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特許7122335パルスショット式流量調整装置、パルスショット式流量調整方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】パルスショット式流量調整装置、パルスショット式流量調整方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020061118
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021162909
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻須 俊和
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特許第4197648(JP,B2)
【文献】特開2011-064707(JP,A)
【文献】特開2009-054094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス源に接続された第1遮断弁と、前記第1遮断弁に接続された第2遮断弁と、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁の間のガス充填容積と、前記ガス充填容積の圧力を計測する圧力センサと、を有するパルスショット式流量調整装置において、
ガスを目標流量に制御するプロセスを複数回行い、
前記第1遮断弁と前記第2遮断弁と前記圧力センサとが、前記パルスショット式流量調整装置の動作を制御するコントローラに通信可能に接続され、
前記コントローラは、各プロセスにて、
前記第1遮断弁に開閉動作を行わせた後に、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせるパルスショットを繰り返すとともに、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積にガスを充填した後に、前記圧力センサを用いて計測された充填後圧力と、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積からガスを吐出した後に、前記圧力センサを用いて計測された吐出後圧力とに基づいて、前記ガス充填容積から排出されるガスの体積流量を算出する一方、前記パルスショットを繰り返して行う態様を変化させることにより、前記体積流量を目標流量に調整する流量制御処理を実行し、
前記コントローラは、
前記流量制御処理にて前記体積流量を前記目標流量に調整したパルスショットを行ったときに前記圧力センサが計測した前記充填後圧力を、最適圧力として記憶する最適圧力記憶処理を実行し、
前記コントローラは、
前記最適圧力記億処理を実行したプロセス以降に行うプロセスにて、最初のパルスショットを行う前に、前記ガス充填容積の圧力を前記最適圧力記憶処理にて記憶した前記最適圧力に制御してから前記第2遮断弁に開閉動作を行わせる圧力制御処理を実行すること、
を特徴とするパルスショット式流量調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載するパルスショット式流量調整装置において、
前記最適圧力記憶処理は、電源が投入された後、1回目のプロセスにて実行され、
前記圧力制御処理は、前記電源が投入された後、2回目以降のプロセスにおける最初のパルスショットの前に、実行されること、
を特徴とするパルスショット式流量調整装置。
【請求項3】
請求項2に記載するパルスショット式流量調整装置において、
前記コントローラは、前記圧力制御処理の直後に行うプロセスにおける前記流量制御処理にて、前記最適圧力記憶処理を実行し、前記最適圧力を更新すること、
を特徴とするパルスショット式流量調整装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1つに記載するパルスショット式流量調整装置において、
前記コントローラは、
前記流量制御処理にて、各パルスショットにて前記第1遮断弁の開動作を持続する開動作持続時間を計測し、前記体積流量を前記目標流量に調整したパルスショットを行ったときの前記開動作持続時間を最適充填時間として記憶する最適充填時間記憶処理を実行し、
前記コントローラは、
前記最適充填時間記億処理を実行したプロセス以降に行うプロセスにおける前記流量制御処理にて、前記最初のパルスショットを行う場合、前記最適充填時間記憶処理にて記憶した前記最適充填時間を用いて前記第1遮断弁に開閉を行わせる充填時間制御処理と、
を実行すること、
を特徴とするパルスショット式流量調整装置。
【請求項5】
請求項4に記載するパルスショット式流量調整装置において、
前記最適充填時間記憶処理を前記最適圧力記憶処理とプロセスで行うこと、
を特徴とするパルスショット式流量調整装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載するパルスショット式流量調整装置において、
前記最適充填時間は、電源が投入された後、1回目のプロセスにて記憶され、前記電源が投入された後、2回目以降のプロセスにて使用されること、
を特徴とするパルスショット式流量調整装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6の何れか1つに記載するパルスショット式流量調整装置において、
前記コントローラは、前記充填時間制御処理を行うプロセスにおける前記流量制御処理にて、前記最適充填時間記憶処理を実行し、前記最適充填時間を更新すること、
を特徴とするパルスショット式流量調整装置。
【請求項8】
ガス源に接続された第1遮断弁と、前記第1遮断弁に接続された第2遮断弁と、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁の間のガス充填容積と、前記ガス充填容積の圧力を計測する圧力センサと、を有し、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁と前記圧力センサとに通信可能に接続されたコントローラを用いて動作を制御されるパルスショット式流量調整装置に、
ガスを目標流量に制御するプロセスを複数回行わせ、
各プロセスにて、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせた後に、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせるパルスショットを繰り返すとともに、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積にガスを充填した後に、前記圧力センサを用いて計測された充填後圧力と、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積からガスを吐出した後に、前記圧力センサを用いて計測された吐出後圧力とに基づいて、前記ガス充填容積から排出されるガスの体積流量を算出する一方、前記パルスショットを繰り返して行う態様を変化させることにより、前記体積流量を目標流量に調整する流量制御工程を行わせ、
前記流量制御工程にて前記体積流量を前記目標流量に調整したパルスショットを行ったときに前記圧力センサが計測した前記充填後圧力を、最適圧力として記憶する最適圧力記憶工程を行わせ、
前記最適圧力記億工程を行ったプロセス以降に行うプロセスにて、最初のパルスショットを行う前に、前記ガス充填容積の圧力を前記最適圧力記憶工程にて記憶した前記最適圧力に制御する圧力制御工程を行わせること、
を特徴とするパルスショット式流量調整方法。
【請求項9】
ガス源に接続された第1遮断弁と、前記第1遮断弁に接続された第2遮断弁と、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁の間のガス充填容積と、前記ガス充填容積の圧力を計測する圧力センサと、を有するパルスショット式流量調整装置の動作を制御するコントローラに組み込まれるプログラムであって、
前記パルスショット式流量調整装置がガスを目標流量に制御するプロセスを複数回行う場合、各プロセスにて、
前記第1遮断弁に開閉動作を行わせた後に、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせるパルスショットを繰り返すとともに、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積にガスを充填した後に、前記圧力センサを用いて計測された充填後圧力と、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積からガスを吐出した後に、前記圧力センサを用いて計測された吐出後圧力とに基づいて、前記ガス充填容積から排出されるガスの体積流量を算出する一方、前記パルスショットを繰り返して行う態様を変化させることにより、前記体積流量を目標流量に調整する流量制御処理を実行させ、
前記コントローラに、
前記流量制御処理にて前記体積流量を前記目標流量に調整したパルスショットを行ったときに前記圧力センサが計測した前記充填後圧力を、最適圧力として記憶する最適圧力記憶処理を実行させ、
前記コントローラに、
前記最適圧力記億処理を実行したプロセス以降に行うプロセスにて、最初のパルスショットを行う前に、前記ガス充填容積の圧力を前記最適圧力記憶処理にて記憶した前記最適圧力に制御する圧力制御処理を実行させること、
を特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの体積流量を調整するためのパルスショット式流量調整装置、パルスショット式流量調整方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置等のガス供給システムにおいては、ガスの流量を正確に制御するために、例えば、熱式マスフローコントローラを使用していた。しかし、近年、100℃以上の高温ガスが制御対象になることがある。熱式マスフローコントローラは、このような高温ガスの制御に対応できないことがあった。
【0003】
例えば特許文献1には、高温ガスの流量を制御できるパルスショット式流量調整装置が開示されている。パルスショット式流量調整装置は、ガス源に接続される第1遮断弁と、第1遮断弁に接続される第2遮断弁と、第1遮断弁と第2遮断弁との間に設けられたガス充填容積と、ガス充填容積の圧力を測定する圧力センサと、コントローラと、を備える。
【0004】
パルスショット式流量調整装置のコントローラは、図9に示すように、第1遮断弁に開閉動作を行わせた後、第2遮断弁に開閉動作を行わせるパルスショットを繰り返す。これとともに、コントローラは、圧力センサを用いて、第1遮断弁に開閉動作を行わせた後にガスが充填されたガス充填容積の圧力(充填後圧力)P1と、第2遮断弁に開閉動作を行わせた後にガスが吐出された後のガス充填容積の圧力(吐出後圧力)P2との差圧D1に基づいて、次のパルスショットで第1遮断弁の開動作を維持してガスの充填を行う充填時間を変更することで、パルスショットの態様を変化させ、ガスの流量を目標流量に調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4197648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には問題があった。すなわち、従来のパルスショット式流量調整装置は、例えば、パルスショットを繰り返してガスを供給するプロセスを繰り返す場合、ガスの使用条件がプロセス毎に異なることがあった。一方、従来のパルスショット式流量調整装置は、各プロセスにおける最初のパルスショットの態様を同じにして、図10に示すように、パルスショットにおける差圧D1に応じて徐々にパルスショットの態様を変化させていた。そのため、従来のパルスショット式流量調整装置は、プロセスを開始してから、ガスの流量を目標流量に調整するまでの応答時間が長くなることがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、パルスショットを繰り返してガスの流量を目標流量に制御するパルスショット式流量調整装置について、応答性を改善できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、次のような構成を有している。(1)ガス源に接続された第1遮断弁と、前記第1遮断弁に接続された第2遮断弁と、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁の間のガス充填容積と、前記ガス充填容積の圧力を計測する圧力センサと、を有するパルスショット式流量調整装置において、ガスを目標流量に制御するプロセスを複数回行い、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁と前記圧力センサとが、前記パルスショット式流量調整装置の動作を制御するコントローラに通信可能に接続され、前記コントローラは、各プロセスにて、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせた後に、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせるパルスショットを繰り返すとともに、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積にガスを充填した後に、前記圧力センサを用いて計測された充填後圧力と、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積からガスを吐出した後に、前記圧力センサを用いて計測された吐出後圧力とに基づいて、前記ガス充填容積から排出されるガスの体積流量を算出する一方、前記パルスショットを繰り返して行う態様を変化させることにより、前記体積流量を目標流量に調整する流量制御処理を実行し、前記コントローラは、前記流量制御処理にて前記体積流量を前記目標流量に調整したパルスショットを行ったときに前記圧力センサが計測した前記充填後圧力を、最適圧力として記憶する最適圧力記憶処理を実行し、前記コントローラは、前記最適圧力記億処理を実行したプロセス以降に行うプロセスにて、最初のパルスショットを行う前に、前記ガス充填容積の圧力を前記最適圧力記憶処理にて記憶した前記最適圧力に制御してから前記第2遮断弁に開閉動作を行わせる圧力制御処理を実行すること、を特徴とする。
【0009】
上記構成のパルスショット式流量調整装置は、あるプロセスで体積流量を目標流量に調整したときの充填後圧力を最適圧力として記憶する。そして、それ以降のプロセスで、最初のパルスショットを行う前に、ガス充填容積の圧力を最適圧力に制御してから第2遮断弁に開閉動作を行わせる。これにより、タンクが、体積流量を目標流量に制御したパルスショットを行った後の状態と同じになる。そのため、最初のパルスショットでは、ガス源の元圧等の変化に関係なく、体積流量を目標流量に調整したときと同様にタンクにガスを充填でき、体積流量を目標流量に調整する可能性が高い。よって、上記構成のパルスショット式流量調整装置によれば、プロセスを開始してからガスの流量を目標流量に安定させるまでの応答時間が短くなり、応答性を改善できる。
【0010】
(2)(1)に記載するパルスショット式流量調整装置において、前記最適圧力記憶処理は、電源が投入された後、1回目のプロセスにて実行され、前記圧力制御処理は、前記電源が投入された後、2回目以降のプロセスにおける最初のパルスショットの前に、実行されること、が好ましい。
【0011】
上記構成のパルスショット式流量調整装置は、電源投入後、1回目のプロセスで最適圧力記憶処理を実行することで、2回目以降の各プロセスで応答性を改善できる。
【0012】
(3)(2)に記載するパルスショット式流量調整装置において、前記コントローラは、前記圧力制御処理の直後に行うプロセスにおける前記流量制御処理にて、前記最適圧力記憶処理を実行し、前記最適圧力を更新すること、が好ましい。
【0013】
上記構成のパルスショット式流量調整装置では、各プロセスで最適圧力を更新することで、最適圧力が外乱を反映した値になるので、最初のパルスショットで体積流量を目標流量、あるいは、目標流量に近似する値に調整できる可能性がより一層高くなる。
【0014】
(4)(1)から(3)の何れか1つに記載するパルスショット式流量調整装置において、前記コントローラは、前記流量制御処理にて、各パルスショットにて前記第1遮断弁の開動作を持続する開動作持続時間を計測し、前記体積流量を前記目標流量に調整したパルスショットを行ったときの前記開動作持続時間を最適充填時間として記憶する最適充填時間記憶処理を実行し、前記コントローラは、前記最適充填時間記億処理を実行したプロセス以降に行うプロセスにおける前記流量制御処理にて、前記最初のパルスショットを行う場合、前記最適充填時間記憶処理にて記憶した前記最適充填時間を用いて前記第1遮断弁に開閉を行わせる充填時間制御処理と、を実行すること、が好ましい。
【0015】
上記構成のパルスショット式流量調整装置は、プロセス前の圧力制御に加え、各プロセスの最初のパルスショットにて第1遮断弁を最適充填時間に従って制御するので、最初のパルスショットから体積流量を目標流量、あるいは、目標流量に近似する値に調整する確率がより一層高くなり、応答性が改善される。
【0016】
(5)(4)に記載するパルスショット式流量調整装置において、前記最適充填時間記憶処理を前記最適圧力記憶処理とプロセスで行うこと、が好ましい。
【0017】
上記構成のパルスショット式流量調整装置は、最適圧力と最適充填時間とを同じプロセスで記憶することにより、最適充填時間をプロセスと別のテストモードで記憶する必要がなく、ガスや時間を節約できる。
【0018】
(6)(4)または(5)に記載するパルスショット式流量調整装置において、前記最適充填時間は、電源が投入された後、1回目のプロセスにて記憶され、前記電源が投入された後、2回目以降のプロセスにて使用されること、が好ましい。
【0019】
上記構成のパルスショット式流量調整装置は、電源投入後、1回目のプロセスで最適充填時間記憶処理を実行することで、2回目以降の各プロセスで応答性を改善できる。
【0020】
(7)(4)から(6)の何れか1つに記載するパルスショット式流量調整装置において、前記コントローラは、前記充填時間制御処理を行うプロセスにおける前記流量制御処理にて、前記最適充填時間記憶処理を実行し、前記最適充填時間を更新すること、が好ましい。
【0021】
上記構成のパルスショット式流量調整装置では、各プロセスで最適充填時間を更新することで、最適充填時間が外乱を反映した値になるので、最初のパルスショットで体積流量を目標流量、あるいは、目標流量に近似する値に調整できる確率がより一層高くなる。
【0022】
本発明の別態様は、(8)ガス源に接続された第1遮断弁と、前記第1遮断弁に接続された第2遮断弁と、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁の間のガス充填容積と、前記ガス充填容積の圧力を計測する圧力センサと、を有し、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁と前記圧力センサとに通信可能に接続されたコントローラを用いて動作を制御されるパルスショット式流量調整装置に、ガスを目標流量に制御するプロセスを複数回行わせ、各プロセスにて、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせた後に、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせるパルスショットを繰り返すとともに、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積にガスを充填した後に、前記圧力センサを用いて計測された充填後圧力と、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積からガスを吐出した後に、前記圧力センサを用いて計測された吐出後圧力とに基づいて、前記ガス充填容積から排出されるガスの体積流量を算出する一方、前記パルスショットを繰り返して行う態様を変化させることにより、前記体積流量を目標流量に調整する流量制御工程を行わせ、前記流量制御工程にて前記体積流量を前記目標流量に調整したパルスショットを行ったときに前記圧力センサが計測した前記充填後圧力を、最適圧力として記憶する最適圧力記憶工程を行わせ、前記最適圧力記億工程を行ったプロセス以降に行うプロセスにて、最初のパルスショットを行う前に、前記ガス充填容積の圧力を前記最適圧力記憶工程にて記憶した前記最適圧力に制御する圧力制御工程を行わせること、を特徴とするパルスショット式流量調整方法である。
【0023】
さらに、本発明の別態様は、(9)ガス源に接続された第1遮断弁と、前記第1遮断弁に接続された第2遮断弁と、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁の間のガス充填容積と、前記ガス充填容積の圧力を計測する圧力センサと、を有するパルスショット式流量調整装置の動作を制御するコントローラに組み込まれるプログラムであって、前記パルスショット式流量調整装置がガスを目標流量に制御するプロセスを複数回行う場合、各プロセスにて、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせた後に、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせるパルスショットを繰り返すとともに、前記第1遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積にガスを充填した後に、前記圧力センサを用いて計測された充填後圧力と、前記第2遮断弁に開閉動作を行わせ、前記ガス充填容積からガスを吐出した後に、前記圧力センサを用いて計測された吐出後圧力とに基づいて、前記ガス充填容積から排出されるガスの体積流量を算出する一方、前記パルスショットを繰り返して行う態様を変化させることにより、前記体積流量を目標流量に調整する流量制御処理を実行させ、前記コントローラに、前記流量制御処理にて前記体積流量を前記目標流量に調整したパルスショットを行ったときに前記圧力センサが計測した前記充填後圧力を、最適圧力として記憶する最適圧力記憶処理を実行させ、前記コントローラに、前記最適圧力記億処理を実行したプロセス以降に行うプロセスにて、最初のパルスショットを行う前に、前記ガス充填容積の圧力を前記最適圧力記憶処理にて記憶した前記最適圧力に制御する圧力制御処理を実行させること、を特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0024】
よって、本発明によれば、パルスショットを繰り返してガスの流量を目標流量に制御するパルスショット式流量調整装置について、応答性を改善できる技術を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るパルスショット式流量調整装置の概略構成図である。
図2】パルスショットを説明する図である。
図3】流量変動および圧力変動を説明する概念図である。
図4】流量制御処理の手順を説明するフローチャートである。
図5】従来のパルスショット式流量調整装置のシーケンス図である。
図6】従来のパルスショット式流量調整装置の流量制御例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係るパルスショット式流量調整装置、パルスショット式流量調整方法、および、プログラムの実施形態について図面に基づいて説明する。
【0027】
<パルスショット制御装置の概略構成>
図1に示すように、本形態では、チャンバ230に供給するガスの流量を制御するパルスショット式流量調整装置(以下「流量調整装置」と略す)に、本発明を適用している。
【0028】
チャンバ230は、例えば、真空ポンプ240により真空雰囲気とされ、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition、以下「ALD」と略す)を用いてウエハに所定の膜を成膜する。ALDでは、(a)原料ガスの投入、(b)不活性ガスによるパージ、(c)反応ガスの投入、(d)不活性ガスによるパージを行うサイクルを繰り返すことにより、ウエハに成膜する膜の膜厚を0.1μm単位で調整できる。
【0029】
ALDでは、種類が異なるガスが混じると固まることがある。そのため、原料ガスのガス源211に接続する配管200と、反応ガスのガス源311に接続する配管300と、不活性ガスのガス源411に接続する配管400とが、別々にチャンバ230に接続されている。
【0030】
なお、原料ガスは、例えばTMA(トリメチルアルミニウム)である。反応ガスは、例えばH2O(水蒸気)である。不活性ガスは、例えばN2ガスである。TMAは、常温では固形の材料であり、チャンバ230に供給される場合に気化されて120℃以上の高温ガスとなる。
【0031】
ALDを用いて成膜する場合、各種ガスは供給時間により供給量を管理される。また、ALDでは、上述した(a)~(d)を行うサイクルを、例えば、ウエハ1枚あたり数百回繰り返す。この場合、例えば、(a)(c)においてTMAとH2Oをチャンバ230に供給する供給時間はそれぞれ数十msecであり、(b)(d)においてN2ガスをチャンバ230に供給する供給時間(パージ時間)はそれぞれ数sec~数十secである。よって、チャンバ230に供給するガスは、高精度、高頻度、高速で制御する必要がある。そこで、配管200,300,400には、第1遮断弁11と第2遮断弁13を交互に開閉して流量を制御する流量調整装置1A,1B,1Cが配設されている。
【0032】
流量調整装置1の構成を図1を参照しつつ具体的に説明する。流量調整装置1A~1Cは同様に構成されているので、以下の説明では、配管200に配設された流量調整装置1Aについて説明する。また、特に区別する必要がない場合、「流量調整装置1」と総称する。
【0033】
流量調整装置1は、第1遮断弁11と、タンク12と、第2遮断弁13と、圧力センサ14と、を備える。第1遮断弁11は、タンク12の上流側に配設され、加圧されたガス源211に接続されている。第2遮断弁13は、タンク12の下流側に配設され、真空雰囲気とされたチャンバ230に接続されている。タンク12は、第1遮断弁11と第2遮断弁13とが閉鎖されることにより密閉空間となる。本形態のタンク12は、例えば、5~1000ccの容積を有する。タンク12は「ガス充填容積」の一例である。なお、タンク12の代わりに、配管によりガス充填容積を構成してもよい。圧力センサ14は、高温用の真空圧力計である。フィルタ16は、第1遮断弁11の上流側に配設され、流量調整装置1に流入するガスから異物を除去する。
【0034】
第1遮断弁11と第2遮断弁13は、エアオペレイト式の開閉弁である。そして、第1遮断弁11と第2遮断弁13は、120℃以上の高温ガスでも制御可能な弁である。また、第1遮断弁11と第2遮断弁13には、例えば数msec周期で開閉動作することができる高速弁が使用されている。さらに、配管に使用するバルブの口径は、一般的に配管径の4分の1インチである。しかし、第1遮断弁11と第2遮断弁13は、例えば口径が配管径の8分の3インチであるものが選定され、Cv値が大きくされている。第1遮断弁11と第2遮断弁13のCv値は例えば0.6である。このように、Cv値が大きく、高速かつ高頻度で動作できる第1遮断弁11と第2遮断弁13とを、タンク12の上流側と下流側に配置することで、流量調整装置1は、第1遮断弁11と第2遮断弁13の開閉動作に伴う脈動が抑制される。また、流量調整装置1は、絞り部を有する熱式マスフローコントローラよりガスが流れやすく、ガスをチャンバ230に迅速に供給することが可能になる。
【0035】
流量調整装置1は、プロセス中、第1遮断弁11に開閉動作を行わせた後、第2遮断弁13に開閉動作を行わせるパルスショットを高速で繰り返しながら、ガスを目標流量に制御する。本明細書において、「目標流量」は、単位時間あたりの、第2遮断弁13から排出されるガスの体積流量と定義する。そのため、流量調整装置1は、チャンバ230の近傍に配設されている。例えば、第2遮断弁13とチャンバ230は、直接、あるいは、2m以下の配管を介して接続されている。なお、第1遮断弁11と第2遮断弁13は、エアオペレイト式の開閉弁に限らず、例えば電磁式開閉弁でもよい。
【0036】
本形態の流量調整装置1は、コントローラ15により動作を制御される。コントローラ15は、第1遮断弁11と第2遮断弁13と圧力センサ14とに通信可能に接続されている。コントローラ15は「コントローラ」の一例である。
【0037】
コントローラ15は、周知のマイクロコンピュータであり、CPU21と、メモリ22と、を備える。メモリ22は、不揮発性メモリと揮発性メモリを含む。メモリ22は、各種のプログラムやデータを記憶している。CPU21は、メモリ22にデータを一時的に記憶させながら、メモリ22に記憶されているプログラムを実行し、各種処理を実行する。
【0038】
例えば、メモリ22には、流量調整装置1の動作を制御するための制御プログラム31が記憶されている。制御プログラム31は、あるプロセスで最適圧力を取得し、次のプロセスを行う前にタンク12の圧力を最適圧力に制御してから、次のプロセスを行う流量制御処理を実行する。流量制御処理については、後述する。なお、制御プログラム31は「プログラム」の一例である。
【0039】
また、メモリ22の不揮発性メモリには、制御プログラム31に用いられるデータが記憶されている。例えば、メモリ22は、体積流量を目標流量に調整するのに最適な圧力を示す最適圧力を記憶している。また例えば、メモリ22は、体積流量を目標流量に調整するのに最適な充填時間を示す最適充填時間を記憶している。最適圧力と最適充填時間は、制御プログラム31のインストール時に初期値が記憶されてもよいし、ブランクであってもよい。また、最適圧力と最適充填時間は、流量調整装置1の電源投入又は電源切断された場合にブランクにされてもよい。最適圧力と最適充填時間は、プロセス実行時に随時更新される。
【0040】
コントローラ15は、さらに、時間を計測する計時部23と、外部との通信を制御する通信インタフェース24(以下「通信IF24」と略す)とを備える。コントローラ15は、通信IF24を介して、半導体製造装置の動作を制御する上位コントローラ500に通信可能に接続されている。コントローラ15は上位コントローラ500に有線で接続されてもよいし、無線通信可能に接続されてもよい。
【0041】
このような流量調整装置1では、フィルタ16と第1遮断弁11と第2遮断弁13と圧力センサ14とコントローラ15とが互いに接続された状態で図示しないケースに内設されることで、ユニット化することもできる。その場合、流量調整装置1は、取り扱い易く、通信IF24を上位コントローラ500に接続する以外の配線作業を行う必要がない。
【0042】
ただし、コントローラ15は、例えば上位コントローラ500などの外部コントローラに組み込まれ、図示しないケースの外部にあってもよい。また、例えば制御プログラム31を上位コントローラ500に組み込むことで、上位コントローラ500にコントローラ15の機能を持たせ、上位コントローラ500を「流量調整装置の動作を制御するコントローラ」としてもよい。
【0043】
<パルスショットについて>
続いて、流量調整装置1が行うパルスショットについて説明する。図2は、パルスショットを説明する図である。流量調整装置1は、第1遮断弁11に開動作を行わせてから、次に第1遮断弁11に開動作を行わせるまでをパルスショットの1サイクルとして、パルスショットを繰り返す。例えば、ALDに用いてウエハに成膜する場合、1枚のウエハに対して上述した(a)~(d)のサイクルを数百回繰り返す。この場合、例えば、(a)のプロセスでは、1回あたり、TMAをチャンバ230に数十msec供給する。
【0044】
各パルスショットでは、第2遮断弁13が閉動作している状態で、第1遮断弁11が開動作を行い、ガス源211から供給されるガスがタンク12に充填される。第1遮断弁11が閉動作を行うと、タンク12はガスの出入りを制限された密閉空間となる。その後、第2遮断弁13が開閉動作を行うと、タンク12に充填されたガスが第2遮断弁13から吐出され、チャンバ230に供給される。タンク12には、第1遮断弁11のみから、ガスが供給される。よって、流量調整装置1は、第2遮断弁13の開動作を維持する吐出時間t3が一定である場合、第1遮断弁11の開動作を維持する充填時間t1を変化させることで、第2遮断弁13から吐出されるガスの体積流量を変化させることが可能である。
【0045】
流量調整装置1は、ガスが充填された後のタンク12の圧力を示す充填後圧力P1と、ガスが吐出された後のタンク12の圧力を示す吐出後圧力P2との差圧に基づいて、充填時間t1がパルスショット毎に調整される。
【0046】
すなわち、流量調整装置1は、第1遮断弁11に閉動作を行わせた後、第2遮断弁13に開動作を行わせる前に、タンク12の圧力を圧力センサ14を用いて計測し、充填後圧力P1を取得する。第1遮断弁11は、閉動作を行う場合、応答遅れを生じることがある。また、タンク12では、第1遮断弁11に閉動作を行わせた直後の圧力が、断熱圧縮により不安定である。そこで、流量調整装置1は、第1遮断弁11に閉動作を行わせてから第1制定時間t2が経過したときに、充填後圧力P1を取得する。
【0047】
また、流量調整装置1は、第2遮断弁13に閉動作を行わせた後、第1遮断弁11に開動作を行わせる前に、タンク12の圧力を圧力センサ14を用いて計測し、吐出後圧力P2を取得する。第2遮断弁13は、閉動作を行う場合、応答遅れを生じることがある。また、タンク12では、第2遮断弁13に閉動作を行わせた直後の圧力が、断熱膨張により不安定である。そこで、流量調整装置1は、第2遮断弁13に閉動作を行わせてから第2制定時間t4が経過したときに、吐出後圧力P2を取得する。
【0048】
流量調整装置1は、このようにして取得した充填後圧力P1と吐出後圧力P2の差圧に基づいて、流量調整装置1は現在のガスの体積流量を算出する。そして、流量調整装置1は、上位コントローラ500から指示されたガスの目標流量と算出した現在のガスの体積流量との差分に応じて、次のパルスショットで使用する充填時間t1を調整し、パルスショットの態様を変化させる。
【0049】
流量調整装置1は、例えば、体積流量が目標流量より少なければ、次のパルスショットの充填時間t1を長くする。これにより、次のパルスショットの際にタンク12に充填されるガスが増加し、体積流量が多くなる。一方、流量調整装置1は、体積流量が目標流量より多ければ、次のパルスショットの充填時間t1を短くする。これにより、次のパルスショットの際にタンク12に充填されるガスが減少し、体積流量が少なくなる。さらに、体積流量が目標流量と一致すれば、次のパルスショットの充填時間t1を今回のパルスショットと同じにする。これにより、次のパルスショットの際にタンク12に充填されるガスが今回のパルスショットと同じになり、体積流量が維持される。
【0050】
パルスショットを行う場合に、ガスの充填を開始する際のタンク12の圧力がばらつくことがある。充填時間t1が同じ場合、ガスの充填を開始する際の圧力によって、充填後圧力P1にばらつきが生じ、体積流量を目標流量に調整するまでに時間がかかる。
【0051】
そこで、本形態では、例えば図3に示すように、あるプロセスにてガスの体積流量を目標流量に調整したときの充填後圧力P1を最適圧力Pxとしてメモリ22に記憶し(Y1部参照)、そのプロセス以降に行うプロセスにて最初のパルスショットを行う前に、タンク12の圧力を最適圧力に制御してから(Y2部参照)、ガスを吐出する(Y3部参照)。これにより、最初のパルスショットでは、ガスの充填を開始する際のタンク12の圧力が、体積流量を目標流量に調整したパルスショットを行う場合と同様になり得る。そのため、各プロセスでは、プロセス開始時からガスの体積流量を段階的に増加させて目標流量に調整しなくても、最初のパルスショットから体積流量を目標流量に調整するのに必要なガスをタンク12に一気に充填し、タンク12の圧力を調整できる(Y4部)。よって、各プロセスでは、最初のパルスショットからガスを目標流量に制御してチャンバ230に供給でき、応答性が改善される(Y5部参照)。
【0052】
<パルスショット制御装置の動作説明:制御処理>
続いて、流量調整装置1による流量制御の手順について具体的に説明する。図4は、流量制御処理の手順を示すフローチャートである。流量調整装置1は、電源が投入されたことを契機に、CPU21が制御プログラム31を起動し、図4に示す流量制御処理を実行する。
【0053】
CPU21は、まず、流量制御開始指示を受信したか否かを判断する(S101)。例えば、上位コントローラ500は、流量調整装置1Aに流量制御開始指示を送信し、TMAをチャンバ230に供給するプロセスを開始する。上位コントローラ500は、1枚のウエハの1層分の成膜が完了すると、流量調整装置1Aに流量制御終了指示を送信し、プロセスを終了させる。なお、流量調整装置1が操作部を有する場合、CPU21は流量制御開始指示や流量制御終了指示を操作部を介して受け付けてもよい。
【0054】
流量調整装置1のCPU21は、例えば。通信IF24を用いて、上位コントローラ500から送信された流量制御開始指示を受信しない場合、流量制御開始指示を受け付けていないと判断する(S101:NO)。この場合、CPU21は、プロセスを開始せずに、そのまま待機する。
【0055】
一方、CPU21は、例えば、通信IF24を用いて、上位コントローラ500から送信された流量制御開始指示を受信した場合、流量制御開始指示を受け付けたと判断する(S101:YES)。この場合、CPU21は、電源投入後、1回目のプロセスか否かを判断する(S103)。CPU21は、電源が投入されてから切断されるまでの間に実行したプロセスの回数(以下「プロセス実行回数」とする)をカウントする機能を有する。CPU21は、電源投入時または電源切断時にプロセス実行回数をリセットし、流量制御開始指示を受け付ける度に、プロセス実行回数をカウントする。CPU21は、プロセス実行回数が「1」である場合、電源投入後、最初のプロセスであると判断する(S103:YES)。
【0056】
最初のプロセスであると判断したCPU21は、タンク12にガスを充填する(S105)。すなわち、第1遮断弁11と第2遮断弁13は、流量制御開始指示を受け付けたとき、閉じている。そこで、CPU21は、第1遮断弁11に開動作を行わせる。CPU21は、計時部23を用いて、第1遮断弁11の開動作を維持する時間(以下「第1開動作維持時間」とする)を計測する。CPU21は、第1開動作維持時間が充填時間t1になるまで、第1遮断弁11の開動作を維持する。1回目のプロセスにおける最初のパルスショットの充填時間t1には、例えば、メモリ22に記憶されている最適充填時間txが代入される。なお、この充填時間t1は、制御プログラム31に予め登録された固定値や、目標流量に応じて自動的に設定される変動値でもよい。また、充填時間t1は、上位コントローラ500から受信した時間、あるいは、流量調整装置1が操作部を有する場合には操作部を介して入力された時間のような可変値でもよい。CPU21は、計時部23を用いて充填時間t1が経過したことを検知すると、第1遮断弁11に閉動作を行わせる。ガスの充填終了と同時に、CPU21は計時部23をリセットする。
【0057】
ガスの充填を完了したCPU21は、タンク12の圧力が安定したか否かを判断する(S107)。すなわち、CPU21は、第1制定時間t2が経過したか否かを判断する。本形態では、吐出時間t3と第2制定時間t4とを一定にしている。また、パルスショットの周期を一定にしている。よって、充填時間t1が決められることにより、第1制定時間t2が自動的に決められる。CPU21は、第1遮断弁11に閉動作を行わせた後、計時部23を用いて、時間を計測し始める。CPU21は、計時部23を用いて計測する時間が第1制定時間t2に達しない場合、タンク12の圧力が安定していないと判断し(S107:NO)、待機する。
【0058】
一方、CPU21は、計時部23を用いて計測する時間が第1制定時間t2に達すると、タンク12の圧力が安定したと判断する(S107:YES)。すると、CPU21は、充填後圧力P1を取得する(S109)。すなわち、CPU21は、圧力センサ14を用いて第1制定時間t2が経過したときのタンク12の圧力を計測し、計測した圧力を充填後圧力P1としてメモリ22に一時的に記憶する。
【0059】
充填後圧力P1を取得したCPU21は、第2遮断弁13からガスを吐出する(S111)。すなわち、CPU21は、充填後圧力P1を取得すると直ぐに、第2遮断弁13に開動作を行わせる。そして、CPU21は、吐出時間t3の間、第2遮断弁13に開動作を維持させる。チャンバ230は、真空ポンプ240により真空雰囲気にされ、タンク12より低圧である。よって、タンク12に充填されたガスは、第2遮断弁13の開動作と同時にタンク12からチャンバ230側へ排出される。吐出時間t3は、上述したように予め定められている。CPU21は、計時部23を用いて、第2遮断弁13の開動作を維持する時間である第2開動作維持時間を計測する。CPU21は、第2開動作維持時間が吐出時間t3になるまで、第2遮断弁13の開動作を維持する。CPU21は、吐出時間t3が経過すると、第2遮断弁13に閉動作を行わせ、ガスの吐出を終了する。ガスの吐出終了と同時に、CPU21は計時部23をリセットする。
【0060】
ガスの吐出を終了したCPU21は、タンク12の圧力が安定したか否かを判断する(S113)。つまり、CPU21は、第2制定時間t4が経過したか否かを判断する。CPU21は、第2遮断弁13を閉じた後、計時部23を用いて、時間を計測し始める。CPU21は、計時部23を用いて計測する時間が第2制定時間t4に達しない場合、圧力が安定していないと判断し、待機する(S113:NO)。
【0061】
一方、CPU21は、計時部23を用いて計測する時間が第2制定時間t4に達すると、圧力が安定したと判断する(S113:YES)。すると、CPU21は、吐出後圧力P2を取得する(S115)。すなわち、CPU21は、圧力センサ14を用いて第2制定時間t4が経過したときのタンク12の圧力を計測し、計測した圧力を吐出後圧力P2としてメモリ22に一時的に記憶する。
【0062】
それから、CPU21は、当該パルスショットにより第2遮断弁13から排出されるガスの体積流量QAを算出する(S523)。例えば、流量調整装置1は、下記数式1を用いて、現在の、単位時間あたりの、第2遮断弁13から吐出されるガスの体積流量QAを求める。
【0063】
【数1】
【0064】
パルスショットの回数は、プロセスの時間とパルスショットの周期とにより決定される。吐出量は、下記数式2により求められる。ΔPは、差圧である。Pは、大気圧(101.3kPa)である。Vは、タンク12の容積(cc)ある。Tは、流体温度(℃)である。Tは、チャンバ230に供給するガスの温度である。
【0065】
【数2】
【0066】
流体制御装置1において、P,Vは既定値である。また、例えばTを20℃とした場合、吐出量を20℃換算で求めるものとする。差圧ΔPは、S109にて取得した充填後圧力P1と。S115にて取得した吐出後圧力P2との差である。よって、吐出量は、充填後圧力P1と吐出後圧力P2との差圧に応じて変動する。
【0067】
CPU21は、S109,S115にてメモリ22に一時的に記憶した充填後圧力P1と吐出後圧力P2を、上述した数式2に代入し、吐出量を求める。CPU21は、数式1のパルスショットの回数に、当該プロセスにおけるパルスショットの回数を代入し、数式2で求めた吐出量に掛け合わせることで、体積流量QAを算出する。
【0068】
それから、CPU21は、算出した体積流量QAと目標流量Qとの偏差を算出する(S119)。上位コントローラ500は、例えば、流量調整装置1に送信する流量制御開始指示に、実行対象となるプロセスの目標流量Qを付している。CPU21は、流量制御開始指示に付された目標流量Qと、S117にて算出した体積流量QAと、を比較し、体積流量QAと目標流量Qとの偏差を算出する。
【0069】
その後、CPU21は、PID演算により、次の充填時間t1newを算出する(S121)。すなわち、CPU21は、下記の数式3にて次の充填時間t1newを算出する。Kpは比例乗数である。Kiは積分乗数である。Kdは微分乗数である。e(t)は今回の偏差である。e(t-1)は前回の偏差である。
【0070】
【数3】
【0071】
タンク12は、第1遮断弁11の開閉動作により、タンク12にガスを充填する充填量が調整される。そのため、吐出時間t3と第2制定時間t4を一定とした場合、充填時間t1を変化させることで、第2遮断弁13から排出するガスの体積流量QAを調整できる。よって、次の充填時間t1newを算出することで、次のパルスショットの態様が現在のパルスショットの態様と変えられ、体積流量QAを目標流量Qにより近づけることが可能になる。
【0072】
S121にて次の充填時間t1newを算出したCPU21は、S117にて算出した体積流量QAと当該プロセスの目標流量Qとが同じか否かを判断する(S123)。CPU21は、同じでないと判断する場合(S123:NO)、流量制御終了指示を受け付けたか否かを判断する(S129)。CPU21は、通信IF24を用いて、上位コントローラ500から送信された流量制御終了指示を受信しない場合、流量制御終了指示を受け付けていないと判断する(S129:NO)。この場合、CPU21は、充填時間t1にS121にて算出した次の充填時間t1newを代入することにより、充填時間t1を変更する(S131)。その後、CPU21は、S105の処理に戻り、次のパルスショットを行う。
【0073】
CPU21は、S105~S131の処理を繰り返すことで、体積流量QAと目標流量Qとを同じにすると(S123:YES)、最適圧力Pxをメモリ22に記憶する(S125)。すなわち、CPU21は、体積流量QAを目標流量Qに調整したときのパルスショットで測定した充填後圧力P1を、最適圧力Pxとしてメモリ22に記憶する。つまり、当該パルスショットで測定した充填後圧力P1を最適圧力Pxとして記憶する。この場合において、例えば、既にメモリ22に最適圧力Pxが記憶されている場合には、CPU21は、充填後圧力P1を既存の最適圧力Pxに上書きする。また例えば、電源投入時にメモリ22の最適圧力Pxがブランクにされる場合には、充填後圧力P1を最適圧力Pxとして新規に記憶する。
【0074】
それから、CPU21は、最適充填時間txをメモリ22に記憶する(S127)。すなわち、CPU21は、体積流量QAを目標流量Qに調整したときのパルスショットで使用した充填時間t1を、最適充填時間txとしてメモリ22に記憶する。つまり、当該パルスショットで使用した充填時間t1を最適充填時間txとして記憶する。この場合に、例えば、既にメモリ22に最適充填時間txが記憶されている場合には、CPU21は、充填時間t1を既存の最適充填時間txに上書きする。また例えば、電源投入時にメモリ22の最適充填時間txがブランクにされる場合には、充填時間t1を最適充填時間txとして新規に記憶する。なお、S125、S127の処理は逆順でもよい。
【0075】
その後、CPU21は、流量制御終了指示を受け付けたか否かを判断する(S129)。CPU21は、通信IF24を用いて、上位コントローラ500から送信された流量制御終了指示を受信した場合、流量制御終了指示を受け付けたと判断し(S129:YES)、S101の処理に戻る。つまり、次の流量制御開始指示を受け付け、次回のプロセスを開始するまで待機する。
【0076】
CPU21は、最初のプロセスを実行した後、流量制御開始指示を受け付けたと判断した場合(S101:YES)、プロセス実行回数には2以上の自然数が設定されている。この場合、CPU21は、電源投入後、1回目のプロセスではないと判断し(S103:NO)、タンク12の圧力が最適圧力Pxより低いか否かを判断する(S135)。すなわち、CPU21は、圧力センサ14が計測する圧力を取得し、メモリ22に記憶されている最適圧力Pxと比較する。
【0077】
CPU21は、タンク12の圧力が最適圧力Pxより低いと判断する場合(S135:YES)、閉動作している第1遮断弁11と第2遮断弁13のうち、第1遮断弁11に開動作を行わせる(S137)。これにより、ガス源211から供給されるガスがタンク12に充填され始める。
【0078】
第1遮断弁11に開動作させたCPU21は、S135の処理に戻る。CPU21は、タンク12の圧力が最適圧力Pxより低い間、第1遮断弁11の開動作を維持する(S135:YES、S137)。これにより、タンク12にガスが充填され続け、タンク12の圧力が上昇する。
【0079】
CPU21は、圧力が最適圧力Px以上になり、タンク12の圧力が目標圧力Pxより低くないと判断する場合(S135:NO)、第1遮断弁11に閉動作を行わせる(S139)。これにより、タンク12はガスの出入りがない密閉空間となり、ガス源211の元圧等に関係なく、タンク12の圧力が最適圧力Pxに調整される。
【0080】
その後、CPU21は、S147~S161の処理を上述したS107~S121の処理を同様に行い、タンク12に充填したガスを第2遮断弁13から吐出する。これにより、タンク12は、最初のパルスショットを行う前に、体積流量QAを目標流量Qに調整したパルスショットを行った後と同じ圧力になる。
【0081】
CPU21は、S163~S169の処理をS123~S129と同様に行い、S141の処理に進む。なお、圧力制御時には、S163~S129の処理を行わず、S161の処理後、S141の処理に進んでもよい。
【0082】
タンク12の圧力を制御してS141に進んだCPU21は、最初のパルスショットであるか否かを判断する。S135~S139、S147~S169の処理を実行してタンク12の圧力制御した後に行うパルスショットは、当該プロセスにおける最初のパルスショットである。この場合(S141:YES)、CPU21は、メモリ22に記憶されている最適充填時間txを充填時間t1に代入する(S143)。そして、CPU21は、充填時間t1に従ってガスをタンク12に充填する。S145の処理は、S105と同様なので、説明を省略する。タンク12は、体積流量QAを目標流量Qに調整したときのパルスショットを行った直後の状態と同じである。そして、充填時間t1は、そのパルスショットで使用した充填時間と同じである。よって、タンク12には、体積流量QAを目標流量Qに調整するのに必要なガスが充填されている可能性が高い。
【0083】
充填を完了したCPU21は、S147~S169の処理を、上述したS107~S129と同様に行う。これにより、最初のパルスショットにてタンク12に充填したガスが第2遮断弁13から排出される。タンク12には、体積流量QAを目標流量Qに調整するのに必要なガスが充填されている可能性が高い。そして、吐出時間t3は一定である。よって、最初のパルスショットでは、体積流量QAを目標流量Qに調整できる可能性が高い。
【0084】
CPU21は、体積流量QAと目標流量Qが同じであれば(S163:YES)、当該パルスショットの充填後圧力P1を用いて最適圧力Pxを更新する(S165)。すなわち、2回目以降のプロセスを実行する場合、メモリ22には、最適圧力Pxが既に記憶されている。そこで、CPU21は、当該パルスショットで取得した充填後圧力P1を、メモリ22に記憶されている既存の最適圧力Pxに上書きする。
【0085】
また、CPU21は、当該パルスショットで使用した充填時間t1を用いて最適充填時間txを更新し(S167)、S169の処理に進む。すなわち、2回目以降のプロセスを実行する場合、メモリ22には、最適充填時間txが既に記憶されている。そこで、CPU21は、当該パルスショットで使用した充填時間t1を、メモリ22に記憶されている既存の最適充填時間txに上書きする。なお、S165とS167の処理は逆順でもよい。また、S165,S167の処理は、当該パルスショットで使用した充填時間t1と既存の最適充填時間txとが異なる場合のみ実行してもよい。
【0086】
CPU21は、体積流量QAと目標流量Qが同じでないと判断する場合(S163:NO)、S165,S167の処理を行わずに、S169の処理を行う。流量制御終了指示を受け付けていない場合(S169:NO)、CPU21は、S141の処理に戻り、次のパルスショットを行う。
【0087】
この場合に行うパルスショットは、2回目以降のパルスショットであって、最初のパルスショットではない(S141:NO)。そこで、CPU21は、充填時間t1にS161にて算出した次の充填時間t1newを代入してから(S171)、S145の処理に進む。CPU21は、S145~S169の処理を行い、ガスを第2遮断弁13から排出する。
【0088】
最初のパルスショットにて体積流量QAを目標流量Qに調整できなかったとしても、最初のパルスショットは、体積流量QAを目標流量Qに調整したときのパルスショットと同様の条件で行われている。そのため、最初のパルスショットでの体積流量QAは、目標流量Qに近似した値となり、次のパルスショットで体積流量QAを目標流量Qに一致させることができる可能性が高い。
【0089】
2回目以降のパルスショットでも、体積流量QAが目標流量Qと同じであれば、当該パルスショットで取得した充填後圧力P1を用いて最適圧力Pxを更新し、当該パルスショットで使用した充填時間t1で最適充填時間txを更新する(S165,S167)。よって、メモリ22の最適圧力Pxや最適充填時間txは、ガス源211の元圧の変化等を反映した値に、随時書き換えられる。
【0090】
CPU21は、流量制御終了指示を受け付けると(S169:YES)、S101の処理に戻る。そして、CPU21は、次のプロセスを行うための流量制御開始指示を受け付
けるのを待つ(S101:NO)。
【0091】
次のプロセスでは、前回のプロセスでメモリ22に記憶した最適圧力Pxを用いてS135~S169の処理を行い、最初のパルスショットを行う前にタンク12の圧力を、体積流量QAを目標流量Qに調整したパルスショットを行った後の状態にする。よって、次のプロセスでは、最初のパルスショットから体積流量QAを目標流量Qに調整できる可能性が高い。
【0092】
なお、S125、S165の処理は、「最適圧力記憶処理」の一例である。S127、S167の処理は「最適充填時間記憶処理」の一例である。S135~S139、S147~S161の処理は「圧力制御処理」の一例である。S141~S171の処理は「流量制御処理」の一例である。S143、S171の処理は「充填時間制御処理」の一例である。
【0093】
以上説明したように、本形態の流量調整装置1は、例えば、電源投入後、1回目のプロセスで、体積流量QAを目標流量Qに調整したときの充填後圧力P1を最適圧力Pxとして記憶する。そして、2回目以降のプロセスで、最初のパルスショットを行う前に、タンク12の圧力を最適圧力Pxに制御してから、第2遮断弁13に開閉動作を行わせる。これにより、タンク12が、体積流量QAを目標流量Qに制御したパルスショットを行った後の状態と同じになる。そのため、最初のパルスショットでは、ガス源の元圧等の変化に関係なく、体積流量を目標流量に調整したときと同様にタンク12にガスを充填でき、体積流量を目標流量に調整する可能性が高い。よって、本形態の流量調整装置1によれば、プロセスを開始してからガスの体積流量QAを目標流量Qに安定させるまでの応答時間が短くなり、応答性を改善できる。
【0094】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。チャンバ230では、ALD以外の方法でウエハに膜を成膜してもよい。また、流量調整装置1は、半導体製造装置に限らず、他の装置に適用してもよい。
【0095】
例えば、図4のS103の処理における判断基準は、電源投入後、1回目のプロセスでなくてもよい。つまり、電源投入後、1回目のプロセスで最適圧力記憶処理を行わなくてもよい。但し、上記形態のように、電源投入後、1回目のプロセスでS125の最適圧力記憶処理を実行することで、2回目以降の各プロセスで応答性を改善できる。また、上記形態のように、電源投入後、1回目のプロセスでS127の最適充填記憶処理を実行することで、2回目以降の各プロセスで応答性を改善できる。これにより、半導体製造装置の高スループット化に貢献することができる。
【0096】
例えば、図4のS165の処理を省略し、流量制御処理の実行中に最適圧力Pxを更新しなくてもよい。但し、上記形態のS165の処理を実行し、各プロセスで最適圧力Pxを更新することで、最適圧力Pxが外乱を反映した値になるので、最初のパルスショットで体積流量QAを目標流量Q、あるいは、目標流量Qに近似する値に調整できる可能性がより一層高くなる。特に、上記形態のように、パルスショット毎に最適圧力を更新することで、最適圧力Pxの最適化を促進できる。
【0097】
例えば、図4のS127の処理を省略し、最適充填時間txを記憶しなくてもよい。そして、S143の処理を省略し、最初のパルスショットで充電時間t1に最適充填時間txを使用しなくてもよい。但し、上記形態のように、S127、S143の処理を実行し、プロセス前の圧力制御に加え、各プロセスの最初のパルスショットにて第1遮断弁11を最適充填時間txに制御することで、最初のパルスショットから体積流量QAを目標流量Q、あるいは、目標流量Qに近似する値に調整する確率がより一層高くなり、応答性が改善される。
【0098】
図4のS167の処理を省略し、流量制御処理の実行中に最適充填時間txを更新しなくてもよい。但し、上記形態のように、S167の処理を実行し、各プロセスで最適充填時間txを更新することで、最適充填時間txが外乱を反映した値になるので、最初のパルスショットで体積流量QAを目標流量Q、あるいは、目標流量Qに近似する値に調整できる確率がより一層高くなる。
【0099】
例えば、図4のS127の処理を省略し、プロセスと別のテストモードで、最適充填時間txを記憶してもよい。但し、上記形態のように、S127の処理をS125の処理を行うプロセス、つまり、電源投入後、1回目のプロセスで実行し、最適圧力Pxと最適充填時間txとを同じプロセスで記憶することにより、最適充填時間txをプロセスと別のテストモードで記憶する必要がなく、ガスや時間を節約できる。
【0100】
図4のS107、S113、S147、S153の判断処理は、時間に限らず、圧力センサ14が計測する圧力の変動率に基づいて判断してもよい。但し、上記形態のように第1制定時間t2や第2制定時間t4を判断基準にすることにより、パルスショットを高速かつ高頻度で行う場合でも充填後圧力P1や吐出後圧力P2を取得するタイミングを管理しやすい。
【0101】
プロセス実行回数は、上位コントローラ500が管理し、流量制御開始指示にプロセス実行回数を付して、流量調整装置1に提供してもよい。この場合、流量調整装置1は、上位コントローラ500から送信されたプロセス実行回数に基づいて、図4のS103の処理にて、第1回目のプロセスか否かを判断すればよい。
【0102】
なお、上記形態で説明した各フローチャートの処理は、矛盾のない範囲で処理の順番を変更してもよい。なお、制御プログラム31を記憶する記憶媒体も、新規で有用な発明である。
【0103】
本件では吐出時間t3を一定とし、充填時間t1を調整することによって、パルスショットを繰り返して行う態様を変え、体積流量を制御している。これに対して、充填時間t1を一定とし、吐出時間t3を調整することによって、パルスショットを繰り返して行う態様を変え、体積流量を制御してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 パルスショット式流量調整装置
11 第1遮断弁
12 タンク
13 第2遮断弁
14 圧力センサ
15 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6