止爪部を含み第2方向に沿って突出して設けられる第2クランプ部と、
前記第1クランプ部と前記第2クランプ部との間に設けられ前記第1方向と前記第2方向とに渡って屈曲して延在する嵌合リブ部とを有し、
前記保持部は、
前記第1方向と交差する方向に延在する基部と、
前記基部から前記第1方向に沿って突出しかつ前記第2方向に沿って相互に対向して設けられ、前記第2方向に沿って前記取付対象部材の一部を挟み込む一対の側壁部と、
前記一対の側壁部の一方と前記基部とに渡って設けられ前記第1方向と前記第2方向とに渡って延在し前記嵌合リブ部が嵌合可能であり、当該嵌合リブ部が嵌合した状態で第3方向に沿った当該嵌合リブ部の相対移動を規制する嵌合孔部と、
前記基部に設けられ、前記嵌合リブ部が前記嵌合孔部に嵌合した状態で、前記第1方向に沿って前記第1係止爪部が係止され、前記第1方向に沿った前記第1クランプ部の相対移動を規制する第1係止切り欠き部と、
前記一対の側壁部の前記一方に設けられ、前記嵌合リブ部が前記嵌合孔部に嵌合した状態で、前記第2方向に沿って前記第2係止爪部が係止され、前記第2方向に沿った前記第2クランプ部の相対移動を規制する第2係止切り欠き部とを有し、
前記第1クランプ部、前記第2クランプ部、前記嵌合リブ部、前記基部、前記一対の側壁部、前記嵌合孔部、前記第1係止切り欠き部、及び、前記第2係止切り欠き部は、前記取付対象部材と前記保持部とを着脱可能に組み付け、前記取付対象部材と前記保持部とを相互に組み付けた状態で、互いに交差する前記第1方向、前記第2方向、及び、前記第3方向に沿った前記取付対象部材と前記保持部との相対移動を規制可能である着脱構造を構成することを特徴とする、
支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付構造、ワイヤハーネス、及び、支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のワイヤハーネスに適用されるプロテクタ等に関する従来の取付構造として、例えば、特許文献1には、ワイヤハーネスの中途部を支持する支持具を取り付けるためのワイヤハーネス支持具取付部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のワイヤハーネス支持具取付部材は、例えば、様々な状況下で、適正な組み付け性を確保するための構成の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正な組み付け性を確保することができる取付構造、ワイヤハーネス、及び、支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る取付構造は、取付面に対する取り付け対象である取付対象部材と、前記取付面に形成された係止孔に対して挿入方向に沿って挿入され係止される係止部、及び、前記係止部と一体で形成され前記取付対象部材を前記挿入方向と交差する着脱方向に沿って着脱可能に保持する保持部を有する支持部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記取付構造では、前記取付対象部材と前記保持部とを着脱可能に組み付け、前記取付対象部材と前記保持部とを相互に組み付けた状態で、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向に沿った前記取付対象部材と前記保持部との相対移動を規制可能である着脱構造を備えるものとすることができる。
【0008】
また、上記取付構造では、前記取付対象部材は、アーム状に形成された第1係止爪部を含み前記第1方向に沿って突出して設けられる第1クランプ部と、アーム状に形成された第2係止爪部を含み前記第2方向に沿って突出して設けられる第2クランプ部と、前記第1クランプ部と前記第2クランプ部との間に設けられ前記第1方向と前記第2方向とに渡って屈曲して延在する嵌合リブ部とを有し、前記保持部は、前記第1方向と交差する方向に延在する基部と、前記基部から前記第1方向に沿って突出しかつ前記第2方向に沿って相互に対向して設けられ、前記第2方向に沿って前記取付対象部材の一部を挟み込む一対の側壁部と、前記一対の側壁部の一方と前記基部とに渡って設けられ前記第1方向と前記第2方向とに渡って延在し前記嵌合リブ部が嵌合可能であり、当該嵌合リブ部が嵌合した状態で前記第3方向に沿った当該嵌合リブ部の相対移動を規制する嵌合孔部と、前記基部に設けられ、前記嵌合リブ部が前記嵌合孔部に嵌合した状態で、前記第1方向に沿って前記第1係止爪部が係止され、前記第1方向に沿った前記第1クランプ部の相対移動を規制する第1係止切り欠き部と、前記一対の側壁部の前記一方に設けられ、前記嵌合リブ部が前記嵌合孔部に嵌合した状態で、前記第2方向に沿って前記第2係止爪部が係止され、前記第2方向に沿った前記第2クランプ部の相対移動を規制する第2係止切り欠き部とを有し、前記第1クランプ部、前記第2クランプ部、前記嵌合リブ部、前記基部、前記一対の側壁部、前記嵌合孔部、前記第1係止切り欠き部、及び、前記第2係止切り欠き部は、前記着脱構造を構成するものとすることができる。
【0009】
また、上記取付構造では、前記保持部は、前記一対の側壁部の前記一方に前記嵌合孔部と連通して設けられ、前記第2クランプ部を前記第1方向に沿って前記第2係止切り欠き部側に誘い込む誘い込み開口部を有し、前記誘い込み開口部は、前記着脱構造を構成するものとすることができる。
【0010】
また、上記取付構造では、前記取付対象部材は、配索材に装着され当該配索材を保護するプロテクタであるものとすることができる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、前記配索材に装着され当該配索材を保護するプロテクタと、取付面に形成された係止孔に対して挿入方向に沿って挿入され係止される係止部、及び、前記係止部と一体で形成され前記プロテクタを前記挿入方向と交差する着脱方向に沿って着脱可能に保持する保持部を有する支持部材とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る支持部材は、取付面に形成された係止孔に対して挿入方向に沿って挿入され係止される係止部と、前記係止部と一体で形成され前記取付面に対する取り付け対象である取付対象部材を前記挿入方向と交差する着脱方向に沿って着脱可能に保持する保持部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る取付構造、ワイヤハーネス、及び、支持部材は、取付対象部材とは別体に形成された支持部材の係止部を、取付面に形成された係止孔に対して挿入方向に沿って挿入し係止することができる。その上で、取付構造、ワイヤハーネス、及び、支持部材は、係止部と一体で形成された支持部材の保持部に対して、挿入方向と交差する着脱方向に沿って取付対象部材を装着することができる。この結果、取付構造、ワイヤハーネス、及び、支持部材は、適正な組み付け性を確保することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る取付構造が適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る取付構造が適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る取付構造のクランプ部材の概略構成を表す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る取付構造の概略構成を表す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る取付構造の嵌合リブ部を含む部分斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る取付構造の着脱構造を含む部分斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る取付構造の第1クランプ部を含む部分断面斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る取付構造の第2クランプ部を含む部分断面斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る取付構造のクランプ部材の概略構成を表す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る取付構造の嵌合孔部を含む部分斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る取付構造の取付動作を説明する部分断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る取付構造の取付動作を説明する部分斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る取付構造の取付動作を説明する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
なお、以下で説明する
図1、
図2、
図3、
図4、
図11、
図13は、取付対象部材が取り付けられる取付面を二点鎖線で省略して図示し、他図では取付面の図示自体を省略している。また、以下の説明では、取付対象部材と支持部材との相対的な位置関係において、互いに交差する3つの方向をそれぞれ「第1方向X」、「第2方向Y」、及び、「第3方向Z」という。第1方向Xと第2方向Yと第3方向Zとは、典型的には、相互に直交する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0017】
[実施形態]
図1、
図2に示す本実施形態の取付構造1は、車両等に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれて、ワイヤハーネスWHにおける取付対象部材10を取付面BRに取り付けるための構造である。本実施形態の取付構造1は、取付対象部材10と、支持部材としてのクランプ部材20と、着脱構造30とを備える。そして、本実施形態の取付構造1は、取付対象部材10とクランプ部材20とが着脱構造30を介して着脱可能に組み付けられ、取付対象部材10を、支持部材20を介して取付面BRに取り付けるものである。ここでは、取付対象部材10は、ワイヤハーネスWHの配索材Wに装着され当該配索材Wを保護するプロテクタPRであるものとして説明する。
【0018】
ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各機器に接続するようにしたものである。本実施形態のワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、接続機構としてコネクタCNと、取付対象部材10であるプロテクタPRと、クランプ部材20と、着脱構造30とを備える。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、コルゲートチューブ、グロメット等の外装部材、電気接続箱、固定具など種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0019】
配索材Wは、例えば、金属棒、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。本実施形態の配索材Wは、1本の配索材WがプロテクタPR内で2本の配索材Wに分岐している。コネクタCNは、配索材Wの一方の端部(ここでは2本に分岐した側の端部)に接続され、インバータ等の装置と配索材Wとを電気的に接続する配索材対装置用接続装置を構成するものである。配索材Wは、他方の端部にも各種コネクタが接続されている。そして、ワイヤハーネスWHは、配索材Wを束ねて集約すると共に、束ねられた配索材Wの端末に設けられたコネクタCN等を介して各種装置が電気的に接続される。
【0020】
プロテクタPRと、クランプ部材20と、着脱構造30とは、上述したように、取付対象部材10であるプロテクタPRを取付面BRに取り付けるための取付構造1を構成する。ここで、本実施形態の取付面BRは、例えば、インバータ等の装置に組み付けられたブラケットによって構成される。取付面BRを構成するブラケットは、配索材Wを装置の外面に沿って配索した状態で、取付対象部材10であるプロテクタPRを当該装置に支持するための構造体である。ここでは、取付面BRは、略円形状に形成された係止孔BRaを有している。
【0021】
本実施形態の取付構造1は、
図2、
図3、
図4に示すように、取付対象部材10であるプロテクタPRとクランプ部材20とが別体に形成される。その上で、本実施形態の取付構造1は、取付面BRの係止孔BRaに対するクランプ部材20の挿入方向L1と、クランプ部材20に対するプロテクタPRの着脱方向L2とを交差させて構成することで、適正な組み付け性の確保を図ったものである。この構成により、取付構造1は、例えば、
図3に示すように、取付面BRに挿入方向L1に沿ってクランプ部材20を組み付けた後に、
図4に示すように、クランプ部材20に着脱方向L2に沿ってプロテクタPRを装着することが可能となる。この結果、取付構造1は、例えば、組み付け作業を行う際に各部材をとりまわすためのスペースを取付面BRの近傍に十分に確保することができない場合や取付方向が限定されてしまうような場合であっても適正な組み付け性を確保することが可能となる。以下、各図を参照して取付構造1の構成について詳細に説明する。
【0022】
具体的には、プロテクタPRは、
図1、
図2、
図4に示すように、絶縁性を有する樹脂材料によって全体として略筒状に形成される。プロテクタPRは、筒形状の内部に配索材Wが挿通され、配索される。プロテクタPRは、一方の端部から他方の端部に渡って配索材Wが挿通され、配索材Wを保護すると共に配索材Wの配索経路を規制する。本実施形態のプロテクタPRは、全体が略L字型に屈曲して形成され、配索材Wの配索経路を略L字型に規制する。プロテクタPRは、上述したように取付面BRに対する取り付け対象である取付対象部材10を構成する。
【0023】
本実施形態のプロテクタPRは、ベースPR1と、カバーPR2と、複数の係止機構PR3とを備える。ベースPR1とカバーPR2とは、別体に形成される。ベースPR1、カバーPR2は、共に略樋形状に形成され、互いに向かい合って組み付けられることで、内部に配索空間部PR4を形成する。配索空間部PR4は、配索材Wが挿通、配索される空間部であり、両端が開口している。各係止機構PR3は、ベースPR1側に設けられた係止受け部と、カバーPR2側に設けられた係止片とが相互に係止されることで、ベースPR1とカバーPR2とを係止する。プロテクタPRは、ベースPR1とカバーPR2とが複数の係止機構PR3によって相互に組み付けられることで、上述したように全体として略L字型に屈曲した筒形状に形成される。ここでは、プロテクタPRは、ベースPR1が屈曲内側、カバーPR2が屈曲外側に位置し、かつ、ベースPR1、カバーPR2が第2方向Y及び第3方向Zに沿って延在する略L字型となる位置関係で、ベースPR1とカバーPR2とが相互に組み付けられる。ベースPR1は、第2方向Yに沿って延在する部分が第1部位PR1Aをなし、第3方向Zに沿って延在する部分が第2部位PR1Bをなす。同様に、カバーPR2は、第2方向Yに沿って延在する部分が第1部位PR2Aをなし、第3方向Zに沿って延在する部分が第2部位PR2Bをなす。プロテクタPRは、ベースPR1とカバーPR2とによって形成される配索空間部PR4に、一方の開口から他方の開口まで配索材Wが挿通される。
【0024】
そして、本実施形態の取付対象部材10であるプロテクタPRは、
図2、
図4、
図5、
図6に示すように、第1クランプ部11と、第2クランプ部12と、嵌合リブ部13とを有する。ここでは、第1クランプ部11、第2クランプ部12、嵌合リブ部13は、それぞれベースPR1に一体で形成される。第1クランプ部11、第2クランプ部12、嵌合リブ部13は、ベースPR1において第3方向Zに延在する第2部位PR1Bで、かつ、屈曲部近傍の部分に設けられる。
【0025】
第1クランプ部11は、
図5、
図6、
図7に示すように、クランプ部材20に係止される部分である。第1クランプ部11は、アーム状に形成された第1係止爪部11aを含み第1方向Xに沿って突出して設けられる。より具体的には、第1クランプ部11は、一対の第1係止爪部11aと、軸部11bとを含んで構成される。軸部11bは、ベースPR1の第2部位PR1Bにおいて、第1方向Xの一方側の面(屈曲側方面)から第1方向Xに沿って突出して形成される。ここでは、軸部11bは、一部にスリットが設けられた柱状に形成される。軸部11bは、先端部に一対の第1係止爪部11aが連結される。一対の第1係止爪部11aは、それぞれ軸部11bの先端部からベースPR1の外表面側に向けて湾曲しながらアーム状に延在する。一対の第1係止爪部11aは、軸部11bを挟んで第3方向Zに沿って対向して位置する。第1クランプ部11は、一対の第1係止爪部11aが可撓性を有しており、後述する嵌合孔部22dに第1係止爪部11aが撓みながら挿入可能に形成される。一対の第1係止爪部11aは、それぞれ基端部が軸部11bの先端部と連結される一方、ベースPR1の外表面側の先端部に係止段差部11cが形成されている。各係止段差部11cは、後述するクランプ部材20の嵌合孔部22dの縁部に係止される部分である。
【0026】
第2クランプ部12は、
図5、
図6、
図8に示すように、第1クランプ部11と同様に、クランプ部材20に係止される部分である。第2クランプ部12は、アーム状に形成された第2係止爪部12aを含み第2方向Yに沿って突出して設けられる。第2クランプ部12は、第3方向Zに対する位置が第1クランプ部11とほぼ同等の位置となるように設けられる。より具体的には、第2クランプ部12は、一対の第2係止爪部12aと、軸部12bとを含んで構成される。軸部12bは、ベースPR1の第2部位PR1Bにおいて、第2方向Yの一方側の面(屈曲内方面)から第2方向Yに沿って突出して形成される。ここでは、軸部12bは、一部にスリットが設けられた柱状に形成される。軸部12bは、先端部に一対の第2係止爪部12aが連結される。一対の第2係止爪部12aは、それぞれ軸部12bの先端部からベースPR1の外表面側に向けて湾曲しながらアーム状に延在する。一対の第2係止爪部12aは、軸部12bを挟んで第3方向Zに沿って対向して位置する。第2クランプ部12は、一対の第2係止爪部12aが可撓性を有しており、後述する嵌合孔部22dに第2係止爪部12aが撓みながら挿入可能に形成される。一対の第2係止爪部12aは、それぞれ基端部が軸部12bの先端部と連結される一方、ベースPR1の外表面側の先端部に係止段差部12cが形成されている。各係止段差部12cは、後述するクランプ部材20の嵌合孔部22dの縁部に係止される部分である。
【0027】
嵌合リブ部13は、
図5、
図6に示すように、第1クランプ部11と第2クランプ部12との間に設けられ第1方向Xと第2方向Yとに渡って屈曲して延在する。嵌合リブ部13は、ベースPR1の第2部位PR1Bにおいて、第1クランプ部11が設けられた第1方向Xの一方側の面(屈曲側方面)と、第2クランプ部12が設けられた第2方向Yの一方側の面(屈曲内方面)とに渡って湾曲して設けられる。嵌合リブ部13は、一部にスリットが設けられた扇形状に形成される。
【0028】
なお、本実施形態の取付対象部材10であるプロテクタPRは、さらに、
図4、
図5、
図6に示すように、補助リブ部14、15等も有している。補助リブ部14、15は、ベースPR1の第2部位PR1Bの外表面に壁状に形成される。補助リブ部14と補助リブ部15とは、第3方向Zに対して、第1クランプ部11、第2クランプ部12、嵌合リブ部13を挟んで間隔をあけて対向して位置する。補助リブ部14は、第1クランプ部11が設けられた第1方向Xの一方側の面(屈曲側方面)と、第2クランプ部12が設けられた第2方向Yの一方側の面(屈曲内方面)とに渡って、第1方向X、及び、第2方向Yに沿って形成される。補助リブ部15は、第1クランプ部11が設けられた第1方向Xの一方側の面(屈曲側方面)に第1方向Xに沿って形成される。補助リブ部14と補助リブ部15とは、プロテクタPRがクランプ部材20に保持された状態で、それぞれ第3方向Zに対してクランプ部材20の両側に隣接して位置する。
【0029】
クランプ部材20は、
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、取付対象部材10であるプロテクタPRとは別体で形成され、プロテクタPRを取付面BRに支持するための部材である。クランプ部材20は、係止部21、及び、保持部22を有し、これらが一体で形成される。
【0030】
係止部21は、取付面BRに形成された係止孔BRaに対して挿入方向L1(
図3参照)に沿って挿入され係止される部分である。ここで、係止孔BRaに対する係止部21の挿入方向L1は、取付面BRに形成された係止孔BRaの軸線方向に沿った方向である。
【0031】
具体的には、係止部21は、板状部23と、クランプ部24とを有し、これらが一体で形成される。板状部23は、略矩形板状に形成される部分である。クランプ部24は、係止孔BRaに実際に挿入され係止される部分である。クランプ部24は、アーム状に形成された係止爪部24aを含み板状部23に対して垂直方向に沿って突出して設けられる。より具体的には、クランプ部24は、一対の係止爪部24aと、軸部24bとを含んで構成される。軸部24bは、板状部23において、一方側の主面の略中央部から垂直方向に沿って突出して形成される。ここでは、軸部24bは、略円柱状に形成される。軸部24bは、先端部に一対の係止爪部24aが連結される。一対の係止爪部24aは、それぞれ軸部24bの先端部から板状部23の主面側に向けて湾曲しながらアーム状に延在する。一対の係止爪部24aは、軸部24bを挟んで対向して位置する。クランプ部24は、一対の係止爪部24aが可撓性を有しており、係止孔BRaに係止爪部24aが撓みながら挿入可能に形成される。一対の係止爪部24aは、それぞれ基端部が軸部24bの先端部と連結される一方、板状部23の主面側の先端部に係止段差部24c(
図3参照)が形成されている。各係止段差部24cは、取付面BRに形成された係止孔BRaの縁部に係止される部分である。
【0032】
保持部22は、係止部21と一体で形成され取付対象部材10を挿入方向L1と交差する着脱方向L2(
図4参照)に沿って着脱可能に保持する部分である。本実施形態の保持部22は、取付対象部材10であるプロテクタPRを着脱方向L2に沿って着脱可能に保持する。ここで、保持部22に対する取付対象部材10の着脱方向L2は、典型的には、コネクタCNがインバータ等の装置に接続、固定された状態で、当該コネクタCNを中心としたプロテクタPR(取付対象部材10)の略円弧状の回動軌跡に沿った方向となる(
図2、
図4等参照)。
【0033】
具体的には、保持部22は、
図3、
図4、
図9、
図10に示すように、基部22aと、一対の側壁部22b、22cと、嵌合孔部22dと、第1係止切り欠き部22eと、第2係止切り欠き部22fと、誘い込み開口部22gとを有し、これらが一体で形成される。
【0034】
基部22aは、第1方向Xと交差する方向に延在する板状の部分である。基部22aは、後述する嵌合孔部22dが形成される部分も含めると、全体として第2方向Y及び第3方向Zに延在する略矩形板状に形成される。
【0035】
一対の側壁部22b、22cは、基部22aから第1方向Xに沿って突出しかつ第2方向Yに沿って相互に対向して設けられる部分である(
図11、
図13も参照)。一対の側壁部22b、22cは、それぞれ基部22aの第2方向Yの各端部から第1方向Xに沿って同じ側に突出して形成される。ここでは、一対の側壁部22b、22cは、基部22aから第1方向Xに沿って延在する。側壁部22bは、後述する嵌合孔部22dが形成される部分も含めると、全体として第1方向X及び第3方向Zに延在する略矩形板状に形成される。側壁部22cは、後述する嵌合孔部22dが形成されておらず、全体として第1方向X及び第3方向Zに延在する略矩形板状に形成される。そして、一対の側壁部22b、22cは、第2方向Yに沿って取付対象部材10の一部、ここでは、プロテクタPRの第2部位PR1B、PR2Bを挟み込む部分となる(
図13も参照)。
【0036】
基部22a、及び、一対の側壁部22b、22cは、全体として、第1方向Xの一方側、及び、第3方向Zの両側が開放された略コの字型に形成される(
図11、
図13も参照)。そして、基部22a、及び、一対の側壁部22b、22cは、略コの字型に形成された状態で、一対の補強リブ部22h、22iを介して補強されている。一対の補強リブ部22h、22iは、それぞれ基部22a、及び、一対の側壁部22b、22cの第3方向の各端部に沿って略コの字型に形成される。そして、各補強リブ部22h、22iは、係止部21の板状部23の端面まで延在しており、当該板状部23の端面を囲うようにして最終的に連続している。これにより、各補強リブ部22h、22iは、基部22a、一対の側壁部22b、22cと板状部23とを連結する。基部22aと板状部23とは、第1方向Xに対して基部22aの側壁部22b、22c側とは反対側に板状部23が位置し、かつ、板状部23が第1方向X及び第2方向Yに対して所定の角度で傾斜を有する位置関係で連結される。
【0037】
嵌合孔部22dは、一対の側壁部22b、22cの一方、ここでは、側壁部22bと基部22aとに渡って設けられる貫通孔である。嵌合孔部22dは、第1方向Xと第2方向Yとに渡って延在し、上述したプロテクタPRの嵌合リブ部13が嵌合可能な形状に形成される。嵌合孔部22dは、基部22aに形成された部分が第1部位22daをなし、側壁部22bに形成された部分が第2部位22dbをなす。嵌合孔部22dは、第1部位22daにおいて、基部22aを第1方向Xに沿って貫通し、かつ、第2方向Yに沿って延在する。また、嵌合孔部22dは、第2部位22dbにおいて、側壁部22bを第2方向Yに沿って貫通し、かつ、第1方向Xに沿って延在する。そして、嵌合孔部22dは、プロテクタPRの嵌合リブ部13が嵌合した状態で第3方向Zに沿った当該嵌合リブ部13の相対移動を規制する部分となる(
図6も参照)。
【0038】
第1係止切り欠き部22eは、基部22aに設けられ、上述したプロテクタPRの第1クランプ部11が係止される部分である。第1係止切り欠き部22eは、嵌合孔部22dの縁部に沿って立設される縁部リブ部22j、22kに形成される。ここで、縁部リブ部22j、22kは、嵌合孔部22dの縁部に沿って側壁部22bと基部22aとに渡って延在して形成される。縁部リブ部22jは、嵌合孔部22dの第3方向Zの一方側(補強リブ部22h側)の縁部に沿って形成される。縁部リブ部22kは、嵌合孔部22dの第3方向Zの他方側(補強リブ部22i側)の縁部に沿って形成される。第1係止切り欠き部22eは、縁部リブ部22j、22kそれぞれにおいて、基部22aに位置する部分に凹部状の切り欠きとして形成される。言い換えれば、第1係止切り欠き部22eは、縁部リブ部22j、22kそれぞれにおいて、嵌合孔部22dの第1部位22daの縁部に位置する部分に形成される。縁部リブ部22j、22kそれぞれに設けられた一対の第1係止切り欠き部22eは、第3方向Zに沿って対向して位置する。そして、第1係止切り欠き部22eは、プロテクタPRの嵌合リブ部13が嵌合孔部22dに嵌合した状態で、第1方向Xに沿って第1係止爪部11aの係止段差部11cが係止され、第1方向Xに沿った第1クランプ部11の相対移動を規制する部分となる(
図7も参照)。
【0039】
第2係止切り欠き部22fは、一対の側壁部22b、22cの一方、ここでは、側壁部22bに設けられ、上述したプロテクタPRの第2クランプ部12が係止される部分である。第2係止切り欠き部22fは、第1係止切り欠き部22eと同様に、嵌合孔部22dの縁部に沿って立設される縁部リブ部22j、22kに形成される。第2係止切り欠き部22fは、縁部リブ部22j、22kそれぞれにおいて、側壁部22bに位置する部分に凹部状の切り欠きとして形成される。言い換えれば、第2係止切り欠き部22fは、縁部リブ部22j、22kそれぞれにおいて、嵌合孔部22dの第2部位22dbの縁部に位置する部分に形成される。縁部リブ部22j、22kそれぞれに設けられた一対の第2係止切り欠き部22fは、第3方向Zに沿って対向して位置する。そして、第2係止切り欠き部22fは、プロテクタPRの嵌合リブ部13が嵌合孔部22dに嵌合した状態で、第2方向Y沿って第2係止爪部12aの係止段差部12cが係止され、第2方向Yに沿った第2クランプ部12の相対移動を規制する部分となる(
図8も参照)。
【0040】
誘い込み開口部22gは、一対の側壁部22b、22cの一方、ここでは、側壁部22bに嵌合孔部22dと連通して設けられる部分である。誘い込み開口部22gは、側壁部22bにおいて、嵌合孔部22dの第2部位22dbが第1方向Xに沿って基部22a側とは反対側に向かって開口することで形成される。ここでは、誘い込み開口部22gは、補強リブ部22h、22iに連結された案内壁部22l、22m、及び、梁部22nによって三方が囲われた空間部として形成される。案内壁部22l、22mは、それぞれ補強リブ部22h、22iにおいて、側壁部22bに位置する部分の第1方向Xの一方側の端部に設けられる。案内壁部22lと案内壁部と22mは、共に板状に形成され、第3方向Zに沿って互いに対向して位置する。案内壁部22lは、補強リブ部22hに設けられ、第1方向Xの基部22a側の端部が縁部リブ部22jの端部に連結される。案内壁部22mは、補強リブ部22iに設けられ、第1方向Xの基部22a側の端部が縁部リブ部22kに連結される。そして、案内壁部22lと案内壁部と22mとは、第1方向Xの基部22a側に行くにしたがって、互いに接近し第3方向Zに沿った間隔が徐々に狭くなるように傾斜して形成される。梁部22nは、補強リブ部22hと補強リブ部22iとを、側壁部22bに位置する部分の第1方向Xの一方側の端部で連結する梁状の部分である。梁部22nは、第3方向Zに沿って延在し、補強リブ部22hの当該端部と補強リブ部22iの当該端部とを連結する。誘い込み開口部22gは、これら案内壁部22l、22m、及び、梁部22nによって形成され、嵌合孔部22dの第2部位22db側に向かって徐々に絞り込まれるような形状に形成される。そして、誘い込み開口部22gは、クランプ部材20に対して取付対象部材10であるプロテクタPRを組み付ける際に、第2クランプ部12を第1方向Xに沿って第2係止切り欠き部22f側に誘い込む部分となる(
図12も参照)。
【0041】
着脱構造30は、上述した第1クランプ部11、第2クランプ部12、嵌合リブ部13、基部22a、一対の側壁部22b、22c、嵌合孔部22d、第1係止切り欠き部22e、第2係止切り欠き部22f、及び、誘い込み開口部22gによって構成される。着脱構造30は、取付対象部材10であるプロテクタPRと保持部22とを着脱可能に組み付け、プロテクタPRと保持部22とを相互に組み付けた状態で、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zに沿ったプロテクタPRと保持部22との相対移動を規制可能とする。
【0042】
上記のように構成される取付構造1は、
図3、
図11等に示すように、典型的には、まず、取付面BRの係止孔BRaに対してクランプ部材20のクランプ部24が挿入方向L1に沿って挿入されることで、取付面BRにクランプ部材20が組み付けられる。この場合、クランプ部材20は、係止孔BRaに対してクランプ部24の一対の係止爪部24aを撓ませながら挿入され、最終的に各係止爪部24aの係止段差部24cが係止孔BRaの縁部に係止されることで取付面BRに固定される。
【0043】
そして、取付構造1は、
図4、
図11等に示すように、取付面BRに固定されたクランプ部材20に対して取付対象部材10であるプロテクタPRが着脱方向L2に沿って組み付けられる。この場合、プロテクタPRは、例えば、ワイヤハーネスWHのコネクタCNがインバータ等の装置に接続、固定された状態で、当該コネクタCNを中心とした略円弧状の軌跡で着脱方向L2に沿ってクランプ部材20の保持部22に組み付けられる。より詳細には、プロテクタPRは、第2部位PR1B、PR2Bが第3方向Zに沿った状態で一対の側壁部22b、22cの間に位置し、かつ、嵌合リブ部13がクランプ部材20の保持部22の嵌合孔部22dに嵌合する位置関係で保持部22に組み付けられる。
【0044】
このとき、取付構造1は、
図12等に示すように、クランプ部材20において誘い込み開口部22gを形成する案内壁部22l、22mによって、第2クランプ部12を第1方向Xに沿って第2係止切り欠き部22f側に誘い込み、案内することができる。
【0045】
そして、この取付構造1は、最終的には、
図1、
図2、
図13等に示すように、嵌合リブ部13が嵌合孔部22dに嵌合し、プロテクタPRの第2部位PR1B、PR2Bが保持部22の一対の側壁部22b、22cの間に挟み込まれて保持される。取付構造1は、プロテクタPRがクランプ部材20の保持部22に保持された状態で、第3方向Zに対して補助リブ部14と補助リブ部15との間にクランプ部材20の保持部22が位置する。プロテクタPRの補助リブ部14、15は、それぞれ第3方向Zに対してクランプ部材20の補強リブ部22h、22iの外側に隣接して位置する。
【0046】
そして、取付構造1は、
図6等に示すように、嵌合リブ部13が嵌合孔部22dに嵌合した状態で、嵌合孔部22dの縁部や縁部リブ部22j、22kと嵌合リブ部13とが当接することで第3方向Zに沿った当該嵌合リブ部13の相対移動を規制する。これにより、取付構造1は、クランプ部材20の保持部22に保持されたプロテクタPRと、当該クランプ部材20との第3方向Zに沿った相対移動を規制することができる。
【0047】
また、取付構造1は、
図7等に示すように、嵌合リブ部13が嵌合孔部22dに嵌合した状態で、第1クランプ部11の第1係止爪部11aが第1係止切り欠き部22eに第1方向Xに対して係止されることで、第1方向Xに沿った第1クランプ部11の相対移動を規制する。この状態で、クランプ部材20は、基部22aが第1方向Xに対して第1クランプ部11の第1係止爪部11aの先端とベースPR1の外表面との間に位置する。これにより、取付構造1は、クランプ部材20の保持部22に保持されたプロテクタPRと、当該クランプ部材20との第1方向Xに沿った相対移動を規制することができる。
【0048】
さらに、取付構造1は、
図8等に示すように、嵌合リブ部13が嵌合孔部22dに嵌合した状態で、第2クランプ部12の第2係止爪部12aが第2係止切り欠き部22fに第2方向Yに対して係止されることで、第2方向Yに沿った第2クランプ部12の相対移動を規制する。この状態で、クランプ部材20は、側壁部22bが第2方向Yに対して第2クランプ部12の第2係止爪部12aの先端とベースPR1の外表面との間に位置する。これにより、取付構造1は、クランプ部材20の保持部22に保持されプロテクタPRと、当該クランプ部材20との第2方向Yに沿った相対移動を規制することができる。
【0049】
以上で説明した取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、取付対象部材10であるプロテクタPRとは別体に形成されたクランプ部材20の係止部21を、取付面BRに形成された係止孔BRaに対して挿入方向L1に沿って挿入し係止することができる。その上で、取付構造1は、係止部21と一体で形成されたクランプ部材20の保持部22に対して、挿入方向L1と交差する着脱方向L2に沿って取付対象部材10を装着することができる。これにより、取付構造1は、取付面BRに対する取付対象部材10の組み付け軌跡の自由度が相対的に高い構造とすることができる。この構成より、取付構造1は、例えば、ワイヤハーネスWHの取り付け状況に応じて取付対象部材10の組み付け軌跡が限定されてしまい取付面BRの側方から取付対象部材10を組み付けなければならないような場合であっても適正に取付対象部材10を取付面BRに組み付けることができる。組み付け作業を行う際に各部材をとりまわすためのスペースを取付面BRの近傍に十分に確保することができないような場合も同様である。この結果、取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、取付対象部材10であるプロテクタPRに関し、適正な組み付け性を確保することができる。
【0050】
また、取付構造1は、取付対象部材10とは別体でクランプ部材20を構成することで、例えば、取付対象部材10を取付面BRに支持するクランプ部材20のみを高剛性部材によって構成することができる。これにより、取付構造1は、例えば、製造コストの抑制を図ることができる。
【0051】
さらに、取付構造1は、取付面BRの状況によっては、例えば、先に取付対象部材10とクランプ部材20とを組み付けた状態で、取付面BRにクランプ部材20を組み付ける使用態様でも使用することができる。つまり、取付構造1は、取付対象部材10とは別体でクランプ部材20を構成することで、クランプ部材20を取付面BRに先に組み付けておく使用態様と、クランプ部材20を取付対象部材10と共に取付面BRに組み付ける使用態様とを使い分けることができる。この結果、取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、汎用性を向上することができる。
【0052】
さらに、以上で説明した取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、着脱構造30によって第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zに沿った取付対象部材10と保持部22との相対移動を規制することができる。この構成により、取付構造1は、上記のように別体で形成された取付対象部材10とクランプ部材20とを相互に組み付けた状態で、ガタツキを抑制して確実に相互に固定することができる。この結果、取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、取付対象部材10をクランプ部材20を介して確実に取付面BRに組み付けることができる。
【0053】
より詳細には、以上で説明した取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、取付対象部材10に設けられた第1クランプ部11、第2クランプ部12、嵌合リブ部13と、クランプ部材20に設けられた基部22a、一対の側壁部22b、22c、嵌合孔部22d、第1係止切り欠き部22e、第2係止切り欠き部22fとによって着脱構造30が構成される。この構成により、取付構造1は、着脱構造30において、取付対象部材10の組み付け軌跡の自由度を確保した上で、取付対象部材10とクランプ部材20とが組み付けられた状態では取付対象部材10とクランプ部材20との相対移動を規制し確実に固定することができる。この結果、取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、取付対象部材10であるプロテクタPRに関し、より適正な組み付け性を確保することができる。
【0054】
さらに、以上で説明した取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、着脱構造30がクランプ部材20に設けられた誘い込み開口部22gを含んで構成される。この構成により、取付構造1は、クランプ部材20に対して取付対象部材10であるプロテクタPRを組み付ける際に、クランプ部材20の誘い込み開口部22gによって、第2クランプ部12を第2係止切り欠き部22f側に誘い込み、案内することができる。この結果、取付構造1、ワイヤハーネスWH、クランプ部材20は、取付対象部材10であるプロテクタPRに関し、さらに適正な組み付け性を確保することができる。
【0055】
なお、上述した本発明の実施形態に係る取付構造、ワイヤハーネス、及び、支持部材は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0056】
以上の説明では、クランプ部材20は、誘い込み開口部22gを有するものとして説明したがこれに限らず、誘い込み開口部22gを有さない構成であってもよい。
【0057】
以上の説明では、プロテクタPRは、全体が略L字型に屈曲して形成され、配索材Wの配索経路を略L字型に規制するものとして説明したがこれに限らない。プロテクタPRは、直線状に形成されてもよいし、湾曲した形状に形成されてもよい。
【0058】
以上の説明では、取付対象部材10は、ワイヤハーネスWHの配索材Wに装着され当該配索材Wを保護するプロテクタPRであるものとして説明したがこれに限らない。
【0059】
本実施形態に係る取付構造、ワイヤハーネス、及び、支持部材は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 取付構造
10 取付対象部材
11 第1クランプ部
11a 第1係止爪部
11b 軸部
11c 係止段差部
12 第2クランプ部
12a 第2係止爪部
12b 軸部
12c 係止段差部
13 嵌合リブ部
14、15 補助リブ部
20 クランプ部材(支持部材)
21 係止部
22 保持部
22a 基部
22b、22c 側壁部
22d 嵌合孔部
22e 第1係止切り欠き部
22f 第2係止切り欠き部
22g 誘い込み開口部
22h、22i 補強リブ部
22j、22k 縁部リブ部
22l、22m 案内壁部
22n 梁部
23 板状部
24 クランプ部
24a 係止爪部
24b 軸部
24c 係止段差部
30 着脱構造
BR 取付面
BRa 係止孔
L1 挿入方向
L2 着脱方向
PR プロテクタ
PR1 ベース
PR2 カバー
PR3 係止機構
PR4 配索空間部
W 配索材
WH ワイヤハーネス
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向