(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】屈折ビームステアリング方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20220812BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220812BHJP
G01S 17/42 20060101ALI20220812BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20220812BHJP
【FI】
G01S7/481 A
B60W60/00
G01S17/42
G01S17/931
(21)【出願番号】P 2021538999
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(86)【国際出願番号】 US2019069144
(87)【国際公開番号】W WO2020142546
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-27
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519174791
【氏名又は名称】ブラックモア センサーズ アンド アナリティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】アンガス,エドワード ジョーゼフ
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01986032(EP,A1)
【文献】特開2011-167704(JP,A)
【文献】特開2002-372682(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0274589(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0082735(US,A1)
【文献】米国特許第09097800(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
G02B 26/10 - 26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って送信されたビームを受信し、前記ビームを前記光軸に対して定義される第1角度と第2角度との間の第1平面に複数のスキャンラインで投影する第1スキャナと、
前記光軸に沿って配置される第2スキャナと、
前記第1スキャナおよび前記第2スキャナに結合される1つ以上のモーターと、
特定波形の1つ以上のコンポーネントに基づいて回転情報を生成し、前記回転情報に基づいて前記第1スキャナおよび前記第2スキャナを回転させるようにする信号を前記1つ以上のモーターに送信するように構成される1つ以上のプロセッサと、を含み、
前記信号は、(1)前記第1スキャナおよび前記第2スキャナのそれぞれの角周波数と、(2)前記第1スキャナと前記第2スキャナとの相対位相と、を含むデータを示
し、
前記第1スキャナは、同一方向に回転する複数のプリズムを含む、
LIDAR(Light Detection And Ranging)システム。
【請求項2】
前記特定波形は、三角波形(Triangular Waveform)または鋸歯状波形(Sawtooth Waveform)である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記複数のスキャンラインは、前記第1平面に投影される第1スキャンラインおよび第2スキャンラインを含み、
前記第1スキャンラインは、前記第2スキャンラインから均等にまたはほぼ均等に離隔される請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記特定波形の1つ以上のコンポーネントは、前記特定波形の1つ以上のフーリエ(Fourier)コンポーネント波形を含む請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のフーリエコンポーネント波形のうち、第1フーリエコンポーネント波形は、前記1つ以上のフーリエコンポーネント波形のうち、第2フーリエコンポーネント波形の振幅よりも大きい振幅を有する請求項4に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記第1フーリエコンポーネント波形は、前記第2フーリエコンポーネント波形の周波数よりも低い周波数を有する請求項5に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記回転情報は、角周波数(Angular Frequency)、周波数、位相または振幅のうち、少なくとも1つを含む請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1スキャナに関連する1つ以上のパラメータを決定し、
前記1つ以上のパラメータおよび前記1つ以上のコンポーネントに基づいて前記回転情報を生成するようにさらに構成される請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記1つ以上のパラメータは、角度、屈折率または寸法のうち、少なくとも1つを含む請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
前記第2スキャナは、前記第1スキャナから前記第1平面に投影された前記複数のスキャンラインを受信し、前記複数のスキャンラインを前記光軸に対して定義される第3角度と第4角度との間の第2平面に複数の第2スキャンラインで投影する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記第3角度と前記第4角度との差は、前記第1角度と前記第2角度との間の絶対差よりも大きい請求項10に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記第1スキャナは、1つ以上のリスレープリズム(Risley Prism)を含む請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
前記第2スキャナは、前記第1平面に投影された前記複数のスキャンラインを受信し、前記複数のスキャンラインを第3平面に複数の第3スキャンラインで投影する請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項14】
前記第2スキャナは、ポリゴン(Polygon)スキャナを含む請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項15】
前記第1スキャナは、第1軸に沿って前記ビームの作動(Actuation)を制御し、前記第2スキャナは、第2軸に沿って前記ビームの作動を制御する請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項16】
前記第1軸は、前記第2軸に直交する請求項15に記載のLIDARシステム。
【請求項17】
前記第1平面に複数のスキャンラインとして、前記ビームを投影することに応答してリターンされた信号を受信する受信機をさらに含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記リターンされた信号に基づいて車両を動作させる請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項18】
光軸に沿って送信されたビームを受信するステップと、
特定波形の1つ以上のコンポーネントに基づいて、1つ以上の光学コンポーネントの角周波数および相対位相を決定するステップと、
1つ以上のモーターに信号を送信するステップと、
ここで、前記信号は、前記1つ以上のモーターが前記1つ以上の光学コンポーネントを回転させ、第1スキャンパターンおよび第2スキャンパターンを生成させるものであり、前記信号は、(1)前記1つ以上の光学コンポーネントの前記角周波数および(2)前記1つ以上の光学コンポーネントの前記相対位相を含むデータを示し、
前記第1スキャンパターンに基づいて、前記ビームを第1平面に複数のスキャンラインで投影するステップと、
前記第1平面に投影された前記複数のスキャンラインを受信するステップと、
前記第2スキャンパターンに基づいて、前記第1平面と直交する第2平面に前記複数のスキャンラインを複数の第2スキャンラインで投影するステップと、を
含み、
前記第1スキャンパターンは、同一方向に回転する複数のプリズムにより生成される方法。
【請求項19】
前記第1平面に複数のスキャンラインとして前記ビームを投影することに応答してリターンされた信号を受信するステップと、
前記リターンされた信号に基づいて車両を動作させるステップと、をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上のプロセッサを含む自律走行車の制御システムとして、前記1つ以上のプロセッサは、
三角波形の複数のフーリエコンポーネント波形を決定し、
前記複数のフーリエコンポーネント波形の第1パラメータ値に基づいて、
複数の光学コンポーネントのパラメータ値を決定し、
前記フーリエコンポーネント波形の第2パラメータ値に基づいて、
複数の光学コンポーネントの角周波数および相対位相を決定し、
前記
複数の光学コンポーネントが光軸に沿って送信されたビームを受信し、前記三角波形に基づいて、前記光軸に対する第1角度および第2角度との間の第1平面に前記ビームを複数のスキャンラインで投影させるために前記
複数の光学コンポーネントそれぞれの前記角周波数および前記相対位相に基づいて、1つ以上のモーターにより、前記
複数の光学コンポーネントを回転させるために、前記1つ以上のモーターに信号を送信し、
ここで、前記信号は、前記
複数の光学コンポーネントのそれぞれの前記角周波数および前記相対位相を含むデータを示し、
前記第1平面に複数のスキャンラインとして前記ビームを投影することに応答して複数の電気信号を受信し、
前記複数の電気信号を用いて自律走行車の動作を制御
し、
前記複数の光学コンポーネントは、同一方向に回転するように構成される自律走行車の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、全開示の内容が本明細書に参照として含まれる2019年1月4日に出願した米国臨時出願番号第62/788、304号についての優先権およびその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
コンピューティングや車両レーザーレーダー(RADAR)とも呼ばれる光学検出および距離測定(Light Detection and Ranging)のための多くの場合ニーモニック(Mnemonic)のLIDARと呼ばれるレーザーを用いた距離の光学検出は、高度計から映像(Imaging)、衝突回避に至るまで様々な応用分野で使用される。LIDARは、電波検出および距離測定(Radio-Wave Detection and Ranging、RADAR)のような従来のマイクロ波距離測定システム(Microwave Ranging System)よりも小さいビームサイズでより微細なスケールの距離解像度(Range Resolution)を提供する。距離の光学検出は、光パルスのオブジェクトまでの往復移動時間に基づく直接距離測定を含み、送信されたチャープ(Chirp)光信号とオブジェクトから散乱してリターンされた信号との間の周波数差に基づくチャープ検出を含み、自然信号から区別できる一連の単一周波数位相変化に基づいて位相エンコーディング検出(Phase-Encoded Detection)を含むいくつかの他の技術で行われ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、開示された側面は、一般的に光学分野の光検出および距離測定(LIDAR)に関連しており、特にLIDARシステムにおける屈折ビームステアリングのためのシステムおよび方法に関連している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示された一実施例は、屈折ビームステアリングのための光検出および距離測定(LIDAR)システムに直結する。一部の実施例において、前記LIDARシステムは、光軸に沿って送信されたビームを受信し、前記ビームを第1平面に第1角度と第2角度との間の複数のスキャンラインで投影する第1スキャナを含む。一部の実施例において、第1角度および第2角度は、前記光軸について定義される。一部の実施例において、前記LIDARシステムは、前記第1スキャナ(また、本明細書における「光学コンポーネント」と呼ばれる)に結合されたモーターを含む。一部の実施例において、前記システムは、特定波形の1つ以上のコンポーネントに基づいて、回転情報を生成するように構成される1つ以上のプロセッサを含む。一部の実施例において、前記1つ以上のプロセッサは、前記モーターに信号を送信するように追加で構成される。一部の実施例において、前記信号は、前記モーターにとって前記回転情報に基づいて前記第1スキャナを回転させるようにする。
【0005】
他の側面においては、現在開示されている事項は、LIDARシステムで屈折ビームステアリングのための方法に直結する。一部の実施例において、前記方法は、光軸に沿って送信されたビームを受信するステップを含む。一部の実施例において、前記方法は、特定波形の1つ以上のコンポーネントに基づいて、第1スキャンパターンおよび第2スキャンパターンを生成するステップを含む。一部の実施例において、前記方法は、前記第1スキャンパターンに基づいて前記ビームを第1平面に複数のスキャンラインで投影するステップを含む。一部の実施例において、前記方法は、前記第1平面に投影された前記複数のスキャンラインを受信するステップを含む。一部の実施例において、前記方法は、前記第2スキャンパターンに基づいて前記複数のスキャンラインを第2平面に複数の第2スキャンラインで投影するステップを含む。一部の実施例において、前記第1平面は、前記第2平面に直交する。
【0006】
他の側面においては、現在開示されている事項は、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサにとって三角波形の複数のフーリエコンポーネント波形を決定する動作を含む作業を行うためのコマンドを格納する不揮発性のコンピュータ読み取り可能な格納媒体(Non-Transitory Computer-Readable Storage Medium)に直結する。一部の実施例において、前記不揮発性のコンピュータ読み取り可能な格納媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサにとって前記複数のフーリエコンポーネント波形の第1パラメータ値に基づいて、1つ以上の光学コンポーネントのパラメータ値を決定する動作を含む作業を行うためのコマンドを格納する。一部の実施例において、前記不揮発性のコンピュータ読み取り可能な格納媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサにとって、前記フーリエコンポーネント波形の第2パラメータ値に基づいて、前記1つ以上の光学コンポーネントのそれぞれの角周波数および相対位相を決定する動作を含む作業を行うためのコマンドを格納する。一部の実施例において、前記不揮発性のコンピュータ読み取り可能な格納媒体は、前記1つ以上の光学コンポーネントにとって光軸に沿って送信されたビームを受信し、前記ビームを前記三角波形に基づいて、第1平面に第1角度と第2角度との間の複数のスキャンラインで投影させるために1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサにとって、前記1つ以上の光学コンポーネントのそれぞれの前記角周波数と相対位相に基づいて、前記1つ以上の光学コンポーネントを回転させる動作を含む作業を行うためのコマンドを格納する。一部の実施例において、前記第1および第2角度のそれぞれは、前記光軸についてのものである。
【0007】
しかし、他の側面、特徴、および利点は、本発明を実行するために考えられる最良の実施形態を含む多数の特定の実施例および実行を図示することによって、次の詳細な説明から容易に明らかになる。他の実施例は、また他の様々な特徴および利点であり得、これらのいくつかの具体的事項は、すべて本発明の思想および範囲を逸脱しない線で多様かつ明白な側面で修正され得る。したがって、図面と説明は、制限のためのものではなく、事実上例示的なものとみなされることがある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施例は、制限的な方式ではなく、例示的な方式で説明され、添付図面において、類似の構成要素は、類似の参照番号が付与されており、
【0009】
【
図1A】一実施例によって距離の測定のためにリターンされた光信号とともに一連の2進数として、送信された信号の例を示す概略的なグラフ(Schematic Graph)であり、
【
図1B】一実施例によって基準信号のスペクトルおよびドップラーシフトされたリターン信号のスペクトルの例を示す概略的なグラフであり、
【
図1C】一実施例によってドップラーシフトされたリターン信号の位相コンポーネントの交差スペクトルの例を示す概略的なグラフであり、
【
図1D】一実施例によって距離についての光チャープ測定の例を示すグラフであり、
【
図1E】一実施例によって対称LO信号を使用するグラフであり、ドップラーシフトがないとき、周波数時間プロット(Frequency Time Plot)のリターン信号を破線として示すグラフであり、
【
図1F】一実施例によって対称LO信号を使用する
図1Eと同様のグラフであり、非ゼロドップラーシフトがあるとき、周波数時間プロットのリターン信号を破線として示るグラフであり、
【
図2A】一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステムのコンポーネントの例を示すブロック図であり、
【
図2B】一部の実施例で使用される高解像度ドップラーシステムのための 鋸歯型(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図であり、
【
図2C】一実施例によって高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された速度ポイントクラウド(Speed Point Cloud)の例を示すイメージであり、
【
図3】一実施例によって
図2Aのシステムのスキャニング光学装置のコンポーネントの例を示すブロック図であり、
【
図4A】一実施例によって軸に対する光学コンポーネントの回転に基づいて円錐形の表面を定義するための角度で入射ビームをステアリングする
図3のスキャニング光学装置の光学コンポーネントの例を示すイメージであり、
【
図4B】一実施例によって
図4Aの光学コンポーネントの特徴の例を示すイメージであり、
【
図4C】一実施例によって軸の方に
図4Aのスキャンされたビームの投影された角度を示す正弦曲線(Sinusoid Curve)の例を示すグラフであり、
【
図4D】一実施例によって
図4Cの正弦曲線に基づいて軸に沿って不等間隔のスキャンラインの例を示すグラフであり、
【
図4E】一実施例によって軸の方に
図2Aのスキャンされたビームの投影された角度を示す三角波形の例を示すグラフであり、
【
図4F】一実施例によって
図4Eの三角波形に基づいて軸に沿って等間隔のスキャンラインの例を示すグラフであり、
【
図4G】一実施例によって光学コンポーネントの集合的回転(Collective Rotation)に基づいて、光軸に対して垂直なビームを集合的にステアリングする光軸に沿って連続的に配列された光学コンポーネントの例を示すイメージであり、
【
図4H】一実施例によって第1光学コンポーネントおよび第1光学コンポーネントの角速度ベクトルによって、軸に対して直交する2次元平面で
図4Aのステアリングされたビーム角度の投影の例を示すグラフであり、
【
図4I】一実施例によって第2光学コンポーネントおよび第2光学コンポーネントの角速度ベクトルによって、軸に対して直交する2次元平面で
図4Aのステアリングされたビーム角度の投影の例を示すグラフであり、
【
図4J】一実施例によって第3光学コンポーネントおよび第3光学コンポーネントの角速度ベクトルによって、軸に対して直交する2次元平面で
図4Aのステアリングされたビーム角度の投影の例を示すグラフであり、
【
図4K】一実施例によって第1光学コンポーネントの回転により、時間に対して2次元平面の垂直軸に沿って
図4Hのステアリングされたビーム角度の投影を示す正弦曲線の例を示すグラフであり、
【
図4L】一実施例によって第2光学コンポーネントの回転により、時間に対して2次元平面の垂直軸に沿って
図4Iのステアリングされたビーム角度の投影を示す正弦曲線の例を示すグラフであり、
【
図4M】一実施例によって第3光学コンポーネントの回転により、時間に対して2次元平面の垂直軸に沿って
図4Jのステアリングされたビーム角度の投影を示す正弦曲線の例を示すグラフであり、
【
図4N】一実施例によって2次元平面の垂直方向に沿って
図4Gのステアリングされたビームの投影された角度を示す
図4Kないし
図4Mの正弦曲線波形(Sinusoid Waveform)を結合することによって生成される波形の例を示すグラフであり、
【
図4O】一実施例によって単位振幅の三角波形および単位振幅の正弦曲線波形の例を示すグラフであり、
【
図4P】一実施例によって三角波形および
図4Kないし
図4Mの正弦曲線を結合することによって生成される波形の例を示すグラフであり、
【
図5】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含むシステムの例を示すブロック図であり、
【
図6】一実施例によって望む波形に応じて第1角度および第2角度との間の第1平面でビームのスキャンパターンを最適化するための方法の例を示すフローチャートであり、
【
図6B】一実施例によってLIDARシステムで屈折ビームステアリングのための方法の例を示すフローチャートであり、
【
図7】本発明の一実施例が実行できるコンピュータシステムを示すブロック図であり、
【
図8】本発明の一実施例が実行できるチップセット(Chip Set)を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
収容可能な距離精度および検出感度を実現するため、直接長距離LIDARシステムは、低いパルス反復率(Pulse Repetition Rate)と高いパルスピーク電力(Pulse Peak Power)を有する短いパルスレーザー(Short Pulse Laser)を使用する。前記高いパルス電力は、光学コンポネントの急速な低下をもたらすことがある。チャープ(Chirped)および位相エンコーディングLIDARシステムは、相対的に低いピーク光出力を有する長い光パルスを使用する。この構成において、前記距離精度は、パルス持続時間よりもチャープ帯域幅(Chirp Bandwidth)または長さ(Length)および位相コードの帯域幅によって増加し、したがって、優れた距離精度が相変らず獲得され得る。
【0011】
光搬送波(Optical Carrier)を変調するために広帯域無線周波数(Radio Frequency、RF)電気信号を使用して有用な光帯域幅が達成されてきた。最近LIDARからの発展は、同じ変調光搬送波を光検出器からリターンされた信号と結合された基準信号として使用してRF帯域で基準信号とリターンされた光信号との間の周波数差または位相差に比例する比較的低い振動周波数の結果、電気信号を生成することを含む。検出器からの周波数差についてのこのような種類の振動周波数検出は、ヘテロダイン(Heterodyne)検出と呼ばれる。これは準備されたRFコンポーネントの使用と安価な有用性による利点などのいくつかの利点を有する。
【0012】
現在、発明者の最近の研究は、LIDARシステムと各外部オブジェクトとの間のベクトルに向上した範囲だけでなく、相対的に符号付き速度を提供するリターンされた信号からドップラーシフトを検出するための光学コンポーネントの新しい配列および一貫した処理を示す。これらのシステムは、本明細書で高解像度距離ドップラーLIDARと呼ばれる。特許協力条約(Patent Cooperation Treaty、PCT)特許出願PCT/US2017/062703およびPCT/US2018/016632に基づいた世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization、WIPO)公報の例を参照してください。
【0013】
このような改善によって適切な周波数または位相コンテンツの鉛筆の厚さのレーザービームに目標速度の有無にかかわらず範囲が提供される。これらのビームがシーン(Scene)の上を擦れると、周辺のオブジェクトの位置と速度についての情報が取得されることができる。この情報は、自律走行やドライバー支援自動車のような車両の自動制御システムで価値があると予想される。
【0014】
レーザ光のオプトメカトロニクス(Opto-Mechatronic)偏向は、慣習的にLIDARシステムのビームステアリングに使用される。これらのマクロスケール上の慣習的なLIDARシステムは、空間的に一貫性のある光源を選択された方向に誘導するために材料特性に応じて反射、屈折および回折成分の選択を伴う。これらのシステムは、高電力データおよび広範囲な調整を必要とする精巧な2次電磁状態測定システムで作動する高性能電流測定(Galvanometric)スキャナを使用する。
【0015】
しかし、前述したスキャナは、投影されたビームで不均一な間隔を生成するスキャンパターンを用い、その結果、リターンされたビームの不均一なカバレッジ(Coverage)をもたらす。
【0016】
したがって、現在開示されている事項は、LIDARシステムの屈折ビームステアリングのためのシステムおよび方法に直結する。すなわち、現在開示されている事項は、投影されたビームで均一またはほぼ均一な間隔を生成する改善された屈折ビームステアリングシステムおよび方法を述べ、これは、リターンされたビームの均一なカバレッジをもたらす。さらに、前記開示された方法およびシステムは、1次元に応じた線形波形(例えば、三角形)でビームをステアリングするために必要な電力を軽減させ、調整のための要求事項を除去する。
【0017】
以下の説明では、説明の目的のために、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な細部事項が提示される。しかし、このような具体的な細部事項がなくても、本発明が実行できるということは、通常の技術者に明らかであろう。他の例においては、本発明を不必要に不明瞭にしないために、よく知られた構造および装置がブロック図の形として表示される。
1.位相エンコーディングされた検出概要(Phase-Encoded)
【0018】
距離測定のための光位相エンコーディング信号を用いると、送信された信号は、信号の一部についての搬送波(Carrier)と同相(In Phase)であり(位相=0)、次に、短い時間間隔の間にシンボルΔφによって表される1つ以上の位相変化だけ変動し(したがって、位相=Δφ)送信された信号について繰り返しに2以上の位相値の間で前後にスイッチングする。一定の位相の最短間隔は、パルス持続時間τと呼ばれるエンコーディングのパラメータであり、通常、帯域で最低周波数の多数の周期の持続時間である。逆(1/τ)は、ボーレート(Baud Rate)であり、それぞれのボーは、シンボルを示す。送信された信号の時間中のこのような一定の位相パルスの数(N)は、シンボルの数(N)であり、エンコーディングの長さを示す。2進(Binary)エンコーディングにおいては、2つの位相値が存在し、最短間隔の位相は、1つの値については0とみなされ得、他の1つの値は、1とみなされ得るため、シンボルは、1ビット(Bit)であり、ボーレートは、ビットレート(Bit Rate)とも呼ばれる。多重(Multiple)位相エンコーディングにおいて、多数の位相値が存在する。例えば、Δφ*{0、1、2および3}のような4つの位相値は、Δφ=π/2(90度)に対して{0、π/2、πおよび3π/2}とそれぞれ同じであり、したがって、4つの位相値は、それぞれ0、1、2、3を示し得る。この例において、それぞれのシンボルは、2ビットであり、ビットレートは、ボーレートの2倍である。
【0019】
位相シフトキーイング(Phase-Shift Keying、PSK)は、基準信号(搬送波)の位相を変更(変調)してデータを伝達するデジタル変調方式を意味する。変調は、正確な時間にサイン入力とコサイン入力を変化させることによって刻印される。無線周波数(RF)において、PSKは、無線近距離通信網(Local Area Networks、LAN)、無線周波数認識(RFID)およびブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)通信のために手広く使用される。代替的に、一定の基準波(Reference Wave)に対して動作する代わりに、送信は、それ自体に対して動作し得る。単一の送信された波形の位相変化は、シンボルとみなされ得る。前記システムにおいて、復調器(Demodulator)は、(基準波に対する)位相その自体ではなく、受信信号の位相変化を決定する。前記方式が連続する位相の間の差に依存するため、これは、差動位相シフトキーイング(Differential Phase-Shift Keying、DPSK)と称される。復調器が受信信号の正確な位相を決定するために基準信号のコピーを有する必要がないため、DPSKは、通信アプリケーションで通常のPSKよりも確実かつ簡単に実装できる(したがって、これは非コヒーレント(Non-Coherent)すなわち、非同期方式である)。
【0020】
送信機および受信機が同じ装置内にあるため、光距離測定応用にコヒーレントPSKが使用できる。搬送波周波数(Carrier Frequency)は、光周波数(fc)であり、RF周波数(f0)は、光搬送波(Optical Carrier)に変調される。シンボルの数(N)と持続時間τは、要求される距離精度と解像度を実現するために選択される。シンボルのパターンは、ノイズとコード化した信号の他のソースから区別できるように選択される。したがって、送信された信号とリターンされた信号との間の強い相関関係は、反射するか、または後方散乱した(Backscattered)信号の強い表示であり得る。送信された信号は、1つ以上のシンボルブロックで構成され、それぞれのブロックは、ノイズが存在する場合にも反射するか、または後方散乱したリターンとの強い相関関係を提供するほど十分に長い。送信された信号は、ブロック当たりN個のシンボルのM個のブロックで構成され得、MとNは、負ではない整数である。
【0021】
図1Aは、一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)として例示的な送信された信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフ120である。水平軸122は、0(Zero)での開始時間後の時間を任意のユニット(Arbitrary Unit)で示す。 垂直軸124aは、周波数f
C+f
0で光送信信号の振幅を0に相対的な任意のユニットで表す。垂直軸124bは、周波数f
C+f
0で光リターン信号の振幅を0に相対的な任意のユニットで表し、トレースを分離するために軸124aからオフセットされる。トレース125は、00011010から開始して省略符号で表示されたように、継続するコードを生成するために
図1Aに示すような位相変化を有するM*N2進シンボルの送信された信号を示す。トレース126は、動いていないオブジェクトから散乱した理想的な(ノイズがない)リターン信号を示す(したがって、リターンは、ドップラーシフトされない)。振幅は、減少されるが、コード00011010は、認識可能である。トレース127は、動いているオブジェクトから散乱し、したがって、ドップラーシフトされる理想的な(ノイズがない)リターン信号を示す。リターンは、適切な光周波数(f
C+f
0)になく、予想した周波数帯域内でよく検出されず、したがって、振幅が減少する。
【0022】
リターンの観察された周波数(f’)は、数式1によって与えられるドップラー効果によるリターンの正確な周波数(f=f
c+f
0)と異なる。
【数1】
ここで、cは、媒質内の光の速度であり、v
0は、観察者の速度であり、v
sは、ソースと受信機を連結するベクトルに従うソースの速度である。観察者とソースが2つの間のベクトル上で同じ方向に同じ速度で動いている場合、2つの周波数は、同じであることに注目するべきである。2つの周波数の間の差(Δf=f’-f)は、距離測定について問題点を引き起こすドップラーシフト(Δf
D)であり、数式2によって与えられる。
【数2】
誤差の大きさは、信号の周波数fに応じて増加することに注目するべきである。また、静止したLIDARシステム(v
0=0)の場合、毎秒10メートル(v
s=10)で移動するオブジェクトと約500THzの周波数を有する可視光線についてのドップラーシフトの大きさは、約16メガヘルツ(MHz、1MHz=10
6ヘルツ(Hz)、1Hz=毎秒1サイクル)であることに注目するべきである。以下に説明される様々な実施例において、距離計算のためのデータを処理するためにドップラーシフトの誤差が検出されて使用される。
【0023】
位相コード化した距離測定において、位相コード化したリターンの到達は、送信された信号または他の基準信号をリターンされた信号と交差相関(Cross-Correlations)させることによって、リターンされた信号で検出され、実際に、ヘテロダイン(Heterodyne)検出を使用して光検出器からの電気信号とRF信号のコードを交差相関させることによって実行され、したがって、RF帯域に再びダウンミキシング(Down-Mixing)される。1つの遅延に対する交差相関関係は、2つのトレースを関連付けることによって、すなわち、2つのトレースで対応する値を乗じ、2つのトレースのすべての点について加算した後、各時間遅延について繰り返すことによって計算される。またはその代わりに、交差相関関係は、逆フーリエ変換に次いで2つのトレースそれぞれのフーリエ変換の積として算出され得る。高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)のための効率的なハードウェアおよびソフトウェアの実行は、順フーリエ変換および逆フーリエ変換のすべてについて汎用的に利用可能である。
【0024】
交差相関関係の計算が一般的に光検出器でリターンの振幅と位相が検出された後に、アナログまたはデジタル電気信号とともに行われることに注目するべきである。光検出器の信号を容易にデジタル化できるRF周波数の範囲に変えるために、光リターン信号は、検出器に衝突する前に基準信号と光学的にミックス(Mix)される。位相エンコードされた送信された光信号のコピーは、基準信号として使用できるが、多くの場合好ましくは、レーザーによって出力される連続波搬送周波数光信号を基準信号として使用し、検出器によって出力される電気信号の振幅と位相の両方をキャプチャすることも可能である。
【0025】
動いていないオブジェクトから反射する理想的な(ノイズがない)リターン信号の場合(したがって、リターンは、ドップラーシフトされない)、送信された信号の開始後の時間Δtからピークが発生する。これは、リターンされた信号が時間Δtで開始する送信された位相コードのバージョンを含むことを示す。反射する(または、後方散乱する)オブジェクトまでの距離Rは、数式3によって与えられるのように、媒質内の光の速度Cに基づいて双方向の移動時間の遅延から算出される。
【数3】
【0026】
動いているオブジェクトから散乱した(したがって、リターンがドップラーシフトされる)理想的な(ノイズがない)リターン信号について、リターン信号は、適切な周波数ビン(Frequency Bin)内の位相エンコーディングを含まず、相関関係は、すべてのタイムラグ(Time Lag)について低く保持され、ピークは、容易に検出されず、ノイズがある場合には、多くの場合に検出可能ではない。したがって、Δtは、容易に決定されず、距離Rは、容易に生成されない。
【0027】
発明者の以前の研究の様々な実施例によると、ドップラーシフトは、リターンされた信号の電気的処理で決定され、ドップラーシフトは、交差相関関係計算を訂正するために使用される。したがって、ピークは、より容易に発見され、距離は、より容易に決定され得る。
図1Bは、一実施例による送信された信号の例示スペクトルおよびドップラーシフトされたコンプレックスリターン信号の例示スペクトルを示す概略的なグラフ140である。水平軸142は、任意のユニットで光搬送波f
cからのRF周波数オフセットを示す。垂直軸144aは、スペクトル密度とも呼ばれる0と比較して任意のユニットにおける特定の狭い周波数ビンの振幅を示す。垂直軸144bは、0と比較して任意のユニットにおけるスペクトル密度を示し、軸144aと別のトレースでオフセットされる。トレース145は、送信された信号を示し、ピークは、適切なRFf
0で発生する。トレース146は、動いているオブジェクトからLIDARシステムの方向に後方散乱する理想的な(ノイズがない)コンプレックスリターン信号を示し、したがって、より高い周波数にドップラーシフト(いわゆる、ブルーシフトされる)される。当該リターンは、適切なRFf
0でピークを有しないが、代わりにシフトされた周波数f
SにΔf
Dほどブルーシフトされる。実際に、リターンの同相(In-Phase)および直角(Quadrature)-入出力-コンポーネントをすべて示すコンプレックスリターンは、+Δf
Dでピークを決定するために使用され、したがって、ドップラーシフトの方向と、センサおよびオブジェクトとの間でベクトルに対するターゲットの動きの方向は、単一のリターンから検出され得る。
【0028】
一部のドップラー補正実施例においては、
図1Bに示すように、送信された信号とリターンされた信号の両方のスペクトルを得、それぞれでピークを見つけた後、対応するピークの周波数を減算することによってΔf
Dを捜す代わりに、RF帯域でダウンミックスされた(Down-Mixed)リターンされた信号の同相および直角コンポーネントの交差スペクトルを獲得することがより効果的である。
図1Cは、一実施例によって例示的な交差スペクトルを示す概略的なグラフ150である。水平軸152は、基準スペクトルと比較して任意のユニットにおける周波数シフトを示し、垂直軸154は、0と比較して任意のユニットにおける交差スペクトルの振幅を示す。トレース155は、LIDARシステムの方向に動く第1オブジェクト(
図1BでΔf
D1のブルーシフト=Δf
D)およびLIDARシステムから遠ざかっている第2オブジェクト(Δf
D2のレッドシフト)によって生成される理想的な(ノイズがない)リターン信号で交差スペクトルを示す。1つのピークは、コンポーネントのうちの1つがΔf
D1ブルーシフトされるときに発生し、他のピークは、コンポーネントのうちの1つがΔf
D2レッドシフトされるときに発生する。したがって、ドップラーシフトが決定される。このようなシフトは、LIDARの付近で接近するオブジェクトの符号化された速度を決定するために用いられ得、衝突回避応用においても重要であり得る。しかし、もし入出力プロセッシングが行われない場合、ピークは、+/-Δf
D1および+/-Δf
D2の両方に示され、したがって、ドップラーシフトの符号およびこれによる動きの方向が曖昧になる。
【0029】
発明者の以前の研究の追加細部事項に記述されたように、交差スペクトルから検出されたドップラーシフトは、交差相関関係を補正するために使用され、その結果、ラグtからドップラー補正されたドップラーシフトされたリターンでピーク135は明らかであり、距離Rが決定され得る。一部の実施例において、S.Crouchなどによる「Method and System for Doppler Detection and Doppler Correction of Optical Phase-Encoded Range Detection」というタイトルの、全体の内容がここに十分に記述されたように統合された、特許出願公開公報の詳細内容に記述されたように、同時入出力処理が行われる。他の実施例において、S.Crouchなどによる「Method and System for Time Separated Quadrature Detection of Doppler Effects in Optical Range Measurements」というタイトルの、全体の内容がここに十分に記述されたように統合された、特許出願公開公報の詳細内容に記述されたように、ドップラーリターンの符号を決定するために順次の入出力処理が使用される。他の実施例において、ドップラー補正を決定するために他の手段が使用され、様々な実施例において、当該分野の既知の方法でも、ドップラー補正を行うために使用される。一部の実施例において、ドップラーシフティングによるエラーは、許容または無視され、ドップラー補正は、距離測定に適用されない。
2.チャープ検出概要(Chirped Detection Overview )
【0030】
図1Dは、一実施例によって距離についての光チャープ測定の例を示すグラフセットである。水平軸102は、4つのグラフすべてについて同じであり、任意のユニットにおける時間をミリ秒(ms、1ms=10
-3秒)の順に表す。グラフ100は、送信された光信号として使用される光のビームの強さを表す。グラフ100内の垂直軸104は、任意のユニットにおける送信された信号の強さを表す。トレース106は、時間0で開始して制限されたパルス持続時間(Pulse Duration)τの間の強さを表す。グラフ110は、送信された信号の周波数を表す。垂直軸114は、任意のユニットから送信された周波数を表す。トレース116は、パルスの周波数がパルスの持続時間τにわたってf
1からf
2に増加し、これによって帯域幅B=f
2-f
1を有することを表す。周波数変化率は、(f
2-f
1)/τである。
【0031】
リターンされた信号は、グラフ110のように時間を表す水平軸102と周波数を表す垂直軸114を有するグラフ160上に表現される。グラフ110のチャープ116もグラフ160上に点線で示される。第1リターンされた信号は、トレース166aで与えられる、単に強度(図示せず)が減少され、Δtだけ遅延した送信された基準信号である。Rがターゲットまでの距離であるとき、リターンされた信号が2Rの距離を移動した後に、外部オブジェクトから受信される場合、遅延した時間Δtでのリターンされた信号の開始は、前述の数式3によって2R/c-cは、媒質内の光の速度(約3×10
8m/s)-で与えられる。この時間の間、周波数は、距離に応じた量だけ、いわゆるf
Rだけ変化し、周波数変化率に遅延時間を乗じて数式4aによって与えられる。
【数4a】
f
Rの値は、デチャーピング(De-chirping)と呼ばれる時間ドメインミキシング動作で送信された信号116とリターンされた信号166aとの間の周波数差によって測定される。したがって、距離Rは、数式4bによって与えられる。
【数4b】
パルスが完全に送信された後にリターンされた信号が到着すると、すなわち、2R/cがτよりも大きければ、数式4aおよび4bは、有効ではない。この場合に、基準信号は、リターンされた信号が基準信号と重畳することを保証するように知られている量または定められた量だけ遅延し得る。基準信号の定められた遅延時間または知られている遅延時間は、数式4bから計算された距離に追加される追加距離を提供するために光の速度Cと乗じられる。媒質で光の速度の不確実性によって絶対距離は、不正確であり得るが、これは、ほとんど一定の誤差(Near-Constant Error)であり、周波数差を基盤とした相対的距離は、相変らず非常に正確である。
【0032】
一部の環境において、送信された光ビームにより照明された地点(ペンシルビームの断面(Pencil Beam Cross Section))は、半透明オブジェクトの前方および後方、またはLIDARから様々な距離にあるオブジェクトのより近い部分とより遠い部分、または照明される地点内で2つの分離したオブジェクトのように異なる距離にある2つ以上の異なる散乱体に出会う。このような環境において、グラフ160にトレース166bで表示されたように、第2減少された強度および異なるように遅延した信号も受信されるであろう。これは、数式4bを使用して異なる距離を提供するfRの異なる測定値を有することになる。一部の環境においては、複数の追加のリターンされた信号が受信される。
【0033】
グラフ170は、第1リターンされた信号166aと基準チャープ116との間の差の周波数f
Rを示す。水平軸102は、
図1Dで整列した他のすべてのグラフのように時間を示し、垂直軸164は、はるかに拡大したスケール上で周波数差を示す。トレース176は、送信されたチャープに応答して測定された一定の周波数f
Rを示し、数式4bによって与えられる特定の距離を示す。第2リターンされた信号166bは、存在する場合、デチャーピングの間に他のより大きい値のf
R(図示せず)を発生させ、結果的に数式4bを使用してより大きい距離を算出するものであろう。
【0034】
デチャーピングのための一般的な方法は、基準光信号とリターンされた光信号を同じ光検出器に向けることである。検出器の電気的出力は、検出器に収束する2つの信号の周波数差と同じか、またはこれに依存するビート周波数(Beat Frequency)によって左右される。このような電気的出力信号のフーリエ変換は、ビート周波数におけるピークを算出するものであろう。このようなビート周波数は、テラヘルツ(THz、1THz=1012ヘルツ)の光周波数の範囲ではないメガヘルツ(MHz、1MHz=106Hz=毎秒106サイクル)の無線周波数(RF)の範囲に属する。このような信号は、マイクロプロセッサまたは特殊製作されたFFT(Fast Fourier Transform)またはその他のデジタル信号処理(Digital Signal Processing、DSP)集積回路で行われるFFTアルゴリズムのようなRFコンポーネントによって処理される。リターン信号は、(局部発振器(Local Oscillator)の役割をするチャープと比較して)局部発振器の役割をする連続波(Continuous Wave、CW)トーン(Tone)とミックスできる。これは、その自体がチャープである(または、どの波形が送信されても)検出された信号につながる。この場合、検出された信号は、 デジタイザー(Digitizer)帯域幅の要求事項が一般的により高くなり得るが、デジタルドメインで整合フィルタリング(Matched Filtering)することができる。そうでない場合、コヒーレント検出の肯定的な面は保持される。
【0035】
一部の実施例において、LIDARシステムは、同時アップおよびダウンチャープ(Simultaneous Up and Down Chirps)を生成するように変更される。この接近方式は、他のものの中でも、オブジェクトの速度差、実際に距離を変更するオブジェクトについてのLIDAR位置変更またはビーム内の一時的な散乱体(Scatterers)、またはこれらの組み合わせによって誘発される変動性を除去できる。この接近方式は、アップおよびダウンチャープで測定されたドップラーシフトおよび距離が実質的に同じであり、最も有用に結合され得ることを保証する。ドップラー方式は、高い確率の正確な補償のために周波数空間で非対称にシフトされたリターンペアの並列キャプチャ(Parallel Capture)を保証し得る。
【0036】
図1Eは、一実施例によって対称LO信号を使用するグラフであり、ドップラーシフトがないとき、リターン信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示す。水平軸は、時間を10
-5秒(数十マイクロ秒)の例示的な単位で表す。垂直軸は、搬送波周波数f
cまたは基準信号についての送信された光信号の周波数をギガヘルツ(GHz、1GHz=10
9ヘルツ)の例示的な単位で表す。パルス持続時間の間、2つの光周波数を含む光ビームがいつでも生成される。1つの周波数がf
1から(例えば、光搬送波より1ないし2GHz高い)f
2に増加し、同時に他の周波数がf
4から(例えば、光搬送波より1ないし2GHz低い)f
3に減少する。2つの周波数帯域(例えば、f
1ないしf
2の帯域1と、f
3ないしf
4の帯域2)は、重ならず、送信された信号およびリターン信号が通過周波数f
Pから開始する通過帯域を有する高域通過フィルタや低域通過フィルタまたはこれらの組み合わせによって光学的に分離できる。例えば、f
1<f
2<f
P<f
3<f
4であり得る。図示されるように、より高い周波数がアップチャープを提供し、より低い周波数がダウンチャープを提供し得る。一部の実施例において、より高い周波数がダウンチャープを生成し、より低い周波数がアップチャープを生成する。
【0037】
一部の実施例において、2つの異なるレーザーソースが毎時間ごとにそれぞれのビームで2つの異なる光周波数を生成するのに使用される。一部の実施例において、単一の光搬送波は、単一のRFチャープによって変調され、同時アップおよびダウンチャープの役割をする対称的な側波帯(Symmetrical Sideband)を生成する。一部の実施例において、一般的に、搬送波周波数に多くのエネルギーを残さない2重側波帯マッハツェンダ強度変調器(Double Sideband Mach-Zehnder Intensity Modulator)が使用され、代わりに、ほとんどすべてのエネルギーが側波帯に入る。
【0038】
側波帯対称(Sideband Symmentry)の結果として、同じ次数の側波帯が使用されると、2つの光チャープの帯域幅は、同じであり得る。一部の実施例において、他の側波帯が使用され、例えば、2つの2次側波帯が使用されるか、1次側波帯および重畳しない2次側波帯が使用されるか、または一部の他の組み合わせが使用される。
【0039】
Crouchなどによる「Method and System for Doppler Detection and Doppler Correction of Optical Chirped Range Detection」というタイトルの米国特許出願公開公報に記述されたように、送信(TX)および局部発振器(LO)チャープ波形を選択するとき、システムの周波数シフトされた帯域が利用可能なデジタイザの帯域幅を最大限に用いるように確実にすることが有利である。一般的に、これは距離周波数ビートが0に近くなるようにアップチャープまたはダウンチャープを移動させることによって行われる。
【0040】
図1Fは、対称LO信号を使用する
図1Eと類似のグラフであり、非ゼロドップラーシフトがあるとき、この周波数時間プロットでリターン信号を破線として示す。チャープされた波形の場合、前述した他のアプローチのハードウェア要求事項を克服するために、時間分離I/Q処理(別名タイムドメインマルチプレクシング)が使用されることができる。この場合、AOMは、実際の値の信号(Valued Signal)に対する距離-ドップラーの曖昧性をなくすために使用される。一部の実施例において、スコアリングシステムを使用してS.Crouchなどによる「Method and System for Doppler Detection and Doppler Correction of Optical Chirped Range Detection」というタイトルの全体の内容がここに十分に記述されたように統合された、特許出願公開公報内の細部事項に記述された通り、アップおよびダウンチャープのペアを合わせる。他の実施例において、I/Q処理は、S.Crouchなどによる「Method and System for Time Separated Quadrature Detection of Doppler Effects in Optical Range Measurements」というタイトルの、全体の内容がここに十分に記述されたように統合された、特許出願公開公報内の細部事項に記述された通り、ドップラーチャープの符号を決定するために使用される。
3.光検出ハードウェア概要(Optical Detection Hardware Overview)
【0041】
高解像度距離-ドップラー検出システムの使用方法を記述するために、一部の包括的なハードウェアアプローチが記述される。
図2Aは、一実施例によって高解像度距離LIDARシステム200の例示的なコンポーネントを示すブロック図である。光信号は、矢印で表示される。電子的な(Electronic)有線または無線連結は、矢先がない線分で表示される。 レーザーソース212は、持続時間Dを有する位相コード化されるか、またはチャープされた光信号203を生成するために、スプリッタ216の以前または以後に、変調器282aから位相または周波数変調されたビーム(例えば、搬送波)201を放出する。スプリッタ216は、基準経路220に使用するための変調された(または、図示されたように、変調されない)光信号を分離する。ビーム201のエネルギーの大部分を有する本明細書で送信された信号(Transmitted Signal)とも呼ばれるターゲットビーム205が生成され得る。また、少ない量ではあるが、オブジェクト(図示せず)から散乱したリターンされた光291とよくミックスされるのに十分な量のエネルギーを有する変調されるか、または変調されていない基準ビーム207aが生成される。
図2Aに示されたように、基準ビーム207aは、変調器282bで個々に変調される。基準ビーム207aは、基準経路220を通過し、基準ビーム207bとして1つ以上の検出器に指向される。一部の実施例において、基準経路220は、基準ビーム207bが関心距離の範囲(Spread of Ranges of Interest)内でLIDAR外部のオブジェクトから散乱した光とともに検出器アレイ230に到逹するのに十分な知れた遅延を導入する。一部の実施例において、例えば、基準ビーム207bが別個の発振器から局部的に生成された場合、基準ビーム207bは、局部発振器(Local Oscillator、LO)信号と呼ばれる。様々な実施例において、 柔軟性が低い接近方式からより柔軟な接近方式まで網羅し、基準ビーム207bは、1)経路の長さがよくマッチングされるように検出器アレイで送信されたビームの一部をまた反射させるために場面(Scene)内にミラーを配置すること、2)経路の長さを近くマッチングさせ、特定の距離に対して観察されたり、予測された位相または周波数差を補償するための経路長さ調節を用いたり、利用せず、
図2Aで提案されたように、検出器アレイ付近の光学装置を用いて基準ビームをブロードキャスト(Broadcast)するためにファイバー遅延(Fiber Delay)を用いること、または、3)経路長さの不一致(Mismatch)を補償するための別個の変調を生成するために周波数シフティング(Frequency Shifting)デバイス(音響光学変調器(Acousto-Optic Modulator、AOM)または(例えば、変調器282b)内)局部発振器の波形変調の時間遅延を用いること、または一部の組み合わせを通じて散乱するか、または反射したフィールド(視野)を持って到着することになり得る。一部の実施例において、オブジェクトは、十分に近く、送信された持続時間は、十分に長く、リターンが遅延なしに、基準信号と十分に重畳する。
【0042】
送信された信号は、例えば、1つ以上のスキャニング光学装置(Scanning Optics)218を介して関心領域を照明するために送信される。検出器アレイは、対をなしているか、または対をなしていない単一の検出器またはオブジェクトからリターンされたビーム291におおよそ垂直な平面に配列された対をなしているか、または対をなしていない検出器の1次元(1D)または2次元(2D)アレイであり得る。基準ビーム207bおよびリターンされたビーム291は、適切に検出される光特性信号を生成するために0またはその以上の光ミキサー284で結合され得る。干渉パターンの周波数、位相または振幅または一部の組み合わせは、獲得システム240によってそれぞれの検出器に対して信号持続時間Dの間、複数回記録され得る。信号持続時間当たり処理される時間的(Temporal)サンプルの数または累積時間(Integration Time)は、ダウン-レンジ規模(Down-Range Extent)に影響を与える。数または累積時間は、信号当たりシンボルの数、信号反復率(Signal Repetition Rate)および可用カメラフレームレート(Available Camera Frame Rate)に基づいて選択される実質的な考慮事項であり得る。フレームレートは、サンプリング帯域幅であり、「デジタイザー周波数(Digitizer Frequency)」と呼ばれる。距離規模(Range Extent)の唯一の根本的な限界は、レーザーのコヒーレンス(Coherence)長さおよび(明確な距離測定のために)それが繰り返す前のチャープまたは固有位相コードの長さである。これは、リターンされたヘテロダイン(Heterodyne)信号またはビット(Bits)のデジタルレコードが以前の送信履歴から送信されたビットの任意の部分と比較されたり、交差相関できるため可能になる。
【0043】
獲得されたデータは、
図7を参照して後述されるコンピュータシステムまたは
図8を参照して後述されるチップセット(Chip Set)のような処理システム250に利用可能に作られる。スキャナ制御モジュール270は、スキャニング光学装置218を駆動するためのスキャニング信号を提供する。スキャナ制御モジュール270は、
図6のフローチャートに関連した方法600の1つ以上のステップを行うためのコマンドを含み得る。処理システム250で符号を有するドップラー補償(Signed Doppler Compensation)モジュール(図示せず)は、ドップラーシフトの符号と大きさを決定し得、任意の他の補正とともにそれに基づく補正された距離を決定し得る。処理システム250は、変調器282a、282bを駆動する1つ以上の電気信号を伝送するための変調信号モジュール(図示せず)を含み得る。一部の実施例において、処理システムは、システム200が設置される車両を制御するための車両制御モジュール272をさらに含む。
【0044】
レーザーソース212、変調器282a、282b、ビームスプリッタ216、基準経路220、光ミキサー284、検出器アレイ230、スキャニング光学装置218、または獲得システム240を実装するために任意の知られた装置やシステム使用できる。ターゲット上の焦点または投光照明(Flood)または瞳孔面(Pupil Plane)を通過する焦点についての光カップリング(Optical Coupling)は図示されない。本明細書に使用されたように、光カプラ(Optical Coupler)は、他のものの中でも、真空、空気、ガラス、クリスタル、ミラー、レンズ、光サーキュレータ(Optical Circulator)、ビームスプリッタ、位相板(Phase Plate)、偏光子(Polarizer)、光ファイバー(Optical Fiber)、光ミキサーのような他のコンポーネントを単独または一部の組み合わせのように、1つのコンポーネントから他のコンポーネントに光を指向させるために空間座標内で光の伝搬(Propagation)に影響を与える任意のコンポーネントである。
【0045】
また、
図2Aは、一実施例による同時アップおよびダウンチャープLIDARシステムのためのコンポーネントの例を示す。
図2Aに示されたように、変調器282aは、送信されたビーム205の光経路に追加された周波数シフタであり得る。一部の実施例において、周波数シフタがリターンされたビーム291の光経路または基準経路220に追加される。変調器(例えば、AOM、Acousto-Optic Modulator)として使用される装置が関連する損失を有し、損失が多いコンポーネントを受信側に配置するか、または光増幅器の後ろに配置することは、不利であるため、周波数シフタが局部発振器(Local Oscillator、LO、基準経路ともいう)側または送信側(光増幅器の前)に変調器282bとして追加される。光シフタ(Optical Shifter)は、光検出器230によって出力される電気信号の分析において、例えば、処理システム250でFFTコンポーネントによってピックアップできる異なる周波数帯域でアップおよびダウンチャープのビート(Beat)周波数が発生するように、基準信号の周波数について送信された信号(または、リターン信号)の周波数を知られている量(Δf
S)ほどシフトできる。例えば、距離効果を発生させるブルーシフトがf
Bであれば、アップチャープのビート周波数は、オフセットだけ増加されてf
B+Δf
Sで表され、ダウンチャープのビート周波数は、f
B-Δf
Sにオフセットだけ減少される。したがって、アップチャープは、ダウンチャープよりも高い周波数帯域内にあるものであり、これによってこれらを分離する。Δf
Sが予想したドップラー効果よりも大きければ、アップチャープおよびダウンチャープに関連する距離での曖昧さはないだろう。次に、測定されたビートは、適切なアップチャープおよびダウンチャープ距離を得るために知られたΔf
Sの正確に符号が付与された値に補正され得る。一部の実施例において、平衡検出器(Balanced Detector)から由来するRF信号は、FFTを介して分離される帯域とともに直接デジタル化される。一部の実施例において、平衡検出器から由来するRF信号は、直接デジタル化できる低帯域(アップチャープまたはダウンチャープのうち、1つに対応)と基底帯域に電子的にダウンミックスされた(Down-Mixed)後、デジタル化できる高帯域(反対するチャープに対応)に分離するためにアナログRF電子装置を用いて前処理される。様々なこれらの実施例は、検出された信号の帯域を使用可能なデジタイザーリソース(Digitizer Resource)に一致させる経路を提供する。一部(例えば、直接距離測定)の実施例において、変調器282aは除外される。
【0046】
図2Bは、高解像度ドップラーシステムのための鋸歯型(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図である。スキャンは、(水平に)方位角(Azimuth Angle)の範囲をスイープ(Sweep)し、傾斜角(Inclination Angle)の範囲(0の傾斜で水平方向(Level Direction)の上下に軸224に沿って垂直に)をスイープする。 後述される様々な実施例において、他のスキャンパターンが使用される。既知のすべてのスキャンパターンは、様々な実施例で使用できる。例えば、一部の実施例において、適応型スキャニング(Adaptive Scanning)は、Crouchによる「Method and System for Adaptive Scanning with Optical Ranging Systems」、または「Method and System for Automatic Real-time Adaptive Scanning with Optical Ranging Systems」というタイトルの、全体の内容がここに十分に記述されたように統合された、PCT特許出願内で記述された方法を使用して行われる。
図2Cは、高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウドを示すイメージである。
【0047】
図3は、一実施例による
図2Aのシステム200のスキャニング光学装置218の例示的なコンポーネントを示すブロック図である。一実施例において、スキャニング光学装置218は、1つの軸(例えば、
図2Bの軸222に沿って角度-Aから+Aの間)に沿ってビーム205の作動(Actuation)を制御する振動スキャン要素(Oscillatory Scan Element)302と、他の軸(例えば、
図2Bの軸224に沿って)に沿ってビーム205の作動を制御する単方向等速スキャン要素(Unidirectional Constant Speed Scan Element)304(例えば、ポリゴンスキャナ)を含む2つの要素スキャンシステムである。一実施例において、スキャニング光学装置218は、1つ以上の振動スキャン要素302および単方向等速スキャン要素304を含み、モーター306および処理システム250は除外し、スキャニング光学装置218は、システム200より他のシステムで使用される。例示的な一実施例において、単方向等速スキャン要素304がビーム205を軸224に沿って駆動するとともに、振動スキャン要素302は、ビーム205を軸222に沿って角度-Aから+Aの間で駆動する。例示的な一実施例において、振動スキャン要素302の作動速度は、双方向であり、等速スキャン要素304の単方向作動速度よりも大きいため、ビーム205は、ビームが軸224に沿って(例えば、角度はDから+Dの間)スキャンされる各インスタンスごと複数回軸222に沿って(例えば、角度-Aから+Aの間)スキャンされる。
【0048】
一部の実施例において、スキャナ制御モジュール270は、処理システム250から振動スキャン要素302および/または単方向スキャン要素304に機械的に結合されたモーター306に送信される信号を生成する。一実施例において、振動スキャン要素302に機械的に結合された1つのモーターと、単方向スキャン要素304に機械的に結合された他のモーターが提供される。一実施例において、処理システム250から受信された信号に基づいて、モーター306は、信号内のパラメータ(例えば、角速度など)の値に基づいて振動スキャン要素302および/または単方向スキャン要素304を回転させる。スキャナ制御モジュール270は、信号内のパラメータ値を決定してビーム205が振動スキャン要素302によって好ましいスキャンパターン(例えば、軸222に沿って角度-Aから+Aの間)で、スキャンされたり/スキャンされ、単方向等速スキャン要素304によって好ましいスキャンパターン(例えば、軸224に沿って角度Dから+Dの間)でスキャンされるようにする。
4.屈折ビームステアリングのためのコヒーレントLIDARシステム
【0049】
図4Aおよび
図4Bは、一実施例によって軸417に対する光学コンポーネント402の回転に基づいて、コーン形状の表面424を定義するステアリング角度406で入射ビーム408をステアリングする
図3のスキャニング光学装置218の光学コンポーネント402を含むアセンブリ400の例示を示すイメージである。一実施例において、光学コンポーネント402は、第1および第2角度の間(例えば、
図2Bの軸222に沿って-Aと+Aの間)で軸417に直交する軸414に沿って入射ビーム408のスキャニングを最適化するための振動スキャン要素302である。光学コンポーネント402は、軸414に対して測定される光学スキャン成分402の角度404を異にする角速度410に基づいて軸417に対して回転される。
【0050】
一実施例において、光学コンポーネント402は、プリズムのベースに直交する非角度の面(Non-Angled Face)411に対して測定されたプリズム角度407によって定義される角度のある面(Angled Face)409を有するリスレープリズムである。一般的な技術の1つでわかるように、ステアリング角度406は、外部媒質(例えば、空気)に対するリスレープリズム402の屈折指数比率および屈折が発生する角度のある面409上の入射角に応じたスネルの法則(Snell’S Law)を用いて算出される。例示的な一実施例において、ステアリング角度406は、入射ビーム408の方向に対して測定され、したがって、角度のある面409における屈折角度よりも小さい(例えば、角度のある面409に対して法線で測定)。
【0051】
リスレープリズム402が軸417に対して回転しながら、ステアリングされたビーム408’は、軸417に沿ってスイープし、リスレープリズム402から軸417に沿って軸分離426が発生する2次元平面で円形ベース430および半径428でコーン形状の表面424を定義する。ステアリングされたベクトルビーム408は、次のパラメータ方程式(数式5aないし5c)で定義されるベクトル(S
x、S
y、S
z)によって定義される。
【数5a】
【数5b】
【数5c】
このとき、θは、[0、2π]のドメインで定義された角度404、hは、軸分離426、rは、半径428、uは、[0、h]のドメインで定義された変数、cは、ビームがリスレープリズム402を離れ、コーン形状の表面424のナップ(Nappe)が配置された軸417に沿った座標を示す。各数式5a-5cごとに、コーン半径428は、u=0のとき最大であり、(S
x、S
y)は、軸417に対して直交する2次元平面で半径がrである円を定義する。数式5aごとに、x軸414 に沿ってステアリングされたビーム408’のコンポーネントは、r sinθである。角度406、半径428と軸分離426との間の関係は、次の数式6の通りである。
【数6】
このとき、Aは、ステアリング角度406、rは、半径428、hは、軸分離426を示す。
【0052】
時間が経って軸414に沿ってステアリングされたビーム角度406の投影が正弦曲線(Sinusoid)415によって表現される。水平軸412は、任意のユニットにおける時間である。垂直軸414は、任意のユニットにおける角度である。一実施例において、正弦曲線415は、ステアリングされたビーム408’が時間が経って円形ベース430の周囲を回転することにより、軸414(例えば、
図4Aの垂直コンポーネント)に沿うステアリング角度406の投影を示す。
【0053】
図4Cは、一実施例による軸414に向かって
図4Aのステアリング角度406の投影を示す正弦曲線415の例示を示すグラフである。スキャンライン418は、正弦曲線415に沿って表現され、スキャンライン418は、リターンビームデータがターゲットから受信したときの正弦曲線415に沿った時間をそれぞれ示す。一実施例において、スキャンライン418は、比較的一定の距離のターゲットに基づいて同じ時間間隔を有する。
図4Cは、正弦曲線415に沿うスキャンライン418の間に軸414に沿う不均一な空間416a、416bを示す。本発明の発明者は、ビーム408’が軸414に沿ってスキャンされるため、このような不均一な空間は、リターンデータの均一でないカバレッジ(Coverage)を示すため、この不均一な空間416a、416bが好ましくないことを確認した。本発明の発明者は、ビーム408’が軸414の角度範囲にわたってスキャンされるため、リターンビームデータの均一なカバレッジを達成するためにスキャンライン418の間に相対的な均一な間隔を有することが好ましいことを認識した。
図4Dは、一実施例によって、
図4Cの正弦曲線415に基づいて、軸414に沿って間隔が一定でないスキャンライン418の例示を示すグラフである。軸416は、軸414に対して直角であり、一実施例において、軸416は、ビームが単方向スキャン要素304によってスキャンされる方向(例えば、
図2B内の軸224)を示す。
【0054】
図4Eは、一実施例によって
図2Aのスキャンされたビーム205のステアリング角度406の軸414に対する投影を示す三角波形420の例示を示すグラフである。本発明の発明者は、三角波形420のような線形勾配がある曲線は、軸414に沿うスキャンライン418の間の間隔416a’、416b’が一致するため、
図4Cの正弦曲線415の欠点を防止するという点を確認した。これはビームが軸414の角度範囲にわたってスキャンされるため、リターンビームデータの均一なカバレッジを達成するのに有利である。
図4Fは、一実施例によって
図4Eの三角波形420に基づいて、軸414に沿って一定の間隔のスキャンライン418’の例示を示すグラフである。ボックス422は、単方向スキャン要素304が軸416に沿ってビームを動かし、以後のスキャンが軸414にわたる第1および第2角度との間で行われるのに先立ち、軸414にわたる第1角度および第2角度の間(例えば、
図2Bの軸222に沿う-Aから+Aの間)でのスキャンライン418を含む角度範囲にわたるビームの単一スキャンを示す。
【0055】
本発明の発明者は、振動スキャン要素302で1つ以上の光学コンポーネント(例えば、1つ以上のリスレープリズム)を結合して正弦曲線波形415(例えば、軸414に沿ってスキャンラインの間隔が不均一および/またはリターンビームデータのカバレッジが不均一)よりも三角波形420(例えば、軸414に沿ってスキャンラインの間隔が均一および/またはリターンビームデータのカバレッジが均一)に近接した波形を得ることが有利であることを認識した。
【0056】
図4Gは、一実施例によって光学コンポーネントの集団回転に基づいて、光軸417に直交するビーム408を総体的にステアリングする光軸417に沿って順次配列された光学コンポーネントのアセンブリ400’の例を示すイメージである。一実施例において、光学コンポーネントは、リスレープリズム402a、402b、402cである。他の実施例において、3つの光学コンポーネントが提供される。しかし、3つより少ないか、または多くの光学コンポーネントが光軸417に沿って順次に配列され得る。一実施例において、各リスレープリズム402a、402b、402cの1つ以上のパラメータ値(例えば、プリズム角度407、インデックスn、ステアリング角度406など)は、
図6の方法に基づいて決定される。例示的な一実施例において、各リスレープリズム402a、402b、402cのパラメータ値は、各リスレープリズムが望む波形(例えば、三角波形420)の各フーリエコンポーネント波形に基づいてビーム408をステアリングするように決定される。さらに、他の実施例において、リスレープリズム402a、402b、402cは、それぞれの角速度410a、410b、410cに基づいて回転される。一実施例において、角速度410a、410b、410cの値は、
図6の方法に基づいて決定される。例示的な一実施例において、角速度410a、410b、410cの値は、望む波形(例えば、三角波形420)の各フーリエコンポーネント波形の周波数に基づいて決定される。一実施例において、リスレープリズム402a、402b、402cおよびこれらのそれぞれの角速度410a、410b、410cは、時間が経って軸414に沿ってステアリングされたビーム408’’の集団ステアリングが
図4Eの三角波形420に近似するように選択される。これはビームが軸414に沿ってスキャンされるため、スキャンライン418の間に均一な間隔を達成するか、または均一な間隔に近づくのに有利である。
【0057】
図4Hは、一実施例によって第1リスレープリズム402aおよび第1リスレープリズム402aの角速度ベクトルによって軸417に直角な2次元平面で
図4Aのステアリング角度406aの例示的な投影を示すグラフである。一実施例において、
図4Hは、軸414、416によって定義される平面で第1リスレープリズム402aによってステアリングされたビーム408’のステアリング角度406aを示し、さらに、第1リスレープリズム402aの角速度410aを追加で示す。
図4Kは、一実施例によって、第1リスレープリズム402aの回転により、時間に応じた2次元平面の垂直軸414に沿って
図4Hのステアリングビーム角度406aの投影を示す正弦曲線415aの例示を示すグラフである。
【0058】
図4Iは、一実施例によって第2リスレープリズム402bおよび第2リスレープリズム402bの角速度ベクトルによって軸417に直角な2次元平面で
図4Aのステアリング角度406bの例示的な投影を示すグラフである。一実施例において、
図4Iは、軸414、416によって定義される平面で第2リスレープリズム402bによってステアリングされたビーム408’のステアリング角度406bを示し、さらに第2リスレープリズム402bの角速度410bを追加で示す。一実施例において、第2リスレープリズム402bによってステアリングされたビーム408’のステアリング角度406bは、第1リスレープリズム402aによってステアリングされたビーム408’のステアリング角度406aよりも小さい。
図4Lは、一実施例によって、第2リスレープリズム402bの回転により、時間に応じた2次元平面の垂直軸414に沿って
図4Iのステアリングビーム角度406bの投影を示す正弦曲線415bの例示を示すグラフである。
【0059】
図4Jは、一実施例によって第3リスレープリズム402cおよび第3リスレープリズム402cの角速度ベクトルによって軸417に直角な2次元平面で
図4Aのステアリング角度406cの例的な投影を示すグラフである。一実施例において、
図4Jは、軸414、416によって定義される平面で第3リスレープリズム402cによってステアリングされたビーム408’のステアリング角度406cを示し、さらに第3リスレープリズム402cの角速度410cを追加で示す。一実施例において、第3リスレープリズム402cによってステアリングされたビーム408’のステアリング角度406cは、第1および第2リスレープリズム402a、402bによってステアリングされたビーム408’のステアリング角度406a、406bよりも小さい。
図4Mは、一実施例によって第3リスレープリズム402cの回転により、時間に応じた2次元平面の垂直軸414に沿って
図4Jのステアリングビーム角度406cの投影を示す正弦曲線415cの例示を示すグラフである。
【0060】
図4Nは、一実施例によって
図4K-
図4Mの正弦曲線波形415a、415b、415cを組み合わせて生成された波形427の例示を示したグラフであり、ここで波形427は、2次元平面の軸414に沿って
図4Gのステアリングされたビーム408’’のステアリング角度406の投影を示す。
図4Nに示されたように、正弦曲線波形415a、415b、415cは、特定の時間期間-例えば、すべて一緒にピークされたり、波形427のピークを生成したり、すべて谷(Valley)に位置して波形427の谷を生成する場合-での位相にある。一実施例において、波形427は、
図4Eの三角波形420に近接して軸414に沿ってスキャンライン418’の均一またはほぼ均一な間隔416’を得るためのものである。
【0061】
図4Oは、ユニット振幅を有する三角波形440およびユニット振幅を有する正弦曲線波形442の例示を示したグラフである。
図4Pは、一実施例によって、三角波形420および
図4K-
図4Mの正弦曲線を組み合わせて生成される波形427の例示を示したグラフである。本発明の発明者は、ビーム408をステアリングするために使用される光学コンポーネント(例えば、リスレープリズム402)の数と三角波形420の近似値との間のトレードオフ(Tradeoff)を確認した。例示的な一実施例において、本発明の発明者は、正弦曲線波形442(例えば、1つのリスレープリズムとして生成できる)が三角波形440の約37%の平均二乗誤差(Mean-Squared Error)を示すのに対し、3つのリスレープリズム402a、402b、402cを使用して生成される波形427は、三角波形の3.4%に過ぎない平均二乗誤差を示すことを確認した。したがって、一実施例において、本発明の発明者は、三角波形420を近似するために、3つのリスレープリズム402a、402b、402cを使用して波形427を生成する。
5.車両制御概要(Vehicle Control Overview)
【0062】
一部の実施例において、車両は、車両に取り付けられた高解像度ドップラーLIDARシステムから受信されたデータに基づいて少なくとも部分的に制御される。
【0063】
図5は、一実施例によって車両510に取り付けられた少なくとも1つの高解像度ドップラーLIDARシステム520を含む例示的なシステム501を示すブロック図である。一実施例において、LIDARシステム520は、LIDARシステム200のうち、1つと類似している。 車両は、星511に表示された質量中心を有し、矢印513によって与えられた前方方向に移動する。一部の実施例において、車両510は、処理システム250の車両制御モジュール272のようなプロセッサの信号に応答して動作されるステアリングまたは制動システム(図示せず)のようなコンポネントを含む。 一部の実施例において、車両は、
図8に示されたチップセットのようなオン-ボード(On-Board)プロセッサ514を有する。一部の実施例において、オン-ボードプロセッサ514は、
図7に示されたように、遠隔プロセッサと有線または無線で通信する。 一実施例において、LIDARシステムの処理システム250は、オン-ボードプロセッサ514と通信可能に結合されたり、車両制御モジュール272が処理システム250にとって車両の方向および速度を制御するために車両のステアリングまたは制動システムに1つ以上の信号を送信させるように、オン-ボードプロセッサ514の動作を実行するのに使用される。高解像度ドップラーLIDARは、方位角視野524だけでなく、車両510周辺のスポット(Spots)を照明する垂直角度を介して一側から将来(Future)のビーム523によって表示される他側にスイープ(Sweep)するスキャニングビーム522を使用する。 一部の実施例において、視野は、360度の方位角である。一部の実施例において、振動スキャン要素302を含むスキャニング光学装置218が方位角視野524または垂直角度を介してビームをスキャンするのに使用できる。一部の実施例において、傾斜角の視野は、約+10度ないし約-10度であるか、もしくはこれの部分集合である。 一実施例において、視野524にわたる最大設計距離(Maximum Design Range)は、約200メートルまたは約150メートルないし約300メートルの範囲である。
【0064】
一部の実施例において、車両は、GPSセンサ、走行距離計(Odometer)、回転速度計(Tachometer)、温度センサ、真空センサ、電圧または電流センサのような補助的なセンサ(Ancillary Sensor、図示せず)を含む。一部の実施例において、回転情報を提供するためにジャイロスコープ(Gyroscope)330が含まれる。
6.コヒーレントLIDARシステムでスキャンパターンを最適化するための方法(Method for Optimization of Scan Pattern in Coherent LIDAR System)
【0065】
図6は、LIDARシステムのスキャンパターンを最適化するための例示的な方法600を示すフローチャートである。一実施例において、方法600は、線形勾配を有する要求される波形に基づいて、第1角度と第2角度との間で第1方向にビームのスキャンパターンを最適化するためのものである。一部の実施例において、システム600は、自律走行車に取り付けられたLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するためのものである。ステップが
図6で例示的目的で特定手順による統合ステップとして示されるが、1つ以上のステップまたはその一部は、異なる手順で行われたり、直列または並列に時間的に重畳して行われたり、省略されたりすることができ、または1つ以上のステップが追加されたり、方法がいくつかの組み合わせ方式に変更される。
【0066】
601ステップにおいて、望む波形に対する複数のフーリエコンポーネント波形が決定される。一実施例において、望む(例えば、特定の)波形は、
図4Eの三角波形420のような線形勾配を有する波形である。一実施例において、一般的な技術の1つで分かるように、601ステップのフーリエコンポーネント波形は、三角波形420のフーリエシリーズ分解の奇数シリーズ高調波である。他の実施例においては、三角波形より他の線形勾配を有する波形が使用される。一実施例において、単一の周期、範囲[1、-1]、2Tの周期を有する三角波形のフーリエシリーズは、下記の数式7aによって定義される。
【数7a】
一実施例において、ステアリングされたビーム408’を生成する望む三角波形420について、このフーリエシリーズは、下記の数式7bのように再記載され得る。
【数7b】
このとき、Bは、コーン形状の表面424によって定義されるコーン角度またはx-z平面(例えば、軸414、417によって定義される平面)での角度406の2倍であり、fは、軸417に対するリスレープリズム402とステアリングされたビーム408’の回転周波数(ヘルツ単位、Hz)であり、A
jxは、j番目のリスレープリズムの回転に基づいて、x軸414に沿ったステアリング角度406の投影であり、jは、第1リスレープリズム402aに対してはA、第2リスレープリズム402bに対してはB、第3リスレープリズム402cに対してはCであり、インデックスiは、数式7bの初項やA
Axに対しては1、数式7bの第2項やA
Bxに対しては3、数式7bの第3項やA
Cxに対しては5である。一実施例において、数式7b内の正弦曲線の振幅A
jは、下記の数式7cのとおりである。
【数7c】
また、A
jは、装置内の各リスレープリズムについて計算される。一実施例において、装置に3つのリスレープリズムが使用される場合、A
Aは、第1リスレープリズム402aに基づくスイープされたビーム(Swept Beam)408’の角度406aであり、j=A、i=1のときに、数式7bまたは数式7cの初項の正弦曲線の振幅である。同様に、A
Bは、第2リスレープリズム402bに基づくスイープされたビーム408’の角度406bであり、j=B、i=3のとき、 数式7bまたは数式7cの第2項の正弦曲線の振幅である。同様に、A
Cは、第3リスレープリズム402cに基づくスイープされたビーム408’の角度406cであり、j=C、i=5のとき、数式7bまたは数式7cの第3項の正弦曲線の振幅である。
【0067】
さらに、一実施例において、数式7b内の正弦曲線の周波数(if)は、各リスレープリズムに対する角周波数ωを算出するために使用される。一実施例において、各リスレープリズムの角周波数ωは、次の数式7dのとおりである。
【数7d】
このとき、iは、第1リスレープリズム402aに対して1、第2リスレープリズム402bに対して3、第3リスレープリズム402cに対して5である。
【0068】
一実施例において、数式7bの初項(例えば、j=A、i=1)は、正弦曲線415aまたは第1リスレープリズム402aの回転に基づく軸414に沿うステアリング角度406aの投影を示す。この実施例において、正弦曲線415aの振幅は、初項に対する数式7bの正弦曲線の前記振幅に基づいている(例えば、j=A、i=1のときの数式7c)。また、この実施例において、正弦曲線415aの角周波数は、2πfの前記角周波数に基づいている(例えば、i=1のときの数式7d)。一実施例において、数式7bの第2項(例えば、j=B、i=3)は、正弦曲線415bまたは第2リスレープリズム402bの回転に基づく軸414に沿うステアリング角度406bの投影を示す。この実施例において、正弦曲線415bの振幅は、第2項に対する数式7bの正弦曲線の前記振幅に基づいている(例えば、j=B、i=3のときの数式7c)。また、この実施例において、正弦曲線415bの角周波数は、6πfの前記角周波数に基づいている(例えば、i=3のときの数式7d)。一実施例において、数式7bの第3項(例えば、j=C、i=5)は、正弦曲線415cまたは第3リスレーレンズ402cの回転に基づく軸414に沿うステアリング角度406cの投影を示す。この実施例において、正弦曲線415cの振幅は、第3項に対する数式7bの正弦曲線の前記振幅に基づいている(例えば、j=C、i=5のときの数式7c)。また、この実施例において、正弦曲線415cの角周波数は、10πfの前記角周波数に基づいている(例えば、i=5のときの数式7d)。一実施例において、単に光学コンポーネントの数と対応する数式7bのフーリエコンポーネント波形だけが601ステップで使用される(例えば、最初の3つのフーリエコンポーネント波形は、3つのリスレープリズム402a、402b、402cに対して使用される)。前述したように、601ステップにおいては、3つより多いか、または少ない光学コンポーネントが使用できる。
【0069】
603ステップにおいて、光学コンポーネントのパラメータ値は、601ステップにおけるフーリエコンポーネント波形の第1パラメータ値に基づいて決定される。一実施例において、リスレープリズム402のパラメータは、複数のプリズム角度またはカット角度407、屈折インデックスn、直径405、厚さ432および/またはステアリング角度406である。他の実施例において、601ステップにおけるフーリエコンポーネント波形の第1パラメータは、振幅Aj(例えば、数式7cを使用)および/または周波数または角周波数ω(例えば、数式7dを使用)である。
【0070】
一実施例において、603ステップにおいて、ステアリング角度406は、各リスレープリズム402に対して計算される。例示的な一実施例において、ステアリングされたビーム408’が約10度のコーン角度Bと、約30Hzの周波数fを有するようにする望む三角波形420の場合、それぞれAA、AB、ACで表現される各リスレープリズム402a、402b、402cに対するステアリング角度406a、406b、406cを算出するために、本明細書では、数式7bないし7dが使用される。一実施例において、リスレープリズムがビーム408’をステアリングするためにだけ使用される場合、各リスレープリズムのステアリング角度は、ビーム408’のステアリング角度を示す。一実施例において、すべてのリスレープリズムによってステアリングされたビーム408’(例えば、コーン角度Bまたは5度)の望むステアリング角度がAであるとき、これら3つの角度は、約0.8106A、0.0901a、そして0.0324aで計算される。この例示的な実施例において、3つのリスレープリズム402a、402b、402cの3つのステアリング角度は、それぞれ約4.05度、0.451度、0.162度で計算される。
【0071】
他の実装例によると、603ステップにおいて、各リスレープリズム402に対するカット角度407は、算出されたステアリング角度406a、406b、406c、および/または数式7cの振幅および/または数式7dの角周波数に基づいて計算される。前記例示的な実施例において、3つのリスレープリズム402a、402b、402cに対するステアリング角度406a、406b、406cが約4.05、0.451、0.162度で算出される場合、3つのプリズムのカット角度407は、それぞれ約11.75、1.318、0.473度で計算される。一実施例において、ステアリング角度406に基づいてカット角度407を算出するための複数の方程式が付録Aに収録される。
【0072】
さらに、一実施例によると、603ステップにおいて、直径405は、入射ビーム408の1つ以上のパラメータに基づいて決定される。例示的な一実施例において、直径405は、入射ビーム408の直径以上および/または入射ビーム408の直径の約150%である(例えば、ファンダメンタル横モードガウシアンビーム(Fundamental Transverse Mode Gausian Beam)または00TEM)例示的な一実施例において、入射ビーム408の直径が約8ミリメートル(mm)であるか、または約6mmから約10mmの範囲内である場合、直径405は、約12ミリメートルであるか、または約9mmから約15mmの範囲内にある。一部の実施例において、屈折インデックスは、標準クラウンガラスについてのものである(例えば、n=1.52)。さらに、603ステップにおいて、例示的な一実施例によると、厚さ432は、次の数式7eに基づいて計算される。
【数7e】
このとき、Tは厚さ432、dは直径405、αはカット角度407である。一実施例において、数式7eを使用すると、3つの各リスレープリズム402a、402b、402cについての厚さ432は、それぞれ約3mm、0.4mm、そして0.15mmで計算される。例示的な一実施例において、製造可能性および耐久性を促進するためにリスレープリズム402b、402cについての後者の厚さは、最小厚さに増加し得る。リスレープリズム402a、402b、402cの算出されたパラメータを考慮してアセンブリは、非常にコンパクトに作ることができる。
【0073】
605ステップにおいて、角周波数の値および/または光学コンポーネントの相対位相は、601ステップにおけるフーリエコンポーネント波形の第2パラメータ値に基づいて決定される。他の実施例において、フーリエコンポーネント波形の第2パラメータは、角周波数ωおよび/またはt>0のときの波形の符号である。さらに、この例示的な実施例において、f=30Hzであり、数式7dを使用すると、リスレープリズム402a、402b、402cについての角周波数は、それぞれ約1、800rpm、5、400rpm、そして9、000rpmで計算される。一実施例によると、数式7bの(-1)パラメータは、各フーリエコンポーネント波形の符号に影響を与え、これにより、各フーリエコンポーネント波形の相対位相にも影響を与える(例えば、反対符号は、位相離脱を示す)。一実施例において、第1リスレープリズム402aの角周波数は、i=1のときの数式7bまたは数式7dの第1フーリエコンポーネント波形の角周波数ω
aに基づいて選択される。一実施例において、第2リスレープリズム402bの角周波数は、i=3のときの数式7bまたは数式7dの第2フーリエコンポーネント波形の角周波数3ω
a(i=3)に基づいて選択される。一実施例において、第3リスレープリズム402cの角周波数は、i=5のときの数式7bまたは数式7dの第3フーリエコンポーネント波形の角周波数5ω
a(i=5)に基づいて選択される。したがって、一実施例において、第3リスレープリズム402cの角周波数は、第1リスレープリズム402aの角周波数の約5倍であり、第2リスレープリズム402bの角周波数は、第1リスレープリズム402aの角周波数の約3倍である。一実施例によると、605ステップにおいて、光学コンポーネントの相対位相は、
図4N内の曲線415a、415b、415cによって示されるように、数式7bの最初の3つのフーリエコンポーネント波形の間の相対位相に基づいて決定される。
【0074】
607ステップにおいて、601ステップと603ステップでパラメータが決定された光学コンポーネントが獲得されて光軸に沿って順次配置される。一実施例において、3つのリスレープリズム402a、402b、402cは、光軸417に沿って順次に配列される。一実施例において、3つのリスレープリズム402a、402b、402cは、光軸417に沿って順次に配列され、隣接するリスレープリズムの角度のある面409が互いに臨界距離(例えば、約1センチメートル、cm)以内にあるようにする。一実施例において、リスレープリズム402a、402b、402cは、それぞれのプリズム402a、402b、402cの(非角度の面411によって定義される)縦軸が軸417と直交するように順次に配列される。一実施例において、リスレープリズム402a、402b、402cは、非角度の面411が入射ビーム408がリスレープリズム402a、402b、402cに向かって送信される開始方向を指向するように配列される。
【0075】
609ステップにおいて、信号が角周波数および各光学コンポーネントの相対位相を示すデータを含む場合、当該信号は、605ステップで決定された角周波数および各光学コンポーネントの相対位相に基づいて、モーター306に送信される。一実施例によると、609ステップにおいて、信号は、第1リスレープリズム402aに対する角周波数ω
a、第2リスレープリズム402bに対する角周波数3w
aおよび第3リスレープリズム402cに対する角周波数5w
aを示すデータを含む。さらに、一実施例によると、609ステップにおいて、信号は、数式7bの3つのフーリエコンポーネント波形の間の相対位相に基づいて、3つのリスレープリズム402a、402b、402cの間の相対位相を示すデータを含む。例示的な一実施例において、信号データは、
図4Nに示されたように、3つのリスレープリズム402a、402b、402cが特定時間の位相に該当する3つの波形415a、415b、415cと一致する特定時間の位相に該当することを示す(例えば、これらは共通のピークまたは共通の谷を有する)。
【0076】
611ステップにおいて、モーター306は、609ステップでモーター306によって受信された信号に基づいて、1つ以上の光学コンポーネントを回転させる。一実施例によると、611ステップにおいて、モーター306は、609ステップで信号内に受信された角周波数および相対位相に基づいて、3つのリスレープリズム402a、402b、402cを回転させる。
【0077】
613ステップにおいて、ビーム408は、光軸417に沿って、光源(例えば、ソース212)によって送信され、1つ以上の光学コンポーネントに入射する。例示的な一実施例によると、613ステップにおいて、ビーム408は、光源212によって送信され、611ステップに基づいて回転している複数のリスレープリズム402a、402b、402cに軸417に沿って入射する。
【0078】
615ステップにおいて、ビーム408は、望む波形に応じて、第1および第2角度との間の第1平面上でステアリングされたりスキャンされる。一実施例において、ビーム408は、三角波形420に近接した波形427に従って、第1および第2角度との間の第1平面(例えば、軸414、417によって定義される平面)上で複数のリスレープリズム402a、402b、402cによってステアリングされたビーム408’’にステアリングされる。追加の実施例によると、615ステップにおいて、複数のリスレープリズム402a、402b、402cは、第1平面上で第1および第2角度との間(例えば、
図2Bの軸222に沿って角度-Aから+Aの間)にビーム408’’を繰り返しスキャンする。他の実施例によると、615ステップにおいて、単方向スキャン要素304(例えば、ポリゴンスキャナ)。
【0079】
図6Bは、一実施例によってLIDARシステムで屈折ビームステアリングのための例示的な方法600を示すフローチャートである。たとえ、
図6Bでステップが図解の目的に応じて、特定の順序を持つ全体的なステップに示されているが、他の実施例によると、複数のステップ、またはその一部が他の順序で行われたり、時間上に直列または並列に重複したり、省略されたり、1つ以上の追加のステップが付加されたり、または方法が一部の方式の組み合わせに変更される。一部の実施例において、方法400bの一部または全体の動作が任意のシステム(例えば、
図2のLIDARシステム200)、および/または本明細書に記述された1つ以上のコンポーネント(例えば、
図2の処理システム250、
図4Aのリスレープリズム402)によって行われ得る。
【0080】
方法600bは、光軸に沿って送信されたビームを受信する動作602bを含む。方法600bは、望む波形の1つ以上のコンポーネントに基づいて、第1スキャンパターンおよび第2スキャンパターンを生成する動作604bを含む。方法600bは、第1スキャンパターンに基づいて、ビームを第1平面に複数のスキャンラインとして投影する動作606bを含む。方法600bは、第1平面に投影された複数のスキャンラインを受信する動作608bを含む。方法600bは、第2スキャンパターンに基づいて、複数のスキャンラインを第2平面に複数の第2スキャンラインとして投影する動作610bを含む。一部の実施例において、第1平面は、第2平面と直交する。
7.コンピュータハードウェア概要(Computational Hardware Overview)
【0081】
図7は、本発明の実施例が実行できるコンピュータシステム700を示すブロック図である。コンピュータシステム700は、コンピュータシステム700の他の内部および外部コンポーネントの間に情報を伝達するためのバス710のような通信メカニズムを含む。情報は、典型的には、電圧である測定可能な現状の物理的信号として表されるが、他の実施例では、磁気相互作用、電磁相互作用、圧力相互作用、化学相互作用、分子原子相互作用および量子相互作用のような現象を含む。例えば、N極およびS極磁場、または0の電圧および非ゼロの電圧は、2進数(ビット)の2つの状態(0、1)を示す。他の現象は、より高いベースの数を示し得る。測定前に複数の同時量子状態の重畳は、量子ビット(クビット)を示す。1つ以上の数字シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。一部の実施例において、アナログデータと呼ばれる情報は、特定の範囲内の測定可能な値の近接連続体(Near Continuum)に表示される。コンピュータシステム700またはその一部は、本明細書に説明された1つ以上の方法のうち、1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0082】
2進数シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。バス710は、情報がバス710に連結された装置の間に迅速に送信されるように、多くの並列情報コンダクタ(Parallel Conductors of Information)を含み得る。情報を処理するための1つ以上のプロセッサ702がバス710と結合される。プロセッサ702は、情報についての一連の動作を行う。一連の動作は、バス710から情報を取得することおよびバス710上に情報を配置することを含む。また、一連の動作は、通常、2つ以上の情報単位の比較、情報単位の位置シフト、加算または乗算のような2つ以上の情報単位の結合を含む。プロセッサ702によって行われる動作シーケンスは、コンピュータコマンドを構成する。
【0083】
また、コンピュータシステム700は、バス710に結合されたメモリ704を含む。ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)または、他の動的格納装置のようなメモリ704は、コンピュータコマンドを含む情報を格納する。動的メモリは、その中に格納された情報がコンピュータシステム700によって変更されるようにする。RAMは、メモリアドレスと呼ばれる位置に格納された情報単位が隣接するアドレスの情報と独立して格納され、検索されるようにする。また、メモリ704は、コンピュータコマンドの実行中に臨時値を格納するためにプロセッサ702によって使用される。また、コンピュータシステム700は、読み取り専用メモリ(Read Only Memory、ROM)706またはコンピュータシステム700によって変更されないコマンドを含む靜的情報を格納するためにバス710に結合された他の靜的格納装置を含む。また、コンピュータシステム700がオフになったり、それとも電源が損失されるときにも持続するコマンドを含む情報を格納するための磁気ディスクまたは光ディスクのような不揮発性(永久)格納装置708がバス710に結合され得る。
【0084】
コマンドを含む情報は、人間ユーザーによって操作される文字-数字のキーを含むキーボードのような外部入力装置712またはセンサからプロセッサによる使用のためにバス710に提供される。センサは、その周辺の状態を検出し、このような検出をコンピュータシステム700で情報を表すために使用される信号と互換可能な信号に変換する。主に人間と相互作用するために使用されるバス710に結合された他の外部装置は、イメージを提供するためのCRT(Cathode Ray Tube)または液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイ装置714を含み、ディスプレイ714に提供される小さなカーソルイメージの位置を制御し、ディスプレイ714上に提供されるグラフィック要素に関連する命令を発行するためのマウスまたはトラックボールまたはカーソル方向キーのようなポインティング装置716を含む。
【0085】
図示された実施例において、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)720のような特殊目的のハードウェアがバス710に結合される。特殊目的のハードウェアは、特別な目的のためにプロセッサ702によって迅速に実行されない動作を十分に迅速に実行するように構成される。ASICの例は、ディスプレイ714のためのイメージを生成するためのグラフィックス加速器カード、ネットワークを介して送信されたメッセージを暗号化および復号化するための暗号化ボード(Cryptographic Board)、音声認識およびハードウェア内でより効率的に実装されている一部の複雑な一連の動作を繰り返しに行うロボットアーム(Robotic Arm)および医療スキャニング装備のような特別な外部装置とのインターフェースを含む。
【0086】
また、コンピュータシステム700は、バス710に連結された通信インターフェース770の1つ以上の例を含む。通信インターフェース770は、プリンター、スキャナおよび外部ディスクのような独自のプロセッサで動作する様々な外部装置についての双方向通信カップリングを提供する。一般的に、カップリングは、独自のプロセッサを有する様々な外部装置が接続されるローカルネットワーク780に接続されるネットワークリンク778を用いて行われる。例えば、通信インターフェース770は、パーソナルコンピュータ上の並列ポートまたは直列ポートまたはUSB(Universal Serial Bus)ポートであり得る。一部の実施例において、通信インターフェース770は、 ISDN(Integrated Services Digital Network)カードまたはDSL(Digital Subscriber Line)カードまたは対応するタイプの電話回線への情報通信連結を提供する電話モデムである。一部の実施例において、通信インターフェース770は、バス710上の信号を同軸ケーブルを介する通信連結のための信号または光ファイバーケーブルを介する通信連結のための光信号に変換するケーブルモデムである。他の例として、 通信インターフェース770は、イーサネット(Ethernet)のような互換可能な近距離通信網(Local Area Network、LAN)へのデータ通信連結を提供するLANカードであり得る。また、無線リンクが実装できる。電波(Radio Wave)、光波(Optical Wave)および赤外線波(Infrared Wave)を含む音波および電磁波のような搬送波は、ワイヤまたはケーブルなしで空間を通過する。信号は、振幅、周波数、位相、偏光または搬送波の他の物理的特性の人工的な変化を含む。無線リンクについて、通信インターフェース770は、デジタルデータのような情報ストリームを運搬する赤外線および光信号を含む電気、音響または電磁信号を送受信する。
【0087】
本明細書において、コンピュータ読み取り可能な媒体という用語は、実行のためのコマンドを含む情報をプロセッサ702に提供するのに参与する任意の媒体を指すのに使用される。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および送信媒体を含むが、ここに限定されない様々な形態を取り得る。不揮発性媒体は、例えば、格納装置708のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、例えば、動的メモリ704を含む。送信媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーケーブルおよび電波、光波および赤外線波を含む音波および電磁波のような、有線またはケーブルなしで空間を通過する波を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な格納媒体という用語は、送信媒体を除外し、プロセッサ702に情報を提供するのに参与する任意の媒体を指すために使用される。
【0088】
コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えばフロッピーディスク、フレキシブル(Flexible)ディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルビデオディスク(DVD)または他の光媒体、パンチカード、ペーパーテープ、またはホールパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM(プログラム可能なROM)、EPROM(消去可能なPROM)、FLASH(登録商標)-EPROM、または他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の媒体を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な非一時的な(Non-Transitory)格納媒体という用語は、プロセッサ702に情報を提供するのに参与する媒体として、搬送波および他の信号を除外する任意の媒体を指すために使用される。
【0089】
1つ以上の有形の媒体(Tangible Media)内にエンコードされたロジッグは、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上のプロセッサコマンドおよびASIC720のような特殊目的のハードウェアのうち、1つまたは両方を含む。
【0090】
ネットワークリンク778は、通常、情報を使用するか、または処理する他の装置への1つ以上のネットワークを介する情報通信を提供する。例えば、ネットワークリンク778は、ローカルネットワーク780を介してホストコンピュータ782またはインターネットサービス提供者(ISP)によって運営される装備784に連結を提供し得る。ISP装備784は、現在に一般的にインターネット790と呼ばれるネットワークの公開的かつ全世界的なパケット交換通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。インターネットに接続されたサーバー792と呼ばれるコンピュータは、インターネットを介して受信された情報に応答してサービスを提供する。例えば、サーバー792は、ディスプレイ714でプレゼンテーションするためのビデオデータを表す情報を提供する。
【0091】
コンピュータシステム700は、本明細書に説明された様々な技術を実装するために使用できる。メモリ704に含まれた1つ以上のコマンドの1つ以上のシーケンスを行うプロセッサ702に応答してコンピュータシステム700によって様々な技術を行い得る。ソフトウェアおよびプログラムコードとも呼ばれるこのようなコマンドは、格納装置708のような他のコンピュータ読み取り可能な媒体からメモリ704に読み込まれることができる。メモリ704に含まれたコマンドシーケンスの実行は、プロセッサ702にとって本明細書に説明された方法のステップを行うようにする。代替的な実施例において、ASIC720のようなハードウェアがここに説明された様々な動作を具現するためにソフトウェアの代わりにまたはソフトウェアとともに使用できる。したがって、本発明の様々な実施例は、ハードウェアとソフトウェアの任意の特定組み合わせに制限されない。
【0092】
ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介する他のネットワークを介して送信された信号は、コンピュータシステム700に、そして、それから情報を運搬する。コンピュータシステム700は、他のものの中でも、ネットワーク780、790を介して、ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介して、プログラムコードを含む情報を送受信し得る。インターネット790を用いる一例において、サーバー792は、インターネット790、ISP装備784、ローカルネットワーク780および通信インターフェース770を介して、コンピュータ700から送信されたメッセージによって要請された特定アプリケーションのためのプログラムコードを送信する。受信されたコードは、受信されるときにプロセッサ702によって行われるか、後で実行するために格納装置708または他の不揮発性格納装置に格納されるか、またはその両方であり得る。このような方式で、コンピュータシステム700は、搬送波上の信号の形態でアプリケーションプログラムコードを得られる
【0093】
様々な形態のコンピュータ読み取り可能な媒体は、実行のためのコマンドまたはデータ、またはこの両方の1つ以上のシーケンスをプロセッサ702に運搬するのに関連し得る。例えば、コマンドおよびデータは、初期にホスト782のような遠隔コンピュータの磁気ディスク上に運搬され得る。遠隔コンピュータは、コマンドおよびデータをその動的メモリにローディングし、モデムを使用して電話回線を介してコマンドおよびデータを送信する。コンピュータシステム700にローカルモデムは、電話回線上でコマンドおよびデータを受信し、赤外線送信機を使用してコマンドおよびデータをネットワークリンク778の役割をする赤外線搬送波上の信号に変換する。通信インターフェース770の役割をする赤外線検出器は、赤外線信号内に運搬されたコマンドおよびデータを受信し、コマンドおよびデータを表す情報をバス710上に位置させる。バス710は、情報をメモリ704に運搬し、プロセッサ702は、コマンドとともに送信されたデータの一部を用いてメモリ704からコマンドを検索して実行する。メモリ704で受信されたコマンドおよびデータは、プロセッサ702による実行前または後に格納装置708に選択的に格納され得る。
【0094】
図8は、本発明の実施例を実行できるチップセット800を示す。チップセット800は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うようにプログラミングされ、例えば、1つ以上の物理的パッケージ(例えば、チップ)に含まれた
図7に関連して説明されたプロセッサおよびメモリコンポーネントを含む。例として、物理的パッケージは、物理的強度、サイズの保存および/または電気的相互作用の制限のような1つ以上の特性を提供するために構造的アセンブリ(例えば、ベースボード)上の1つ以上の材料、コンポーネントおよび/またはワイヤの配列を含む。所定の実施例において、チップセットは、単一チップで実装できることが考慮される。チップセット800またはその一部は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0095】
1つの実施例において、チップセット800は、チップセット800のコンポーネントの間で情報を伝達するためのバス801のような通信メカニズムを含む。プロセッサ803は、コマンドを実行し、例えば、メモリ805に格納された情報を処理するためにバス801に連結される。プロセッサ803は、それぞれのコアが独立して行うように構成された1つ以上のプロセッシングコアを含み得る。マルチコアプロセッサは、単一の物理的パッケージ内で多重処理を可能にする。マルチコアプロセッサの例は、2つ、4つ、8つまたはその以上のプロセシングコアを含む。代替的または追加的に、プロセッサ803は、コマンド、パイプライニング(Pipelining)およびマルチスレッディング(Multithreading)の独立した実行を可能にするためにバス801を介して直列で構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含み得る。また、プロセッサ803は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)807または1つ以上のASIC809のような所定の処理機能および作業を行うための1つ以上の特殊コンポーネントを伴い得る。DSP807は、通常、プロセッサ803と独立して実世界の信号(例えば、サウンド)をリアルタイムで処理するように構成される。同様に、ASIC809は、汎用プロセッサによって容易に実行されない特殊機能を行うように構成され得る。本明細書に説明された発明的機能を実行することを支援するための他の特殊コンポーネントは、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)(図示せず)、1つ以上のコントローラ(図示せず)または1つ以上の他の特殊目的のコンピュータチップを含む。
【0096】
プロセッサ803および付随するコンポーネントは、バス801を介してメモリ805に連結される。メモリ805は、実行されるときに本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うように、実行可能なコマンドを格納するための動的メモリ(例えば、RAM、磁気ディスク、書き込み可能な光ディスクなど)および靜的メモリ(例えば、ROM、CD-ROMなど)の両方を含む。また、メモリ805は、本明細書に説明された方法のうち、1つ以上のステップの実行に関連したり、その実行によって生成されたデータを格納する。
8.変更、拡張および修正(Alterations、Extensions and Modifications)
【0097】
前記明細書において、本発明は、発明の具体的な実施例に関連して記述された。しかし、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなくても、様々な変更および変化が行われることは自明である。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味より例示的な意味としてみなされるべきである。この明細書および請求の範囲全体において、文脈が別段必要でない限り、「含む」という言葉とその変形は、明示された項目、要素、ステップ、項目のグループ、要素のグループまたはステップのグループを含むが、他の項目、要素、ステップ、項目のグループ、要素のグループ、またはステップのグループを除外するものではないという意味で理解できるであろう。さらに、不定冠詞「一」や「一つ」は、文書の修正された項目、要素またはステップのいずれか1つ以上を示すためのものである。
【0098】
広い範囲を提示する数値の範囲とパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の限定されていない例で示された数値は、できるだけ正確に記録される。しかし、すべての数値は、本質的に、本明細書の作成時に各テスト測定で発見される標準偏差によって必然的に発生する特定のエラーを含む。また、文脈で別段の明示をしない限り、ここに示されている数値は、最下位の数字(Least Significant Digit)によって暗示される精度を有する。したがって、値1.1は、1.05から1.15の間の値を意味する。「おおよそ」、「約」という用語は、与えられた値を中心により広い範囲を示すために使用され、文脈で別段の明示をしない限り、「約1.1」が1.0から1.2の範囲を暗示するように最下位の数字周辺のより広い範囲を暗示する。もし、最下位の数字が不明であれば、「おおよそ」、「約」という用語は、2倍を暗示するが、例えば、「おおよそX」は、0.5Xから2Xの範囲内の値を暗示し、おおよそ100というのは、50から200の範囲内の値を暗示する。さらに、ここに公開されたすべての範囲は、当該範囲に含まれるすべての下位範囲を網羅するものと理解されるべきである。例えば、正数専用パラメータに対する「10未満」という範囲は、最小値0と最大値10との間のすべての下位範囲を含み得る。すなわち、最小値が0以上であり、最大値が10以下であるすべての下位範囲(例えば、1から4)を含み得る。
【0099】
本発明の一部の実施例は、以下に高解像度LIDARシステムの文脈で記述される。本発明の一実施例は、LIDARシステムの振動スキャン要素によるビームスキャニングの最適化についての文脈で記述される。本発明の他の実施例は、個人用車両の単一の前方搭載された高解像度ドップラーLIDARシステムの文脈で記述されるが、実施例は、この文脈に限定されない。他の実施例によると、同じタイプまたは他の高解像度LIDARの複数のシステムがドップラーコンポーネントの有無、視野の重複の有無またはより小さいか、またはより大きい陸地、海、または航空車両に搭載されて操縦されるか、または自律制御される1つ以上のシステムの有無にかかわらず採用される。