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▶ シャンハイ マイクロポート メドボット(グループ) カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】電子内視鏡及び電子内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220812BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220812BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A61B1/00 731
G02B23/24 B
G02B23/26 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021536134
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 CN2019099866
(87)【国際公開番号】W WO2020042887
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】201811011600.2
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521084404
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロポート メドボット(グループ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオ ファオヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヘー ユヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヘー チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ スー
(72)【発明者】
【氏名】クー ミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤン
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-059199(JP,A)
【文献】特開平07-236610(JP,A)
【文献】特開平08-082766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178886(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子内視鏡であって、
管と、
少なくとも2つの非直視型のレンズと、
画像センサアセンブリと、
伝達モジュールと、を含み、
前記管には、貫通して前記レンズ、前記画像センサアセンブリ、及び前記伝達モジュールを収容する受光チャンネルが設けられ、
前記レンズの光軸は、前記受光チャンネルの延伸軸に平行であり、
前記画像センサアセンブリは、前記レンズから送信されてきた画像を電気信号に変換し、前記電気信号を出力するように構成され、
前記伝達モジュールは、前記レンズを前記光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動するように構成されている、電子内視鏡。
【請求項2】
駆動装置をさらに含み、
前記伝達モジュールは、第1の伝達装置と、第2の伝達装置と、伝達コネクターと、を含み、
前記駆動装置は、前記第2の伝達装置を介して前記伝達コネクターを駆動し、
前記伝達コネクターは、前記第1の伝達装置を介して前記非直視型のレンズを駆動する、
請求項1に記載の電子内視鏡。
【請求項3】
前記管は、レンズシーリングヘッドと、管本体と、を含み、
前記レンズシーリングヘッドは、前記管本体の遠位端に接続され、
前記受光チャンネルは、前記レンズシーリングヘッドの遠位端に位置するレンズキャビティと、前記レンズシーリングヘッドの近位端に位置する第1の受光チャンネルと、前記管本体を貫通する第2の受光チャンネルと、を含み、
前記レンズは、前記レンズキャビティから前記第1の受光チャンネルまで延在し、
前記第1の伝達装置は、前記第1の受光チャンネル内に位置し、
前記画像センサアセンブリは、前記レンズシーリングヘッドの近位端に位置し、かつ、第2の前記受光チャンネルに固定されている、
請求項2に記載の電子内視鏡。
【請求項4】
管の近位端に位置する手持ち端をさらに含み、
前記駆動装置は、前記手持ち端に位置し、
前記第2の伝達装置は、前記受光チャンネルの近位端に位置し、前記駆動装置に接続され、
前記伝達コネクターの近位端は前記第2の伝達装置に接続され、前記伝達コネクターは前記管の軸方向に沿って遠位端まで延在し、前記伝達コネクターの遠位端は前記第1の伝達装置に接続されている、
請求項2に記載の電子内視鏡。
【請求項5】
前記第1の伝達装置は、歯車伝達機構、ベルト伝達機構、チェーン伝達機構、リンク伝達機構又はワイヤ伝達機構のいずれか1つを含み、
前記伝達コネクターは、伝達軸又は鋼線であり、
前記第2の伝達装置は、歯車伝達機構又は接続軸機構を含む、
請求項4に記載の電子内視鏡。
【請求項6】
前記画像センサアセンブリは、プリント回路基板と、前記プリント回路基板に配置された少なくとも1つの固体撮像素子とを含み、
前記固体撮像素子は、感光面を有し、前記レンズのイメージング面は、前記固体撮像素子の前記感光面に位置している、
請求項4に記載の電子内視鏡。
【請求項7】
前記プリント回路基板及び前記固体撮像素子の前記感光面は、前記光軸に垂直であり、
前記プリント回路基板に貫通孔が形成され、前記第1の伝達装置は前記貫通孔に挿通する、
請求項6に記載の電子内視鏡。
【請求項8】
前記第1の伝達装置は、歯車伝達機構を含み、
前記歯車伝達機構は、駆動歯車と、少なくとも2つのレンズ歯車と、を含み、
各前記レンズ歯車は、それぞれ1つのレンズの外側に結合されるとともに、前記駆動歯車と噛み合い、
前記駆動歯車は、前記伝達コネクターに接続され、
前記駆動歯車は、各レンズ歯車を同じ方向に回転するように駆動して各レンズを同じ方向に回転させる、
請求項7に記載の電子内視鏡。
【請求項9】
前記プリント回路基板及び前記固体撮像素子の感光面は、前記光軸の方向に沿って配置され、
光変向部品をさらに含み、前記光変向部品は、レンズからの出射光の伝播方向を前記感光面に垂直な方向に変換するように構成される、
請求項6に記載の電子内視鏡。
【請求項10】
前記第1の伝達装置は歯車伝達機構を含み、
前記歯車伝達機構は、歯車取付座と、駆動歯車と、従動歯車と、少なくとも2つのレンズ歯車と、を含み、
各前記レンズ歯車はそれぞれ1つのレンズの外側に結合され、
前記駆動歯車は前記伝達コネクターに接続され、
前記駆動歯車と前記従動歯車は、両方とも前記歯車取付座に回転可能に配置され、
前記駆動歯車と前記従動歯車とは外接噛合し、
前記従動歯車は、各前記レンズ歯車と外接噛合して各レンズ歯車を同じ方向に回転するように駆動するように構成されている、
請求項9に記載の電子内視鏡。
【請求項11】
前記光変向部品は、変向プリズム又は平面ミラーである、請求項9に記載の電子内視鏡。
【請求項12】
前記変向プリズムの出射面は、前記画像センサアセンブリの感光面と貼り合っている、請求項11に記載の電子内視鏡。
【請求項13】
前記プリント回路基板には、前記伝達コネクターが挿通することを許容するチャンネルが形成されている、請求項9に記載の電子内視鏡。
【請求項14】
前記プリント回路基板は、少なくとも2つのサブプリント回路基板を含み、各前記サブプリント回路基板は、前記伝達コネクターが挿通することを許容するチャンネルを形成するように、前記管の延伸軸に対して対称に配置されている、請求項9に記載の電子内視鏡。
【請求項15】
各レンズキャビティの遠位端に配置されて対応するレンズキャビティ内のレンズを保護するレンズ保護カバーをさらに含む、請求項3に記載の電子内視鏡。
【請求項16】
前記レンズシーリングヘッドに設けられたカバーをさらに含む、請求項3に記載の電子内視鏡。
【請求項17】
前記カバーと前記レンズシーリングヘッドは、係合接続又はねじ接続で接続されている、請求項16に記載の電子内視鏡。
【請求項18】
光ファイバをさらに含み、
前記レンズシーリングヘッドは、前記レンズキャビティ同士の間に、貫通する光出力チャンネルが形成され、前記光出力チャンネルは、前記第2の受光チャンネルと連通し、
前記光ファイバは、前記第2の受光チャンネルから延在し、前記光出力チャンネルを挿通して前記レンズシーリングヘッドの遠位端まで延在する、
請求項3に記載の電子内視鏡。
【請求項19】
さらに、冷光源と電源とを含み、
前記レンズシーリングヘッドは、前記レンズキャビティ同士の間に光出力チャンネルが形成され、
前記光出力チャンネルは、前記冷光源及び前記電源を収容するように構成される、
請求項3に記載の電子内視鏡。
【請求項20】
電子内視鏡システムであって、
請求項1から19のいずれか一項に記載の電子内視鏡と、
前記画像センサアセンブリに接続され、前記画像センサアセンブリから伝送された画像情報を受信し、前記画像情報を処理するように構成される画像ワークステーションと、
前記画像ワークステーションに接続され、前記画像ワークステーションによって処理された画像情報を受信して表示するように構成されるモニターと、を含む、
電子内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器分野に関し、特に、電子内視鏡及び電子内視鏡システムに関する。
【0002】
本出願は、2018年08月31日に中国特許庁に出願された第201811011600.2号で「電子内視鏡及び電子内視鏡システム」を主題とする特許出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
介入医療技術の迅速な発展に伴い、従来の光学内視鏡技術、現代のコンピューター技術、マイクロ電子技術などのハイテク技術を統合した電子内視鏡は、広く使用される医療診断機器になった。
【0004】
電子内視鏡の使用中、低侵襲手術で切開が小さいため、通常、標的組織または器官を観察するために内視鏡の角度を回転させる必要がある。ただし、電子内視鏡は、2D電子内視鏡でも3D電子内視鏡でも、操作者がレンズ本体を回転させると、レンズと感光素子が同時に回転するため、視野領域を変更すると視野の方向も一緒に回転し、医師の診断作業に不便をもたらしている。
特開平6-59199号公報では、左右混合器によって左右のステレオ入力信号を所定の割合で混合して、ヘッドホン受聴時に適切なステレオ効果が得られるような2つのヘッドホン受聴用信号を生成し、それらヘッドホン受聴用信号を符号化して記録することにより、オーディオ・ソフトウェアのヘッドホン受聴時の知覚音質を向上させる音響信号記録方法が記載されている。
特開平8-82766号公報では、ペレットチェック工程時に発生するダストをそのチェック工程時に同時に除去して測定の正確性を向上させるとともに後の洗浄工程等を省略することができるプロービング測定装置が記載されている。ステージに吸着されたウェハにプローブカードの触手を接触させてペレットチェックを行うプロービング測定装置において、プローブカードの開口孔上に吸引ノズルを配置し、その吸引ノズルに吸引機を接続した。
米国特許出願公開第2016/178886号明細書では、第1瞳孔と第2瞳孔に分割された二重瞳孔開口部と、二重瞳孔開口部の近位に配置された近位対物レンズアセンブリと、近位対物レンズアセンブリによって集束された第1の画像を検出するように構成された第1の画像センサと、近位対物レンズアセンブリによって集束された第2の画像を検出するように構成された第2の画像センサと、二重瞳孔開口部の遠位に配置されたリレーシステムと、リレーシステムの遠位に配置されたフロントオプティカルシステムと、を含む回転可能な斜め視ステレオ内視鏡が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献1]特開平6-59199号公報
[特許文献2]特開平8-82766号公報
[特許文献3]米国特許出願公開第2016/178886号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に記載の各実施例は、電子内視鏡及電子内視鏡システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面では、管と、少なくとも2つの非直視型のレンズと、画像センサアセンブリと、伝達モジュールと、を含み、前記管には、貫通して前記レンズ、前記画像センサアセンブリ、及び前記伝達モジュールを順番に収容するための受光チャンネルが設けられ、前記レンズの光軸は、前記受光チャンネルの延伸軸に平行であり、前記画像センサアセンブリは、前記レンズから送信されてきた画像を電気信号に変換し、前記電気信号を出力するように構成され、前記伝達モジュールは、前記レンズを前記光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動するように構成される、電子内視鏡が提供される。
【0007】
上記の電子内視鏡の管には、貫通した受光チャンネルが設けられている。当該受光チャンネルには、順番に、レンズ、画像センサアセンブリ、及び伝達モジュールが収容されている。レンズの光軸は、受光チャンネルの延伸軸に平行である。画像センサアセンブリは、レンズから送信されてきた画像を受信して電気信号に変換するものである。伝達モジュールが各非直視型のレンズを自体の光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動することによって、各レンズは画像センサアセンブリとは独立して回転することが可能となり、視野領域が変更されても視野方向は変化しないことが実現される。
【0008】
一実施例において、前記電子内視鏡は駆動装置をさらに含み、前記伝達モジュールは、第1の伝達装置と第2の伝達装置と伝達コネクターとを含み、前記駆動装置は、第2の伝達装置を介して前記伝達コネクターを駆動し、前記伝達コネクターは、前記第1の伝達装置を介して前記非直視型のレンズを駆動する。
【0009】
一実施例において、前記管は、レンズシーリングヘッドと管本体とを含み、前記レンズシーリングヘッドは、前記管本体の遠位端に接続され、前記受光チャンネルは、前記レンズシーリングヘッドの遠位端に位置するレンズキャビティと、前記レンズシーリングヘッドの近位端に位置する第1の受光チャンネルと、前記管本体を貫通する第2の受光チャンネルとを含み、前記レンズは、前記レンズキャビティから前記第1の受光チャンネルまで延在し、前記第1の伝達装置は、前記第1の受光チャンネル内に位置し、前記画像センサアセンブリは、前記レンズシーリングヘッドの近位端に位置し、かつ、第2の受光チャンネルに固定されている。
【0010】
一実施例において、前記電子内視鏡は、管の近位端に位置する手持ち端をさらに含み、前記駆動装置は、前記手持ち端に位置し、前記第2の伝達装置は、前記受光チャンネルの近位端に位置し、前記駆動装置に接続され、前記伝達コネクターの近位端は、前記第2の伝達装置に接続され、前記管の軸方向に沿って遠位端延在し、前記伝達コネクターの遠位端は前記第1の伝達装置に接続されている。
【0011】
一実施例において、前記第1の伝達装置は、歯車伝達機構、ベルト伝達機構、チェーン伝達機構、リンク伝達機構又はワイヤ伝達機構のいずれか1つを含み、前記伝達コネクターは、伝達軸又は鋼線であり、前記第2の伝達装置は、歯車伝達機構又は接続軸機構を含む。
【0012】
一実施例において、前記画像センサアセンブリは、プリント回路基板と、前記プリント回路基板に配置された少なくとも1つの固体撮像素子とを含み、前記固体撮像素子は、感光面を有し、前記レンズのイメージング面は、前記固体撮像素子の前記感光面に位置している。
【0013】
一実施例において、前記プリント回路基板及び前記固体撮像素子の前記感光面は、前記光軸に垂直であり、前記プリント回路基板に貫通孔が形成され、前記第1の伝達装置は前記貫通孔に挿通する。
【0014】
一実施例において、前記第1の伝達装置は歯車伝達機構を含み、前記歯車伝達機構は、駆動歯車と少なくとも2つのレンズ歯車とを含み、各前記レンズ歯車は、それぞれ1つのレンズの外側に結合されるとともに、前記駆動歯車と噛み合い、前記駆動歯車は前記伝達コネクターに接続され、前記駆動歯車は、各レンズ歯車を同じ方向に回転するように駆動して各レンズを同じ方向に回転させる。
【0015】
一実施例において、前記プリント回路基板及び前記固体撮像素子の感光面は、前記光軸の方向に沿って配置され、前記電子内視鏡は、光変向部品をさらに含み、前記光変向部品は、レンズからの出射光の伝播方向を前記感光面に垂直な方向に変換するように構成される。
【0016】
一実施例において、前記第1の伝達装置は歯車伝達機構を含み、前記歯車伝達機構は、歯車取付座と、駆動歯車と、従動歯車と、少なくとも2つのレンズ歯車と、を含み、各前記レンズ歯車はそれぞれ1つのレンズの外側に結合され、前記駆動歯車は前記伝達コネクターに接続され、前記駆動歯車と前記従動歯車は、両方とも前記歯車取付座に回転可能に固定され、前記駆動歯車と前記従動歯車とは外接噛合し、前記従動歯車は、各前記レンズ歯車と外接噛合して、各レンズ歯車を同じ方向に回転するように駆動する。
【0017】
一実施例において、前記光変向部品は、変向プリズム又は平面ミラーである。
【0018】
一実施例において、前記変向プリズムの出射面は、前記画像センサアセンブリの感光面と貼り合っている。
【0019】
一実施例において、前記プリント回路基板は、前記伝達コネクターが挿通することを許容するチャンネルを有している。
【0020】
一実施例において、前記プリント回路基板は、少なくとも2つのサブプリント回路基板を含み、各前記サブプリント回路基板は、前記伝達コネクターが挿通することを許容するチャンネルを形成するように、前記管の延伸軸に対して対称に配置されている。
【0021】
一実施例において、前記電子内視鏡は、各レンズキャビティの遠位端に配置されて対応するレンズキャビティ内のレンズを保護するレンズ保護カバーをさらに含む。
【0022】
一実施例において、前記電子内視鏡は、前記レンズシーリングヘッドに設けられたカバーをさらに含む。
【0023】
一実施例において、前記カバーと前記レンズシーリングヘッドは、係合接続又はねじ接続で接続されている。
【0024】
一実施例において、前記電子内視鏡は光ファイバをさらに含み、前記レンズシーリングヘッドは、前記レンズキャビティ同士の間に、貫通する光出力チャンネルが形成され、前記光出力チャンネルは、前記第2の受光チャンネルと連通し、前記光ファイバは、前記第2の受光チャンネルから延在し、前記光出力チャンネルを通過して前記レンズシーリングヘッドの遠位端まで延在する。
【0025】
一実施例において、前記電子内視鏡は、さらに冷光源と電源とを含み、前記レンズシーリングヘッドは、前記レンズキャビティ同士の間に光出力チャンネルが形成され、前記光出力チャンネルは、前記冷光源及び前記電源を収容するように構成される。
【0026】
本発明の他の局面では、前述した実施例のいずれか1つに記載の電子内視鏡と、前記画像センサアセンブリに接続され、前記画像センサアセンブリから伝送された画像情報を受信し、前記画像情報を処理するように構成される画像ワークステーションと、前記画像ワークステーションに接続され、前記画像ワークステーションによって処理された画像情報を受信して表示するように構成されるモニターと、を含む電子内視鏡システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施例における電子内視鏡の立体構造の概略図である。
図2a図1に示される実施例における電子内視鏡の断面図である。
図2b図2aの部分拡大図である。
図2c図2bに示される部分の分解図である。
図3図2bに示される実施例における第1の伝達装置の横断面構造の概略図である。
図4】他の実施例における第1の伝達装置の横断面構造の概略図である。
図5】また他の実施例における第1の伝達装置の横断面構造の概略図である。
図6】さらに他の実施例における第1の伝達装置の横断面構造の概略図である。
図7】一実施例における、駆動装置を有する電子内視鏡の局部構造の概略図である。
図8】他の実施例における、駆動装置を有する電子内視鏡の局部構造の概略図である。
図9図2に示される実施例における電子内視鏡の異なる姿勢での概略図である。
図10図2に示される実施例における電子内視鏡の異なる姿勢での概略図である。
図11図2に示される実施例における電子内視鏡の異なる姿勢での概略図である。
図12図2に示される実施例における電子内視鏡の異なる姿勢での概略図である。
図13】一実施例における電子内視鏡のカバーの構造の概略図である。
図14】他の実施例における電子内視鏡の局部分解図である。
図15図14に示される実施例における第1の伝達装置の横断面構造の概略図である。
図16図14に示される実施例における電子内視鏡の異なる姿勢での概略図である。
図17図14に示される実施例における電子内視鏡の異なる姿勢での概略図である。
図18図14に示される実施例における電子内視鏡の異なる姿勢での概略図である。
図19図14に示される実施例における電子内視鏡の異なる姿勢での概略図である。
図20】一実施例における電子内視鏡システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、添付した図面及び実施例を参照しながら本発明を詳細に説明する。なお、本明細書に記述される具体的な実施例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。
【0029】
本明細書の記述において、「中心」、「横方向」、「上」、「下」、「内」及び「外」などの用語で表記される方位や位置関係は、図面に示す方位や位置関係に基づくものである。これらの用語は、本明細書を便利で簡潔に記述するためのものであり、関連する装置や素子が特定された方位や、特定された方位構造と操作でなければならないことを明示し或いは暗黙的に示すものではない。従って、本発明の範囲を限定するためではないと理解されるべきである。また、ある要素が他の要素「に接続される」場合、当該要素は他の要素に直接接続されるか、或いは、中間要素を介して接続される可能性もある。一方、ある要素が他の要素に「直接に位置する」場合、中間要素は存在しない。本発明では、各部品について、患者に近い端を遠位端または先端とし、患者から遠い端を近位端または基端とする。
【0030】
図1は、一実施例における電子内視鏡の立体構造の概略図である。図2aは、図1に示される実施例における電子内視鏡の断面図である。図2bは、図2aの部分拡大図である。図2cは、図2bに示される部分の分解図である。以下、図1及び図2a~2cを参照しながら電子内視鏡の構造について詳細に説明する。
【0031】
本実施例において、電子内視鏡は、管100と、少なくとも2つの非直視型のレンズ200と、画像センサアセンブリ300と、伝達モジュールと、を含む。ここで、管100には、貫通する受光チャンネルが設けられている。当該受光チャンネルは、順番に、少なくとも2つの非直視型のレンズ200(以下、レンズと略称する)、画像センサアセンブリ300、及び伝達モジュールを収容するものである。具体的には、レンズ200はその光軸が受光チャンネルの延伸軸に平行であるように配置されている。本実施例において、非直視型のレンズ200は、レンズの視野方向が0度ではないことを意味する。例えば、レンズ200の視野方向角度は30°である。他の実施例において、レンズ200の視野方向角度は他の角度であってもよい。画像センサアセンブリ300は、当該レンズ200から伝送された画像を受信し、当該画像を電気信号に変換して出力し、例えば、画像処理設備又は画像ワークステーションに出力することができる。伝達モジュールは、各レンズ200を自体の光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動する。これによって、各レンズ200は、画像センサアセンブリ300とは独立して回転することが可能となり、且つ、視野領域が変更されても視野方向は変化しないため、医師の診断に不便をもたらすことはない。本発明の各例示的実施例において、前記視野領域は、レンズ200によって得られた観察対象シーンの可視領域を指す。前記視野方向は、レンズ200によって得られた観察対象シーンが前記画像センサアセンブリ300において表示されるときの方向を指す。例えば、画像センサアセンブリ300は正方向に置かれる場合、前記観察対象シーンが画像センサアセンブリ300に表示される方向も正方向であり、即ち、視野方向は正方向である。画像センサアセンブリ300が回転すると、前記観察対象シーンが画像センサアセンブリ300に表示される方向も転動し、即ち、前記視野方向もそれに応じて変化する。
【0032】
一実施例において、上記の電子内視鏡は、図7及び図8に示されるように、駆動装置500をさらに含む。当該実施例において、伝達モジュールは、第1の伝達装置410と、第2の伝達装置430と、伝達コネクター420と、を含む。駆動装置500は、第2の伝達装置430を介して伝達コネクター420を駆動し、伝達コネクター420は、各レンズ200がそれ自体の光軸まわりに同じ方向に回転するように、第1の伝達装置410を介して各レンズ200を駆動する。1つの具体的な実施例において、駆動装置500は、図7に示されるように、駆動モーターである。駆動モーターは、第2の伝達装置430を介して伝達コネクター420を駆動し、伝達コネクター420は、第1の伝達装置410を介して、各レンズ200をそれ自体の光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動する。他の具体的な実施例において、駆動装置500は、図8に示されるように、駆動ロッドであってもよい。当該実施例において、駆動ロッドは、第2の伝達装置430を介して伝達コネクター420を駆動し、伝達コネクター420は、第1の伝達装置410を介して、各レンズ200をそれ自体の光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動する。
【0033】
一実施例において、電子内視鏡は、管100の近位端に位置する手持ち端440(図7および図8の点線の領域に示されている)をさらに含む。駆動装置500は、手持ち端440の内部に位置し、又は、医師または操作者が容易に操作できるように、その一部は外側に位置する。第2の伝達装置430は、手持ち端440内に位置している。さらに、第2の伝達装置430は、受光チャンネルの近位端側に隣接し、駆動装置500に接続されている。伝達コネクター420の近位端は、第2の伝達装置430に接続され、そして、伝達コネクター420は管100の軸方向に沿って遠位端まで延在し、第1の伝達装置410に接続される。
【0034】
一実施例において、管100は、図1図2a及び図2bに示されるように、レンズシーリングヘッド110と、管本体120とを含む。レンズシーリングヘッド110は、管本体120の遠位端に接続されている。具体的には、図2bに示されるように、受光チャンネルは、レンズシーリングヘッド110の遠位端に位置するレンズキャビティ132と、レンズシーリングヘッド110の近位端に位置する第1の受光チャンネル134と、管本体120を貫通する第2の受光チャンネル136と、を含む。レンズキャビティ132、第1の受光チャンネル134、及び第2の受光チャンネル136は互いに連通している。レンズキャビティ132の数はレンズ200の数と同じであり、各レンズキャビティ132にそれぞれ1つのレンズ200が収容されている。このため、レンズキャビティ132は、レンズ200のサイズに合うキャビティ構造を有している。具体的には、各レンズ200は、対応するレンズキャビティ132の中において第1の受光チャンネル134まで延在している。また、各レンズ200の光軸は、対応するレンズキャビティ132の延伸軸と同一直線上にあり、各レンズキャビティ132の延伸軸は、管100の延伸軸に平行であるため、各レンズ200は最大の可視範囲を有している。第1の伝達装置410は、第1の受光チャンネル134の中に位置し、画像センサアセンブリ300は、レンズシーリングヘッド110の近位端に隣接し、且つ、第2の受光チャンネル136の中に固定されている。
【0035】
一実施例において、第1の伝達装置410は、主に、各レンズ200をそれ自体の光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動するように構成されている。第1の伝達装置410は、歯車伝達機構、ベルト伝達機構、チェーン伝達機構、リンク伝達機構、及びワイヤ伝達機構のいずれか1つを含んでよい。さらに、第1の伝達装置410が歯車伝達機構である場合、当該歯車伝達機構の噛み合いモードは、歯車間の内接噛合であってもよく歯車間の外接噛合であってもよいが、特定の実現モードには限定されない。伝達コネクター420は、伝達軸又は鋼線等であってよい。例えば、伝達軸の場合、剛性伝達軸又は伝達可撓軸であってよい。一方、鋼線の場合、回転ホイールを介して同軸のかさ歯車、タービンなどを駆動することによって、トルクの伝達を実現する。第2の伝達装置430は、特に限定されないが、図7に示されるように、外接噛合の歯車セットであってよく、即ち、当該歯車セットは、第1の歯車432と第2の歯車434とを含んでよい。第1の歯車432は、駆動モーターの出力軸に配置され、第2の歯車434は、伝達コネクター420の近位端に位置している。他の実施例において、第2の伝達装置430は、カップリング又はユニバーサルジョイントであってもよい。ユニバーサルジョイント又はカップリングにより駆動モーターの出力軸と伝達コネクター420との間の接続が実現されるため、駆動モーターによる各レンズ200の回転運動制御を実現できる。
【0036】
一実施例において、画像センサアセンブリ300は、少なくとも1つの固体撮像素子310と、プリント回路基板320と、を含む。固体撮像素子310は、プリント回路基板320に固定されている。固体撮像素子310の数は、レンズ200の数と同じでも異なってもよい。例えば、全てのレンズ200が1つの固体撮像素子310に対応する構成としてもよい。一実施例において、プリント回路基板320は、レンズシーリングヘッド110に対して固定的に配置され、即ち、固体撮像素子310もレンズシーリングヘッド110に対して固定的に配置されている。固体撮像素子310は、レンズ200から伝送された画像を受信して電気信号に変換するように構成されている。固体撮像素子310の位置は必要に応じて設定できるが、光のレンズ200の出射面から固体撮像素子310の感光面までの距離がレンズ200の像距離に等しくなること、即ち、レンズ200のイメージング面が固体撮像素子310の感光面に位置することを確保しなければならない。これにより、レンズ200が人体組織によって反射された光を収束し、固体撮像素子310の感光面にイメージングさせることが確保される。一実施例において、固体撮像素子310は、本技術分野で一般的に使用される電荷結合素子(Charge Coupled Device,CCD)又は相補型金属酸化物半導体装置(Complementary Metal Oxide Semiconductor,CMOS)であってもよい。撮影された物体の画像が固体撮像素子310によって電気信号に変換された後、当該電気信号がプリント回路基板320を介して、例えば画像ワークステーション920などの画像処理装置に出力され、画像処理(例えば、ノイズ除去、ホワイトバランス、シャープニングなど)の後、医療スタッフがモニターにおいて画像を観察することができるように、モニター930等の表示設備に伝送される。
【0037】
一実施例において、固体撮像素子310は、図2cに示されるように、プリント回路基板320に取り付けられており、且つ当該固体撮像素子310の感光面がレンズ200の出射面に向くように配置されている。言い換えれば、固体撮像素子310及びプリント回路基板320は、レンズ200の光軸方向に沿って配置されている。本実施例において、第1の伝達装置410は、歯車伝達機構である。具体的には、第1の伝達装置410は、駆動歯車412と、少なくとも2つのレンズ歯車414とを含む。駆動歯車412及びレンズ歯車414の回転軸は両方とも、図3に示されるように、前記レンズ200の光軸に平行であり、好ましくは同一直線上にある。レンズ歯車414の数は、電子内視鏡におけるレンズ200の数と対応している。各レンズ歯車414は、第1の受光チャンネル134の中に設けられている。各レンズ歯車414はそれぞれ、対応するレンズ200外側に結合され、駆動歯車412と噛み合っている。駆動歯車412も、第1の受光チャンネル134の中に設けられ、伝達コネクター420に接続されている。このため、駆動装置500は第2の伝達装置430を介して伝達コネクター420を駆動し、伝達コネクター420は駆動歯車412を介して、各レンズ歯車414を対応するレンズ200の光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動し、これにより、各レンズ200はそれ自体の光軸まわりに同じ方向に回転する。さらに、駆動歯車412の中心は、各レンズ歯車414の中心を結ぶ線の垂直二等分線に位置し、即ち、駆動歯車412の中心から各レンズ歯車414の中心までの距離は同じである。
【0038】
一実施例において、プリント回路基板320には、第1の伝達装置410が挿通するための貫通孔322が設けられている。具体的には、第1の伝達装置410の駆動歯車412の回転軸は、当該貫通孔322に挿通し、第2の受光チャンネル136の中まで延在し、伝達コネクター420の遠位端に接続される。この場合、駆動装置500は、第2の伝達装置430を介して伝達コネクター420を駆動する。伝達コネクター420は、駆動歯車412を回転させることで、各レンズ歯車414を駆動して各レンズ200を回転させる。第1の伝達装置410は、プリント回路基板320における貫通孔322に挿通することによって、前記プリント回路基板320に対して回転可能であるため、レンズ200の回転駆動を実現する際に、第1の伝達装置410の回転によってプリント回路基板320が回転することがなく、したがって、プリント回路基板320及びそれに固定された固体撮像素子310は、レンズ200と同期して回転することなく、レンズシーリングヘッド110に対して固定される。これにより、二者の回転の相対的独立性を実現し、視野を広げるときに視野の方向を変えることはないので、医師の診断作業がより容易となる。
【0039】
一代替的実施例において、図4に示されるように、第1の伝達装置410の駆動歯車412とレンズ歯車414との間は内接噛合である。この場合、駆動歯車412の直径は、少なくともレンズ歯車414の直径の2倍よりも大きい。さらに、第1の伝達装置410は、他の構造であってもよい。当業者に理解されるように、本発明の第1の伝達装置410は、伝達コネクター420から伝送されてきたトルクを各レンズ200の独立的な回転運動を駆動する駆動力に変換可能な装置であればよい。例えば、第1の伝達装置410については、ベルト伝達機構(図5を参照)、チェーン伝達機構、リンク伝達機構(図6を参照)又はワイヤ伝達機構等を採用してもよい。図4から図6の点線の矢印は、例示的に、第1の伝達装置410における各部品の運動方向間の関係を表しており、各部品の回転能力を制限するものではない。第1の伝達装置410の具体的な構造は、必要に応じて設定することができ、例えば、レンズ200の数及び内視鏡の先端の構造、外径の制限などに応じて設定することができる。
【0040】
図9図12は、図2に示される実施例における、360°の時計回り回転中の0°、90°、180°、および270°の4つの異なる姿勢での電子内視鏡の概略図である。これら図では、点線の矢印でレンズ200の回転方向を示している。なお、点線の矢印は、説明の便宜のためだけのものであり、本発明を制限するものではない。ここで、aはレンズ200の状態の概略図であり、bはa状態下の第1の伝達装置410の状態の概略図であり、cはa状態下の電子内視鏡における受光チャンネル内の各部品の構造概略図である。本実施例において、レンズシーリングヘッド110に2つのレンズキャビティ132が設けられ、即ち、電子内視鏡は、2つのレンズ200を含む。図9図12から分かるように、駆動歯車412は、反時計回りに回転して、2つのレンズ歯車414を駆動して時計回りに回転させることで、2つのレンズ200を同時に同じ方向に回転させる。一方、プリント回路基板320及び固体撮像素子310は回転しない。これにより、視野方向を変えることなく視野を広げることができる。
【0041】
一実施例において、図1及び図2a~2cに示されるように、電子内視鏡は、各レンズキャビティ132の遠位端に設けられたレンズ保護カバー140をさらに含む。レンズ保護カバー140は、対応するレンズキャビティ132内のレンズ200その他の部品を保護し、特に、レンズ200の清潔を維持して、手術中においてレンズ200が組織液などの汚染物によって汚染されるのを防ぐように構成されている。レンズ保護カバー140は、レンズ200先端に固定的に配置され、ねじ又は係合等でレンズシーリングヘッド110に固定されるか、或いは、レンズシーリングヘッド110と一体に作製される。レンズ保護カバー140は、画像収集の支障とならないように、比較的高い透明度を有する材料からなってよい。
【0042】
他の代替的実施例において、図13に示されるように、それぞれ独立に設けるレンズ保護カバー140の代わりに、一全体としたカバー150を採用してもよい。この場合、カバー150は、レンズシーリングヘッド110の先端に設けられ、レンズ200等の部品を保護する。カバー150は、係合接続またはねじ接続でレンズシーリングヘッド110に固定されてよい。
【0043】
一実施例において、レンズシーリングヘッド110は、レンズキャビティ132同士の間において、貫通する光出力チャンネル160が設けられている。光出力チャンネル160は、図2b及び図2cに示されるように、第2の受光チャンネル136と連通している。具体的には、光出力チャンネル160の数は、レンズキャビティ132の数と同じでも異なってもよい。例えば、本実施例において、光出力チャンネル160は3つあり、レンズキャビティ132は2つある。当該実施例において、電子内視鏡は、さらに、光ファイバ600を含む。光ファイバ600は、第2の受光チャンネル136から延在し、光出力チャンネル160を通ってレンズシーリングヘッド110の遠位端まで延在している。光ファイバ600の近位端は、独立して設けられた照明設備に接続されて、照明設備によって発生した光を光出力チャンネル160に出力する。他の実施例において、電子内視鏡は、さらに、冷光源及び電源(図示せず)を含んでもよい。冷光源及び電源は、光出力チャンネルの中に設けられている。冷光源は、電源から電気エネルギーを提供されると、照明設備として光出力チャンネル160に光源を提供するように動作する。冷光源が直接光出力チャンネル160の中に設けられているため、第2の受光チャンネル136の中に光ファイバをさらに設ける必要がない。冷光源及び電源をレンズシーリングヘッド110内に設けることによって、電子内視鏡システムの体積を小さくすることが可能となる。
【0044】
図14は、他の実施例における電子内視鏡の部分分解図であり、当該分解図には、主に、受光チャンネル内の関連部品が示されている。本実施例において、前述の実施例に記載の部品については、前述の実施例と同じ符号を使用し、特段説明のない部品は、前述の実施例と同様とする。
【0045】
本実施例において、画像センサアセンブリ300における固体撮像素子310の感光面及びプリント回路基板320は、管100の延伸軸方向に沿って配置され、即ち、レンズ200の光軸方向に沿って配置される。これに対応して、電子内視鏡は、さらに、光変向部品330を含む。光変向部品330は、レンズ200の出射光の伝播方向を固体撮像素子310の感光面に垂直な方向に変換するためのものである。具体的には、光変向部品330の数は、レンズ200の数に対応する数とする。さらに、光変向部品330は、入射光を変向させるための変向プリズムであってよい。具体的には、変向プリズムは、三角プリズム又はペンタプリズム等であってよい。また、光変向部品330は、平面ミラーであってもよい。光変向部品330の出射面は、固体撮像素子310の感光面に位置している。さらに、光変向部品330の出射面は、固体撮像素子310の感光面と貼り合うことにより、所要空間を低減することができ、設備の小型化に寄与する。固体撮像素子310の他方の面は、プリント回路基板320に貼り合っている。プリント回路基板320の位置は、光がレンズ200の出射面から光変向部品330を通って固体撮像素子310の感光面に着くまでの距離がレンズ200の像距離に等しくなるように設定される必要がある。これにより、光がレンズ200及び光変向部品330を通過した後に固体撮像素子310の感光面にイメージングされることが確実にできる。
【0046】
本実施例において、第1の伝達装置410は、同様に、歯車伝達機構、ベルト伝達機構、チェーン伝達機構、リンク伝達機構又はワイヤ伝達機構等のいずれか1つであってよい。例えば、第1の伝達装置410は、図14及び図15に示されるように、歯車伝達機構である。具体的には、第1の伝達装置410は、歯車取付座410aと、駆動歯車410bと、従動歯車410cと、少なくとも2つのレンズ歯車410dと、を含む。各レンズ歯車410dは、それぞれ1つのレンズ200の外側に結合されている。駆動歯車410bと従動歯車410cは両方とも歯車取付座410aに回転可能に配置されている。駆動歯車410bは伝達コネクター420に接続されている。駆動歯車410bは従動歯車410cと外接噛合している。従動歯車410cは、各レンズ歯車410dと外接噛合しており、各レンズ歯車410dを同じ方向に回転するように駆動する。さらに、従動歯車410cの中心から各レンズ歯車410dそれぞれの中心までの距離は一致している。
【0047】
さらに、プリント回路基板320は、伝達コネクター420を収容するためのチャンネルを形成する中空の多角形構造となっている。このため、伝達コネクター420は、入力された駆動力を第1の伝達装置410を介して各レンズ200に伝達し、従って、第1の伝達装置410を介して各レンズ200をそれ自体の光軸まわりに同じ方向に回転するように駆動することができる。他の代替的実施例において、プリント回路基板320は、図14に示されるように、少なくとも2つのサブプリント回路基板を含む。この場合、サブプリント回路基板、光変向部品330、及びレンズ200それぞれの数は同じであって一対一対応している。各サブプリント回路基板は、管100の軸方向に沿って対称に配置されている。本実施例において、プリント回路基板320は、2つのサブプリント回路基板を含む。2つのサブプリント回路基板は、管100の延伸軸に対して間隔を置いて対称に配置されてチャンネルを形成する。当該チャンネルは、伝達コネクター420が挿通するように構成されている。伝達コネクター420は、当該チャンネルを挿通した後に駆動歯車410bに接続され、且つ、従動歯車410c及びレンズ歯車410dを介して各レンズ200を駆動することで、レンズ200をレンズシーリングヘッド110等に対して同じ方向に同期して回転させる。これにより、視野方向を変えることなく視野を広げることが実現できる。
【0048】
図16図19は、図14に示される実施例における、360°の時計回り回転中の0°、90°、180°、および270°の4つの異なる姿勢での電子内視鏡の概略図である。ここで、aはレンズ200の状態の概略図であり、bはa状態下の第1の伝達装置410の状態の概略図であり、cはa状態下の電子内視鏡における受光チャンネル内の各部品の構造概略図である。なお、図面における点線の矢印は、説明の便宜のためだけのものであり、本発明を制限するものではない。図面から分かるように、駆動歯車410bが従動歯車410cを時計回りに駆動すると、従動歯車410cは反時計回りに回転して、さらに2つのレンズ歯車410dを同時に時計回りに回転させることで、2つのレンズ200を同期して時計回りに回転させるが、プリント回路基板320及び固体撮像素子310は回転しない。これにより、視野方向を変えることなく視野を広げることが実現できる。
【0049】
図20に示されるように、本発明の一実施例は、電子内視鏡システムをさらに提供する。電子内視鏡システムは、電子内視鏡910と、画像ワークステーション920と、モニター930とを含む。電子内視鏡910については、前述した任意の実施例に記載の電子内視鏡が採用されてよい。画像ワークステーション920は、電子内視鏡910における画像センサアセンブリ300と通信可能に接続されており、出力された画像情報を受信して処理する。具体的には、画像ワークステーションは、画像に対して、デコード、差分、シャープニング、エンハンスメント、シャドウ処理、及びホワイトバランスなどの一連のアルゴリズム処理を行うことができる。
【0050】
操作者の観察の便宜上、画像ワークステーション920によって処理された画像を受信して表示するために、モニター930が当該画像ワークステーション920に接続されている。さらに、モニター930と画像ワークステーション920とは、一つの端末に統合されてもよい。
【0051】
さらに、上記の電子内視鏡システムにおける照明装置940が電子内視鏡910とは独立して設けられるので、照明装置940を交換することが便利となり、電子内視鏡910の体積を減らすことができる。
【0052】
上述した実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができる。記述の簡潔化のために、上述した実施例における各技術的特徴のあらゆる組合せについて説明していないが、これらの技術的特徴の組合せは矛盾しない限り、本明細書の記述範囲内であると考えられるべきである。
【0053】
上述した実施例は、本願のいくつかの実施形態を示したものにすぎず、その記述が具体的且つ詳細であるが、本願の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本発明の趣旨から逸脱しないかぎり、若干の変形及び改良を行うことができ、これらもすべて本発明の保護範囲内に含まれる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずるべきである。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図12c
図13
図14
図15
図16a
図16b
図16c
図17a
図17b
図17c
図18a
図18b
図18c
図19a
図19b
図19c
図20