(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】香味生成装置、電源ユニット、香味生成装置を制御する方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20220812BHJP
【FI】
A24F40/57
(21)【出願番号】P 2021110487
(22)【出願日】2021-07-02
(62)【分割の表示】P 2020547520の分割
【原出願日】2018-09-19
【審査請求日】2021-09-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸橋 啓司
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】藤田 創
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/085240(WO,A1)
【文献】再公表特許第2017/002449(JP,A1)
【文献】特開昭63-184776(JP,A)
【文献】特表2015-521847(JP,A)
【文献】特開2011-147285(JP,A)
【文献】特開2009-063843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、第1の負荷と、前記第1の負荷とは異なる第2の負荷とを電気的に接続する回路と、
前記電源から前記第1の負荷と前記第2の負荷のそれぞれへの給電をするよう前記回路を制御することにより、香味成分の付与されたエアロゾルを生成するよう構成された制御部と、
前記第1の負荷は誘導加熱素子によって構成される温度調節器であり、
前記第1の負荷と前記第2の負荷とは、香味生成装置の長手方向において互いに重複しない異なる位置に配置され、
前記回路は、前記第1の負荷と前記電源の間の電気的な接続を開閉する第1の開閉器と、前記第2の負荷と前記電源の間の電気的な接続を開閉する第2の開閉器と、を含み、
前記制御部は、
前記第1の開閉器の開閉により複数の電力パルスを生成する間、前記第2の開閉器をオフとし、
前記第2の開閉器の開閉により複数の電力パルスを生成する間、前記第1の開閉器をオフとし、
前記第1の開閉器または前記第2の開閉器の開閉により生成する複数の電力パルスの幅を変調することにより電力供給量を制御する、
香味生成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の開閉器の開閉により複数の電力パルスを生成する第1の期間の前後に、前記第1の開閉器の開閉により複数の電力パルスを生成する第2の期間を含むように制御する、請求項1に記載の香味生成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2の期間が、前記第1の期間よりも長くなる期間を含むように制御する、請求項2に記載の香味生成装置。
【請求項4】
前記第2の開閉器がオンになることにより前記電源から前記第2の負荷に供給される電流は、前記第1の開閉器がオンになることにより前記電源から前記第1の負荷に供給される電流よりも大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載の香味生成装置。
【請求項5】
前記第1の負荷は、前記第2の負荷よりも、前記香味成分の付与されたエアロゾルが排出される吸口に近い位置に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の香味生成装置。
【請求項6】
前記香味生成装置は筒体を更に備え、
前記第1の負荷は前記筒体の周りに配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の香味生成装置。
【請求項7】
電源と、第1の負荷と、前記第1の負荷とは異なる第2の負荷とを電気的に接続する回路と、
前記電源から前記第1の負荷と前記第2の負荷のそれぞれへの給電をするよう前記回路を制御することにより、香味成分の付与されたエアロゾルを生成するよう構成された制御部と、
を備え、
前記第1の負荷は誘導加熱素子によって構成される温度調節器であり、
前記第1の負荷と前記第2の負荷とは、香味生成装置の長手方向において互いに重複しない異なる位置に配置され、
前記回路は、前記第1の負荷と前記電源の間の電気的な接続を開閉する第1の開閉器と、前記第2の負荷と前記電源の間の電気的な接続を開閉する第2の開閉器と、を含む、香味生成装置の制御方法であって、
前記制御部が、
前記第1の開閉器の開閉により複数の電力パルスを生成する間、前記第2の開閉器をオフとすることと、
前記第2の開閉器の開閉により複数の電力パルスを生成する間、前記第1の開閉器をオフとすることと、
前記第1の開閉器または前記第2の開閉器の開閉により生成する複数の電力パルスの幅を変調することにより電力供給量を制御することと
を実行する、香味生成装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法を香味生成装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味生成装置、電源ユニット、香味生成装置を制御する方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シガレットに代わり、エアロゾル源をヒータのような電気的負荷で霧化することによって生じたエアロゾル(香味)を味わう香味生成装置が知られている(特許文献1-3)。エアロゾル生成装置は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱す加熱素子、加熱素子に電力を供給する電源、負荷や電源を制御する制御部を備える。
【0003】
特許文献2は、電力源によって給電され、外側ハウジングの遠位端における開口を介して吸い込まれた空気を加熱する第1の電気抵抗発熱体と、電力源によって給電され、エアロゾル形成材料及びタバコ材料を加熱する第2の電気抵抗発熱体と、を有する喫煙物品を開示する。
【0004】
特許文献3は、喫煙材を加熱するための複数の加熱シリンダーを有する喫煙材加熱装置を開示する。これらの加熱シリンダーは、電力によって電気的に駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-204833号
【文献】特表2010-506594号
【文献】特表2014-525251号
【発明の概要】
【0006】
第1の特徴は、香味生成装置であって、電源と、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する第1負荷と、前記第1負荷とは異なる第2負荷と、を電気的に接続する回路と、前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへの給電の要求を取得し、前記要求に基づき前記電源から前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへ給電をするよう前記回路を制御するよう構成された制御部と、前記制御部が、前記第1負荷への前記要求と前記第2負荷への前記要求とを同時期に取得した場合、又は前記第1負荷への給電と前記第2負荷への給電とを同時期に行うよう前記回路を制御する場合に、前記電源から放電される電力又は電力量を、前記電源が前記第1負荷と前記第2負荷へ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減するよう構成された低減手段と、を含むことを要旨とする。
【0007】
第2の特徴は、第1の特徴における香味生成装置であって、前記低減手段は、前記電源から前記第1負荷と前記第2負荷へ同時に給電されないよう構成されることを要旨とする。
【0008】
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴における香味生成装置であって、前記回路は、前記第1負荷と前記電源の間の電気的な接続を開閉する第1開閉器と、前記第2負荷と前記電源の間の電気的な接続を開閉する第2開閉器と、を含み、前記第1開閉器のスイッチング周期と、前記第2開閉器のスイッチング周期は同じであり、前記低減手段は、前記第1開閉器のオン期間と前記第2開閉器のオン期間の和が、前記スイッチング周期を越えないように、前記第1開閉器のオン期間と前記第2開閉器のオン期間のうち少なくとも一方を設定又は補正するよう構成されることを要旨とする。
【0009】
第4の特徴は、第3の特徴における香味生成装置であって、前記低減手段は、前記第1開閉器のスイッチングの位相を前記第2開閉器のスイッチングの位相から前記第2開閉器のオン期間以上ずらす、又は、前記第2開閉器のスイッチングの位相を前記第1開閉器のスイッチングの位相から前記第1開閉器のオン期間以上ずらすよう構成されることを要旨とする。
【0010】
第5の特徴は、第3の特徴又は第4の特徴における香味生成装置であって、前記低減手段は、前記第1開閉器のオン期間と前記第2開閉器のオン期間の和が、前記スイッチング周期未満になるように、前記第1開閉器のオン期間と前記第2開閉器のオン期間の少なくとも一方を設定又は補正し、前記第1開閉器のスイッチングの位相を前記第2開閉器のスイッチングの位相から前記第2開閉器のオン期間よりも大きくずらす、又は前記第2開閉器のスイッチングの位相を前記第1開閉器のスイッチングの位相から前記第1開閉器のオン期間よりも大きくずらすよう構成されることを要旨とする。
【0011】
第6の特徴は、第1の特徴における香味生成装置であって、前記回路は、前記第1負荷と前記電源の間の電気的な接続を開閉する第1開閉器と、前記第2負荷と前記電源の間の電気的な接続を開閉する第2開閉器と、を含み、前記低減手段は、前記第1開閉器のスイッチング制御における変数又はモードと、前記第2開閉器のスイッチング制御における変
数又はモードのうち少なくとも一方を、前記電源から放電される電力又は電力量を低減するように設定又は補正するよう構成されることを要旨とする。
【0012】
第7の特徴は、第6の特徴における香味生成装置であって、前記低減手段は、前記第1開閉器のオン期間と前記第2開閉器のオン期間のうちの少なくとも一方を短くするよう構成されることを要旨とする。
【0013】
第8の特徴は、第6の特徴における香味生成装置であって、前記低減手段は、前記第1開閉器のスイッチング周期と前記第2開閉器のスイッチング周期のうちの少なくとも一方を短くするよう構成されることを要旨とする。
【0014】
第9の特徴は、第6の特徴又は第8の特徴における香味生成装置であって、前記制御部は、PWM制御を用いたフィードバック制御に基づき、前記第1開閉器及び前記第2開閉器を制御可能なよう構成され、前記低減手段は、前記PWM制御に代えてPFM制御を用いたフィードバック制御に基づき、前記第1開閉器と前記第2開閉器の少なくとも一方を制御するよう構成されることを要旨とする。
【0015】
第10の特徴は、第1の特徴、第6の特徴から第9の特徴のいずれかにおける香味生成装置であって、前記低減手段は、前記第1負荷へ給電される電力と同時に前記第2負荷へ給電される電力を低減する、又は前記第2負荷へ給電される電力と同時に給電される前記第1負荷への電力を低減するよう構成されることを要旨とする。
【0016】
第11の特徴は、第10の特徴における香味生成装置であって、前記制御部は、フィードバック制御に基づき、前記電源から前記第1負荷と前記第2負荷のいずれか一方へ給電される電力を制御するよう構成され、前記低減手段は、前記電源から前記第1負荷と前記第2負荷のいずれか一方へ給電される電力を低減するように、前記フィードバック制御における比例ゲインとリミッタ上限のうち少なくとも一方を調整するよう構成されることを要旨とする。
【0017】
第12の特徴は、第10の特徴における香味生成装置であって、前記回路は、前記第1負荷と前記第2負荷のうちの少なくとも一方に出力する電流を調整するレギュレータを含み、前記低減手段は、前記レギュレータが出力する電流値を低減させるよう前記レギュレータを制御するよう構成されることを要旨とする。
【0018】
第13の特徴は、第1の特徴から第11の特徴のいずれかにおける香味生成装置であって、前記回路は、第1回路と、前記第1回路と並列に接続され、かつ前記第1回路より電気抵抗値が高い第2回路と、を含み、前記低減手段は、前記第1回路を機能させることなく前記第2回路を機能させるよう構成されることを要旨とする。
【0019】
第14の特徴は、第1の特徴から第13の特徴のいずれかにおける香味生成装置であって、前記低減手段は、前記回路内に設けられ、かつ前記第1負荷と前記第2負荷の一方へ給電可能な最大電流値よりも大きい定格電流値を有する保護集積回路又は電気ヒューズを含むことを要旨とする。
【0020】
第15の特徴は、第14の特徴における香味生成装置であって、前記低減手段は、前記第1負荷へ給電される第1電流と、前記第1電流と同時に前記第2負荷へ給電される第2電流との和が、前記定格電流を越えないように、前記回路を制御するよう構成されることを要旨とする。
【0021】
第16の特徴は、第1の特徴から第15の特徴のいずれかにおける香味生成装置であっ
て、前記低減手段は、前記回路内に設けられ、かつ前記第1負荷と前記第2負荷へ同時に給電した場合に流入する電流値の半分以下の定格電流値を有する温度ヒューズを含むことを要旨とする。
【0022】
第17の特徴は、第1の特徴から第15の特徴のいずれかにおける香味生成装置であって、前記低減手段は、前記第1負荷及び前記第2負荷へ放電可能な補助電源を含むことを要旨とする。
【0023】
第18の特徴は、第17の特徴における香味生成装置であって、前記補助電源は、前記電源よりも高い出力密度を有することを要旨とする。
【0024】
第19の特徴は、第17の特徴又は第18の特徴における香味生成装置であって、前記制御部又は前記低減手段は、前記補助電源の残量に関する値を取得可能であり、前記制御部又は前記低減手段は、前記補助電源の残量に関する値が大きいほど前記電源が放電する電力又は電力量を低減させるように、前記回路を制御するよう構成されることを要旨とする。
【0025】
第20の特徴は、第1の特徴又は第19の特徴における香味生成装置であって、前記電源と前記補助電源は、前記第1負荷と前記第2負荷の少なくとも1つに対して並列接続され、前記回路は、前記電源と前記補助電源の間に設けられ、かつ入力された電流と電圧と電力のうち少なくとも1つの大きさを変換して出力可能な変換器を含むことを要旨とする。
【0026】
第21の特徴は、香味生成装置用の電源ユニットであって、電源と、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する第1負荷と、前記第1負荷とは異なる第2負荷とに前記電源を電気的に接続する回路と、前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへの給電の要求を取得し、前記要求に基づき前記電源から前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへ給電をするよう前記回路を制御するよう構成された制御部と、前記制御部が、前記第1負荷への前記要求と前記第2負荷への前記要求とを同時期に取得した場合、又は前記第1負荷への給電と前記第2負荷への給電とを同時期に行うよう前記回路を制御する場合に、前記電源から放電される電力又は電力量を、前記電源が前記第1負荷と前記第2負荷へ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減するよう構成された低減手段と、を含むことを要旨とする。
【0027】
第22の特徴は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する第1負荷と、前記第1負荷とは異なる第2負荷と、を含む香味生成装置を制御する方法であって、前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへの給電の要求を取得し、前記要求に基づき電源から前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへ給電をするよう前記回路を制御するステップと、前記第1負荷への前記要求と前記第2負荷への前記要求とを同時期に取得した場合、又は前記第1負荷への給電と前記第2負荷への給電とを同時期に行うよう前記回路を制御する場合に、前記電源から放電される電力又は電力量を、前記電源が前記第1負荷と前記第2負荷へ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減するステップと、を含むことを要旨とする。
【0028】
第23の特徴は、第22の特徴における方法を香味生成装置に実行させるプログラムを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る香味生成装置の模式図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る霧化ユニットの模式図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る吸引センサの構成の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る制御部による制御を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、霧化用電気負荷と香味用電気負荷への電力供給の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、第1開閉器と第2開閉器のスイッチング制御を示す制御ブロック図である。
【
図9】
図9は、第1開閉器と第2開閉器のスイッチング制御を示すグラフである。
【
図10】
図10は、霧化用電気負荷と香味用電気負荷への電力供給の別の一例を示すグラフである。
【
図11】
図11は、霧化用電気負荷と香味用電気負荷への電力供給のさらに別の一例を示すグラフである。
【
図12】
図12は、第4実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。
【
図13】
図13は、第4実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の変形例にかかる模式図である。
【
図14】
図14は、第5実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。
【
図15】
図15は、第6実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。
【
図16】
図16は、第7実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。
【
図17】
図17は、第8実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
【0031】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合があることは勿論である。
【0032】
[開示の概要]
特許文献2及び特許文献3に記載された装置では、電源からの電力は、2以上の電気加熱素子のような複数の電気的な負荷に供給され得る。本願の発明者は、複数の負荷を有する香味生成装置において、各負荷を単独で駆動したり、複数の負荷を同時期に駆動したりすることを検討した。この場合、負荷を独立制御するため、複数の負荷は電源を基準に電気的に並列に接続されていてよい。複数の負荷が電源を基準に電気的に並列に接続されていると、複数の負荷の合成の電気抵抗値は、各々の負荷の単独の電気抵抗値よりも小さくなる。したがって、電源から複数の負荷に同時に電力を供給しようとすると、1つの負荷に電力を供給する場合に電源から出力される電流よりも大きな電流が電源から出力される。
【0033】
また、単位時間あたりに放電する電力や電流が増大するほど、電源の劣化が促進されることが知られている。
【0034】
すなわち、複数の負荷を同時期に駆動しようとする場合、電源からの放電量が比較的大きくなり、電源の残量が急速に減ったり、電源の劣化が進みやすくなったりする。したがって、このような場合であっても、電源の残量が急速に減ったり、電源の劣化が進みやすくなったりすることを抑制することが望ましい。
【0035】
一態様によれば、香味生成装置は、電源と、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する第1負荷と、前記第1負荷とは異なる第2負荷と、を電気的に接続する回路と、前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへの給電の要求を取得し、前記要求に基づき前記電源から前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへ給電をするよう前記回路を制御するよう構成された制御部と、前記制御部が、前記第1負荷への前記要求と前記第2負荷への前記要求とを同時期に取得した場合、又は前記第1負荷への給電と前記第2負荷への給電とを同時期に行うよう前記回路を制御する場合に、前記電源から放電される電力又は電力量を、前記電源が前記第1負荷と前記第2負荷へ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減するよう構成された低減手段と、を含む。
【0036】
一態様によれば、電源ユニットは、電源と、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する第1負荷と、前記第1負荷とは異なる第2負荷とに前記電源を電気的に接続する回路と、前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへの給電の要求を取得し、前記要求に基づき前記電源から前記第1負荷と前記第2負荷のそれぞれへ給電をするよう前記回路を制御するよう構成された制御部と、前記制御部が、前記第1負荷への前記要求と前記第2負荷への前記要求とを同時期に取得した場合、又は前記第1負荷への給電と前記第2負荷への給電とを同時期に行うよう前記回路を制御する場合に、前記電源から放電される電力又は電力量を、前記電源が前記第1負荷と前記第2負荷へ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減するよう構成された低減手段と、を含む。
【0037】
上記態様によれば、第1負荷への要求と第2負荷への要求とを同時期に取得した場合、又は第1負荷への給電と第2負荷への給電とを同時期に行うよう回路を制御する場合に、電源から放電される電力又は電力量が低減される。したがって、このような場合であっても、電源からの放電量を低下し、電源の残量が急速に減ったり、電源の劣化が進みやすくなったりすることを抑制することができる。
【0038】
(香味生成装置)
以下において、一実施形態に係る香味生成装置について説明する。
図1は、一実施形態に係る香味生成装置を示す分解図である。
図2は、一実施形態に係る霧化ユニットの模式図である。
図3は、一実施形態に係る吸引センサの構成の一例を示す模式図である。
図4は、香味生成装置のブロック図である。
【0039】
香味生成装置100は、燃焼を伴わずに香味を吸引するための非燃焼型の香味吸引器であってよい。好ましくは、香味生成装置100は、携帯型の香味吸引器であってよい。香味生成装置100は、非吸口端E2から吸口端E1に向かう方向である所定方向Aに沿って延びる形状を有していてよい。この場合、香味生成装置100は、香味を吸引する吸口141を有する一方の端部E1と、吸口141とは反対側の他方の端部E2と、を含んでいてよい。
【0040】
香味生成装置100は、電源ユニット110及び霧化ユニット120を有していてよい。霧化ユニット120は、電源ユニット110に対して機械的な接続部分111,121を介して着脱可能に構成されていてよい。霧化ユニット120と電源ユニット110とが互いに機械的に接続されたときに、霧化ユニット120内の後述する霧化用電気負荷122R及び香味用電気負荷124Rは、電源ユニット110に設けられた電源10に電気的に接続される。
【0041】
霧化ユニット120は、ユーザにより霧化された状態で吸引されるエアロゾル源(香味成分源)と、電源10からの電力によりエアロゾル源を霧化する霧化用電気負荷122Rと、を有する。
【0042】
霧化用電気負荷122Rは、供給される電力に応じて、エアロゾル源から生成されるエアロゾル量(香味成分の量)を調整可能な素子であればよい。例えば、霧化用電気負荷122Rは、エアロゾル源の温度を調節可能な霧化用温度調節器122であってよい。一例として、霧化用温度調節器122を構成する霧化用電気負荷122Rは、抵抗加熱素子であってよい。当業者であれば、エアロゾル源の温度に応じて、エアロゾル源から生成されるエアロゾル量が変化することは明らかであろう。
【0043】
以下では、
図1及び
図2を参照しつつ、霧化ユニット120のより詳細な一例について説明する。霧化ユニット120は、リザーバ122Pと、ウィック122Qと、霧化用電気負荷122Rと、を有していてよい。リザーバ122Pは、液状のエアロゾル源を貯留するよう構成されていてよい。リザーバ122Pは、例えば、樹脂ウェブ等材料によって構成される多孔質体であってよい。ウィック122Qは、リザーバ122Pから毛管現象を利用してエアロゾル源を霧化用電気負荷122R近傍に輸送する液保持部材であってよい。ウィック122Qは、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成することができる。
【0044】
霧化用電気負荷122Rは、ウィック122Qに保持されるエアロゾル源を加熱する。霧化用電気負荷122Rは、例えば、ウィック122Qに巻き回される抵抗発熱体(例えば、電熱線)によって構成される。
【0045】
霧化用電気負荷122Rは、例えば、電気ヒータのような温度調節器122であってよい。この代わりに、霧化用電気負荷122Rは、ウィック122Qに保持されるエアロゾル源を加熱及び冷却する機能を備えた温度調節器であってもよい。
【0046】
インレット125から流路127を通って流入した空気は、霧化ユニット120内の霧化用電気負荷122R付近を通過する。霧化用電気負荷122Rのところで生成されたエアロゾルは、流入した空気とともに吸口141の方へ流れる。なお、インレット125は、電源ユニット110と霧化ユニット120の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0047】
エアロゾル源は、常温で液体であってよい。例えば、エアロゾル源としては、グリセリンやプロピレングリコールといった多価アルコールを用いることができる。エアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。
【0048】
なお、上記実施形態では、常温で液体のエアロゾル源についての例を詳細に説明したが、この代わりに、エアロゾル源は、常温で固体のものを用いることもできる。この場合、霧化用電気負荷122Rは、固体状のエアロゾル源からエアロゾルを発生させるため、固体状のエアロゾル源に接し、又は近接していてよい。
【0049】
霧化ユニット120は、交換可能に構成された香味ユニット130を備えていてもよい。香味ユニット130は、香味源(吸引成分源)を収容する筒体131を有していてよい。筒体131は、空気やエアロゾル等が通過可能な膜部材133とフィルタ132とを含んでいてよい。膜部材133とフィルタ132とにより構成される空間内に香味源が設けられていてよい。
【0050】
香味生成装置100は、エアロゾル源から生成されたエアロゾルの少なくとも一部を香味源を通して出口へ到達させる流路127,128を有する。これにより、香味ユニット130内の香味源は、霧化ユニット120の霧化用電気負荷122Rによって生成されたエアロゾルに香味成分を付与する。香味源によってエアロゾルに付与される香味成分は、香味生成装置100の吸口141に運ばれる。
【0051】
香味ユニット130内の香味源は、常温で固体であってよい。一例として、香味源は、エアロゾルに香喫味成分を付与する植物材料の原料片によって構成される。香味源を構成する原料片としては、刻みたばこやたばこ原料のようなたばこ材料を粒状に成形した成形体を用いることができる。この代わりに、香味源は、たばこ材料をシート状に成形した成形体であってもよい。また、香味源を構成する原料片は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0052】
香味源は、膜部材133とフィルタ132とにより構成される空間内で流動可能に収容されていてもよい。この場合、使用時に香味ユニット130内で香味源が流動し、香味用電気負荷124Rと接触する香味源の偏りが少なくなるため、安定的に香味成分を放出することができる。
【0053】
この代わりに、香味源は、膜部材133とフィルタ132とにより構成される空間内で充填されることで、実質的に固定されていてもよい。この場合には、香味用電気負荷124Rから香味源に熱を効率的に伝えることができる。
【0054】
霧化ユニット120に設けられた香味用電気負荷124Rは、霧化ユニット120に取り付けられた香味ユニット130の筒体131の周りに位置していてよい。香味用電気負荷124Rは、香味源から生成される香味(吸引成分)の量を調整可能に構成されていてよい。香味用電気負荷124Rは、供給される電力に応じて、香味源から生成される香味の量を調整できる素子であってよい。例えば、香味用電気負荷124Rは、香味源の温度を調節可能な温度調節器124であってよい。温度調節器124は、抵抗加熱素子によって構成されていてよい。温度調節器124は、誘導加熱素子によって構成されていてもよい。この代わりに、温度調節器124は、例えばペルチェ素子のような冷却素子であってもよい。また、温度調節器124は、加熱と冷却の両方を実施できる素子であってもよい。
【0055】
香味用電気負荷124Rの外側には、断熱材126が設けられていてもよい。これにより、香味生成装置100の外縁の温度と外気温の温度差が大きくなり過ぎることを抑制することができる。すなわち、香味生成装置100の外縁が冷たくなり過ぎたり、熱くなり過ぎたりすることを抑制することができる。また、断熱材126によって、香味用電気負荷124Rからの伝熱ロスを低減することもでき、省エネルギーでの温度調節が可能となる。
【0056】
香味生成装置100は、使用者が吸引成分を吸引するための吸引口を有するマウスピースを含んでいてよい。マウスピースは、霧化ユニット120又は香味ユニット130に着脱可能に構成されていてもよく、一体不可分に構成されていてもよい。または、霧化ユニット120又は香味ユニット130の一部が、マウスピースの役割を果たしてもよい。
【0057】
また、香味生成装置100、具体的には霧化ユニット120は、エアロゾルを香味源を通して吸口141へ導く第1流路128と、エアロゾルを香味源を通さず吸口141へ導く第2流路129と、を有していてもよい。第2流路129を通るエアロゾルは、香味源から香味を付与されることなく、吸口141へ到達する。この場合、霧化ユニット120
は、第1流路128の流量と第2流路129の流量との割合を調整する不図示の流量調整手段を含んでいてもよい。
【0058】
電源ユニット110は、電源10及び制御部50を有していてよい。制御部50は、香味生成装置100の動作に必要な各種の制御を実施するために必要な情報を記憶するメモリ52を有していてもよい。
【0059】
制御部50は、香味生成装置100の動作に必要な各種の制御を行ってもよい。例えば、制御部50は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rのそれぞれへの給電の要求を取得し、この要求に基づき電源10から霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rのそれぞれへの給電するよう電気回路を制御する。給電の要求は、後述するように押ボタンや吸引センサ20等からの出力信号に基づき規定される。
【0060】
また、制御部50は、必要に応じて、各種の情報をユーザに知らせるための通知を発する通知部を備えていてもよい。通知部は、例えばLEDのように光を発する素子、音を発生する素子、又は振動を発するバイブレータであってもよい。また、通知部は、光、音又は振動を発する素子の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0061】
電源10は、香味生成装置100の動作に必要な電力を蓄える。電源10は、電源ユニット110に対して着脱可能であってよい。電源10は、例えばリチウムイオン二次電池のような再充電可能な電池や、電気二重層キャパシタや、これらの組合せであってよい。
【0062】
制御部50は、ユーザによる吸引要求動作を検知する吸引検知ユニットを含んでいてよい。吸引検知ユニットは、例えばユーザの吸引動作を検出する吸引センサ20であってよい。この代わりに、吸引検知ユニットは、例えばユーザにより押される押しボタンであってもよい。
【0063】
制御部50は、吸引検知ユニットによって吸引要求動作が検出されたら、霧化用電気負荷122R及び/又は香味用電気負荷124Rを動作させるための指令を生成する。制御部50は、ユーザによって指定されたモード、又は環境等に応じて、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rに供給する電力を可変に制御するように構成されていてもよい。
【0064】
吸引検知ユニットによって吸引要求動作が検出されたら、制御部50は、電力パルスの形態で、電源10から霧化用電気負荷122R及び/又は香味用電気負荷124Rに電力を供給することが好ましい。これにより、制御部50は、パルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PFM)のデューティ比の調整により霧化用電気負荷122R及び/又は香味用電気負荷124Rに供給する電力を制御することができる。
【0065】
香味生成装置100は、必要に応じて、霧化用電気負荷122Rの温度を推定又は取得可能な第1温度センサ150と、香味源又は香味用電気負荷124Rの温度を推定又は取得可能な第2温度センサ160と、を有していてもよい。一例として、第1温度センサ150と第2温度センサ160は、サーミスタや熱電対から構成されていてもよい。
【0066】
吸引センサ20は、吸口からの吸引に応じて変動する出力値を出力するよう構成されていてよい。具体的には、吸引センサ20は、非吸口側から吸口側に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する値(例えば、電圧値又は電流値)を出力するセンサであってよい。そのようなセンサとして、例えば、コンデンサマイクロフォンセンサや公知の流量センサなどが挙げられる。
【0067】
図3は、吸引センサ20の具体的一例を示している。
図3に例示された吸引センサ20は、センサ本体21と、カバー22と、基板23と、を有する。センサ本体21は、例えば、コンデンサによって構成されている。センサ本体21の電気容量は、インレット125から吸引される空気(すなわち、非吸口側から吸口側に向けて吸引される空気)によって生じる振動(圧力)によって変化する。カバー22は、センサ本体21に対して吸口側に設けられており、開口40を有する。開口40を有するカバー22を設けることによって、センサ本体21の電気容量が変化しやすく、センサ本体21の応答特性が向上する。基板23は、センサ本体21(コンデンサ)の電気容量を示す値(ここでは、電圧値)を出力する。
【0068】
(第1実施例)
図5は、霧化ユニット120及び電源ユニット110を含む香味生成装置100の電気回路の模式図である。
図5では、制御部50による霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの制御を説明するために、電気回路の構成が便宜上、簡略化して示されていることに留意されたい。
【0069】
霧化ユニット120が電源ユニット110に機械的に接続されたとき、霧化用電気負荷(第1負荷)122Rと香味用電気負荷(第2負荷)124Rは、電源ユニット110の電源10と電気的に接続される。霧化用電気負荷(第1負荷)122R及び香味用電気負荷(第2負荷)124Rは、電源10を基準に、互いに電気的に並列に接続されていてよい。
【0070】
香味生成装置100は、霧化用電気負荷122Rと電源10の間の電気的接続を開閉する第1開閉器142と、香味用電気負荷124Rと電源10との間の電気的接続を開閉する第2開閉器144と、を含んでいてよい。第1開閉器142及び第2開閉器144は、電源10を基準に、互いに電気的に並列に接続されていてよい。
【0071】
第1開閉器142及び第2開閉器144は、制御部50によって開閉される。第1開閉器142及び第2開閉器144は、例えばMOSFETにより構成されていてよい。なお、第1開閉器142及び第2開閉器144は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rそれぞれと電源10の間の電気的接続を開閉可能であれば、MOSFETに限らず様々な素子を用いてよい。別の一例として、第1開閉器142及び第2開閉器144は、例えばコンダクタにより構成されていてよい。
【0072】
第1開閉器142が閉じている(オン状態)場合、電源10から霧化用電気負荷122Rへ電力が供給可能となる。第2開閉器144が閉じている(オン状態)場合、電源10から香味用電気負荷124Rへ電力が供給可能となる。第1開閉器142と第2開閉器144の両方が閉じている(オン状態)場合、電源10から、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの両方へ同時に電力が供給可能となる。
【0073】
図6は、一実施形態に係る制御部50による制御の一例を示すフローチャートである。
【0074】
制御部50は吸引サイクルの開始を検知すると、香味用電気負荷124Rの温度を推定又は測定する(ステップS305及びステップS306)。吸引サイクルは、例えばユーザによる押しボタンの押下等によって検知することができる。なお、吸引サイクルは、ユーザの吸引動作により霧化用電気負荷122R及び/又は香味用電気負荷124Rへの給電が可能な状態な状態であり、1又は複数回のユーザの吸引動作を含み得るサイクルである。また、吸引動作は、ユーザによる押しボタンの押下のような動作や、吸口からの吸引のような動作を意味する。
【0075】
香味用電気負荷124Rの温度は、例えば第2温度センサ160によって推定又は測定することができる。この代わりに、香味用電気負荷124Rを正の温度係数を持つPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータで構成し、制御部50は、香味用電気負荷124Rの電気抵抗値を測定又は推定することによって、香味用電気負荷124Rの温度を推定することもできる。なお、PTCヒータに代えて負の温度係数を持つNTCヒータで香味用電気負荷124Rを構成することもできる。これは、香味用電気負荷124Rの電気抵抗値が温度に依存して変化するためである。なお、香味用電気負荷124Rの電気抵抗値は、香味用電気負荷124Rでの電圧降下量を電圧センサによって測定することで推定可能である。
【0076】
次に、制御部50は、香味用電気負荷124Rの温度と目標温度との差分(差分の絶対値)が、所定の閾値よりも大きいかどうか判断する(ステップS307)。香味用電気負荷124Rの温度と目標温度との差分(差分の絶対値)が、所定の閾値よりも大きい場合、制御部50は、香味用電気負荷124Rへの電力を調整し、香味用電気負荷124Rが目標温度付近に維持されるよう制御する(ステップS308)。所定の閾値は、温度の誤差の許容値であり、例えば数℃~10℃未満の範囲に設定される。
【0077】
香味用電気負荷124Rへの電力は、電力パルスの形態で供給することができる。この場合、パルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PFM)におけるデューティ比の調節により、香味用電気負荷124Rの温度を制御することができる。具体的には、香味用電気負荷124Rの温度制御は、例えば、フィードバック制御によってパルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PWM)におけるデューティ比を調節することにより実施することができる。
【0078】
また、香味用電気負荷124Rの温度と目標温度との差分(差分の絶対値)が、所定の閾値以下の場合、香味用電気負荷124Rへの電力の制御を行わなくてもよい。PWMを用いる場合は、デューティ比を0%に調整することで、香味用電気負荷124Rへの電力の供給が停止される。
【0079】
制御部50は、香味用電気負荷124Rの制御中に、ユーザの吸引動作の有無を監視する(ステップS309)。ユーザの吸引動作は、例えば前述した吸引センサ20によって検知することができる。
【0080】
ユーザの吸引動作が検知されると、制御部50は、霧化用電気負荷122Rに電力を供給し、霧化用電気負荷122Rを加熱する(ステップS310)。これにより、霧化ユニット120からエアロゾルが生成される。霧化ユニット120で生成されたエアロゾルの少なくとも一部は、香味源を通ることにより、香味が付与される。ユーザは、香味が付与されたエアロゾルを吸引することになる。
【0081】
霧化用電気負荷122Rへの電力は、電力パルスの形態で供給することができる。この場合、パルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PFM)におけるデューティ比の調節により、霧化用電気負荷122Rの温度を制御することができる。具体的には、霧化用電気負荷122Rの温度制御は、例えば、フィードバック制御によってパルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PFM)におけるデューティ比を調節することにより実施することができる。別の一例として、フィードフォワード制御によってパルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PFM)におけるデューティ比を調節することにより実施してもよい。また、電源10の出力電圧の低下に従い、デューティ比を増大させることで、定電力制御を実施してもよい。
【0082】
制御部50は、吸引動作の終了を検知すると(ステップS311)、霧化用電気負荷1
22Rへの電力の供給を停止する(ステップS312)。ここで、吸引動作の終了は、吸引センサ20によって検知することができる。
【0083】
また、制御部50は、吸引動作の終了の検知以外のタイミングであっても、霧化用電気負荷122Rへの電力の供給を停止してもよい。例えば、ユーザが非常に長く吸引動作を継続した場合や、霧化用電気負荷122Rや電源10の異常を検知した場合に、霧化用電気負荷122Rへの電力の供給を停止してもよい。
【0084】
制御部50は、吸引サイクルの終了を検知すると(ステップS313)、香味用電気負荷124Rへの電力の供給を停止すればよい(ステップS314)。制御部50は、例えば、ユーザにより所定の押しボタンが押下された場合や、前回の吸引動作の終了から所定の期間が経過した場合に、吸引サイクルの終了と判断してもよい。この代わりに、制御部50は、1回の吸引サイクル中に吸引動作を所定回数検知した場合や、吸引サイクルの開始から所定の期間が経過した場合に、吸引サイクルが終了したと判断してもよい。
【0085】
前述した制御フローでは、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへの電力の供給の開始及び終了のタイミングが異なっている。この場合、ステップS308とステップS312の間で、電源10から霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへ同時に電力が供給され得る。この代わりに、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへの電力の供給の開始及び/又は終了のタイミングは、同じであってもよい。この場合、吸引サイクルの開始から終了まで、電源10から霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへ同時に電力が供給され得る。
【0086】
図7は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへの電力供給のより具体的な一例を示している。
図7において、直線(中段のライン)は、霧化用電気負荷122Rへの電力供給を示している。破線(下段のライン)は、香味用電気負荷124Rへの電力供給を示している。点線(上段のライン)は、電源から放電される電流量を示している。
【0087】
前述したように、制御部50は、吸引サイクル中、香味用電気負荷124Rへ給電を行うよう電気回路を制御する。また、制御部50は、給電サイクル中に吸引動作を検知すると、電力パルスの形態で、霧化用電気負荷122Rへ給電を行うよう電気回路を制御する。電力パルスは、第1開閉器142と第2開閉器144の開閉により生成できる。
【0088】
第1実施例では、
図7に示すように、制御部50は、吸引動作中に、電源10から霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの両方へ同時には給電されないよう構成されている。具体的には、制御部50は、霧化用電気負荷122Rへの給電の要求と香味用電気負荷124Rへの給電の要求とを同時期に取得した場合、又は霧化用電気負荷122Rへの給電の要求と香味用電気負荷124Rへの給電とを同時期に行うよう回路を制御する場合に、電源10から霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへ同時に給電されないように動作する。
【0089】
具体的一例では、制御部50は、吸引動作の検知から吸引動作終了の検知までの間、第2開閉器144をOFFにし、香味用電気負荷124Rへの給電を停止すればよい。
【0090】
仮に、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rに同時に給電を行うと、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの合成の電気抵抗値は霧化用電気負荷122R又は香味用電気負荷124Rの単独の電気抵抗値よりも小さくなるため、電源10から放電される電流量は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rのいずれか一方にのみ給電を行う場合よりも大きくなる。
【0091】
本実施例では、制御部50は、電源10から霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへ同時に給電されないように動作するため、電源10から放電される電力又は電力量が、電源10が霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減される。言い換えると、制御部50は、電源10から放電される電力又は電力量を、電源10が霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減するよう構成された低減手段として機能する。これにより、電源10にかかる負荷が低減され、電源10の残量が急速に減ったり、電源10の劣化が進みやすくなったりすることを抑制することができる。
【0092】
(第2実施例)
第1実施例では、低減手段としての制御部50は、吸引動作の検知から吸引動作終了の検知までの間、第2開閉器144をOFFにした。この代わりに、第2実施例では、低減手段としての制御部50は、吸引動作の検知から吸引動作終了の検知までの間にも、第2開閉器144をオンにし、香味用電気負荷124Rへ電力を供給する。
【0093】
以下、
図8及び
図9を参照し、第2実施例に係る制御の一例について説明する。
図8は、第1開閉器142と第2開閉器144のスイッチング制御を示す制御ブロック図である。
図9は、第1開閉器142と第2開閉器144のスイッチング制御を示すグラフである。
図7における電力パルスに代えて、
図9では第1開閉器142と第2開閉器144それぞれへのスイッチング指令のタイミングが示されている点に留意されたい。なお、以下では、第1実施例と同様の構成については、説明を省略することがあることに留意されたい。
【0094】
第2実施例では、制御部50は、吸引動作の検知から吸引動作終了の検知までの間にも、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rに電力パルスを供給する。制御部50は、第1実施形態と同様に、PWM制御又はPFM制御を用いたフィードバック制御やフィードフォワード制御を行ってよい。
【0095】
第2実施例では、
図9で示すように、制御部50は、第1開閉器142へのオン指令どうしの間の期間に、第2開閉器144へオン指令を供給する(
図9の(D)参照)。言い換えると、制御部50は、吸引動作の検知から吸引動作終了の検知までの間であっても、第1開閉器142のオフ期間内に第2開閉器144をオンにすればよい。
【0096】
このような制御は、例えば以下のように実現することができる。まず、第1開閉器142のスイッチング周期と、第2開閉器144のスイッチング周期を一致させておく。この場合に、第1開閉器142と第2開閉器144のスイッチングのタイミングを一致させると、第1開閉器142と第2開閉器144が同時にオンになるため、第1開閉器142へのオン指令と、第2開閉器144へのオン指令とが同時に生成される(
図9の(A)及び(B)参照)。
【0097】
したがって、低減手段としての制御部50は、第2開閉器144のスイッチングの位相を第1開閉器142のスイッチングの位相から第1開閉器142のオン期間以上ずらすよう構成されていてよい(
図9(C)を参照)。なお、以下では、このように位相をずらすことを、「位相シフト」と称することがある。
【0098】
図9の(C)に示す例では、第1開閉器142のオン期間と同じだけ、第2開閉器144のスイッチングの位相をずらしている(
図9の(C)参照)。このような位相シフトは、第1開閉器142のパルス幅又はデューティ比を決定した後に、当該パルス幅、又はデューティ比から導出されるオン期間に基づいて第2開閉器144の位相シフトの量を設定
することで実現できる(
図8も参照)。
【0099】
上記のような位相シフトにより、第1開閉器142のオフ期間内に、第2開閉器144のオン期間が開始される。これにより、第2開閉器144のオン期間の開始時において、第1開閉器142と第2開閉器144が同時にオンになることを抑制することができる。したがって、低減手段としての制御部50は、少なくとも第2開閉器144のオン期間の開始時において、電源10がから放電される電力又は電力量を低減させることができる。
【0100】
より好ましくは、制御部50は、第2開閉器144のスイッチングの位相を第1開閉器142のスイッチングの位相から第1開閉器142のオン期間よりも大きくずらすよう構成される。これにより、第1開閉器142へオフ指令が送られてから、第2開閉器144へオン指令が送られるまでの間に所定の期間が生じる。オン状態にある開閉器に対してオフ指令を送っても、当該開閉器がオフ状態になるまでは、所定のターンオフ時間が存在する。そのため、電源10からの電流は、第1開閉器142へオフ指令が送られてからわずかな時間も多少流れる。したがって、第1開閉器142へオフ指令を送ってから、第2開閉器144へオン指令が送られるまでの間に所定の期間を設けることで、第1開閉器142のオン期間と第2開閉器144のオン期間とが重複することを避けることができる。これにより、低減手段としての制御部50は、少なくとも第2開閉器144のオン期間の開始時において、電源10がから放電される電力又は電力量を低減させることができる。
【0101】
それから、低減手段としての制御部50は、一スイッチング周期中に第1開閉器142のオン期間と第2開閉器144のオン期間の和がスイッチング周期を越えないように、第1開閉器142のオン期間と第2開閉器144のオン期間のうち少なくとも一方を設定又は補正するよう構成される。なお、以下では、このようにいずれかのオン期間を調整することを、「デッドタイム補償」と称することがある(
図8参照)。
図8に示されたデッドタイム補償では、第2開閉器144のオン期間が短くされる。これにより、第2開閉器144へ再びオフ指令が送られた後に、第1開閉器142へオン指令が送られることが保障される(
図9の(C)及び(D)参照)。したがって、低減手段としての制御部50は、第1開閉器142と第2開閉器144が同時にオンになることを抑制することができる。
【0102】
このようなデッドタイム補償は、霧化用電気負荷122Rへの電力のパルス幅、デューティ比又は第1開閉器142のオン期間に基づいて、香味用電気負荷122Rへの電力のパルス幅、デューティ比又は第2開閉器144のオン期間の上限を設定することで実現可能である。すなわち、低減手段としての制御部50は、第2開閉器144のスイッチング制御におけるオン期間を、電源10から放電される電力又は電力量を低減するように設定又は補正するよう構成される。
【0103】
上記のように、デッドタイム補償では、低減手段としての制御部50は、電源10から香味用電気負荷124Rへ給電される電力を低減するように、フィードバック制御における比例ゲインとリミッタ上限のうち少なくとも一方を調整すればよい(
図8も参照)。この場合、フィードバック制御によって香味用電気負荷124Rへの電力パルスが可変に構成されている場合であっても、電源10から香味用電気負荷124Rへ給電される電力が増大する事態を防止することができる。
【0104】
図8及び
図9に示す例では、低減手段としての制御部50は、第2開閉器144のスイッチングの位相を第1開閉器142のスイッチングの位相から第1開閉器142のオン期間以上ずらすよう構成されている。この代わりに、制御部50は、第1開閉器142のスイッチングの位相を、第2開閉器144のスイッチングの位相から第2開閉器144のオン期間以上ずらしてもよい。より好ましくは、制御部50は、第1開閉器142のスイッチングの位相を、第2開閉器144のスイッチングの位相から第2開閉器144のオン期
間よりも大きくずらしてもよい。この場合であっても、霧化用電気負荷122Rへの電力パルスと香味用電気負荷124Rへの電力パルスとは、互いに重複せず、ずれた時間に生成される。これにより、低減手段としての制御部50は、電源10から放電される電力又は電力量を、電源10が霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減させることができる。
【0105】
図8及び
図9に示す例では、低減手段としての制御部50は、第2開閉器144のスイッチング制御におけるオン期間を、電源10から放電される電力又は電力量を低減するように設定又は補正するよう構成されている。この代わりに、低減手段としての制御部50は、第1開閉器142のスイッチング制御におけるオン期間を、電源10から放電される電力又は電力量を低減するように設定又は補正するよう構成されていてもよい。すなわち、第1開閉器142のオン期間が短くされてもよい。
【0106】
また、制御部50は、霧化用電気負荷122Rへ供給する電力をフィードバック制御に基づき制御する場合には、電源10から霧化用電気負荷122Rへ供給される電力を低減するようにフィードバック制御における比例ゲインとリミッタ上限のうち少なくとも一方を調整してもよい。
【0107】
(第3実施例)
第1実施例及び第2実施例では、主として、制御部50は、第1開閉器142のオン期間と第2開閉器144のオン期間が重複しないように、スイッチング制御を行っている。この代わりに、制御部50は、第1開閉器142のオン期間と第2開閉器144のオン期間とが部分的に重複するようにスイッチング制御を行ってもよい。この場合であっても、第1開閉器142と第2開閉器144の両方がオンになる期間を減少させることで、低減手段としての制御部50は、電源10から放電される電力又は電力量を、電源10が霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rへ同時に放電する場合の最大電力又は最大電力量より低減させることができる。
【0108】
このように、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの両方に同時に電力パルスを供給する場合、制御部50は、第1開閉器122のスイッチング制御における変数又はモードと、第2開閉器124のスイッチング制御における変数又はモードのうち少なくとも一方を、電源10から放電される電力又は電力量を低減するように設定又は補正するよう構成されていてよい。
【0109】
具体的一例では、低減手段としての制御部50は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの両方に同時に電力パルスを供給する場合、第1開閉器142のオン期間と第2開閉器144のオン期間のうちの少なくとも一方を短くするよう構成されていてよい。例えば、
図10に示すように、制御部50は、霧化用電気負荷122Rへの給電の要求と香味用電気負荷124Rへの給電の要求とを同時期に取得した場合、第2開閉器144のオン期間を短くしている。具体的には、制御部50は、吸引動作の検知から吸引動作終了の検知までの間、第2開閉器144のオン期間を短くしている。このような制御は、PWM制御のデューティ比を低下させることによって実現できる。第2開閉器144のオン期間やPWM制御のデューティ比は、第2開閉器144のスイッチング制御における変数の具体的一例である。
【0110】
別の具体的一例では、低減手段としての制御部50は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの両方に同時に電力パルスを供給する場合、第1開閉器142のスイッチング周期と第2開閉器144のスイッチング周期のうちの少なくとも一方を短くするよう構成される。この場合において、制御部50は、第1開閉器142及び第2開閉器144におけるスイッチングのデューティ比は維持したままであってよい。これにより、P
WM制御において、各の電力パルスの幅を低減させることができる。例えば、
図11に示すように、制御部50は、吸引動作の検知から吸引動作終了の検知までの間、第2開閉器144のデューティ比を維持したまま第2開閉器144のスイッチング周期を短くしている。第1開閉器142のスイッチング周期は、第1開閉器142のスイッチング制御における変数の具体的一例である。第2開閉器144のスイッチング周期は、第2開閉器144のスイッチング制御における変数の具体的一例である。
【0111】
別の具体的一例では、制御部50は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの両方に同時に電力パルスを供給する場合、PWM制御に代えてPFM制御を用いたフィードバック制御やフィードフォワード制御に基づき、第1開閉器142と第2開閉器144の少なくとも一方を制御するよう構成されていてもよい。この場合において、制御部50は、霧化用電気負荷122Rへ給電される電力と同時に香味用電気負荷124Rへ給電される電力を低減する、又は香味用電気負荷124Rへ給電される電力と同時に給電される霧化用電気負荷122Rへの電力を低減するようデューティ比を決定すればよい。PFM制御に切り替えることによって、パルス幅を変えることなく、オフ期間を可変にすることができる。すなわち、パルス幅(オン期間)の上限を予め設定しておけば、吸引動作の検知から吸引動作終了の検知まで、香味用電気負荷124Rへ給電される電力の積算値の増大を抑制できる。第1開閉器142を制御するPWM制御やPFM制御は、第1開閉器142のスイッチング制御におけるモードの具体的一例である。第2開閉器144を制御するPWM制御やPFM制御は、第2開閉器144のスイッチング制御におけるモードの具体的一例である。
【0112】
(第4実施例)
図12及び
図13は、第4実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。
図12に示す例では、香味生成装置は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの一方へ給電可能な最大電流値よりも大きい定格電流値を有する保護集積回路200を含んでいる。このような保護集積回路200は、電気回路に問題を生じさせ得る大電流が流れることを防止する。保護集積回路200は、特に、第1開閉器142と第2開閉器144が同時にオンになり得る制御が行われる場合に有用である。
【0113】
このような保護集積回路200の代わりに、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの一方へ給電可能な最大電流値よりも大きい定格電流値を有する電気(電力)ヒューズ210が用いられてもよい。
【0114】
上記のような保護集積回路200又は電気ヒューズ210が設けられている場合、低減手段としての制御部50は、霧化用電気負荷122Rへ給電される電流(第1電流)と、第1電流と同時に香味用電気負荷124Rへ給電される電流(第2電流)との和が、上記の定格電流を越えないように、電気回路を制御するよう構成されることが好ましい。言い換えると、第1電流と第2電流の和、すなわち電源10から放電される電流の最大値が、定格電流を越えないように、前述した位相シフト、デッドタイム補償、パルス幅又はデューティ比の上限の低減、及び/又はフィードバック制御等を実施すればよい。
【0115】
特に、電気ヒューズが用いられる場合、定格電流値以上の電流が定格時間流れたら回路が開くため、制御部50は、第1電流と第2電流の和が定格電流値未満、又は第1電流と第2電流の重複期間が定格時間未満になるように、第1開閉器142及び第2開閉器144を制御すればよい。
【0116】
なお、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの一方へ給電可能な最大電流値よりも大きい電流値が流れようとすると、回路を遮断する保護集積回路200又は電気
ヒューズ210そのものを、低減手段に用いてもよい。
【0117】
さらに、上記のような保護集積回路200又は電気ヒューズの代わりに、温度ヒューズが用いられてもよい(
図13)。温度ヒューズでは定格電流値より大きな電流が電流値に応じた所定時間流れれば溶断する。したがって、温度ヒューズは、電気回路をより確実に保護できるよう、霧化用電気負荷122Rと霧化用電気負荷124Rへ同時に給電した場合に流入する電流値の半分以下の定格電流値を有することが好ましい。このような温度ヒューズも、低減手段として用いることができる。
【0118】
(第5実施例)
図14は、第5実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。第5実施例では、香味生成装置を構成する回路は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rのうちの少なくとも一方に出力する電流を調整するレギュレータ300を含む。
【0119】
図14に示す例では、レギュレータ300は、霧化用電気負荷122Rへ供給される電流と、香味用電気負荷124Rへ供給される電流の両方が流れる位置に設けられている。換言すれば、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rが並列接続される高電位側のノードと電源10の正極側の間に、レギュレータ300が設けられている。この場合、レギュレータ300は、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rの両方に出力する電流を調整する。
【0120】
この代わりに、レギュレータ300は、霧化用電気負荷122Rへ供給される電流は流れるが香味用電気負荷124Rへ供給される電流が流れない位置、又は香味用電気負荷124Rへ供給される電流は流れるが霧化用電気負荷122Rへ供給される電流が流れない位置に設けられてもよい。換言すれば、前述した高電位側のノードと第1開閉器142の間、又は前述した高電位側のノードと第2開閉器144の間にレギュレータ300が設けられていてもよい。この場合、レギュレータ300は、霧化用電気負荷122R又は香味用電気負荷124Rに出力する電流を調整することができる。
【0121】
制御部50は、霧化用電気負荷122Rへの給電の要求と香味用電気負荷124Rへの給電の要求とを同時期に取得した場合、又は霧化用電気負荷122Rへの給電と香味用電気負荷124Rへの給電とを同時期に行うよう回路を制御する場合に、レギュレータ300が出力する電流値又は電力値を低減させるよう構成されていてよい。すなわち、レギュレータ300は、電流値を低減させる低減手段の少なくとも一部として機能する。レギュレータ300の具体的一例として、リニアレギュレータやスイッチングレギュレータを用いてもよい。なお、スイッチングレギュレータを用い、且つ制御部50が第1開閉器142と第2開閉器144のいずれか一方のみをオンにする場合、スイッチングレギュレータのスイッチングを停止して導通のみ行わせてもよい。
【0122】
このように、電流値を低減させるレギュレータ300が用いられる場合、前述の実施例で説明したような電力パルスの複雑な制御は省略可能となる。しかしながら、第5実施例で説明したようなレギュレータ300と、前述の実施例で説明したような電力パルスの制御を併用してもよい。
【0123】
(第6実施例)
図15は、第6実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。第6実施例では、第5実施例におけるレギュレータ300の代わりに、互いに並列に接続された第1回路410及び第2回路420が設けられている。
【0124】
第1回路410上には、第3開閉器412が設けられている。第2回路420上には、第4開閉器422が設けられている。第2回路420の電気抵抗値は、第1回路410の電気抵抗値よりも高くなっている。ここでは、第2回路420上には、抵抗424が設けられている。
【0125】
制御部50は、第3開閉器412及び第4開閉器422のそれぞれの開閉を制御することができる。第3開閉器412がオンで、かつ第4開閉器422がオフの場合、電源10からの放電電流は、第2回路420を通ることなく第1回路410を通る。第3開閉器412がオフで、かつ第4開閉器422がオンの場合、電源10からの放電電流は、第1回路410を通ることなく第2回路420を通る。ここで、第2回路420の電気抵抗値は、第1回路410の電気抵抗値よりも高いため、第1回路410を機能させることなく第2回路420を機能させれば、第2回路420を通る電流値は低減される。つまり、電源10が放電する電流値を低減できる。
【0126】
制御部50は、霧化用電気負荷122Rへの給電の要求と香味用電気負荷124Rへの給電の要求とを同時期に取得した場合、又は霧化用電気負荷122Rへの給電と香味用電気負荷124Rへの給電とを同時期に行うよう回路を制御する場合に、第1回路410を機能させることなく第2回路420を機能させればよい。より具体的には、制御部50は、第1開閉器142と第2開閉器144の両方を同時にオンにする場合、第1回路410を機能させることなく第2回路420を機能させればよい。一方で、制御部50は、第1開閉器142と第2開閉器144のいずれか一方のみをオンにする場合、第2回路420を機能させることなく第1回路410を機能させればよい。これにより、制御部50は、第1開閉器142と第2開閉器144の両方を同時にオンにする場合に、電源10から放電される電力又は電力量を低減することができる。つまり、第1回路410と第2回路420は、低減手段として用いることができる。
【0127】
(第7実施例)
図16は、第7実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。電源10、制御部50、霧化用電気負荷122R、香味用電気負荷124R、第1開閉器142及び第2開閉器144の構成は、第1実施例と同様である。
【0128】
第7実施例では、香味生成装置は、霧化用電気負荷122R及び香味用電気負荷124Rへ放電可能な補助電源500を含む。
図16に示すように、補助電源500、霧化用電気負荷122R及び香味用電気負荷124Rは、電源10を基準に、互いに電気的に並列に接続されていてよい。これにより、補助電源500からの放電電流は、霧化用電気負荷122R及び/又は香味用電気負荷124Rへ流れ得るようになっている。
【0129】
補助電源500は、好ましくは、充放電可能な電源であってよい。この場合、補助電源500は、充電量が低い場合に、電源10からの電力により充電される。逆に、補助電源500の充電量が高い場合、補助電源500からの放電電流が、霧化用電気負荷122R及び/又は香味用電気負荷124Rへ流れる。補助電源500は、電源10よりも高い出力密度(W/kg)を有することが好ましい。このような補助電源500として、例えば電気二重層キャパシタ(EDLC、Electric double-layer capacitor)を用いることができる。
【0130】
第7実施例では、補助電源500の出力電圧(充電量)が大きいほど、電源10からの放電電流は小さくなる。したがって、補助電源500を用いることで、電源10から放電される電力又は電力量を低減することができる。このように、補助電源500は、電源10から放電される電力又は電力量を低減する低減手段として機能する。
【0131】
制御部50は、補助電源500の残量に関する値を取得可能であってよい。補助電源500の残量に関する値は、例えば、補助電源500の電圧であってよい。補助電源500の電圧は、例えば電圧センサ510によって取得又は推定可能である。この場合、制御部50は、補助電源500の残量に関する値、例えば電圧が大きいほど電源10が放電する電力又は電力量を低減させるように、回路を制御するよう構成されることが好ましい。電源10が放電する電力又は電力量は、例えば、開閉器520と逆流防止ダイオード540とインダクタ560から構成される変換器によって制御することができる。これに限定されず、変換器は、電源10と補助電源500の間に設けられ、かつ入力された電流と電圧と電力のうち少なくとも1つの大きさを変換して出力可能なものであればよい。なお、電源10が放電する電力又は電力量は、前述した変換器の代わりに、開閉器520による電力パルスのデューティ比の調整によっても制御できる。前述したように、補助電源500の残量に関する値に基づき、電源10が放電する電力又は電力量を調整することで、補助電源500を有効に活用することができる。
【0132】
(第8実施例)
図17は、第8実施例における霧化ユニット及び電源ユニットを含む香味生成装置の電気回路の模式図である。電源10、制御部50、霧化用電気負荷122R、香味用電気負荷124R、第1開閉器142及び第2開閉器144の構成は、第7実施例とほぼ同様である。ただし、補助電源500の位置が第7実施例と異なっている。
【0133】
補助電源500は、霧化用電気負荷122Rに放電電流を流すことができるが、香味用電気負荷124Rへは放電電流を流すことができない位置に設けられている。すなわち、補助電源500は、霧化用電気負荷122Rに専用の補助電源として機能する。なお、補助電源500は、第7実施例で説明したとおり、充放電可能なものであることが好ましい。
【0134】
さらに、香味生成装置100は、電源10から補助電源500及び/又は霧化用電気負荷122Rへ放電電流が流れることを許容したり禁止したりする第5開閉器146を有する。第5開閉器146は、制御部50によって開閉可能に構成されている。したがって、第5開閉器146がオンの場合、補助電源500は、電源10からの電力によって充電され得る。
【0135】
また、第1開閉器142は、電源10又は補助電源500から霧化用電気負荷122Rへの放電電流が流れることを許容したり禁止したりすることができる。第2開閉器144は、電源10から香味用電気負荷124Rへの放電電流が流れることを許容したり禁止したりすることができる。
【0136】
第8実施例では、第1開閉器142、第2開閉器144及び第5開閉器146のオン/オフの組み合わせにより、様々なモードを実現することができる。
【0137】
第1開閉器142、第2開閉器144及び第5開閉器146がすべてオフの場合、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rに電力は供給されない。電源10が充放電可能な二次電池であり、電源10を外部電源から充電する場合には、第1開閉器142、第2開閉器144及び第5開閉器146がすべてオフにしておけばよい。
【0138】
第1開閉器142のみがオンで、第2開閉器144及び第5開閉器146がオフの場合、補助電源500からの放電電流が霧化用電気負荷122Rに流れるため、霧化用電気負荷122Rを機能させることができる。この場合、香味用電気負荷124Rへ電力は供給されない。
【0139】
第2開閉器144のみがオンで、第1開閉器142及び第5開閉器146がオフの場合、電源10からの放電電流が香味用電気負荷124Rに流れるため、香味用電気負荷124Rを機能させることができる。この場合、霧化用電気負荷122Rへ電力は供給されない。
【0140】
第5開閉器146のみがオンで、第1開閉器142及び第2開閉器144がオフの場合、霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rに電力は供給されない。ただし、電源10からの電力は、補助電源500に流れ込むため、補助電源500を充電することができる。
【0141】
第1開閉器142のみがオフで、第2開閉器144及び第5開閉器146がオンの場合、電源10からの放電電流が香味用電気負荷124Rに流れるため、香味用電気負荷124Rを機能させることができる。この場合、霧化用電気負荷122Rへ電力は供給されない。さらに、電源10からの電力が補助電源500に流れ込むため、補助電源500を充電することができる。
【0142】
第2開閉器144のみがオフで、第1開閉器142及び第5開閉器146がオンの場合、電源10と補助電源500の両方から放電電流が霧化用電気負荷122Rに流れるため、霧化用電気負荷122Rを機能させることができる。この場合、香味用電気負荷124Rへ電力は供給されない。この場合、補助電源500を利用することなく電源10単独で霧化用電気負荷122Rに電力を供給する場合と比較すると、電源10からの放電電流を低減させることができる。
【0143】
第5開閉器146のみがオフで、第1開閉器142及び第2開閉器144がオンの場合、補助電源500からの放電電流が霧化用電気負荷122Rに流れ、電源10からの放電電流が香味用電気負荷124Rに流れる。したがって、電源10及び補助電源500が、それぞれ香味用電気負荷124R及び霧化用電気負荷122Rに単独で電力を供給する。
【0144】
第1開閉器142、第2開閉器144及び第5開閉器146がすべてオンの場合、電源10からの放電電流が香味用電気負荷124Rに流れる。さらに、電源10と補助電源500の両方から放電電流が霧化用電気負荷122Rに流れる。この場合、補助電源500を利用することなく電源10単独で霧化用電気負荷122Rと香味用電気負荷124Rに同時に電力を供給する場合と比較すると、電源10からの放電電流を低減させることができる。従って、第7実施例と同様に、補助電源500は、電源10から放電される電力又は電力量を低減する低減手段として機能する。
【0145】
(プログラム及び記憶媒体)
前述した実施例に関するフローは、制御部50が実行することができる。すなわち、制御部50は、香味生成装置100に前述の方法を実行させるプログラムを有していてよい。このようなプログラムも、本発明の範囲に含まれる。また、当該プログラムが格納された記憶媒体も本発明の範囲に含まれることに留意されたい。このような記憶媒体は、例えば、コンピュータによって読み取り可能な不揮発性の記憶媒体であってよい。
【0146】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0147】
例えば、上記実施例では、請求の範囲で規定される第1負荷が霧化用電気負荷(第1負
荷)122Rであり、請求の範囲で規定される第2負荷が香味用電気負荷(第2負荷)124Rであるケースについて具体的に説明されている。これに限らず、第1負荷は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する電気負荷であればよい。したがって、第1負荷が香味用電気負荷124Rに相当する態様もあり得ることに留意されたい。
【0148】
また、第2負荷は、第1負荷とは異なる電気負荷であれば、特に制限されない。第2負荷は、例えば、LEDのような発光素子であってもよい。
【0149】
さらに、前述した複数の実施例に記載された構成及び制御は、可能な限り、組み合わせ及び/又は交換可能であることに留意されたい。