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▶ 藤田 優行の特許一覧

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  • 特許-フィルムガス風船用の動力システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】フィルムガス風船用の動力システム
(51)【国際特許分類】
   A63H 27/00 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
A63H27/00 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022064472
(22)【出願日】2022-04-08
【審査請求日】2022-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721000550
【氏名又は名称】藤田 優行
(72)【発明者】
【氏名】藤田 優行
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-066465(JP,A)
【文献】特開2018-102377(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0066369(KR,A)
【文献】特開2006-197975(JP,A)
【文献】登録実用新案第3120516(JP,U)
【文献】実開平02-126696(JP,U)
【文献】米国特許第05882240(US,A)
【文献】米国特許第04752271(US,A)
【文献】中国実用新案第2774604(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求項1の内容
ガス風船(ア)内部に挿入され、シーリングにより風船内部と外部を
遮断して、ガスが外部に漏出しないようにするエンベロープ(G)と、
前記エンベロープ(G)に挿入される、スチレンペーパーの三角柱か
らなる外殻に内包される動力用糸ゴム及びそれと連結するピアノ
線、ワッシャー、スチレン製プロペラ、発泡スチロール (スチレン
ボード)製の支持部からなる動力ユニット(13)と、を備えるガス風
船(ア)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘリウムガス風船(以後ガス風船と表記)に内蔵して空中を飛行させるための動力ユニットに関する物である。
【背景技術】
【0002】
これまでにガス風船に動力を付けて飛行する玩具は多数種存在して来ました、例えば飛行船型のガス風船の外部にゴム動力のプロペラを取り付けた物や、ラジオコントロールによる飛行船タイプの物、飛行船がイルカやサメの外観に代わった物、これ等のなかには、受信機やモーター、バッテリー等を搭載するかなり大掛かりな物もあり、主にアメリカ合衆国や中華人民共和国製造の物が大半です。
又大型の飛行船タイプの物は小型のテレビカメラを内蔵して野球中継等に利用されています、しかし子供の玩具としては、高価である、大きすぎる、扱いづらい等の理由であまり普及はしていません。

子供が遊ぶガス風船のガス容量は多くてもせいぜい15リットル~30リットル位です、これらのガス風船の浮力は数グラム~十数グラム程度です。従って電動モーターやバッテリーを搭載するのは、かなり困難で、超軽量のモーターや充電バッテリーを使用してもその駆動時間は、かなり短い物となるでしょう、いずれは長時間駆動出来る超軽量動力システムが出来るかも知れませんが今の所コストパフォーマンスの面でも難しいでしょう。

又ゴム動力の場合も飛行船型の風船に取り付ける場合はさほど不自然ではありませんが、飛行機やキャラクター等のフィルムガス風船の外部に取り付けた場合は大変不自然です。
又従来のナイロン(登録商標)やマイラーフィルム(登録商標)にアルミ蒸着を施したガス風船ではせいぜい2~3日でその浮力を失い、例えヘリウムガス缶からガスを補充しても元の浮力には戻りません。(ヘリウムガス缶のヘリウムガスは100%ヘリウムガスではない事、充填時に空気がまじる、及び風船からガスが抜けるとき抜けたヘリウムガスが他の外気、(空気等)と一部が入れ替わるためではないかと思われる。)



【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録3075632
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の、やや大人向けの製品の、大きい、外見の不自然さ、浮力が数日で失われる、扱いづらい、高価、と言う点等を解消して、より子供が楽しめる玩具にする事を目標にしました。

【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの事を解決するために
(ア) 風船にはガスバリアーの高いフィルム、商品名:アイブレックス(登録商標)を使用しました。
(イ) 動力に糸ゴムを使用しました。
(ウ) 糸ゴムを格納する動力ユニット主軸部分にスチレンペーパーを使用しました。
(エ) プロペラの軸受部分には、スチレンボード、ビーズ、プラスチック、テフロン(登録商標)板 アルミ板等の薄板を使用しました。
(オ) プロペラにはスチレンペーパーを使用しました。
(カ) 動力の伝達シャフト及び糸ゴムの端末の固定にピアノ線を使用しました。
(キ) 動力ユニットを内包するフィルムの鞘(エンベロープ)に風船と同質のハイガスバリアーフィルム商品名:アイブレックス(登録商標)を使用しました。
(ク) バラストに着脱が簡単な粘着剤付きマグネットシートを使用しました。
本発明は以上の構成により飛行ガス風船を凡そ長さ50~70センチ、周囲70~80センチ程度、ガス容量15~30リットル、本体、動力ユニット及びプロペラの総重量が数グラムで、主に室内で遊べる玩具を完成しました。これらの動力ユニットとアイブレックフィルムを応用して図のような飛行玩具を考案しました。 (キャラクター、飛行機、飛行船、UFO、ヘリコプター等)参考図1を参照。





【図面の簡単な説明】
【0006】
簡単に本発明の概要を解説します。
図1】は、この動力ユニットを応用して出来ると思われる作品の一部を示しています、キャラクター、飛行機、飛行船、UFO、ヘリコプター等です。
図2】は動力ユニットを応用したキャラクター・ガス風船(例:ドラえもん)です、 (ア)は先端に開口部(イ)があり、そこからエンベロープ(G)(割り箸の袋に似た形状)を挿入、他の端(B)を外部から、スポットシーリングして風船内部に固定します、さらに動力ユニット(13)をエンベロープ(G)に挿入、その後ヘリウムガスを後方の注入口(M)より注入、バラスト用マグネットシート(キ)を張り、全体が空気より少し重い程度にマグネットシートをハサミで切って調節、又風船の迎角、左右の傾きもバラスト位置により調節します。
図3】は、動力ユニットの内部構造です。
図4】は、風船内部に挿入するエンベロープ(割箸の袋状の物)です、風船内部のヘリウムガスガスと大気を遮断して、動力ユニットを内包します。
図5】は、風船内部にエンベロープ、動力ユニットを挿入した状態を示しています。
図6】は、ヘリウムガスの漏出を防ぐために特に重要な風船とエンベロープの挿入口のシーリングについて説明しています。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0007】
次にこの発明を実施するために用意する部品等について説明します。
動力ユニットを構成する部品とその組立について図3で解説します。
先ず各部品、スチレンペーパー製のプロペラ(1)とスチレンボード製の前部軸受部分(2)、 (2′)及び中部軸受部分(2A)、(2A′)、後部軸受部分(2B)、(2B′)、後端部軸受キャップ(2C)、テフロン(登録商標)製ワッシャー(3) ビーズ(4)、アルミ製軸受(5)、(5A)、(5B)、フック付きピアノ線前部シャフト(6)、フック付きピアノ線後部シャフト(7) 動力用糸ゴム(8) 糸ゴム内包用、スチレンペーパー製三角柱 [長方形のスチレンペーパーの一方の面に浅く切り込み線を2本入れて三角柱を作る、長端どうしを接着剤で固定する。] (9) を図の様に配置する。
前部のシャフト(6)に各部品(5)、(2)、(1) 、(2′)、(5)、 (4)、(3)、(2A)、(2A′)、(5A)を、後部シャフト(7)に(2B′) 、(2B)、 (5B)を通して先端をコの字に曲げて(2)、(2B)、に差し込み接着剤で固定(10)、(11)。
次にスチレンペーパー製の三角柱 [糸ゴム支持体](9)に、両端に穴(12)の空いた糸ゴム(8)通して前部のシャフト(6)、後部のシャフト(7)のフックに掛ける。前部軸受け(2)、(2′)はプロペラ(1)の前後に接着、同様にアルミ製軸受(5)も軸受(2) 、(2′)の前後に接着、次に中部軸受け(2A) 、(2A′)は、小円柱と小三角柱どうしで、さらにその前後にアルミ軸受(5A)を接着、そして、後部軸受部分(2B′)、(2B)も同様に小三角柱と小円柱どうしで接着、前後にアルミ軸受(5B)を接着する。さらに後端部軸受キャップ(2C)を接着する。
中部軸受部分(2A)、(2A′)、アルミ製軸受(5A)は接着剤がシャフトに付かない様に接着する。なお中部軸受部分(2A′)の短い三角柱部分及び後部軸受部分(2B′)の短い三角柱部分は長い三角柱[糸ゴム支持体] (9)には、接着せず、差込のみである、糸ゴムの張力と軸受部分側面の摩擦で固定されます。糸ゴムが切れた時に交換可能にする為です。
以上で動力ユニット(13)が完成します。

次にこの動力ユニットを内包しバルーン内と外部を遮断して内部のガスが漏れない様にする為のエンベロープについて説明します。
図4において(A)はアイブレックス(登録商標)フィルムの短いエンベロープで、前後は開いており、なおかつ、長いエンベロープ(C)と表裏が逆でシーリング面が表になります。長いエンベロープ(C)も前後が開いており一方の後端部は上半分のみ2~3センチの突出部(ベロ:突出した部分)(B)を有しています。短いエンベロープ(A)を長いエンベロープ(C)の一方の端から半分程度挿入します。この状態で短いエンベロープが挿入された部分を2個所シーリング(熱圧着)します(D)。さらに他方の突出した方(ベロ) (B)の手前部分をシーリング(E)します。突出した部分(B)の中央に薄いテフロン(登録商標)テープを貼ります(F)。 以上で一方が開いて他方が閉じ、なおかつベロ(B)、のあるエンベロープ(G)が完成します。
エンベロープの先端開口部(H)はシーリング面が外側に露出します。他方の端のベロ(B)はシーリング面が下向きになります。
次に図5で、このエンベロープ(G)の開口部から先の動力ユニット(13)を差し込み、全体を長軸中心に反転すると、エンベロープ(G)のベロ(B)のシーリング面が上向きになります(J)、これをガス封入前のキャラクター風船の先端開口部(イ)から挿入し、所定の位置に進入させます、ベロ(B)の位置を確認後、キャラクター風船の外側から内部のテフロン(登録商標)テープ (F)の位置を触覚で確認してそれと、重なる位置にテフロン(登録商標)シート(F′)を置きその上から電子ごて等でスポットシーリングします。(これによりエンベロープの一端は、ガス風船内部に固定されます。)
次に図6でガス風船とエンベロープのベロ(B)の部分(スポットシーリングした部分)を風船外部から押さえながら動力ユニット(G)をゆっくり引抜きます。この状態で平面な場所に置き内部の空気を抜き、風船(ア)の開口部(イ)と、エンベロープの端の重なり合う部分(K)を2個所シーリングします(L)。これでエンベロープは風船内部に固定されなお風船内部と外部を遮断します、そして再び動力ユニット(G) を風船(ア)の先端開口部(イ)より差し込み、エンベロープの端まで挿入します。 最後にヘリウムガスをガス注入口(M)より充填して、腹部にバラスト用マグネットシート(キ)を貼って完成し、図2の様になります。

【要約】

【課題】
本発明は従来のガス風船の持つ、物足りなさ、すなわち、せっかく浮力と言う大きなメリットとも言える特徴を持ちながらあまり動的な玩具として発展していない状況を変えてみたいという考えから発案に至りました。
【解決手段】
ガス風船は、子供にとても人気のある玩具で現在はフィルム加工技術の発達と共に色々なパターンの風船があります。
従来ガス風船は本当に寿命の短い玩具でしたが、先に述べたようにアイブレックス(登録商標)フィルム等のハイガスバリアーのフィルムの発明で長い間ガス風船の浮力を維持する事が出来る様になり、これを利用して上記の飛行玩具の考案に至りました。
ただ単に持って歩くだけのガス風船から、本発明の動力ユニットを内蔵する事により飛ばしたり、さらには歩かせたりする事が出来ます、ようやく動的ガス風船玩具を商業ベースに乗せる事が出来る時代になったと思います。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6