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特許7122306医療モニタリングのための医療装置、医療システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】医療モニタリングのための医療装置、医療システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220812BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20220812BHJP
   A61B 5/024 20060101ALI20220812BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20220812BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
A61B5/01 100
A61B5/024
A61B5/08
A61B5/1455
A61B5/00 ZDM
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019529140
(86)(22)【出願日】2017-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017045944
(87)【国際公開番号】W WO2018031570
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/372,661
(32)【優先日】2016-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519044634
【氏名又は名称】ネオペンダ ピービーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】シャー ソナ
(72)【発明者】
【氏名】コヴェル テレサ
(72)【発明者】
【氏名】ペイサー レベッカ
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-293301(JP,A)
【文献】特開2008-061663(JP,A)
【文献】特開2007-020971(JP,A)
【文献】特開2015-100673(JP,A)
【文献】特開2009-060969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0100666(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0018421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/398
A61B 9/00 - 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度信号を送信するように構成された温度センサと、
光信号を送信するように構成された光センサと、
温度信号及び光信号を受信し、受信した温度信号及び受信した光信号に基づいて、体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度をリアルタイムで計算するように構成されたマイクロコントローラと、を有し、
前記マイクロコントローラは、体温、脈拍数、呼吸数又は血中酸素濃度が予め設定した範囲の外側にあるときに警報を出すように構成され、前記予め設定した範囲は、小児の年齢又は成人の年齢に基づき、新生児の患者については、新生児の患者が早産であったか予定日通りであったかに基づき、
更に、体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度のうちの1つ又は2つ以上に基づいて、警報を出すように構成されたインジケータと、
ハウジングと、を有し、前記ハウジングは、前記温度センサと、前記光センサと、前記マイクロコントローラと、前記インジケータを収容し、前記ハウジングは、前記温度センサ又は前記光センサ又はその両方を、新生児の患者又は小児の患者の額と接触する又はそれに面するように作動的に位置決めするための後部を含む、医療装置。
【請求項2】
更に、前記ハウジングに結合された再利用可能なストラップを有し、前記再利用可能なストラップは、前記温度センサ及び前記光センサと重なるストラップ開口部と、前記ストラップ開口部を構成する幅広部分を含み、前記幅広部分は、前記ハウジングに対応するように寸法決めされる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
更に、送信機ユニットを有し、前記送信機ユニットは、信号をBluetooth(登録商標)低エネルギーネットワークを介して、ユーザ装置、サーバ又はデータベースのうちの少なくとも1つに送信するように構成される、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記医療装置は、衣類に結合される、請求項1~3の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項5】
再使用可能なストラップが、少なくとも1つの取付け部分を介して前記医療装置のハウジングに結合され、前記ストラップの長さは調整可能であり、前記ストラップは、開口部を有し、前記開口部は、前記温度センサ又は前記光センサ又はその両方を、新生児の患者又は小児の患者の額と接触する又はそれに面するように位置決めするために前記ハウジングの後部に重なる、請求項の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項6】
更に、少なくとも1つのインジケータライトを有する、請求項1~5の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記マイクロコントローラ用の電力は、バッテリによって供給され、
前記医療装置は、更に、バッテリレベルインジケータを有する、請求項1~6の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項8】
医療システムであって、
請求項1に記載の医療装置である第1の医療装置を含む複数の医療装置と、
ユーザ装置と、を有し、
前記複数の医療装置のうちの第1の医療装置は、第1の患者の皮膚に近接して位置するように構成され、前記複数の医療装置のうちの第2の医療装置は、第2の患者の皮膚に近接して位置するように構成され、前記複数の医療装置の各々は、患者固有の生体データをリアルタイムで取得するように構成され、
前記複数の医療装置及び前記ユーザ装置の各々は、信号を低エネルギーネットワークを介して送受信し、
少なくとも前記第1の医療装置及び前記第2の医療装置において、患者固有の生体データの少なくとも1つの測定値のための閾値又は範囲が設定され、前記閾値又は範囲は、前記ユーザ装置によって調整可能である、医療システム。
【請求項9】
前記ユーザ装置は、ダッシュボードを有するユーザインターフェイスを含み、前記ダッシュボードは、前記複数の医療装置から受信した患者固有の生体データを表示する、請求項8に記載の医療システム。
【請求項10】
前記ダッシュボードは、各患者の体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度のうちの少なくとも1つを表示する、請求項9に記載の医療システム。
【請求項11】
前記複数の医療装置及び前記ユーザ装置のうちの少なくとも1つにおいて、患者固有の生体データの各測定値のための前記閾値又は範囲が設定される、請求項8~10の何れか1項に記載の医療システム。
【請求項12】
患者固有の生体データの測定値が閾値を超え又は範囲の外側にあるとき、前記複数の医療装置のうちの少なくとも1つの医療装置及び前記ユーザ装置は警報を出す、請求項11に記載の医療システム。
【請求項13】
前記警報は、前記医療装置のインジケータライトである、請求項12に記載の医療システム。
【請求項14】
前記警報は、前記ユーザ装置で出される可聴アラームである、請求項12に記載の医療システム。
【請求項15】
前記警報は、前記低エネルギーネットワークを介して又はSMS信号として、別の装置に送信される、請求項12に記載の医療システム。
【請求項16】
方法であって、
患者固有の生体データを、複数のウェアラブル医療装置から取得することを含み、前記複数のウェアラブル医療装置の少なくとも1つは、請求項1に記載の医療装置であり、前記少なくとも1つのウェアラブル医療装置の他の前記ウェアラブル医療装置の各々は、患者に位置決めされ、且つ、患者の皮膚に近接して位置決めされるセンサを含み、前記センサは、患者固有の生体データを取得し、
更に、前記センサから取得した生体データを処理することと、
処理したデータが、定められた閾値又は範囲の内側にあるかどうかを判定することと、
処理したデータが、前記定められた閾値又は範囲の内側にないとき、警報を出すことと、を含み、
前記定められた閾値又は範囲は、年齢、重量又は診断された病気に基づく、方法。
【請求項17】
更に、処理したデータが、前記定められた閾値又は範囲の内側にあるとき、生体データを前記センサから取得し続けることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記警報は、前記複数のウェアラブル医療装置の各々で出される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記警報は、ユーザ装置で出される、請求項16~18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ハウジングは、更に、電子的なフィルタを含むアナログフロントエンド回路を収容し、前記電子的なフィルタは、新生児の患者について、約1.67Hz~約2.67Hzの周波数範囲を約0.33Hz~約1.0Hzの周波数範囲から分離するように光信号を前処理するように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、一般に1又は2以上の患者のモニタリングに役立つシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの病院及び医療提供者は資源が不十分であり、人員が足りておらず、及び/又は患者で埋め尽くされている。多くの発展途上国の病院及び医療提供者には、例えば十分な設備、熟練した専門家及び安定した電力供給が不足していることが多い。従って、多くの発展途上国の病院及び医療提供者は、過度に高い新生児死亡率に見舞われることが多い。いくつかの側面では、例えば患者の1又は2以上の異常なバイタルサインなどの苦痛を示す最初の徴候時に治療が行われれば、死亡率が低下する可能性もある。しかしながら、多くの場合、不十分な設備、時間及び/又は不安定な電力供給は、各患者のバイタルサインを継続して確実にモニタリングする医療専門家の能力を低下させてしまう。従って、医療専門家が装置又はシステムによって各患者のバイタルサインを継続的にモニタリングし、患者が異常なバイタルサイン及び/又はその他の苦痛の徴候を示している時に知らせることができれば、健康問題、さらには死亡さえも防がれる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示のシステム、装置及び方法は、上述した欠点の一部を是正し、及び/又は先行技術の他の態様に対処することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、とりわけ医療システム、装置及び方法に関する。本明細書に開示する各実施例は、開示する他の実施例のいずれかに関連して説明する特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0005】
1つの実施例では、医療装置が、温度信号を送信するように構成された温度センサと、光信号を送信するように構成された光センサとを含むことができる。医療装置は、温度信号及び光信号を受取るように構成されたマイクロコントローラを含むこともできる。マイクロコントローラは、受信した温度信号及び受信した光信号に基づいて、体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度をリアルタイムで計算するように構成することができる。医療装置は、患者の体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度を表示するように構成されたディスプレイを含むこともできる。
【0006】
医療装置の実施例は、以下の特徴のうちのいずれか1つ又は2つ以上をさらに含むのがよい。1つの態様では、医療装置が、受信した温度信号及び受信した光信号のみに基づいて、体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度をリアルタイムで計算することができる。マイクロコントローラは、体温、脈拍数、呼吸数又は血中酸素濃度が予め設定した範囲の外側にある場合に警報を出すように構成することができる。医療装置は、送信機ユニットをさらに含むことができる。送信機ユニットは、Bluetooth(登録商標)低エネルギーネットワークを介して、ユーザ装置、サーバ又はデータベースのうちの少なくとも1つに信号を送信するように構成することができる。医療装置は、衣類に結合することができる。医療装置には、少なくとも1つの取付け部分を介してストラップを結合することができる。医療装置は、少なくとも1つのインジケータライトをさらに含むことができる。マイクロコントローラはバッテリによって駆動することができ、医療装置はバッテリレベルインジケータをさらに含むことができる。
【0007】
別の態様では、医療システムが複数の医療装置を含むことができ、複数の医療装置のうちの第1の医療装置は、第1の患者の皮膚に近接して位置するように構成され、複数の医療装置のうちの第2の医療装置は、第2の患者の皮膚に近接して位置するように構成される。複数の医療装置の各々は、患者固有の生体データをリアルタイムで取得するように構成することができる。このシステムはユーザ装置を含むことができ、複数の医療装置及びユーザ装置の各々は、低エネルギーネットワークを介して信号を送受信することができる。
【0008】
医療システムの実施例は、以下の特徴のうちのいずれか1つ又は2つ以上をさらに含むことができる。ユーザ装置は、ダッシュボードを有するユーザインターフェイスを含むことができ、ダッシュボードは、複数の医療装置から受取った患者固有の生体データを表示することができる。ダッシュボードは、各患者の体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度のうちの少なくとも1つを表示することができる。複数の医療装置及びユーザ装置のうちの少なくとも1つは、各患者固有の生体データ測定値の閾値又は範囲を含むことができる。患者固有の生体データ測定値がそれぞれの閾値又は範囲を上回り又は外れている場合、複数の医療装置のうちの1つの医療装置及びユーザ装置の少なくとも一方は警報を出すことができる。警報は、医療装置上のインジケータライトとすることができる。警報は、ユーザ装置で出される可聴アラームとすることができる。警報は、低エネルギーネットワークを介して又はSMS(short message service)信号として別の装置に送信することもできる。
【0009】
別の態様によれば、方法が、それぞれが患者上に配置された複数のウェアラブル医療装置から患者固有の生体データを取得することを含むことができる。各ウェアラブル医療装置は、患者の皮膚に近接して位置するセンサを含むことができ、このセンサは、患者固有の生体データをリアルタイムで取得することができる。方法は、センサから取得したデータを処理することと、処理したデータが、定められた閾値又は範囲の内側にあるかどうかを判定することをさらに含むことができる。方法は、処理したデータが、定められた閾値又は範囲の内側にない場合に警報を出すことを含むことができる。
【0010】
方法の実施例は、以下の特徴のうちのいずれか1つ又は2つ以上をさらに含むことができる。方法は、処理したデータが、定められた閾値又は範囲の内側にある場合に、センサからデータを取得し続けるステップをさらに含むことができる。警報は、ウェアラブル装置上で出すことができる。警報は、ユーザ装置上で出すことができる。
【0011】
さらなる実施例では、医療装置が、温度信号を送信するように構成された温度センサと、光信号を送信するように構成された光センサとから成ることができる。医療装置は、温度信号及び光信号を受取るように構成されたマイクロコントローラから成ることもできる。マイクロコントローラは、受信した温度信号及び受信した光信号に基づいて、体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度をリアルタイムで計算するように構成することができる。医療装置は、患者の体温、脈拍数、呼吸数及び血中酸素濃度を表示するように構成されたディスプレイから成ることもできる。
【0012】
上述した概要及び以下の詳細な説明は例示的かつ解説的なものにすぎず、特許請求する特徴を限定するものではない。本明細書で使用する「含む、備える、有する(comprises、comprising、including、having)」という用語、又はこれらの用語の他の変化形は、要素の列挙を含むプロセス、方法、物品又は装置がこれらの要素しか含んでいないのではなく、明確に列挙されていない又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の他の要素を含むことができるように非排他的な包含を含むことが意図されている。また、本明細書では、「例示的(exemplary)」という用語を、「理想的(ideal)」ではなく「用例(example)」の意味で使用する。なお、本明細書で開示又は特許請求する(全ての開示する値、限界及び範囲を含む)全ての数値は、(異なる変動を指定していない限り)開示する数値から±10%の変動を含むことができる。さらに、特許請求の範囲における様々な特許請求する要素及び/又は特徴の値、限界及び/又は範囲は、記載する値、限界及び/又は範囲±10%を意味する。
【0013】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を成す添付図面は、様々な例示的な実施形態を示すとともに、開示する実施形態の原理を明細書と共に説明する役割を果たす。当業者であれば、特定の態様又は実施形態の特徴は、本開示において説明する他の態様又は実施形態のうちの一部又は全部の態様又は実施形態の特徴と組み合わせて使用することもできると容易に認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の態様による医療システムを示す図である。
図2】本開示の態様による例示的なウェアラブル装置の斜視図である。
図3】本開示の態様による例示的なウェアラブル装置の前部の平面図である。
図4】本開示の態様による、図3の例示的なウェアラブル装置の後部の平面図である。
図5】本開示の態様による、図3及び図4の例示的なウェアラブル装置の部分的分解図である。
図6】本開示の態様による例示的なストラップの斜視図である。
図7】本開示の態様による別の例示的なウェアラブル装置の斜視図である。
図8】本開示の態様による例示的な電子機器の構造を示す図である。
図9】本開示の態様による例示的な電子通信のフローチャートである。
図10】本開示の態様による例示的なデータ波形を示す図である。
図11】本開示の態様による例示的なユーザインターフェイス表示を示す図である。
図12】本開示の態様によるユーザインターフェイス表示の例示的な特徴を示す図である。
図13】本開示の態様によるユーザインターフェイス表示のさらなる例示的な特徴を示す図である。
図14】本開示の態様による例示的なモニタリング方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態は、患者モニタリングの有効性及び安全性を促して改善するためのシステム、装置及び方法を含む。例えば、本開示の態様は、ユーザ(例えば、医師、医療技術者、乳児又は子供をモニタリングする親又は保護者、或いは他の医療サービス提供者)に1又は2以上の患者をモニタリングする能力をもたらすことができる。このようなモニタリングは、患者固有の情報に基づくことができる。また、本開示のシステム、装置及び方法は、ユーザに患者のバイタルサインの状態を通知するように、1又は2以上の警報の発信を促すことができる。
【0016】
以下、添付図面に示す上述した本開示の実施例を詳細に参照する。図面全体を通じて、同じ又は同様の部品の参照には可能な限り同じ参照番号を使用する。
【0017】
図1に、少なくとも1つのウェアラブル装置12とユーザ装置14とを含むシステム10を示す。システム10は、サーバ16及びデータベース18を含むこともできる。サーバ16及びデータベース18は別個の要素として示しているが、本開示はそのように限定されるものではない。むしろ、いくつかの構成では、サーバ16及びデータベース18をユーザ装置14に組み込み、及び/又は別個の装置に組み合わせることもできる。図1に示すように、各ウェアラブル装置12は、未加工データを検知し、この未加工データを処理して処理データ及び/又は警報データを取得することができる。その後、これらの処理データ及び/又は警報データは、例えばBluetooth(登録商標)低エネルギー(「BLE」)ネットワーク20を介してユーザ装置14、サーバ16及び/又はデータベース18のうちの1つ又は2つ以上に送信することができる。ウェアラブル装置12及びユーザ装置14の一方又は両方は、処理データ及び/又は警報データに基づいて警報又は警告を示すことができる。警報又は警告は、ウェアラブル装置12上のインジケータ22を介して、及び/又はユーザ装置14のディスプレイ24上に表示することができる。
【0018】
図1及び図2に示すように、ウェアラブル装置12は、バンド又はストラップ26を用いて患者に配置することができる。ウェアラブル装置12は、ストラップ26に取り外し可能に結合することも、ストラップ26をウェアラブル装置12のハウジング28に組み込んで形成することもできる。ハウジング28は、ストラップ26がハウジング28のインジケータ22とは反対側に取付けられるようにストラップ26に結合することができる。ハウジング28は、完全に密閉できるとともに、丸みを帯びた又は別様に面取りした縁部を含むことができ、これによって洗浄を容易にして安全性を改善することができる。1つの態様では、ハウジング28が、約70mm~約80mmの、又は約75mmの長さLを有することができる。他の構成では、ハウジング28が、約40mm~約45mmの、又は約43mmの長さLを有することができる。また、ハウジング28は、約50mm~約60mmの、又は約56mmの幅Wを有することができる。他の構成では、ハウジング28が、約30mm~約40mmの、又は約32mmの幅Wを有することができる。さらに、ハウジング28は、約10mm~約15mmの、又は約13mmの深さDを有することができる。
【0019】
ハウジング28は、少なくとも部分的に耐水性であることを確実にするためのシール(図示せず)を含むことができる。ハウジング28は、ゴアテックス(登録商標)製の小型バルブを含むこともできる。このバルブは、密封されたハウジング28とその外部環境との間で圧力を平衡化させて、高所又は加熱下における圧力上昇を防ぐのに役立つことができる。ハウジング28は、紫外光の影響を受けにくい耐熱性プラスチック材料を含むことができる。ハウジング28は、漂白剤及び/又はその他の医療グレードの洗浄剤に対する耐性を有することもできる。例えば、ハウジング28は、適切なFDA及びEUの医療装置規則に適合するPA2201ポリアミド天然医療グレードナイロンポリマーで形成することができる。或いは、ハウジング28は、Radel(登録商標)ポリフェニルスルホン(PPSU)、XENOY(登録商標)樹脂、及び/又は他のいずれかの適切な材料又はこれらの組み合わせで構成することもできる。ハウジング28は、70%イソプロピルアルコールを用いた消毒に耐えることもできる。
【0020】
ストラップ26は、ハウジング28を異なる身体部分(例えば、足、手首、上腕、胸部、頭部など)及び異なるサイズの患者に結合するように調整することができる。いくつかの構成では、1人の患者が、様々な身体部分に結合された複数のウェアラブル装置12を同時に着用することもできる。ストラップ26は、ストラップ26及びウェアラブル装置12が患者に取付けられた時にその位置を確実に維持するのに役立つように表面加工し、及び/又は把持能力を有することができる。ストラップ26は、再利用及び洗浄が可能なものとすることも、或いは使い捨てとすることもできる。ストラップ26は、再利用可能な場合、環境に優しいもの、無鉛性、BPAフリー、PVCフリーとすることができ、また2008年の消費者製品安全改善法の要件を満たすことができる。例えば、ストラップ26は、MiniTwist Silicone Doodle Placemat製とすることができる。ストラップ26は、使い捨ての場合、ソフトタッチ、プラスチックフリー、無孔性、BPAフリー、PVCフリー、鉛フリー、ラテックスフリー、フタル酸エステルフリーとすることができ、石鹸と水で洗浄することができ、FDA及びEUが承認する食品グレードシリコーンで形成することができる。例えば、ストラップ26は、Neat Solutions社のTidy Topper(登録商標)使い捨てマルチユースパッドとすることができる。ストラップ26は、少なくとも部分的に弾力性があり、敏感肌に触れても安全なものとすることができる。さらに、ストラップ26は、70%イソプロピルアルコール及び/又は漂白剤を用いた消毒に耐えることもできる。ストラップ26のさらなる詳細については図6に関連して説明する。
【0021】
ユーザ装置14は、例えばラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレット、スマートホン、スマートウォッチ、ページャなどのいずれかの電子ディスプレイ装置とすることができる。ユーザ装置14は、画面又はタッチ画面とすることができるディスプレイ24を含むことができる。ディスプレイ24は、ウェアラブル装置12を装着した/ウェアラブル装置12に結合された少なくとも1人の患者に関する情報を伝える。1つの態様では、ディスプレイ24が、少なくとも5つのウェアラブル装置12、少なくとも15個のウェアラブル装置12、少なくとも30個のウェアラブル装置12などに関する情報を表示することができる。ディスプレイ24は、モニタリング中の各ウェアラブル装置12から受取られた処理データ及び/又は警報データを表示することができる。
【0022】
1つの態様では、ユーザ装置14が、ダウンロード又は予めロードすることができるモバイルアプリケーションを含むことができる。このアプリケーションは、BLEネットワーク20に接続してシステム10の他の要素との間で情報及び信号を送受信する能力を含むことができる。以下でさらに詳細に説明するように、このアプリケーションは、各ウェアラブル装置12の情報、個人のユーザプロファイル、履歴データをソートして記憶し、他の機能を含むこともできる。このユーザ装置14上のアプリケーションは、サーバ16及びデータベース18との間でデータを送受信することもできる。
【0023】
さらに、ユーザ装置14を単一のコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)として示しているが、本開示はそのように限定されるものではない。むしろ、ユーザ装置14は、例えばラップトップコンピュータと、スマートウォッチ、ページャ、タブレット又はその他のこのようなポータブル装置などの2つの装置を含むこともできる。ラップトップコンピュータは、少なくとも1つのウェアラブル装置12から取得された情報を受取り、処理し、(例えば、ディスプレイ24を介して)表示することができる。警報が出された場合には、ラップトップコンピュータのディスプレイ24上に警報を表示して(又はラップトップコンピュータから可聴信号を発して)、ユーザがラップトップコンピュータディスプレイ24の指定範囲内に存在するかどうか、及び/又はラップトップコンピュータからの聴覚警報が聞こえるほど近くに存在するかどうかにかかわらずユーザに確実に警報が伝わるように、スマートウォッチ、ページャ、タブレット又は他のこのようなポータブル装置に信号を送信することができる。1つの態様では、ラップトップコンピュータからスマートウォッチ、ページャ、タブレット又は他のこのようなポータブル装置にSMSメッセージとして、又はBLEネットワーク20を含むいずれかの通信ネットワークを介して警報を送信することができる。ユーザのスマートホンを第2の装置として、あらゆる警報情報をラップトップコンピュータディスプレイ24とスマートホンの両方に選択的に表示することができると理解される。ディスプレイ24に表示される情報は、ラップトップコンピュータに送信した後にスマートホンに送信することも、或いはラップトップコンピュータとスマートホンの両方に直接送信することもできる。
【0024】
サーバ16は、少なくとも1つのウェアラブル装置12が取得したデータを処理する少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。データベース18は、少なくとも1つのウェアラブル装置12から取得されたデータを記憶するとともに、患者固有の又はユーザ固有の設定を記憶することもできる。上述したように、サーバ16及びデータベース18は、いずれもユーザ装置14に組み込むことができる。サーバ16又はデータベース18は、さらに効率的又は効果的なデータの処理及び記憶を行うことができるクラウドベースのモジュールとすることもできる。或いは、局所的な誤動作又は電力損失の場合には、クラウドベースのモジュールがバックアップデータベースとして機能することもできる。
【0025】
BLEネットワーク20は、インターネット接続を必要としない無線パーソナルエリアネットワークとすることができる。BLEネットワークは、短波長UHF電波を使用してデータを交換するいずれかの短距離パーソナルエリアネットワークとすることができる。BLEネットワーク20は低電力レベルしか必要とせず、屋内では約20m~30m又はそれよりも広い範囲を、屋外では約60m~80m又はそれよりも広い範囲を有することができる。BLEネットワーク20は、近接位置特定能力を含むこともでき、システム10内の既知の装置が互いの特定の範囲内に存在する時には、これらの装置を自動的に接続又はペアリングすることができる。これらの装置は、一意の装置シリアル番号、MACアドレス、無線周波数識別コードなどによって識別することができる。
【0026】
なお、Bluetooth(登録商標)通信ネットワークについて説明しているが、システム10の要素は、いずれかの既知の又は今後開発される通信システムを介して信号及びデータを送受信することもできる。例えば、システム10の要素は、WiFi、セルラーネットワーク、SMSメッセージング、或いはその他のいずれかの有線又は無線プロトコルを介して信号及びデータを送受信することができる。
【0027】
図3及び図4に示すように、ウェアラブル装置12のハウジング28は、前部30及び後部32を含む。患者に配置する際には、前部30が(例えば、患者から離れて)外側を向くように構成され、後部32が患者の皮膚に面し及び/又は接触するように構成される。さらに、前部30及び後部32は、いずれかの適切な形で互いに結合することができる。例えば、前部30及び後部32は、スナップ嵌め、摩擦嵌め、及び/又は1又は2以上の機械的締結具(例えば、図示していないねじなど)を介して共に結合することができる。或いは、前部30及び後部32は、本開示の範囲から逸脱することなくカバー58(図5)を介して互いに結合することもできる。
【0028】
上述したように、前部30はインジケータ22を含むことができる。前部30は、オン/オフボタンなどの電源ボタン34、バッテリレベルインジケータ36、及び任意にディスプレイ38を含むこともできる。電源ボタン34は、ウェアラブル装置12の電源がオン又はオフのいずれであるかを示すLED又はその他の照明要素を含むこともできる。バッテリレベルインジケータ36は、充電可能又は交換可能とすることができる内部バッテリ54(図5)の状態及び/又は充電レベルを示すことができる。例えば、バッテリレベルインジケータ36は、現在の電力量、及び/又はバッテリがウェアラブル装置12に電力を供給できる残り時間を示す、分割された又は連続するバーとすることができる。ディスプレイ38はLCDディスプレイとすることができ、患者の状態、患者識別情報などを視覚的に示すことができる。ディスプレイ38はタッチ画面とすることもでき、任意にディスプレイ38には、インジケータ22、電源ボタン32及びバッテリレベルインジケータ36を組み込むことができる。図示してはいないが、前部30は、例えばリセットボタンなどの他のインジケータ又は入力部を含むこともできる。
【0029】
後部32は、温度センサ40及び光センサ42を含むことができる。温度センサ40及び光センサ42は、いずれもウェアラブル装置12を患者に配置した時に患者の皮膚に面するように及び/又は接触するように配置することができる。1つの態様では、患者に配置した時に、後部32、温度センサ40及び光センサ42が患者の皮膚に接触することができる。別の態様では、患者に配置した時に、後部32、温度センサ40及び光センサ42のうちのいずれかが患者の皮膚に近接し、例えば患者の皮膚から0.5mm、1mm、3mm、5mm又は10mm離れることができる。後部32は、例えば有線接続(図5)を通じて内部の充電式バッテリ54を充電するための充電ポート44を含むこともできる。後部32は、後部32の両側に近接して配置されたスロット46を含むことができ、スロット46は、ストラップ26をスロット46に通すことによってストラップ26がハウジング28に取付けられるようにすることができる。スロット46は、ハウジング28の長手方向軸に対して垂直とすることができる。しかしながら、他の構成では、スロット46がハウジング28の長手方向軸に対して垂直でなくてもよい。スロット46は、ハウジング28の側面上のスロット(図示せず)又はハウジング28の前部30に内部的に接続/位置合わせして、ストラップ26をスロット46の一方に通してハウジング28の側面上の別のスロットから又は前部30を通じて排出できるようにすることもできる。或いは、後部32は、Velcro(登録商標)、フック、或いはストラップ26又は別の衣類をハウジング28に取付けるための他のいずれかの要素を含むこともできる。図示してはいないが、後部32は、ウェアラブル装置12にメモリカードを動作可能に結合するための、例えばSDカードポートなどのメモリカードポートを含むこともできる。
【0030】
温度センサ40は、サーミスタ、又は外部での使用に適したいずれかのセンサとすることができる。温度センサ40は、患者の体温を検出し、従って発熱、高熱、低体温などを示すことができる。温度センサ40は、BLEネットワーク20を介してユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18に信号及び情報を送信することができる。1つの態様では、BLEネットワーク20を介してユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18のうちの少なくとも1つに温度センサ40の未加工の測定データを直接送信し、ユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18のうちの少なくとも1つがデータを解析することができる。別の態様では、図1に示すように、ウェアラブル装置12内の内部コンポーネント(例えば、プロセッサ)が温度センサ40の未加工の測定データを解析した後に、BLEネットワーク20を介してユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18のうちの少なくとも1つに処理データ及び/又は警報データを送信することができる。ウェアラブル装置12、ユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18のうちの1つ又は2つ以上は、このデータに基づいて警報を出すことができる。
【0031】
光センサ42は、例えば安全な波長及び強度の光を放出するLEDなどの発光素子と、光検出素子とを含むことができる。光センサ42は、発光素子(例えば、LED)から一定量の光(例えば、紫外光、可視光又は赤外光)を放出し、患者の皮膚によって反射され光検出素子によって検出された光の量に基づいて、患者の脈拍数、呼吸数及び血中酸素飽和度(例えば、SpO2又は末梢毛細血管酸素飽和度)を測定することができる。或いは、光センサ42は、患者の皮膚の透過率に基づくこともできる。例えば、患者の指又はつま先の片側に発光素子を配置し、患者の指又はつま先の反対側に光検出素子を配置することができる。光センサ42は、患者の指又はつま先を透過して光検出素子によって検出された光の量に基づいて、患者の脈拍数、呼吸数及び血中酸素飽和度(例えば、SpO2又は末梢毛細血管酸素飽和度)を測定することができる。
【0032】
1つの実施例では、光センサ42が、赤色光源及び赤外光源と、対応する赤色光検出素子及び赤外光検出素子とを含むことができる。赤色光及び赤外光は、異なる深さに及び/又は異なる形で浸透、反射及び/又は透過することができる。1つの態様では、赤色光及び/又は赤外光を用いて光電式容積脈波記録法を実行して血液の容積変化を求めることができる。温度センサ40の場合と同様に、ウェアラブル装置12内の内部コンポーネント(例えば、プロセッサ)は、光センサ42によって取得されたデータを解析した後に、BLEネットワーク20を介してユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18のうちの少なくとも1つに処理データ及び/又は警報データを送信することができる。或いは、BLEネットワーク20を介してユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18のうちの少なくとも1つに光センサ42の未加工の測定データを直接送信し、ユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18のうちの少なくとも1つがデータを解析することもできる。ウェアラブル装置12、ユーザ装置14、サーバ16及びデータベース18のうちの1つ又は2つ以上は、光センサ42から受取られたデータに基づいて警報を出すこともできる。
【0033】
光センサ42は、光センサ42の測定に周辺光が干渉するのを阻止できる光バリアを含むことができる。例えば、光センサ42、及び/又はハウジング28の形状は、光センサ42から約2cmの半径内の光を遮ることができる。このような光バリアは、硬化後熱処理を含むことも又は含まないこともできる、黒色染料で3D印刷されたAccura SL 5530材料を含むことができる。
【0034】
図5は、ハウジング28をストラップ26に取付けたウェアラブル装置12の部分的分解図である。図示のように、ハウジング28は、前面ケース48(又は図3の前部30)及び後面ケース50(又は図4の後部32)を含む。前面ケース48及び後面ケース50は、上述した前部30及び後部32と同様に、例えばスナップ嵌め、摩擦嵌め、及び/又は1又は2以上の機械的締結具(例えば、図示していないねじなど)などを介していずれかの適切な方法で互いに結合することができる。これに加えて、又はこれとは別に、前面ケース48及び後面ケース50は、本開示の範囲から逸脱することなくカバー58を介して互いに結合することもできる。
【0035】
後面ケース50は、ストラップ26をハウジング28に取付けるためのスロット46を含むことができる。前面ケース48及び後面ケース50は、前部30と後部32との間に配置された複数の内部コンポーネント52を封入することができる。内部コンポーネント52は、バッテリ54及びプリント基板56を含むことができる。プリント基板56は、マイクロコントローラ及び/又はプロセッサと、送信機ユニットと、受信機ユニットと、アンテナと、インジケータ22、バッテリレベルインジケータ36、ディスプレイ38、温度センサ、光センサ42及び充電ポート44との間で信号を送受信するための他の電気部品とを含むことができる。プリント基板56及び電気部品は、バッテリ54によって駆動することができる。1つの態様では、バッテリ54を、700mAhの容量と、450mAhの充電電流と、14mAhの放電電流とを有する3.7Vバッテリとすることができる。バッテリ54は、約105分の充電時間と、約50時間の実行時間とを有することができる。1つの態様では、バッテリ54が充電式であり、充電の合間に5日~7日などの数日間にわたって動作することができる。さらに、バッテリ54は、例えば有線又は無線誘導充電を含むいずれかの好適な方法で充電することもできる。
【0036】
これとは別に、又はこれに加えて、プリント基板56及び電気部品は、例えば太陽光発電などの別の電源を用いて駆動することもできる。1つの態様では、ウェアラブル装置12が、ウェアラブル装置12上の又はウェアラブル装置12から分離されたソーラーパネルを介して充電できるバッテリ54を含むことができる。別の態様では、ウェアラブル装置12に電力が供給されるようにするために、ウェアラブル装置12が、例えば太陽光発電式バッテリセル又は発電機セルなどの外部電源への有線接続を含むことができる。内部コンポーネント52は、BLEネットワーク20、或いは他の有線又は無線システムを介して、ユーザ装置14、サーバ18及び/又はデータベース18との間で信号を送受信することもできる。
【0037】
図5に示すように、ウェアラブル装置12はカバー58を含むことができる。カバー58は、例えば使い捨てのプラスチックラップとすることができる。いくつかの構成では、カバー58が、使用中にウェアラブル装置12上に留まることができ、また温度センサ40及び光センサ42がカバー58を通じて生体データを取得できるように透明であることができる。この態様では、患者による使用の合間にカバー58を交換することにより、ウェアラブル装置12を異なる患者に使用することができる。カバー58は、温度センサ40及び光センサ42の各々と患者の皮膚との間にさらなる絶縁をもたらすことができる。また、カバー58は、ウェアラブル装置12の一部のみを覆い、取り囲み、又はそこに別様に配置することができる。例えば、カバー58は、ウェアラブル装置12の一部のみに巻き回すことができる。
【0038】
図6は、ストラップ26Aの別の構成の斜視図である。ストラップ26Aは、比較的幅広い部分60と開口部62とを含む。幅広部分60は、ハウジング28の形状及びサイズに対応するように成形することができる。開口部62は、幅広部分60のほぼ中央で切り抜くことができる。開口部62は、温度センサ40及び光センサ42がストラップ26Aに妨げられずに患者の皮膚に面し及び/又は接触できるように、これらのセンサの位置に対応することができる。開口部62は、透明なカバーを含むこともできる。ストラップ26Aは、Velcro(登録商標)、フック、接着剤、或いはストラップ26Aの幅広部分60にハウジング28を取付けて患者の身体の一部又はその周囲にストラップ26Aを調整可能に固定するための他のいずれかの機構を含むことができる。任意に、ストラップ26Aは、上述したようにハウジング28の1又は2以上のスロット46に通すこともできる。
【0039】
いくつかの構成では、ストラップ26Aが、約1cm~約2cmの又は約1.75cmの幅Aを有することができ、部分60が、約5cm~約6cmの又は約5.4cmの幅Bを有することができる。また、開口部62は、約1cm~約2cmの又は約1.3cmの幅Cを含むことができる。開口部62の長さDは、約2cm~約3cm又は約2.3cmとすることができる。また、部分60の長さEは、約5cm~約7cm又は約6cmとすることができる。さらに、部分60の一端とストラップ26の端部との間に延びるストラップ26Aの長さFは、約8cm~約9cm又は約8.3cmとすることができる。また、部分60の反対端とストラップ26の端部との間に延びるストラップ26Aの長さは、約50cm~約60cm又は約55cmとすることができる。1つの態様では、ストラップ26Aを再利用可能材料又は使い捨て材料のロール又はシートから切断することができる。ストラップ26Aは、テンプレート形状を用いて切断することができる。さらに、ストラップ26A及び/又はハウジング28は、温度センサ40及び光センサ42と患者の皮膚との間のセンサ絶縁体を含み、又はこれに結合することができる。センサ絶縁体は、ハウジング28内のプリント基板56に結合することも、又はハウジング28の外部に存在することもできる。1つの態様では、センサ絶縁体をGlad(登録商標)ClingWrap低密度ポリエチレンフィルムなどの使い捨てとすることができ、このフィルムもBPAフリー、PVCフリー、及びフタル酸エステルフリーとすることができる。
【0040】
本開示の実施例にはストラップ26(又は26A)に結合されたウェアラブル装置12を示しているが、本開示はそのように限定されるものではない。むしろ、いくつかの構成では、ウェアラブル装置12をいずれかの適切な衣類に取付け、結合し、又は別様に接合することができる。例えば、図7に示すように、ウェアラブル装置12’は、例えば帽子64などの衣類に埋め込まれた又は別様に結合されたハウジング28’を含むことができる。帽子64は、上述したストラップ26Aと同様に、ハウジング28’の後部におけるウェアラブル装置12’のセンサが衣類の材料に妨げられることなく患者の皮膚に面し及び/又は接触できるような開口部(図示せず)を含むことができる。或いは、帽子64は、ストラップ26と同様に、センサが帽子64に妨げられることなく患者の皮膚に面し及び/又は接触できるように、ハウジング28’の側面に結合することもできる。図7にはインジケータ22及びバッテリレベルインジケータ36しか示していないが、ウェアラブル装置12’は、図2図5に関連して説明した上述の特徴部のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含むこともできる。
【0041】
次に、図8に、ウェアラブル装置12の例示的な機能アーキテクチャを示す。例えば、温度センサ40は、患者の皮膚66の温度を検出することができ、1又は2以上の発光素子及び1又は2以上の光検出素子を含む光センサ42は、患者の脈拍数、呼吸数及び血中酸素飽和度を検出するデータを取得することができる。温度センサ40は、取得された情報を信号調整ユニット68に送信することができ、信号調整ユニット68は、この取得された情報を変調した後でマイクロコントローラユニット(「MCU」)70に送信することができる。光センサ42は、LEDドライバ及び利得/フィルタ処理段を含むことができるアナログフロントエンド(「AFE」)72に動作可能に接続する(又はAFE72を含む)ことができる。LEDドライバは、LED発光体に電力を供給することができ、取得された光学データは、AFE72内の利得/フィルタ処理段に送信することができる。AFE72は、光センサ42から取得されたデータと、システム10の他の要素から受取られたその他の信号とを変換するデジタルアナログ変換器(「DAC」)及び高分解能アナログデジタル変換器(「ADC」)を含むこともできる。AFE72は、MCU70との間で信号及びデータを送受信することができる。従って、MCU70は、AFE取得及び制御ユニットを含むことができる。MCU70は、信号処理及びパラメータ測定ユニットと、発見BLEサービスデータ転送部(Discovery BLE Service Data Transfer)とを含むこともできる。最後に、MCU70は、システムオンチップ(「SoC」)(例えば、プリント基板56)を含むとともに、記憶装置74(例えば、USDカード)、1又は2以上の入力装置(例えば、バッテリ54に結合された電源ボタン34)、及び1又は2以上の出力装置(例えば、インジケータ22、バッテリレベルインジケータ36、ディスプレイ38、音声警報など)と通信することができる。
【0042】
ウェアラブル装置12は、無線接続性レイヤ76を含むこともできる。無線接続性レイヤ76は、MCU70の一部とすることも、又はウェアラブル装置12内のプリント基板56上でMCU70に別様に結合することもできる。無線接続性レイヤ76は、ウェアラブル装置12がBLEネットワーク20及び/又は無線周波数を介してシステム10の他の要素との間でデータ及び信号を送受信できるように、無線周波数及びBLEスタックを含むことができる。MCU70、及びウェアラブル装置12の電子部品には、バッテリ54及び電源/バッテリ制御要素(例えば、電源ボタン34)が結合されてこれらの電子部品に電力を供給することができる。バッテリ54及び電源ボタン34は、バッテリ54を再充電するために充電ポート44(図示せず)に結合することもできる。
【0043】
図9は、ウェアラブル装置12の作動及び動作方法100、並びにシステム10の他の要素への信号及びデータ送信の例示的なフローチャートである。例えば、ウェアラブル装置12を患者に取付け、ステップ102においてウェアラブル装置12をオンにして装置の初期化を促すことができる。ウェアラブル装置12は、オンになると、ステップ104において、所定のAFE構成、警報パラメータ及びその他の動作の詳細をロードして、セルフテストを受けることもできる。このセルフテストにより、温度センサ40、光センサ42及び(例えば、無線接続性レイヤ76などの)無線通信要素が正しく動作していることを確認することができる。ステップ104は、センサからの信号が信号解析を実行するのに十分であるかどうかをチェックするためのセンサオフ検出モジュールを含むことができる。センサオフ検出モジュールは、ウェアラブル装置12が作動している間に継続的及び/又は定期的に動作することができる。例えば、光センサ42からの信号又はその二乗平均平方根が低閾値よりも大きく高閾値よりも小さい場合、検出モジュールは、取得したデータに基づいて、この信号が有効であってデータ取得及びピーク検出が行えるほど十分に強い旨のフラグを戻すことができる。一方で、光センサ42からの信号又はその二乗平均平方根が低閾値よりも低く、高閾値よりも高く、或いは別様に範囲から外れている場合、後述する他の処理モジュールは、有効な信号が検出された旨が検出モジュールによって示されるまで動作しないようにすることができる。或いは、光センサ42からの信号又はその二乗平均平方根が低閾値よりも低く、高閾値よりも高く、或いは別様に範囲から外れている場合には、さらに強い信号をもたらすように検出パラメータを調整することもできる。例えば、信号品質が低すぎる場合、ユーザは、さらに強い信号をもたらすことができるように放射光の強度を高めることができる。さらに、これらのセンサがモニタリングに適する旨の信号をユーザ装置14に送信することもできる。低閾値及び高閾値は、既存のサンプルに基づくことができる。さらに、以下でさらに詳細に説明するように、検出されたデータ及び/又は他のユーザ入力に基づいて(例えば、ユーザ入力を介して)モニタリング中に範囲を調整することもできる。
【0044】
これに加えて、又はこれとは別に、信号の利得調整を計算することもできる。その後、計算した利得調整をそれぞれの低閾値及び高閾値と比較し、取得されたデータに基づいて、信号が有効であってデータ取得及びピーク検出が行えるほど十分に強いかどうかを判定することができる。
【0045】
ウェアラブル装置12は、自機が正しく動作していない場合、インジケータ22を作動させ、及び/又はウェアラブル装置12が正しく動作していない旨を示す信号をユーザ装置14に送信することができる。例えば、ウェアラブル装置12は、バッテリが減少していたり、或いは患者に正しく配置されておらず、又はセンサと患者の皮膚との間に障害物が存在することによって、体温、脈拍数などを測定できなかったりすることがある。
【0046】
ウェアラブル装置12は、正しく動作している場合、ステップ106においてデータの取得を開始し、温度センサ40と光センサ42の両方を作動させることができる。上述したように、光センサ42は、赤色、赤外線及び/又は緑色のLEDを利用し、結果として得られる一部又は全部の光信号を収集することができる。赤色、赤外線又は緑色の信号から生じた波形は、正確な呼吸数をもたらすように3つの異なる段階(すなわち、前処理、異なる特徴を用いた呼吸数の推定、及び表示すべき単一の値を生成するための呼吸数の組み合わせ)で処理することができる。ステップ108において、温度センサ40が温度データを取得することができ、ステップ110において、光センサ42がSpO2の未加工データ信号を取得することができ、ステップ112において、この信号を(上述したように)AFE設定値に基づいて調整することができる。
【0047】
ステップ114において、温度データ及びSpO2データと対応する信号とをいずれも前処理することができる。この前処理は、未加工データを前処理モジュールに入力してフィルタ処理とデシメート処理とを行うことを含むことができる。未加工データは、典型的な呼吸数の周波数から典型的な脈拍数の周波数を分離するようにデジタル的にフィルタ処理することができる。例えば、新生児患者では、典型的な脈拍数の周波数範囲が約1.67Hz~2.67Hzであり、典型的な呼吸数の周波数範囲が約0.33Hz~1.0Hzである。小児患者では、典型的な脈拍数の周波数範囲が約1.17Hz~1.83Hzであり、典型的な呼吸数の周波数範囲が約0.2H~0.5Hzである。成人患者では、典型的な脈拍数の周波数範囲が約1.0Hz~1.67Hzであり、典型的な呼吸数の周波数範囲が約0.2Hz~0.42Hzである。
【0048】
前処理モジュールは、光センサ42から受取った光学データから、デシメート処理とローパスフィルタ処理とを行った赤色及び赤外線信号を出力することができる。或いは、前処理モジュールは、光センサ42から受取ってデシメート処理とローパスフィルタ処理とハイパスフィルタ処理とを行った赤色及び赤外線信号を出力することもできる。ローパスフィルタ及びハイパスフィルタは、未加工データの値、未加工データのサンプリングレート及び/又はユーザ入力に基づいて調整又は再計算することができる。データにデシメート処理とフィルタ処理とを行うと、データの記憶及び処理に必要なメモリ及び処理能力を低減することができる。1つの例では、フィルタ処理したデータのサンプリングレートを100Hzとすることができる。ローパスフィルタは、約4Hz、約6Hz、約8Hz又は約10Hzのカットオフ周波数を有する300次フィルタを含むことができ、ハイパスフィルタは、約0.5Hz、約0.3Hz又は約0.1Hzのカットオフ周波数を有する600次フィルタを含むことができる。1つの態様では、フィルタ及びカットオフ周波数を、患者の年齢、体重、診断結果又はその他の患者固有の詳細に基づいて調整することができる。また、フィルタ及びカットオフ周波数は、患者の皮膚から取得される信号の強度及び品質を最適化する自動較正過程の一部として調整することもできる。ローパスフィルタ及びハイパスフィルタは、それぞれ約1.5秒及び3秒のわずかな遅延を引き起こすことができる。
【0049】
次に、ステップ116において、アルゴリズムを通じて前処理データを処理することができる。これらのアルゴリズムは、脈拍数アルゴリズム、SpO2アルゴリズム、呼吸数アルゴリズム及び体温アルゴリズムを含むことができる。このアルゴリズムに基づいて、脈拍数、SpO2、呼吸数及び体温の値を計算することができる。ステップ118において、BLEネットワーク20を介してこれらの値をウェアラブル装置12からシステム10の他の要素に送信又は転送することができ、これらの他の要素は、これらの値をさらに処理し、表示して記憶することができる。
【0050】
ステップ120において、各計算された値を、特定の患者について予めプログラムできる、又は(例えば、ユーザを通じて)調整可能に設定できる閾値又は範囲と比較することができる。計算された値がそれぞれの閾値又は範囲の外側にある場合には、その計算値にアラーム状態が存在する。アラーム状態が存在する場合、ステップ122において、BLEネットワーク20を通じて例えばユーザ装置14にアラーム通知を送信し、ユーザ装置14はこれを表示又は別様に示すことができる。さらに、ステップ124において、ウェアラブル装置12上でアラーム指示を示すこともできる。例えば、インジケータ22が赤色光を点灯又は点滅させることができる。これとは別に、又はこれに加えて、ウェアラブル装置12がブザー又はその他の可聴信号を鳴らすこともできる。ウェアラブル装置12及びユーザ装置14上のアラーム指示(例えば、特定の点滅パターン又はブザー音)は、アラームのタイプ(例えば、高すぎる又は低すぎる体温、高すぎる又は低すぎる呼吸数、高すぎる又は低すぎるSpO2など)に基づいて変化することができる。さらなるアラーム指示は、例えばバッテリ残量の減少、センサ又はウェアラブル装置12の誤動作などの他のシステム問題を示すことができる。これらのアラーム指示は、ウェアラブル装置12又はユーザ装置14上の可聴指示又は別個のインジケータライトを含むことができる。さらに、ステップ126において、装置ロジック及び構成ユニットに、ウェアラブル装置12のメモリ内の記憶情報を含むことができる信号を送信することができる。最後に、ステップ128において、ウェアラブル装置12は、装置ロジック及び構成ユニットへの信号に基づいて、BLEネットワーク20を介して情報又は更新を要求及び/又は受信することができる。さらに、図1に示すように、ウェアラブル装置12は、アラーム状態が存在するかどうかにかかわらず、ユーザ装置14に処理データを送信して表示することもできる。
【0051】
ウェアラブル装置12は、例えば10秒毎、15秒毎、30秒毎、1分毎、5分毎などのセンサデータ取得間のスリープモードを含むプログラムを含むこともできる。ウェアラブル装置12は、異なるセンサ及び/又は異なるバイタルサインパラメータによって異なることができる複数のスリープモードを含むことができる。例えば、脈拍数を10秒毎に測定し、体温を1分毎に測定することもできる。或いは、ウェアラブル装置12は、作動時に温度センサ40及び光センサ42を用いてデータを継続的に検知し、このデータをユーザ装置14に送信することもできる。
【0052】
図10は、一定期間にわたる前処理した赤色又は赤外線光センサデータ202の例示的なグラフ200である。例えば、図10には、数ある特徴の中でもとりわけ、一定期間にわたる光電式容積脈波記録法読み取り値のパルス振幅204、各ピーク間のピーク間隔206及びトラフ間間隔208を示す。ウェアラブル装置12は、光センサ42からの前処理された光学データを解析できるピーク検出モジュールを介して患者の脈拍数、呼吸数及び血中酸素飽和度を求めることができる。この解析は、ウェアラブル装置12が作動した時点から(例えば、7秒)遅れて行うことができる。ピーク検出モジュールは、約0.3秒の信号遅延を含むことができるピーク検出アルゴリズムを使用することができる。ピーク検出アルゴリズムは、極大値(Xmax、Ymax)及び極小値(Xmin、Ymin)を検出することができる。このグラフは、極大値間及び極小値間で複数のウィンドウに分割することができ、これによって重複隆起(dicrotic notch)の信号を検出する確率を低下させることができる。ピーク検出モジュールの結果は、その妥当性を確認して、ローカルメモリ構造又はウェアラブル装置12内のメモリに(例えば、10個の最大値及び最小値を)記憶することができる。なお、患者は、典型的には吸気中に(しばしば呼吸性洞性不整脈又は「RSA」と呼ばれる)一時的な脈拍数の増加を示し、従って一定期間にわたって脈拍数データを平均すると、脈拍数読み取り値の信頼性を高めることができる。
【0053】
脈拍抽出モジュールは、ピーク間隔206(図10)から平均脈拍数を計算することができる。1つの態様では、一定期間にわたる平均脈拍数を求めるために次の式を使用することができる。
【数1】
【0054】
この式において、Fsはサンプル周波数であり、Average P2Pは10秒ウィンドウ内の最大ピーク間の平均間隔である。Average P2Pは、次の式を用いて求めることができる。
【数2】
【0055】
この式において、Nは、ウィンドウ又はデータの一部(例えば、10秒)におけるピーク間隔の数であり、p2pは、図10の最大値間206及び最小値間208によって示される各ピーク間のピーク間隔である。この式は、i=0からi=N-1までのピーク間隔の総和である。脈拍抽出モジュールは、平均脈拍値をもたらす。脈拍抽出モジュールは、ピークが検出される毎にパルス値を更新できるパルス値更新の頻度を定める脈拍更新期間を含むこともできる。従って、脈拍数は、継続的に更新される10秒の期間の平均に基づくことができる。さらに、脈拍抽出モジュールは、(例えば、15秒をデフォルトとすることができる)有効性規定パラメータを含むことができ、脈拍数の有効値が最後に検出されてから経過した時間が有効性規定パラメータよりも大きい場合には、脈拍抽出モジュールが、脈拍数が有効でない旨の信号を出力して、有効な平均脈拍数を表示できるほど十分な値が測定されるまで脈拍数の出力を待機することができる。すなわち、脈拍抽出モジュールは、指定期間(有効性規定パラメータ)内に十分に一貫した有効な脈拍数を取得した時にのみ平均脈拍数値を出力することができる。
【0056】
SpO2抽出モジュールは、ピーク検出モジュールからのピーク位置を用いてAC成分及びDC成分からR値を計算するSpO2アルゴリズムを含むことができる。例えば、次の式により表される。
【数3】
【0057】
上記の式中、ACr及びDCrは、光センサ42によって検出された赤色光を示す赤色チャネルのAC成分及びDC成分である。ACir及びDCirは、光センサ42によって検出された赤外光を示す赤外チャネルのAC成分及びDC成分である。その後、SpO2抽出モジュールは、次の例示的な式を用いてSpO2値を計算することができる。
SpO2=110-(25×R)
【0058】
計算されたSpO2値は、その妥当性を確認してSpO2抽出モジュール又はウェアラブル装置12内のメモリに記憶することができる。一定期間にわたる複数のSpO2値を使用して、例えば10秒などの期間にわたる平均SpO2値を計算することができる。さらに、SpO2抽出モジュールは、脈拍抽出モジュールの場合と同様に、ピークが検出される毎にSpO2値を更新できるSpO2値更新頻度を定めるSpO2更新期間を含むこともできる。従って、SpO2は、継続的に更新される10秒の期間の平均に基づくことができる。さらに、SpO2抽出モジュールは、(例えば、15秒をデフォルトとすることができる)有効性規定パラメータを含むことができ、SpO2の有効値が最後に検出されてから経過した時間が有効性規定パラメータよりも大きい場合には、SpO2抽出モジュールが、SpO2値が有効でない旨の信号を出力して、有効な平均SpO2値を表示できるほど十分な値が測定されるまでSpO2値の出力を待機することができる。すなわち、SpO2抽出モジュールは、正確な平均SpO2値を求めるのに十分なピーク間データを取得した時にのみSpO2値を出力することができる。
【0059】
呼吸数抽出モジュールは、パルス振幅変動性(「PAV」)に基づいて呼吸数を計算するためのアルゴリズムを含むことができる。例えば、次の式により表される。
PAV=ymax[i]-ymin[i]
【0060】
この式において、ymax[i]は、赤外線光電式容積脈波記録法信号の極大値であり、ymin[i]は、赤外線光電式容積脈波記録法信号の極小値である。図10には、PAVを204として示す。なお、PAVは、呼吸数抽出モジュールが呼吸数を計算できる様々な方法のうちの1つにすぎない。さらなる構成では、呼吸数抽出モジュールが、ピーク間の振幅変化、又は谷間の振幅変化に基づいて呼吸数を求めることもできる。呼吸数計算及び/又はさらなる計算では、PAVに加えて、図10に208として示すパルス幅変動性(PWV)、及び210として示すベースライン最小変動性(BMV)も有用となり得る。例えば、異なる患者が異なるPAV、PWV、BMVなどの変動を示し得ることに起因して、光電式容積脈波記録法波形の変化は患者によって異なり得るので、212として示すxmax[i-1]とxmin[i-1]との間の時間、及び214として示すxmin[i-1]とxmax[i]との間の時間は、さらなる計算にとって有用な情報を提供することができる。患者間の変動は較正係数によって考慮することができ、或いは重み付けした変動の組み合わせによって患者の呼吸数を生じることもできる。1つの例では、PAV値を10Hzのサンプリングレートに補間することによってピーク間測定値を時間領域に変換することができる。次に、呼吸数抽出モジュールは、上記で識別した光電式容積脈波記録法信号の特徴のうちの1つ又は2つ以上に対してスライディングウィンドウ内で高速フーリエ変換を実行することができる。例えば、呼吸数抽出モジュールは、30秒のPAVデータのウィンドウ上で1秒シフトで高速フーリエ変換を実行することができる。結果として得られる変換データは、約0.08Hz~約0.8Hzのスペクトル範囲内に存在できるスペクトル最大値を検出することができる。なお、光電式容積脈波記録法を用いて呼吸数を推定するために、連続ウェーブレット変換、ニューラルネットワーク又は他の方法を使用することもできる。呼吸数値は、T=1/Fを計算することによってスペクトル最大値を時間領域に変換して10Hzのサンプリングレートに補間することによって計算することができる。
【0061】
抽出された呼吸数値は、その妥当性を確認して呼吸数抽出モジュール又はウェアラブル装置12内のメモリに記憶することができる。一定期間にわたる複数の呼吸数値を使用して、例えば10秒などの期間にわたる平均呼吸数を計算することができる。さらに、呼吸数抽出モジュールは、脈拍抽出モジュール及びSpO2抽出モジュールの場合と同様に、最大値又は最小値が検出される毎に呼吸数値を更新できる呼吸数値更新頻度を定める呼吸数更新期間を含むこともできる。従って、呼吸数は、継続的に更新される10秒の期間の平均に基づくことができる。さらに、呼吸数抽出モジュールは、(例えば、15秒をデフォルトとすることができる)有効性規定パラメータを含むことができ、呼吸数の有効値が最後に検出されてから経過した時間が有効性規定パラメータよりも大きい場合には、呼吸数抽出モジュールが、呼吸数値が有効でない旨の信号を出力して、有効な平均呼吸数値を表示できるほど十分な値が測定されるまで呼吸数値の出力を待機することができる。すなわち、呼吸数抽出モジュールは、正確な平均呼吸数値を求めるのに十分な最大及び最小データを取得した時にのみ呼吸数値を出力することができる。
【0062】
さらに、呼吸数抽出モジュールは、他の方法を通じて呼吸数を抽出することもできる。例えば、呼吸数値の加重平均を用いて、表示して警報決定に使用すべき単一の呼吸数値を求めることもできる。患者が異なれば光電式容積脈波記録法の波形も変動し、従って例示的な呼吸数アルゴリズムは、ピーク間値、パルス振幅変動及び基準最小変動の加重平均を使用することができる。
【0063】
温度測定モジュールは、温度センサ40からのデータを約1Hzのサンプリングレートでサンプリングすることができる。温度測定モジュールは、次の式に従って温度信号Trawから摂氏で温度Tを計算することができる。
T=(Traw×a)-b
【0064】
この式において、a及びbは、特定のハードウェアに基づいて変動又は調整できる較正パラメータである。1つの態様では、a=175/65536であり、b=46.85である。上述した抽出値及び計算値は、MCU70の一部とすることができるファームウェアモジュールに送信することができる。ファームウェアモジュールは、各抽出値及び計算値の予めプログラムされた閾値及び/又は範囲を受取り又は有する。これらの閾値及び/又は範囲は、ユーザ装置14から、及び/又はユーザ装置14上でダウンロードされた又は別様に動作するモバイルアプリケーションから、BLEネットワークを介して取得することができる。図12に関して後述するように、各抽出値及び計算値の閾値及び/又は範囲は、例えば、年齢、体重、診断された病気などに基づいて、モバイルアプリケーションを介して患者固有のものとなるように調整することができる。ファームウェアモジュールは、これらの閾値及び/又は範囲を内部的に又はウェアラブル装置12のメモリに記憶する。ファームウェアモジュールは、上述した各値についての抽出値及び計算値をそれぞれの閾値又は範囲と比較することができる。
【0065】
抽出値又は計算値がそれぞれの閾値を超え又はそれぞれの範囲の外側にある場合、ファームウェアモジュールはアラームモードを作動させる。アラームモードは、ウェアラブル装置12上のローカルアラーム指示を含むことができる。説明したように、このローカルアラーム指示は、例えば点灯又は点滅する赤色LED及び/又は可聴アラーム(例えば、ユーザ装置14のいずれかのウェアラブル装置から発せられる可聴信号)などのインジケータ22を作動させることを含むことができる。アラームモードは、ユーザ装置14及び/又はモバイルアプリケーションに警報データを送信することを含むこともできる。ユーザ装置14及び/又はモバイルアプリケーションは、アラーム通知を表示し、及び/又は可聴又は触覚アラームを作動させることができる。アラームモードは、アラームモードを引き起こした(単複の)バイタルサインが閾値未満又は範囲内に戻るまで作動状態を維持することができる。或いは、ユーザがミュート及び/又はリセットコマンドを入力することもできる。このコマンドは、ユーザ装置14、モバイルアプリケーションに対する動作、又はウェアラブル装置12に対する直接的な動作によって入力することができる。
【0066】
例えば、計算された温度は、最も近い百分の一に四捨五入し、MCUに送信してアラーム状態が存在するかどうかを判断することができる。計算された温度は、アラーム通知の有無にかかわらずユーザ装置14に送信することもできる。計算された温度は、温度測定モジュール、又はウェアラブル装置12のメモリに記憶することができる。計算された温度は、平均せずに送信及び/又は表示することもできる。これとは別に、又はこれに加えて、一定期間にわたる平均温度を送信し、記憶し、及び/又は表示することもできる。
【0067】
次に、図11図13に、実装してユーザ装置14のディスプレイ24上に表示できるモバイルアプリケーションの態様を示す。この態様では、モバイルアプリケーションを、コンピュータ上、スマートホン上、タブレット上などで実行されるアプリケーションとすることも、デスクトップコンピュータ上、ラップトップコンピュータ上又はその他の電子ディスプレイ上で展開されるウェブアプリケーションとすることもできる。図11に示すように、モバイルアプリケーションは、ユーザインターフェイス310を含むことができる。ユーザインターフェイス310は、ダッシュボード314と、ユーザ管理タブ316と、装置タブ318と、事前設定グループタブ320と、構成タブ322とを含むことができるタブリスト312を含むことができる。リスト312内の各タブは、ユーザによる複数のウェアラブル装置12に関連する情報の閲覧、及び設定、アラーム閾値などの修正を可能にすることができる、ユーザインターフェイス310上の異なる表示を含むことができる。
【0068】
ダッシュボード314が選択されると、ユーザインターフェイス310は複数の患者表示324を含み、各患者表示324は、それぞれのウェアラブル装置12によって測定された各患者の現在の生体データを表示することができる。例えば、患者表示324は、各ウェアラブル装置12に関連する患者の氏名326と、各ウェアラブル装置12の現在のバッテリ充電レベル328と、患者のウェアラブル装置からの過去の傾向データを閲覧するためのリンク330と、患者の情報を閲覧又は編集するためのリンク332とを表示することができる。患者表示324は、患者の親戚の指名、ベッド番号、或いは患者のアイデンティティ又は場所を示す他のいずれかの情報を表示することもできる。患者表示324は、ウェアラブル装置の動作状態についてのインジケータ、並びにウェアラブル装置との接続が失われた場合及び/又はデータの送信が停止した場合の警告を表示することもできる。患者表示324は、脈拍数334、呼吸数336、SpO2パーセンテージ338及び体温340に関するリアルタイム情報を表示することもできる。このリアルタイム情報は、上述したような温度センサ40及び光センサ42から取得された処理データに基づいて抽出及び/又は計算することができる。また、ユーザインターフェイス310は、日時342と、例えばウェアラブル装置12を装着している患者のケアを行う任務を負っている特定の医療専門家などのユーザを識別するユーザプロファイル344とを含むこともできる。さらに、患者表示324は、各患者の現在の光電式容積脈波記録法波形を表示するオプションを含むこともできる。
【0069】
なお、図11では、8つの患者表示324しか表示されていないが、ユーザインターフェイス310上のダッシュボード314は、最大15個の患者表示324、最大30個の患者表示324、最大50個の患者表示324などを表示することもできる。例えば、ユーザインターフェイス310は、一連のダッシュボード314を継続的に巡回して全ての患者表示324を表示することもできる。或いは、ユーザインターフェイス310は、例えばアラーム状態の患者表示324、又は警報条件である特定の範囲内にある状態の患者表示324などの一部の患者表示324を選択的に表示することもできる。さらに、ユーザは、複数のダッシュボード314を通じてスクロール又はトグル操作して全ての患者表示324を表示することもできる。
【0070】
脈拍数334、呼吸数336、SpO2パーセンテージ338又は体温340のうちの1つがプログラムされた閾値を上回り又はプログラムされた範囲から外れる場合、患者表示324は警報を出すことができる。この警報は、点滅する光、点滅する数字、又は特定の生体パラメータの数字の色の変化の形を取ることができる。これとは別に、又はこれに加えて、ユーザ装置14は、可聴又は振動警報を含むこともできる。これらの警報は、受取られた処理データと警報データの両方に基づくことができる。
【0071】
図12に、患者固有のプロファイル346を示す。1つの例では、ユーザが特定の患者表示324又はリンク332をクリック又は別様に選択して、患者固有のプロファイル346を表示することができる。患者固有のプロファイル346は、予め設定されたバイタルサイングループ348を医療専門家が選択できるようにする一連のドロップダウン選択肢を表示することができる。各バイタルサイングループ348は、例えば脈拍数範囲350、呼吸数範囲352、血中酸素飽和度(SpO2)範囲354及び/又は体温範囲356を含む、様々な生体データの複数の閾値又は範囲を含むことができる。生体データ及び/又は閾値又は範囲は、どのバイタルサイングループ348が選択されたかに基づいて変動することができる。例えば、「早産児」が選択された場合、脈拍数範囲350は80拍/分~220拍/分、呼吸数範囲352は30呼吸/分~60呼吸/分、血中酸素飽和度(SpO2)範囲354は88%~98%、体温範囲356は36℃~38℃になり得る。さらなるバイタルサイングループ348は、30週未満、30週~34週、34週~38週、38週~42週などの「予定日」を含む。各範囲は、ドロップダウン選択肢又は直接編集を介してさらに手動で調整することも、或いはユーザのプロファイル又は予めプログラムされた設定値に基づいて固定することもできる。さらに、各患者固有のプロファイル346は、その患者及びウェアラブル装置12に関連するセンサモニタリング及びアラームを選択的にアクティブ又は非アクティブにするように「ミュート」設定と「アクティブ」設定との間で切り替えることができるミュートボタン358を含むことができる。患者固有のプロファイル346は、患者の氏名及び表示名、生年月日、出生時体重及び入院時診断などの編集可能な情報フィールドを含むこともできる。最後に、患者固有のプロファイル346は、選択された設定を記憶するための保存ボタン360と、複数の患者表示324を表示するユーザインターフェイス310に戻るための閉じるボタン362とを含むことができる。
【0072】
図13に、ユーザインターフェイス310の別の特徴を示す。図示のように、ユーザインターフェイス310は、温度センサ40及び光センサ42から取得されたデータのグラフィック表現363を含むことができる。例えば、ユーザインターフェイス310は、一定期間にわたる脈拍数334データのグラフ364を含むことができる。このようなグラフは、例えばユーザが脈拍数334のアイコン/タブを選択することによって形成又はアクセスすることができる。グラフ364は、瞬間的な脈拍数334の読み取り値のプロットと、図12に示すようなバイタルサイングループ348内で選択された脈拍数範囲350の上限及び下限とを含むことができる。グラフ364上に表示される期間は、期間タブ366を介して選択することができる。1つの態様では、グラフ364が、過去1時間、2時間、4時間、24時間などにわたって取得されたデータを表示することができる。グラフ364は、呼吸数336のデータ、SpO2 338のデータ及び/又は体温340のデータも同様に表示することができる。グラフ364は、それぞれのデータを別個に表示することも、或いは特定の測定データをそれぞれのプロットが重なり合った状態で同時に表示することもできる。グラフィック表現363は、複数の患者表示324を表示するユーザインターフェイス310に戻るための閉じるボタン368を含むことができる。グラフィック表現363は、検出されたバイタルサインがそれぞれの範囲外にある時にユーザが一定期間にわたって「事象」を入力できるようにする機能を含むこともできる。グラフィック表現363は、例えば20秒後、1分後、5分後、10分後などにアラーム通知がオフにされず又は別様に対処されない場合には、さらなる通知を含むこともできる。
【0073】
さらに、ユーザインターフェイス310は、ユーザ管理タブ316を介してアクセスできる複数のユーザログイン情報を含むことができる。1つの態様では、病院の各医療専門家が個人ユーザログインを有することができる。1人のユーザには患者表示324の一部を表示する一方で、別のユーザには複数の患者表示324全体を表示することもできる。これに加えて、又はこれとは別に、図12に関して上述した患者固有のプロファイル346を調整するためのアクセス権をユーザの一部のみに認めることもできる。さらに、ユーザ管理タブ316(図11)は、選択されたユーザが他のユーザのアクセス設定を修正できるようにすることもできる。ユーザインターフェイス310は、新たな医療専門家が新たなユーザログインを形成して設定及びアクセスパラメータをカスタマイズできるようにすることもできる。ユーザインターフェイス310は、各ユーザのログイン及びログアウト時間を記憶し、そのユーザがユーザアカウント及び患者アカウントに対して行ったあらゆる変更を記録することができる。
【0074】
各患者の履歴データは、モバイルアプリケーションに記憶することができる。例えば、装置タブ318(図11)は、ユーザが各ウェアラブル装置12の履歴データを特定の期間にわたって閲覧できるように、各ウェアラブル装置12を個別に選択できるウェアラブル装置12のリストを表示することができる。これに加えて、又はこれとは別に、このような履歴データ(図13)には、アイコン330を選択することによってダッシュボードからアクセスすることもできる。このような情報は、アラーム状態の場合に、アラーム状態の潜在的原因及び/又はアラーム状態の傾向を調査及び/又は診断するために有用となり得る。
【0075】
事前設定グループタブ320は、ユーザがウェアラブル装置12のグループを閲覧又は形成できるようにすることができる。ユーザは、ウェアラブル装置12の一部を選択し、この一部の患者表示324のみを閲覧できるようにダッシュボード設定を行うことができる。例えば、ユーザは、潜在的にリスクの高い状態の患者を素早く閲覧するために、患者表示324を患者の年齢、診断結果、平均脈拍数などによってソートすることができる。事前設定グループタブ320は、「早産児」グループ及び「予定日」グループなどの予め設定されたバイタルサイン閾値をユーザが修正、削除又は追加できるようにすることもできる。
【0076】
構成タブ322は、ユーザ又は選択されたユーザグループがユーザインターフェイス310の設定を修正できるようにすることができる。例えば、ユーザは、色彩設計の変更、ダッシュボード314に対するウェアラブル装置12の追加又は削除などを行うことができる。1つの例では、構成タブ322が、ユーザが自身のスマートホン、スマートウォッチ、タブレット又はその他のモバイル装置をユーザインターフェイス310と同期させて、これらのモバイル装置上で患者表示324の閲覧及び警報信号の受信を行えるようにすることができる。構成タブ322では、ユーザがデータのバックアップ及びエクスポート設定を制御することもできる。
【0077】
図14は、1つの態様による、ウェアラブル装置12及びシステム10の他のコンポーネントを使用して患者を電子的にモニタリングして警報を出す例示的な方法のフロー図である。例えば、図14に詳述するように、システム10は、方法400を継続的又は周期的に実行して複数の患者の生体情報をモニタリングすることができる。ステップ402は、センサから生体パラメータに関するデータを取得するステップを含むことができる。このステップは、ウェアラブル装置12が温度センサ40及び光センサ42を作動させるステップを含むことができる。上述したように、このデータ取得ステップの前に、装置の初期化及び/又はセルフテスト工程を行うことができる。生体パラメータは、体温、脈拍数、呼吸数及び/又はSpO2に関する未加工データとすることができる。ステップ404は、センサから取得された未加工データを処理するステップを含むことができる。上述したように、未加工データは、例えばマイクロコントローラユニット70及び/又はプリント基板56上の他の内部コンポーネント52がウェアラブル装置12の内部で処理することができる。未加工データを処理すると、患者の皮膚温度、脈拍数、呼吸数及び/又はSpO2の値を得ることができる。
【0078】
次に、ステップ406において、システム10は、処理データが、定められた閾値又は範囲の内側にあるかどうかを判定することができる。例えば、患者の体温を特定のプログラムされた又は別様に設定された温度範囲と比較することができる。処理データが、定められた閾値又は範囲の内側にない場合、システム10は、ステップ408に示すように警報を出すことができる。この警報は、ウェアラブル装置12及びユーザ装置14の一方又は両方を介して示すことができ、この信号警報は、例えばインジケータ22又は患者表示324の点滅などの可視的指示を含むとともに、生体パラメータが警報モードにある旨のユーザに対する可聴又は振動信号をさらに含むことができる。処理データが、定められた閾値又は範囲の内側にある場合、システム10は、ステップ410においてセンサからデータを取得し続けることができる。システム10は、たとえステップ408において警報が出された場合でもセンサからデータを取得し続けることができる。さらに、ウェアラブル装置12は、取得され処理されたデータを、BLEネットワーク20を介してユーザ装置14に送信することができる。
【0079】
上記の方法400は、温度センサ40及び光センサ42の各々について、並びに上述した各生体パラメータについて実行することができると理解される。さらに、検知されたデータは、システム10内の他の装置に送信してさらに解析し、表示し、及び/又は記憶することもできる。或いは、未加工データをユーザ装置14に送信して処理することもできる。
【0080】
さらに別の態様では、システム10が、少なくとも1人の患者の複数の身体部分に配置された複数のウェアラブル装置12を含むことができる。例えば、1つのウェアラブル装置12を患者の額に配置し、別のウェアラブル装置12を患者の指及び/又はつま先に配置することができる。これらの2つのウェアラブル装置12は、互いに信号を送受信できるとともに、各ウェアラブル装置12が測定した生体パラメータを相互参照して警報信号を連係させることができる。例えば、反射測定に基づいて光学データを取得する患者の額のウェアラブル装置12が警報を出し、透過測定に基づいて光学データを取得する指のウェアラブル装置12が警報を出さない場合、システム10は、両方のウェアラブル装置12がそれぞれのセンサ測定に基づいて警報を出すまで警報を出さないようにすることができる。或いは、これらのウェアラブル装置12は、一方のウェアラブル装置12のみがセンサ測定に基づいて警報状態を検知した場合に両方が警報を出すこともできる。なお、1又は2以上のウェアラブル装置12を患者の腕、胸部、脚などに配置することもできる。
【0081】
上述したシステム10及び方法100、400は、特に医療専門家よりもはるかに多くの患者が存在し得る状況において患者ケアを向上させるのに役立つことができる。例えば、多くの発展途上国では、病院の人員、資金が足りず、及び/又は断続的に電力供給が止まることもある。これらのシステム及び方法は、1人又は少数の医療専門家が同時に複数の患者(例えば、少なくとも5人の、少なくとも15人の、又は少なくとも50人の患者)を確実にモニタリングできるようにする。1つの態様では、ウェアラブル装置12を新生児医療ユニット内の新生児患者に取付けることができる。ウェアラブル装置12は、各患者の体温、脈拍数、呼吸数及びSpO2測定値を継続的にモニタリングする。この時、医療専門家は、ユーザ装置14を介して測定値をモニタリングすることができる。患者の1人が潜在的に問題のあるバイタルサインを示した場合には、ウェアラブル装置12及びユーザ装置14の両方が、どの患者に問題があるかについて医療専門家に通報することができる。さらに、特定のバイタルサインは、問題のあるバイタルサインの1又は複数の原因候補を医療専門家に示すこともでき、このことは患者の診断及び/又は治療をより迅速に行うのに役立つことができる。さらに、上述したシステム10及び方法100、400では、2つのセンサしか有していない装置が、複数の患者の少なくとも3つ又は少なくとも4つのバイタルサインの変化に対して正確かつ確実にユーザをモニタリングしてリアルタイムで警告を与えることもできる。
【0082】
また、上述したシステム及び方法は他の状況に適用することもできる。システム10及び方法100、400は、さらなるモニタリングを必要とする幼児又は幼い子供のバイタルサインを追跡するために、例えば家庭などの病院外で使用することもできる。或いは、システム10及び方法100、400は、手術中の又は手術から回復中の患者、例えば老人ホーム又はその他の介護施設内の高齢患者、刑務所内の囚人、及び/又は高持久力トレーニング又は競技を行うアスリートをモニタリングするために使用することもできる。システム10及び方法100、400は、検出されたバイタルサインに基づいて肺炎などの様々な状態を診断するのに役立つように、機械学習アルゴリズムを含むことができる。また、システム10は、バイタルサイン活動の変化率、又はバイタルサイン活動の基準値又は閾値からの偏差を測定することもできる。システム10は、これらの変化率又は偏差が既定値を上回った場合にアラームを作動させることができる。
【0083】
また、システム10及び方法100、400は、追加能力を含むようにさらに修正することもできる。例えば、ウェアラブル装置12は、黄疸の診断及び/又は黄疸治療の管理のために非侵襲的な皮下光学ビリルビンセンサを含むことができる。ウェアラブル装置12は、患者の発汗を検出する表面皮膚コンダクタンスセンサを含み、これを新生児薬物離脱症候群などの複数の新生児病態生理学の診断及び管理に関連付けることもできる。ウェアラブル装置12は、患者の血圧又はその他のバイタルサインを継続的かつ非侵襲的に測定する光センサ42を含み、及び/又は修正することもできる。また、ウェアラブル装置12は、例えば患者が無呼吸又は別の医学的問題に見舞われている場合に振動による触覚刺激を与えるために、患者を刺激する機構を含むこともできる。また、システム10は、例えば測定されたバイタルサインに基づいて患者が眠っているか又は起きているかを判断し、睡眠状態及び覚醒状態の両方の活動レベルを求めることによって患者の活動を追跡することもできる。
【0084】
当業者には、本明細書の検討及び本明細書に開示した実施形態の実施から、本開示の他の実施形態が明らかになるであろう。例示的なシステム、装置及び方法の文脈で本開示のいくつかの特徴について説明したが、本開示はそのように限定されるものではなく、開示した一般原理に従う本明細書の実施例の代替例及び変形例を含む。明細書及び実施例は、例示として検討するためのものにすぎず、本開示の正確な範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
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図11
図12
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