(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】自律走行システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220812BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
G05D1/02 N
A01B69/00 303A
(21)【出願番号】P 2020089113
(22)【出願日】2020-05-21
(62)【分割の表示】P 2018217141の分割
【原出願日】2016-03-22
【審査請求日】2020-05-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】小倉 康平
(72)【発明者】
【氏名】荒木 信之
(72)【発明者】
【氏名】北野 恵大
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/119265(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006019188(DE,A1)
【文献】実開平07-039307(JP,U)
【文献】国際公開第2016/002096(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/12,
A01B69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機が装着される走行機体の位置情報を検出可能な位置検出部と、
前記走行機体の自律走行を制御可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記作業機により作業される複数の直線路と、前記直線路を繋ぐ旋回路と、を含む作業経路において前記走行機体を自律走行させることが可能であり、
前記走行機体が前記作業経路から所定範囲逸脱した場合に前記走行機体の走行を停止させることが可能であり、
前記作業経路からの逸脱により前記走行機体を停止させた場合、前記複数の直線路
の上流側の端点において、前記走行機体の走行軌跡に基づいて記憶された複数の走行開始位置
、及び
、前記走行機体が逸脱した位置より、何れかが選択されることで前記走行機体の自律走行を再開させることが可能であることを特徴とする自律走行システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自律走行システムであって、
前記走行機体が逸脱した位置は、前記直線路における逸脱判定幅を前記走行機体が超過した地点から前記直線路に対して引いた垂線と前記走行機体が逸脱した前記直線路との交点であることを特徴とする自律走行システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自律走行システムであって、
前記制御部は、前記旋回路からの逸脱により前記走行機体を停止させた場合、前記旋回路の下流端から始まる前記直線路における走行開始位置より前記走行機体の自律走行を再開させることができることを特徴とする自律走行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両を自律的に走行させる自律走行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農業用作業車両を遠隔操作しながら自律的に走行させる自律走行システムが知られている。特許文献1は、この種の自律走行システムに備えられる農業用作業車両(農業用作業車)を開示する。この特許文献1の農業用作業車両は、測位システム(GPS)により自らの位置情報を取得して自律的に走行及び作業を行うことが可能に構成されている。そして、農業用作業車両が制御装置(制御手段)からの指令信号に基づく挙動と異なる挙動を所定時間以上継続したときには、自律走行を停止する構成となっている。この構成によれば、例えば農業用作業車両がスリップする等して作業経路(自律走行経路)から大きく逸脱した挙動を示した場合(トレース異常挙動を示した場合)に、農業用作業車両を自動的に停止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の構成では、農業用作業車両がスリップする等して作業経路から大きく逸脱した挙動を示して自動的に停止された後、自律的な走行及び作業を再開する場合には、作業経路の開始地点(作業経路の最も上流の地点)まで農業用作業車両を移動させて、改めて走行及び作業を開始するしかなかった。そのため、作業を一からやり直す(重複した作業を行う)こととなり、作業が非効率的になってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、自律走行可能な作業車両が何らかの事情により経路から逸脱して停止した後、自律走行を再開する場合に、適切な位置から自律走行を再開させることにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の自律走行システムが提供される。即ち、この自律走行システムは、位置検出部と、制御部と、を備える。前記位置検出部は、作業機が装着される走行機体の位置情報を検出可能である。前記制御部は、前記走行機体の自律走行を制御可能である。前記制御部は、前記作業機により作業される複数の直線路と、前記直線路を繋ぐ旋回路と、を含む作業経路において前記走行機体を自律走行させることが可能である。前記制御部は、前記走行機体が前記作業経路から所定範囲逸脱した場合に前記走行機体の走行を停止させることが可能である。前記制御部は、前記作業経路からの逸脱により前記走行機体を停止させた場合、前記複数の直線路の上流側の端点において、前記走行機体の走行軌跡に基づいて記憶された複数の走行開始位置、及び、前記走行機体が逸脱した位置より、何れかが選択されることで前記走行機体の自律走行を再開させることが可能である。
【0008】
これにより、ユーザが複数の候補の中から自律走行を再開させる地点を選ぶことができるので、状況に応じて柔軟な対応をすることができる。
【0009】
前記の自律走行システムにおいて、前記走行機体が逸脱した位置は、前記直線路における逸脱判定幅を前記走行機体が超過した地点から前記直線路に対して引いた垂線と前記走行機体が逸脱した前記直線路との交点であることが好ましい。
【0010】
これにより、農作業の重複が少ない位置から走行を再開することができる。
【0011】
前記の自律走行システムにおいて、前記制御部は、前記旋回路からの逸脱により前記走行機体を停止させた場合、前記旋回路の下流端から始まる前記直線路における走行開始位置より前記走行機体の自律走行を再開させることができることが好ましい。
【0012】
これにより、走行機体が旋回路から逸脱した場合、作業の重複がなく、かつ、作業/非作業の境界となる位置から走行機体の自律走行を再開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自律走行システムに備えられるロボットトラクタの全体的な構成を示す側面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る自律走行システムに備えられる遠隔操作装置を示す図。
【
図4】ロボットトラクタ及び遠隔操作装置の制御系の主要な構成を示すブロック図。
【
図5】遠隔操作装置のディスプレイにおける監視画面の表示例を示す図。
【
図6】作業経路に設定される逸脱判定幅及びマージン幅を説明する図。
【
図7】ロボットトラクタが作業経路から逸脱してしまった場合に、農作業を再開する作業開始地点の候補を提示するために行われる処理の前半部を示すフローチャート。
【
図8】農作業を再開する作業開始地点の候補を提示するために行われる処理の後半部を示すフローチャート。
【
図9】ロボットトラクタが直線状又は折れ線状の農作業経路から逸脱したときに、農作業を再開する作業開始地点の候補を複数提示するために行われる処理を説明する図。
【
図10】ロボットトラクタが旋回路から逸脱したときに、農作業を再開する作業開始地点の候補を複数提示するために行われる処理を説明する図。
【
図11】逸脱の原因がスリップであった場合に、監視画面の走行状態表示部に表示される内容の例を示す図。
【
図12】農作業を再開する作業開始地点の候補の他の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自律走行・自律作業システム99に備えられるロボットトラクタ1の全体的な構成を示す側面図である。
図2は、ロボットトラクタ1の平面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る自律走行・自律作業システム99に備えられる遠隔操作装置46を示す図である。
図4は、ロボットトラクタ1及び遠隔操作装置46の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施の一形態に係る自律走行・自律作業システム(自律走行システム)99は、トラクタ(作業車両)1と、当該トラクタ1の制御部4と無線通信することによりユーザがトラクタ1を遠隔操作するための遠隔操作装置46と、を備えて構成される。
【0016】
この自律走行・自律作業システム99は、圃場内で自律走行及び自律作業を行う1台又は複数台の作業車両により、圃場内における農作業の全部又は一部を行わせるものである。本実施形態では作業車両としてトラクタ1が用いられているが、これに代えて、例えば田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等を用いることができる。また、乗用型の作業車両を用いることに代えて、歩行型の作業車両を用いることもできる。
【0017】
本明細書において自律走行とは、
図4に示すようにトラクタ1が備える制御部4(具体的には、ECU)によって、当該トラクタ1が走行のために備える構成が制御され、予め定められた経路に沿ってトラクタ1が走行することを意味する。また、本明細書において自律作業とは、トラクタ1が作業のために備える構成が前記制御部4によって制御され、予め定められた経路に沿ってトラクタ1が作業を行うことを意味する。
【0018】
以下の説明では、自律走行及び自律作業を行うトラクタを「無人トラクタ」又は「ロボットトラクタ」と称し、オペレータが直接操作することにより走行して作業を行うトラクタを「有人トラクタ」と称することがある。圃場内において農作業の一部が無人トラクタにより行われる場合、残りの農作業は有人トラクタにより行われる。単一の圃場において無人トラクタ及び有人トラクタにより農作業を分担して行うことを、農作業の協調作業、追従作業、随伴作業等と称することがある。なお、上記の協調作業には、ある圃場において農作業を無人トラクタが行い、それと同時に別の圃場において農作業を有人トラクタが行うことが含まれても良い。
【0019】
本実施形態において、無人トラクタと有人トラクタの違いは、オペレータの直接操作の有無であり、トラクタとしての構成は無人と有人とで共通である。即ち、無人トラクタであっても、オペレータが搭乗(乗車)して直接操作することができる(言い換えれば、有人トラクタとして使用することができる)。また、有人トラクタであっても、オペレータが降車して自律走行及び自律作業を行わせることができる(言い換えれば、無人トラクタとして使用することができる)。
【0020】
初めに、自律走行・自律作業システム99に備えられる農業用作業車両の実施の一形態であるロボットトラクタ(以下、単に「トラクタ」と称する場合がある。)1について、主として
図1及び
図2を参照して説明する。
【0021】
トラクタ1は、圃場(走行領域)内を自律走行することが可能な走行機体(車体部)2を備える。走行機体2には、
図1及び
図2に示す作業機3が着脱可能に取り付けられている。この作業機3としては、例えば、耕耘機、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機があり、これらの中から必要に応じて所望の作業機3を選択して走行機体2に装着することができる。走行機体2は、装着された作業機3の高さ及び姿勢を変更可能に構成されている。
【0022】
トラクタ1の構成について、
図1及び
図2を参照してより詳細に説明する。トラクタ1の走行機体2は、
図1に示すように、その前部が左右1対の前輪(車輪)7,7で支持され、その後部が左右1対の後輪8,8で支持されている。
【0023】
走行機体2の前部にはボンネット9が配置されている。このボンネット9内には、トラクタ1の駆動源であるエンジン10及び燃料タンク(図略)が収容されている。このエンジン10は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成しても良い。また、駆動源としては、エンジンに加えて、又はこれに代えて、電気モータを使用しても良い。
【0024】
ボンネット9の後方には、ユーザが搭乗するためのキャビン11が配置されている。このキャビン11の内部には、ユーザが操向操作するためのステアリングハンドル12と、ユーザが座ることが可能な座席13と、各種の操作を行うための様々な操作装置と、が主として設けられている。ただし、農業用作業車両は、キャビン11付きのものに限るものではなく、キャビン11を備えないものであってもよい。
【0025】
上記の操作装置としては、
図2に示すモニタ装置14、スロットルレバー15、PTOスイッチ17、PTO変速レバー18、及び複数の油圧変速レバー16等を例として挙げることができる。これらの操作装置は、座席13の近傍、又はステアリングハンドル12の近傍に配置されている。モニタ装置14は、トラクタ1の様々な情報を表示可能に構成されている。スロットルレバー15は、エンジン10の回転速度を設定するためのものである。PTOスイッチ17は、トランスミッション22の後端から突出した図略のPTO軸(動力取出軸)への動力の伝達/遮断を切換操作するためのものである。即ち、PTOスイッチがON状態であるときPTO軸に動力が伝達されてPTO軸が回転し、作業機3が駆動される一方、PTOスイッチがOFF状態であるときPTO軸への動力が遮断されてPTO軸が回転せず、作業機3が停止される。PTO変速レバー18は、作業機3に入力される動力の変更操作を行うものであり、具体的にはPTO軸の回転速度の変速操作を行うものである。油圧変速レバー16は、図略の油圧外部取出バルブを切換操作することができる。
【0026】
また、座席13の右側に配置されたアームレスト19の前部には、主変速レバー27、作業機昇降スイッチ28等の操作装置が設けられている。
【0027】
主変速レバー27はトラクタ1の走行速度を変更するためのものであり、主変速レバー27を前方に倒すと走行速度が速くなり、後方に倒すと走行速度が遅くなるように構成されている。この主変速レバー27は無段階の操作が可能に構成されており、トラクタ1の走行速度は主変速レバー27の操作量に応じて無段階に変速される。
【0028】
作業機昇降スイッチ28は、主変速レバー27に設けられた上下操作可能な電気スイッチとして構成されており、作業機3を上昇及び下降させるときに使用される。これにより、作業機3を下降させて耕耘爪25による耕耘作業を開始させたり、上昇させて耕耘作業を終了させたりすることができる。
【0029】
図1に示すように、走行機体2の下部には、トラクタ1のシャーシ20が設けられている。当該シャーシ20は、機体フレーム21、トランスミッション22、フロントアクスル23、及びリアアクスル24等から構成されている。
【0030】
機体フレーム21は、トラクタ1の前部における支持部材であって、直接、又は防振部材等を介してエンジン10を支持している。トランスミッション22は、エンジン10からの動力を変化させてフロントアクスル23及びリアアクスル24に伝達する。フロントアクスル23は、トランスミッション22から入力された動力を前輪7に伝達するように構成されている。リアアクスル24は、トランスミッション22から入力された動力を後輪8に伝達するように構成されている。
【0031】
図3に示すように、トラクタ1は、走行機体2の動作(前進、後進、停止及び旋回等)並びに作業機3の動作(昇降、駆動及び停止等)を制御するための制御部4を備える。制御部4には、ガバナ装置41、変速装置42、及び昇降アクチュエータ44等がそれぞれ電気的に接続されている。
【0032】
ガバナ装置41は、エンジン10の回転数を調整するものである。ガバナ装置41を制御部4により制御してラック位置を適宜に調整することにより、エンジン10の回転数を所望の回転数にすることができる。
【0033】
変速装置42は、具体的には例えば可動斜板式の油圧式無段変速装置であり、トランスミッション22に備えられている。変速装置42を制御部4により制御して図略の前記斜板の角度を適宜に調整することにより、トランスミッション22の変速比を所望の変速比にすることができる。
【0034】
昇降アクチュエータ44は、例えば作業機3を走行機体2に連結している3点リンク機構を動作させることにより、作業機3を退避位置(農作業を行わない位置)又は作業位置(農作業を行う位置)の何れかに上げ下げするものである。なお、本実施形態において作業機3はロータリ耕耘装置として構成されているので、作業機3による農作業は耕耘作業を意味する。昇降アクチュエータ44を制御部4により制御して作業機3を適宜に昇降動作させることにより、所望の高さで作業機3により農作業を行うことができる。
【0035】
上述のような制御部4を備えるトラクタ1は、ユーザがキャビン11内に搭乗して各種操作をすることにより、当該制御部4によりトラクタ1の各部(走行機体2、作業機3等)を制御して、圃場内を走行しながら農作業を行うことができるように構成されている。加えて、本実施形態のトラクタ1は、ユーザがトラクタ1に搭乗しなくても、遠隔操作装置46により出力される所定の制御信号に基づいて自律走行及び自律作業させることが可能となっている。
【0036】
具体的には、
図4等に示すように、トラクタ1は、自律走行・自律作業を可能とするための各種の構成を備えている。例えば、トラクタ1は、測位システムに基づいて自ら(走行機体2)の位置情報を取得するために必要な測位用アンテナ6等の構成を備えている。このような構成により、トラクタ1は、測位システムに基づいて自らの位置情報を取得して、圃場上を自律走行することが可能となっている。
【0037】
次に、自律走行を可能とするためにトラクタ1が備える構成について詳細に説明する。具体的には、本実施形態のトラクタ1は、
図4等に示すように、操舵アクチュエータ43、測位用アンテナ6、無線通信用アンテナ48、前方カメラ51、後方カメラ52、車速センサ53、及び記憶部55等を備える。また、これらに加えて、トラクタ1には、走行機体2の姿勢(ロール角、ピッチ角、ヨー角)を特定することが可能な慣性計測ユニット(IMU)が備えられていてもよい。
【0038】
図4に示す操舵アクチュエータ43は、例えば、ステアリングハンドル12の回転軸(ステアリングシャフト)の中途部に設けられ、ステアリングハンドル12の回転角度(操舵角)を調整するものである。トラクタ1が無人トラクタとして予め定められた経路を走行する場合、制御部4は、当該経路に沿ってトラクタ1が走行されるようにステアリングハンドル12の適切な回動角度を算出し、算出した回動角度でステアリングハンドル12が回動されるように操舵アクチュエータ43を制御する。
【0039】
測位用アンテナ6は、例えば衛星測位システム(GNSS)等の測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信するものである。
図1に示すように、測位用アンテナ6は、トラクタ1のキャビン11のルーフ92の上面に配置されている。測位用アンテナ6で受信された測位信号は、
図3に示す位置検出部としての位置情報算出部49に入力される。位置情報算出部49は、トラクタ1の走行機体2(厳密には、測位用アンテナ6)の位置情報を、例えば緯度・経度情報として算出する。当該位置情報算出部49で検出された位置情報は、制御部4に入力されて、自律走行に利用される。
【0040】
なお、本実施形態ではGNSS-RTK法を利用した高精度の衛星測位システムが用いられているが、これに限られるものではなく、高精度の位置座標が得られる限りにおいて他の測位システムを用いても良い。例えば、相対測位方式(DGPS)、又は静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)を使用することが考えられる。
【0041】
無線通信用アンテナ48は、ユーザが操作する遠隔操作装置46からの信号を受信したり、遠隔操作装置46への信号を送信したりするものである。
図1に示すように、無線通信用アンテナ48は、トラクタ1のキャビン11が備えるルーフ92の上面に配置されている。無線通信用アンテナ48で受信した遠隔操作装置46からの信号は、
図4に示す無線通信部40で信号処理された後、制御部4に入力される。また、制御部4等から遠隔操作装置46に送信する信号は、無線通信部40で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から送信されて遠隔操作装置46で受信される。
【0042】
前方カメラ51はトラクタ1の前方を撮影するものである。後方カメラ52はトラクタ1の後方を撮影するものである。
図1及び
図2には示していないが、前方カメラ51及び後方カメラ52はトラクタ1のルーフ92に取り付けられている。前方カメラ51及び後方カメラ52で撮影された動画データは、無線通信部40により、無線通信用アンテナ48から遠隔操作装置46に送信する。動画データを受信した遠隔操作装置46は、その内容をディスプレイ37に表示する。
【0043】
車速センサ53は、トラクタ1の車速を検出するものであり、例えば前輪7,7の間の車軸に設けられる。車速センサ53で得られた検出結果のデータは、無線通信部40で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から送信されて遠隔操作装置46で受信されて、その内容がディスプレイ37に表示される。なお、トラクタ1には、車速センサ53以外にも、当該トラクタ1の状態を検出(監視)するための種々のセンサが設けられているが、詳細は省略する。
【0044】
記憶部55は、トラクタ1を自律走行させる経路である作業経路(パス)を記憶したり、自律走行中のトラクタ1(厳密には、測位用アンテナ6)の位置の推移(走行軌跡)を記憶したりするメモリである。その他にも、記憶部55は、トラクタ1を自律走行・自律作業させるために必要な様々な情報を記憶している。
【0045】
遠隔操作装置46は、
図3に示すように、タッチパネル39を備えるタブレット型のパーソナルコンピュータとして構成される。ユーザは、遠隔操作装置46のディスプレイ37に表示された情報(例えば、前方カメラ51や、後方カメラ52や、車速センサ53等からの情報)を参照して確認することができる。また、ユーザは、上記のタッチパネル39、又はディスプレイ37の近傍に配置されたハードウェアキー38等を操作して、トラクタ1の制御部4に、トラクタ1を制御するための制御信号(例えば、緊急停止信号等)を送信することができる。なお、遠隔操作装置46はタブレット型のパーソナルコンピュータに限るものではなく、これに代えて、例えばノート型のパーソナルコンピュータで構成することも可能である。あるいは、前述の協調作業を行うために有人のトラクタを無人のトラクタ1に付随して走行させる場合、有人側のトラクタに搭載されるモニタ装置を遠隔操作装置とすることもできる。
【0046】
このように構成されたトラクタ1は、遠隔操作装置46を用いるユーザの指示に基づいて、圃場上の経路に沿って走行しつつ、作業機3による農作業を行うことができる。
【0047】
具体的には、ユーザは、遠隔操作装置46を用いて各種設定を行うことにより、農作業を行う直線状又は折れ線状の農作業経路(直線路、走行経路)と、当該農作業経路の端同士を繋ぐ円弧状の旋回路(トラクタ1が旋回を行う旋回路)と、を交互に繋いだ一連の経路としての作業経路(パス)を生成することができる。そして、このようにして生成した作業経路の情報を、トラクタ1の制御部4に電気的に接続された記憶部55に入力(転送)して所定の操作をすることにより、当該制御部4によりトラクタ1を制御して、当該トラクタ1を作業経路に沿って自律走行させながら作業機3により自律作業させることができる。
【0048】
以下では、主として
図3から
図5までを参照して、本発明の実施の一形態に係る自律走行・自律作業システム99に備えられる遠隔操作装置46の構成についてより詳細に説明する。
図5は、遠隔操作装置46のディスプレイ37における監視画面100の表示例を示す図である。
【0049】
図3及び
図4に示すように、本実施形態の遠隔操作装置46は、ディスプレイ37、ハードウェアキー38、及びタッチパネル39の他、制御系の主要な構成として、表示制御部31、記憶部32、圃場取得部33、作業領域取得部34、及び作業経路取得部35等を備える。
【0050】
具体的には、遠隔操作装置46は上述のとおりコンピュータとして構成されており、CPU、ROM、RAM等を備える。また、前記ROMには、トラクタ1に自律走行を行わせるための適宜のプログラムが記憶されている。このソフトウェアとハードウェアの協働により、遠隔操作装置46を、表示制御部31、記憶部32、圃場取得部33、作業領域取得部34、作業経路取得部35、作業開始地点候補提示部36、及びメッセージ通知部60等として動作させることができる。
【0051】
表示制御部31は、ディスプレイ37に表示する表示用データを作成し、表示内容を適宜に制御する。例えば、表示制御部31は、トラクタ1を作業経路に沿って自律走行させている間は、
図5に示す監視画面100をディスプレイ37に表示させる。
【0052】
記憶部32は、ユーザが遠隔操作装置46のタッチパネル39を操作することにより入力したトラクタ1に関する情報や圃場に関する情報等を記憶するとともに、作成された作業経路の情報等を記憶するメモリである。
【0053】
圃場取得部33は、トラクタ1が自律走行を行う対象となる圃場(走行領域)の位置及び形状を取得する。圃場の位置及び形状は、例えばユーザがトラクタ1に搭乗して圃場の外周に沿って1回り周回するように運転し、そのときの測位用アンテナ6の位置情報の推移を記録することで、取得することができる。圃場取得部33が取得した圃場の位置及び形状は、圃場情報(走行領域情報)として記憶部32に記憶される。
【0054】
作業領域取得部34は、圃場内に定められる作業領域の位置及び形状を取得する。作業領域とは、圃場から非作業領域(例えば、枕地及び非耕作地)を除いた領域であって、作業機3で作業を実際に行う対象となっている領域を意味する。前述の作業経路は、作業領域に配置される直線状の農作業経路と、非作業領域に配置される旋回路と、により構成される。作業領域の位置及び形状は、例えば、圃場取得部33で取得した圃場の位置及び形状をディスプレイ37にグラフィカルに表示させた状態で、ユーザが圃場内の複数の点を指定した場合に、指定した点同士を結ぶ線分が交わらないようにいわゆる閉路グラフにより特定した多角形として取得することができる。作業領域取得部34が取得した作業領域の位置及び形状は、記憶部32に記憶される。
【0055】
作業経路取得部35は、圃場内においてトラクタ1の自律走行を行う作業経路を取得する。上述したとおり、この作業経路には、直線状又は折れ線状の農作業経路(直線路)と、円弧状の旋回路と、が含まれる。作業経路の作成に必要な情報をユーザがタッチパネル39等により入力すると、作業経路取得部35は、その情報に基づいて自動的に作業経路を作成する。この作業経路は、直線状の農作業経路が作業領域に含まれ、旋回路が非作業領域に含まれるように生成される。作業経路取得部35が作成した作業経路は、記憶部32に記憶される。
【0056】
ユーザは、遠隔操作装置46を適宜操作して、作業経路取得部35で作成された作業経路の情報をトラクタ1の記憶部55に入力(転送)する。その後、ユーザはトラクタ1に搭乗して運転することで、トラクタ1を作業経路の開始地点に配置する。続いて、ユーザがトラクタ1から降車して遠隔操作装置46を操作し、自律走行及び自律作業の開始を指示する。これにより、トラクタ1が当該作業経路に沿って走行するように、制御部4がトラクタ1の走行及び農作業を制御する。
【0057】
自律走行及び自律作業の開始に伴って、ディスプレイ37の表示画面は、
図5に示す監視画面100に切り換わる。
【0058】
監視画面100の左部には、前方カメラ51から送信されてきたデータを動画データとして表示する前方カメラ表示部101が配置される。監視画面100の左部の、前方カメラ表示部101の下方には、後方カメラ52から送信されてきたデータを動画データとして表示する後方カメラ表示部102が配置される。
【0059】
監視画面100の右部には、トラクタ1の作業経路及び現在位置等を図形等で(グラフィカルに)示す走行状態表示部103が配置される。走行状態表示部103の表示内容としては、例えば
図5に示すように、地図データに、圃場の形状と、作業領域の形状と、を重ね合わせて表示し、更にトラクタ1の走行軌跡を矢印やハッチング等で示したものとすることができる。
【0060】
前方カメラ表示部101の上方には、トラクタ1の現在の車速を表示する車速表示部106が備えられる。車速表示部106には、車速センサ53から送信されてきたデータに基づいて取得された、トラクタ1の現在の車速が表示される。
【0061】
次に、トラクタ1の自律走行に関する制御について、
図4及び
図6等を参照しながら説明する。
図6は、作業経路に設定される逸脱判定幅JW及びマージン幅MWを説明する図である。
【0062】
自律走行・自律作業システム99においては、トラクタ1を自律走行させている間、当該トラクタ1が作業経路から逸脱したか否かを常に監視する構成となっている。そして、トラクタ1が例えばスリップや操舵アクチュエータ43の不具合等の何らかの事情により作業経路から逸脱した場合、制御部4は、トラクタ1(走行機体2)の走行を自動的に停止させる。
図6は、作業経路の一部である農作業経路P1からトラクタ1が逸脱したために停止した様子を示している。
【0063】
更に、自律走行・自律作業システム99においては、このようにトラクタ1が作業経路から逸脱することにより自動的に停止された後、自律走行及び自律作業を再開する場合に、その作業開始地点(言い換えれば、走行再開位置)をユーザに提示できる構成となっている。また、トラクタ1が作業経路から逸脱したときに当該トラクタ1のスリップが検出された場合は、その旨をユーザに知らせて対応を促すことができる構成となっている。
【0064】
本実施形態の自律走行・自律作業システム99は、上記の機能を実現するための特徴的な構成として、
図4に示すように、逸脱判定部54と、作業開始地点候補提示部36と、切れ角センサ(切れ角検出部)56と、スリップ判定部57と、メッセージ通知部60と、を主として備えている。逸脱判定部54、切れ角センサ56及びスリップ判定部57はトラクタ1側に備えられる一方、作業開始地点候補提示部36及びメッセージ通知部60は遠隔操作装置46側に備えられている。
【0065】
逸脱判定部54は、トラクタ1(走行機体2、厳密には測位用アンテナ6)の位置が作業経路から逸脱しているか否かを、位置情報算出部49から得られた位置情報に基づいて判定する。本実施形態では、逸脱判定部54は、線状の作業経路に対して予め定められた所定の逸脱判定幅(自律走行継続範囲)JWからトラクタ1の位置が外に出た場合に、トラクタ1が作業経路から逸脱したと判定する。作業経路の一部である農作業経路P1に設定された逸脱判定幅JWの例が
図6に示され、この逸脱判定幅JWは、農作業経路P1を中心として例えば左にJAセンチメートル、右にJAセンチメートルの幅とすることができる。トラクタ1には走行慣性が作用するので、トラクタ1が逸脱判定幅JWから外れた地点T2は、その後にトラクタ1が停止した地点T3とは原則として一致しない。制御部4は、トラクタ1が逸脱判定幅JWから外れ、トラクタ1を停止した場合、上記地点T3の位置座標を逸脱停止地点として記憶部55に記憶させる。
【0066】
なお、逸脱判定部54は、トラクタ1の位置が、上記の逸脱判定幅JWから外れているか否かを監視すると同時に、それより狭い幅となるように予め定められたマージン幅(再開基準範囲)MWから外れているか否かについても監視する。マージン幅MWの例が
図6に示され、このマージン幅MWは、例えば、作業経路(農作業経路P1)を中心として左にMAセンチメートル、右にMAセンチメートルの幅とすることができる(ただし、MA<JA)。トラクタ1の位置がマージン幅MWから外に出た場合でも、逸脱判定幅JWから外に出ていない限りは、逸脱判定部54は、トラクタ1が作業経路から逸脱したとは判定しない。ただし、マージン幅MWから外に出た時点でのトラクタ1の位置は、トラクタ1の走行軌跡にある程度のズレが生じた点として記憶部55に記憶される。以下の説明では、トラクタ1の位置がマージン幅MWの外にはみ出した地点(
図6の地点T1、再開基準位置)を、マージン超過地点と呼ぶことがある。
【0067】
作業開始地点候補提示部36は、トラクタ1が作業経路から逸脱したと逸脱判定部54が判定した場合に、農作業を再開する作業開始地点の候補を提示する。作業開始地点の候補としては、上記のマージン超過地点を基準として算出した地点、及び、作業経路上の他の地点が含まれる。
【0068】
切れ角センサ56は、前輪7,7の切れ角を検出するセンサである。本実施形態において、切れ角センサ56は前輪7,7に設けられた図示しないキングピンに備えられており、この切れ角センサ56は、制御部4に電気的に接続されている。ただし、これに代えて、切れ角センサ56をステアリングハンドル12に備える構成としてもよい。切れ角センサ56の検出結果は、スリップ判定部57に入力される。
【0069】
スリップ判定部57は、トラクタ1の走行機体2にスリップが発生しているか否かを判定する。具体的には、スリップ判定部57は、切れ角センサ56の検出結果と、トラクタ1の位置の推移と、を記憶部55から読み出して、前輪7,7の切れ角に基づく方向と、トラクタ1が移動した方向と、を比較することにより、スリップの発生の有無を判定することができる。
【0070】
メッセージ通知部60は、トラクタ1が作業経路から逸脱したと逸脱判定部54が判定した場合であって、スリップ判定部57によってトラクタ1にスリップが生じていたと判定されたときは、その旨をディスプレイ37に表示することでユーザに報知する。
【0071】
次に、トラクタ1の自律走行中に何らかの事情により作業経路から逸脱した場合に、作業開始地点候補提示部36、表示制御部31、スリップ判定部57、及びメッセージ通知部60等により行われる処理について、
図7から
図11までを参照して説明する。
図7は、トラクタ1が作業経路から逸脱した場合に、農作業を再開する作業開始地点の候補を提示するために行われる処理の前半部を示すフローチャートである。
図8は、上記の処理の後半部を示すフローチャートである。
図9は、トラクタ1が直線状又は折れ線状の農作業経路から逸脱したときに、農作業を再開する作業開始地点の候補を複数提示するために行われる処理を説明する図である。
図10は、トラクタ1が旋回路から逸脱したときに、農作業を再開する作業開始地点の候補を複数提示するために行われる処理を説明する図である。
図11は、逸脱時にスリップが検出された場合に、監視画面100の走行状態表示部103に表示される内容の例を示す図である。
【0072】
トラクタ1の自律走行時において、逸脱判定部54は、位置情報算出部49により得られた測位用アンテナ6の位置を所定の時間間隔で反復して取得し、測位用アンテナ6の位置が上記の逸脱判定幅JWからはみ出していないかを監視する。トラクタ1が作業経路Pから逸脱した(即ち、測位用アンテナ6の位置が上記の逸脱判定幅JWから外れた)と逸脱判定部54により判定された場合、トラクタ1の制御部4は、直ちにトラクタ1を停止させるように制御する。
【0073】
トラクタ1が逸脱判定幅JWから外れた場合は、その前の段階で、マージン幅MWからも外れているはずである。トラクタ1(厳密に言えば、測位用アンテナ6)の位置がマージン幅MWから外れたと逸脱判定部54が判定した時点で、トラクタ1の制御部4は、当該時点での測位用アンテナ6の位置を示す情報を取得し、上記のマージン超過地点として記憶部55に記憶しておく。
【0074】
また、トラクタ1の作業経路Pからの逸脱が逸脱判定部54により検出されると、スリップ判定部57は、トラクタ1が作業経路Pから逸脱した時にスリップが発生していたか否かを判定する。具体的には、スリップ判定部57は、トラクタ1が逸脱したときに当該トラクタ1が移動した方向(逸脱した方向)を記憶部55から読み出すとともに、トラクタ1の逸脱時の切れ角方向を、切れ角センサ56の検出結果を記憶部55から読み出すことにより取得する。そして、スリップ判定部57は、トラクタ1が逸脱した方向と切れ角に基づく方向との間に所定以上の乖離があった場合、スリップが発生していたと判定する。
【0075】
トラクタ1の停止後、制御部4は直ちに、トラクタ1を強制的に停止させた旨の情報である強制停止情報を、無線通信部40を用いて遠隔操作装置46側に送信する。このときに制御部4から送信される情報には、当該強制停止情報を一意に識別するために制御部4によって付与された識別情報と、上記逸脱停止地点の位置座標と、上記のマージン超過地点の位置情報と、スリップ判定部57の判定結果と、が含まれる。なお、以下では、上記の識別情報を「強制停止ID」と呼ぶことがある。
【0076】
更に、制御部4は、トラクタ1を強制的に停止させた旨を示すフラグ(以下、「強制停止フラグ」と称することがある。)を記憶部55に設定する。フラグの形式は任意であるが、本実施形態では、「強制停止フラグ」は、初期値として「0」が設定され、トラクタ1を強制的に停止させた場合に「1」が設定されるものとする。制御部4は、記憶部55に強制停止フラグとして「1」を設定する場合、遠隔操作装置46に今回送信した強制停止情報の識別情報(強制停止ID)を記憶部55に更に記憶させる。これにより、強制停止フラグと強制停止IDとを関連付けることができる。
【0077】
遠隔操作装置46がトラクタ1から上記の強制停止情報を受信すると、強制停止IDが記憶部32に記憶されるとともに、
図7の処理が開始される。作業開始地点候補提示部36は、初めに、作業経路Pから逸脱する直前にトラクタ1が走行していた経路が、直線状又は折れ線状の農作業経路P1(直線路)であったか否かを判断する(ステップS101)。即ち、トラクタ1が作業経路Pから逸脱する場合としては、
図9のように農作業経路P1から逸脱する場合と、
図10のように旋回路P2から逸脱する場合とがあり、作業開始地点候補提示部36は、上記の場合のうち何れであったかを判断する。
【0078】
その結果、作業経路Pから逸脱する直前にトラクタ1が走行していた経路が農作業経路P1ではなく旋回路P2であると判断された場合(
図7のステップS101、No)、作業開始地点候補提示部36は、作業経路Pから逸脱する直前にトラクタ1が走行していた旋回路P2を複数の旋回路P2,P2,・・・の中から特定し、当該旋回路P2の下流側の端から始まる直線状又は折れ線状の農作業経路P1(直線路)の上流側の端の地点を、農作業を再開する作業開始地点の候補の1つとして記憶する(ステップS111)。
図10の例では、作業経路Pから逸脱する直前にトラクタ1が走行していた旋回路は符号P2rの旋回路であり、当該旋回路の下流側の端から始まる直線状又は折れ線状の農作業経路は符号P1qで示されるから、当該農作業経路の上流側の端は地点S4となる。記憶された作業開始地点の候補である地点S4の情報は、後述する表示用データの作成に用いられる。
【0079】
一方、ステップS101の判断で、作業経路Pから逸脱した直前にトラクタ1が走行していた経路が農作業経路P1(直線路)であると判断された場合(ステップS101、Yes)、作業開始地点候補提示部36は、作業開始地点の候補の1つを算出するために必要な情報として、上記のマージン超過地点(
図9の例では、地点T1)の位置情報を、強制停止情報の内容に基づいて取得する(ステップS102)。
【0080】
続いて、作業開始地点候補提示部36は、作業経路Pから逸脱する直前にトラクタ1が走行していた農作業経路P1を複数の農作業経路P1の中から特定し、当該農作業経路P1に対して、ステップS102で取得したマージン超過地点(地点T1)から仮想的な垂線を引く(ステップS103)。なお、
図6は、
図9のマージン超過地点(地点T1)付近を拡大したものであり、この
図6において上記の垂線が説明されている。そして、作業開始地点候補提示部36は、ステップS103で引いた垂線と、上記の農作業経路P1と、の交点の位置を、農作業を再開する作業開始地点の候補の1つとして記憶する(ステップS104)。
図6の例では、上記の交点の位置は地点S1となる。記憶された作業開始地点の候補である地点S1の情報は、後述する表示用データの作成に用いられる。
【0081】
次に、作業開始地点候補提示部36は、作業経路Pから逸脱する直前にトラクタ1が走行していた農作業経路P1(直線路)の上流側の端の地点(
図9の例では、地点S2)の位置情報を取得する。この地点S2の位置情報は、記憶部32に記憶された作業経路を参照することにより取得することができる。作業開始地点候補提示部36は、この地点S2を、農作業を再開する作業開始地点の候補として記憶する(
図7のステップS105)。記憶された作業開始地点の候補である地点S2の情報は、後述する表示用データの作成に用いられる。
【0082】
また、作業開始地点候補提示部36は、作業経路Pから逸脱する直前にトラクタ1が走行していた農作業経路P1より前にトラクタ1が走行した農作業経路P1(ただし、トラクタ1が自律走行を開始して最初に走行した農作業経路P1を除く。)のそれぞれについて、当該農作業経路P1の上流側の端の地点(
図9の例では、地点S5,S6)の位置情報を取得する。作業開始地点候補提示部36は、この地点S5,S6を、農作業を再開する作業開始地点の候補として記憶する(ステップS106)。記憶された作業開始地点の候補である地点S5,S6の情報は、後述する表示用データの作成に用いられる。
【0083】
上述のステップS111の処理の後、又は、上述のステップS106の処理の後、作業開始地点候補提示部36は、更に作業開始地点の候補として別の地点も提示する。具体的には、作業開始地点候補提示部36は、一連の作業経路Pの開始地点(最も上流側の地点、
図9の例では地点S3)の位置情報を取得する。この地点S3の位置情報は、記憶部32に記憶された作業経路を参照することにより取得することができる。作業開始地点候補提示部36は、この地点S3を、農作業を再開する作業開始地点の候補として記憶する(ステップS107)。記憶された作業開始地点の候補である地点S3の情報は、後述する表示用データの作成に用いられる。
【0084】
続いて、作業開始地点候補提示部36は、上記のように記憶された作業開始地点の候補を表示制御部31に全て出力して、表示用データを作成させる(
図8のステップS108)。表示制御部31は、作業開始地点の候補が入力されると、作業開始地点の複数の候補すべてを同時に表示するように、表示用データを作成する。その後、表示制御部31は、表示用データをディスプレイ37に表示する。これにより、例えば
図11のような表示が実現されて、作業開始地点の候補(地点S1,S2,S3,S5,S6)をユーザに提示することができる。なお、
図11の例では、上記の作業開始地点の候補に加えて、トラクタ1を強制停止した旨のメッセージが表示されている。
【0085】
次に、メッセージ通知部60は、トラクタ1が作業経路Pから逸脱した時点でスリップが発生していたか否かを、強制停止情報に含まれるスリップ判定部57の判定結果に基づいて判断する(
図8のステップS109)。スリップが発生していた場合(ステップS109、Yes)、メッセージ通知部60は表示制御部31に、スリップに関するメッセージを表示するための表示用データを作成させる(ステップS110)。表示制御部31は、この表示用データに基づいて、当該メッセージを表示するようにディスプレイ37を制御する。これにより、例えば
図11に示すように、スリップが検知された旨のメッセージによる報知を実現することができる。スリップが発生していなかった場合(ステップS109、No)、上記のステップS110の処理はスキップされる。
【0086】
以上のような処理により、トラクタ1が自律走行中に作業経路Pから逸脱してしまった場合に、遠隔操作装置46のディスプレイ37には、例えば
図11に示す内容が表示される。ユーザは、このディスプレイ37を参照することにより、農作業を再開する作業開始地点の複数の候補(
図11では、地点S1,S2,S3,S5,S6)を知ることができる。よって、ユーザは、複数の候補の中から状況に応じて適切な作業開始地点を選択することができる。ユーザは、例えば、農作業の種類(例えば、耕耘、播種等)が重複した作業を許容するものであるか否か、あるいは、農作業を既に施した圃場領域に逸脱したトラクタ1が入り込むことにより農作業が荒らされているか否か等を考慮して、提示された候補から適宜の作業開始地点を選択する(即ち、どこの地点から農作業をやり直すかを決定する)。
【0087】
次にユーザが自律走行・自律作業を再開するためにトラクタ1のエンジン10を始動すると、制御部4は、記憶部55に記憶された強制停止フラグを参照する。強制停止フラグが「1」に設定されている場合、制御部4は、作業再開経路を受信するまで待機する。再開作業経路は、制御部4がトラクタ1を強制停止した後に、トラクタ1による自律走行・自律作業を行うべき経路を規定する作業経路であり、強制停止フラグが「1」に設定されている場合、作業再開経路を受信しなければ自律走行・自律作業が開始(再開)されない。なお、ユーザはトラクタ1のエンジン10の始動後、所定の操作を行うことで強制停止フラグを「0」に変更することが可能であり、その場合は、新たな作業経路に沿って自律走行・自律作業させることが可能である。
【0088】
ユーザは遠隔操作装置46を操作して作業再開経路をトラクタ1に送信することが可能であり、例えば、上記作業開始地点を選択し、トラクタ1との無線通信を確立させた状態で、作業再開経路をトラクタ1に送信することができる。遠隔操作装置46がトラクタ1に送信する作業再開経路の情報には、上述した強制停止IDが付加されている。制御部4は、受信した作業再開経路に付加された強制停止IDと、強制停止フラグに対応付けて記憶した強制停止IDと、が一致する場合、作業再開経路に含まれる上記作業開始地点から自律走行・自律作業を再開させることが可能である。そして、ユーザは、選択した作業開始地点にトラクタ1を移動させた上で、遠隔操作装置46を用いて、自律走行・自律作業を再開させることができる。
【0089】
また、逸脱時にトラクタ1のスリップが検出された場合には、例えば
図11に示すように、スリップの検出を報知するメッセージがディスプレイ37に表示される。これにより、ユーザに、農作業を再開した場合に再びスリップが発生しないように、タイヤを付け替えたり、あるいは走行速度を落としたりする等の対応を促すことができる。よって、走行再開後の農作業を円滑に行うことができる。
【0090】
上記の説明では、制御部4はトラクタ1の停止後に、無線通信部40を介して強制停止情報を遠隔操作装置46に送信することとしたが、制御部4が強制停止情報を送信するタイミングはエンジン10の始動後であってもよい。
【0091】
以上に説明したように、本実施形態の自律走行・自律作業システム99は、走行機体2と、位置情報算出部49と、記憶部(トラクタ1の記憶部55及び遠隔操作装置46の記憶部32)と、制御部4と、を備える。位置情報算出部49は、走行機体2の位置情報を検出可能である。遠隔操作装置46の記憶部32は、走行機体2を走行させる圃場を示す圃場情報(圃場の位置及び形状等を示す情報)を記憶可能である。制御部4は、圃場内における走行機体2の走行を制御可能である。圃場は、走行機体2により走行される直線状の農作業経路P1を含む作業領域(第1領域)と、作業領域の周囲に設定されて走行機体2により走行(旋回)される旋回路P2を含む非作業領域(第2領域)と、を含む。制御部4は、農作業経路P1及び旋回路P2について設定される逸脱判定幅(自律走行継続範囲)JWを走行機体2の現在位置が逸脱した場合に、走行機体2の走行を停止させることが可能である。制御部4は、
図9のように農作業経路P1からの逸脱により走行機体2を停止させた場合、走行機体2の現在位置と第1要素(本実施形態では、マージン幅MW)とに基づいて設定される第1走行再開位置(地点S1)から、走行機体2の走行を再開させることが可能である。制御部4は、
図10のように旋回路P2からの逸脱により走行機体2を停止させた場合、走行機体2の現在位置と、第1要素とは異なる第2要素(本実施形態では、旋回路P2等)と、に基づいて設定される第2走行再開位置(地点S4)から、走行機体2の走行を再開させることが可能である。
【0092】
これにより、走行機体2が農作業経路P1から逸脱したか、旋回路P2から逸脱したかに応じて、適宜の走行再開位置から走行機体2の走行を再開させることができる。
【0093】
また、本実施形態の自律走行・自律作業システム99において、前記第1要素は、農作業経路P1、及び、当該農作業経路P1に関して逸脱判定幅JWよりも狭く設定されたマージン幅MW(再開基準範囲)を含む。トラクタ1の記憶部55は、停止される前に走行機体2がマージン幅MWを逸脱した場合、その逸脱した時点の位置であるマージン超過地点(地点T1、再開基準位置)の位置を記憶可能である。農作業経路P1からの逸脱により走行機体2を停止させた場合、制御部4は、前記マージン超過地点(地点T1)の位置から農作業経路P1に対して引いた垂線と、農作業経路P1と、の交点(地点S1)の位置を、走行機体2の走行を再開させる第1走行再開位置として設定可能である。
【0094】
これにより、農作業の重複が少ない位置から走行を再開することができる。
【0095】
また、本実施形態の自律走行・自律作業システム99においては、農作業経路P1は互いに複数本並べて配置される。従って、当該農作業経路P1は、上流側農作業経路(走行路)と、上流側農作業経路と平行に配置されて当該上流側農作業経路の後に走行機体2により走行される下流側農作業経路(走行路)と、を含む。なお、
図9の例では、左側の3本の農作業経路P1を上流側農作業経路P1aと捉え、左から数えて4本目の農作業経路P1(トラクタ1が途中で逸脱した農作業経路P1)を下流側農作業経路P1bと捉えることができる。そして、制御部4は、下流側農作業経路P1bからの逸脱により走行機体2を停止させた場合、前記交点の位置(地点S1)、下流側農作業経路P1bにおける走行機体2の走行開始位置(地点S2)、又は、上流側農作業経路P1aにおける走行機体2の走行開始位置(地点S3,S5,S6)を、走行機体2の走行を再開させる第1走行再開位置として設定可能である。
【0096】
これにより、逸脱した走行機体2が農作業済の経路(上流側農作業経路P1a)に入り込んで荒らしてしまったか否か等を考慮して、適宜の走行再開位置を選択することができる。従って、農作業のやり直しを必要に応じて適切に行うことができる。
【0097】
また、本実施形態の自律走行・自律作業システム99においては、第2要素は、複数の農作業経路P1及び複数の旋回路P2を含む。農作業経路P1は互いに複数本並べて配置されており、そのうちの2本の農作業経路P1を1本の旋回路P2が接続するように構成されている。従って、複数配置される農作業経路P1は、旋回路P2で接続される2本のうち上流側に位置する上流接続農作業経路(第1走行路)と、下流側に位置する下流接続農作業経路(第2走行路)と、を含む。下流接続農作業経路は、上流接続農作業経路と平行に配置され、上流接続農作業経路の後に走行機体2により走行される。なお、
図10の例では、左から数えて3本目の農作業経路P1を上流接続農作業経路P1pと捉え、左から数えて4本目の農作業経路P1を下流接続農作業経路P1qと捉えることができる。また、複数配置される旋回路P2は、上流接続農作業経路P1pと下流接続農作業経路P1qとを接続する接続旋回路を含む。
図10の例では、上部右側にある旋回路P2を接続旋回路P2rと捉えることができる。制御部4は、接続旋回路P2rからの逸脱により走行機体2を停止させた場合、下流接続農作業経路P1qにおける走行機体2の走行開始位置(地点S4)を、走行機体2の走行を再開させる第2走行再開位置として設定可能である。
【0098】
これにより、作業の重複を少なくでき、かつ農作業経路P1と旋回路P2の境界となる位置(作業/非作業の境界となる位置)から走行を再開することができる。
【0099】
また、本実施形態の自律走行・自律作業システム99は、走行機体2に備えられる前輪7,7の切れ角を検出する切れ角センサ56を備える。自律走行・自律作業システム99は、制御部4が農作業経路P1又は旋回路P2からの逸脱により走行機体2を停止させた場合であって、切れ角センサ56が検出した切れ角に基づく方向と前記逸脱した方向との間に所定以上の乖離があるときは、走行機体2のスリップに関する報知を行う。
【0100】
これにより、スリップの再発を防止する対応をユーザに促すことができるので、走行再開後の農作業を円滑に行うことができる。
【0101】
また、本実施形態の自律走行・自律作業システム99においては、農作業を行う直線状又は折れ線状の農作業経路P1と、当該農作業経路P1の端同士を繋ぐ円弧状の旋回路P2と、を交互に繋いで一連の経路として生成される作業経路Pに沿って、トラクタ1を遠隔操作装置46で遠隔操作しながら自律走行させる。この自律走行・自律作業システム99は、逸脱判定部54と、作業開始地点候補提示部36と、を備える。逸脱判定部54は、トラクタ1が作業経路Pから逸脱したか否かを判定する。作業開始地点候補提示部36は、逸脱判定部54でトラクタ1が作業経路Pから逸脱したと判定された場合、農作業を再開する作業開始地点の候補を複数提示する。
【0102】
これにより、ユーザが複数の候補の中から作業開始地点を選ぶことができるので、状況に応じて柔軟な対応をすることができる。
【0103】
また、本実施形態の自律走行・自律作業システム99においては、トラクタ1が農作業経路P1の途中で作業経路Pから逸脱した場合、作業開始地点候補提示部36は、逸脱した農作業経路P1上の地点であり、かつ、逸脱した位置(地点T2)に近い地点(地点S1)を、作業開始地点の候補の1つとして提示する。
【0104】
これにより、ユーザは、農作業の重複を少なくできる作業開始地点(地点S1)を選択することができるので、効率を損なうことなく農作業を開始することができる。
【0105】
また、本実施形態の自律走行・自律作業システム99においては、トラクタ1が旋回路P2の途中で作業経路Pから逸脱した場合、作業開始地点候補提示部36は、逸脱した旋回路P2の下流側の端から始まる農作業経路P1の上流側の端の地点S4を、作業開始地点の候補の1つとして提示する。
【0106】
これにより、ユーザは、農作業の重複がなく、かつ、農作業の区切りとなる作業開始地点(地点S4)を、農作業を再開する地点として選択することができる。従って、効率を損なうことのないように農作業を再開することができる。
【0107】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0108】
トラクタ1がマージン幅MWから外れた地点(
図6の地点T1、マージン超過地点)から農作業経路P1に垂線を引くことに加えて、或いは、これに代えて、
図12に示すように、例えばトラクタ1が逸脱判定幅JWから外れた地点T2(逸脱地点)から農作業経路P1に垂線を引いて得られた地点S7を、作業開始地点の候補とすることができる。また、トラクタ1が停止した地点T3から農作業経路P1に垂線を引いて得られた地点S8を、作業開始地点の候補とすることもできる。
【0109】
上記の実施形態では、逸脱判定部54及びスリップ判定部57がトラクタ1に、作業開始地点候補提示部36及びメッセージ通知部60が遠隔操作装置46に、それぞれ備えられるものとしたが、逸脱判定部54、スリップ判定部57、作業開始地点候補提示部36及びメッセージ通知部60がトラクタ1及び遠隔操作装置46の何れに備えられるかについてはこれに限定するものではない。またこれ以外の構成部分についても、トラクタ1及び遠隔操作装置46の何れに備えられていてもよい。
【0110】
以下、特に、逸脱判定部54、スリップ判定部57、及び、作業開始地点候補提示部36がトラクタ1に備えられる場合について補足する。これらの構成がトラクタ1に備えられ、逸脱判定部54によりトラクタ1が作業経路から逸脱したと判定された場合、制御部4は車速がゼロとなるように変速装置42を制御するとともに、上記強制停止フラグを「1」に設定する。また、併せて制御部4は、逸脱停止地点の位置座標及びマージン超過地点の位置座標と、強制停止フラグとを対応付けて記憶部55に記憶する。
【0111】
次にユーザが自律走行・自律作業を再開させるためにトラクタ1のエンジン10を始動すると、制御部4は、記憶部55に記憶された強制停止フラグを参照する。強制停止フラグが「1」に設定されている場合、制御部4は、作業開始地点候補提示部36を制御して作業開始地点の複数の候補を特定させる。また、制御部4はスリップ判定部57を制御して、トラクタ1が作業経路Pから逸脱したときにスリップが発生していたか否かを判定させる。そして、制御部4は、作業開始地点候補提示部36による特定結果及びスリップ判定部57による判定結果を含む情報を、無線通信部40を介して遠隔操作装置46に送信する。当該情報を受信した遠隔操作装置46は当該情報に基づいて表示用データを作成して、ディスプレイ37に、例えば、
図11に示す画像を表示する。
【0112】
ユーザは、ディスプレイ37に表示された画像において、作業再開地点を選択してトラクタ1に送信することができる。その後、ユーザは、自身の選択した作業再開位置までトラクタ1を移動させた上で、遠隔操作装置46を用いて自律的な農作業を再開させることができる。
【0113】
遠隔操作装置46に相当する機能を有する操作装置(即ち、圃場の取得、作業領域の取得、作業経路の生成、自律走行の開始指示、経路逸脱による強制停止時の作業開始地点の提示、スリップの報知等を行うことが可能な操作装置)が、トラクタ1の走行機体2に取外し不能に備えられても良い。この場合、遠隔操作装置46を省略することができる。
【符号の説明】
【0114】
2 走行機体(車体部)
4 制御部
49 位置情報算出部(位置検出部)
55 記憶部
99 自律走行・自律作業システム(自律走行システム)
P 作業経路
P1 農作業経路(走行路)
P2 旋回路