(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】履物。
(51)【国際特許分類】
A43B 13/14 20060101AFI20220812BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A43B13/14 B
A43B23/02 102
(21)【出願番号】P 2021063588
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】P 2020072594
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594113517
【氏名又は名称】斉藤 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070530
【氏名又は名称】畑 泰之
(72)【発明者】
【氏名】田近 次郎
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 さち子
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 幹雄
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-061563(JP,A)
【文献】特開2001-309801(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154424(JP,U)
【文献】実開昭62-166703(JP,U)
【文献】実開昭56-016303(JP,U)
【文献】実公昭11-009314(JP,Y1)
【文献】実開昭63-050205(JP,U)
【文献】登録実用新案第3024538(JP,U)
【文献】国際公開第2011/059045(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/14-13/26
A43B 17/00-17/18
A43B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の内部に於ける人間の足部が接触する履物底表面部分において、人間の足部における中足指節関節部に対応する部分よりも指先方向に向けた前方部分に対応する当該履物底表面部分に、人間の各足指部に於ける少なくとも先端部分がいづれも嵌合できる様な、当該履物底表面部分より下方に向けて形成された凹陥状部分が設けられていると共に、当該履物の前方部分を構成する少なくとも一部の甲板部分に於ける履物内面部側の表面部分は、少なくとも当該凹陥状部分に於ける当該履物の前方部分と対応する縁部に沿って、且つ当該履物の内部方向に向けて傾斜状態に配置形成されており、当該甲板部分に於ける履物の内面部側の表面部分が当該各足指部を当該凹陥状部分内部に誘導させるためのガイド部材として機能すると共に、当該ガイド部材と当該凹陥状部分により形成された空間域内に当該各足指部を強く積極的に当該履物底表面部分より下方に向けて屈曲させた状態に
保持する様に構成されている事を特徴とする履物。
【請求項2】
当該履物に於ける靴底部の少なくとも前方先端部分を構成する部材及び当該履物の前方部分を構成する少なくとも一部を構成する甲板部分の構成部材は、柔軟性を有し且つ弾発性或いは伸縮性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の履物。
【請求項3】
当該履物底表面部分の少なくとも前方先端部分及び当該履物の前方部分を構成する少なくとも一部の甲板部分は、共に、当該履物底表面部分の水平面に対して、上下方向に揺動する様に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の履物。
【請求項4】
足指部の末節骨が当該履物の履物底表面部分に於ける平面に対して25度乃至50度の角度で下方側に下降している事を特徴とする請求項1又は2に記載の履物。
【請求項5】
当該足指部の末節骨が、当該下方側に下降している状態から上方方向に向けて90度乃至120度の角度範囲内に於いて反り返り状に旋回可能となるように構成されている事を特徴とする請求項4に記載の履物。
【請求項6】
当該履物は、マラソン用シューズ、競歩用シューズ、ジョギング用シューズ、スニーカーからなる群から選択された一つである事を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の履物。
【請求項7】
当該履物は、当該履物底表面部分を有する履物底部と、当該履物底部の少なくとも前方先端部分のみを被覆する甲板部と、履物底部の後方部に設けられた踵部固定部材とからなる事を特徴とする請求項1乃至5のいづれかに記載の履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関するものであり、特に詳しくは、人間の足指を積極的に屈伸させる事により、健康増進と老化防止を図り、国家の医療関連費用の削減に貢献する履物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人の足裏面、特には、足指関節部分は、人間の第二の心臓と言われる程に重要な部分であり、特に足指の上下運動を繰り返すことは、血行が促進され、且つ、特に人間の末端にある血管部分の血液を効果的に心臓に戻す事が人間の新陳代謝に大きく寄与するものであり、これが健康維持に関して非常に注目されており、近年では、この点が特に重要視されてきており、外反母趾、浮指、偏平足の防止やその治療に活用され始めているほか、足腰の冷え性の防止や、高齢者の転倒防止や歩行障害の改善にもこの種の活用が期待されている。
【0003】
近年、世界的に話題となっている、足指グーパー運動は、係る知見を基に、誰でも簡単にできる運動として注目されている。
つまり、近年では、人間の足裏面、特に足指の動作を活発にすることが、上記各種の障害、病気の治療や予防に重要であるとの認識が高まって来ているのである。
【0004】
処で、従来から一般的に使用されている履物としての運動靴と称されるものは、これを履き、歩行、ランニングした場合には、単に、前記運動靴の指先方向のみが前方部分の水平面に対して、上部方側に揺動するだけで機能しかもっておらず、上記したように、足指を積極的にかつ大きく揺動させる様な機能は全く持っていないのが現状である。
つまり、従来使用されている多くの運動靴に於いては、これを履き歩行、ランニング及び走った時に、当該足指分部は上部方向にむけて反った状態にはなるが、下部方向には曲がった状態にはならないと言う問題点があった。
【0005】
一方、従来に於いて、履物分野に於いて、当該足指分部を、当該履物の底部表面から下側に向けて曲げようする試みが幾つか見受けられるが、その一例として、例えば、特開2017-121388号公報(特許文献1)が知られているが、当該公知例に於いては、履物としての具体例は下駄であり、当該下駄に於いて、足指部に相当する下駄板部分を削除して、足親指始め残りの足指部が当該下駄板部分の平面よりも下方に折れ曲がれるように構成したものであるが、係る公知例では、当該各足指が容易に下向きに折れ曲がる事は可能であるとしても、当該各足指をその下方位置から上方に向かって積極的に反転上昇させるという構成は全く存在していないので、当該足指の上下運動を効果的に実施する事は不可能なものである。
【0006】
又、特許第3369885号公報(特許文献2)が知られているが、当該公知例では、足指を靴の内部でしっかり固定させ、踏ん張り力を最大限に発揮させることを目的として、当該靴の中敷部の表面に足指間の間隙部に挿入される足指付け根凸部を設けると共に、その後端側に、足指中足骨部が篏合出来る凹部とその前端部に足指先部が篏合出来る凹部とを設けると共に、当該足指先部篏合凹部が当該靴の中敷部の表面よりも低くなるように配置された靴の構造が開示されている。
【0007】
然しながら、当該公知例に於いては、当該踏ん張り時の足指の位置を水平方向にずれない程度に固定することを目的として当該足指先部篏合凹部を設けたものにすぎず、当該足指先部を深めにかつ強く積極的に屈曲させることを目的としたものではないことは明白である。
然も、当該公知例に於いては、当該足指先部を下方に曲げた状態から反転させて大きな角度で上方つまり靴の上側方向に旋回させることに関した何らの開示も示唆も見当たらない事は明らかである。
更に、本願発明に関する先行技術として、国際公開2011-059045号公報(特許文献3)、実開平3-079704公報(特許文献4)、特開2007-061563号公報(特許文献5)、実用新案登録第3024538号公報(特許文献6)、特開2006-051305号公報(特許文献7)或いは、実用新案登録第3154424号公報(特許文献8)等が知られてはいるが、係る先行技術に於いても、靴の底部に於ける足指先が当接する部分に凹陥状の凹み部が形成されている靴が開示されているものの、いずれの公知例に於いても、足の指先は、当該凹陥状の凹み部内部において、常にふらふらした自由な何の制約設けない状態に置かれてるに過ぎず、踏ん張り動作をする際には、当該足指先が当該往還部の段差部に引っ掛かる様な状態で内側に曲げられるのみの作用が行われるに過ぎず、係る動作は、本発明に於ける足指先の屈曲動作とは全く異なる真逆な動作でしかなく、更に、本発明に於ける特徴的動作である、足指先が外方に反転するという機能・動作は全く生じる機会は皆無と言わざるを得ないのである。
つまり、上記第3乃至第8の特許文献も本発明とは全く無関係の先行技術であるに過ぎないのである。
その為、近年に於いては、上記した機能を有し、靴を履いて動く間に、当該足指先部を大きく動かすことが可能な靴が長いこと求められて来ていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-121388号公報
【文献】特許第3369885号公報
【文献】国際公開2011-059045号公報
【文献】実開平3-079704公報
【文献】特開2007-061563号公報
【文献】実用新案登録第3024538号公報
【文献】特開2006-051305号公報
【文献】実用新案登録第3154424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、靴を含む履物を履いて動く間に、当該足指先部を大きく動かすことが可能で、且つ人間の健康状態を改善することが可能な履物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る当該履物は、上記した目的を達成する為に、以下に示す様な基本的技術構成を採用するものである。
即ち、本発明に係る当該履物に於ける基本的技術構成の態様としては、履物の内部に於ける人間の足部が接触する履物底表面部分において、人間の足部における中足指節関節部に対応する部分よりも指先方向に向けた前方部分に対応する当該履物底表面部分に、人間の各足指部に於ける少なくとも先端部分がいづれも嵌合できる様な、当該履物底表面部分より下方に向けて形成された凹陥状部分が設けられていると共に、当該履物の前方部分を構成する少なくとも一部の甲板部分に於ける履物内面部側の表面部分は、少なくとも当該凹陥状部分に於ける当該履物の前方部分と対応する縁部に沿って、且つ当該履物の内部方向に向けて傾斜状態に配置形成されており、当該甲板部分に於ける履物の内面部側の表面部分が当該各足指部を当該凹陥状部分内部に誘導させるためのガイド部材として機能すると共に、当該ガイド部材と当該凹陥状部分により形成された空間域内に当該各足指部を強く積極的に当該履物底表面部分より下方に向けて屈曲させた状態に保持する様に構成されている事を特徴とする履物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る当該履物は、上記したような基本的な技術構成を採用した結果、人間が靴を履いた直後の時点では、従来の同種の履物に比べて、当該足指先部を深めにかつ強く積極的に、当該靴底表面部の平面7から下方方向に屈曲させ且つその状態を保持させると共に別の時点に於いては、当該足指先部を下方に曲げた状態から、
図3(C)に於ける点線と矢印で示す様に、反)転させて大きな角度で上方方向、つまり靴の上側方向に反り返る様に旋回させることが可能な靴を含む履物が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明に於ける履物の構成の概要を説明する側面図及び断面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る当該履物の構成の概要を説明する図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る当該履物の構成の概要を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る当該履物の使用状況の具体例を説明する図である。
【
図5】
図5は、本発明に於ける当該履物の使用状況の他の具体例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る当該履物の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
即ち、
図1は、本発明に係る当該履物の構成の一具体例が示されており、図中、
靴を含む履物1内部に於ける人間の足部3の裏面部3’が接触する靴底部6の靴底表面部7において、人間の足部3における中足指節関節部4’に対応する足指部分4よりも指先方向8に向けた前方部分9に対応する当該靴底表面部分7に、人間の各足指部8に於ける少なくとも先端部分8’がいづれも勘合できる様な凹陥状部分5が当該履物底表面部分より下方に向けて形成され、設けられていると共に、当該靴を含む履物1の前方部分を構成する少なくとも一部の甲板部分10に於ける当該履物1の内面部側11の表面部分12は、少なくとも当該凹陥状部分5に於ける当該履物の前方部分と対応する縁部13に沿って、且つ当該履物1の内部方向に向けて傾斜状態に配置形成されており、当該甲板部分10に於ける当該履物内面部側11の表面部分12が当該足指部5を当該凹陥状部分5内部に誘導させるためのガイド部材14として機能するように構成され機能すると共に、当該ガイド部材と当該凹陥状部分により形成された空間域内に当該各足指部を強く積極的に押し込み、且つ当該空間領域内に嵌合させ、当該履物底表面部分より下方に向けて屈曲させた状態に固定保持する様に構成されている履物1が示されている。
【0014】
本発明に於ける当該履物1は、その機能や形状、或いは構成素材、デザイン等は特別に限定されるものではなく、従来一般的に使用されている履物類が使用されるものであるが、例えば、当該履物1としては、マラソン用シューズ、競歩用シューズ ジョギング用シューズ、スニーカー等からなるスポーツ用の運動靴が好ましい例として挙げられるが、一般的なシューズやサンダル状のものであっても良い事は言うまでもない。
又、本発明に於ける当該履物1としては、それらの製造素材も特定されるものではないが、当該履物1の底部を構成する素材は、天然ゴム、合成樹脂製ゴム、発泡樹脂、皮等で構成されたものであってもよく、又、甲板としては、皮、合成樹脂、編織布帛群から選択された一つであってもよく或いはそれらの複合材料を使用したものであってもよい。
【0015】
本発明に於ける基本的な技術思想は、
図2(B)及び
図2(C)に示す様に、人間の5本の足指の全ては、それぞれの大きさは相互に事にするが、いずれも、中足指節関節部100の前方に位置する基節骨101、中節骨102及び末節骨103と、がこの順番で直列状に配列されており、それぞれの骨部の間で個別に屈曲が出来る様に構成されている。
これらの個々の関節部を積極的にかつ大きく揺動させることにより、人間体内の血液の循環が活発になる結果、上記した各種の障害や病が改善され、健康増進の作用効果が発揮されるのである。
【0016】
そこで、本発明に於いては、上記した足指の全てが、当該履物を着用し、実際に使用、つまり、歩行、ランニング、跳躍、その他、自転車漕ぎ、階段登り等の運動を行う際に、人間が特に意識することなしに、自然と、当該自己の足指の大きな屈曲角度を持った屈曲動作を頻繁に行わせる事により、上記した効果を効果的に発揮させようとするものである。
【0017】
本発明に於ける当該履物1の当該靴底部2は所定の厚みを持っていることが望ましく、好ましくは1.5cm乃至3.5cm程度であることが望ましく、又、本発明に於いて当該靴底部2の表面部7から下向きに形成される当該凹陥部5の深さは、当該それぞれの足指部の大きさにより異ならせることが望ましいが、例えば、
図1(B)に於ける平面Tで見た平面図を示す
図2(A)から明らかな通り、足親指201と対応する当該凹陥部5の深さは、約2.5cm程度であることが好ましく、又、当該凹陥部5に於ける当該足親指201に対応する部分の足指長さ方向、つまり当該履物1の長手方向と一致する方向での幅は、約2.0cm乃至3.5cm程度であることが望ましい具体例である。
尚、
図2(A)は、人間の右足に着用する為の履物の平面状態を説明した図であるが、人間の左足の裏面の状態図に関しては、
図2(A)と対称に示されるものであることは言うまでもない。
【0018】
一方、当該履物1を使用する人間の足人差し指202、足中指203、足薬指204と足小指205がそれぞれ個別に対応する当該凹陥部5の深さ及び当該履物の長手方向Lと一致する方向の長さは、何れも、当該個々の対応する足指の大きさや長さに応じて順次に小さくなっていくことが望ましい。
更に、本発明に於いては、当該凹陥部5の個々の足指と対応する当該凹み部分の形状としては、その中心軸線Pが垂直に形成されるものであってもよいが、好ましくは、当該中心軸線Pが、
図1(B)に示す様に、当該履物1の前方部分から後方部分にむけて傾斜している様な、凹み部を形成していることが望ましく、当該傾斜角度としては、特に限定されるものではないが、30度乃至60度の範囲で傾斜している事が望ましい具体例である。
【0019】
一方、本発明に於ける当該履物1に於いて、当該靴底部2の上方部分は、履物使用者の足部3を被覆する為の、甲板部材10が配置されており、当該甲板部材10は、
図1(A)に示す様に、当該履物使用者の足部3の略全体部分を被覆する様に構成されていてもよく或いは
図3(A)に示す様に、当該履物使用者の足部3の前方部分のみを被覆する様に構成されたものであってもよい。
この場合には、例えば、当該履物1は、当該靴底表面部6を有する靴底部2と、当該靴底部2の少なくとも前方先端部分のみを被覆する甲板部10と、靴底部2の後方部に設けられた踵部固定部材30とからなる構成されるものであっても良い。
本発明に係る当該甲板部材10は、当該靴底部2と同一部材で一体的に構成されているものであってもよく、或いは、当該甲板部材10は、当該靴底部2とは異なる部材で構成されていて、当該靴底部2の周縁部に適宜の結合手段を使用して固定一体化して構成されているものであってもよい。
【0020】
更に、本発明に於いては、当該靴底部2表面部の少なくとも前方先端部分を構成する部分及び当該靴の前方部分15を構成する少なくとも一部の甲板部分10を構成する部材は、柔軟性を有し且つ弾発性或いは伸縮性を有する材料で構成されている事が望ましい具体例である。
又、本発明に於いては、当該靴底部2の表面部6の少なくとも前方先端部分及び当該靴底部2の裏面部17に於ける当該靴の前方部分を構成する少なくとも一部18若しくは、当該履物1の当該甲板部分10に於ける当該靴の前方部分9を構成する少なくとも一部19は、共に、当該靴底表面部6の水平面7に対して、上下方向に、つまり、屈曲動作と反り返り動作を伴う様に揺動する様に構成されていることも好ましい具体例である。
【0021】
上記した機能を実現させるために、当該履物1に於ける当該甲板部10及び/又は当該靴底部2に適宜の伸縮可能機構や切込み部等を配置することも好ましい具体例である。
上記の様に構成された本発明に係る当該履物1に於いては、当該足指部の末節骨103若しくは足指部の末節骨103と当該中節骨102とが当該履物1の靴底表面部6に於ける平面7に対して25度乃至45度の角度で下方側に下降して配置固定されることになる。
本発明に於いては、上記した通り、当該凹陥部5の周縁部13に配置形成されている当該甲板部10の当該履物1の内部空間部に面している側の側壁面12が、当該履物1を使用者が当該履物1を着用する際に、自己の足指を当該履物1内部に挿入させた場合に、その足指を自然と当該凹陥部5内部に下降させて挿入できるように機能するガイド部材として作動するものである。
【0022】
詳細には、
図2(A)に示す通り、当該履物1の前方部分15を構成する少なくとも一部の甲板部分10に於ける当該履物1の内面部側11の表面部分12が、少なくとも当該凹陥状部分5に於ける当該履物1の前方部分15と対応する縁部13に沿って、且つ当該履物1の内部方向に向けて傾斜状態、例えば、当該靴底表面部6に於ける平面7に対して25度乃至60度の角度を以って傾斜せしめられてた当該に置形成されており、係る当該甲板部分10に於ける当該履物内面部側11の表面部分12が、当該足指部5を当該凹陥状部分5内部に誘導させるためのガイド部材14として機能するのである。
従って、本発明に於ける当該履物1に於いては、その使用者は特に意識しなくとも、自分の足指の先端部が、当該凹陥部5内に折れ曲がった形で降下挿入されるので、後述するように、当該履物1を使用して種々の活動を行う事により、自己の足指を大きな旋回角度で所定回数、屈曲操作を実行できるので、健康増進に極めて有益な効果を得られることになる。
【0023】
本発明に係る当該履物1の使用例としては、例えば、
図4(A)に示す様に、通常の歩行或いは競歩を行う場合や、
図4(B)に示す様に、マラソンやジョギング或いは通常の走りを行う場合や、
図4(C)に示す様に、垂直方向への跳躍を行う場合、更には、
図5(A)に示す様に、自転車を漕ぐ場合や
図5(B)に示す様に、階段を上る場合等が好ましい実行具体例として考えられる。
【0024】
上記した通り、本発明に係る各種の靴或いはサンダルを含んだ履物1は、全ての足指に絶えずグーパー運動や上下運動を繰り返し与えることにより、足裏や足指先に刺激を得ることが可能となるので健康の維持・増進に、或いは身体上の障害に対する治療に対して大きく貢献する事が出来る。
つまり、本発明に係る履物1を履いて、その使用者が散歩時やランニングするだけで、足指に上下運動の刺激を繰り返し与えることが非常に簡単に出来るので、その使用者は、特段の意識をすることなく極自然に、足指に協力な上下運動の刺激を繰り返し得ることが可能となるのであり、健康増進用器具としも好ましい製品である。
【0025】
換言するならば、本発明に係る当該履物1は、健康な人の場合は健康寿命に貢献し、一方、身体の一部に障害を持った人の場合には、本発明に係る履物1を常時、積極的に使用する事により、当該障害部位を改善する事が期待されるものであって、例えば、特に散歩時杖を用いる人の場合は、上記靴を履き歩行を繰り返すことにより、杖が無くとも平常通りに歩行する事が出来る様になるのである。
さらに、歩行困難であり車椅子生活の人の場合で合っても、上記足指上下動可能な本発明に係る履物1を履くことにより、足指に適宜な刺激を繰り返すことにより、健康維持並びに障害程度の改善に貢献する事が可能な履物でもある。
【0026】
本発明に係る履物1は、上記記載の容易に歩行困難な人は勿論のこと、健常者の場合も含め、室内で椅子に座った状態でも容易に足指の上下運動を積極的に実行することが可能な履物でもある。
また、健常人の場合で有っても、季節や地域や、雪や、風、雨などにより散歩やランニング、走る事が困難な場合に於いても、室内で本発明に係る当該履物を使用して足指を動かす事によって、自己の足指の上下運動を繰り返しことがで生きるという効果も有している。
【0027】
更に、本発明に係る当該履物1は、例えば、自転車走行時に着用すると、自転車のペタルを足で下方に踏み込んだ場合に、使用者の足指先部を大きく上下動(旋回動作)を自然に実行する事が可能であるので、自転車用の履物としても有効な製品である。
一方、車を運転時に本発明に係る当該履物1を足指上下動可能な運動靴を着用することにより、アクセルやブレーキ操作を繰り返すたびに足指の上下運動に貢献する事が可能である。
【0028】
その他、本発明に係る当該履物1を着用する事によって、上記記載の足指の上下運動を本発明の足指上下動可能な運動靴を履いて、一定の場所や、車、電車等で座った状態での足踏みしたり、垂直ジャンプ(垂直跳躍)をしたり、又は、散歩時やランニングするだけで、足指に上下運動の刺激を繰り返し与えることを非常に簡単に可能となる。
又、外出時に足指上下動可能な運動靴を履くことにより、駅や、地下鐵、ビル、地下道や陸橋に連なる階段等を歩行する場合にも、常に使用者の足指には、上記した強力な足指への上下移動動作を頻繁に与える事が可能であるので、使用者の当該足首には強力な刺激が与えられるので、健康上有用な作用効果を得ることできるのである。
【0029】
結論的には、本発明に係る当該履物1は、第二の心臓と言われている足指及び足裏面全体に適宜な刺激の運動を繰り返すことにより、人により異なるが、特に健常者に於いては、健康寿命の延長貢献することによる効果として、健康医療費の削減に大いに期待可能な足指上下動可能な履物である。
【符号の説明】
【0030】
1 履物
2 靴底部
3 足部
3’裏面部
4’中足指節関節部
4 足指部分
5 凹陥部
6 靴底部
7 靴底表面部
8 足指部
8’先端部分
9 前方部分
10 甲板部分
11 内面部側
12 表面部分
13 縁部
14 ガイド部材
15 靴の前方部分
17 靴底部2の裏面部
18 靴の前方部分を構成する靴底部の少なくとも一部
19 靴の前方部分を構成する甲板部の少なくとも一部
100 中足指節関節部
101 基節骨
102 中節骨及び
103 末節骨
202 足人差し指
203 足中指
204 足薬指
205 足小指