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特許7122471ラベル貼付け装置、ラベル貼付け装置の制御方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】ラベル貼付け装置、ラベル貼付け装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65C 3/08 20060101AFI20220812BHJP
   B65C 9/42 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B65C3/08
B65C9/42
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021528750
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2019025460
(87)【国際公開番号】W WO2020261445
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 誠一
(72)【発明者】
【氏名】石黒 圭太
(72)【発明者】
【氏名】高村 亮太朗
(72)【発明者】
【氏名】小牧 靖史
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-315417(JP,A)
【文献】特開2006-123923(JP,A)
【文献】特開2012-240693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0370670(US,A1)
【文献】特開2012-148870(JP,A)
【文献】特開2018-47943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 3/08
B65C 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材に接着材を介して設けられたラベルと、を有するシートを送る送り機構と、
前記ラベルに印字する印字部と、
前記送り機構によって送られた前記シートの前記基材から前記ラベルを剥離する剥離部材と、
前記シートの送り方向における前記ラベルの前端が、所定の基準剥離量だけ前記基材から剥離された前記ラベルを円筒体の外周面に沿って貼り付ける貼付け機構と、
前記送り機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ラベルの前端を前記基準剥離量よりも大きい所定の第1予備剥離量まで剥離すると共に、前記送り機構によって前記シートを逆送りすることで当該ラベル全体を前記基材上に戻す予備剥離動作を行い、前記予備剥離動作後、前記ラベルの前端を前記基準剥離量だけ剥離するように制御する、ラベル貼付け装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記予備剥離動作後、前記ラベルの前端を前記基準剥離量よりも大きく、かつ前記第1予備剥離量よりも小さい所定の第2予備剥離量まで剥離し、前記送り機構によって前記シートを逆送りすることで前記ラベルの前端を前記基準剥離量まで戻す姿勢調整動作を行うことにより、前記ラベルの前端を前記基準剥離量だけ剥離するように制御する、
請求項1に記載のラベル貼付け装置。
【請求項3】
前記貼付け機構は、前記円筒体の外周面に沿って回転して前記ラベルを前記円筒体に貼り付ける貼付けローラを有し、
前記制御部は、前記貼付けローラにおいて前記円筒体に接する位置が、前記送り機構が送る前記シートの送り方向と同じ方向へ移動し、前記貼付けローラが前記シートの送り動作と同期して回転するように前記貼付け機構を制御する、
請求項1に記載のラベル貼付け装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記予備剥離動作後に前記姿勢調整動作を行う第1制御と、前記予備剥離動作を行わずに前記姿勢調整動作のみを行う第2制御と、を選択的に行う
請求項2に記載のラベル貼付け装置。
【請求項5】
前記基材から剥離された前記ラベルの前端を検知する検知センサを更に備え、
前記制御部は、前記予備剥離動作及び前記姿勢調整動作を行ったときに前記検知センサが前記ラベルの前端を検知しない場合、前記予備剥離動作及び前記姿勢調整動作を繰り返し、前記予備剥離動作を繰り返した回数に応じて、前記第1予備剥離量を徐々に大きくして前記予備剥離動作を行うように制御する、
請求項2に記載のラベル貼付け装置。
【請求項6】
前記円筒体は、採血管である、
請求項1に記載のラベル貼付け装置。
【請求項7】
基材に接着材を介してラベルが設けられたシートを送る送り機構と、前記ラベルに印字する印字部と、前記送り機構によって送られた前記シートの前記基材から前記ラベルを剥離する剥離部材と、前記シートの送り方向における前記ラベルの前端が、所定の基準剥離量だけ前記基材から剥離された前記ラベルを円筒体の外周面に沿って貼り付ける貼付け機構と、前記送り機構を制御する制御部と、を備えるラベル貼付け装置の制御方法であって、
前記ラベルの前端を前記基準剥離量よりも大きい所定の第1予備剥離量まで剥離すると共に、前記送り機構によって前記シートを逆送りすることで当該ラベル全体を前記基材上に戻す予備剥離動作を行い、前記予備剥離動作後、前記ラベルの前端を前記基準剥離量だけ剥離するように前記制御部によって制御する、ラベル貼付け装置の制御方法。
【請求項8】
基材に接着材を介してラベルが設けられたシートを送る送り機構と、前記ラベルに印字する印字部と、前記送り機構によって送られた前記シートの前記基材から前記ラベルを剥離する剥離部材と、前記シートの送り方向における前記ラベルの前端が、所定の基準剥離量だけ前記基材から剥離された前記ラベルを円筒体の外周面に沿って貼り付ける貼付け機構と、前記送り機構を制御する制御部と、を備えるラベル貼付け装置を制御するためのプログラムであって、
前記ラベルの前端を前記基準剥離量よりも大きい所定の第1予備剥離量まで剥離すると共に、前記送り機構によって前記シートを逆送りすることで当該ラベル全体を前記基材上に戻す予備剥離動作を行い、前記予備剥離動作後、前記ラベルの前端を前記基準剥離量だけ剥離するように前記制御部に制御を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル貼付け装置、ラベル貼付け装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、採血管等の試験管のような円筒体の外周面に、シートの基材から剥がされたラベルを貼り付けるラベル貼付け装置が知られている。この種のラベル貼付け装置としては、シートの基材からラベルの前端の一部を剥離し、ラベルの前端から円筒体の外周面に沿って貼り付けながら、ラベルを基材から剥がすものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-58904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラベル貼付け装置では、ラベルの前端が基材から剥がされたときに、ラベルの前端が、基材が送られる方向に引っ張られる傾向があり、ラベルの前端部分の姿勢にバラツキが生じる。このため、ラベルの前端部分の姿勢に応じて、円筒体の外周面におけるラベルの貼り付け位置の精度の低下を招く。基材からラベルの前端部分が適正に剥離されていない場合には、ラベルの前端部分が円筒体の外周面に衝突し、ラベルの前端部分が折れた状態で円筒体に貼り付けられてしまうおそれがある。
【0005】
この現象は、特に、ラベルの接着材の粘着力が大きくなる低温環境や、接着材の粘着力が大きいラベルを用いる場合に顕著となる。また、ロール紙のようにシートが巻回されたロールシートが用いられる場合には、ロールシートの径方向における中心側が、外周側よりも小径であるので、シートに巻き癖が生じ易く、巻き癖によってラベルの前端部分の姿勢が更に不安定になり易い。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、基材から剥がされたラベルの前端部分における姿勢の安定性を高めると共に、円筒体の外周面に対するラベルの貼付け動作の信頼性を高めることができるラベル貼付け装置、ラベル貼付け装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示するラベル貼付け装置の一態様は、基材と、前記基材に接着材を介して設けられたラベルと、を有するシートを送る送り機構と、前記ラベルに印字する印字部と、前記送り機構によって送られた前記シートの前記基材から前記ラベルを剥離する剥離部材と、前記シートの送り方向における前記ラベルの前端が、所定の基準剥離量だけ前記基材から剥離された前記ラベルを円筒体の外周面に沿って貼り付ける貼付け機構と、前記送り機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ラベルの前端を前記基準剥離量よりも大きい所定の第1予備剥離量まで剥離すると共に、前記送り機構によって前記シートを逆送りすることで当該ラベル全体を前記基材上に戻す予備剥離動作を行い、前記予備剥離動作後、前記ラベルの前端を前記基準剥離量だけ剥離するように制御する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示するラベル貼付け装置の一態様によれば、基材から剥がされたラベルの前端部分における姿勢の安定性を高める共に、円筒体の外周面に対するラベルの貼付け動作の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例の採血管準備装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施例の採血管準備装置の内部を示す斜視図である。
図3図3は、実施例の採血管準備装置の内部を説明するための縦断面図である。
図4図4は、実施例のラベル貼付け装置の要部を示す模式図である。
図5図5は、実施例のラベル貼付け装置で用いるシートを示す平面図である。
図6A図6Aは、実施例のラベル貼付け装置において、ラベルの前端が基準剥離量まで剥離された状態を示す模式図である。
図6B図6Bは、実施例のラベル貼付け装置において、ラベルの前端が第1予備剥離量まで剥離された状態を示す模式図である。
図6C図6Cは、実施例のラベル貼付け装置において、ラベル全体が台紙上に戻された状態を示す模式図である。
図6D図6Dは、実施例のラベル貼付け装置において、ラベルの前端が第2予備剥離量まで剥離された状態を示す模式図である。
図6E図6Eは、実施例のラベル貼付け装置において、ラベルの前端が基準剥離量だけ剥離された状態を示す模式図である。
図7図7は、実施例において予備剥離動作及び姿勢調整動作を行ったときのラベルの前端の位置の変化を説明するための図である。
図8図8は、実施例における制御部がラベルの前端を検知しながら予備剥離動作及び姿勢調整動作を行う制御を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、実施例のラベル貼付け装置における第1制御及び第2制御を説明するためのフローチャートである。
図10A図10Aは、実施例のラベル貼付け装置において、採血管が供給された状態を示す縦断面図である。
図10B図10Bは、実施例のラベル貼付け装置において、採血管にラベルの前端が貼付けられた状態を示す縦断面図である。
図10C図10Cは、実施例のラベル貼付け装置において、採血管の外周面に沿ってラベルが貼り付けられる状態を示す縦断面図である。
図10D図10Dは、実施例のラベル貼付け装置において、ラベルが貼り付けられた採血管が排出される状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示するラベル貼付け装置及びその制御方法、プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示するラベル貼付け装置、ラベル貼付け装置の制御方法、プログラムが限定されるものではない。
【実施例
【0011】
(採血管準備装置の構成)
図1は、実施例の採血管準備装置の外観を示す斜視図である。図2は、実施例の採血管準備装置の内部を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、採血管準備装置1は、上面カバーCV1、側面カバーCV2及び正面カバーCV3を有する筐体を備えており、内部の各部が開閉可能に構成されている。正面カバーCV3には、後述する採血管供給装置2及ラベル貼付け装置3を操作するための操作パネル5が設けられている。図1及び図2において、採血管準備装置1の奥行き方向をX方向、採血管準備装置1の幅方向をY方向、採血管準備装置1の高さ方向をZ方向として示す。図3以降においても、図1及び図2と同様に、X、Y、Z方向をそれぞれ示す。
【0012】
図3は、実施例の採血管準備装置1の内部を説明するための縦断面図である。図3に示すように、採血管準備装置1は、採血管供給装置2と、採血管供給装置2から供給された採血管4にラベルを貼り付けるラベル貼付け装置3と、を備える。採血管供給装置2は、採血管4が収容される複数の収容部6A、6Bと、各収容部6A、6Bから採血管4を繰り出す繰出部7と、繰出部7から繰り出された採血管4を搬送する搬送部8と、を備える。
【0013】
複数の収容部6A及び複数の収容部6Bは、X方向に並んで配置されている。収容部6A及び収容部6Bには、例えば、大きさが異なる採血管4が収容される。各収容部6A、6B内には、採血管4の長さ方向を横向きとした姿勢で複数の採血管4がZ方向に沿って配列されている。繰出部7は、収容部6A、6Bの下部に配置されており、収容部6A、6B内から採血管4を繰り出す。搬送部8は、X方向に沿って往復移動する搬送部材9を有しており、搬送部材9よって繰出部7から採血管4を搬送することで、採血管4をラベル貼付け装置3に供給する。
【0014】
(ラベル貼付け装置の構成)
図3に示すように、ラベル貼付け装置3は、基材としての後述する台紙11に接着材(接着層)13を介してラベル12が設けられたシート10を送る送り機構としてのシート供給機構16と、ラベル12に印字する印字部17と、を備える。また、ラベル貼付け装置3は、シート供給機構16によって送られたシート10からラベル12を剥離する剥離部材18と、シート10の送り方向(X方向)におけるラベル12の前端12aが、所定の基準剥離量A0だけ台紙11から剥離されたラベル12を、円筒体としての採血管4の外周面に沿って貼り付ける貼付け機構19と、を備える。
【0015】
図4は、実施例のラベル貼付け装置3の要部を示す模式図である。また、図4に示すように、ラベル貼付け装置3は、シート供給機構16、印字部17、貼付け機構19をそれぞれ制御する制御部21を備える。制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、記憶装置と、入出力装置と、通信インターフェイスと、メディアインターフェイス等が設けられた制御基板(図示せず)を有しており、シート供給機構16、印字部17、貼付け機構19と電気的にそれぞれ接続されている。実施例における制御部21は、シート供給機構16、印字部17、貼付け機構19をそれぞれ制御するが、シート供給機構16を制御する制御部と、印字部17、貼付け機構19を制御する別の制御部とが独立して設けられてもよい。
【0016】
そして、ラベル貼付け装置3の制御部21は、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0よりも大きい所定の第1予備剥離量A1まで剥離すると共に、シート供給機構16によってシート10をX2方向に逆送りすることで、このラベル12全体を台紙11上に戻す予備剥離動作を行い、予備剥離動作後、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離するように制御する。また、制御部21は、予備剥離動作後、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0よりも大きく、かつ第1予備剥離量A1よりも小さい所定の第2予備剥離量A2(A0<A2<A1)まで剥離し、シート供給機構16によってシート10を逆送りする(X2方向に送る)ことでラベル12の前端12aを基準剥離量A0まで戻す姿勢調整動作を行うことにより、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離するように制御する。予備剥離動作及び姿勢調整動作の詳細については後述する。
【0017】
(シートの構成)
図5は、実施例のラベル貼付け装置3で用いるシート10を示す平面図である。シート10は、台紙11と、台紙11に接着材13を介して設けられたラベル12と、を有する。図5に示すように、台紙11の長手方向に沿って、複数のラベル12が所定の間隔をあけて配列されている。台紙11の長手方向におけるラベル12の長さLは、例えば、30mm~35mm手程度に形成されている。台紙11の短手方向におけるラベル12の幅Wは、例えば、50mm程度に形成されている。
【0018】
シート10としては、台紙11上のラベル12を外周側に向けて台紙11が巻回されたロールシートが用いられている。なお、シート10としては、ロールシートに限定されず、シート10の長手方向に沿って蛇腹状に交互に折り畳まれた、いわゆるファンフォールドシートが用いられてもよい。また、RFID(radio frequency identifier)を利用したシート10として、ラベル12にRFタグが設けられたシート10が用いられてもよい。RFタグを用いる場合には、RFタグと共にラベル12を貼り付けために接着材13の粘着力が大きくなる傾向にある。
【0019】
(シート供給機構の構成)
図3及び図4に示すように、シート供給機構16は、上述したロールシートである供給ロール23と、供給ロール23から送られるシート10を案内する複数のガイドローラ24及びガイド板25と、ラベル12が剥がされた台紙11を巻き取る巻取ロール26と、巻取ロール26を駆動するローラ駆動機構27と、を有する。
【0020】
ローラ駆動機構27は、巻取ロール26を回転させる駆動ローラ28と、駆動ローラ28を回転駆動するモータ29と、モータ29の駆動力を伝達する駆動ベルト30と、を有する。モータ29の回転軸29a、駆動ローラ28の回転軸28a、印字部17の後述するプラテンローラ35の回転軸35aには、駆動ベルト30が掛け渡されており、駆動ベルト30を介して、駆動ローラ28、プラテンローラ35が回転される。巻取ロール26は、駆動ローラ28の回転と共に回転される。
【0021】
剥離部材18は、供給ロールから供給されるシート10の経路において印字部17の下流側に配置されている。剥離部材18は、平板状に形成されており、シート10の送り方向(X1方向)に沿って固定されている。
【0022】
シート供給機構16は、供給ロール23から送られたシート10を、剥離部材18の先端で折り返すことで、シート10の台紙11から、接着材13を有するラベル12を前端12a側から剥離させる。シート供給機構16は、剥離部材18の先端を通過した台紙11のみを、巻取ロール26に巻き取る。
【0023】
シート供給機構16は、図3に示すように、剥離部材18によって台紙11から剥離されたラベル12の前端12aを検知する前端検知センサ31と、台紙11上のラベル12の後端12bを検知する後端検知センサ32と、を有する(図6A参照)。
【0024】
前端検知センサ31は、剥離部材18の先端に対して、シート10の送り方向(X1方向)における下流側の上方(Z方向)に配置されており、制御部21と電気的に接続されている。後端検知センサ32は、印字部17に対して、シート10の送り方向(X1方向)における上流側の所定位置に配置されており、制御部21と電気的に接続されている。
【0025】
前端検知センサ31及び後端検知センサ32は、図示しないが、光センサが用いられており、検知光を発する発光部と、発光部からの検知光を受光する受光部と、を有する。発光部と受光部は、ラベル12の経路を挟んで配置されており、ラベル12が検知光を遮断することにより、ラベル12を検知する。
【0026】
(印字部の構成)
図4に示すように、印字部17は、ラベル12に印字するサーマルヘッド34と、サーマルヘッド34との間にシート10を挟んで支持するプラテンローラ35と、サーマルヘッド34を保持するヘッドホルダ部材36と、を有する。印字部17は、サーマルヘッド34とプラテンローラ35との間に、台紙11と共にラベル12を挟み、プラテンローラ35によってシート10を送りながらサーマルヘッド34によってラベル12に印字する。なお、印字部17は、サーマルヘッド34を有する構成に限定にされず、例えば、インクジェットヘッドを有して構成されてもよい。
【0027】
なお、実施例のラベル貼付け装置3は、図3に示すように、手動でラベル12を採血管4に貼り付けるために、手動用の供給ロール38を有するシート供給機構37と、手動用の供給ロール38から供給されたラベル12に印字する印字部39と、を備える。シート供給機構37及び印字部39は、上述したシート供給機構16及び印字部17と同様に構成されている。
【0028】
(貼付け機構の構成)
図4に示すように、貼付け機構19は、採血管4の外周面に沿って回転してラベル12を採血管4に貼り付ける貼付けローラ41と、貼付けローラ41によってラベル12が貼り付けられる採血管4を回転可能に支持するガイドローラ42と、採血管4を貼付けローラ41に押圧する押圧ローラ43と、を有する。また、貼付け機構19は、採血管供給装置2から供給された採血管4を押圧ローラ43と共に支持する支持部材44と、貼付けローラ41を回転させる回転機構45と、押圧ローラ43を移動させる移動機構46と、を有する(図10A参照)。
【0029】
貼付けローラ41は、剥離部材18の先端に対してラベル12の送り方向(X1方向)の下流側に配置されている。貼付けローラ41は、貼付けローラ41の外周面の下側が、剥離部材18の先端近傍の上方に位置しており、剥離部材18によって剥離されるラベル12の接着材13側とは反対側に配置されている(図10A参照)。したがって、貼付けローラ41の外周面の下側は、剥離部材18の先端によって台紙11から剥離されたラベル12の前端12a近傍の上方に位置している。
【0030】
ガイドローラ42は、剥離部材18の先端に対して下方に配置されており、ガイドローラ42の外周面が、貼付けローラ41の外周面に対向している。また、貼付け機構19の下方には、図3に示すように、ラベル12が貼り付けられた採血管4が収容されるトレイ47が設けられている。
【0031】
(予備剥離動作及び姿勢調整動作)
以下、制御部21によってラベル12の予備剥離動作及び姿勢調整動作を行う制御について説明する。基準剥離量A0、第1予備剥離量A1、第2予備剥離量A2の一例として数値を挙げて説明するが、数値を限定するものではなく、ラベル12の大きさ、接着材13の粘着力等に応じて数値が適宜変更されてよい。
【0032】
図6Aは、実施例のラベル貼付け装置3において、ラベル12の前端12aが基準剥離量A0まで剥離された状態を示す模式図である。図6Aに示すように、制御部21は、印字部17によって先頭のラベル12に印字が完了した後、ラベル12の送りを停止したとき、剥離部材18によってラベル12の前端12aが、基準剥離量A0(=3.5mm)まで剥離された状態となる。図6Aでは、台紙11から剥離されたラベル12の前端12aが、剥離部材18を通過して下方へ送られた台紙11との間の接着材13の粘着力等の影響によって、下方に送られた台紙11側へ引っ張られて垂れ下がる姿勢になった場合を示している。
【0033】
図6Bは、実施例のラベル貼付け装置3において、ラベル12の前端12aが第1予備剥離量A1まで剥離された状態を示す模式図である。続いて、図6Bに示すように、制御部21は、シート供給機構16によってシート10をX1方向に更に3mmだけ送ることで、基準剥離量A0(=3.5mm)まで剥離されたラベル12の前端12aを更に第1予備剥離量A1(=6.5mm)まで剥離する(予備剥離動作)。ラベル12の前端12aは、基準剥離量A0(=3.5mm)から第1予備剥離量A1(=6.5mm)まで剥離されることにより、シート10の短手方向(以下、ラベル12の幅W方向とも称する。)に亘って、ラベル12の幅W方向の両側まで、ラベル12の前端12aを台紙11から予め確実に剥離させることが可能になる。このようにラベル12の前端12aを予め確実に剥離することで、ラベル12の前端12aが基準剥離量A0(=3.5mm)だけ剥離されたときに、ラベル12の前端12aが、接着材13の粘着力等の影響によって、下方へ送られた台紙11側へ引っ張られて垂れ下がる姿勢になることが抑えられる。
【0034】
図6Cは、実施例のラベル貼付け装置3において、ラベル12全体が台紙11上に戻された状態を示す模式図である。第1予備剥離量A1までラベル12の前端12aが剥離された後、制御部21は、シート供給機構16によってシート10をX2方向に逆送りすることで、一旦、台紙11から剥離されたラベル12全体を台紙11上に戻す。このとき、シート供給機構16は、後端検知センサ32によってラベル12の後端12bが検知されるまで、シート10をX方向に戻して停止する。次に、制御部21は、後端検知センサ32がラベル12の後端12bを検知した位置を基準位置として、シート供給機構16によってラベル12をX1方向に再度送る。制御部21は、後端検知センサ32が検知した基準位置に基づいて、ラベル12の送り量を算出して、シート供給機構16を制御する。シート供給機構16が上述の基準位置に基づいてシート10(ラベル12)を送ることで、台紙11から剥離されたラベル12の前端12aの位置の精度が高められる。
【0035】
図6Dは、実施例のラベル貼付け装置3において、ラベル12の前端12aが第2予備剥離量A2まで剥離された状態を示す模式図である。図6Dに示すように、制御部21は、シート供給機構16によってシート10をX1方向に送り、ラベル12の前端12aを、基準剥離量A0(=3.5mm)を1mm程度超えた第2予備剥離量A2(=4.5mm)まで剥離する。このとき、ラベル12の前端12aは、予備剥離動作を行うことより、第2予備剥離量A2(=4.5mm)よりも大きい第1予備剥離量A1(=6.5mm)まで予め剥離されているので、ラベル12の前端12aが、下方へ送られた台紙11側に引っ張られて垂れ下がることが抑えられている。
【0036】
図6Eは、実施例のラベル貼付け装置3において、ラベル12の前端12aが基準剥離量A0(=3.5mm)だけ剥離された状態を示す模式図である。続いて、図6Eに示すように、制御部21は、シート供給機構16によってシート10をX2方向に逆送りすることで、第2予備剥離量A2(=4.5mm)まで剥離されたラベル12の前端12a部分を台紙11上に戻し、ラベル12の前端12aが基準剥離量A0(=3.5mm)だけ剥離された状態にする。
【0037】
このように、第2予備剥離量A2(=4.5mm)まで剥離された後に基準剥離量A0(=3.5mm)まで戻されることにより、X2方向に逆送りされる台紙11側に引っ張られて、ラベル12の前端12aが持ち上げられる(姿勢調整動作)。したがって、第2予備剥離量A2(=4.5mm)から基準剥離量A0(=3.5mm)まで1mmだけ戻すときに、X2方向に移動する台紙11によってラベル12の前端12aの姿勢を矯正することが可能になる。このため、採血管4の外周面に適正に貼り付けられるように所定の基準剥離量A0(=3.5mm)だけ剥離されたラベル12の前端12aは、シート10の送り方向(X1方向)に沿う姿勢、例えば、水平面(XY平面)に沿う姿勢となり、前端12aの姿勢の安定性が高められる。つまり、シート供給機構16は、基準剥離量A0(=3.5mm)だけ剥離されたラベル12の前端12aが、シート10の送り方向(X1方向)の延長線上に位置するようにラベル12を供給する。
【0038】
なお、厳密には、剥離部材18の先端は、水平面(XY平面)に対して僅かに上方を向くように剥離部材18が傾斜して配置されており、ラベル12の前端12aが僅かに上方に向くように設定されている。また、第2予備剥離量A2(=4.5mm)と基準剥離量A0(=3.5mm)との差分である送り量(1mm)は、ラベル12の供給速度を上げることと、姿勢調整動作でラベル12の前端12aの姿勢を適正に矯正できる送り量との兼ね合いによって設定される。
【0039】
ここで、上述した予備剥離動作及び姿勢調整動作を行ったときのラベル12の前端12aの位置の変化について時系列に説明する。図7は、実施例における制御部21が予備剥離動作及び姿勢調整動作を行ったときのラベル12の前端12aの位置の変化を説明するための図である。図7において、時刻t1から時刻t9へ時間が経過する。
【0040】
図7に示すように、時刻t1のときに印字部17は、シート10の先頭のラベル12に印字を開始する。時刻t1のとき、シート10の先頭のラベル12の前端12aは、サーマルヘッド34の印字位置に対して1.5mmだけ手前に位置する。時刻t2のときに印字部17は、ラベル12の印字を完了し、ラベル12の前端12aが、基準剥離量A0(=3.5mm)だけ剥離される。言い換えると、印字部17による印字が完了したときに、X1方向に送られたラベル12の前端12aは、採血管4にラベル12を適正に貼り付けるための基準剥離量A0まで台紙11から剥離される。
【0041】
基準剥離量A0まで剥離されたラベル12は、X1方向に更に送られることにより、時刻t3のときに、ラベル12の前端12aが、第1予備剥離量A1(=6.5mm)まで、基準剥離量A0(=3.5mm)を超えて剥離される。次に、第1予備剥離量A1まで剥離されたラベル12は、後端検知センサ32によってラベル12の後端12bが検知されるまでX2方向に逆送りされることにより、ラベル12全体が台紙11上に戻される。時刻t4のときに、X2方向に逆送りされたラベル12の後端12bは、後端検知センサ32の検知位置を1mm程度超えた状態で停止される。
【0042】
続いて、ラベル12がX1方向に再度送られることにより、時刻t5のときに、ラベル12の前端12aは、第2予備剥離量A2(=4.5mm)まで基準剥離量A0(=3.5mm)を超えて剥離される。第2予備剥離量A2(=3.5mm)まで剥離されたラベル12は、X2方向に逆送りされることにより、時刻t6のときに、ラベル12の前端12aが、基準剥離量A0まで戻される。
【0043】
基準剥離量A0まで剥離されたラベル12の前端12aは、採血管4に貼り付けられ、ラベル12がX1方向に送られながら採血管4の外周面に沿って貼り付けられる。ラベル12の貼り付けが完了したときにシート10の送り動作が停止されることにより、時刻t7のときに、先頭のラベル12の次のラベル12の前端12aは、台紙11から僅かに剥離された状態で停止する。
【0044】
次に、シートがX2方向に逆送りされることにより、時刻t8のときに、ラベル12の前端12aは、後端検知センサ32の検知位置を1mm程度超えた状態で停止される。続いて、シートがX1方向に送られることにより、時刻t9のときに、時刻t1のときと同様にラベル12の前端12aは、サーマルヘッド34の印字位置に対して1.5mmだけ手前に位置する。以降、ラベル12の位置は、上述した時刻t2~t8と同様に変化する。
【0045】
なお、本実施例では、ラベル12の印字完了後、基準剥離量A0(=3.5mm)だけ剥離された状態でラベル12の送りを停止するが、印字完了後にラベル12を一旦停止させずに、印字完了後にシート10を連続的に送ってラベル12の前端12aを第1予備剥離量A1(=6.5mm)まで剥離してもよい。
【0046】
また、制御部21は、予備剥離動作及び姿勢調整動作を行ったときに前端検知センサ31がラベル12の前端12aを検知しない場合、予備剥離動作及び姿勢調整動作を所定回数だけ繰り返し、予備剥離動作を繰り返した回数に応じて、第1予備剥離量A1(=6.5mm)を徐々に大きくして予備剥離動作を行うように制御する。
【0047】
図8は、実施例における制御部21が、ラベル12の前端12aを検知しながら、予備剥離動作及び姿勢調整動作を行う制御を説明するためのフローチャートである。図8に示すように、制御部21は、印字部17によって印字動作を行い(ステップS1)、印字完了後にシート10のX1方向への送り動作を停止させることで、前端12aが3.5mm(基準剥離量A0)だけ剥離されたラベル12が停止する(ステップS2)。続いて、制御部21は、シート10のX1方向への送り動作を行うことで、ラベル12の前端12aを更に3mmだけ剥離する(ステップS3)。このとき、ラベル12の前端12aは、3.5mm+3mm=6.5mm(第1予備剥離量A1)まで剥離される。
【0048】
続いて、制御部21は、シート10のX2方向への逆送り動作を行うことで、ラベル12全体を台紙11上に戻す(ステップS4)。制御部21は、台紙11上に戻されたラベル12の後端12bを後端検知センサ32によって検知し(ステップS5)、後端検知センサ32がラベル12の後端12bを検知したときにシート10のX2方向への逆送り動作を停止する。次に、制御部21は、シート10のX1方向への送り動作を行うことで、ラベル12の前端12aを4.5mm(第2予備剥離量A2)まで剥離する(ステップS6)。続いて、制御部21は、シート10のX2方向への逆送り動作を行うことで、ラベル12の前端12aを3.5mm(基準剥離量A0)まで剥離する(ステップS7)。
【0049】
制御部21は、3.5mm(基準剥離量A0)まで剥離されたラベル12の前端12aが、前端検知センサ31によって検知されたか判断する(ステップS8)。前端検知センサ31によってラベル12の前端12aが検知された場合(Yes)、ラベル12の貼付け動作に移行する(ステップS9)。前端検知センサ31によってラベル12の前端12aが検知されない場合(No)、制御部21は、予備剥離動作及び姿勢調整動作の繰り返しを行うものと判断し、この繰り返しを実行した回数、すなわち繰り返した回数が所定回数以上であるかを判断する(ステップS10)。制御部21は、例えば、予備剥離動作を繰り返した回数が3回以上である場合(Yes)、エラーが生じたものと判断してシート10の送り動作を停止する。
【0050】
制御部21は、例えば、予備剥離動作を繰り返した回数が3回未満である場合(No)、ラベル12を停止させた状態で500msの時間だけ待機する(ステップS11)。これにより、ラベル12の前端12aの姿勢が自然に安定するまでの時間が確保される。再度、制御部は、3.5mm(基準剥離量A0)まで剥離されたラベル12の前端12aが、前端検知センサ31によって検知されたか判断する(ステップS12)。ステップS12において前端検知センサ31によってラベル12の前端12aが検知された場合(Yes)、ラベル12の貼付け動作に移行する(ステップS9)。
【0051】
ステップS12において前端検知センサ31によってラベル12の前端12aが検知されない場合(No)、制御部21は、ラベル12の前端12aを更に4mm(第1予備剥離量A1)だけ剥離する(ステップS13)。すなわち、制御部21は、2回目の予備剥離動作における第1予備剥離量A1(=4mm)を、初回の第1予備剥離量A1(=3mm)よりも1mm大きくして予備剥離動作を行う。また同様に、制御部21は、3回目の予備剥離動作を行う場合、ラベル12の前端12aを更に5mm(第1予備剥離量A1)だけ剥離する(ステップS13)。すなわち、制御部21は、3回目の予備剥離動作における第1予備剥離量A1(=5mm)を、2回目の第1予備剥離量A1(=4mm)よりも1mm大きくして予備剥離動作を行う。
【0052】
このように、制御部21は、予備剥離動作及び姿勢調整動作を所定回数だけ繰り返し、予備剥離動作を繰り返した回数、つまり、姿勢調整動作後に前端検知センサ31がラベル12の前端12aを検知しない回数に応じて、第1予備剥離量A1を、例えば、1mmずつ徐々に大きくして予備剥離動作を行うように制御する。
【0053】
続いて、制御部21は、ステップS13で第1予備剥離量A1(4mmまたは5mm)を大きくして前端12aが剥離されたラベル12を停止させた状態で200msの時間だけ待機する(ステップS14)。これにより、ラベル12の前端12aの姿勢が自然に安定するまでの時間が確保される。以降、上述したステップS4に戻って繰り返す。
【0054】
(第1制御及び第2制御)
制御部21は、予備剥離動作後に姿勢調整動作を行う第1制御と、予備剥離動作を行わずに姿勢調整動作のみを行う第2制御と、を選択的に行うことが可能に構成されている。ラベル貼付け装置3は、例えば、ユーザがシート10の仕様を操作パネル5によって入力することにより、制御部21が、シート10の仕様に応じて、予備剥離動作の実行の有無を自動的に切り換える。第1制御と第2制御とを制御部21が自動的に切り換えるものに限定されず、ユーザが操作パネル5によって入力することで、制御部21によって第1制御と第2制御とが任意に切り換えられてもよい。例えば、接着材13の粘着力が比較的小さいシート10を用いる場合、予備剥離動作を省略してもラベル12の前端12aの剥離状態の影響が小さい場合、姿勢調整動作のみを行うことで、ラベル12の供給速度を上げることが可能になる。
【0055】
図9は、実施例のラベル貼付け装置3における第1制御及び第2制御を説明するためのフローチャートである。図9に示すように、ラベル貼付け装置3は、印字動作を行い(ステップS21)、前端12aが基準剥離量A0だけ剥離されたラベル12を停止する(ステップS22)。制御部21は、例えば、シート10の仕様に応じて、ラベル12の前端12aを第1予備剥離量A1まで剥離する予備剥離動作を行うかを判断する(ステップS23)。ステップS23において、制御部21は、予備剥離動作を行うと判断した場合(Yes)、予備剥離動作を行い(ステップS24)、姿勢調整動作を行い(ステップS25)、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離する(ステップS26)。一方、ステップS23において、制御部21は、予備剥離動作を行わないと判断した場合(No)、ステップS24を省略し、姿勢調整動作を行い(ステップS25)、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離する(ステップS26)。
【0056】
(ラベル貼付け動作)
図10Aは、実施例のラベル貼付け装置3において、採血管4が供給された状態を示す縦断面図である。採血管準備装置1では、図3及び図10Aに示すように、ラベル供給装置2から送られた採血管4が、ラベル貼付け装置3の貼付け機構19に供給される。貼付け機構19に供給された採血管4は、採血管4の長さ方向が水平面(XY平面)に沿う姿勢で、押圧ローラ43と支持部材44とによって支持されており、剥離部材18の先端から下方に離れている。ラベル貼付け装置3は、貼付け機構19に採血管4が供給された後、上述のようにシート供給機構16によってシート10の送り動作を開始する。
【0057】
そして、ラベル貼付け装置は、図6A図6Eに示すように、予備剥離動作及び姿勢調整動作を行ってラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離した後、採血管4へのラベル12の貼付け動作を開始する。図10Bは、実施例のラベル貼付け装置3において、採血管4にラベル12の前端12aが貼付けられた状態を示す縦断面図である。図10Cは、実施例のラベル貼付け装置3において、採血管4の外周面に沿ってラベル12が貼り付けられる状態を示す縦断面図である。
【0058】
図10Bに示すように、貼付け機構19は、移動機構46によって押圧ローラ43を剥離部材18側へ移動させて、押圧ローラ43に支持された採血管4を貼付けローラ41とガイドローラ42に押し付ける。これにより、貼付け機構19は、押圧ローラ43と貼付けローラ41とガイドローラ42との間に採血管4を回転可能に挟み込むと共に、基準剥離量A0だけ剥離されたラベル12の前端12aに採血管4を押し付けることで、ラベル12の前端12a側を採血管4の外周面に貼り付ける。
【0059】
続いて、図10Cに示すように、貼付け機構19は、シート10をX1方向に送ることでラベル12を徐々に剥離しながら、貼付けローラ41を時計回りに回転させることによって、ラベル12を前端12a側から、採血管4の外周面に沿って貼り付ける。このとき、貼付けローラ41の回転と共に、押圧ローラ43及びガイドローラ42も回転する。貼付け機構19は、シート10を更にX1方向に送りながら貼付けローラ41を回転させることで、ラベル12の後端12bまで台紙11から剥離されると共に、ラベル12の後端12bまで採血管4の外周面に沿って貼り付けられる。
【0060】
図10Dは、実施例のラベル貼付け装置3において、ラベル12が貼り付けられた採血管4が排出される状態を示す縦断面図である。図10Dに示すように、採血管4にラベル12が貼り付けられた後、貼付け機構19は、移動機構46によって押圧ローラ43を剥離部材18側から離れる方向へ移動させることで、ラベル12が貼り付けられた採血管4を落下させて排出する。押圧ローラ43から下方へ落下した採血管4は、押圧ローラ43の下方に配置されたトレイ47内に収容される(図3参照)。引き続いて、ラベル貼付け装置3では、次の採血管4が貼付け機構19に供給されると共に、シート供給機構16によって次のラベル12を印字部17側へ戻して印字動作を行う。
【0061】
(貼付けローラの回転動作)
制御部21は、図10Cに示すように、貼付けローラ41の外周面において採血管4に接する位置Pが、シート供給機構16が送るシート10の送り方向(X1方向)と同じ方向へ移動し、貼付けローラ41がシート10の送り動作と同期して回転するように貼付け機構19を制御する。
【0062】
つまり、貼付けローラ41は、シート10のX1方向への送り動作と同期して、図10Cにおける時計回りに回転される。言い換えると、X1方向に送られるラベル12に対向する、貼付けローラ41の外周面における下側が、X1方向に移動するように回転される。制御部21は、シート10の送り動作が停止したときと、シート10がX2方向に逆送りされるときに、貼付けローラ41の回転を停止するように制御する。
【0063】
ラベル貼付け装置3では、垂れ下がったラベル12の前端12aを持ち上げる姿勢調整動作を行ったことでラベル12の前端12aが持ち上がり過ぎる場合がある。ラベル12の前端12aが上方を向いた姿勢になった場合であっても、ラベル12の送り方向(X1方向)と同じ方向に移動する、貼付けローラ41の外周面によって、反り上がったラベル12の前端12aを押し下げることが可能になる。これにより、反り上がったラベル12の前端12aが貼付けローラ41の外周面に貼り付くことを抑えると共に、ラベル12の前端12aが、シート10の送り方向(X1方向)に沿う姿勢、例えば、水平面(XY平面)に沿う姿勢に矯正することができる。
【0064】
(ラベル貼付け装置の制御方法)
本実施例の制御方法は、シート供給機構16と、印字部17と、剥離部材18と、貼付け機構19と、シート供給機構16を制御する制御部21と、を備えるラベル貼付け装置3の制御方法であって、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0よりも大きい所定の第1予備剥離量A1まで剥離すると共に、シート供給機構16によってシート10をX2方向に逆送りすることでラベル12全体を台紙11上に戻す予備剥離動作を行い、予備剥離動作後、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離するように制御部21によって制御する。
【0065】
(ラベル貼付け装置を制御するために用いられるプログラム)
本実施例のプログラムは、シート供給機構16と、印字部17と、剥離部材18と、貼付け機構19と、シート供給機構16を制御する制御部21と、を備えるラベル貼付け装置3を制御するためのプログラムであって、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0よりも大きい所定の第1予備剥離量A1まで剥離すると共に、シート供給機構16によってシート10をX2方向に逆送りすることでラベル12全体を台紙11上に戻す予備剥離動作を行い、予備剥離動作後、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離するように制御部21に制御を実行させる。
【0066】
実施例のプログラムは、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、半導体メモリ等の各種の記憶素子を含む記憶媒体に記録されて取り扱われる。制御部21は、記憶媒体やネットワークを介してインストールされるプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置、入出力装置、通信インターフェイス、メディアインターフェイス等を制御する。
【0067】
(実施例の効果)
実施例のラベル貼付け装置3は、ラベル12を有するシート10を送るシート供給機構16と、ラベル12の前端12aが所定の基準剥離量A0だけ剥離されたラベル12を採血管4の外周面に沿って貼り付ける貼付け機構19と、シート供給機構16を制御する制御部21と、を備える。制御部21は、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0よりも大きい所定の第1予備剥離量A1まで剥離すると共に、シート供給機構16によってシート10を逆送りすることでこのラベル12全体を台紙11上に戻す予備剥離動作を行い、予備剥離動作後、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離するように制御する。このように予備剥離動作を行うことにより、ラベル12の前端12aが、ラベル12の幅W方向に亘って台紙11から確実に剥離し、ラベル12の前端12aが接着材13の粘着力で台紙11側に引っ張られることが抑えられるので、基準剥離量A0まで剥離されたラベル12の前端12aが台紙11側に引っ張られて垂れ下がることを抑えることができる。
【0068】
したがって、台紙11から剥離されたラベル12の前端12aにおける姿勢の安定性を高めると共に、採血管4の外周面に対するラベル12の貼付け動作の信頼性を高めることができる。その結果、ラベル12の前端12aが採血管4の外周面に衝突することや、ラベル12の前端12aが折れた状態で採血管4に貼り付けられることを防ぐことができる。さらに、ラベル12の前端12aの姿勢のバラツキに伴って変動する、採血管4に対するラベル12の貼り付け位置のばらつきが抑えられるので、採血管4の外周面に対するラベル12の貼付け精度を高めることができる。
【0069】
また、実施例のラベル貼付け装置3によれば、シート10が巻回されたロールシートが用いられる場合、ロールシートの径方向における中心側に位置するラベル12に巻き癖が生じ易いが、予備剥離動作を行うことで、台紙11から剥離されたラベル12の前端12aの姿勢を、ロールシートの外周側(シート10の始端側)から中心側(シート10の終端側)に亘って安定させることが可能になる。また、ラベル12にRFタグが設けられたシート10が用いられる場合には、接着材13の粘着力が大きくなるので、本実施例における予備剥離動作による効果が高い。
【0070】
また、実施例1のラベル貼付け装置3の制御部21は、予備剥離動作後、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0よりも大きく、かつ第1予備剥離量A1よりも小さい所定の第2予備剥離量A2まで剥離し、シート供給機構16によってシート10をX2方向に逆送りすることでラベル12の前端12aを基準剥離量A0まで戻す姿勢調整動作を行うことにより、ラベル12の前端12aを基準剥離量A0だけ剥離するように制御する。これにより、第2予備剥離量A2から基準剥離量A0まで戻すときに、X2方向に移動する台紙11側によってラベル12の前端12aを持ち上げることで、ラベル12の前端12aの姿勢を矯正することが可能になる。このため、基準剥離量A0だけ剥離されたラベル12の前端12aは、シート10の送り方向(X1方向)に沿う姿勢となり、前端12aの姿勢の安定性が更に高められる。
【0071】
また、実施例1のラベル貼付け装置3の制御部21は、貼付けローラ41において採血管4に接する位置Pが、シート供給機構16が送るシートの送り方向(X1)と同じ方向へ移動し、貼付けローラ41がシート10の送り動作と同期して回転するように貼付け機構19を制御する。姿勢調整動作を行う一方で、姿勢調整動作によってラベル12の前端12aが持ち上がり過ぎて前端12aが反り上がってしまう場合がある。このようにラベル12の前端12aが上方を向いた姿勢になった場合であっても、ラベル12の送り方向(X1方向)と同じ方向に移動する、貼付けローラ41の外周面によって、反り上がったラベル12の前端12aを押し下げることが可能になる。これにより、反り上がったラベル12の前端12aが貼付けローラ41の外周面に貼り付くことを抑えると共に、ラベル12の前端12aが、シート10の送り方向(X1方向)に沿う姿勢に矯正することができる。
【0072】
また、実施例1のラベル貼付け装置3の制御部21は、予備剥離動作後に姿勢調整動作を行う第1制御と、予備剥離動作を行わずに姿勢調整動作のみを行う第2制御と、を選択的に行う。これにより、接着材13の粘着力が比較的小さいシート10を用いる場合、予備剥離動作を省略してもラベル12の前端12aの剥離状態の影響が小さい場合、姿勢調整動作のみを行うことで、ラベル12の供給速度を上げることが可能になる。したがって、ラベル12の粘着力に応じてラベル12の送り動作を切り換えることで、ラベル12の前端12aの姿勢を安定性の向上と、処理速度の向上とを両立することができる。
【0073】
また、実施例1のラベル貼付け装置3の制御部21は、予備剥離動作及び姿勢調整動作を行ったときに前端検知センサ31がラベル12の前端12aを検知しない場合、予備剥離動作及び姿勢調整動作を繰り返し、予備剥離動作を繰り返した回数に応じて、第1予備剥離量A1を徐々に大きくして予備剥離動作を行うように制御する。これにより、ラベル12の前端12aが適正に剥離されなかった場合であって、予備剥離動作を再度行うことで、ラベル12の前端12aを確実に剥離することができる。
【0074】
なお、本実施例では、ラベル貼付け装置3がラベル12を貼り付ける円筒体として採血管4に適用されたが、採血管4に限定されず、各種の試験管の他、缶詰、ビンの外周面へのラベル12の貼付けに適用されてもよい。ラベル12を採血管4に貼り付ける用途で用いられる場合には、ラベル12が貼り付けられた採血管4に、新たなラベル12を再度、貼り付けるための貼り直しが生じる場合がある。このような場合であっても、採血管4に貼られたラベル12を新たなラベル12で覆うように貼り付けることが可能になり、ラベル12の貼り直し時の貼付け位置の精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 採血管準備装置
3 ラベル貼付け装置
4 採血管(円筒体)
10 シート
11 台紙(基材)
12 ラベル
12a 前端
12b 後端
13 接着材
16 シート供給機構(送り機構)
17 印字部
18 剥離部材
19 貼付け機構
21 制御部
31 前端検知センサ(検知センサ)
32 後端検知センサ
41 貼付けローラ
A0 基準剥離量
A1 第1予備剥離量
A2 第2予備剥離量
P 接する位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D