(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】ポール制振装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/027 20060101AFI20220812BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
F16F15/027
F16F15/02 Z
(21)【出願番号】P 2022102286
(22)【出願日】2022-06-26
【審査請求日】2022-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520105164
【氏名又は名称】山崎 明美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴志
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-257097(JP,A)
【文献】特開2004-190314(JP,A)
【文献】特開平11-44127(JP,A)
【文献】特開2001-124137(JP,A)
【文献】特開2000-329186(JP,A)
【文献】特開2000-64662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F15/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポール(1)に取り付けるポール制振装置であって、ポール(1)の先端または途中に、ポール(1)の直交方向成分を含む方向に気流を発生する1個以上の気流発生機器(2)と、加速度計(5)または/かつ傾斜計(6)と、を備え、前記気流発生機器(2)が発生する気流の強さは、前記加速度計(5)または/かつ傾斜計(6)で計測した加速度または/かつ傾斜角を用いた演算により調整することを特徴とする、ポール制振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に軽量なポールの振動や揺れを軽減するのに好適な、ポール制振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ・温度計・照明などの各種観測・照射機器で高所での観測・照射を行うためには、ポールを用いて各種観測・照射機器を高所に設置することが多い。しかし、各種観測・照射機器が小型軽量であっても、ポール自体のしなりや風による振動・揺れを考慮すると、剛体的な挙動を示すそれなりに丈夫なポールを用いるか、あるいは、制振装置を取り付けたポールを用いなければならない。
ポールの制振装置として、従来技術では、特許文献1~3に示すポール用制振装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-64662号公報
【文献】特開2000-329186号公報
【文献】特開2001-124137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、カメラ・温度計・照明などの各種観測・照射機器で高所での観測・照射を行うために使用する、主に軽量なポールの振動や揺れを軽減するのに好適な、ポール制振装置を提供するものである。
【0005】
ポールの制振装置として、従来技術では、特許文献1~3に示すポール用制振装置が開示されているが、いずれの文献も、ある程度の重量を持った物体の慣性力を利用してポールの制振を行うものとなっている。
【0006】
本発明は、重量物の慣性力を利用せずに、気流の推力を利用してポールの制振を行う、ポール制振装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ポール1に取り付けるポール制振装置であって、ポール1の先端または途中に、ポール1の直交方向成分を含む方向に気流を発生する1個以上の気流発生機器2と、加速度計5または/かつ傾斜計6と、を備え、前記気流発生機器2が発生する気流の強さは、前記加速度計5または/かつ傾斜計6で計測した加速度または/かつ傾斜角を用いた演算により調整することを特徴とする、ポール制振装置とする。
【発明の効果】
【0008】
ポール1が振動したり揺れる場合には、ポール1には加速度や傾斜が生じる。この加速度や傾斜を、ポール1に設置した加速度計5や傾斜計6で計測し、計測した加速度や傾斜角を用いた演算により、前記加速度や傾斜を打ち消すために必要な強さで気流を発生させる。気流は、ポール1に設置した圧縮空気ノズルや電動ファンなどの気流発生機器2により発生させ、この気流の推力を利用して前記加速度や傾斜を打ち消す動作を行うことで、ポール1の制振や揺れ止めを行う。
気流発生機器2は、ポール1直交方向の任意方向への合成方向成分をもつ気流を発生させることができるように、ポール1に3個以上設置することを基本とする。例えば、
図1~3に示すように、120°ごとに3個の気流発生機器2を設置して、それぞれの気流発生機器2ごとに気流の強さを制御することにより、ポール1直交方向の任意方向への合成方向成分を持つ気流を発生させることができる。
【0009】
また、平板状のポール1などで、1方向の振動や揺れのみを制御すればよい場合には、前記1方向上で互いに反対方向を向いた2個の気流発生機器2でも、ポール1の制振や揺れ止めを行うことができる。
さらに、平板状のポール1などで、1方向の振動や揺れのみを制御すればよい場合、かつ、ポール1が水平方向や斜め方向に設置されていて重力による力を利用できる場合には、重力に対抗する推力を発揮する1個の気流発生機器2でも、ポール1の制振や揺れ止めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1の上面図および側面図である。(a)は上面図、(b)は側面図。
【
図2】実施例2の上面図および側面図である。(a)は上面図、(b)は側面図。
【
図3】実施例3の上面図および側面図である。(a)は上面図、(b)は側面図。
【
図4】実施例4の上面図および側面図である。(a)は上面図、(b)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ポール1に取り付けるポール制振装置であって、ポール1の先端または途中に、ポール1の直交方向成分を含む方向に気流を発生する1個以上の気流発生機器2と、加速度計5または/かつ傾斜計6と、を備え、前記気流発生機器2が発生する気流の強さは、前記加速度計5または/かつ傾斜計6で計測した加速度または/かつ傾斜角を用いた演算により調整することを特徴とする、ポール制振装置とする。
【0012】
図1に、本発明に係る実施例1を示す。実施例1では、気流発生機器2を圧縮空気吐出ノズルとしており、ポール1に取り付けることができるベース3に、圧縮空気吐出ノズルを3個配置し、圧縮空気の吐出量を制御するための電動バルブ4もベース3に配置している。これにより、空気圧縮機8から電動バルブ4の手前までは高圧ホース7を1本とすることができる。また、加速度計5と傾斜計6もベース3に配置している。
【0013】
図2に、本発明に係る実施例2を示す。実施例2では、気流発生機器2を圧縮空気吐出ノズルとしている。圧縮空気吐出ノズルをポール1の内部からポール1を貫通するように3個配置し、高圧ホース7をポール1の内部に配置し、圧縮空気の吐出量を制御するための電動バルブ4をポール1とは別の場所に配置している。これにより、電動バルブ4から圧縮空気吐出ノズルまでは高圧ホース7を3本としなければならないが、実施例1と比較してポール1に設置する機器の重量を減らすことができる。また、加速度計5と傾斜計6はポール1に直接配置している。
【0014】
図3に、本発明に係る実施例3を示す。実施例3では、気流発生機器2を電動ファンとしており、ポールに取り付けることができるベース3に、電動ファンを3個配置している。また、加速度計5と傾斜計6もベース3に配置している。
【0015】
図4に、本発明に係る実施例4を示す。実施例4では、気流発生機器2を電動ファンとしており、斜めに設置した平板状のポール1の先端に電動ファンを1個配置している。また、加速度計5と傾斜計6はポール1の先端付近に直接配置している。
【0016】
図1~
図4に示した、実施例1~実施例4は、本発明の実施例に過ぎず、ポール1の形状・設置角度、気流発生機器2の種類・個数・配置方法・配置位置・配置方向、ベース3の有無・形状、電動バルブ4・加速度計5・傾斜計6・高圧ホース7・空気圧縮機8の形状・配置位置・配置方法、等を限定するものではない。
【0017】
図1~
図4に示した、実施例1~実施例4には、本発明の各構成機器の動作に当然必要な、電力ケーブル、制御ケーブル、演算装置、電源等は記載していないが、記載していないことをもって不要であるということではない。電力ケーブルや制御ケーブルや高圧ホース7はポール1内に配置することで、これらを保護することができる。制御ケーブルは無線通信での代替も考えられる。演算装置は、ポール1に配置することや、ポール1とは別の場所に配置することが考えられる。電源は有線給電やバッテリー給電が考えられる。
【0018】
1 ポール
2 気流発生機器
3 ベース
4 電動バルブ
5 加速度計
6 傾斜計
7 高圧ホース
8 空気圧縮機
【要約】
【課題】主に軽量なポールの振動や揺れを軽減するのに好適な、ポール制振装置を提供する。
【解決手段】ポール1に取り付けるポール制振装置であって、ポール1の先端または途中に、ポール1の直交方向成分を含む方向に気流を発生する1個以上の気流発生機器2と、加速度計5または/かつ傾斜計6と、を備え、前記気流発生機器2が発生する気流の強さは、前記加速度計5または/かつ傾斜計6で計測した加速度または/かつ傾斜角を用いた演算により調整することを特徴とする、ポール制振装置とする。
【選択図】
図1