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特許7122379スイッチング電源回路およびそれを備えた電力変換装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】スイッチング電源回路およびそれを備えた電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220812BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20220812BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H02M3/28 T
H02M1/08 341A
H03K17/08 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020529901
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(86)【国際出願番号】 JP2018026209
(87)【国際公開番号】W WO2020012583
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田邉 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史宏
(72)【発明者】
【氏名】平賀 正宏
【審査官】土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0261594(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102315758(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0226151(US,A1)
【文献】特開平10-178735(JP,A)
【文献】特開2011-015461(JP,A)
【文献】国際公開第2003/079527(WO,A2)
【文献】特開2014-166136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H02M 3/28
H02J 50/10
H03K 17/08
H03K 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧源の高電圧側に1次巻き線の一方の端子が接続されたトランスと、
前記直流電圧源の低電圧側にソース端子が接続された第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子のゲート端子にゲート信号を出力するコントローラと、
前記第1のスイッチング素子のドレイン端子にソース端子が接続され、前記トランスの1次巻き線の他方の端子にドレイン端子が接続された第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子のゲート端子にカソード端子が接続され、前記第2のスイッチング素子のソース端子にアノード端子が接続された第1のツェナダイオードと、
前記直流電圧源の端子間に接続された2つのコンデンサの直列体と、
前記2つのコンデンサの直列体の接続点と前記第2のスイッチング素子のゲート端子の間に接続された第1の抵抗と、
前記第2のスイッチング素子のゲート端子にカソード端子が接続され、前記直流電圧源の低電圧側にアノード端子が接続された第2のツェナダイオードを備え、
前記2つのコンデンサのそれぞれに並列に抵抗が接続されており、
前記第1の抵抗と前記第2のスイッチング素子のゲート端子の間であって、かつ前記第2のツェナダイオードのカソード端子と前記第2のスイッチング素子のゲート端子の間にゲートドライブ回路が接続されていることを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング電源回路であって、
前記ゲートドライブ回路は、少なくとも抵抗、ダイオード、インダクタのいずれかひとつを含むことを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスイッチング電源回路を有する電力変換装置であって、
交流電圧源からの交流電圧を整流する整流回路と、前記整流回路で整流された直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路を備え、前記直流電圧の高電圧側と低電圧側の端子間に、前記スイッチング電源回路が接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電圧部から電圧仕様の異なる直流電圧を得る絶縁型スイッチング電源回路を備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電圧を受電して直流電圧を得、更にこの直流電圧から電圧仕様の異なる直流電圧を得る絶縁電源回路としてフライバックコンバータ等の種々のスイッチング電源回路がある。これらのスイッチング電源回路は、直流電圧部から直流電力の供給を受けてトランスの一次側をPWM制御回路によりスイッチング制御し、電圧仕様の異なる直流電圧を出力するものである。この直流電圧部の電圧は、入力される交流電圧が高圧になるほど高くなり、その交流電圧に応じて350V~1000Vを超える電圧まで対応する必要がある。公知のスイッチング電源回路に用いられるスイッチング素子は、交流200V受電の場合は数百V耐圧のMOSFETであるのに対し、交流400V受電の場合は1000Vを超える耐圧を有するMOSFETを備える必要があった。特に、1000Vを超える耐圧のスイッチング素子はコストが高く課題であった。
【0003】
これらの課題を解決する手段として、複数の数百V耐圧のMOSFETを直列に組み合わせる回路構成が非特許文献1、非特許文献2に記されている。この回路構成では1000Vを超過する直流電圧を、複数の数百V耐圧のMOSFETで分担することで各MOSFETの耐圧を超過しない範囲でスイッチングすることが可能であり、従来1000Vを超える耐圧のスイッチング素子を用いていた場合に比べてコストを低減できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Texas Instruments, 400V-to 690V AC Input 50-W Flyback Isolated Power Supply Reference Design for Motor Drives, September 2014-Revised November 2014
【文献】Infineon, Application Note CoolSET&CoolMOS Ultra Wide Input Range, HV-BIAS Supply for SMPS with ICE2B25 and SPA02N80, Version 1.1, March 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1のFig.3及び非特許文献2のFig.2には、コントローラにゲート端子が接続された第1のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子に直列に接続され、第1のスイッチング素子に同期してスイッチングする様に構成された第2のスイッチング素子を備えている。しかし、各スイッチング素子のスイッチングのタイミングを同期させるために、従来1000Vを超える耐圧を有するスイッチング素子を適用していた場合に比べて部品点数が増加するため、実装面積の増加を招いており課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記背景技術及び課題に鑑み、その一例を挙げるならば、スイッチング電源回路であって、直流電圧源の高電圧側に1次巻き線の一方の端子が接続されたトランスと、直流電圧源の低電圧側にソース端子が接続された第1のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子のゲート端子にゲート信号を出力するコントローラと、第1のスイッチング素子のドレイン端子にソース端子が接続され、トランスの1次巻き線の他方の端子にドレイン端子が接続された第2のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子のゲート端子にカソード端子が接続され、第2のスイッチング素子のソース端子にアノード端子が接続された第1のツェナダイオードと、直流電圧源の端子間に接続された2つのコンデンサの直列体と、2つのコンデンサの直列体の接続点と第2のスイッチング素子のゲート端子の間に接続された第1の抵抗と、第2のスイッチング素子のゲート端子にカソード端子が接続され、直流電圧源の低電圧側にアノード端子が接続された第2のツェナダイオードを備える構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、部品点数及び実装面積を削減しつつコストを低減できるスイッチング電源回路およびそれを備えた電力変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来の一般的に用いられているスイッチング電源回路の回路構成図である。
図2】非特許文献1、2に記されているスイッチング電源回路の回路構成図である。
図3】実施例1におけるスイッチング電源回路の回路構成図である。
図4】非特許文献1および実施例1におけるスイッチング電源回路の各部の動作波形である。
図5】実施例2におけるスイッチング電源回路の回路構成図である。
図6】実施例3におけるスイッチング電源回路の回路構成図である。
図7】実施例3におけるスイッチング電源回路のゲートドライブ回路の一例として抵抗を接続した回路構成図である。
図8】実施例3におけるスイッチング電源回路のゲートドライブ回路の一例として抵抗に並列にダイオードを接続した回路構成図である。
図9】実施例3におけるスイッチング電源回路のゲートドライブ回路の一例としてインダクタを接続した回路構成図である。
図10】実施例3におけるスイッチング電源回路のゲートドライブ回路の一例としてコンデンサを接続した回路構成図である。
図11】実施例4におけるスイッチング電源回路を適用した電力変換装置の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、本実施例の前提となる、従来のスイッチング電源回路の回路構成について説明する。図1は、従来の一般的に用いられているスイッチング電源回路の回路構成図を示し、図2は非特許文献1、2に記されている回路構成図である。
【0011】
図1に示すように、従来一般的に用いられているスイッチング電源回路に適用されるスイッチング素子は、スイッチング素子S1ひとつであり、スイッチング素子S1がコントローラCTRLからの信号を受けてオンしている期間にトランスTrの1次側に直流電圧源Vinの電圧を印加し、トランスTrにエネルギーを蓄える。その後、スイッチング素子S1がオフしている期間に、トランスTrに蓄えたエネルギーをトランスの2次側に伝達する。スイッチング素子S1は、コントローラCTRLからのゲート信号を受けてスイッチングし、例えばトランスTrの2次側の電圧を所望の電圧とするように制御される。ここで、直流電圧源Vinの電圧が1000Vを超過する場合には、スイッチング素子S1に1000Vを超過する耐圧を有するものを適用する必要があり、コストの増加を招いており課題であった。
【0012】
一方、図2に示す回路では、従来1000Vを超過するスイッチング素子S1ひとつで構成されていた部分に、数百V耐圧のスイッチング素子S1、S2を直列に接続している。回路動作は図1に示す回路と概ね等しく、スイッチング素子S1、S2がいずれもオンしている期間にトランスTrの1次側にVinの電圧を印加し、スイッチング素子S1、S2がいずれもオフしている期間にトランスTrに蓄えたエネルギーをトランスの2次側に伝達する。ここで、スイッチング素子S2は、スイッチング素子S1のスイッチングに同期するように回路を構成しており、さらに、図1に示す回路から、抵抗R1、ツェナダイオードZD1、ZD2が追加されている。更なる詳細な動作については、非特許文献1、2に記載されているため省略する。
【0013】
図2に示す非特許文献に記載された回路では、スイッチング素子S1がコントローラCTRLの信号を受けてターンオンした場合、スイッチング素子S1のドレイン端子の電圧が概ね直流電圧源の低電圧側の電圧と一致するため、抵抗R1、スイッチング素子S2のゲートーソース間容量CgsS2に、直流電圧源Vinの電圧が印加される。従って、抵抗R1と直流電圧源Vinの電圧により決定される電流によりスイッチング素子S2のゲートーソース間容量CgsS2が充電され、CgsS2の電圧がスイッチング素子S2の閾値電圧を超過した時にスイッチング素子S2がターンオンする。ここで、スイッチング素子S2のゲートーソース間容量を充電する電流IgsS2は、式(1)で表される。
【0014】
IgsS2=Vin/R1 ・・・(1)
次に、本実施例におけるスイッチング電源回路1の回路構成を図3を用いて説明する。図3においては、抵抗R1において、図2に示す回路構成では直流電源の高電圧側に接続していた端子を、2つのコンデンサCb1、Cb2の接続点に接続している。
【0015】
コンデンサCb1、Cb2の電圧が概ね等しいと仮定すると、各コンデンサCb1、Cb2には直流電圧源Vinの半分の電圧Vn1が印加される。従って、図3に示す回路において、スイッチング素子S1がターンオンした際に、CgsS2を充電する電流IgsS2’は式(2)で表される。
【0016】
IgsS2’=Vn1/R1’ ・・・(2)
ここで、式(1)に示すIgsS2と、式(2)に示すIgsS2’が等しくなる様に抵抗R1’の値を定めると、式(3)で示される定数となる。
【0017】
R1’=R1/2 ・・・(3)
非特許文献2のFig.2に記載された定数によると、R1=4MΩ(1MΩ×4直列)であるから、本実施例における抵抗R1’の抵抗値は、概ね2MΩと試算される。即ち、図2に示す回路構成では抵抗R1として1MΩを4個直列で構成していたのに対し、本実施例に記載の回路構成では抵抗R1’として1MΩを2個直列で構成可能となる。なお、ここで用いる抵抗R1,R1’は大容量のものが必要であるため、その形状は大きく、よって、抵抗の値を概ね半減することは、部品点数の削減以外にも、実装面積の省スペース化に大きく貢献できる。
【0018】
図4に、非特許文献1および本実施例におけるスイッチング電源回路の各部の動作波形を示す。図4(a)が、図2に示す非特許文献1の回路において抵抗R1の値を4MΩとした場合の各部の動作波形を示し、図4(b)が、図3に示す本実施例の回路において抵抗R1’の値を2MΩとした場合の各部の動作波形である。
【0019】
なお、図4において、ITrはトランスTrの1次巻き線の電流、Vn1、Vn1’はNode1、Node1’の電圧、VgsS1、VgsS2はスイッチング素子S1、S2のゲートーソース間電圧、VdsS1、VdsS2はスイッチング素子S1、S2のドレインーソース間電圧である。
【0020】
図4に示すように、スイッチング素子S1のゲート電圧がコントローラCTRLの信号を受けて立ち上がり、スイッチング素子S1がターンオンした時に、スイッチング素子S2のゲート-ソース間容量CgsS2を充電する電流は非特許文献1と本実施形態で概ね同等であり、スイッチング素子S2のゲートーソース間電圧VgsS2が増加する傾きは概ね一致している。即ち、スイッチング素子S1、S2のスイッチングのタイミングは非特許文献と本実施例で同様であり、図2に示す回路と図3に示す回路は同様の動作をする。
【0021】
以上述べた様に、本実施例では従来回路で用いられていた抵抗R1の値を概ね半減することが可能であり、部品点数の削減、実装面積の省スペース化を実現することができる。
【0022】
なお、図3に示す回路ではコントローラCTRLとスイッチング素子S1を別体としているが、非特許文献2に示すようにコントローラCTRLとスイッチング素子S1が一体になった素子を適用しても良い。
【実施例2】
【0023】
図5は、本実施例におけるスイッチング電源回路の回路構成図である。図5において、実施例1の図3との共通点は重複説明を省略する。図5において、図3と異なる点は、抵抗R1’に並列にダイオードD1を設けている点である。
【0024】
実施例1で述べたように、図3に示す回路ではスイッチング素子S1がターンオン/オフした後にスイッチング素子S2のゲート-ソース間容量CgsS2が充放電され、スイッチング素子S2がターンオン/オフする。このため、抵抗R1’の値を低減すればするほど、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2のターンオン/オフのタイミングの差が狭まり、より理想的にスイッチング素子S1とスイッチング素子S2を同期させることが可能になる。しかしながら、抵抗R1’の値を低減させるとスイッチング素子S2の誤点弧や抵抗R1’での損失増加といった新たな課題が生じるため、抵抗R1’の値の低減幅には限界がある。
そこで、図5に示すように抵抗R1’に並列にダイオードD1を設けることで、スイッチング素子S1がターンオンした後にスイッチング素子S2がターンオンする場合は、抵抗R1’を経由してスイッチング素子S2のゲート電流が流れるのに対し、スイッチング素子S1がターンオフした後にスイッチング素子S2がターンオフする場合は、ダイオードD1を経由してスイッチング素子S2のゲート電流が流れる。従って、抵抗R1’に並列にダイオードD1を接続することにより、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2のターンオフのタイミングの差を狭め、更にスイッチング素子S2がターンオフする際のゲート電流がダイオードD1に流れるため、抵抗R1’での損失を低減させることが可能となる。
【0025】
以上述べたように本実施例では、図3に示す回路に対し抵抗R1’に並列にダイオードD1を追加している。これにより、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2のターンオフのタイミングの差を狭めることが可能となり、かつ抵抗R1’での損失が低減する。
【実施例3】
【0026】
次に、図6図10を用いて本実施例のスイッチング電源回路1について説明する。なお、実施例1、2との共通点は重複説明を省略する。本実施例では、図3に示す実施例1の回路に対し、図6に示すように、スイッチング素子S2のゲート端子にゲートドライブ回路GDを追加している。
【0027】
図7には、ゲートドライブ回路GDの一例として、図3に示す回路に対し、スイッチング素子S2のゲート端子に抵抗R2を接続した場合を示す。抵抗R2を接続することで、例えばスイッチング素子S2がターンオンする際のゲート電圧の立ち上がり時間が、図3に示す回路に比べて遅延するため、スイッチング素子S2から生じるスイッチングノイズを低減することが可能となる。
【0028】
図8は、ゲートドライブ回路GDの一例として、図7に示す回路に対し、抵抗R2に並列にダイオードD2を接続した場合を示す。図8に示すように、ダイオードD2を接続することにより、スイッチング素子S2がターンオフした際のゲート電圧の立下り時間が図7に示す回路よりも短縮し、スイッチング素子S2のターンオフ損失が低下する。このため、スイッチング素子S2のターンオフ損失が低減し図7に示す回路よりも効率が向上する。
【0029】
以上のように、ゲートドライブ回路GDとして、抵抗R2、ダイオードD2を接続することで、スイッチング電源回路1の変換効率やスイッチングノイズレベルを調整することが可能となる。
【0030】
また、図9には、ゲートドライブ回路GDの一例として、図3に示す回路に対し、スイッチング素子S2のゲート端子にインダクタL1を接続した場合を示す。図9に示すように、インダクタL1を追加することでスイッチング素子S2のゲート端子とノードNode1’の間のインピーダンスが増加するため、外乱ノイズにより生じるスイッチング素子S2のゲート端子やツェナダイオードZD1に流れる電流を減少させ、スイッチング素子S2が誤点弧することを抑制することが可能となる。
【0031】
図10には、図3に示す回路に対し、スイッチング素子S2のゲート-ソース間に新たにコンデンサC1を接続した場合を示す。図10に示すように、コンデンサC1を接続することにより、外乱ノイズにより高周波成分がスイッチング素子S2のゲート端子に流れた場合に、スイッチング素子S2のゲート電圧が増加する時間を図3に示す回路よりも長くすることが可能となり、スイッチング素子S2の誤点弧を抑制することが可能となる。
【0032】
以上述べたように、スイッチング素子S2のゲート端子に、抵抗、ダイオード、インダクタ、コンデンサ等の受動部品から成るゲートドライブ回路GDを接続することで、スイッチング電源回路1の種々要素に対する動作特性を所望の値とするように調整することが可能となる。
【実施例4】
【0033】
図11は、本実施例におけるスイッチング電源回路を適用した電力変換装置の回路構成図である。本実施例では、図11に示すように、図3図5図10に述べたスイッチング電源回路1の適用先の一例として、交流電源4から電力を入力し、モータ5等の交流負荷に電力を出力するインバータ回路からなる電力変換装置に適用した場合の回路構成について述べる。
【0034】
図11に示すように本実施例においては、スイッチング電源回路1は、交流電源から電力を入力しダイオードDB1~DB6から成る整流回路2と、スイッチング素子Q1~Q6から成るインバータ回路3とで構成される電力変換装置に組み込まれている。整流回路の出力部の電圧は、交流系統の電圧に応じた直流電圧Vdcとなり、コンデンサCb1、Cb2の直列体に直流電圧Vdcが印加されている。そして、スイッチング電源回路1は、図3図5図10に示すように、トランスTrの2次側電圧を出力する。
【0035】
以上述べたように本実施例では、交流電源からの交流電力を入力し、交流電力を出力するインバータ回路からなる電力変換装置に、スイッチング電源回路1を適用した場合の回路構成について述べた。またスイッチング電源回路1の適用先はこれに限らず、直流入力或いは直流出力の電力変換装置に関しても同様に適用可能である。
【0036】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1:スイッチング電源回路、Cb1,Cb2,C1:コンデンサ、Rb1,Rb2,R1,R1’,R2:抵抗、D1,D2:ダイオード、L1:インダクタ、ZD1,ZD2:ツェナダイオード、S1,S2:スイッチング素子、CgsS2:スイッチング素子、S2のゲートーソース間容量、Tr:トランス、GD:ゲートドライブ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11