(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】ガードレールの据付方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/02 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
B66B7/02 H
B66B7/02 E
(21)【出願番号】P 2021521642
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2019021204
(87)【国際公開番号】W WO2020240721
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】牛村 真人
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-064684(JP,A)
【文献】特開2004-043135(JP,A)
【文献】中国実用新案第201817165(CN,U)
【文献】特開2011-195230(JP,A)
【文献】特開2015-151258(JP,A)
【文献】特開平08-277076(JP,A)
【文献】特表平04-501100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0312640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00 - 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路壁に、アンカーボルトを埋設し、建屋側レールブラケットを、ナットにて、前記アンカーボルトに固定し、ガイドレール側レールブラケットと前記建屋側レールブラケットとを固定し、前記ガイドレール側レールブラケットに、クリップにて、ガイドレールを固定するガイドレールの据付方法であって、
前記建屋側レールブラケットと前記ガイドレール側レールブラケットとを固定し、
固定された状態の前記建屋側レールブラケットと前記ガイドレール側レールブラケットとの前記ガイドレール側レールブラケットに、前記クリップにて、前記ガイドレールを固定し、
前記ガイドレールに固定された状態の前記建屋側レールブラケットと前記ガイドレール側レールブラケットとを、前記クリップを弛緩し、降下させ、前記昇降路壁に埋設されている前記アンカーボルトの上方から、前記建屋側レールブラケットの前記昇降路壁に接する辺に形成される長穴と前記アンカーボルトとを嵌合させ、前記建屋側レールブラケットと前記ガイドレール側レールブラケットとを設置し、
前記昇降路壁に埋設される前記アンカーボルトに、前記ナットにて、前記建屋側レールブラケットを固定し、
弛緩されている前記クリップを締め付け、再度、前記ガイドレールをガイドレール側レールブラケットに固定することを特徴とするガイドレールの据付方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガイドレールの据付方法であって、
前記アンカーボルトは、前記ナットが装着されている状態であることを特徴とするガイドレールの据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの昇降路の内部に設置するガイドレールを建屋に固定するためのガイドレールブラケット及びこのガイドレールブラケットを使用するガイドレールの据付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2017-137154号公報(特許文献1)がある。この特許文献1には、ガイドレールを押圧する一対のレールクリップと、横方向に伸びる長孔を含む二個の孔を有するレール側固定ブラケットと、建屋側に固定され、末広がり形に配置される二個の長孔を有する建屋側固定ブラケットと、を備えるガイドレールブラケットが記載されている。そして、この特許文献1には、一対のレールクリップと、レール側固定ブラケットとは、一対のレールクリップと、レール側固定ブラケットの二個の孔と、建屋側固定ブラケットの二個の長孔と、を通る二個のねじ部品によって、建屋側固定ブラケット5に固定されることが記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、レール側固定ブラケット(ガイドレール側レールブラケット)と建屋側固定ブラケット(建屋側レールブラケット)とを有するガイドレールブラケットを使用して、ガイドレールを固定することが記載されている。
【0005】
近年、こうしたガイドレールブラケットの昇降路壁への据付は、建屋の高層化や作業員の省人化のため、機械装置(ロボット)を使用する機械化(自動化)が検討されている。
【0006】
機械装置を使用して、ガイドレールブラケットを昇降路壁に据え付けるためには、特に、ガイドレールブラケットを把持する工程、昇降路壁に設置されるアンカーボルトの位置とガイドレールブラケット(特に、建屋側レールブラケット)に形成される孔の位置とを調整し、この孔へアンカーボルトを挿通する工程など、これら工程を機械化する必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1には、こうしたガイドレールブラケットを、機械装置を使用して、昇降路壁へ据え付けるために適切なガイドレールブラケットについては記載されていない。
【0008】
そこで、本発明は、こうしたガイドレールブラケットを、機械装置を使用して、昇降路壁へ据え付けるために好適なガイドレールブラケットを提供する。そして、こうしたガイドレールブラケットを使用するガイドレールの据付方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のガイドレールの据付方法は、昇降路壁に、アンカーボルトを埋設し、建屋側レールブラケットを、ナットにて、アンカーボルトに固定し、ガイドレール側レールブラケットと建屋側レールブラケットとを固定し、ガイドレール側レールブラケットに、クリップにて、ガイドレールを固定するガイドレールの据付方法であって、建屋側レールブラケットとガイドレール側レールブラケットとを固定し、固定された状態の建屋側レールブラケットとガイドレール側レールブラケットとのガイドレール側レールブラケットに、クリップにて、ガイドレールを固定し、ガイドレールに固定された状態の建屋側レールブラケットとガイドレール側レールブラケットとを、クリップを弛緩し、降下させ、昇降路壁に埋設されているアンカーボルトの上方から、建屋側レールブラケットの昇降路壁に接する辺に形成される長穴とアンカーボルトとを嵌合させ、建屋側レールブラケットとガイドレール側レールブラケットとを設置し、昇降路壁に埋設されるアンカーボルトに、ナットにて、建屋側レールブラケットを固定し、弛緩されているクリップを締め付け、再度、ガイドレールをガイドレール側レールブラケットに固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、こうしたガイドレールブラケットを、機械装置を使用して、昇降路壁へ据え付けるために好適なガイドレールブラケットを提供することができる。そして、こうしたガイドレールブラケットを使用するガイドレールの据付方法を提供することができる。
【0012】
なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、下記する実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1に記載するガイドレールブラケットを説明する分解斜視図である。
【
図2】比較例のガイドレールの据付方法を説明する説明図である。
【
図3】比較例のガイドレールブラケットを説明する正面図である。
【
図4】実施例1に記載するガイドレールの据付方法を説明する説明図である。
【
図5】実施例1に記載するガイドレールブラケットを説明する正面図である。
【
図6】実施例2に記載するガイドレールブラケットを説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を使用して、本発明の実施例を説明する。なお、実質的に同一又は類似の構成には同一の符号を付し、説明が重複する場合には、その説明を省略する場合がある。
【実施例1】
【0015】
まず、実施例1に記載するガイドレールブラケットを説明する。
【0016】
図1は、実施例1に記載するガイドレールブラケットを説明する分解斜視図である。
【0017】
実施例1に記載するガイドレールブラケットは、昇降路壁3に接する建屋側レールブラケット2とガイドレール6に接するガイドレール側レールブラケット1とを有する。
【0018】
建屋側レールブラケット2は、断面がL字状の形状を有し、一辺が昇降路壁3に接し、他の一辺がガイドレール側レールブラケット1に接する。
【0019】
ガイドレール側レールブラケット1は、断面がL字状の形状を有し、一辺がガイドレール6に接し、他の一辺が建屋側レールブラケット2に接する。
【0020】
ガイドレール側レールブラケット1と建屋側レールブラケット2とは、レールブラケット用ボルト12、レールブラケット用大型平座金13、レールブラケット用平座金14、レールブラケット用ばね座金15、レールブラケット用ナット16により、固定される。
【0021】
ガイドレール6とガイドレール側レールブラケット1とは、クリップ用ボルト8、クリップ7、クリップ用座金9、クリップ用ばね座金10、クリップ用ナット11により、固定される。特に、ガイドレール6は、左右両側から、ガイドレール側レールブラケット1に固定される。
【0022】
建屋側レールブラケット2は、昇降路壁3に設置されるアンカーボルト4に、ナット5により、固定される。
【0023】
次に、比較例のガイドレールの据付方法を説明する。
【0024】
図2は、比較例のガイドレールの据付方法を説明する説明図である。
(1)昇降路壁3に、アンカーボルト4を埋設する。
(2)建屋側レールブラケット2を、アンカーボルト4に挿通し、ナット5にて固定する。
(3)ガイドレール側レールブラケット1と建屋側レールブラケット2とを、レールブラケット用ボルト12、レールブラケット用大型平座金13、レールブラケット用平座金14、レールブラケット用ばね座金15、レールブラケット用ナット16により、固定する。
(4)ガイドレール側レールブラケット1に、クリップ7などを使用して、ガイドレール6を固定する。
【0025】
次に、比較例のガイドレールブラケットを説明する。
【0026】
図3は、比較例のガイドレールブラケットを説明する正面図である。
【0027】
比較例のガイドレールブラケットには、特に、建屋側レールブラケット2には、アンカーボルト4を挿通するための孔19が形成される。つまり、建屋側レールブラケット2を昇降路壁3に固定するためには、昇降路壁3に設置されるアンカーボルト4の位置と建屋側レールブラケット2に形成される孔19の位置とを調整し、昇降路壁3に対して垂直の方向から、この孔19へアンカーボルト4を挿通する必要がある。そして、その後、アンカーボルト4にナット5を装着する必要がある。
【0028】
このような比較例のガイドレールブラケットでは、機械装置を使用して、昇降路壁3へ建屋側レールブラケット2を据え付けるためには、建屋側レールブラケット2に形成される孔19に、アンカーボルト4を、昇降路壁3に対して垂直の方向から、挿通する必要があり、更に、その後に、ナット5をアンカーボルト4に装着する必要があり、更に、その後に、ナット5を締め付け、建屋側レールブラケット2を昇降路壁3に固定する必要がある。
【0029】
また、昇降路壁3に建屋側レールブラケット2を固定した後に、ガイドレール側レールブラケット1やガイドレール6を、ボルト、ナット、座金、ばね座金などにより、固定する必要がある。
【0030】
このように、比較例のガイドレールブラケットを使用して、ガイドレールを据え付けるためには、機械装置に、技術的なハードルが高く、不向きな作業、例えば、アンカーボルト4にナット5を装着する作業、を実行させる必要がある。
【0031】
一方、実施例1に記載するガイドレールブラケットは、こうした機械装置には、技術的なハードルが高く、不向きな作業を実行させる必要がなく、ガイドレールを据え付けることができる。
【0032】
次に、実施例1に記載するガイドレールの据付方法を説明する。
【0033】
図4は、実施例1に記載するガイドレールの据付方法を説明する説明図である。
【0034】
(1)ガイドレール側レールブラケット1と建屋側レールブラケット2(これら両方のレールブラケットを総称して「ガイドレールブラケット」と呼称する)とを、レールブラケット用ボルト12、レールブラケット用大型平座金13、レールブラケット用平座金14、レールブラケット用ばね座金15、レールブラケット用ナット16により、固定し、また、設計された固定位置(正規の最終的な固定位置)よりも高めに、ガイドレールブラケットに、クリップ7などを使用して、ガイドレール6を固定する。
【0035】
つまり、建屋側レールブラケット2とガイドレール側レールブラケット1とを固定する。そして、固定された状態の建屋側レールブラケット2とガイドレール側レールブラケット1とのガイドレール側レールブラケット1に、クリップ7にて、ガイドレール6を固定する。
【0036】
(2)昇降路壁3に、ナット5を装着した(はめ込んだ)状態のアンカーボルト4を埋設する。
【0037】
(3)クリップ7を弛緩し(緩め)、ガイドレール6に固定されているガイドレールブラケットを降下させ、昇降路壁3に埋設されているアンカーボルト4の上方から、ガイドレールブラケットを設計された固定位置に設置する。
【0038】
つまり、ガイドレール6に固定された状態の建屋側レールブラケット2とガイドレール側レールブラケット1とを、クリップ7を弛緩し、降下させる。そして、昇降路壁3に埋設されているアンカーボルト4の上方から、建屋側レールブラケット2の昇降路壁3に接する辺に形成されるスリット状の長穴17とアンカーボルト4とを嵌合させ、建屋側レールブラケット2とガイドレール側レールブラケット1とを固定位置に設置する。
【0039】
(4)アンカーボルト4に装着されているナット5を締め付け、ガイドレールブラケットを、固定する。つまり、昇降路壁3に埋設されるアンカーボルト4に、ナット5にて、建屋側レールブラケット2を固定する。
【0040】
(5)弛緩されているクリップ7などを使用して、再度、ガイドレール6をガイドレールブラケットに固定する。つまり、弛緩されているクリップ7を締め付け、再度、ガイドレール6をガイドレール側レールブラケット1に固定する。
【0041】
このように、実施例1に記載するガイドレール6の据付方法によれば、機械装置には、技術的なハードルが高く、不向きな作業、例えば、アンカーボルト4にナット5を装着する作業、を実行させる必要がなく、ガイドレールブラケットを、アンカーボルト4に設置することができ、ガイドレール6を据え付けることができる。
【0042】
また、実施例1に記載するガイドレール6の据付方法によれば、昇降路壁3に、ナット5を装着した状態のアンカーボルト4を埋設する作業と、ガイドレール側レールブラケット1と建屋側レールブラケット2とを固定し、クリップ7などを使用して、ガイドレールブラケットを、ガイドレール6に固定する作業と、を並列に実行することができるため、作業効率が向上する。
【0043】
そして、このように、ガイドレール側レールブラケット1と建屋側レールブラケット2とを固定する作業やクリップ7などを使用してガイドレールブラケットをガイドレール6に固定する作業を、事前に作業者が実行し、ガイドレールブラケットを降下させ、昇降路壁3に埋設されているアンカーボルト4の上方から、ガイドレールブラケットを正規の固定位置に設置する作業を機械装置が実行する。これにより、ガイドレール6の据付の少なくとも一部を自動化することができる。
【0044】
次に、実施例1に記載するガイドレールブラケットを説明する。
【0045】
図5は、実施例1に記載するガイドレールブラケットを説明する正面図である。
【0046】
実施例1に記載するガイドレールブラケットは、特に、建屋側レールブラケット2には、スリット状の長穴17が形成される。スリット状の長穴17は、ガイドレールブラケットを降下させ、昇降路壁3に埋設されているアンカーボルト4の上方から、ガイドレールブラケットを正規の固定位置に設置するために形成される。つまり、このスリット状の長穴17は、建屋側レールブラケット2の下方に開放している。なお、スリット状の長穴17は、建屋側レールブラケット2の昇降路壁3に接する辺に形成される(
図1参照)。
【0047】
こうしたスリット状の長穴17が形成される建屋側レールブラケット2を使用することにより、機械装置を使用して、ガイドレールブラケットを、昇降路壁3に埋設されているアンカーボルト4の上方から、正規の固定位置に設置することができ、ガイドレール6の据付の少なくとも一部を自動化することができる。
【0048】
また、こうしたスリット状の長穴17は、建屋側レールブラケット2の昇降路壁3に接する辺に、複数個形成されることが好ましい。
【0049】
また、こうしたスリット状の長穴17は、左右どちらか一方の長穴17が、複数個形成されることが好ましい。
図5に記載するガイドレールブラケットでは、左側には、1つの長穴17と2つの長穴18との合計3個の長穴が形成される。そして、右側には、1つの長穴17が形成される。なお、一つの建屋側レールブラケット2は、昇降路壁3の二カ所に設置されるアンカーボルト4に、ナット5にて、固定される。この二カ所は、ガイドレール6の設置方向(
図1の矢印方向参照)の両側であり、ここでは、この二カ所を「左右」と呼称する。
【0050】
この左右どちらか一方に複数個形成される長穴は、アンカーボルト4を昇降路壁3に設置する際、昇降路壁3の内部に埋没される鉄筋とアンカーボルト4とが干渉し、アンカーボルト4の埋設位置がずれた場合に対応するための、予備のスリット状の長穴である。なお、この予備のスリット状の長穴も、建屋側レールブラケット2の下方に開放している。
【0051】
このように、実施例1に記載するガイドレールブラケットは、エレベーターのガイドレール自動据付装置向けのガイドレールブラケットであり、実施例1に記載するガイドレールブラケットによれば、機械装置には、技術的なハードルが高く、不向きな作業、例えば、アンカーボルト4にナット5を装着する作業を、作業者が事前に実行した後、ガイドレールブラケットを、アンカーボルト4に設置することができ、ガイドレール6を据え付けることができる。
【実施例2】
【0052】
次に、実施例2に記載するガイドレールブラケットを説明する。
【0053】
図6は、実施例2に記載するガイドレールブラケットを説明する正面図である。
【0054】
実施例2に記載するガイドレールブラケットは、特に、建屋側レールブラケット2の昇降路壁3に接する辺には、上部に長穴及び下部に円穴を有する孔20が形成される。この孔20は、まず、下部の円穴にてナット5を通過させ、その後、上部の長穴にてガイドレールブラケットを降下させ、昇降路壁3に埋設されているアンカーボルト4の上方から、ガイドレールブラケットを正規の固定位置に設置するために形成される。
【0055】
また、孔20に形成される上部の長穴は、アンカーボルト4の直径とほぼ等しく(若干大きく)、また、孔20に形成される下部の円穴は、ナット5の直径とほぼ等しい(若干大きい)ことが好ましい。
【0056】
こうした孔20が形成される建屋側レールブラケット2を使用することにより、強度が向上するガイドレールブラケットを提供することができる。
【0057】
また、こうした孔20は、建屋側レールブラケット2の昇降路壁3に接する辺に、複数個形成されることが好ましい。
【0058】
また、こうした孔20は、左右どちらか一方の孔20が、複数個形成されることが好ましい。
図6に記載するガイドレールブラケットでは、左側には、1つの孔20と2つの孔21との合計3個の孔が形成される。そして、右側には、1つの孔20が形成される。なお、一つの建屋側レールブラケット2は、昇降路壁3の二カ所に設置されるアンカーボルト4に、ナット5にて、固定される。この二カ所は、ガイドレール6の設置方向(
図1の矢印方向参照)の両側であり、ここでは、この二カ所を「左右」と呼称する。
【0059】
この左右どちらか一方に複数個形成される孔は、アンカーボルト4を昇降路壁3に設置する際、昇降路壁3の内部に埋没される鉄筋とアンカーボルト4とが干渉し、アンカーボルト4の埋設位置がずれた場合に対応するための、予備の孔である。
【0060】
このように、実施例2に記載するガイドレールブラケットも、エレベーターのガイドレール自動据付装置向けのガイドレールブラケットであり、実施例2に記載するガイドレールブラケットによれば、機械装置には、技術的なハードルが高く、不向きな作業、例えば、アンカーボルト4にナット5を装着する作業を、作業者が事前に実行した後、ガイドレールブラケットを、アンカーボルト4に設置することができ、ガイドレール6を据え付けることができる。
【0061】
次に、実施例2に記載するガイドレールの据付方法を説明する。
【0062】
(1)ガイドレール側レールブラケット1と建屋側レールブラケット2(これら両方のレールブラケットを総称して「ガイドレールブラケット」と呼称する)とを、レールブラケット用ボルト12、レールブラケット用大型平座金13、レールブラケット用平座金14、レールブラケット用ばね座金15、レールブラケット用ナット16により、固定し、また、設計された固定位置よりも高めに(孔20に形成される上部の長穴の長さ分高めに)、ガイドレールブラケットを、クリップ7などを使用して、ガイドレール6に固定する。
【0063】
つまり、建屋側レールブラケット2とガイドレール側レールブラケット1とを固定する。そして、固定された状態の建屋側レールブラケット2とガイドレール側レールブラケット1とのガイドレール側ブラケット1に、クリップ7にて、ガイドレール6を固定する。
【0064】
(2)昇降路壁3に、ナット5を装着した(はめ込んだ)状態のアンカーボルト4を埋設する。
【0065】
(3)ガイドレールブラケットの建屋側レールブラケット2の昇降路壁3に接する辺に形成される孔20に形成される円穴に、ナット5が装着されている状態のアンカーボルト4を挿通する。つまり、孔20に形成される下部の円穴にて、ナット5が装着されている状態のアンカーボルト4を挿通する。
【0066】
(4)クリップ7を弛緩し(緩め)、ガイドレール6に固定されているガイドレールブラケットを降下させ、昇降路壁3に埋設されているアンカーボルト4の上方から、ガイドレールブラケットを設計された固定位置に設置する。
【0067】
つまり、ガイドレール6に固定された状態の建屋側レールブラケット2とガイドレール側レールブラケット1とを、クリップ7を弛緩し、降下させる。そして、孔20に形成される上部の長穴に、昇降路壁3に埋設されているアンカーボルト4の上方から、この長穴とアンカーボルト4とを嵌合させ、建屋側レールブラケット2とガイドレール側レールブラケット1とを固定位置に設置する。
【0068】
(5)アンカーボルト4に装着されているナット5を締め付け、ガイドレールブラケットを、固定する。つまり、昇降路壁3に埋設されるアンカーボルト4に、ナット5にて、建屋側レールブラケット2を固定する。
【0069】
(6)弛緩されているクリップ7などを使用して、再度、ガイドレール6をガイドレールブラケットに固定する。つまり、弛緩されているクリップ7を締め付け、再度、ガイドレール6をガイドレール側レールブラケット1に固定する。
【0070】
このように、実施例2に記載するガイドレールの据付方法によれば、機械装置には、技術的なハードルが高く、不向きな作業、例えば、アンカーボルト4にナット5を装着する作業を、作業者が事前に実行した後、ガイドレールブラケットを、アンカーボルト4に設置することができ、ガイドレール6を据え付けることができる。
【0071】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために、詳細かつ具体的に、説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を有するものに限定されない。また、ある実施例の構成要素の一部を、他の実施例の構成要素の一部に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成要素に他の実施例の構成要素を加えることも可能である。また、各実施例の構成要素の一部について、他の構成要素の一部を、追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…ガイドレール側レールブラケット、2…建屋側レールブラケット、3…昇降路壁、4…アンカーボルト、5…ナット、6…ガイドレール、7…クリップ、8…クリップ用ボルト、9…クリップ用座金、10…クリップ用ばね座金、11…クリップ用ナット、12…レールブラケット用ボルト、13…レールブラケット用大型平座金、14…レールブラケット用平座金、15…レールブラケット用ばね座金、16…レールブラケット用ナット、
17…長穴、18…長穴、19…孔、20…孔、21…孔。