(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】熱可塑性のプリフォームから容器を製造するための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 49/36 20060101AFI20220812BHJP
B29C 49/46 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B29C49/36
B29C49/46
(21)【出願番号】P 2020151774
(22)【出願日】2020-09-10
(62)【分割の表示】P 2020545490の分割
【原出願日】2019-03-28
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】102018107676.2
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509017365
【氏名又は名称】カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ バウムガルテ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル リンケ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル リッツェンベルク
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ヤイザー
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521279(JP,A)
【文献】国際公開第2006/041148(WO,A1)
【文献】特開平10-193445(JP,A)
【文献】特開2003-136587(JP,A)
【文献】特表2016-506887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/36
B29C 49/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性のプリフォーム(31)から容器(30)を製造するための装置にして、鉛直な回転軸(50)の周りで回転する加工ホイール(38)を備え、当該加工ホイール(38)上には、周方向で互いに連続する複数のステーション(S1、・・・、S12)が、前記容器(30)を収容するためのそして前記容器(30)を整形するための型(39)と共に回転し、また、前記型(39)が前記容器(30)を取り出すために開放可能である、装置において、
閉じられた前記型(39)を内圧によって引き起こされる開放に対して保護するためのスラストベアリング(51、52;53、54)を有し、
前記スラストベアリング(51、52;53、54)及び前記型(39)が、互いに関して、前記スラストベアリング(51-54)が閉じられた前記型(39)に対して、外側から力を及ぼす圧力受容位置と、前記スラストベアリング(51-54)が前記型(39)に対して力を及ぼさない別の位置の間で、移動可能であること、を特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
圧力下にある流体を供給するための1つのバルブユニット(67)がそれぞれのステーション(S1、・・・、S12)に割り当てられていること、を特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
前記スラストベアリング(51、52;53、54)が、前記型(39)に対して前記型(39)の互いに向かい合う側部で、外側から力を及ぼすこと、を特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか一項に記載の装置において、
前記ステーション(S1、・・・、S12)内の前記型(39)が、それぞれ傾斜軸(N)の周りで傾斜可能に支持されており、その際、前記傾斜軸(N)は、それぞれのモールドシェル(45、46)の前記スラストベアリング(51-54)の間で、直近の前記スラストベアリング(51-54)に対する前記傾斜軸(N)の間隔が、
少なくとも、最遠の前記スラストベアリング(51-54)に対する間隔の半分の大きさ、であるように延伸していること、を特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から
4の何れか一項に記載の装置において、
前記スラストベアリング(51-54)が、閉じられた前記型(39)が圧力受容位置において前記スラストベアリング(51-54)によりセンタリングされて作用を及ぼされるようなセンタリング機能を、有していること、を特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2から
5の何れか一項に記載の装置において、
前記スラストベアリング(51-54)が、前記型(39)に対して接触するためのタペット(55)であって駆動されて移動可能なタペット(55)を含んでいること、を特徴とする装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の装置において、
前記型(39)に対して接触するための前記駆動されて移動可能なタペット(55)が液圧タペットであること、を特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2から
7の何れか一項に記載の装置において、
1つのステーションの互いに向かい合って存在している前記スラストベアリング(51、52;53、54)が、力及び形状に基づいて固定された状態で互いに連結されていること、を特徴とする装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の装置において、
互いに向かい合って存在している前記スラストベアリング(51、52;53、54)が、共通のベアリングサポート(60、63)にて支持されており、当該ベアリングサポート(60、63)がそれぞれの前記型(39)を収容するためのベアリングギャップを形成していること、を特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2から
9の何れか一項に記載の装置において、
互いに向かい合って存在している前記スラストベアリング(51、52)は、それぞれの前記型(39)の上部領域のために設けられていること、を特徴とする装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の装置において、
互いに向かい合って存在していてそれぞれの前記型(39)の前記上部領域のために設けられている前記スラストベアリング(51、52)は、前記加工ホイール(38)の前記鉛直な回転軸(50)に関して半径方向外側に開いたベアリングギャップを有するベアリングサポート(60)を備えていること、を特徴とする装置。
【請求項12】
請求項
8又は請求項
9から
11の何れか一項に記載の装置において、
互いに向かい合って存在している前記スラストベアリング(53、54)が、それぞれの前記型(39)の下部領域のために設けられていること、を特徴とする装置。
【請求項13】
請求項
12に記載の装置において、
互いに向かい合って存在していてそれぞれの前記型(39)の前記下部領域のために設けられている前記スラストベアリング(53、54)が、前記加工ホイール(38)の前記鉛直な回転軸(50)に関して半径方向内側に開いたベアリングギャップを有するベアリングサポート(63)を備えていること、を特徴とする装置。
【請求項14】
請求項
9又は
13に記載の装置において、
下部の前記ベアリングサポート(63)のサポート脚部(61、62)が斜め上方へ指向されており、その結果、前記サポート脚部(61、62)を接続するサポートベースが、容器底部の平面の下方に存在すること、を特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1から
14の何れか一項に記載の装置において、
前記型(39)のモールドシェル(45、46)が、型保持部(44)にて支持されており、その際、それぞれの前記型保持部(44)が1つのモールドシェル(45、46)を支えており、また、1つの型(39)に割り当てられた複数の型保持部(44)は、前記モールドシェル(45、46)と共に、前記型(39)を開くために互いに離れるように移動可能であり、また、前記型(39)を閉じるために互いに向かい合うように移動可能であること、を特徴とする装置。
【請求項16】
請求項
15に記載の装置において、
前記モールドシェルの間の垂直な分離面(48)があること、を特徴とする装置。
【請求項17】
請求項
15又は
16に記載の装置において、
前記型(39)の前記モールドシェル(45、46)は、直接前記型保持部(44)にて支持されていること、すなわち、それらの間に配設された型収容部がないこと、を特徴とする装置。
【請求項18】
請求項
15、
16又は
17に記載の装置において、
前記モールドシェル(45、46)は前記型保持部(44)にて傾斜軸(N)の周りで傾斜可能であること、及び、前記型保持部(44)又は前記モールドシェル(45、46)はそのために傾斜ベアリング(43)を有していること、を特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の前提部分に従う装置、に関するものである。好ましくは、ブロー成形によって、つまりガス状の流体によって、又は、液状の充填物によって、ボトルを製造するための方法及び装置に関連している。
【背景技術】
【0002】
例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製のプリフォーム(パリソン、予成形体)といった、熱可塑性材料製のプリフォームからブロー成形によって容器を製造することは、特許文献1から知られている。熱的に調整されたプリフォームはブロー機械(ブローマシン)の内部で異なる加工ステーションに供給される。ブロー機械は通常、プリフォームを調温或いは熱的に調整するための加熱装置、並びに、少なくとも1つのブローステーションを備えたブロー装置、を有している。当該ブローステーションの領域では、前もって調温されたそれぞれのプリフォームが容器へと膨張(拡張)される。この膨張は圧力ガスを用いて行われ、当該圧力ガスは成形圧で膨張されるべきプリフォーム内へ導入される。プロセス工学的な経過は上述の特許文献1で詳説されている。ブローステーションの基本的な構造は、特許文献2に記載されている。調温又は熱的な調整としては、プリフォームがブロー成形にとって適切な温度まで加熱され、また場合によっては、プリフォームに対して温度プロフィールが与えられることとして理解される。追加的にプリフォームを伸ばすための延伸ロッドを用いて、プリフォームから容器をブロー成形することも同様に既知である。
【0003】
ブロー成形によって製造された容器は、通常後続の充填装置へ供給され、そこで予定されている製品又は充填物で満たされる。すなわち、専用のブロー機械及び専用の充填機械が用いられる。これらは1つのマシンブロックに統合されていてもよく、その際更には、ブロー成形工程及び充填工程は、個別の機械的な構成要素において、時間的に前後して行われる。
【0004】
充填物そのものによってプリフォームから容器を成形すること、すなわち、充填物を液圧的な圧力媒体として用いてプリフォームから容器を成形すること、も同様に既知である(特許文献3及び特許文献4参照)。それに伴い、それぞれのプリフォームの充填と同時に、つまりは液圧的な変形方法による容器への変形がなされる。この変形も、延伸ロッドを用いることによってサポートされ得る。
【0005】
更には、充填された容器が引き続きの処理工程において封止されることが知られている。そのために、充填された容器は例えば、充填工程の終了後に充填装置から搬送装置に受け渡され、そして封止装置に供給される。封止装置を上述の機械と連動させること可能である。しかしながら容器の封止を充填のための処理ホイール上にあるうちに行ってもよい(特許文献3及び特許文献5参照)。特許文献3、5の双方には、充填された容器が、依然として成形充填ステーション内にあるうちにキャップを備え付けられること、が開示されており、当該成形充填ステーション内ではプリフォームは圧力下で充填物を導入することによって容器へと変形される。
【0006】
複数の容器を有する処理ホイールは、特には鉛直軸(垂直軸)の周りで回転する。その際それらの容器はそれに対して軸平行に調整(指向)されている、すなわち、開口部を上方へ向けて調整されている。充填工程のためには、バルブユニットが設けられており、当該バルブユニットは、突出部で開口部に接触し、充填時にこれを封止することで、その結果、液体が漏れ出ることが不可能となり、また、必要な圧力が発生される。充填工程の終了後、容器は取り出しコンベヤに受け渡される。前もって、バルブユニットの突出部は容器から取り外されなければならない。
【0007】
充填され、直立状態であり、また同時に処理ホイールと共に回転している容器内では、液面の状態は、充填度合いとかかっている遠心力に依存する。それにより実際的には、処理ホイールの回転速度が制限されている。容器を完全に充填したとすると、より大きな回転速度は、より激しく傾いた液面を発生させることになり、これは容器開口部からバルブユニットを取り外した後に液体の流出を導く。
【0008】
ブロー成形又は液圧的変形によって容器を成形する際の別の問題点は、型(モールド)の確実な閉鎖である。通常1つの型は、割型とも称される2つのモールドシェル、及び、ボトムモールド(底型)から構成されている。モールドシェルは特には鉛直面(垂直面)に沿って互いに保持される。その際、ボトムモールドは、下方から、モールドシェルによって成形される開口部へ組み込まれており、また形状拘束的に(形状に基づいた固定状態で)保持されている。モールドシェルは最大限広い意味で互いに連結的に接続されており、また、それらから容器を取り出すために回動する。モールドシェルを閉じているための力は、基本的に、モールドシェルを動かすために設けられているジョイント部を介して加えられる。このジョイント部は適切に寸法決定されていなければならない(例えば特許文献2参照)。特許文献2では、モールドシェルは、モールドキャリア(型保持部)であり、当該モールドキャリアは、それぞれブローモールド要素とも称される割型を収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】DE 43 40 291 A1
【文献】DE 42 12 583 A1
【文献】DE 10 2010 007 541 A1
【文献】US 7,914,726 B2
【文献】WO 2012/104019 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、充填された容器の処理ホイール上での液体損失を避けることが可能である装置を創出することである。本発明の別の課題は、ブロー成形時又は液体での充填時における型の改善された閉鎖を可能とする装置を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
課題を解決するため、本発明に従う方法は次の特徴を有してもよい。熱可塑性のプリフォームから容器を製造するための方法が企図されており、その際、容器はプリフォームから流体を用いて、ブロー成形によって製造されまたそれに続き特には液状の流体で充填される、又は液圧成形(ハイドロフォーミング)によって製造されまたそれによりその後容器は内容物として予定される液状の流体を含んでいる、また、容器はブロー成形の間及び/又は特には液状の流体を収容する間、開放可能な型内で特には鉛直な回転軸の周りでこの回転軸から間隔をおいて回転する。
【0012】
本発明に従い、閉じられた型は方法中少なくとも一時的に傾斜された位置に存在する、すなわち、鉛直位置から逸脱している。型の傾斜角度はこの場合、空間内での容器の状態によって決定される。型の鉛直位置では容器も、開口部を上方へ向けて、鉛直に指向されている。閉じられた型は、もっぱら又は一時的に、傾けられた位置で存在することが可能であり、特には回転軸への方向に傾いている。鉛直位置を取ることは、閉じられた型にとって必須ではなく、また開かれた型にとっても必須ではない。型が傾斜位置にあり、また流体として液体が企図されている限りにおいて、鉛直な回転軸の周りでの回転によって発生し且つ液体に作用する遠心力は補われ得る。傾斜位置とその他の位置、特には鉛直位置の間での型の運動は、以下のような位置を狙って取ることを可能とし、当該位置においては、容器の成形及び充填の際に発生する内圧を可能な限り受容しまた補償することが可能である。
【0013】
特に、容器は型内でプリフォームから内容物として企図される液体によって成形される。容器の成形及び充填は、一つの処理工程(加工工程)で行われる、つまり、内容物として企図される液体によって行われる。この液体は、容器を最終的に封止した後にも、この容器内に存在する。代替としては、容器を成形するための流体は、特には圧縮空気といったガス(気体)である。容器の成形及び充填は、連続する複数の処理工程において行われる。先ずは、ブロー成形によって型内で容器の形態がもたらされる。それに続き容器が液体で満たされる。
【0014】
更に、プリフォームが延伸ロッドによって既知の様態で伸ばされることも企図され得る。
【0015】
本発明の更なる着想に従い、型が、少なくとも容器を取り出すために、鉛直位置に存在する。型からの容器の取り出しは更に、既知の受け渡し保持部を用いて実行され得る。
【0016】
本発明の更なる着想に従い、型が、プリフォームを取り入れるために、鉛直位置に存在すること、が企図されている。プリフォームを取り入れるために更に、既知の受け渡し保持部を用いることが可能である。
【0017】
本発明の更なる着想に従い、閉じられた型は、少なくとも流体を用いた充填工程の終了時、特には全充填工程の間、傾斜位置に存在する。それにより、型の状態が容器を充填するために設けられたユニットと合致することがもたらされる。開放のためには、特にはそれぞれの容器を取り出すためには、型は特には鉛直位置に存在している。
【0018】
本発明の更なる着想に従い、閉じられた型は、傾斜位置では、その上部側がその下部側よりも回転軸のより近傍に存在している。これは、可能な限り最良な様態で流体に作用する遠心力を補償することを可能とする。
【0019】
本発明の更なる着想に従い、閉じられた型の傾斜は、特には回転軸に対する方向において、以下の条件a)からc)のうちの1つを有している。
a)鉛直位置から15°から45°ずれている。
b)鉛直位置から25°から35°ずれている。
c)鉛直位置から30°ずれている。
【0020】
上記の傾斜は、閉じられた型に対して、常に、大部分で、又は、一時的に、当てはまり、そして、適切に調整されている場合、現行の充填装置内で液体にも作用する遠心力を良好に均衡させることを可能とする。
【0021】
本発明の更なる着想に従い、閉じられた型は、流体を供給する前に、内圧によって引き起こされる開放に対して保護された位置へと移動される。閉じられた型は容器の成形後に開放する前に、内圧による開放に対して保護された位置から、それに対して保護されていない位置へと離脱され、その後その位置で型は開放される。
【0022】
本発明の更なる着想に従い、閉じられた型は、その位置のうち少なくとも1つで、内圧によって引き起こされる開放に対して保護されている、すなわち、互いに固定的に接続された少なくとも2つのスラストベアリングの間に留まることにより、保護されている。スラストベアリングは型を閉鎖している、とりわけ、特にはモールドシェル或いは割型といった互いに向かい合う型の側部に作用を及ぼすことによって、型を閉鎖している。既知の様態では、型は、ボトム部を有しており、当該ボトム部は特には型が閉じられている場合においてはモールドシェルによって形状的に固定されて保持される。
【0023】
本発明の更なる着想に従い、閉じられた型が、内圧によって引き起こされる開放に対して、上部領域では互いに固定的に接続された2つのスラストベアリングによって保護されており、また下部領域では互いに固定的に接続された別の2つのスラストベアリングによって保護されていること、が企図されている。発生する力は従って均等に受容されまた平衡される。
【0024】
本発明の更なる着想に従い、容器は型を開く前にキャップにより封止され、それは特には傾斜位置で行われる。キャップを乗せた後、流体が漏れ得ることなしに、容器は任意に操作され得る。充填工程の直後に容器が封止される装置は、例えば特許文献3から知られている。
【0025】
本発明の更なる着想に従い、型のボトム部は保持機構によって型のその他の部分の方へ動かされそして再度引き返して(逆に戻って)動かされる。その際、ボトム部は保持機構と連結されている。閉鎖された型を傾斜させる前に、ボトム部は保持機構から解除される。傾斜位置では、保持機構及びボトム部は解除されており、型の鉛直位置では、一時的に又は大部分で連結されている。
【0026】
本発明の更なる着想に従い、開放された型内の容器は、容器のネック部又はキャップに当接する保護機構によって、取り出されるまで保護されており、特にはボトムモールドによる保護と関連して、保護されている。保護機構は、発生する遠心力によって開放された型から容器が外へと押し出されることを防ぐ。
【0027】
本発明の更なる着想に従い、開放された型内の容器は、取り出だされるまで、型に対する周方向での運動、反周方向での運動及び/又は半径方向外側へ向かっての運動、に対して保護されている。
【0028】
本発明の更なる着想に従い、容器が上部に支持リングを備えるネック部を有していること、及び、容器が、支持リングと容器の重心の間の領域で、特には支持リングの直下で掴むことによって、開放された型から取り出されること、が企図されている。支持リングの下で掴むことによって、それは形状的に固定されて容器の重力に対抗する。重心近くで容器を掴むことは、取り扱いによって生じる傾斜モーメントを軽減する。従って、より重い容器をより確実に掴むこと及び取り出すことが出来る。
【0029】
課題を解決するために企図される装置は、次の特徴を有していてもよい。熱可塑性のプリフォームから容器を製造するための装置は、回転軸周りで特には鉛直(垂直)な回転軸の周りで回転する加工ホイールを設けられており、当該加工ホイール上には、周方向で互いに連続する複数のステーションが、容器を収容するためのそして特には容器を整形するための型を備えて設けられており、それらは加工ホイールと共に回転する。その際、特には、それぞれのステーションに、流体を供給するための特には圧力下にある流体を供給するためのバルブユニットが割り当てられており、また、型は容器を取り出すために開放可能である。閉じられた型は、回転軸の周りでの回転の少なくとも一部分に沿って、傾斜位置で、すなわち、鉛直位置からずれた位置で、存在している。そのため、閉じられた型はそのステーション内で傾斜可能である(傾けられ得る)。
【0030】
本発明の更なる着想に従い、ステーション内の型は、それぞれ傾斜軸の周りで傾斜可能に支持されていてもよく、その際、傾斜軸はそれぞれの型の質量重心付近で、以下のように延伸している、すなわち、型の重量分布が傾斜軸の両側で1/3対2/3であるように延伸している。特に、傾斜軸は型の質量重心を通って伸びており、その結果、型がどの姿勢位置にあっても不均等な重量分布による回転モーメントは働かない。特に、質量重心を算出するため、空の型が引き出される。型はそれ自体が比較的重い。型内に存在する容器は、液体を含んでいてもいなくても、質量重心の位置にはごく僅かにしか作用を及ぼさない。
【0031】
本発明の更なる着想に従い、特にはカーブ制御部(カム制御部)又はモータ式駆動部といった、型を傾斜させるための駆動部が設けられていてもよい。カーブ制御部は、ほぼ曲線ローラ、ラック及びギアからなるシーケンスに渡って、機械的な動力伝達部を備える曲線を含むことができる。代替的に、モータ駆動装置は、例えば電気式、空気圧式又は油圧式で設けることができ、何れの場合でも機械的な動力伝達部と連結されている。
【0032】
本発明の更なる着想に従い、型のモールドシェルは、型保持部にて支持されていてもよく、その際、型保持部又はモールドシェルは、それに加えて、傾斜軸を有する傾斜ベアリング(傾斜軸受)を有している、また、傾斜ベアリングは軸方向で取り外し可能である。傾斜ベアリングを取り外すことにより、モールドシェルは、型保持部から分離され得てそして交換され得る。加えて、傾斜ベアリングには、又は、モールドシェルには、又は、型保持部には、適切なクイックロックが設けられていてもよい。
【0033】
本発明の更なる着想に従い、型のモールドシェルは、型保持部にて支持されていてもよく、その際、型保持部又はモールドシェルは、それに加えて、傾斜軸を有する傾斜ベアリングを有している、また、傾斜ベアリングはスライドベアリング、特にはプラスチックスライドベアリングである。特には、スライドベアリングは遊びを最小化するために予め負荷を掛けられている。スライドベアリングは特には水や洗浄剤に対して耐性を有してもいる。
【0034】
本発明の更なる着想に従い、型はステーション内で傾斜可能に支持されており、特にはそれぞれが、周方向に対して接線的に延伸する傾斜軸で、又は、特には周方向の接線に対して垂直に運動平面を定めている移動路に沿って、傾斜可能に支持されている。特には、閉じられた型のみが傾斜可能である。
【0035】
本発明の更なる着想に従い、型のモールドシェルは、型保持部にて支持されており、その際、それぞれの型保持部が1つのモールドシェルを支えている。またその際、1つの型に割り当てられた複数の型保持部は、モールドシェルと共に、型を開くために互いに離れるように、そして、型を閉じるために互いに向かい合うように、移動可能であり、それは特には、モールドシェルの間の垂直な分離面と共に行われる。特には、分離面は、加工ホイールの回転軸に関して半径方向でまた回転軸に沿って、延伸している。モールドシェルに加えて、既知のボトムモールドが設けられていてもよい。
【0036】
本発明の更なる着想に従い、型のモールドシェルは、直に直接型保持部にて支持されていてもよい、すなわち、それらの間に型収容部又は型閉鎖保持部を配設することなく、型保持部にて支持されていてもよい。型収容部の間にモールドシェルを配置することは基本的に既知であるが、この場合は、特には避けられるべきである。同様に、モールドシェルを閉じられた位置で保持するための型閉鎖保持部も既知である。これらが存在する場合は、ここではそれらがモールドシェルと型保持部の間には設けられているべきではない。
【0037】
本発明の更なる着想に従い、モールドシェルは型保持部にて、特には傾斜軸の周りで、傾斜可能であり、その際、型保持部又はモールドシェルはそのために傾斜ベアリングを有している。従って、型の両方のモールドシェルは、それぞれ固有(専用)の傾斜軸を有している。型が閉じられている場合には、両方の傾斜軸が有利な様態で互いに同軸に延伸している。
【0038】
本発明の更なる着想に従い、型の閉鎖保持を格別に良好に可能とする本発明に従う装置は、独立請求項1の特徴を有している。熱可塑性のプリフォームから容器を製造するための装置は、回転軸周りで特には鉛直(垂直)な回転軸の周りで回転する加工ホイールを設けられており、当該加工ホイール上には、周方向で互いに連続する複数のステーションが、容器を収容するためのそして特には容器を整形するための型を備えて設けられており、それらは加工ホイールと共に回転する。その際、特には、それぞれのステーションに、流体を供給するための特には圧力下にある流体を供給するためのバルブユニットが割り当てられており、また、型は容器を取り出すために開放可能である。本発明に従い、閉じられた型を内圧によって引き起こされる開放に対して保護するためのスラストベアリングが設けられており、その際、スラストベアリング及び型は、互いに関して移動可能である、すなわち、スラストベアリングが閉じられた型に対して、特には型の互いに向かい合う側部で、外側から力を及ぼす圧力受容位置と、スラストベアリングが型に対して力を及ぼさない別の位置の間で、移動可能である。特に、型は、特には固定した、スラストベアリングの間にあり、また再び逆移動可能である。
【0039】
本発明の更なる着想に従い、ステーション内の型は、それぞれ傾斜軸の周りで傾斜可能に支持されていてもよく、その際、傾斜軸は、スラストベアリングによってそれぞれの閉じられた型へ力を及ぼす際に発生する複数の力の、力の中心の近傍で、力の分布が傾斜軸の両側で1/3対2/3であるように、延伸している。傾斜軸は特には、力の中心を通って伸びている。それぞれのモールドシェルのために2つのスラストベアリングがあり、また、それぞれのベアリングに同じ力が加わる場合、力の中心は、両方のスラストベアリングの間の丁度中心に存在する。傾斜軸が力の中心の外で延伸している場合、傾斜軸の片側には、反対側よりも、より大きな力が生じる。このような力の分配は、特には1/3対2/3であることが見込まれる。
【0040】
本発明の更なる着想に従い、ステーション内の型は、それぞれ傾斜軸の周りで傾斜可能に支持されていてもよく、その際、傾斜軸は、それぞれのモールドシェルのスラストベアリングの間で、直近のスラストベアリングに対する傾斜軸の間隔が、少なくとも、最遠のスラストベアリングに対する間隔の半分の大きさであるように、延伸している。傾斜軸は特には、スラストベアリングの間の中心で延伸している。
【0041】
本発明の更なる着想に従い、スラストベアリングは、閉じられた型が圧力受容位置においてスラストベアリングによりセンタリングされて作用を及ぼされるような、センタリング機能を有している。センタリング機能により、モールドシェル又は型は、定められた位置へ、特にはバルブユニットに対する又は加工ホイールに対する定められた位置へ強制される。
【0042】
本発明の更なる着想に従い、スラストベアリングは、型に対して接触するためのタペットであって駆動されて移動可能なタペットを含んでいる、特には液圧タペットを含んでいる。タペットを用いて、モールドシェルを閉鎖保持するための最大圧力を用意することが出来る。
【0043】
本発明の更なる着想に従い、1つのステーションの互いに向かい合って存在しているスラストベアリングは、摩擦力及び形状に基づいて固定された状態で互いに連結されており、特には共通のベアリングサポートにて支持されており、当該ベアリングサポートはそれぞれの型を収容するためのベアリングギャップを形成している。特には、ベアリングサポートはU字形状に形成されており、サポート脚部の間のベアリングギャップを備えてまたサポート脚部内側のスラストベアリングを備えている。圧力受容位置はベアリングギャップに存在している。
【0044】
本発明の更なる着想に従い、互いに向かい合って存在しているスラストベアリングは、それぞれの型の上部領域のために設けられており、特には、半径方向外側に開いたベアリングギャップを有するベアリングサポートを備えている。
【0045】
本発明の更なる着想に従い、互いに向かい合って存在しているスラストベアリングは、それぞれの型の下部領域のために設けられており、特には、半径方向内側に開いたベアリングギャップを有するベアリングサポートを備えている。
【0046】
本発明の更なる着想に従い、ベアリングサポートのサポート脚部は斜め上方へ指向されており、その結果、サポート脚部を接続するサポートベースは、容器底部の平面の下方に存在する。ベアリングサポートが静止されており又型が開放され鉛直状態にある場合、容器を半径方向に取り出すことが可能であり、その際、ベアリングサポートが邪魔になることはない。
【0047】
本発明の更なる着想に従い、それぞれのステーションは、開放された型内での容器の位置を保護(確保、保証)するための保護機構を有している。
【0048】
本発明の更なる着想に従い、保護機構として、特には固定的な安全ホルダが設けられており、当該安全ホルダは、容器を周方向の移動に対して保護しまた特には容器頭部の領域で作用する。保護機構は、それぞれの容器の、ネック部、キャップ、封止部、又は、上部開口部の直下にて、また特には可動的ではない。
【0049】
本発明の更なる着想に従い、安全ホルダは、特には弾性的なアームとして、上部のベアリングサポートから又は半径方向内側に存在するステーションベースから、容器頭部又はネック部に向かう方向で外側に向かって、延伸する。アームは、特には固定的に、ベアリングサポート或いはステーションベースと、少なくとも間接的に、接続されている。
【0050】
本発明の更なる着想に従い、型が鉛直位置に存在するとすぐに、容器は安全機構によって確保(ロック)される。鉛直位置へ移動する際には、容器頭部は安全機構の間で回動する。
【0051】
本発明の更なる着想に従い、安全機構として、特には固定的な、安全プランク(安全ボード、安全支持体)が設けられており、当該安全プランクは、容器を半径方向外側への運動に対して保護しており、また特には容器頭部の領域で作用する。安全プランクは、それぞれの容器の、ネック部、キャップ、封止部、又は、上部開口部の直下にて、作用する。
【0052】
本発明の更なる着想に従い、ボトムモールド、及び、下方からボトムモールドに接続可能なボトムモールド用の保持機構が設けられており、保持機構は型が閉じられている場合にはボトムモールドから連結解除可能(離脱可能)である。連結解除により、保持機構は型の傾斜を共に実行する必要はない。
【0053】
本発明の更なる着想に従い、保持機構及びボトムモールドは、手動でそして工具なしで操作可能なロック機構を介して接続可能である。ロック機構は特には弾性的に作用を受けるレバーを含んでおり、当該レバーはノッチ内へ係合する。弾性的に作用を受けるレバーは、保持機構とボトムモールドが分離することを防ぐ。弾性的な圧力に対抗してレバーを手動的に操作することは、保持機構とボトムモールドを分離するために可能であることが見込まれる。
【0054】
本発明の更なる着想に従い、保持機構及びボトムモールドは、ロック機構を介して接続可能であってもよく、ロック機構は同時に、保持機構とボトムモールドの間の接続に対する過負荷保護部を形成している。ロック機構は、特には力に基づく固定又は摩擦に基づく固定によって、作用し、そのような固定状態は対向力(カウンターフォース)により非破壊的に克服可能である。対向力は例えば装置の故障によって、例えばボトムモールドが先にモールドシェルから分離される前に保持機構がボトムモールドを上方へ動かしかかっている場合に、発生し得る。特にこの場合は、ロック機構は保持機構及びボトムモールドの分離を許容することが見込まれている。
【0055】
本発明の更なる着想に従い、保持機構及びボトムモールドは、ロック機構を介して接続可能である。その際、ボトムモールドの上方の型の一部は、特には、モールドシェルは解除機構を有しており、当該解除機構は型を閉鎖する際、ロック機構を解除するために作用を及ぼす。ロック機構の解除に伴い、保持機構及びボトムモールドは連結解除され得る。
【0056】
本発明の更なる着想に従い、傾斜された位置から別の位置への又反対に戻る型の運動を制御するための複数のカーブ部が設けられている。別の位置は、特には鉛直位置である。
【0057】
本発明の更なる着想に従い、ボトムモールドのための保持機構の運動を制御するための複数のカーブ部が設けられている。保持機構はカーブ部によって上方又は下方へ動かされる。
【0058】
本発明の更なる着想に従い、バルブユニットは充填軸に沿って配置されており、その際充填軸は斜めに指向されている、すなわち回転軸に対して非平行に指向されている、特に加工ホイールの上方にある回転軸の一部に向かって傾いている。複数のバルブユニットの複数の充填軸は、特には円錐形状を形成している。
【0059】
本発明の更なる着想に従い、本装置はステーション内の容器を封止するためのユニットを有している。それぞれのステーションにユニットが、特にはキャップを取り付けるために、設けられており、バルブユニットと組み合わされている。
【0060】
本発明の更なる着想に従い、型はグリップ凹部又はグリップ部分を備えられたモールドシェルを有していてもよい。これは、モールドシェルの交換時のモールドシェルの取り扱いを容易にする。
【0061】
本発明の更なる特徴は、明細書のその他の記載及び特許請求の範囲の請求項からもたらされる。本発明の複数の実施形態は以下において図面を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】熱可塑性のプリフォームから容器を製造するための装置を上方から見た上面図を示す。
【
図6】スラストベアリングの間で閉じられ傾斜された型の(加工ホイールの回転方向での)側面図を示す。
【
図7】
図6に従うスラストベアリングの間の型の、直線AAに沿った断面図を示す、すなわち加工ホイールの回転方向に対して垂直な視点での断面図を示す。
【
図8】
図6に従うスラストベアリングの間であるが、
図7に従う方向での型の見え方を示している。
【
図9】
図7のように長手断面でスラストベアリングを備える型を示す。
【
図10】調整のための駆動装置及びスラストベアリングと共に、閉じられ傾斜された型を斜視図で示す。
【
図12】直立及び閉鎖といった調整のための駆動部及びスラストベアリングと共に、型を斜視図で示す。
【
図14】開放及び底部の持ち上げといった調整のための駆動部及びスラストベアリングと共に型を斜視図で示す。
【
図16】開放及び底部の降下といった調整のための駆動部及びスラストベアリングと共に型を斜視図で示す。
【
図18】傾斜を調整するためのギア要素と共に閉じられ傾斜された型を斜視図で示す。
【
図20】
図1に従う装置のバリエーションを示す、すなわち、加工ホイール上で持続的に傾けられた型と傾いて指向された受け渡し保持部を備えるバリエーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1に従い、熱可塑性のプリフォーム(パリソン)31から容器30を製造するための装置として、成形充填装置32が企図されている。プリフォーム31は搬送区間33に沿って分散ユニット34に受け渡され、また、そこから周回性の加熱路35へ受け渡される。第1の受け渡し保持部(受け渡しキャリア)36は、伸縮可能且つ回動可能な掴持アーム37を用いて、個々のプリフォーム31を掴持し、当該掴持アーム37は鉛直な軸の周りで回転し、プリフォーム31を加熱路35から成形充填装置32へ受け渡す。
【0064】
成形充填装置32は周回性の加工ホイール38を有しており、当該加工ホイール38はその上に配設されたステーションS1、S2、S3、・・・S12を備えている。回転性のステーションS1からS12は、プリフォーム31から容器30を製造するための型39を有している。完成した容器は第2の受け渡し保持部40によって型39から取り出され、また搬出される。第2の受け渡し保持部40は、第1の受け渡し保持部36と同様に、周回性で伸縮可能且つ回動可能な掴持アーム41を備えている。
【0065】
機械台座42上で回転する加工ホイール38に関連して、両方の受け渡し保持部36、40は、互いに約60°の間隔を有している。従って、プリフォーム31及び容器30の加工ホイール38上での取り扱いは、約300°の回転角に対応する区間に沿って行われる。
【0066】
型39は、複数のステーションS1からS12において、すなわち、型ホルダ44に接して配設されている傾斜ベアリング(傾斜軸受)43において、(型39が閉じられている限りは)傾斜軸Nの周りで傾斜可能に保持されている(特には
図5参照)。傾斜ベアリング43の傾斜軸Nは、
図7及び
図8から見て取ることが出来る。
【0067】
この場合、型38は基本的に3つの可動的な型部材から構成されている、すなわち、直立した2つのモールドシェル45、46及びボトムモールド47から構成されている。この例においては、容器30としてペットボトルを製造するための型39が設けられている。両方のモールドシェル45、46は、基本的に対称に形成されており、それぞれが備える内側輪郭は、製造されるべきボトルの外側輪郭に対応している。その際、モールドシェル45、46は、鉛直で加工ホイール38に関連して半径方向に指向された分離面に沿って、互いに接触している(
図7及び
図8参照)。
【0068】
不図示の実施形態においては、モールドシェルはそれぞれに複数のアタッチメント(インサート部品)を有しており、その内側輪郭は製造されるボトルの外側輪郭に対応しまたそれ自体即座に交換可能である。
【0069】
型39の開放は、型ホルダ44を鉛直な回動軸の周りで回動させることによって及びボトムモールド47を降下させることによって、行われる。
【0070】
図6から
図11では、型39は閉じられ又傾斜されて図示されている。但し簡潔化のため、
図6における型39は直立して描かれている。実際に存在している型39の傾斜は、図中で傾いて書き込まれているが実際には鉛直な直線49と比較することによって、判明する。型39はその上方部分で加工ホイール38の回転軸50(
図3)の方向へ、つまり加工ホイール38の中心に向かって、とりわけ特には約30°の角度で、傾斜されている製造時に発生する遠心力やそれに関連する容器30内での液面の状態の変化に応じて、それとは異なる角度調整も有利であり得て、それは、製造時に発生する遠心力やそれに関連する容器30内での液面の状態の変化に依存する。
【0071】
型39及び容器30或いはプリフォーム31は、この場合、互いに同等に指向されている。すなわち、型39が鉛直な状態にある場合、傾斜してはおらず、容器30或いはプリフォーム31も鉛直に指向されている。重要であることは容器30の指向性である。
【0072】
閉じられた型39は、その傾斜位置(
図6から
図11)では、外側から力を加えるスラストベアリング51、52、53、54によって、発生する内圧に対して保護(安全状態に)されている。上部のスラストベアリング51、52は、型39の上方部分の互いに向かい合う外側面に作用しており、その結果、それぞれのモールドシェル45、46には、上部領域において、それぞれ1つのスラストベアリング51、52が力を加えている。同様に、下部のスラストベアリング53、54は型39の下部領域において同じく型39の下方部分の向かい合っている側面に作用している(特には
図7から
図9参照)。
【0073】
それぞれのスラストベアリング51から54は液圧タペット55を有しており、当該液圧タペット55はセンタリング凸部56を、それぞれのモールドシェル45、46におけるそれに対して対応的なセンタリング凹部57内へ押し込む。
【0074】
上部のスラストベアリング51、52は、上部のベアリングサポート60の脚部58、59に配設されており、当該ベアリングサポート60はその脚部58、59の間にベアリングギャップを形成している。下部のスラストベアリング53、54は、下部のベアリングサポート63の脚部61、62に配設されており、当該ベアリングサポート63も同様にベアリングギャップを形成している。傾斜された容器39は、両方のベアリングギャップ内に存在する。液圧タペット55への供給のために、ベアリングサポート60、63は、液圧用液体のための流路64を有している。
【0075】
型39の開放、閉鎖、及び、傾斜は、時間的にまた制御技術的に互いに調整されている。プリフォーム31は、鉛直で開放されている型39内へ受け渡される(
図1のステーションS2参照)。型39を閉鎖することによって、プリフォーム39はボトルネック部65を掴まれる。その際、ボトルネック部65のサポートリング66は型39の上面に存在する(
図7参照)。それに続き閉じられた型39は傾斜され(
図1のステーションS1参照)、その結果、型39及びボトルネック部65は、それぞれのステーションS1からS12に設けられたバルブユニット67と共に同軸に調整されている。バルブユニット67は、加工ホイール38の中心に対して、従って
図3に示されている回転軸50の方向へ、特には約30°で、傾けられている。
【0076】
図1のステーションS1からS6の間の領域では、複数のプリフォーム31が、高圧下にありまた容器内容物として予定されている液体を充填され、その結果、同時に容器が成形される。その際、型39は傾斜されており、またスラストベアリング51から54によって開放に対して保護されている。
【0077】
おおよそステーションS7、S6の間の領域では、型39は傾斜位置から鉛直位置へ戻され(特には
図5参照)、またそれに続き、両方のモールドシェル45、46を互いに遠ざかるように回動することによって開放される(特には
図5のステーションS5参照)。それに続き、容器は掴持アーム41によって支持リング66の下方で掴まれ、ボトムモールド47は降下される(
図5のステーションS4参照)。
【0078】
ステーションS1からS12のそれぞれにおける型39の傾斜工程並びにボトムモールド47の降下工程は、制御カーブ(ガイドカーブ)68、69の制御ローラ(カムローラ)70、71との協働によって制御される。制御ローラ70は中間空間を有して上下に並んで制御ローラキャリア72にて支持されており、同様にして制御ローラ71は制御ローラキャリア73にて支持されている。両方の制御ローラ70の間の中間空間、或いは、両方の制御ローラ71の間の中間空間は、以下のように寸法決定されている、すなわち、制御カーブ68或いは制御カーブ69がそれらの間に適合するように、また、制御カーブ68、69による制御ローラキャリア72、73のほぼ遊びのない案内が可能であるように、寸法決定されている。
【0079】
制御ローラキャリア72、73は、ガイド機構74にて、つまりここではガイドロッドにて、上下移動可能である。ガイド機構74はステーションS1からS12に固定的に配設されており、またこれらのステーションS1からS12と共に周回する。
【0080】
後方(半径方向内側)の制御ローラキャリア72(
図10から
図19においてはそれぞれ右側に示されている)は、型39の傾斜を制御し、またそのために上部へ向かってギアラック75と接続されている(
図18、19参照)。それに対応的に、型39は半径方向内側にギアセグメントを有している。具体的には2つのギアセグメント76、77、すなわち、それぞれのモールドシェル45、46ごとに1つのギアセグメントである(
図18)。制御ローラキャリア72が上方へ移動する場合、型39は鉛直状態にあり(
図19)、制御ローラキャリア72が下方へ移動する場合、型39は傾けられている(
図18)。
【0081】
半径方向外側の制御ローラキャリア73は、ボトムモールド47用の保持機構(ホルダ機構)78に接続されている。保持機構78には、クランプ機構80を入れ込むためのサイドノッチ79(
図11)が設けられている。クランプ機構80はこの場合、ボトムモールド47の下部面にあるダブルアーム状のレバー部であり、また、ノッチ79内へ入り込むため弾性的に力を加えられている(不図示)。
【0082】
モールドシェル45、46の下部面には、圧力機構81として下方に指向されたピンが配設されており、当該ピンは端部にてモールドシェル45、46を閉鎖する際にダブルアーム状のクランプ機構80に作用し、またそれによりクランプ機構80とノッチ79の間の接続を解除する。圧力機構81はその意味では、ロック機構として作用するクランプ機構80にしてノッチ79と協働するクランプ機構80用の解除機構である。その際、解除機構はモールドシェル45、46に割り当てられており、また、ロック機構はボトムモールド47に割り当てられている。ノッチ79のみが、保持機構78の特徴部分として制御ローラキャリア73に関連付けられている。
【0083】
モールドシェル45、46の開放及び閉鎖は、図示していない駆動部によって制御されてもよく、特には、マシンフレーム42に対する加工ホイール38上のそれぞれのステーションS1からS12の最新の回転角度に依存して制御されてもよい。両方のモールドシェル45、46の型ホルダ44は、共通の鉛直軸82の周りで回動可能である(
図11参照)。
図11には、関連する回動ベアリング83も図示されている。
【0084】
図4及び
図5からは、容器30を取り出すまでの型39の移動を見て取ることが出来る。充填工程はステーションS7の範囲で終了している。型39は依然として、ベアリングサポート60、63の間の傾いた位置にある。
【0085】
ステーションS6にある型39は、既に鉛直位置へと回動されているが依然として閉鎖されている。モールドシェル45、46はもはやスラストベアリング51から54による作用を受けてはいない。
【0086】
ステーションS5内の型は開放されている、すなわち、モールドシェル45、46は互いに離れて移動したが、その一方でボトムモールド47はその上部位置に存在している。
【0087】
ステーションS4は直接受け渡し保持部40と向かい合っている。複数の掴持アーム41のうちの1つが、支持リング66の下方でまさに容器30を掴んでおり、その結果、容器は鉛直方向でも保持されている。対応的にボトムモールド47はここでは既に降下されている。
【0088】
開放された型から容器30を取り出す前の最後の領域では、容器30は特別な様態で、加工ホイール38の周方向での移動に対して、半径方向でも鉛直方向でも、保護されている。容器30の降下移動は、依然としてその上部位置に存在するボトムモールド47によって、避けられている。
【0089】
周方向での移動は、そのために特別に設けられた安全ホルダ84によって避けられる。安全ホルダ84として、それぞれのステーションS1からS12は2つの特には弾性的なアームを有しており、当該アームは上部のベアリングサポート60から或いはステーションベースからボトルネック部又は容器キャップの方向へ延伸している、具体的には両側で同様に、その結果、容器30はこの領域内で、周方向でも周方向の反対でも押さえられている。アームの複数の自由端部は湾曲していてもよく、そのようにしてキャップ85の周りで部分的に又は若干遠くまで延伸していてもよく、特には
図10、11の安全ホルダの形態を参照されたい。
【0090】
アーム(安全ホルダ84)はそれぞれのステーションS1からS12に固定的に配設されているので、上記の保護は(容器30を備える)型39の鉛直位置においてのみ、もたらされる。型39の傾斜位置では、安全ホルダ84は作用しない、或いは、型39の上部部分は安全ホルダ84の間には存在していない(特には
図4、5のステーションS7参照)。
【0091】
別の安全機構として、マシンフレーム42に固定した安全プランク86が設けられており、当該安全プランク86はボトルネック部又はキャップ85を半径方向で(外側に向かって)押さえている。安全プランク86はこの場合、2つのステーションよりも若干大きい回転角度に渡って、対応的に60°よりも若干大きい回転角度に渡って延伸している。ステーションS4の領域では、安全プランク86は若干半径方向で外側に曲げられておりまた、掴持アーム41のキネティクス(動力学)に合わせて終端している。
【0092】
図1から
図3には、安全プランク86がおおよそ30°分だけ短く図示されており、従って回転方向はより遅く始まっている。安全プランク86の具体的な延在具合は、型39を開放する時点に依存する。型39が開き始めるとすぐに、容器30が半径方向で支持されることが見込まれる。
【0093】
バルブユニット67には、ステーションS1からS12内部で容器を封止するための不図示のユニットが統合されていてもよい。それは一時的な封止であっても、未だ完全ではない封止であってもよい。有利には、型から容器を取り出す前の少なくとも暫定的な封止である。
【0094】
図20は、部分図で代替的な実施形態を示している。既に説明したように、1つの加工ホイール上には複数の個別のステーションが配設されている。これまでの実施例とは異なり、型はステーション内で傾斜可能ではなく、もっぱら鉛直に対して傾斜した位置にある。角度は例えば30°の値を取る。対応的に、完成した容器は傾斜した状態で型39から取り出されなければならない。目的は、
図20の左側に示されているような、鉛直状態での容器30の搬出である。それを可能とするため、機能面では第二の受け渡し保持部40に対応する受け渡し保持部87は、傾斜した回転軸88に配設されており、当該回転軸88の傾きは型39内部の容器30の傾きの半分の値を取る。対応的に握持アーム89は、握持アーム89がコンベヤに容器30を引き渡す際に水平に調整されているように、受け渡し保持部87の回転面に対して下方に下がって傾けられている。
【0095】
図面を用いて詳述された装置を用いて、特には、加工ホイールの大きな回転速度の際にまた遠心力に起因する液体の喪失を避けて、充填を同時に行いつつプリフォームから容器を成形すること(ハイドロフォーミング)、が可能となる。同時にモールドシェル45、46は前述のスラストベアリング51から54によって確実に一体にされる。その際、モールドシェルの移動に関与するベアリングは負荷を掛けられない。むしろ、容器を成形する際に両方のモールドシェル45、46に作用する内圧は、互いに固定的に接続されたスラストベアリングへ導かれ、そこで相殺される。この場合、互いに向かい合うスラストベアリングは、そのうえさらに1つの固定された共通の部材にて、とりわけベアリングサポート60、63にて保持されている。
【符号の説明】
【0096】
30 容器(ボトル)
31 プリフォーム(パリソン、予成形体)
32 成形充填装置
33 搬送区間
34 分散ユニット
35 加熱路
36 第1の受け渡し保持部
37 握持アーム
38 加工ホイール
39 型(モールド)
40 第2の受け渡し保持部
41 握持アーム
42 マシンフレーム
43 傾斜ベアリング
44 型ホルダ
45 モールドシェル
46 モールドシェル
47 ボトムモールド
48 分離面
49 鉛直線
50 回転軸
51 スラストベアリング
52 スラストベアリング
53 スラストベアリング
54 スラストベアリング
55 液圧タペット
56 センタリング凸部
57 センタリング凹部
58 脚部
59 脚部
60 上部のベアリングサポート
61 脚部
62 脚部
63 下部のベアリングサポート
64 液圧流路
65 ネック部、ボトルネック部
66 支持リング
67 バルブユニット
68 内側の制御カーブ
69 外側の制御カーブ
70 制御ローラ
71 制御ローラ
72 制御ローラ保持部
73 制御ローラ保持部
74 ガイド機構
75 ギアラック
76 ギアセグメント
77 ギアセグメント
78 保持機構
79 ノッチ
80 クランプ機構
81 圧力機構(プレス機構)
82 回動軸
83 回動ベアリング
84 安全ホルダ
85 キャップ(蓋)
86 安全プランク
87 受け渡し保持部
88 回転軸
89 握持アーム
N 傾斜軸