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特許7122451塗装ヘッドの塗装判定装置及び塗装システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】塗装ヘッドの塗装判定装置及び塗装システム
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/00 20060101AFI20220812BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20220812BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20220812BHJP
   B05B 13/04 20060101ALI20220812BHJP
   B05B 12/00 20180101ALN20220812BHJP
【FI】
B05C11/00
B05C11/10
B05C5/00 101
B05B13/04
B05B12/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021204338
(22)【出願日】2021-12-16
(62)【分割の表示】P 2021113474の分割
【原出願日】2021-07-08
【審査請求日】2022-01-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 輝澄
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-229444(JP,A)
【文献】国際公開第2010/090080(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/093701(WO,A1)
【文献】特開2010-227762(JP,A)
【文献】特開2020-024943(JP,A)
【文献】特開2010-231211(JP,A)
【文献】特開2013-59720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
B05C1/00-21/00
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料を吐出するノズルを複数有し、一方向に移動させながら複数の前記ノズルから前記塗料を吐出して、吐出した前記塗料により、塗装ラインに沿って搬送される第1のワークを塗装する塗装ヘッドの塗装判定を行う塗装ヘッドの塗装判定装置において、
記第1のワークの塗装状態を判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段による前記第1のワークの塗装状態の判定結果に基づいて、前記塗装ラインとは異なる位置に配置された第2のワークに対して前記塗装ヘッドを用いて塗装された、前記塗料の吐出不良の有無を判定するための判定用パターンの画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された前記判定用パターンの画像に基づいて、前記塗装ヘッドによる前記第1のワークの塗装が正常に行われているか否かを判定する第2判定手段と、
を有する
ことを特徴とする塗装ヘッドの塗装判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗装ヘッドの塗装判定装置において、
異なる複数の位置で前記第1のワークを撮像する1以上の撮像手段と、
前記1以上の撮像手段により撮像された前記第1のワークの画像を用いて、前記塗装ヘッドにより塗装された前記第1のワークの三次元画像を生成する三次元画像生成手段と、
を有し、
前記第1判定手段は、前記三次元画像生成手段により生成された前記第1のワークの三次元画像を用いて、前記第1のワークの塗装状態を判定する
ことを特徴とする塗装ヘッドの塗装判定装置。
【請求項3】
請求項に記載の塗装ヘッドの塗装判定装置において、
前記第1判定手段は、前記三次元画像を用いて、前記第1のワークを塗装した前記塗料の厚みが予め設定された厚み以下となるか否かを判定し、
前記第1判定手段が前記塗料の厚みが予め設定された厚み以下であると判定したときに、前記判定用パターンを前記第2のワークに塗装することを前記塗装ヘッドに指示する指示手段を、さらに有する
ことを特徴とする塗装ヘッドの塗装判定装置。
【請求項4】
請求項に記載の塗装ヘッドの塗装判定装置において、
前記塗装ヘッドは、複数の前記ノズルにおける前記塗料の吐出をノズル毎に制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記塗装ヘッドの一方向への移動に合わせて、前記塗装ヘッドが有する複数の前記ノズルを用いて、前記判定用パターンを前記第2のワークに塗装させ、
前記第2判定手段は、前記判定用パターンの画像から、前記第1のワークの塗装が正常に行われているか否かを判定する
ことを特徴とする塗装ヘッドの塗装判定装置。
【請求項5】
請求項に記載の塗装ヘッドの塗装判定装置において、
前記判定用パターンの画像から、前記第1のワークに生じた塗装不良を抽出する抽出手段を、有し、
前記第2判定手段は、前記抽出手段が前記第1のワークに生じた塗装不良を抽出したときに、前記塗装ヘッドが有する複数の前記ノズルのうち、前記塗料の吐出不良が生じたノズルを特定する
ことを特徴とする塗装ヘッドの塗装判定装置。
【請求項6】
複数のノズルを有する塗装ヘッドと、
防爆管理された塗装室内に配置され、前記塗装ヘッドを塗装ラインに沿って搬送される第1のワークに沿って一方向に移動させることが可能な移動手段と、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の塗装ヘッドの塗装判定装置と、
前記塗装ヘッドが有する複数のノズルを洗浄する洗浄手段と、
を有し、
前記洗浄手段は、前記塗装ヘッドの塗装判定装置により前記第1のワークの塗装が正常に行われていないと判定されたときに、前記塗装ヘッドが有する複数のノズルを洗浄することを特徴とする塗装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装ヘッドの塗装判定装置及び塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、塗料を吐出するノズルを複数有する塗装ヘッドを備えた塗装装置により、外装を塗装する技術が提案されている。一例として、自動車の生産工場では、上記塗装ヘッドを先端に有する多関節ロボットからなる塗装装置を塗装ラインに設置し、自動車の車体(ボディ)を塗装することが提案される。この塗装ヘッドによる塗装では、紙面に印刷を行う際に用いられるインクとは粘性の異なる塗料を用いていることから、ノズル内に塗料の残留物による付着に起因したノズルの詰まりが発生しやすい。
【0003】
そこで、塗布装置から排出されるコーティング剤や塗料の液滴の状態を検出し、詰まりが解消されるまで塗装ヘッドの各ノズルを洗浄することが考案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、検査光を照射する光源と、光源により照射された液滴を撮像するカメラとを洗浄装置に設け、カメラにより撮像された画像から、液滴の数、液滴の吐出角度、各ノズルから吐出された液滴の吐出方向が閉口であるか否かなどを評価して、詰まりの有無を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/115117号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される洗浄装置には、詰まりの有無の検出と、ノズルの洗浄とを1つの装置で行うことができるという利点がある。しかしながら、特許文献1では、塗料の色を変更するとき、又は塗装を停止している期間中など、ノズルの洗浄を行うことを前提として、詰まりや詰まりの程度などを検出するものであり、塗装を行っている過程で生じる詰まりや詰まりの程度を検出するものではない。したがって、特許文献1では、連続した複数回の塗装において発生する詰まりの有無の検出、すなわち、塗装不良が生じているか否かを検出することはできないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に記載した課題を解決するために発明されたものであり、連続した複数回の塗装において発生する詰まりに起因した塗装不良の発生を防止することができるようにした技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に記載した課題を解決するために、本発明の塗装ヘッドの塗装判定装置の一態様は、塗料を吐出するノズルを複数有し、一方向に移動させながら複数の前記ノズルから前記塗料を吐出して、吐出した前記塗料によりワークを塗装する塗装ヘッドの塗装判定を行う塗装ヘッドの塗装判定装置において、異なる複数の位置で前記ワークを撮像する1以上の撮像手段と、前記1以上の撮像手段により取得された第1画像を用いて、前記塗装ヘッドにより塗装された前記ワークの三次元画像を生成する三次元画像生成手段と、前記三次元画像生成手段により生成された前記ワークの三次元画像を用いて、前記ワークの塗装状態を判定する状態判定手段と、前記状態判定手段による前記ワークの塗装状態の判定結果に基づいて、前記塗装ヘッドにより塗装された前記ワークの第2画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得された前記第2画像に基づいて、前記塗装ヘッドによる前記ワークの塗装が正常に行われているか否かを判定する判定手段と、を有するものである。
【0008】
また、前記状態判定手段は、前記三次元画像を用いて、前記ワークを塗装した前記塗料の厚みが予め設定された厚み以下となるか否かを判定し、前記状態判定手段が前記塗料の厚みが予め設定された厚み以下であると判定したときに、前記塗料の吐出不良の有無を判定するための判定用パターンを前記ワークに塗装することを前記塗装ヘッドに指示する指示手段を有するものである。
【0009】
また、前記塗装ヘッドは、複数の前記ノズルにおける前記塗料の吐出をノズル毎に制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記塗装ヘッドの一方向への移動に合わせて、前記塗装ヘッドが有する複数の前記ノズルを用いて、前記判定用パターンを前記ワークに塗装させ、前記判定手段は、前記判定用パターンが塗装された前記ワークの前記第2画像から、前記ワークの塗装が正常に行われているか否かを判定するものである。
【0010】
また、前記第2画像から、前記ワークに生じた塗装不良を抽出する抽出手段を、有し、前記判定手段は、前記抽出手段が前記ワークに生じた塗装不良を抽出したときに、前記塗装ヘッドが有する複数の前記ノズルのうち、前記塗料の吐出不良が生じたノズルを特定するものである。
【0011】
また、前記ワークは、塗装ラインに沿って搬送される第1のワークと、前記塗装ラインとは異なる位置に配置され、前記判定用パターンが塗装される第2のワークとを含み、前記1以上の撮像手段は、前記塗装ヘッドにより塗装された前記第1のワークの画像を第1画像として取得し、前記画像取得手段は、前記塗装ヘッドにより塗装された前記第2のワークの画像を前記第2画像として取得するものである。
【0012】
また、本発明の塗装システムの一態様は、複数のノズルを有する塗装ヘッドと、防爆管理された塗装室内に配置され、前記塗装ヘッドをワークに沿って一方向に移動させることが可能な移動手段と、上述した塗装ヘッドの塗装判定装置と、前記塗装ヘッドが有する複数のノズルを洗浄する洗浄手段と、を有し、前記洗浄手段は、前記塗装ヘッドの塗装判定装置により前記ワークの塗装が正常に行われていないと判定されたときに、前記塗装ヘッドが有する複数のノズルを洗浄するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、連続した複数回の塗装において発生する詰まりに起因した塗装不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を実施した形態における塗装システムの一例を示す図である。
図2】(a)はノズル形成面に設けたノズルの配置の一例を示す図、(b)はノズル形成面を部分的に拡大して示す図、(c)は、各々のノズルから塗料を吐出した結果を示す図である。
図3】(a)はテストパターンの一例を示す図、(b)は(a)における領域Aを拡大して示す図である。
図4】ノズル形成面に設けられるノズルの区分の一例を示す図である。
図5】塗装システムにおける制御的な構成を示す図である。
図6】塗装不良となるテストパターンの一例を示す図である。
図7】塗装不良となるテストパターンの一例を示す図である。
図8】塗装不良となるテストパターンの一例を示す図である。
図9】塗装不良となるテストパターンの一例を示す図である。
図10】テストパターンの塗装から塗装ヘッドユニットの洗浄までの処理の流れを示すフローチャートである。
図11図10に示すフローチャートで実施される塗装不良の判定処理の流れを示すフローチャートである。
図12】塗装対象物の塗装面の塗装状態に基づいて塗装不良の判定処理を実行する塗装システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施した塗装システムについて、図面に基づいて説明する。図1に示すように、塗装システム10は、塗装ロボット11、画像処理装置12、搬送装置13、塗装判定装置14を含む。なお、塗装システム10のうち、塗装ロボット11は、防爆処理が施された塗装室17内に配置され、画像処理装置12は当該塗装室17の外部に配置される。また、塗装判定装置14は、塗装室17に隣接する検査室18内に配置される。そして、搬送装置13は、塗装室17及び検査室18に跨って配置される。
【0016】
図示は省略するが、塗装対象物は、塗装ラインの上流側から塗装室17の内部に搬送され、塗装室17の内部を搬送されながら塗装が施される、又は、塗装室17の内部の所定位置まで搬送されたときに一旦停止して塗装が施される。塗装対象物に対して塗装が施されると、塗装が施された塗装対象物は、塗装室17から塗装ラインの下流側に向けて搬送される。以下、塗装対象物として、自動車の車体FRを一例として説明するが、塗装対象物としては、例えば車体以外の自動車部品でもよく(一例としては、ドア、ボンネットや各種パネルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない)、その他、自動車以外の各種部品(一例としては飛行機や鉄道の外装部品)など、塗装を行う必要があるものであれば、自動車の車体に限定される必要はない。
【0017】
また、以下の説明においては、1台の塗装ロボット11を用いて車体FRを塗装する塗装システム10について説明するが、2台以上の塗装ロボット11を用いて車体FRを塗装する塗装システムであってもよい。
【0018】
塗装は、塗膜を塗装対象物の表面に形成して、その表面の保護や美観を与えることを目的として行われるものである。したがって、塗装としては、特定色の塗料、又は特定の機能を有する塗料を用いて塗装対象物を塗装することの他に、複数色の塗料を順に用いて塗装対象物を塗装することを含む。また、塗装は、例えば模様、イラストあるいは画像などの塗装を含む。
【0019】
塗装ロボット11は、一例として、基台20、脚部21、回転駆動部22、ロボットアーム23及び塗装ヘッドユニット24を有する。基台20は、鉛直方向に延在する脚部21の下端側を保持し、塗装ロボット11の全体を支持する部材である。基台20は、例えば塗装室17の床面に固定されてもよいし、塗装室17の内部で移動可能としてもよい。なお、塗装ロボット11は、脚部21を回転中心として、塗装ロボット11により塗装ライン上を搬送される車体FRに対して塗装を行う位置(図1中実線)と、試料SにテストパターンTP(図3(a)参照)の塗装を行う位置(図1中二点鎖線)との間で回転する。ここで、車体FR及び試料Sは、請求項に記載のワークに相当する。
【0020】
回転駆動部22は、脚部21の上端に設けられる。回転駆動部22は、回転軸部25、回転アーム26を含む。回転軸部25は、回転アーム26を介して連結されるロボットアーム23を、床面と平行な面(図1中XY平面)に含まれる直線を回転中心として回転させる。回転アーム26は、回転軸部25とロボットアーム23との間に設けられる。回転アーム26は、モータM1(図5参照)が駆動したときに当該モータM1の回転軸の中心軸線、すなわち、回転軸部25の中心軸線を回転中心として回転する。モータM1としては、電気モータやエアモータが挙げられる。
【0021】
ロボットアーム23は、第1回動アーム27、第2回動アーム28を含む。第1回動アーム27は、当該第1回動アーム27の延在方向(図1では、例えばX軸方向)における一端側において、図示を省略した軸部を介して回転アーム26に連結され、モータM2(図5参照)の駆動により軸部の中心軸線を回動中心として回動する。なお、詳細は図示を省略するが、モータM2は、回転アーム26のハウジング内、又は第1回動アーム27のハウジング内に収納される。
【0022】
第2回動アーム28は、第1回動アーム27の延在方向(図1では、例えばX軸方向)における他端側で、図示を省略した軸部を介して第1回動アーム27に連結され、モータM3(図5参照)の駆動により軸部の中心軸線を回動中心として回動する。なお、詳細については図示を省略するが、モータM3は、第1回動アーム27のハウジング内、又は第2回動アーム28のハウジング内に収納される。
【0023】
第2回動アーム28は、第1回動アーム27と連結される一端とは反対側となる他端側に、リスト部29を保持する。リスト部29は、塗装ヘッドユニット24を保持した状態で、保持した塗装ヘッドユニット24を、自身が有する複数の軸部のいずれかの軸部を回転中心として回転させる。ここで、複数の軸部は、一例として、向きが異なる3つの軸部である。なお、軸部の個数は、2つ以上であればよい。
【0024】
リスト部29は、モータM4,M5,M6(図5参照)を有しており、これらモータのいずれか1つが駆動することで、リスト部29は、上述した複数の軸部のうち、駆動するモータに対応した軸部を回転中心とした回転運動を可能とする。
【0025】
塗装ヘッドユニット24は、塗装ヘッド30、塗料を循環させる循環経路(図示省略)、塗装ヘッド30が有する圧電基板60(図5参照)を制御するヘッド制御部54等を備える。
【0026】
図2(a)は、塗装ヘッド30のノズル形成面31の正面視を示す。図2(a)に示すように、ノズル形成面31は、塗装ヘッドユニット24における主走査方向(図2(a)中S1方向)に沿って配置される2つのノズル群32a,32bを有する。図2(b)に示すように、ノズル群32aは、例えば4個のノズル33を、主走査方向に対して所定の角度傾けた直線L1上に一定の間隔を空けて配置したノズル列34aを、主走査方向に直交する副走査方向(図2(a)中S2方向)に複数配置したものである。ここで、ノズル列34aを構成する4個のノズルを、図2(b)中上方から、ノズル33a、ノズル33b、ノズル33c、ノズル33dとすると、主走査方向において、各ノズル列34aのノズル33aの位置は、同一位置となる。同様にして、各ノズル列34aにおけるノズル33b、ノズル33c及びノズル33dは、主走査方向において、同一位置となる。ここで、同一のノズル列34aにおいて隣り合う2つのノズル33における副走査方向の間隔をD1とすると、隣り合う2つのノズル列34aの端部に位置するノズル33a,33dのうち、副走査方向において互いに近接する2つのノズル33a,33dの間隔D2は、上記間隔D1と同一間隔である(D1=D2)。
【0027】
同様にして、ノズル群32bは、4個のノズル33を主走査方向に対して所定の角度傾けた直線L2上に配置したノズル列34bを副走査方向に複数配置したものである。ここで、直線L1と直線L2とは、平行である。ここで、ノズル列34bを構成する4個のノズルを、図2(a)中上方から、ノズル33e、ノズル33f、ノズル33g、ノズル33hとすると、主走査方向において、各ノズル列34bにおけるノズル33e位置は、同一位置となる。同様にして、各ノズル列34bにおけるノズル33f、ノズル33g及びノズル33hは、主走査方向において、同一位置となる。なお、図示は省略するが、同一のノズル列34bにおいて隣り合う2つのノズル33における副走査方向の間隔D3や、隣り合う2つのノズル列34bの端部に位置するノズル33e,33hのうち、副走査方向において互いに近接する2つのノズル33e,33hの間隔D4は、上記間隔D1と同一間隔である(D3=D4=D1)。
【0028】
また、ノズル群32a,32bのうち、ノズル群32bの各ノズル列34bは、副走査方向において、ノズル群32aのノズル列34aに対して、距離D1/2ずれた位置に配置される。
【0029】
したがって、図2(c)に示すように、ノズル形成面31に設けられるノズル33を各々、同一の投影面PL1上に投影すると、ノズル列34bのノズル33eとノズル33fとの間にノズル列34aのノズル33aが位置する。また、ノズル列34bのノズル33fとノズル33gとの間に、ノズル列34aのノズル33bが位置する。さらに、ノズル列34bのノズル33gとノズル33hとの間に、ノズル列34aのノズル33cが位置する。これによれば、ノズル形成面31に形成される2つのノズル群32a,32bによって、塗装の際にドット密度を向上させることができる。
【0030】
図1に戻って説明すると、画像処理装置12は、車両の塗装範囲に対応するCADデータや実際の車両を計測した計測データに基づいた3次元的なモデル(塗装用3次元モデル)を生成する。また、画像処理装置12は、アーム用メモリ57(図5参照)に記憶されている軌跡データと、生成した塗装用3次元モデルとに基づいて、塗装ヘッドユニット24が塗装を行う際に用いる2次元的な画像データ(塗装パターンデータ)を生成する。塗装パターンデータは、車体FRにおける塗装領域を分割したデータで、車体FRの塗装時に塗装ロボット11に順次送られる。
【0031】
搬送装置13は、塗装ロボット11によりテストパターンTPが塗装された試料Sを、塗装室17から検査室18に向けて搬送する。搬送装置13は、一例としてコンベヤ装置である。
【0032】
塗装判定装置14は、試料Sに塗装されたテストパターンTPを撮像し、撮像により得られた撮像データと判定用画像データとから、塗装ヘッドユニット24による塗装が正常に行われているが否か、すなわち、塗装不良が生じているか否かを判定する。
【0033】
塗装判定装置14は、撮像部41、光源42及びコンピュータ43を含む。撮像部41は、搬送装置13により搬送された試料Sの塗装面を撮像する。光源42は、搬送装置13により搬送された試料Sの塗装面を照明する。コンピュータ43は、撮像部41や光源42の駆動制御を行う。また、コンピュータ43は、撮像部41により得られた撮像データと判定用画像データとから、塗装不良が発生しているか否かを判定する。または、コンピュータ43は、撮像部41により得られた撮像データと、塗装不良の判定のための画像データ以外の基準情報(例えば線状と判定するための画素値の閾値、線状の部分の幅の広狭など)から、塗装不良が発生しているか否かを判定する。そして、塗装不良が発生していると判定したとき、塗装ロボット11に対して、塗装ヘッドユニット24の洗浄を指示する。
【0034】
次に、試料Sの塗装面に塗装されるテストパターンTPについて説明する。図3(a)及び図3(b)に示すように、テストパターンTPは、主走査方向(図3中S1方向)に延びる複数のチェックラインMCLと、副走査方向(図3中S2方向)に延びる複数のチェックラインSCLと、を有する。
【0035】
副走査方向に延びるチェックラインSCLは、塗装ヘッドユニット24のノズル形成面31に設けられた複数のノズル33の各々が主走査方向における特定位置に到達したときに、特定位置に到達したノズル33から塗料の液滴を吐出することで生成されるチェックラインである。
【0036】
主走査方向に延びるチェックラインMCLは、図4に示すように、ノズル形成面31における副走査方向(図4中S2方向)において、図4中左側から数えて同一行となるノズル群32aのノズル列34aと、ノズル群32bのノズル列34bとを同一のグループ(Gr1,Gr2,Gr3,・・・)として区分けし、塗装ヘッド30を主走査方向に移動させながら、同一のグループに区分されたノズル33のいずれかから塗料の液滴を複数回連続して吐出する動作を、塗料の液滴を吐出するノズル33を切り替えながら、同一のグループに属する全てのノズル33で行うことで生成されるチェックラインである(いずれかのノズル33がチェックラインMCLのいずれかを形成するかについては後述)。これらチェックラインMCL及びチェックラインSCLの本数は、ノズル形成面31に設けられるノズルの数によって異なる。
【0037】
上記のように、ノズル群32aのノズル列34a及びノズル群32bのノズル列34bには、各々4個のノズル33が設けられる。したがって、図3(a)及び図3(b)に示すテストパターンTPは、主走査方向に延びる8本のチェックラインMCL1~MCL8と、副走査方向に延びる9本のチェックラインSCL1~SCL9と、を有し、また、8本のチェックラインMCL1~MCL8は、副走査方向に区分されたグループの数だけ有することになる。
【0038】
図3(b)において、チェックラインMCL1は、ノズル群32bのノズル列34bのノズル33eから塗料を複数回連続して吐出することで生成されるチェックラインである。チェックラインMCL2は、ノズル群32aのノズル列34aのノズル33aから塗料を複数回連続して吐出することで生成されるチェックラインである。チェックラインMCL3は、ノズル群32bのノズル列34bのノズル33fから塗料を複数回連続して吐出することで生成されるチェックラインである。チェックラインMCL4は、ノズル群32aのノズル列34aのノズル33bから塗料を複数回連続して吐出することで生成されるチェックラインである。
【0039】
また、チェックラインMCL5は、ノズル群32bのノズル列34bのノズル33gから塗料を複数回連続して吐出することで生成されるチェックラインである。チェックラインMCL6は、ノズル群32aのノズル列34aのノズル33cから塗料を複数回連続して吐出することで生成されるチェックラインである。チェックラインMCL7は、ノズル群32bのノズル列34bのノズル33gから塗料を複数回連続して吐出することで生成されるチェックラインである。チェックラインMCL8は、ノズル群32aのノズル列34aのノズル33dから塗料を複数回連続して吐出することで生成されるチェックラインである。
【0040】
なお、テストパターンTPは、ノズル形成面31に設けられている複数のノズル33の詰まりの有無を判定するものであるので、副走査方向に延びるチェックラインSCLは必ずしも必要ではなく、主走査方向に延びるチェックラインMCLのみのテストパターンとしてもよい。
【0041】
次に、本実施の形態の塗装システム10における制御的な構成について説明する。図5は、塗装システム10における制御的な構成を示す図である。図5に示すように、塗装システム10は、塗装ロボット11、画像処理装置12、搬送装置13及び塗装判定装置14の他に、管理装置35及びノズル洗浄装置36を含む。
【0042】
塗装ロボット11は、主制御部51、アーム制御部52、塗料供給制御部53、ヘッド制御部54を有する。図示は省略するが、主制御部51、アーム制御部52、塗料供給制御部53、ヘッド制御部54は、CPU(Central Processing Unit)、記憶部位(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発メモリ等)、その他の要素から構成されている。
【0043】
主制御部51は、モータM1、M2,M3,M4,M5,M6、塗料供給部58および圧電基板60が協働して塗装対象物に対して塗装が実行されるように、上述したアーム制御部52、塗料供給制御部53及びヘッド制御部54に所定の制御信号を送信する。
【0044】
アーム制御部52は、モータM1、M2,M3,M4,M5,M6の駆動を制御する。アーム制御部52は、アーム用メモリ57を有する。アーム用メモリ57は、塗装ヘッドユニット24を主走査方向に移動させたときに塗装対象物に塗装される副走査方向における幅(以下、塗装幅)を勘案したロボットティーチングによって作成された、塗装ヘッドユニット24の軌跡に関するデータ(軌跡データ)、および塗装ヘッドユニット24の傾き等、塗装ヘッドユニット24の姿勢に関するデータ(姿勢データ)が記憶されている。
【0045】
また、アーム制御部52は、アーム用メモリ57に記憶された軌跡データ、姿勢データ及び画像処理装置12にて行われた画像処理に基づいて、モータM1、M2,M3,M4,M5,M6の駆動を制御する。これらモータM1、M2,M3,M4,M5,M6の制御により、塗装ヘッドユニット24は、塗装を実行する際に、目的の位置を、決められた速度で通過する、又は目的の位置で停止することを可能とする。なお、アーム用メモリ57は、塗装ロボット11に設けられてもよく、また、塗装ロボット11の外部に設けられてもよい。アーム用メモリ57を塗装ロボット11の外部に設ける場合、アーム用メモリ57は、外部機器との間で無線又は有線による通信が行える通信手段に接続されていることが好ましい。
【0046】
塗料供給制御部53は、塗装ヘッド30に対する塗料の供給を制御する。図示を省略するが、塗料供給制御部53は、塗料供給部58が備えるポンプや弁等の作動を制御して、塗料供給部58に接続される塗料タンクやカートリッジ等に貯留される塗料を、塗料供給部58と塗装ヘッドユニット24との間で循環させる。
【0047】
ヘッド制御部54は、画像処理装置12における画像処理に基づいて生成されるデータや、後述する位置センサ61からの位置情報に基づいて、塗装ヘッド30の圧電基板60の作動を制御する。つまり、ヘッド制御部54は、位置センサ61からの位置情報により、塗装ヘッド30が、軌跡データにおける所定の位置に到達したと判断したときに、その位置に対応した塗装データに基づいて、圧電基板60を作動させる。ここで、ヘッド制御部54は、圧電基板60の作動を制御するだけでなく、圧電基板60に対する作動周波数の制御や、圧電基板に印加する電圧の制御を行い、ノズル形成面31に設けられる複数のノズル33の各々から吐出される液滴量を制御することも可能である。
【0048】
位置センサ61は、アーム制御部52の制御により移動する塗装ヘッド30の位置を検出して、その検出信号を主制御部51に出力する。
【0049】
搬送装置13は、駆動制御部65、モータM7及び主動プーリ66を有する。駆動制御部65は、塗装ロボット11から送信される駆動信号に基づき、モータM7を駆動して、主動プーリ66を回転させる。モータM7の駆動により主動プーリ66が回転することで、主動プーリ66及び従動プーリ67(図1参照)に跨って巻き掛けられた搬送ベルト68が走行して、搬送ベルト68上に載置された試料Sを、塗装室17から検査室18に向けて(図1中矢印方向に)搬送する。
【0050】
また、図1に基づいて説明したように、塗装判定装置14は、撮像部41、光源42及びコンピュータ43を有する。コンピュータ43は、制御ユニット71、操作部72及び表示パネル73を有する。制御ユニット71は、主制御部75、撮像制御部76、発光制御部77、表示制御部78を有する。主制御部75は、制御ユニット71が有するメモリ79に記憶された判定用プログラム80を実行することで、画像処理部84、抽出部85及び判定部86の機能を有する。
【0051】
画像処理部84は、撮像部41にて撮像されたテストパターンTPの画像データ(以下、撮像データ)に対して、ノイズ除去、歪み除去、明るさ調整などの処理や、輪郭抽出処理の他、拡縮処理などの画像処理を行う。また、画像処理部84は、必要に応じて、撮像データに対して二値化処理を行ってもよい。なお、拡縮処理は、撮像データに基づく画像におけるテストパターンTPの大きさを拡大、又は縮小して、判定用画像データ81に基づく画像におけるテストパターンTPの大きさに合わせる処理である。
【0052】
抽出部85は、メモリ79に記憶された判定用画像データ81と、画像処理部84にて画像処理が施された撮像データ(以下、処理済みデータ)とを用いて、テストパターンTPに含まれるチェックラインMCLのうち、塗装されていない(塗装抜けの)チェックラインMCLを抽出する。処理済みデータにおいて、塗装されたチェックラインMCLは、輪郭として存在する一方で、塗装されていないチェックラインMCLは、輪郭として存在していない。したがって、抽出部85は、判定用画像データ81に含まれる複数のチェックラインMCLと、処理済みデータに含まれる複数の輪郭とを個々に比較しながら、塗装されていないチェックラインMCLを抽出する。
【0053】
なお、抽出部85は、処理済みデータと判定用画像データ81との差分データを求め、差分データにおいて、テストパターンTPが塗装される範囲内において、画素値が所定範囲から外れる画素値を有する画素が、主走査方向に所定数存在するときに、対応する箇所のチェックラインMCLを、塗装されていないチェックラインMCLとして抽出することも可能である。
【0054】
例えばノズル形成面31に設けられる複数のノズル33の全てにおいて、詰まりが発生していない、すなわち正常な状態の場合、試料Sに塗装されるテストパターンTPにおいて、全てのチェックラインMSLが塗装される。判定用画像データ81は、テストパターンTPにおける全てのチェックラインを塗装したものである。したがって、処理済みデータには、テストパターンTPを構成するチェックラインMCLの各々に対する輪郭は存在するので、この場合には、塗装されていないチェックラインMCLは抽出されない。
【0055】
一方、例えばノズル形成面31に設けられる複数のノズル33のいずれかに詰まりが発生していた場合、そのノズル33に対応したチェックラインMCLは塗装されない。
したがって、処理済みデータには、テストパターンTPを構成するチェックラインMCLのうち、詰まりが発生したノズル33に対応するチェックラインMCLの輪郭は存在しないので、この場合、塗装されていないチェックラインMCLが抽出される。
【0056】
抽出部85は、判定用画像データ81と処理済みデータとを用いて、塗装されていないチェックラインMCLの抽出を行い、抽出結果を示す抽出データを生成する。例えば、塗装されていないチェックラインMCLが抽出された場合には、抽出データには、塗装されていないチェックラインMCLの位置の情報が含まれる。
【0057】
判定部86は、抽出部85が生成した抽出データを用いて、試料Sに対する塗装不良が発生しているか否かを判定する。なお、塗装不良については後述する。判定部86は、塗装不良が発生しているか否かの判定結果を管理装置35に送信する。
【0058】
管理装置35は、図示を省略したCPU、メモリなどを有し、塗装システム10を構成する塗装ロボット11、画像処理装置12、搬送装置13及び塗装判定装置14を統括的に制御する。管理装置35は、塗装判定装置14から送信された塗装不良が発生しているか否かの判定結果に基づいて、塗装ロボット11及びノズル洗浄装置36に洗浄を行う旨の信号を送信する。
【0059】
ノズル洗浄装置36は、塗装ヘッド30のノズル形成面31を洗浄する装置である。
【0060】
次に、塗装不良について説明する。例えば、塗装不良は、図4に示す同一グループGr1、Gr2・・・に区分されたノズル33から塗料を吐出することで生成されるチェックラインMCL1からMCL8のうち、3本以上のチェックラインMCLが塗装されていない場合である。塗装不良を以下に例示する。
【0061】
(1)塗装されていないチェックラインMCLが連続して3本以上抽出される場合
図3(b)に示すように、例えば、同一グループとなる各々のノズル33の各々から塗料が正常に吐出している場合、全てのチェックラインMCL1~MCL8は塗装される。一方、同一グループとなる複数のノズル33のいずれかに詰まりが発生している場合には、詰まりが生じたノズル33に対応するチェックラインMCLは塗装されない。図6に示すように、例えばチェックラインMCL3、MCL4及びMCL5が塗装されていない。図6においては、塗装されていないチェックラインMCL3、MCL4及びMCL5を点線で示している。図3(b)に示すように、ノズル33b、ノズル33f及びノズル33gは、同一の投影面PL1上に投影したとき、隣り合うノズル33である。この状態で車体FRに塗装を行うと、塗装後の車体FRに、塗料が塗装されていない帯状の領域が発生する。
【0062】
(2)塗装されていないチェックラインが一列おきに3か所以上抽出される場合
図7に示すように、例えば、チェックラインMCL2、チェックラインMCL4及びチェックラインMCL6が塗装されていない場合には、チェックラインMCL2に対応するノズル33a、チェックラインMCL4に対応するノズル33b、チェックラインMCL6に対応するノズル33cは、詰まりが発生している。なお、図7においては、塗装されていないチェックラインMCL2、MCL4及びMCL6を点線で示している。図3(b)に示すように、ノズル33a、ノズル33b及びノズル33cは、同一の投影面PL1上に投影したとき、1つおきに配置されるノズルである。この状態で車体FRに塗装を行うと、塗装されていない部分と、塗装した部分が副走査方向に交互に存在し、塗装後の車体FRの色が変色又は凹みが存在しているように感じる。
【0063】
また、図8に示すように、例えば、チェックラインMCL2、チェックラインMCL5及びチェックラインMCL8が塗装されていない場合には、チェックラインMCL2に対応するノズル33a、チェックラインMCL5に対応するノズル33g、チェックラインMCL8に対応するノズル33dは、詰まりが発生している。なお、図8においては、塗装されていないチェックラインMCL2、MCL5及びMCL8を点線で示している。図3(b)に示すように、ノズル33a、ノズル33d及びノズル33gは、同一の投影面PL1上に投影したとき、2つおきに配置されるノズルである。この状態で車体FRに塗装を行うと、塗装されていない部分により、塗装後の車体FRの色が変色しているように感じる。
【0064】
(3)塗装されていない複数のチェックラインMCLが連続して塗装されていない部位が複数抽出される場合
図9に示すように、例えば、チェックラインMCL2、チェックラインMCL3、チェックラインMCL6及びチェックラインMCL7が塗装されていない場合には、チェックラインMCL2に対応するノズル33a、チェックラインMCL3に対応するノズル33f、チェックラインMCL6に対応するノズル33c及びチェックラインMCL7に対応するノズル33hは、詰まりが発生している。なお、図9においては、塗装されていないチェックラインMCL2、MCL3、MCL6及びMCL7を点線で示している。図3(b)に示すように、ノズル33a及びノズル33f、ノズル33c及びノズル33hは、同一の投影面PL1上に投影したとき、各々隣り合うノズルである。この状態で試料Sに塗装を行うと、塗装後の車体FRに、塗料が塗装されていない帯状の領域が発生する。
【0065】
ここで、例えばグループGr1(他のグループGr2、Gr3・・・でも同様)内のノズル33からの液滴の吐出を指令しても、詰まりによって塗装されていないチェックラインが3本以上となる場合に塗装不良であると判定している。しかしながら、1グループあたりのノズル33の数、塗装に用いる塗料の成分、塗料の色などを考慮して、塗装不良であると判定されるときの、塗装されていないチェックラインの本数を設定することが可能である。
【0066】
以下、塗装システム10において実行されるテストパターンTPの塗装から、塗装ヘッドユニット24の洗浄までの処理の流れについて、図10のフローチャートに基づいて説明する。なお、図10のフローチャートは、例えば、車体FRに塗装を開始する直前、塗装ロボット11により所定台数の車体FRに塗装を行った場合、あるいは、塗装ロボット11を塗装室17に設置してから一定期間が経過した場合のいずれかの場合に実施される。
【0067】
ステップS101:テストパターンTPの塗装
管理装置35は、画像処理装置12及び塗装ロボット11に、テストパターンTPの塗装を指示する。管理装置35によるテストパターンTPの塗装の指示を受けて、画像処理装置12は、テストパターンTPに基づいた塗装パターンデータを生成し、塗装ロボット11に送信する。塗装ロボット11の主制御部51は、塗装パターンデータを受信すると、アーム制御部52及びヘッド制御部54に駆動開始を指示する。これを受けて、アーム制御部52は、アーム用メモリ57から、テストパターンTPを塗装する際の軌跡データを読み出し、読み出した軌跡データに基づいて、各モータM1~M6を駆動制御する。ヘッド制御部54は、塗装パターンデータに基づいて、塗装ヘッドユニット24の圧電基板60を作動させる。これにより、塗装ロボット11によってテストパターンTPが試料Sに塗装される。
【0068】
ステップS102:試料Sの搬送
塗装ロボット11によりテストパターンTPが試料Sに塗装されると、塗装ロボット11から管理装置35に、塗装終了したことを伝達する。これを受けて、管理装置35は、搬送装置13に試料Sの搬送を指示する。搬送装置13の駆動制御部65は、モータM7を所定時間駆動した後、モータM7の駆動を停止する。ここで、所定時間とは、搬送ベルト68上に載置された試料Sが塗装室17から検査室18まで搬送される時間である。
【0069】
ステップS103:塗装不良の判定
塗装判定装置14が有する制御ユニット71の主制御部75は、メモリ79に記憶された判定用画像データ81と撮像データとを用いて塗装不良が発生しているか否かを判定する。なお、塗装不良の判定についての詳細は後述する。制御ユニット71の主制御部75は、塗装不良の判定結果を管理装置35に送信する。
【0070】
ステップS104において、管理装置35は、塗装不良が発生していると判断した場合、ステップS105に進む。一方、塗装不良が発生していないと判断した場合、図10のフローチャートの処理を終了する。
【0071】
ステップS105:塗装ヘッドの洗浄
管理装置35は、ノズル洗浄装置36及び塗装ロボット11に対して、ノズル洗浄の開始を指示する。これを受けて、塗装ロボット11の主制御部51は、回転アーム26、第1及び第2回動アーム27,28を駆動し、位置センサ61により塗装ヘッドユニット24の位置を検出しながら、塗装ヘッドユニット24を洗浄位置へと移動させる。そして、塗装ヘッドユニット24が洗浄位置へと移動すると、ノズル洗浄装置36が作動して、塗装ヘッド30のノズル形成面31を洗浄する。これにより、詰まりが解消される。
【0072】
なお、ステップS105においては、塗装ヘッド30のノズル形成面31を洗浄する代わりに、新たな塗装ヘッドユニット24へと交換するようにしてもよい。塗装ヘッドユニット24が交換された場合、今まで使用していた塗装ヘッドユニット24を、別途の洗浄部位で洗浄するようにしてもよい。
【0073】
次に、ステップS103における塗装不良の判定処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS103の塗装不良の判定処理は、塗装判定装置14のコンピュータ43にて実行される。
【0074】
ステップS201:試料Sの撮像
管理装置35は、塗装判定装置14に試料Sを用いた塗装判定を指示する。これを受けて、制御ユニット71の主制御部75は、撮像制御部76に対して撮像を指示する。また、同時に、主制御部75は、発光制御部77に光源42の発光を指示する。これを受けて、発光制御部77は、光源42を点灯させる。これにより、テストパターンTPが塗装された試料Sが照明される。また、撮像制御部76は、撮像部41を駆動して、光源42により照明された試料Sを撮像する。撮像部41により取得された撮像データは、制御ユニット71の主制御部75に出力される。
【0075】
ステップS202:撮像データに対する画像処理
主制御部75の画像処理部84は、撮像データに対して、ノイズ除去、歪み除去、明るさ調整などの処理や、輪郭抽出処理などの画像処理を行い、処理済みデータを生成する。
【0076】
ステップS203:塗装されていないチェックラインMCLの抽出
主制御部75の抽出部85は、メモリ79に記憶された判定用画像データ81を読み出す。そして、主制御部75の抽出部85は、読み出した判定用画像データ81を参照しながら、ステップS202により生成された処理済みデータから、塗装されていないチェックラインMCLを抽出する。そして、主制御部75の抽出部85は、抽出結果を示す抽出データを生成する。
【0077】
ステップS204:塗装不良が発生しているか否かの判定
主制御部75の判定部86は、ステップS203の処理により生成された抽出データに基づいて、塗装されていないチェックラインMCLの有無を、上述した1グループごとに判定する。そして、塗装されていないチェックラインMCLが、例えば3本以上存在するグループが1以上ある場合に、塗装不良が発生していると判定する。なお、塗装されていないチェックラインMCLが、例えば3本以上存在するグループの数は、適宜設定されるものである。この場合、上述したステップS105において、塗装ヘッド30のノズル形成面31が洗浄される。
【0078】
これによれば、テストパターンTPを塗装した試料Sの塗装面を撮像して、判定用画像と比較することで、塗装不良が発生しているか否かの判定を行うことができる。また、この他に、チェックラインMCLの塗装状態を判定することで、詰まりが発生しているノズル33の位置を特定することができる。
【0079】
上記の実施形態では、試料Sの塗装面におけるチェックラインMCLの有無により、塗装不良が発生しているか否かを判定しているが、例えば、三次元変位センサを用いて、チェックラインMCLの太さ、塗料の飛び状態、チェックラインMCLの厚み(すなわち、塗料の膜厚)など試料Sの塗装面における塗装状態を測定し、該測定における結果から、ノズル33の詰まりの状態を把握することも可能である。
【0080】
上述した実施の形態における塗装不良の判定は、例えば、車体FRに塗装を開始する直前、塗装ロボット11により所定台数の車体FRに塗装を行った場合、あるいは、塗装ロボット11を塗装室17に設置してから一定期間が経過した場合のいずれかの場合に実施するようにしているが、塗装対象物の塗装面の塗装状態に基づいて、上記塗装不良の判定を行うことも可能である。このような場合を、図12に基づいて説明する。
【0081】
図12に示すように、塗装された車体FRを異なる位置から撮像する複数の撮像部91を塗装室17に設ける。これら撮像部91は、状態判定装置92に接続され、状態判定装置92により駆動制御される。ここで、複数の撮像部91は、異なる複数の位置に配置されるものであり、複数の撮像部91は、固定であってもよいし、移動可能としてもよい。
【0082】
状態判定装置92は、複数の撮像部91により得られた撮像データから、車体FRの塗装面の三次元画像を生成して、車体FRの塗装面の状態を判定する。状態判定装置92は、三次元画像生成部93及び塗装状態判定部94を有する。ここで、塗装状態判定部94は、請求項に記載の状態判定手段に相当する。
【0083】
三次元画像生成部93は、複数の撮像部91により得られた撮像データ、及び撮像データが得られたときの撮像部91の位置データを用いて、車体FRの塗装面における三次元画像データを生成する。
【0084】
塗装状態判定部94は、三次元画像生成部93によって生成された三次元画像データと車体FRの三次元データとを用いて、車体FRに塗装された塗装膜の厚みを算出する。そして、塗装膜の厚みが所定値以下となる箇所がある場合に、上述した塗装判定装置14による塗装状態を判定する。
【0085】
この場合、状態判定装置92は、例えば塗装ロボット11による車体FRの塗装が終了したことを受けて、撮像部91を駆動して車体FRの撮像を実行する。そして、状態判定装置92は、撮像部91から得られる車体FRの三次元データを生成する。車体FRの三次元データを用いて、例えば塗装膜の厚みが所定値以下となる箇所が複数ある場合に、状態判定装置92は、管理装置35に対して、テストパターンTPの塗装を指示する。これを受けて、管理装置35は、車体FRの塗装を停止して、試料Sへの塗装を指示する。したがって、管理装置35は、請求項に記載の指示手段として機能する。
【0086】
このように、塗装された車体FRの塗装状態において、塗装ムラが発生していると判断された場合に、試料SへのテストパターンTPの塗装が指示される。したがって、塗装ラインが停止される時間を極力短くすることで、車体FRの稼働率を維持させることが可能となる。
【0087】
上記に説明した実施の形態では、判定用画像データ81と、画像処理が施された撮像データとを用いて、塗装されていないチェックラインMCLを抽出している。しかしながら、ノズル33の詰まりの状態によっては、ノズル33から塗料を吐出することができる。このとき、詰まりが発生していないときにノズルから吐出される塗料の液滴量よりも液滴量が少ない場合には、チェックラインMCLは細くなる。また、詰まりが生じているノズル33の場合には、塗装面に付着する塗料の液滴には連続性に異常が生じている。したがって、塗装されるチェックラインの太さや、塗装面に付着する塗料の液滴の連続性も、詰まりの有無の判定に考慮することもできる。また、これらを考慮することで、対象となるチェックラインMCLに対応するノズル33の詰まりの有無を特定するだけでなく、ノズルにおける詰まりの程度を求めることも可能である。
【0088】
例えばチェックラインが細い、チェックラインが曲がるなどの事象が発生しているときには、対応するノズル33は半詰まりの状態であると判定される。このとき、半詰まりの状態であると判定されたノズル33は、例えば、以降の塗装を行わないノズルとすることができる。
【0089】
なお、以降の塗装を行わないノズルと判断した場合、以降の塗装では、当該ノズルの周縁部に配置されたノズルにより補間処理を行ってもよい。
【0090】
本実施の形態で説明した塗装判定装置14は、塗料を吐出するノズル33を複数有し、一方向に移動させながら複数のノズル33から塗料を吐出して、吐出した塗料により試料Sを塗装する塗装ヘッドユニット24の塗装判定装置14であって、塗装した試料Sの画像を取得する撮像部41と、撮像部41により取得された画像に基づいて、試料Sの塗装が正常に行われているか否かを判定する判定部86と、を有する。
【0091】
これによれば、塗装した試料Sの画像から、試料Sが正常に塗装されているか否かを判定するだけでなく、塗装ヘッドユニット24が有する複数のノズル33の状態(目詰まりの有無や、目詰まりの程度など)も把握することができる。また、試料Sが正常に塗装されているか否かの検出を短時間でかつ確実に行うことができる。塗装ヘッドユニット24の複数のノズル33の状態を把握することで、車体FRに対する塗装品質を向上させることができる。
【0092】
また、塗装した試料Sの画像から試料Sに生じた塗装不良を抽出する抽出部85を、有し、判定部86は、抽出部85が試料Sに生じた塗装不良を抽出したときに、塗装ヘッドユニット24が有する複数のノズル33のうち、塗料の吐出不良が生じたノズル33を特定するものである。
【0093】
塗装された試料Sの画像から、塗料が塗布されていない塗装抜けや、吐出時の塗料の位置ずれを特定できるので、塗装ヘッドユニット24が有するノズル33のうち、塗料の吐出不良となるノズル33の位置を容易に特定することが可能となる。
【0094】
また、塗装ヘッドユニット24は、複数のノズル33における塗料の吐出をノズル毎に制御するヘッド制御部54を有し、ヘッド制御部54は、塗装ヘッドユニット24の一方向への移動に合わせて、塗装ヘッドユニット24が有する複数のノズル33を用いて、塗料の吐出不良の有無を判定するためのテストパターンTPを試料Sに塗装させ、判定部86は、テストパターンTPが塗装された試料Sの画像から、試料Sの塗装が正常に行われているか否かを判定するものである。
【0095】
例えば塗装されテストパターンTPの画像を用いて塗装ヘッドユニット24の塗装が正常に行われているか否かを判定する。ここで、テストパターンTPは、ノズル33の詰まりの有無を判定するためのものであるから、複数のノズル33の詰まり具合を確実に検出(把握)することができる。
【0096】
また、塗装ヘッドユニット24は、一方向に対して傾斜する方向に所定数のノズル33を配列したノズル列34a,34bを、一方向に直交する方向に複数配置し、テストパターンTPは、二次元状に配置された、一方向に延びる複数のチェックラインMCLを少なくとも含み、ヘッド制御部54は、塗装ヘッド30の一方向への移動時に、複数のノズル列34a,34bの各々が有する所定数のノズル33のいずれかのノズルから前記塗料を連続的に吐出する動作を、ノズル33を切り替えながら全てのノズル33で行うことで、複数のチェックラインMCLを試料Sに塗装させるものである。
【0097】
本発明では、塗装ヘッドユニット24を一方向に移動させながら各ノズル33から塗料を吐出して、塗装対象物であるワークを塗装するものである。そこで、塗装ヘッドユニット24の移動方向に対して傾斜する方向に所定数のノズル33を配列したノズル列34a,34bを、前記一方向に直交する方向に複数配置した塗装ヘッド30を採用し、また、塗装ヘッド30のノズル33の各々に対応した複数のチェックラインMCLをテストパターンTPとしている。したがって、各チェックラインMCLにおける塗装状態を特定することで、塗装不良となるノズル33の有無を容易に判定しやすくなり、同時に、車体FRの塗装状態を把握しやすくなる。
【0098】
また、判定部86は、撮像部41により取得されたテストパターンTPの画像において、同一のノズル列34a,34bが有する所定数のノズル33のいずれかを用いたチェックラインMCLのうち、所定数以上のチェックラインMCLに塗装不良が生じている場合に、塗装ヘッドユニット24を用いた試料Sの塗装が正常に行われていないと判定するものである。
【0099】
例えば、所定数以上のチェックラインMCLに塗装不良が生じている状態は、車体FRに対して塗料を均一に塗布できていない状態である。このような塗装状態となる車体FRは、塗装不良として扱われて使用できない。したがって、塗装ヘッドユニット24を用いた試料Sの塗装状態を把握することで、塗装不良として扱われる車体FRの発生を防止することができる。
【0100】
また、異なる複数の位置で車体FRを撮像する、少なくとも1以上の撮像部91と、1以上の撮像部91により取得された撮影画像を用いて、塗装ヘッド30により塗装された車体FRの三次元画像を生成する三次元画像生成部93と、三次元画像生成部93により生成された車体FRの三次元画像を用いて、車体FRの塗装状態を判定する塗装状態判定部94とさらに有するものである。
【0101】
これによれば、塗装した車体FRの三次元画像を取得することで、塗装された車体FRの塗装面における塗装状態を把握する、つまり、塗装ムラが発生しているか否かを判断でき、例えば塗装ムラが発生していれば、塗装ヘッドユニット24が有する複数のノズル33のうち、塗装ムラが生じた位置に対応したノズル33を特定できる。また、塗装ムラの程度によって、対応するノズル33の目詰まりの具合を把握することができる。
【0102】
また、塗装状態判定部94は、前記三次元画像を用いて、試料Sを塗装した塗料の厚みが予め設定された厚み以下となるか否かを判定し、塗装状態判定部94が塗料の厚みが予め設定された厚み以下であると判定したときに、塗料の吐出不良の有無を判定するためのテストパターンTPを試料Sに塗装することを指示する管理装置35を、さらに有するものである。
【0103】
これによれば、三次元画像から塗装された車体FRの塗装面に塗装ムラが発生した場合に、テストパターンTPを試料Sに塗装する指示を行うことで、塗装ヘッド30が有する複数のノズル33のうち、目詰まりなどの吐出不良が生じているノズル33を適切に検出することができる。
【0104】
また、複数のノズル33を有する塗装ヘッドユニット24と、防爆管理された塗装室17内に配置され、塗装ヘッドユニット24を試料Sに沿って一方向に移動させることが可能な塗装ロボット11と、上述した塗装判定装置14と、塗装ヘッド30が有する複数のノズル33を洗浄するノズル洗浄装置36と、を有し、ノズル洗浄装置36は、塗装判定装置14により試料Sの塗装が正常に行われていないと判定されたときに、塗装ヘッド30が有する複数のノズル33を洗浄するものである。
【0105】
これによれば、塗装判定装置14により、試料Sへの塗装を正常に行うことができていないと判定されたときに、塗装ヘッド30が有する複数のノズル33を洗浄することで、ノズル33に発生した目詰まりを解消することができ、車体FRに対する塗装品質を維持することができる。
【0106】
このとき、ワークは、塗装判定装置14において、車体FRの塗装が正常に行われているか否かの判定に用いるテストパターン塗装用の試料Sを含み、塗装判定装置14は、前記塗装室17の外部に設置され、塗装ヘッドユニット24により塗装されたテストパターン塗装用の試料Sを、塗装判定装置14へと搬送する搬送装置13を、さらに備えるものである。
【0107】
テストパターン塗装用の試料Sに塗装が行われたときには、塗装されたテストパターン塗装用の試料Sを塗装判定装置14へと搬送すると同時に、次に塗装を行う車体FRが所定位置にセットされる。このとき、例えば、次に塗装を行う車体FRをセットする間に、塗装判定装置14は搬送された塗装ヘッドユニット24の試料Sに対して塗装が正常に行われているか否かを判定し、塗装が正常に行われていないと判断できれば、車体FRに対する塗装を行わずに、塗装ヘッドユニット24の洗浄を行うことになる。その結果、塗装不良となる車体FRの発生を防ぐことができる。また、塗装判定装置14を、塗装室17の外部に設置することで、塗装室17内には試料S又は車体FRを塗装する構成のみの配置となり、発火原因となる構成を塗装室17内から排除することができる。
【符号の説明】
【0108】
10…塗装システム
11…塗装ロボット
12…画像処理装置
13…搬送装置
14…塗装判定装置
24…塗装ヘッドユニット
30…塗装ヘッド
31…ノズル形成面
32a,32b…ノズル群
33…ノズル
34a,34b…ノズル列
41…撮像部
42…光源
43…コンピュータ
FR…車体
S…試料
TP…テストパターン
【要約】
【課題】 連続した複数回の塗装において発生する詰まりに起因した塗装不良の発生を防止する。
【解決手段】 本発明の塗装判定装置は、異なる複数の位置でワークを撮像する1以上の撮像手段と、前記1以上の撮像手段により取得された第1画像を用いて、塗装ヘッドにより塗装された前記ワークの三次元画像を生成する三次元画像生成手段と、前記三次元画像生成手段により生成された前記ワークの三次元画像を用いて、前記ワークの塗装状態を判定する状態判定手段と、前記状態判定手段による前記ワークの塗装状態の判定結果に基づいて、前記塗装ヘッドにより塗装された前記ワークの第2画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得された前記第2画像に基づいて、前記塗装ヘッドによる前記ワークの塗装が正常に行われているか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図12

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12