(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20220812BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20220812BHJP
【FI】
H04L12/44 Z
H04W4/38
(21)【出願番号】P 2022536836
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046377
【審査請求日】2022-06-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一成
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182603(JP,A)
【文献】特開2017-228962(JP,A)
【文献】特開2017-92771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04W 4/38
H04W 84/18
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と複数の子機と複数のデータ端末とを含み、無線ネットワークを形成する複数の通信端末を備え、
前記子機は、前記親機又は他の前記子機に接続され、前記親機をルートノードとするツリー型ネットワークトポロジを形成し、
前記データ端末は、前記親機又は前記子機に接続され、
複数の前記通信端末のうち、他の前記通信端末の接続先を決定する接続処理を実行する前記通信端末は
、
前記親機及び複数の前記子機のうちの接続元となる一の前記通信端末に
対する接続の申請を前記子機から受け付けて、申請のあった前記子機の接続先を前記接続元の前記通信端末に決定し、
接続を申請する前記子機が無くなった後に、前記接続元の前記通信端末に対する接続の申請を前記データ端末から受け付けて、申請のあった前記データ端末の接続先を前記接続元の前記通信端末に決定する無線通信システム。
【請求項2】
親機と複数の子機と複数のデータ端末とを含み、無線ネットワークを形成する複数の通信端末を備え、
前記子機は、前記親機又は他の前記子機に接続され、前記親機をルートノードとするツリー型ネットワークトポロジを形成し、
前記データ端末は、前記親機又は前記子機に接続され、
複数の前記通信端末のうち、他の前記通信端末の接続先を決定する接続処理を実行する前記通信端末は、
前記親機及び複数の前記子機のうちの接続元となる一の前記通信端末に接続される前記子機を決定した後に、前記接続元の前記通信端末に接続される前記データ端末を決定し、
前記子機の接続先を決定する際には、前記接続元の前記通信端末を接続先候補とする前記子機を複数のグループに分けて、前記グループごとに前記子機からの申請を受け付けて、申請のあった前記子機の接続先を決定する無線通信システム。
【請求項3】
請求項
2に記載の無線通信システムにおいて、
前記子機及び前記データ端末は、
周囲の前記通信端末からの信号の電波強度を測定し、測定された前記電波強度に基づいて接続先候補となる前記通信端末を決定するサーチ動作を実行し、
前記接続先候補の前記通信端末への接続の申請を行う無線通信システム。
【請求項4】
請求項
3に記載の無線通信システムにおいて、
前記接続処理を実行する通信端末は、前記接続処理において、前記接続元の前記通信端末を前記接続先候補とする前記子機を前記電波強度に基づいて複数の前記グループに分け、複数の前記グループのうち前記電波強度が高いグループから順に前記子機からの接続の申請を受け付ける無線通信システム。
【請求項5】
請求項
4に記載の無線通信システムにおいて、
前記接続処理においては、
前記接続元の前記通信端末は、対象となる前記子機及び前記データ端末を限定した募集コマンドを送信し、
前記募集コマンドを受信し且つ前記募集コマンドで限定された前記子機及び前記データ端末は、接続の申請を行い、
前記募集コマンドは、対象となる前記子機を前記電波強度に基づいて限定することによって、前記子機を前記電波強度に基づいて複数の前記グループに分ける無線通信システム。
【請求項6】
請求項
4又は
5に記載の無線通信システムにおいて、
前記接続処理を実行する通信端末は、前記接続処理において、一の前記グループに属する前記子機の接続先を決定してから次の前記グループに属する前記子機からの接続の申請を受け付けるまでの間に、未接続の前記子機に前記サーチ動作を再び実行させる無線通信システム。
【請求項7】
請求項1乃至
6の何れか1つに記載の無線通信システムにおいて、
前記接続処理を実行する通信端末は、前記接続元の前記通信端末を切り替えながら、切り替えられた前記接続元の前記通信端末に関して前記接続処理を実行する無線通信システム。
【請求項8】
請求項
7に記載の無線通信システムにおいて、
前記親機及び接続先が決定された前記子機のそれぞれは、複数のタイムスロットを含む通信スケジュールにおける何れかの前記タイムスロットが割り当てられ、
前記親機は、前記通信スケジュールに従って到来する前記タイムスロットに割り当てられた前記親機又は前記子機に接続された前記データ端末から前記データ端末が保持するデータを収集する無線通信システム。
【請求項9】
請求項
8に記載の無線通信システムにおいて、
前記親機は、前記通信スケジュールに従って到来する前記タイムスロットに割り当てられた前記親機又は前記子機を前記接続元の前記通信端末として前記接続処理を実行する無線通信システム。
【請求項10】
請求項1乃至
9の何れか1つに記載の無線通信システムにおいて、
前記データ端末は、所定の物理量を検出するセンサ部を有し、前記センサ部によって検出された物理量をデータとして保持する無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の通信端末を備えた無線通信システムが知られている。特許文献1に記載の無線通信システムでは、複数の通信端末が無線ネットワークを形成する。複数の通信端末が無線ネットワークを形成するためには、複数の通信端末が互いに接続される必要がある。複数の通信端末のそれぞれは、工場等において対応する場所に設置される。複数の通信端末が対応する場所に設置された後に、複数の通信端末を互いに接続させる接続処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述のような無線通信システムの接続処理では、複数の通信端末間の通信において衝突が生じると、接続処理の効率が低下する。特に、通信端末の個数が多い場合には、隠れ端末の影響が大きくなり、接続処理の効率が低下しやすくなる。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、通信端末の接続処理の効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された無線通信システムは、親機と複数の子機と複数のデータ端末とを含み、無線ネットワークを形成する複数の通信端末を備え、前記子機は、前記親機又は他の前記子機に接続され、前記親機をルートノードとするツリー型ネットワークトポロジを形成し、前記データ端末は、前記親機又は前記子機に接続され、複数の前記通信端末のうち、他の前記通信端末の接続先を決定する接続処理を実行する前記通信端末は、前記親機及び複数の前記子機のうちの接続元となる一の前記通信端末に接続される前記子機を決定した後に、前記接続元の前記通信端末に接続される前記データ端末を決定する。
【発明の効果】
【0007】
前記無線通信システムによれば、通信端末の接続処理の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、データステーションのブロック図である。
【
図6】
図6は、ルーティングテーブルを示す図である。
【
図9】
図9は、接続処理のフローチャートの一部である。
【
図10】
図10は、接続処理のフローチャートの残りの部分である。
【
図11】
図11は、第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドで規定される機器IDの末尾の数字の一覧表である。
【
図12】
図12は、データステーションの特定スロットにおける接続処理の一例のシーケンス図である。
【
図13】
図13は、データステーションの特定スロットにおける接続処理の別の例のシーケンス図である。
【
図14】
図14は、中継機の特定スロットにおける接続処理の一例のシーケンス図である。
【
図15】
図15は、データステーションの特定スロットにおける接続処理のさらに別の例のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、無線通信システム100の概略図である。無線通信システム100は、データステーション10と、複数の中継機20と、複数のセンサ30とを有している。データステーション10、中継機20及びセンサ30は、互いに無線通信を行い、自律的に無線ネットワークを構築する。無線通信システム100においては、マルチホップ無線ネットワークが形成される。データステーション10、中継機20及びセンサ30は、通信端末の一例である。データステーション10は、親機の一例であり、中継機20は、子機の一例であり、センサ30は、データ端末の一例である。
【0011】
中継機20は、データステーション10又は他の中継機20に接続され、データステーション10をルートノード(最上位)、即ち、頂点とするツリー型のネットワークトポロジを形成する。ここで、「接続される」とは、特段の断りが無い限り、直接接続されること、即ち、他の機器を介さずに接続されることを意味する。
【0012】
センサ30は、データステーション10又は中継機20に接続される。センサ30は、対象物の所定の物理量を検出し、検出された物理量、即ち、検出値をデータとして保持する。センサ30の個数は、中継機20に比べて多い。
【0013】
データステーション10は、中継機20を介して、又は、直接的に、センサ30からデータを収集する。つまり、データステーション10は、データステーション10に接続されているセンサ30からはデータを直接収集し、中継機20に接続されているセンサ30からは中継機20を介してデータを収集する。
【0014】
本開示における例では、無線通信システム100は、蒸気システムを有する工場内に設置されている。蒸気システムは、複数のスチームトラップT及び複数のポンプP(
図1では1つずつ図示)を有している。センサ30は、スチームトラップT又はポンプPに設置され、スチームトラップT又はポンプPの振動値及び温度を検出する。スチームトラップT及びポンプPは、対象物の一例である。
【0015】
本明細書では、ネットワークにおいてデータステーション10側を上流側又は上位とし、ツリーの末端側を下流側又は下位とする。また、データステーション10、中継機20及びセンサ30を区別しない場合には、単に「通信端末」と称する場合がある。また、各中継機20を区別する場合には、符号「20」の後にアルファベットを付して区別する。同様に、各センサ30を区別する場合には、符号「30」の後にアルファベットを付して区別する。
【0016】
〈データステーションの構成〉
図2は、データステーション10のブロック図である。データステーション10は、無線通信システム100の通信経路の確立やセンサ30の検出値の収集及び管理を行う。また、データステーション10は、外部ネットワーク等を介して上位のサーバS(
図1)等に接続される。データステーション10は、必要に応じて、センサ30の検出値をサーバSに転送する。
【0017】
データステーション10は、CPU11と、メモリ12と、記憶部13と、無線通信回路14と、計時回路15と、上位インターフェース部16と、電源回路17とを有している。
【0018】
記憶部13には、各種プログラム及び各種情報が記憶されている。CPU11は、記憶部13から各種プログラムを読み込み、実行することにより、様々な処理を行う。例えば、記憶部13には、ネットワークの接続処理を実行するためのプログラム、ネットワークの通信経路を形成するためのプログラム、センサ30の検出値を収集するためのプログラム、ネットワークのツリー構造を規定するツリーテーブル、各センサ30がどの中継機20に接続されているかを規定したセンサテーブル、最終送信先へのルートを規定するルーティングテーブル、ツリーテーブルからルーティングテーブルを作成するためのプログラム、中継機20と通信を行うスケジュールを規定したスケジュール情報、及び、収集した検出値等が記憶されている。
【0019】
無線通信回路14は、中継機20等の他の通信端末と無線通信を行う。無線通信回路14は、CPU11の制御によって動作し、各種信号を符号化・変調等の処理により無線信号に変換し、アンテナを介して送信する。また、無線通信回路14は、アンテナを介して受信した信号を復調・複合化等の処理により適切な信号に変換する。さらに、無線通信回路14は、受信した信号に基づいて受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を計測する。
【0020】
計時回路15は、所定のクロックを発生し、データステーション10の基準となる時刻を計時する。上位インターフェース部16は、サーバSとの間のインターフェース処理を行う。電源回路17は、外部電源(図示省略)が接続されており、データステーション10の各要素に電力を供給する。
【0021】
〈中継機の構成〉
図3は、中継機20のブロック図である。中継機20は、データステーション10の指令に応じて、センサ30の検出値をデータステーション10へ送信する。
【0022】
中継機20は、CPU21と、メモリ22と、記憶部23と、無線通信回路24と、計時回路25と、電源回路26と、電池27とを有している。
【0023】
記憶部23には、各種プログラム及び各種情報が記憶されている。CPU21は、記憶部23から各種プログラムを読み込み、実行することにより、様々な処理を行う。例えば、記憶部23には、ネットワークの通信経路を形成するためのプログラム、センサ30の検出値を中継するためのプログラム、ツリーテーブル、ルーティングテーブル、ツリーテーブルからルーティングテーブルを作成するためのプログラム、接続されているセンサ30を特定するセンサ接続情報及び、センサ30から取得した検出値等が記憶されている。
【0024】
無線通信回路24は、他の通信端末と無線通信を行う。無線通信回路24は、CPU21の制御によって動作し、各種信号を符号化・変調等の処理により無線信号に変換し、アンテナを介して送信する。また、無線通信回路24は、アンテナを介して受信した信号を復調・複合化等の処理により適切な信号に変換する。さらに、無線通信回路24は、受信した信号に基づいて受信信号強度を計測する。
【0025】
計時回路25は、所定のクロックを発生し、中継機20の基準となる時刻を計時する。電源回路26には、電池27が接続されている。電源回路26は、中継機20の各要素に電力を供給する。
【0026】
中継機20は、他の通信端末との信号の送受信等の様々な処理を実行できるアクティブ状態と、信号の送受信等の処理が実行できないが、アクティブ状態に比べて消費電力が抑制されたスリープ状態とを切り替え可能に構成されている。中継機20がアクティブ状態からスリープ状態となる際には、CPU21は、アクティブ状態になるべき時刻を計時回路25に設定し、非アクティブ状態となる。スリープ状態においては、計時回路25は、計時を継続する。設定された時刻になると、計時回路25は、CPU21に時刻の到来を通知し、この通知を受けたCPU21は、非アクティブ状態からアクティブ状態となる。また、アクティブ状態のCPU21は、メモリ22、記憶部23及び無線通信回路24への電源回路26からの電力供給を許可する。こうして、中継機20は、スリープ状態からアクティブ状態となる。
【0027】
〈センサの構成〉
図4は、センサ30のブロック図である。センサ30は、スチームトラップT又はポンプPの振動値(振動の大きさ)及び温度を検出し、その検出値を対応する中継機20に送信する。センサ30は、対象物の所定の物理量を検出するセンサ部40と、センサ部40の検出値を他の通信端末に送信する処理部50とを有している。
【0028】
センサ部40は、振動センサ及び温度センサを含んでおり、スチームトラップT又はポンプPの振動値及び温度を検出する。センサ部40は、スチームトラップT又はポンプPのケーシング(例えば、蒸気及び/又はドレンが流入する流入部)に接触するように設置され、接触した部分の振動値及び温度を検出する。センサ部40が検出する振動値は、所定の周波数の振動の大きさ又は所定の周波数帯域の振動の大きさである。センサ部40は、検出した振動値及び温度に対応する電気信号を処理部50に出力する。
【0029】
処理部50は、CPU51と、メモリ52と、記憶部53と、無線通信回路54と、計時回路55と、センサインターフェース部56と、電源回路57と、電池58とを有している。
【0030】
記憶部53には、各種プログラム及び各種情報が記憶されている。CPU51は、記憶部53から各種プログラムを読み込み、実行することにより、様々な処理を行う。例えば、記憶部53には、ネットワークの通信経路を形成するためのプログラム、センサ部40から振動値及び温度を取得し、検出値として中継機20に送信するためのプログラム、接続先となる中継機20を特定する中継機接続情報、及び、検出値等が記憶されている。
【0031】
無線通信回路54は、他の通信端末と無線通信を行う。無線通信回路54は、CPU51の制御によって動作し、各種信号を符号化・変調等の処理により無線信号に変換し、アンテナを介して送信する。また、無線通信回路54は、アンテナを介して受信した信号を復調・複合化等の処理により適切な信号に変換する。さらに、無線通信回路54は、受信した信号に基づいて受信信号強度を計測する。
【0032】
計時回路55は、所定のクロックを発生し、センサ30の基準となる時刻を計時する。センサインターフェース部56は、センサ部40との間のインターフェース処理を行う。電源回路57には、電池58が接続されている。電源回路57は、センサ30の各要素に電力を供給する。
【0033】
センサ30は、他の通信端末との信号の送受信や振動値及び温度の検出等の様々な処理を実行できるアクティブ状態と、信号の送受信等の処理が実行できないが、アクティブ状態に比べて消費電力が抑制されたスリープ状態とを切り替え可能に構成されている。センサ30のアクティブ状態とスリープ状態との切替は、前述の中継機20と同様に行われる。
【0034】
〈通信端末の接続関係〉
無線通信システム100では、各通信端末の接続先が定められており、その接続関係に基づいて信号の伝搬が行われる。無線通信システム100は、データステーション10、中継機20及びセンサ30の接続関係として、ツリーテーブル、ルーティングテーブル、センサテーブル、センサ接続情報及び中継機接続情報を保持している。
【0035】
ツリーテーブルは、無線通信システム100のツリー構造を規定するテーブルであり、各中継機20の上位の通信端末を規定している。ツリーテーブルは、無線通信システム100で1つ作成され、データステーション10及び全ての中継機20は、共通のツリーテーブルを保持している。
図5は、
図1の無線通信システム100に対応するツリーテーブルである。ツリーテーブルの上欄には、対象となる中継機20が記載され、下欄には、各中継機20が接続される上位側の通信端末(データステーション10又は中継機20)が規定されている。
【0036】
ルーティングテーブルは、或る通信端末から全ての到達可能な最終送信先の通信端末と或る通信端末から該最終送信先までの通信経路における次の(1ホップ先の)通信端末との対応関係、即ち、最終送信先までの通信経路における或る通信端末から1ホップだけ下位の通信端末を規定している。ルーティングテーブルは、ツリーテーブルに基づいて作成される。データステーション10及び各中継機20がそれぞれに固有のルーティングテーブルを保持している。
図6は、
図1の無線通信システム100におけるデータステーション10のルーティングテーブルである。ルーティングテーブルの上欄には、対象となる最終送信先が記載され、下欄には、起点となる通信端末の下位の通信端末、即ち、中継機20が規定されている。データステーション10からは、中継機20a,20b,20c,20d,20e,20fに到達可能であるので、それらの中継機20までの通信経路上のデータステーション10から1ホップだけ下位の中継機20がそれぞれ規定されている。尚、起点となる通信端末から到達できない最終送信先が存在する場合には、ルーティングテーブルにおいて、到達不可の最終送信先に対する1ホップ先の通信端末は規定されていない。
【0037】
センサテーブルは、センサ30と中継機20との接続関係(即ち、各センサ30がどの中継機20に接続されているか)を規定している。センサテーブルは、無線通信システム100で1つ作成され、データステーション10が保持している。
図7は、
図1の無線通信システム100に対応するセンサテーブルである。センサテーブルの上欄には、対象となるセンサ30が記載され、下欄には、各センサ30が接続される中継機20が規定されている。
【0038】
センサ接続情報は、中継機20がそれぞれ保持する情報であって、各中継機20に接続されたセンサ30を特定する情報(例えば、センサ30の通信アドレス)である。
【0039】
中継機接続情報は、センサ30のそれぞれが保持する情報であって、各センサ30が接続される中継機20を特定する情報(例えば、中継機20の通信アドレス)である。
【0040】
無線通信システム100では、これらの接続関係を用いて信号の伝搬が行われる。
【0041】
まず、信号がデータステーション10からダウンリンク方向に送信される場合について説明する。例えば、データステーション10が中継機20fへ信号を送信する場合、自身のルーティングテーブルに基づいて、最終送信先が中継機20fである場合の1ホップ先の中継機20が中継機20bであることを割り出す。データステーション10は、最終送信先に中継機20fを設定し、1ホップ先の送信先に中継機20bを設定した信号を送信する。以下、この信号を受信した各中継機20は、自身のルーティングテーブルに基づいて、1ホップ先の中継機20を変更し、該信号を中継機20fまで伝搬する。具体的には、中継機20bは、中継機20fを1ホップ先の送信先に設定して、該信号を転送する。該信号は、最終的に中継機20fによって受信される。
【0042】
該信号が、センサ30nの検出値を要求するものであれば、中継機20fは、自身のセンサ接続情報に基づいて送信先にセンサ30nを設定し、検出値を要求する信号をセンサ30nに送信する。
【0043】
次に、信号がデータステーション10へアップリンク方向に送信される場合について説明する。例えば、中継機20fがデータステーション10へ信号を送信する場合、中継機20fは、ツリーテーブルに基づいて、1ホップだけ上位の中継機20が中継機20bであることを割り出す。中継機20fは、最終送信先にデータステーション10を設定し、1ホップ先の送信先に中継機20bを設定した信号を送信する。以下、この信号を受信した各中継機20は、ツリーテーブルに基づいて、1ホップ先の中継機20を変更し、該信号をデータステーション10まで伝搬する。具体的には、中継機20bは、1ホップ先の送信先にデータステーション10を設定して、該信号を転送する。該信号は、最終的にデータステーション10によって受信される。
【0044】
このようにデータステーション10、中継機20及びセンサ30は、通信端末の接続関係(ツリーテーブル、ルーティングテーブル、ツリーテーブル、センサ接続情報及び中継機接続情報)に基づいて信号を送信する。
【0045】
〈通信スケジュール〉
このように構成された無線通信システム100は、通常の運転動作として、センサ30の検出値をデータステーション10に収集する収集処理を行う。データステーション10は、
図8に示す通信スケジュールに従って各中継機20と通信を行い、各中継機20に対応する、即ち、接続されているセンサ30の検出値を収集する。
【0046】
図8の通信スケジュールは、収集処理の1サイクルを示しており、
図8の通信スケジュールが繰り返し実行される。通信スケジュールは、分割された複数のタイムスロットを有している。各中継機20には、特定のタイムスロットが割り当てられている。各中継機20は、対応するタイムスロットにおいてデータステーション10と通信を行い、該中継機20に接続されたセンサ30からの検出値をデータステーション10に送信する(以下、この処理を「返信処理」ともいう)。基本的には、各中継機20は、割り当てられた特定のタイムスロット(以下、「特定スロット」とも称する)においてアクティブ状態となり、特定スロット以外のときはスリープ状態となる。ただし、他の中継機20とデータステーション10との通信経路上に存在する中継機20は、下位の中継機20がデータステーション10と通信する場合に中継処理を行う必要があるため、下位の中継機20に割り当てられたタイムスロット(以下、「中継スロット」とも称する)においてもアクティブ状態となって中継処理を実行する。また、センサ30は、接続されている中継機20の特定スロットにおいて該中継機20へ検出値を送信するので、該中継機20の特定スロットにおいてアクティブ状態となっている。センサ30は、中継機20へ検出値を送信する必要がないときには、基本的にはスリープ状態となっている。
【0047】
図8の通信スケジュールでは、タイムスロットがマトリックス状に規定されている。この例では、ツリー構造の通信経路の階層に従ってタイムスロットが割り当てられている。詳しくは、列ごとにツリー構造の階層が割り当てられる。例えば、列L0には、データステーション10が割り当てられ、列L1には、第1階層が割り当てられ、列L2には、第2階層が割り当てられる。第3階層以降についても同様である。
【0048】
通常、各中継機20には、何れか1つのタイムスロットが割り当てられる。第1階層の中継機20a,20b,20dには、列L1のタイムスロットが割り当てられる。第2階層の中継機20c,20e,20fには、列L2のタイムスロットが割り当てられる。第3階層の中継機20が存在する場合には、該中継機20には、列L3のタイムスロットが割り当てられる。第4階層の中継機20が存在する場合には、該中継機20には、列L4のタイムスロットが割り当てられる。一方、データステーション10は、中継機20に比べて処理内容が多いので、1つのタイムスロットではなく、複数のタイムスロット(
図8では、列L0の全てのタイムスロット)がデータステーション10に割り当てられる。尚、列に含まれるタイムスロットの数と各階層に含まれる中継機20の数は異なる(通常、列に含まれるタイムスロットの数の方が多い)ので、列に含まれるタイムスロットには、中継機が割り当てられていないものも存在する。
【0049】
また、前述の如く、或る中継機20の特定スロットにおいては、該中継機20に接続されているセンサ30もアクティブ状態となるので、実質的に、各センサ30にも特定のタイムスロットが割り当てられていることになる。ただし、中継機20がアクティブ状態又はスリープ状態となるタイミングとセンサ30がアクティブ状態又はスリープ状態となるタイミングは、対応していればよく、完全に一致していなくてもよい。例えば、センサ30は、対応する中継機20の特定スロットが開始するよりも前にアクティブ状態となっていてもよい。また、センサ30は、対応する中継機20の特定スロットにおいて中継機20よりも先にスリープ状態となってもよい。センサ30のアクティブ状態と対応する中継機20のアクティブ状態とは、対応する中継機20の特定スロットのうち少なくとも中継機20とセンサ30とが通信を行う期間だけ重なっていればよい。
【0050】
尚、中継機20には複数のセンサ30が接続され得るので、そのような場合には、該中継機20の特定スロットには、複数のセンサ30が割り当てられていることになる。例えば、
図8の例では、列L2、行N3のタイムスロットには中継機20eが割り当てられている。中継機20eには2つのセンサ30l,30mが接続されているので(
図1参照)、列L2、行N3のタイムスロットには実質的に該2つのセンサ30が割り当てられていることになる。
【0051】
通信スケジュールでは、タイムスロットの処理は、列方向に進んでいく。例えば、或る列(例えば、列L1)において、行番号に関して昇順(即ち、行N1からNmの順)にタイムスロットの処理が進んでいき、当該行の最後の行番号(行Nm)のタイムスロットの処理が終了すると、次の列(例えば、列L2)の最初の行番号(行N1)のタイムスロットから同様の順序で処理が進められていく。
【0052】
〈システムの動作〉
続いて、無線通信システム100の各種処理について説明する。基本的に、データステーション10は、通信スケジュールに従って処理を進める。具体的には、データステーション10は、自身の特定スロットにおいて、データステーション10に必要な処理を行う。続いて、データステーション10は、タイムスロットの順番で、タイムスロットに割り当てられた中継機20と順次、通信を行う。中継機20は、通信スケジュールに従って、自身の特定スロットのタイミングでアクティブ状態となって、データステーション10と通信する。また、中継機20は、中継スロットでもアクティブ状態となって、データステーション10と下位の中継機20との間の中継処理を行う。センサ30は、接続されている中継機20の特定スロットに応じてアクティブ状態となる。
【0053】
-収集処理-
収集処理においては、データステーション10は、到来するタイムスロットに応じて、タイムスロットに割り当てられた中継機20から該中継機20に接続されたセンサ30の検出値を収集する。データステーション10から各中継機20に送られる信号には、少なくとも、センサ30の検出値の返信を要求するリクエスト信号が含まれている。
【0054】
一方、中継機20は、通信スケジュールに従って、特定スロットのタイミングでアクティブ状態となって、データステーション10からのリクエスト信号を待機する。また、中継機20は、特定スロットに応じて、該中継機20に接続されているセンサ30から検出値を取得する。中継機20は、リクエスト信号を受信すると、センサ30からの検出値をリクエスト信号に対する応答としてデータステーション10へ返信する。
【0055】
センサ30は、接続される中継機20の特定スロットに応じてアクティブ状態となって検出値を該中継機20に送信する。一の中継機20に複数のセンサ30が接続されている場合には、一の中継機20の特定スロットの少なくとも開始時点において、該複数のセンサ30の全てがアクティブ状態となっている。複数のセンサ30は、順番に、中継機20からリクエスト信号を受け取り、検出値を中継機20へ送信する。複数のセンサ30は、中継機20への検出値の送信が完了した順にスリープ状態となる。
【0056】
このように、収集処理の基本的な処理においては、データステーション10は、通信スケジュールに従って各特定スロットにおいて該特定スロットに対応する中継機20からセンサ30の検出値を収集することによって、全てのセンサ30の検出値を収集する。尚、データステーション10に接続されたセンサ30の検出値は、データステーション10が自身の特定スロットにおいて、該センサ30から直接収集する。
【0057】
-接続処理-
前述のような収集処理等を実行する前提として、無線通信システム100におけるデータステーション10、中継機20及びセンサ30の接続関係が確立されている必要がある。中継機20及びセンサ30が工場内等に設置された直後の段階では、接続関係は確立されていない。そのため、中継機20及びセンサ30が工場内等に設置されると、まず接続処理が実行される。データステーション10、中継機20及びセンサ30は、接続処理によって、互いの接続を自律的に確立していく。
【0058】
最初は、データステーション10にだけタイムスロットが割り当てられている。この例では、列L0の全てのタイムスロットが特定スロットとしてデータステーション10に割り当てられている。いずれの中継機20及びセンサ30も、接続先の通信端末が決まっておらず、特定スロットも割り当てられていない。この例では、データステーション10が主導で接続処理を実行する。
【0059】
接続処理の前提として、中継機20及びセンサ30は、まず、データステーション10と同期する必要がある。特定スロットが割り当てられた通信端末は、該特定スロットの所定の期間に同期信号をブロードキャストしている。つまり、データステーション10は、自身の特定スロットにおける所定の期間に同期信号をブロードキャストする。一方、非同期の中継機20及びセンサ30は、同期信号を待機している。同期信号を受信した中継機20及びセンサ30は、同期信号の送信元である通信端末と同期を行う。接続処理の開始時には、データステーション10しか同期信号を送信していないので、データステーション10からの同期信号を受信可能な中継機20及びセンサ30は、データステーション10と同期する。中継機20及びセンサ30は、同期信号を受信することによって、通信スケジュールのサイクルを知得することできると共に、通信スケジュールのタイミングをデータステーション10と合わせることができる。
【0060】
それに加えて、同期信号を受信した中継機20及びセンサ30は、RSSIモードとなる。RSSIモードでは、中継機20及びセンサ30は、周囲の通信端末からの信号の電波強度を測定し、測定された電波強度に基づいて接続先候補となる通信端末を決定するサーチ動作を実行する。具体的には、中継機20及びセンサ30は、周囲の通信端末からの同期信号を待機し、受信できた同期信号の受信信号強度を測定する。中継機20及びセンサ30は、RSSIモードに移行してから通信スケジュールの1サイクル分、同期信号の受信信号強度を測定する。接続処理の開始時にはデータステーション10だけが同期信号を送信しているので、最初の通信スケジュールが終了したときには、データステーション10からの同期信号を受信できた中継機20及びセンサ30は、データステーション10と同期すると共に、データステーション10を接続先候補の通信端末に設定する。
【0061】
尚、通信スケジュールが繰り返されて接続処理が続いていくと、やがて、接続先が決定された中継機20も同期信号を送信する。接続先が決定された中継機20はデータステーション10と同期しているため、中継機20からの同期信号を受信した中継機20及びセンサ30は、実質的にデータステーション10と同期することになる。また、中継機20も同期信号を送信するので、データステーション10ではなく、何れかの中継機20を接続先候補の通信端末として設定する中継機20及びセンサ30も現れるようになる。
【0062】
データステーション10は、同期が完了している中継機20及びセンサ30に対して接続処理を実行する。接続処理においては、接続元となる通信端末、即ち、データステーション10又は中継機20に接続される中継機20及びセンサ30が決定される。接続元の通信端末が切り替えられながら、それぞれの接続元の通信端末に接続される中継機20及びセンサ30が決定される。データステーション10は、通信スケジュールに従って、特定スロットに割り当てられた通信端末を接続元の通信端末として接続処理を実行する。つまり、特定スロットが切り換わると、データステーション10は、接続元の通信端末を切り替えて接続処理を実行する。最初は、データステーション10のみに特定スロットが割り当てられているので、データステーション10は、自身の特定スロットにおいて、データステーション10を接続元の通信端末とする接続処理を実行する。接続処理によって何れかの中継機20が接続されて、中継機20に特定スロットが割り当てられると、データステーション10は、該中継機20の特定スロットにおいて、該中継機20を接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0063】
接続処理において、データステーション10は、中継機20又はセンサ30に接続元の通信端末への接続を募集するための募集コマンドを送信し、募集コマンドに対して申請があった中継機20及びセンサ30の接続先を接続元の通信端末に決定する。募集コマンドは、ネットワークへの参加を募集するためのコマンドとみなすこともできる。
【0064】
募集コマンドは、対象とする通信端末を限定、即ち、特定している。詳しくは、募集コマンドは、対象とする通信端末をグループ分けする機能、即ち、フィルタリング機能を有している。それぞれの募集コマンドには、対象の通信端末を特定する条件が設定されている。募集コマンドは、条件として、通信端末の種類、通信端末の機器ID、及び電波強度を設定することができる。通信端末の種類は、中継機20かセンサ30かを特定する。通信端末の機器IDは、例えば、機器IDの末尾の値を特定する。電波強度は、受信した募集コマンドの電波強度、具体的には、受信信号強度を特定する。このような募集コマンドに対して、募集コマンドの送信元の通信端末を接続先候補とする通信端末であって、募集コマンドに設定された条件に該当する通信端末が応答する。
【0065】
このとき、募集コマンドの送信元の通信端末(例えば、データステーション10)と、募集コマンドに応える中継機20又はセンサ30との間の通信は、RTS/CTS方式を採用している。詳しくは、送信元の通信端末は、募集コマンドをRTS(Request to Send)信号として送信する。それに対し、中継機20及びセンサ30は、申請コマンドをCTS(Clear to Send)信号として送信する。このとき、中継機20及びセンサ30は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)によって申請コマンド等の信号を送信する。つまり、中継機20及びセンサ30は、募集コマンドに対して申請コマンドを返信する際には、ランダムの待機時間が経過した後に申請コマンドを送信する。募集コマンドの送信元の通信端末は、申請コマンドを受信すると、仮受付コマンドを送信(ブロードキャスト)する。申請コマンドの送信元の中継機20及びセンサ30は、仮受付コマンドをACKの代わりに受信する。尚、申請コマンドの送信元でない中継機20及びセンサ30も、仮受付コマンドを受信し得る。中継機20及びセンサ30は、仮受付コマンドを受信すると、申請コマンドの送信を一時的に停止する。
【0066】
こうすることで、募集コマンドに対して申請コマンドを送信し得る中継機20又はセンサ30が複数個存在する場合には、一の中継機20又はセンサ30だけが募集コマンドの送信元の通信端末と通信することができ、他の中継機20又はセンサ30は待機する。これにより、衝突が回避され得る。
【0067】
以下、接続処理についてフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
図9は、接続処理のフローチャートの一部である。
図10は、接続処理のフローチャートの残りの部分である。
【0068】
まず、データステーション10は、ステップS100において、タイムスロットが開始されたか否かを判定する。詳しくは、データステーション10は、何れかの通信端末が割り当てられたタイムスロット、即ち、特定スロットが開始されたか否かを判定する。特定スロットは、データステーション10の特定スロットに限定されず、何れかの中継機20の特定スロットであってもよい。データステーション10は、特定スロットに割り当てられた通信端末を接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0069】
特定スロットが開始された場合には、データステーション10は、特定スロットの一部の期間において接続処理としてステップS101以降の処理を実行する。一方、特定スロットが開始されていない場合には、データステーション10は、ステップS100の処理を繰り返す。
【0070】
特定スロットが開始されると、特定スロットに割り当てられた通信端末を接続元の通信端末として、接続元の通信端末に接続される他の通信端末が決定される。まずは、データステーション10の特定スロットにおける接続処理に関して説明する。
【0071】
データステーション10は、ステップS101において、プレ募集コマンドの送信を実行する。プレ募集コマンドは、接続元となる通信端末からブロードキャストされる。つまり、データステーション10の特定スロットにおいては、データステーション10がプレ募集コマンドをブロードキャストする。
【0072】
プレ募集コマンドには、対象の通信端末の条件としてプレ条件が設定されている。プレ条件は、通信端末の種類が中継機20であって、電波強度が所定の許容強度以上であることである。許容強度は、通信可能な比較的低い値に設定されている。すなわち、プレ募集コマンドは、許容強度以上の電波強度でプレ募集コマンドを受信した中継機20からの応答を要求する。
【0073】
データステーション10は、ステップS102において、接続の申請があるか否かを判定する。詳しくは、アクティブ状態で且つRSSIモードでない中継機20又はセンサ30は、プレ募集コマンドを受信すると、プレ募集コマンドが接続先候補の通信端末からのものか、及び、自身がプレ条件を満たすか否かを判定する。その結果、データステーション10を接続先候補の通信端末とし、許容強度以上の受信信号強度でプレ募集コマンドを受信した中継機20は、接続申請、即ち、申請コマンドをデータステーション10へ送信(返信)する。
【0074】
このとき、募集コマンドに応答する中継機20は、前述の如く、ランダムに設定された待機時間の経過後に接続申請を返信する。これにより、複数の中継機20からの接続申請の衝突が抑制される。説明を割愛するが、以下の募集コマンドに対する応答においても同様である。
【0075】
プレ条件の受信感度は比較的低い値に設定されているので、データステーション10は、プレ募集コマンドを送信して、接続申請の返信があるか否かを判定することによって、データステーション10の周囲の比較的広い範囲に通信可能な中継機20が存在するか否かを判定することができる。
【0076】
データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信すると、データステーション10の周囲に通信可能な中継機20が存在すると判定して、ステップS103以降において中継機20の接続を試みる。一方、データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信しない場合には、データステーション10の周囲に通信可能な中継機20が存在しないと判定して、ステップS201以降においてセンサ30の接続を試みる(ステップS102におけるNOの分岐)。
【0077】
通信可能な中継機20が存在する場合、データステーション10は、第1募集コマンド、第2募集コマンド及び第3募集コマンドを用いて、中継機20の接続を行う。データステーション10は、第1募集コマンド、第2募集コマンド、第3募集コマンドの優先順位で募集コマンドを用いる。第1募集コマンド、第2募集コマンド及び第3募集コマンドは、対象となる中継機20を電波強度に基づいて限定することによって、中継機20を電波強度に基づいて複数のグループに分ける。
【0078】
詳しくは、第1募集コマンドには、対象の通信端末の条件として第1条件が設定されている。例えば、第1条件は、通信端末の種類が中継機20であって、受信信号強度が第1強度以上であることである。すなわち、第1募集コマンドは、第1強度以上の電波強度で第1募集コマンドを受信した中継機20からの応答を要求する。第1強度は、プレ条件の許容強度よりも高い値であって、比較的高い値に設定されている。
【0079】
第2募集コマンドには、対象の通信端末の条件として第2条件が設定されている。例えば、第2条件は、通信端末の種類が中継機20であって、受信信号強度が第2強度以上であることである。すなわち、第2募集コマンドは、第2強度以上の電波強度で第2募集コマンドを受信した中継機20からの応答を要求する。第2強度は、プレ条件の許容強度よりも高く且つ第1強度よりも低い値である。
【0080】
第3募集コマンドには、対象の通信端末の条件として第3条件が設定されている。例えば、第3条件は、通信端末の種類が中継機20であって、受信信号強度が第3強度以上であることである。すなわち、第3募集コマンドは、第3強度以上の電波強度で第3募集コマンドを受信した中継機20からの応答を要求する。第3強度は、プレ条件の許容強度よりも高く且つ第2強度よりも低い値である。つまり、第1強度>第2強度>第3強度>許容強度となっている。
【0081】
まず、データステーション10は、ステップS103において、第1募集コマンドの送信を実行する。具体的には、データステーション10は、接続元の通信端末に第1募集コマンドをブロードキャストさせる。今回のタイムスロットはデータステーション10の特定スロットなので、データステーション10が第1募集コマンドをブロードキャストする。
【0082】
データステーション10は、ステップS104において、接続申請があるか否かを判定する。詳しくは、アクティブ状態で且つRSSIモードでない中継機20又はセンサ30は、第1募集コマンドを受信すると、第1募集コマンドが接続先候補の通信端末からのものか、及び、自身が第1条件を満たすか否かを判定する。その結果、データステーション10を接続先候補の通信端末とし、第1強度以上の受信信号強度で第1募集コマンドを受信した中継機20は、接続申請をデータステーション10へ送信(返信)する。
【0083】
データステーション10は、第1募集コマンドに対する接続申請を受信すると、ステップS105において、承認処理を行う。尚、データステーション10は、接続申請を受信すると、承認処理に先立って、前述の仮受付コマンドをブロードキャストする。以下では説明を割愛するが、この処理は、第1募集コマンドに対する接続申請を受信した場合に限らず、何れの募集コマンドに対する接続申請を受信した場合にも実行される。
【0084】
承認処理においては、データステーション10は、接続申請を行った中継機20の接続を承認し、データステーション10に接続される通信端末として登録する。データステーション10は、必要に応じて、ツリーテーブル、センサテーブル、ルーティングテーブルを更新すると共に、特定スロットの割り当てを行う。データステーション10は、申請を承認する承認コマンド、更新されたツリーテーブル等の情報、及び、特定スロットの情報を接続申請を行った中継機20に送信する。
【0085】
さらに、データステーション10は、更新フラグF1を1に設定する。更新フラグF1は、中継機20が新たに接続されたことを表すフラグである。更新フラグF1は、接続処理の開始時に0に初期化されている。
【0086】
中継機20は、承認コマンド等を受信すると、ツリーテーブルを記憶部23に保存すると共に、ツリーテーブルに基づいてルーティングテーブルを作成する。中継機20は、その他の必要な処理を行って、割り当てられた特定スロットまでスリープ状態となる。
【0087】
データステーション10は、承認処理を終えると、ステップS103に戻って、第1募集コマンドを再び送信する。データステーション10は、ステップS103からの処理を繰り返すことによって、接続申請を受け取った順に中継機20の承認処理を行う。第1募集コマンドに応答可能な全ての中継機20の承認処理を終えるまで、データステーション10は、中継機20の承認処理を1個ずつ実行する。やがて、第1募集コマンドに対して接続申請を返す中継機20が存在しないようになる。
【0088】
データステーション10は、ステップS104において第1募集コマンドに対する接続申請を受信しなかった場合には、ステップS106において更新フラグF1が1か否かを判定する。データステーション10が第1募集コマンドに対して1個でも中継機20の承認処理を実行していれば、更新フラグF1が1となっている。つまり、データステーション10は、ステップS104において、今回の接続処理において新たな中継機20が接続されたか否かを判定する。
【0089】
更新フラグF1が1の場合には、データステーション10は、ステップS115において、サーチコマンドの送信を実行する。具体的には、データステーション10は、接続元の通信端末にサーチコマンドをブロードキャストさせる。今回のタイムスロットはデータステーション10の特定スロットなので、データステーション10がサーチコマンドをブロードキャストする。サーチコマンドは、通信端末をRSSIモードに移行させるコマンドである。サーチコマンドを受信した通信端末は、通信スケジュールの1サイクル分、RSSIモードに移行して、周囲の通信端末から送信される同期信号の受信信号強度を測定する。例えば、通信端末は、通信スケジュールの途中でRSSIモードに移行した場合には、次サイクルの通信スケジュールにおける現在のタイムスロットの1つ前のタイムスロットまで(即ち、次サイクルの通信スケジュールの途中まで)RSSIモードを継続する。
【0090】
データステーション10は、ステップS115においてサーチコマンドを送信すると、今回の特定スロットでのデータステーション10を接続元とする接続処理を終了し、ステップS100へ戻る。データステーション10は、今回の特定スロットの残りの期間において、接続処理以外の所定の処理を実行する。
【0091】
一方、第1募集コマンドに対して接続申請が全く無い場合(即ち、最初の第1募集コマンドに対して接続申請が無い場合)には、承認処理が行われないので更新フラグは0のままである。そのため、データステーション10は、申請の有無の判定(ステップS104)の後に更新フラグF1の判定(ステップ106)を行って、ステップS107へ進む。
【0092】
つまり、通信可能な中継機20が存在するものの、第1強度以上の受信信号強度で通信できる中継機20が存在しない場合には、データステーション10は、ステップS107において、第2募集コマンドの送信を実行する。具体的には、データステーション10は、接続元の通信端末に第2募集コマンドをブロードキャストさせる。今回のタイムスロットはデータステーション10の特定スロットなので、データステーション10が第2募集コマンドをブロードキャストする。
【0093】
データステーション10は、ステップS108において、接続申請があるか否かを判定する。詳しくは、アクティブ状態で且つRSSIモードでない中継機20又はセンサ30は、第2募集コマンドを受信すると、第2募集コマンドが接続先候補の通信端末からのものか、及び、自身が第2条件を満たすか否かを判定する。その結果、データステーション10を接続先候補の通信端末とし、第2強度以上の受信信号強度で第2募集コマンドを受信した中継機20は、接続申請をデータステーション10へ送信(返信)する。第2募集コマンドは、第1募集コマンドに対して接続申請する通信端末が1個も存在しない場合に送信されるので、第2募集コマンドに応答する中継機20は、実質的に第2強度以上で且つ第1強度未満の受信信号強度で第2募集コマンドを受信した中継機20である。
【0094】
データステーション10は、接続申請を受信すると、ステップS109において、承認処理を行う。ステップS108,S109における処理は、第1募集コマンドの場合のステップS104,S105と同様である。第2募集コマンドに対する接続申請を受信しないようになるまで、データステーション10は、ステップS107,S108,S109の処理を繰り返す。
【0095】
ステップS108において、接続申請が無い場合には、データステーション10は、ステップS110において更新フラグF1が1か否かを判定する。ステップS110の処理は、ステップS106の処理と同様である。つまり、第2募集コマンドに対して承認処理を実行した中継機20が1個でも存在する場合には、更新フラグF1が1となっているので、データステーション10は、ステップS115においてサーチコマンド送信を実行する。一方、第2募集コマンドに対して承認処理を実行した中継機20が1個も存在しない場合(即ち、最初の第2募集コマンドに対して接続申請が無い場合)には、更新フラグF1が0のままなので、データステーション10は、ステップS111へ進む。
【0096】
つまり、通信可能な中継機20が存在するものの、第2強度以上の受信信号強度で通信できる中継機20が存在しない場合には、データステーション10は、ステップS111において、第3募集コマンドの送信を実行する。具体的には、データステーション10は、接続元の通信端末に第3募集コマンドをブロードキャストさせる。今回のタイムスロットはデータステーション10の特定スロットなので、データステーション10が第3募集コマンドをブロードキャストする。
【0097】
データステーション10は、ステップS112において、接続申請があるか否かを判定する。詳しくは、アクティブ状態で且つRSSIモードでない中継機20又はセンサ30は、第3募集コマンドを受信すると、第3募集コマンドが接続先候補の通信端末からのものか、及び、自身が第3条件を満たすか否かを判定する。その結果、データステーション10を接続先候補の通信端末とし、第3強度以上の受信信号強度で第3募集コマンドを受信した中継機20は、接続申請をデータステーション10へ送信(返信)する。第3募集コマンドは、第1募集コマンド及び第2募集コマンドに対して接続申請する通信端末が1個も存在しない場合に送信されるので、第3募集コマンドに応答する中継機20は、実質的に第3強度以上で且つ第2強度未満の受信信号強度で第3募集コマンドを受信した中継機20である。
【0098】
データステーション10は、接続申請を受信すると、ステップS113において、承認処理を行う。ステップS112,S113における処理は、第1募集コマンドの場合のステップS104,S105と同様である。第3募集コマンドに対する接続申請を受信しないようになるまで、データステーション10は、ステップS111,S112,S113の処理を繰り返す。
【0099】
ステップS112において、接続申請が無い場合には、データステーション10は、ステップS114において更新フラグF1が1か否かを判定する。ステップS114の処理は、ステップS106の処理と同様である。つまり、第3募集コマンドに対して承認処理を実行した中継機20が1個でも存在する場合には、更新フラグF1が1となっているので、データステーション10は、ステップS115においてサーチコマンドの送信を実行する。一方、第3募集コマンドに対して承認処理を実行した中継機20が1個も存在しない場合には、更新フラグF1が0のままなので、データステーション10は、ステップS201へ進み、センサ30の接続を行う。
【0100】
このように、接続元の通信端末の周囲に通信可能な中継機20が存在する場合には、第1募集コマンド、第2募集コマンド、第3募集コマンドの優先順位で募集コマンドの送信が実行される。何れかの募集コマンドに対して中継機20の接続先が決定されると、同種の募集コマンドに対して申請が無くなるまで募集コマンドの送信及び承認処理が継続され、同種の募集コマンドに対して申請が無くなると、異なる種類の募集コマンドの送信は実行されない。新たな中継機20の接続によって無線ネットワークが更新されたので、データステーション10は、未接続の中継機20及びセンサ30をRSSIモードに移行させて、サーチ動作を実行させる。未接続の中継機20及びセンサ30は、更新された無線ネットワークに対してサーチ動作を実行することによって、接続先候補の通信端末を再検索する。そして、今回の特定スロットにおける接続処理が終了する。
【0101】
データステーション10は、接続処理を終了した後は、特定スロットにおける残りの期間において、必要な処理を適宜実行する。具体的には、データステーション10は、今回の特定スロットでは接続処理を終了した後は、ステップS100の処理を再開し、別の特定スロットの開始を監視する。データステーション10は、その間に各種処理を適宜実行する。
【0102】
通信スケジュールに従って別の特定スロットが到来すると、データステーション10は、ステップS101からの処理を再び行う。データステーション10にだけ特定スロットが割り当てられた状態から接続処理が開始され、新たな中継機20に特定スロットが割り当てられるまでは、次に到来する特定スロットは、次回の通信スケジュールにおけるデータステーション10の特定スロットである。つまり、何れかの中継機20に特定スロットが割り当てられるまでは、通信スケジュールごとに到来するデータステーション10の特定スロットにおいて、データステーション10を接続元の通信端末とする接続処理が実行され続ける。
【0103】
データステーション10の次の特定スロットが到来すると、データステーション10は、再び、データステーション10を接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0104】
例えば、1サイクル前の通信スケジュールの特定スロットにおいて、データステーション10が第1募集コマンドに対して申請のあった中継機20の接続先を決定していた場合、未接続の中継機20が新たに配置された場合等を除いて、データステーション10の周囲には第1募集コマンドに応答する中継機20が存在しない。そのため、データステーション10は、
図9のフローチャートに従って接続処理を実行して、プレ募集コマンドに対して応答する中継機20が存在したとしても、該中継機20は第1募集コマンドには応答しない。
【0105】
つまり、データステーション10は、ステップS103において第1募集コマンドの送信を実行しても、接続申請を受信せず、ステップS104からステップS106を経て、ステップS107において第2募集コマンドの送信を実行する。データステーション10は、第2募集コマンドに対する接続申請を受信した場合には、第2募集コマンドに応じる全ての中継機20の接続先を決定して、未接続の中継機20及びセンサ30をRSSIモードに移行させて、今回の特定スロットでの接続処理を終了する。
【0106】
一方、データステーション10は、第2募集コマンドに対する接続申請を受信しない場合には、データステーション10は、ステップS108からステップS110を経て、ステップS111において第3募集コマンドの送信を実行する。データステーション10は、第3募集コマンドに対する接続申請を受信した場合には、第3募集コマンドに応じる全ての中継機20の接続先を決定して、未接続の中継機20及びセンサ30をRSSIモードに移行させて、今回の特定スロットでの接続処理を終了する。
【0107】
ただし、データステーション10は、第2募集コマンドに対して中継機20を新たに接続した場合には、今回の特定スロットにおいて第3募集コマンドを送信することはない。その場合、データステーション10は、通信スケジュールの次のサイクルにおける自身の特定スロットにおいて、第1募集コマンド及び第2募集コマンドに対する申請の未受信を経て、第3募集コマンドの送信を実行する。
【0108】
このように、データステーション10は、第1募集コマンド、第2募集コマンド、第3募集コマンドの優先順位で募集コマンドを送信し、何れかの募集コマンドに対して新たな中継機20の接続先を決定すると、同種の募集コマンドに対して接続申請する中継機20が無くなるまでは中継機20の接続を継続する。データステーション10は、優先順位がより低い募集コマンドの送信を実行する前に、未接続の中継機20及びセンサ30をRSSIモードに移行させて、今回の特定スロットでの接続処理を終了する。これにより、接続元の通信端末に中継機20を段階的に接続しつつ、新たに接続された中継機20が未接続の中継機20及びセンサ30の接続先候補となるか否かを随時確認することができる。
【0109】
一方、接続処理が進行して何れかの中継機20に特定スロットが割り当てられると、データステーション10の特定スロットだけでなく、中継機20の特定スロットも到来するようになる。中継機20の特定スロットにおいては、データステーション10は、特定スロットに割り当てられた中継機20を接続元の通信端末として接続処理、即ち、ステップS101以降の処理を実行する。
【0110】
中継機20の特定スロットにおいては、データステーション10は、特定スロットに割り当てられた中継機20に募集コマンドの送信指令を送り、該中継機20に募集コマンドをブロードキャストさせる。募集コマンドは、データステーション10からではなく、中継機20からブロードキャストされる。そのため、データステーション10からでは到達しない範囲まで、募集コマンドが伝播し得る。データステーション10を接続元の通信端末とした場合と同様に、プレ募集コマンドが送信された後、第1募集コマンド、第2募集コマンド、第3募集コマンドの優先順位で募集コマンドが送信される。接続元の中継機20は、何れかの募集コマンドに対して他の中継機20から接続申請を受信すると、接続申請をデータステーション10へ転送する。
【0111】
データステーション10は、申請した中継機20の接続先として、接続元の中継機20を登録する。データステーション10は、承認コマンド、並びに、更新されたツリーテーブル等の情報及び特定スロットの情報を接続元の中継機20を介して、申請した中継機20に送信する。
【0112】
データステーション10は、申請があった募集コマンドと同種の募集コマンドに対して申請する中継機20が無くなるまで、募集コマンドの送信及び承認処理を繰り返す。その後は、新たな中継機20の接続によって無線ネットワークが更新されたので、データステーション10は、接続元の中継機20と通信可能であって且つ未接続の中継機20及びセンサ30をRSSIモードに移行させて、サーチ動作を実行させる。未接続の中継機20及びセンサ30は、更新された無線ネットワークに対してサーチ動作を実行することによって、接続先候補の通信端末を再検索する。そして、今回の特定スロットにおける接続処理が終了される。特定スロットの残りの期間においては、特定スロットに割り当てられた中継機20は、収集処理等の各種処理を実行する。
【0113】
データステーション10は、新たな特定スロットが到来するたびに、特定スロットに割り当てられたデータステーション10又は中継機20を接続元の通信端末として接続処理を実行する。尚、通信端末ごとの接続処理は、それぞれ独立している。
【0114】
プレ募集コマンドに対して接続申請を行う未接続の中継機20が存在する間は、データステーション10は、このような中継機20の接続を行う。一方、ステップS102においてデータステーション10がプレ募集コマンドに対して接続申請を受信しない場合には、データステーション10は、接続元の通信端末の周囲に通信可能な未接続の中継機20が存在しないと判定する。この場合、データステーション10は、ステップS102からステップS201へ進み、センサ30の接続を行う。センサ30の接続も、中継機20の接続と同様に、データステーション10は、通信スケジュールに応じて特定スロットに対応する通信端末に接続されるセンサ30を決定していく。
【0115】
まずは、データステーション10の特定スロットを例にして、センサ30の接続に関して説明する。データステーション10は、第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドを用いてセンサ30の接続を行う。データステーション10は、第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドを択一的に送信する。これにより、接続可能なセンサ30が複数存在する場合であっても、接続申請が可能なセンサ30の個数を制限することによって、接続理の効率化を図ることができる。尚、データステーション10は、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドを用いる。
【0116】
第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドはそれぞれ、複数のセンサ30のうち対象とするセンサ30の属性の種類を規定している。詳しくは、第4募集コマンドには、対象の通信端末の条件として第4条件が設定されている。第5募集コマンドには、対象の通信端末の条件として第5条件が設定されている。第6募集コマンドには、対象の通信端末の条件として第6条件が設定されている。第4条件、第5条件及び第6条件のそれぞれは、通信端末の種類及び機器IDに関する。第4条件、第5条件及び第6条件はいずれも、通信端末の種類としてセンサ30を規定している。第4条件、第5条件及び第6条件はいずれも、センサ30の機器IDの末尾の値の種類を規定している。この例では、センサ30の機器IDの末尾は、0~9の10種類の数字の何れかで表現されている。つまり、複数のセンサ30は、機器IDの末尾の数字に基づいて複数の種類に分類される。
【0117】
複数のセンサ30は、機器IDの末尾の数字の種類に基づいて所定の種類数ずつに複数のグループに分けられる。つまり、第4募集コマンドは、所定の種類数の機器IDの末尾の数字の種類を規定することによって、規定された数字の種類と一致する機器IDの末尾を有するセンサ30で構成される一のグループを形成する。第4募集コマンドは、規定する機器IDの末尾の数字を変更することによって、センサ30の別のグループを形成する。第4募集コマンドで規定される機器IDの末尾の数字の種類が所定の種類数ずつ切り替えられることによって、複数のセンサ30が所定の種類数ずつの複数のグループに分けられる。
【0118】
第5募集コマンド及び第6募集コマンドのそれぞれも、第4募集コマンドと同様に、所定の種類数の機器IDの末尾の数字の種類を規定することによって、規定された数字の種類と一致する機器IDの末尾を有するセンサ30で構成される一のグループを形成する。ただし、第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドのそれぞれでは、規定する数字の種類数が互いに異なる。具体的には、第4募集コマンドで規定する数字の種類数よりも、第5募集コマンドで規定する数字の種類数の方が多い。第5募集コマンドで規定する数字の種類数よりも、第6募集コマンドで規定する数字の種類数の方が多い。
【0119】
この例では、第4募集コマンドは、1種類の数字を規定する。第4募集コマンドが規定する数字が1種類ずつ切り替えられることによって、複数のセンサ30は、機器IDの末尾の数字の種類に基づいて1種類ごとに複数のグループに分けられる。第5募集コマンドは、4種類の数字を規定する。第5募集コマンドが規定する数字が4種類ずつ切り替えられることによって、複数のセンサ30は、機器IDの末尾の数字の種類に基づいて4種類ごとに複数のグループに分けられる。第6募集コマンドは、5種類の数字を規定する。第6募集コマンドが規定する数字が5種類ずつ切り替えられることによって、複数のセンサ30は、機器IDの末尾の数字の種類に基づいて5種類ごとに複数のグループに分けられる。
【0120】
尚、各募集コマンドで規定される種類数が機器IDの末尾の数字の全種類数の約数でない場合には、何れかのグループに含まれるセンサ30の種類数が募集コマンドで規定される種類数に足りないこと、又は、何れかのグループが他のグループにも含まれる種類のセンサ30も重複して含むこともあり得る。
【0121】
センサ30の接続が開始される段階では(即ち、ステップS201の段階では)、第4条件、第5条件及び第6条件は、機器IDの末尾として、異なる数字を規定している。すなわち、第4条件は、10種類の数字のうち一部の数字を規定している。第5条件は、第4条件で規定されていない残りの数字のうち一部の数字を規定している。第6条件は、第4条件及び第5条件のいずれでも規定されていない残りの数字を規定している。
【0122】
センサ30の接続が開始される段階(即ち、ステップS201の段階)での、第4条件、第5条件及び第6条件で規定する機器IDの末尾の数字の一例を
図11に示す。
図11は、第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドで規定される機器IDの末尾の数字の一覧表である。
図11の表の第1行(最も上の行)には、機器IDの末尾の数字の種類が列挙されている。
図11の表の第1列(最も左の列)には、募集コマンドの種類が列挙されている。表中の「1」は、対応する募集コマンドにおいて該当する数字が規定されていることを示す。一方、表中の「0」は、対応する募集コマンドにおいて該当する数字が規定されていないことを示す。つまり、第4募集コマンドは、第4条件として、センサ30の機器IDの末尾が「0」であることを規定している。第5募集コマンドは、第5条件として、センサ30の機器IDの末尾が「1」,「2」,「3」,「4」のいずれかであることを規定している。第6募集コマンドは、第6条件として、センサ30の機器IDの末尾が「5」,「6」,「7」,「8」,「9」のいずれかであることを規定している。
【0123】
尚、この例では、第4条件、第5条件及び第6条件は、電波強度をさらに規定している。詳しくは、第4条件、第5条件及び第6条件のいずれも、受信信号強度が所定の第4強度以上であることである。第4強度は、安定的な通信を実現できる受信信号強度である。例えば、第4強度は、プレ強度よりも高く且つ第3強度よりも低い値であってもよい。第4条件、第5条件及び第6条件の全てにおいて、共通の第4強度が設定されている。つまり、第4条件、第5条件及び第6条件における受信信号強度は、接続可能な複数のセンサ30をグループ分けするためではなく、安定的に通信できるセンサ30か否かを判別するための条件である。
【0124】
まず、データステーション10は、ステップS201において、第4募集コマンドの送信を実行する。具体的には、データステーション10は、接続元の通信端末に第4募集コマンドをブロードキャストさせる。今回のタイムスロットはデータステーション10の特定スロットなので、データステーション10が第4募集コマンドをブロードキャストする。第4募集コマンドは、前述の如く、第4強度以上の受信信号強度で第4募集コマンドを受信し且つ、機器IDの末尾が第4条件で規定された値のセンサ30に応答を要求する。第4募集コマンドは、対象のセンサ30の機器IDの末尾として何れか1種類の数字を規定している。
【0125】
データステーション10は、ステップS202において、接続申請があるか否かを判定する。詳しくは、アクティブ状態で且つRSSIモードでない中継機20又はセンサ30は、第4募集コマンドを受信すると、第4募集コマンドが接続先候補の通信端末からのものか、及び、自身が第4条件を満たすか否かを判定する。その結果、データステーション10を接続先候補の通信端末とし、第4強度以上の受信信号強度で第4募集コマンドを受信し且つ機器IDの末尾が第4条件に合致するセンサ30は、接続申請をデータステーション10へ送信(返信)する。
【0126】
接続処理における最初の第4募集コマンドの送信は、募集コマンドに対するセンサ30からの申請の有無を確認する確認送信として実行される。確認送信は、募集コマンドに対して申請を行うセンサ30が接続元の通信端末の周囲に存在するか否かを確認するための送信である。第4募集コマンドにおいて機器IDの末尾の数字の種類が1種類に限定されている。それにもかかわらず申請が有った場合には、接続元の通信端末の周囲に多くの接続可能なセンサ30が存在する可能性が高い。データステーション10は、確認送信に対して申請が有った場合には、募集コマンドで限定する種類数を確認送信における種類数、即ち、1種類で確定する。つまり、データステーション10は、これ以降は、第5募集コマンド及び第6募集コマンドを用いることなく、第4募集コマンドを用いることによって、対象となるセンサ30を限定してセンサ30の接続を行う。データステーション10は、必要に応じて、第4募集コマンドで規定する1種類の機器IDの末尾の数字を切り替えることによって、対象として限定するセンサ30を変更してセンサ30の接続を繰り返す。
【0127】
詳しくは、データステーション10は、第4募集コマンドに対する接続申請を受信すると、ステップS203において、承認処理を行う。最初の第4募集コマンドの送信は、確認送信であると共に、センサ30の接続を募集する通常の募集コマンドの送信でもある。そのため、データステーション10は、接続申請を行ったセンサ30の接続を承認し、データステーション10に接続されるセンサ30として登録する。データステーション10は、必要に応じて、センサテーブルを更新する。データステーション10は、申請を承認する承認コマンド、中継機接続情報(即ち、センサ30が接続される通信端末を特定する情報)、及び、センサ30が接続される通信端末のスロット番号をセンサ30に送信する。
【0128】
さらに、データステーション10は、確認フラグF2を1に設定する。確認フラグF2は、確認送信に対して申請が有ったことを表すフラグである。つまり、確認フラグF2が1であることは、確認送信に対して何れかのセンサ30から接続申請が有ったことを示す。確認フラグF2が0であることは、確認送信に対してセンサ30からの接続申請が無かったことを示す。確認フラグF2は、接続処理の開始時に0に初期化されている。データステーション10は、確認フラグF2を1に設定することによって、センサ30の接続を行う募集コマンドを第4募集コマンドに決定する。すなわち、確認フラグF2を1に設定することは、募集コマンドで限定する種類数を確認送信における種類数で確定することに相当する。
【0129】
センサ30は、承認コマンド等を受信すると、中継機接続情報及びスロット番号を記憶部23に保存する。これにより、センサ30は、接続先となる通信端末の特定スロットを知得する。センサ30は、その他の必要な処理を行って、対応する特定スロットまでスリープ状態となる。
【0130】
データステーション10は、承認処理を終えると、ステップS201に戻って、第4募集コマンドを再び送信する。データステーション10は、ステップS201からの処理を繰り返すことによって、接続申請を受け取った順にセンサ30の承認処理を行う。第4募集コマンドに応答可能な全てのセンサ30の承認処理を終えるまで、データステーション10は、センサ30の承認処理を1個ずつ実行する。やがて、現在の第4募集コマンドに対して接続申請を返すセンサ30が存在しないようになる。
【0131】
データステーション10は、ステップS202において第4募集コマンドに対する接続申請を受信しなかった場合には、ステップS204において、確認フラグF2が1か否かを判定する。つまり、データステーション10は、ステップS204において、第4募集コマンドの確認送信に対してセンサ30からの接続申請が有ったか否かを判定する。
【0132】
確認フラグF2が1の場合には、センサ30の接続を行う募集コマンドが第4募集コマンドに決定されている。データステーション10は、第5募集コマンド及び第6募集コマンドを用いることなく、第4募集コマンドを用いてセンサ30の接続を続行する。データステーション10は、ステップS205において、一連の接続処理において募集コマンドが規定する数字を変更することによって機器IDの末尾の全種類の数字を規定し終えたか否かを判定する。募集コマンドがまだ全種類の数字を規定していない場合には、データステーション10は、ステップS206において、第4条件で規定する1種類の機器IDの末尾の数字を、まだ規定されていない数字に変更する。そして、データステーション10は、ステップS201に戻って、規定する1種類の機器IDの末尾の数字が変更された第4募集コマンドを送信する。
【0133】
変更後の1種類の数字を機器IDの末尾とするセンサ30からの接続申請がなくなるまで、データステーション10は、ステップS201,S202及びS203の処理を繰り返す。対象のセンサ30からの接続申請が無くなると、データステーション10は、第4条件で規定する1種類の機器IDの末尾の数字を、まだ規定されていない数字に変更する。
【0134】
データステーション10は、このような処理を、第4募集コマンドが、機器IDの末尾の全種類の数字を規定し終えるまで繰り返す。つまり、データステーション10は、第4募集コマンドで規定された機器IDの末尾の数字の種類を1種類ずつ切り替えることによって、機器IDの末尾の数字の種類に基づいて分けられた、センサ30のグループの全てに対して第4募集コマンドを送信する。
【0135】
第4募集コマンドが全種類の数字を規定し終えると、データステーション10は、ステップS205においてYESと判定し、今回の特定スロットでの接続処理を終了し、ステップS100へ戻る。データステーション10は、接続処理を一旦終了した後は、ステップS100の処理を再開し、別の特定スロットの開始を監視する。データステーション10は、その間に各種処理を適宜実行する。
【0136】
一方、第4募集コマンドの確認送信に対して申請が無かった場合には、接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30は多くない可能性が高い。そのため、データステーション10は、確認送信に対して申請が無かった場合には、限定する種類数を増加させた募集コマンドを用いて確認送信を再び実行する。具体的には、データステーション10が最初の第4募集コマンドの送信、即ち、第4募集コマンドの確認送信に対して接続申請を受信しなかった場合には、確認フラグF2は0のままである。そのため、データステーション10は、ステップS204においてNoと判定してステップS207へ進む。
【0137】
データステーション10は、ステップS207において、第5募集コマンドの送信を実行する。データステーション10は、接続元の通信端末に第5募集コマンドをブロードキャストさせる。今回のタイムスロットはデータステーション10の特定スロットなので、データステーション10が第5募集コマンドをブロードキャストする。第5募集コマンドは、前述の如く、第4強度以上の受信信号強度で第5募集コマンドを受信し且つ、機器IDの末尾が第5条件で規定された値のセンサ30に応答を要求する。第5募集コマンドは、限定する機器IDの末尾の数字の種類数が第4募集コマンドに比べて多く、具体的には4種類である。尚、第5募集コマンドは、第4募集コマンドの確認送信に対して申請が無かった場合に用いられるので、確認送信時に第4募集コマンドで規定された機器IDの末尾の数字を有するセンサ30が接続元の通信端末の周囲に存在しないことが判明している。そのため、この例では、最初の第5募集コマンドは、確認送信時に第4募集コマンドで規定された数字以外の4種類の数字を規定している。
【0138】
データステーション10は、ステップS208において、接続申請があるか否かを判定する。詳しくは、アクティブ状態で且つRSSIモードでない中継機20又はセンサ30は、第5募集コマンドを受信すると、第5募集コマンドが接続先候補の通信端末からのものか、及び、自身が第5条件を満たすか否かを判定する。その結果、データステーション10を接続先候補の通信端末とし、第4強度以上の受信信号強度で第5募集コマンドを受信し且つ機器IDの末尾が第5条件に合致するセンサ30は、接続申請をデータステーション10へ送信(返信)する。
【0139】
第5募集コマンドの最初の送信は、確認送信として実行される。第5募集コマンドが送信されているということは、第4募集コマンドに対して接続申請するセンサ30が存在しないことを意味するので、接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30は多くはないと考えられる。そのため、データステーション10は、第4募集コマンドから第5募集コマンドに変更することによって対象となるセンサ30を拡大して、申請を行うセンサ30が接続元の通信端末の周囲に存在するか否かを確認する。
【0140】
データステーション10は、第5募集コマンドに対する接続申請を受信すると、ステップS209において、承認処理を行う。最初の第5募集コマンドの送信は、確認送信であると共に、センサ30の接続を募集する通常の募集コマンドの送信でもある。データステーション10の承認処理及び承認後の処理は、前述のステップS203以降の処理と同様である。承認されたセンサ30の処理も前述の通りである。尚、ステップ209において確認フラグF2が1に設定されることは、センサ30の接続を行う募集コマンドが第5募集コマンドに決定されることを意味する。
【0141】
データステーション10は、承認処理を終えると、ステップS207に戻って、第5募集コマンドを再び送信する。データステーション10は、ステップS207からの処理を繰り返すことによって、接続申請を受け取った順にセンサ30の承認処理を行う。やがて、現在の第5募集コマンドに対して接続申請を返すセンサ30が存在しないようになる。
【0142】
データステーション10は、ステップS208において第5募集コマンドに対する接続申請を受信しなかった場合には、ステップS210において、確認フラグF2が1か否かを判定する。つまり、データステーション10は、ステップS208において、第5募集コマンドの確認送信に対してセンサ30からの接続申請が有ったか否かを判定する。
【0143】
確認フラグF2が1の場合には、センサ30の接続を行う募集コマンドが第5募集コマンドに決定されている。データステーション10は、第4募集コマンド及び第6募集コマンドを用いることなく、第5募集コマンドを用いてセンサ30の接続を続行する。データステーション10は、ステップS211において、一連の接続処理において募集コマンド(第4募集コマンドを含む)が規定する数字を変更することによって機器IDの末尾の全種類の数字を規定し終えたか否かを判定する。募集コマンドがまだ全種類の数字を規定していない場合には、データステーション10は、ステップS212において、第5条件で規定する4種類の機器IDの末尾の数字を、まだ規定されていない数字に変更する。そして、データステーション10は、ステップS207に戻って、規定する4種類の機器IDの末尾の数字が変更された第5募集コマンドを送信する。
【0144】
変更後の4種類の数字を機器IDの末尾とするセンサ30からの接続申請がなくなるまで、データステーション10は、ステップS207,S208及びS209の処理を繰り返す。対象のセンサ30からの接続申請が無くなると、データステーション10は、第5条件で規定する4種類の機器IDの末尾の数字を、まだ規定されていない数字に変更する。
【0145】
データステーション10は、このような処理を、第5募集コマンドが、機器IDの末尾の全種類の数字を規定し終えるまで繰り返す。つまり、データステーション10は、第5募集コマンドで規定された機器IDの末尾の数字の種類を4種類ずつ切り替えることによって、機器IDの末尾の数字の種類に基づいて分けられた、センサ30のグループの全てに対して第5募集コマンドを送信する。尚、機器IDの末尾の数字の全種類数は4で割り切れないので、最終的な第5条件は、既に規定された数字を含む4種類の数字を規定してもよいし、まだ規定されていな数字のみを含む、4未満の種類数の数字を規定してもよい。
【0146】
第5募集コマンドが全種類の数字を規定し終えると、データステーション10は、ステップS211においてYESと判定し、今回の特定スロットでの接続処理を終了し、ステップS100へ戻る。データステーション10は、接続処理を一旦終了した後は、ステップS100の処理を再開し、別の特定スロットの開始を監視する。データステーション10は、その間に各種処理を適宜実行する。
【0147】
一方、第5募集コマンドの確認送信に対して申請が無かった場合には、接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30は少ない可能性が高い。そのため、データステーション10は、確認送信に対して申請が無かった場合には、限定する種類数を増加させた募集コマンドを用いて確認送信を再び実行する。具体的には、データステーション10が最初の第5募集コマンドの送信、即ち、第5募集コマンドの確認送信に対して接続申請を受信しなかった場合には、確認フラグF2は0のままである。そのため、データステーション10は、ステップS210においてNoと判定してステップS213へ進む。
【0148】
データステーション10は、ステップS213において、第6募集コマンドの送信を実行する。データステーション10は、接続元の通信端末に第6募集コマンドをブロードキャストさせる。今回のタイムスロットはデータステーション10の特定スロットなので、データステーション10が第6募集コマンドをブロードキャストする。第6募集コマンドは、前述の如く、第4強度以上の受信信号強度で第6募集コマンドを受信し且つ、機器IDの末尾が第6条件で規定された値のセンサ30に応答を要求する。第6募集コマンドは、限定する機器IDの末尾の数字の種類数が第4募集コマンド及び第5募集コマンドに比べて多く、具体的には5種類である。5種類は、募集コマンドで限定される種類数の上限値である。そのため、データステーション10は、ステップS213において、募集コマンドで限定する種類数を上限値の5種類で確定する、即ち、センサ30の接続に用いる募集コマンドを第6募集コマンドに決定する。尚、第6募集コマンドは、第4募集コマンド及び第5募集コマンドの確認送信に対して申請が無かった場合に用いられるので、確認送信時に第4募集コマンド及び第5募集コマンドで規定された機器IDの末尾の数字を有するセンサ30が接続元の通信端末の周囲に存在しないことが判明している。そのため、この例では、最初の第6募集コマンドは、確認送信時に第4募集コマンド及び第5募集コマンドで規定された数字以外の5種類の数字を規定している。
【0149】
データステーション10は、ステップS214において、接続申請があるか否かを判定する。詳しくは、アクティブ状態で且つRSSIモードでない中継機20又はセンサ30は、第6募集コマンドを受信すると、第6募集コマンドが接続先候補の通信端末からのものか、及び、自身が第6条件を満たすか否かを判定する。その結果、データステーション10を接続先候補の通信端末とし、第4強度以上の受信信号強度で第6募集コマンドを受信し且つ、機器IDの末尾が第5条件に合致するセンサ30は、接続申請をデータステーション10へ送信(返信)する。
【0150】
第6募集コマンドが送信されているということは、第4募集コマンド及び第5募集コマンドに対して接続申請するセンサ30が存在しないことを意味するので、接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30は少ないと考えられる。そのため、データステーション10は、第5募集コマンドから第6募集コマンドに変更することによって対象となるセンサ30をさらに拡大する。ただし、前述の如く、第6募集コマンドで規定する種類数は上限値に達しているので、第6募集コマンドの最初の送信に対する申請の有無にかかわらず、データステーション10は、第6募集コマンドを用いたセンサ30の接続を継続する。
【0151】
具体的には、データステーション10は、第6募集コマンドに対する接続申請を受信すると、ステップS215において、承認処理を行う。データステーション10の承認処理及び承認後の処理は、前述のステップS203以降の処理と同様である。承認されたセンサ30の処理も前述の通りである。
【0152】
ただし、センサ30の接続を行う募集コマンドは、第6募集コマンドに決定されているので、確認フラグF2はもはや使用されない。そのため、ステップS215においては、確認フラグF2は、1に変更されない。
【0153】
データステーション10は、承認処理を終えると、ステップS213に戻って、第6募集コマンドを再び送信する。データステーション10は、ステップS213からの処理を繰り返すことによって、接続申請を受け取った順にセンサ30の承認処理を行う。やがて、現在の第6募集コマンドに対して接続申請を返すセンサ30が存在しないようになる。
【0154】
データステーション10は、ステップS214において第6募集コマンドに対する接続申請を受信しなかった場合には、ステップS216において、一連の接続処理において募集コマンド(第4募集コマンド及び第5募集コマンドを含む)が規定する数字を変更することによって機器IDの末尾の全種類の数字を規定し終えたか否かを判定する。募集コマンドがまだ全種類の数字を規定していない場合には、データステーション10は、ステップS217において、第6条件で規定する5種類の機器IDの末尾の数字を、まだ規定されていない数字に変更する。そして、データステーション10は、ステップS213に戻って、規定する5種類の機器IDの末尾の数字が変更された第6募集コマンドを送信する。
【0155】
変更後の5種類の数字を機器IDの末尾とするセンサ30からの接続申請がなくなるまで、データステーション10は、ステップS213,S214及びS215の処理を繰り返す。
【0156】
データステーション10は、このような処理を、募集コマンドが機器IDの末尾の全種類の数字を規定し終えるまで繰り返す。尚、最終的な第6条件は、既に規定された数字を含む5種類の数字を規定してもよいし、まだ規定されていな数字のみを含む、5未満の種類数の数字を規定してもよい。
【0157】
募集コマンドが全種類の数字を規定し終えると、データステーション10は、ステップS216においてYESと判定し、今回の特定スロットでの接続処理を終了し、ステップS100へ戻る。データステーション10は、接続処理を一旦終了した後は、ステップS100の処理を再開し、別の特定スロットの開始を監視する。データステーション10は、その間に各種処理を適宜実行する。
【0158】
このように、データステーション10は、特定スロットにおいて、特定スロットに割り当てられた通信端末を接続元の通信端末として接続処理を実行する。接続処理においては、データステーション10は、未接続で且つ通信可能な中継機20が接続元の通信端末の周囲に存在するか否かを確認し、中継機20が存在する場合には、まず中継機20の接続を実行する。未接続で且つ通信可能な中継機20が存在しない場合には、データステーション10は、センサ30の接続を実行する。すなわち、データステーション10は、中継機20の接続を優先的に実行し、中継機20の接続が完了した後にセンサ30の接続を実行する。
【0159】
接続処理の中継機20の接続においては、データステーション10は、特定スロットに割り当てられた通信端末を接続元の通信端末として、第1募集コマンド、第2募集コマンド、第3募集コマンドの優先順位で募集コマンドを送信し、何れかの募集コマンドに対して接続申請した中継機20を接続元の通信端末に接続する。データステーション10は、何れかの募集コマンドに対して新たな中継機20の接続先が決定すると、同種の募集コマンドに対して接続申請する中継機20が無くなるまでは接続処理を継続する。データステーション10は、同種の募集コマンドに対して接続申請する中継機20が無くなると、未接続の中継機20及びセンサ30をRSSIモードに移行させて、今回の特定スロットでの接続処理を終了する。未接続の中継機20及びセンサ30は、新たに接続された中継機20を含む通信端末の中から接続先候補となる通信端末を再検索する。データステーション10は、次巡以降の通信スケジュール、即ち、次回以降の特定スロットで優先順位がより低い募集コマンドに対する中継機20の接続を実行する。
【0160】
接続処理のセンサ30の接続においては、データステーション10は、特定スロットに割り当てられた通信端末を接続元の通信端末として、対象とするセンサ30を所定の種類数に限定した募集コマンドを確認送信し、申請が有った場合には募集コマンドで限定する種類数を確定させ、申請が無かった場合には種類数を増加させた募集コマンドを再び確認送信する。限定する種類数が確定すると、データステーション10は、対象とするセンサ30を確定した種類数で限定した募集コマンドを用いてセンサ30の募集を行う。データステーション10は、種類数は一定のまま、募集コマンドで規定するセンサ30の種類を変更して、センサ30の募集を繰り返す。具体的には、データステーション10は、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドを確認送信し、申請があった募集コマンドをセンサ30の募集に用いる募集コマンドとして決定する。第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドは、対象とするセンサ30をそれぞれ異なる種類数で限定している。データステーション10は、第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドのうち決定された募集コマンドを用いてセンサ30の募集を繰り返す。このとき、データステーション10は、種類数は一定のまま、募集コマンドで規定するセンサ30の種類を変更して、センサ30の募集を繰り返す。
【0161】
全体的に見ると、通信スケジュールに従って到来する特定スロットに応じて、接続元となる通信端末が切り替えられ、切り替えられた接続元の通信端末に対してこのような接続処理が実行されていく。
【0162】
このような接続処理を具体例を用いてさらに説明する。例えば、データステーション10、中継機20及びセンサ30は、接続先が未決定の状態で工場内に配置される。
【0163】
まず、この状態から同期処理が行われる。具体的には、未接続の中継機20及びセンサ30は、同期信号を待機している。データステーション10は、自身の特定スロットにおいて同期信号をブロードキャストする。同期信号を受信できる中継機20a、中継機20b、中継機20d、センサ30a、センサ30b、センサ30d、センサ30o及びセンサ30rは、データステーション10と同期する。これらの通信端末は、通信スケジュールの今回のサイクルにおいてRSSIモードとなる。通信スケジュールの今回のサイクルにおいてはデータステーション10しか同期信号を送信していないので、これらの中継機20a等は全て、データステーション10を接続先候補として設定する。
【0164】
尚、特定スロットにおいては、同期信号を送信する期間、接続処理を実行する期間、その他の所定の処理を実行する期間等が決まっている。例えば、データステーション10は、自身の特定スロットにおいて同期信号を送信した後に接続処理を実行する。しかし、通信可能な中継機20及びセンサ30は、RSSIモードとなっているので接続処理に対して応答しない。結果として、このサイクルでは接続処理は進展しない。
【0165】
通信スケジュールの次のサイクルにおいて、データステーション10は、自身の特定スロットにおいて、接続処理を実行する。
図12は、データステーション10の特定スロットにおける接続処理の一例のシーケンス図である。
図12では、一部の中継機20及びセンサ30だけが図示されている。既に同期している中継機20a等は、RSSIモードを終えて、接続処理に応答可能な状態となっている。データステーション10は、接続処理として、プレ募集コマンドをまずブロードキャストする(ステップS101)。
【0166】
データステーション10を接続先候補とする通信端末のうち、プレ募集コマンドを受信し、プレ条件を満たす通信端末は、接続申請を返信する。例えば、中継機20a、中継機20b、及び中継機20dがプレ条件を満たす。中継機20a,中継機20b、及び中継機20dは、それぞれがランダムの待機時間だけ待機して接続申請を返信する。データステーション10は、最も早く到達した接続申請(この例では、中継機20dからの接続申請)を受信する。
【0167】
データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信すると、第1募集コマンド、第2募集コマンド、第3募集コマンドの優先順位で募集コマンドを接続申請が返ってくるまでブロードキャストする(ステップS103,S107,S111)。この例では、中継機20a及び中継機20bが第1条件を満たすので、第1募集コマンドに対し、中継機20a及び中継機20bのいずれかが接続申請を返信する。
【0168】
データステーション10は、中継機20aの接続申請を先に受信した場合、中継機20aの接続を承認する(ステップS105)。データステーション10は、ツリーテーブル等を更新すると共に、中継機20aに特定スロットを割り当てる。このとき、データステーション10は、現在のタイムスロットよりも後のタイムスロットを割り当てる。これにより、割り当てられた特定スロットは、通信スケジュールの今回のサイクル中に到来することになる。中継機20aは、必要な処理を実行した後、割り当てられた特定スロットまでスリープ状態となる。
【0169】
再び、データステーション10は、第1募集コマンドをブロードキャストする(ステップS103)。それに対し、次に中継機20bが接続申請を返信する。データステーション10は、中継機20bの接続を承認し(ステップS105)、中継機20aの承認のときと同様の処理を行う。中継機20bは、必要な処理を実行した後、割り当てられた特定スロットまでスリープ状態となる。
【0170】
その後、データステーション10は、第1募集コマンドをブロードキャストする(ステップS103)。しかし、第1募集コマンドの対象となる未接続の通信端末は、もう存在しない。その結果、データステーション10は、サーチコマンドをブロードキャストする(ステップS115)。未接続で且つデータステーション10と通信可能な通信端末は、サーチコマンドを受信する。この例では、中継機20d、センサ30a、センサ30b、センサ30d、センサ30o及びセンサ30rが、サーチコマンドを受信し、RSSIモードに移行する。接続処理によって中継機20a及び中継機20bがネットワークに新たに接続されたので、未接続の通信端末は、中継機20a及び中継機20bを含む新たなネットワークに対して受信信号強度を測定して、接続先候補の通信端末を更新する。
【0171】
データステーション10は、今回の通信スケジュールの特定スロットでのデータステーション10を接続元の通信端末とする接続処理を終了する。この時点では、データステーション10に、中継機20a及び中継機20bだけが接続されたツリー型のネットワークが形成される。また、列L1,行N1のタイムスロットに中継機20aが割り当てられ、列L1,行N2のタイムスロットに中継機20bが割り当てられた通信スケジュールが形成される。
【0172】
通信スケジュールに従うと、次に、中継機20aの特定スロット(即ち、列L1,行N1のタイムスロット)が到来する。中継機20aは、特定スロットにおいて、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。中継機20aは、特定スロットにおいて、同期信号を送信し、接続処理を実行し、その他の所定の処理を実行する。
【0173】
具体的には、中継機20aは、同期信号をブロードキャストする。中継機20aから同期信号が送信されることによって、データステーション10からは信号が到達しない位置に配置された通信端末まで同期信号が届くようになる。例えば、中継機20c、中継機20e、センサ30e、センサ30f、センサ30g、センサ30h、センサ30i、センサ30j、センサ30k、センサ30l及びセンサ30mは、中継機20aと同期すると共に、RSSIモードとなる。
【0174】
このとき既にRSSIモードとなっており且つ中継機20aからの同期信号が届く範囲に位置する通信端末(例えば、中継機20d、センサ30a、センサ30b及びセンサ30d)は、同期信号の受信信号強度を測定する。
【0175】
その後、中継機20aを接続元の通信端末とする接続処理が実行される。データステーション10と中継機20aとが協働して、この接続処理を実行する。具体的には、データステーション10は、中継機20aに指令を出し、中継機20aは、募集コマンド、承認コマンド及びサーチコマンド等を送信する。中継機20aは、受信した接続申請等をデータステーション10へ送信、即ち、中継する。つまり、データステーション10が接続処理を実質的に管理し、中継機20aが周囲の通信端末とコマンド等の送受信を行う。尚、中継機20a以外の中継機20の特定スロットにおいても同様である。
【0176】
具体的には、データステーション10は、中継機20aへプレ募集コマンドを送信(ユニキャスト)する。このプレ募集コマンドは、中継機20aにプレ募集コマンドをブロードキャストさせる指令に相当する。中継機20aは、プレ募集コマンドをブロードキャストする。しかし、今回の特定スロットでは、中継機20aを接続先候補とする未接続で且つRSSIモードでない通信端末が存在しないので、接続処理は進展しない。
【0177】
データステーション10及び中継機20aは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20aを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。中継機20aは、特定スロットの残りの期間において、所定の処理を適宜実行する。
【0178】
次に、中継機20bの特定スロット(即ち、列L1,行N2のタイムスロット)が到来する。中継機20bは、特定スロットにおいて、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。中継機20bも、中継機20aと同様に、特定スロットにおいて、同期信号を送信し、接続処理を実行し、その他の所定の処理を実行する。
【0179】
中継機20bは、同期信号をブロードキャストする。中継機20bから同期信号が送信されることによって、中継機20f、センサ30c及びセンサ30nは、中継機20bと同期すると共に、RSSIモードとなる。
【0180】
このとき既にRSSIモードとなっており且つ中継機20bからの同期信号が届く範囲に位置する通信端末(例えば、中継機20c、中継機20e、センサ30a、センサ30b、センサ30d、センサ30k、センサ30l及びセンサ30m)は、同期信号の受信信号強度を測定する。
【0181】
その後、データステーション10と中継機20bとが協働して、中継機20bを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。具体的な処理は、中継機20aの特定スロットにおける処理と同様である。しかし、今回の特定スロットでは、中継機20bを接続先候補とする未接続で且つRSSIモードでない通信端末が存在しないので、接続処理は進展しない。
【0182】
データステーション10及び中継機20bは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20bを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。中継機20bは、特定スロットの残りの期間において、所定の処理を適宜実行する。
【0183】
通信スケジュールの今回のサイクルにおいて、中継機20bの特定スロットの後のタイムロットにおいては、中継機20が割り当てられていないので、このサイクルは特段の処理が行われることなく終了する。
【0184】
通信スケジュールの1サイクルが終了すると、データステーション10の特定スロットにおいてRSSIモードとなった各通信端末は、通信スケジュールの1サイクル分の間、サーチ動作を行ったので、RSSIモードを終了する。各通信端末は、RSSIモードにおける受信信号強度の測定の結果、受信信号強度が最も高い通信端末(データステーション10又は中継機20)を接続先候補として設定する。例えば、中継機20dは、データステーション10を接続先候補に設定する。センサ30aは、データステーション10を接続先候補に設定する。他のセンサ30も、受信信号強度が最も高い通信端末を接続先候補に設定する。
【0185】
通信スケジュールの次のサイクルにおいては、まず、データステーション10は、自身の特定スロットにおいて、まず同期信号を送信する。前回のサイクルの特定スロットが終了してから今回の特定スロットまでの間に新たな通信端末がデータステーション10と通信可能な範囲に配置された場合には、新たな通信端末は、データステーション10からの同期信号を受信して、同期すると共にRSSIモードに移行する。前回のサイクルにおいて、同期を完了し、RSSIモードであった通信端末は、今回のサイクルにおいて同期信号を受信しても特段の処理を実行しない。
【0186】
図13は、データステーション10の特定スロットにおける接続処理の別の例のシーケンス図である。
図13では、一部の中継機20及びセンサ30だけが図示されている。データステーション10は、接続処理に移行し、プレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。データステーション10を接続先候補とする通信端末のうち、プレ募集コマンドを受信し、プレ条件を満たす通信端末は、接続申請を返信する。中継機20a及び中継機20bは、プレ条件を満たす可能性があるが、既に接続先が決定し、さらにスリープ状態となっているので、プレ募集コマンドに対して返信しない。この例では、中継機20dがデータステーション10を接続先候補とし、プレ募集コマンドを受信し、且つ、プレ条件を満たす。
【0187】
データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信すると、第1募集コマンドをブロードキャストする(ステップS103)。この例では、中継機20a及び中継機20bが第1条件を満たすが、中継機20a及び中継機20bはスリープ状態となっているので、第1募集コマンドに対して接続申請を返信できる中継機20は存在しない。次に、データステーション10は、第2募集コマンドをブロードキャストする(S107)。中継機20dは、データステーション10を接続先候補に設定し且つ、第2条件を満たす。そのため、中継機20dは、第2募集コマンドに対して接続申請を返信する。データステーション10は、中継機20dの接続を承認する(ステップS109)。データステーション10は、ツリーテーブル等を更新すると共に、中継機20dに特定スロットを割り当てる。中継機20dは、必要な処理を実行した後、割り当てられた特定スロットまでスリープ状態となる。
【0188】
再び、データステーション10は、第2募集コマンドをブロードキャストする(ステップS107)。しかし、第2募集コマンドの対象となる通信端末である中継機20dは、既に接続が承認されてスリープ状態となっているので、接続申請を返信する通信端末が存在しない。その結果、データステーション10は、サーチコマンドをブロードキャストする(ステップS115)。未接続で且つデータステーション10と通信可能な通信端末は、サーチコマンドを受信可能である。この例では、センサ30a、センサ30b、センサ30d、センサ30o及びセンサ30rが、サーチコマンドを受信し、RSSIモードに移行する。接続処理によって中継機20dがネットワークに新たに接続されたので、未接続の通信端末は、中継機20dを含む新たなネットワークに対する受信信号強度を測定する。
【0189】
次に、中継機20aの特定スロットが到来する。中継機20aは、特定スロットにおいて、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。中継機20aは、特定スロットにおいて、同期信号を送信し、接続処理を実行し、その他の所定の処理を実行する。
【0190】
尚、中継機20aの特定スロットの1つ前のタイムスロットにおいて、1サイクル前の中継機20aの特定スロットにおいてRSSIモードとなった各通信端末は、通信スケジュールの1サイクル分のサーチ動作を終了する。各通信端末は、RSSIモードにおける受信信号強度の測定の結果、受信信号強度が最も高い通信端末(データステーション10又は中継機20)を接続先候補として設定する。以下、説明を省略するが、RSSIモードの通信端末は、通信スケジュールの1サイクル分のサーチ動作が終了するタイミングで、適宜、RSSIモードを終了して、接続先候補を設定する。
【0191】
まず、中継機20aは、同期信号をブロードキャストする。新たに配置され且つ同期信号を受信可能な通信端末は、同期信号を受信して、中継機20aと同期する。また、RSSIモードの通信端末は、中継機20aからの同期信号の受信信号強度を測定する。
【0192】
続いて、データステーション10及び中継機20aは、中継機20aを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
図14は、中継機20aの特定スロットにおける接続処理の一例のシーケンス図である。
図14では、一部の中継機20及びセンサ30だけが図示されている。具体的には、データステーション10は、中継機20aへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20aがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。中継機20cは、中継機20aを接続先候補として設定し且つ、プレ条件を満たす。そのため、中継機20cは、プレ募集コマンドに対して接続申請を返信する。
【0193】
中継機20aは、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信すると、その接続申請をデータステーション10へ送信、即ち、中継する。データステーション10は、接続申請を受信すると、次に、第1募集コマンドを中継機20aへユニキャストし、中継機20aが第1募集コマンドをブロードキャストする(ステップS103)。中継機20cは、中継機20aを接続先候補に設定し且つ、第1条件を満たす。そのため、中継機20cは、第1募集コマンドに対して接続申請を返信する。
【0194】
中継機20aは、中継機20cから接続申請を受信すると、その接続申請をデータステーション10へ送信、即ち、中継する。データステーション10は、中継機20cの接続を承認する(ステップS105)。データステーション10は、中継機20cの接続先を中継機20aに設定してツリーテーブル等を更新すると共に、中継機20cに特定スロットを割り当てる。データステーション10は、更新されたツリーテーブル及び特定スロットのスロット番号を中継機20cに通知する。
【0195】
尚、データステーション10は、更新されたツリーテーブルを中継機20cだけでなく、接続済みの全ての中継機20に通知する。更新されたツリーテーブルを受信した中継機20は、ツリーテーブルに基づいてルーティングテーブルを更新する。さらに、データステーション10は、中継機20cの特定スロットのスロット番号を、データステーション10と中継機20cとの通信経路上に存在する中継機20、即ち、中継処理を行う中継機20(この例では、中継機20a)に通知する。中継機20cの特定スロットのスロット番号が通知された中継機20は、該特定スロットを中継スロットとして設定する。データステーション10は、中継機20へのツリーテーブル又はスロット番号の通知を対応する中継機20の特定スロットにおいて行う。以下では説明を省略するが、中継機20が新たに接続された際には、データステーション10は、同様の処理を行う。
【0196】
一方、中継機20cは、必要な処理を実行した後、割り当てられた特定スロットまでスリープ状態となる。
【0197】
データステーション10は、再び、第1募集コマンドを中継機20aにユニキャストし、中継機20aは、第1募集コマンドをブロードキャストする。しかし、接続申請を返信する通信端末が存在しない。その結果、データステーション10は、サーチコマンドを中継機20aにユニキャストし、中継機20aがサーチコマンドをブロードキャストする(ステップS115)。この例では、中継機20e、センサ30e、センサ30f、センサ30g、センサ30h、センサ30i、センサ30j、センサ30k、センサ30l及びセンサ30mが、サーチコマンドを受信し、RSSIモードに移行する。接続処理によって中継機20cがネットワークに新たに接続されたので、未接続の通信端末は、中継機20cを含む新たなネットワークに対する受信信号強度を測定する。
【0198】
データステーション10及び中継機20aは、今回の中継機20aの特定スロットでの接続処理を終了する。
【0199】
次に、中継機20bの特定スロットが到来する。中継機20bは、特定スロットにおいて、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。中継機20bは、特定スロットにおいて、同期信号を送信し、接続処理を実行し、その他の所定の処理を実行する。
【0200】
まず、中継機20bは、同期信号をブロードキャストする。新たに配置され且つ同期信号を受信可能な通信端末は、同期信号を受信して、中継機20bと同期する。また、RSSIモードの通信端末は、中継機20bからの同期信号の受信信号強度を測定する。例えば、中継機20eは、先の中継機20aの特定スロットにおけるサーチコマンドによってRSSIモードとなっており、同期信号の受信信号強度を測定する。
【0201】
続いて、データステーション10及び中継機20bは、中継機20bを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。具体的には、データステーション10は、中継機20bへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20bがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。中継機20fは、中継機20bを接続先候補として設定し且つ、プレ条件を満たす。そのため、中継機20fは、プレ募集コマンドに対して接続申請を返信する。
【0202】
中継機20bは、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信すると、その接続申請をデータステーション10へ送信、即ち、中継する。データステーション10は、接続申請を受信すると、次に、第1募集コマンドを中継機20bへユニキャストし、中継機20bが第1募集コマンドをブロードキャストする(ステップS103)。中継機20fは、中継機20bを接続先候補に設定し且つ、第1条件を満たす。そのため、中継機20fは、第1募集コマンドに対して接続申請を返信する。尚、中継機20eも第1条件を満たす可能性があるが、RSSIモードとなっているので第1募集コマンドに対して返信しない。
【0203】
中継機20bは、中継機20fから接続申請を受信すると、その接続申請をデータステーション10へ送信、即ち、中継する。データステーション10は、中継機20fの接続を承認する(ステップS105)。データステーション10は、中継機20fの接続先を中継機20bに設定してツリーテーブル等を更新すると共に、中継機20fに特定スロットを割り当てる。データステーション10は、更新されたツリーテーブル及び特定スロットのスロット番号を中継機20fに通知する。
【0204】
一方、中継機20fは、必要な処理を実行した後、割り当てられた特定スロットまでスリープ状態となる。
【0205】
データステーション10は、再び、第1募集コマンドを中継機20bにユニキャストし、中継機20bは、第1募集コマンドをブロードキャストする。しかし、接続申請を返信する通信端末が存在しない。その結果、データステーション10は、サーチコマンドを中継機20bにユニキャストし、中継機20bは、サーチコマンドをブロードキャストする(ステップS115)。この例では、センサ30c及びセンサ30nが、サーチコマンドを受信し、RSSIモードに移行する。接続処理によって中継機20fがネットワークに新たに接続されたので、未接続の通信端末は、中継機20fを含む新たなネットワークに対する受信信号強度を測定する。
【0206】
データステーション10及び中継機20bは、今回の中継機20bの特定スロットでの接続処理を終了する。
【0207】
その後、中継機20dの特定スロット、中継機20cの特定スロット及び中継機20fの特定スロットが順次、到来する。各中継機20は、前述のように、特定スロットにおいてスリープ状態からアクティブ状態に移行し、同期信号を送信し、接続処理を実行し、その他の所定の処理を実行する。
【0208】
しかし、通信スケジュールの今回のサイクルでは、各中継機20と通信可能な通信端末は全てRSSIモードとなっている。そのため、各中継機20の接続処理は特に進展することなく終了する。ただし、周囲のRSSIモードの通信端末は、各中継機20からの同期信号の受信信号強度を測定する。
【0209】
通信スケジュールの次のサイクルにおいては、まず、データステーション10は、自身の特定スロットにおいて、前述の如く、まず同期信号を送信する。
【0210】
次に、データステーション10は、接続処理に移行する。
図15は、データステーション10の特定スロットにおける接続処理のさらに別の例のシーケンス図である。
図15では、一部の中継機20及びセンサ30だけが図示されている。プレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。中継機20a、中継機20b及び中継機20dは、プレ条件を満たす可能性があるが、既に接続先が決定し、さらにスリープ状態となっているので、プレ募集コマンドに対して返信しない。その結果、データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信しない。
【0211】
その場合、データステーション10は、データステーション10にセンサ30を接続すべく、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドをブロードキャストする(ステップS201,S207,S213)。データステーション10は、募集コマンドに対して接続申請したセンサ30を順次承認していく。ここで、第4条件、第5条件及び第6条件で規定する機器IDの末尾の数字は、前述の如く、接続処理ごとに変更される。例えば、今回の接続処理においては、第4条件、第5条件及び第6条件はそれぞれ、
図11で示す機器IDの末尾の数字を規定する。また、センサ30a、センサ30o及びセンサ30rは、データステーション10を接続先候補に設定している。センサ30aの機器IDの末尾は「7」で、センサ30oの機器IDの末尾は「1」で、センサ30rの機器IDの末尾は「4」である。
【0212】
データステーション10は、機器IDの末尾として「0」を規定する第4募集コマンドを送信するが、何れのセンサ30も接続申請を返信しない。次に、データステーション10は、機器IDの末尾として「1」,「2」,「3」,「4」を規定する第5募集コマンドを送信し、センサ30oが接続申請を返信する。データステーション10は、これ以降の募集コマンドを第5募集コマンドに決定する。データステーション10は、現状の第5募集コマンドを再び送信し、センサ30rが接続申請を返信する。その後、現状の第5募集コマンドに対して接続申請が無くなるので、データステーション10は、第5募集コマンドで規定する機器IDの末尾を「5」,「6」,「7」,「8」に切り替えて、変更後の第5募集コマンドを送信する。それに対し、センサ30aが接続申請を返信する。その後、変更後の第5募集コマンドに対して接続申請が無くなるので、データステーション10は、第5募集コマンドで規定する機器IDの末尾を「9」,「0」,「1」,「2」に切り替えて、変更後の第5募集コマンドを送信する。尚、「0」は、第4募集コマンドで既に規定され、「1」,「2」は先の第5募集コマンドで既に規定されているので、このときの第5募集コマンドは、「9」だけを規定してもよい。変更後の第5募集コマンドに対しては接続申請が無いので、データステーション10は、センサ30の接続を終了する。
【0213】
このように、データステーション10は、対象とするセンサ30を4種類に限定しつつ、限定する種類を適宜変更して、センサ30の募集を繰り返す。その結果、データステーション10は、接続申請を受け取ったセンサ30a、30o及び30rをデータステーション10に接続する。
【0214】
この特定スロットにおいては、中継機20が新たに接続されないので、サーチコマンドは送信されない。
【0215】
データステーション10は、承認の処理ごとに、センサテーブル及びセンサ接続情報等を更新する。データステーション10は、センサ30a、センサ30o及びセンサ30rのそれぞれに中継機接続情報及び接続先となる通信端末の特定スロットのスロット番号を通知する。
【0216】
現在のタイムスロットは、センサ30a、センサ30o及びセンサ30rが接続される通信端末(即ち、データステーション10)の特定スロットであるので、センサ30a、センサ30o及びセンサ30rは、アクティブ状態を継続し、接続処理後の収集処理等に備える。尚、以下では説明を割愛するが、センサ30は、接続元の中継機20に接続された特定スロットにおいては、収集処理に参加せず、次回の特定スロットから収集処理を開始してもよい。
【0217】
データステーション10は、今回の通信スケジュールの特定スロットでのデータステーション10を接続元の通信端末とする接続処理を終了する。
【0218】
尚、データステーション10は、接続処理の後、収集処理等を実行する。例えば、データステーション10は、データステーション10に接続されたセンサ30a、センサ30o及びセンサ30rから検出値を収集する。
【0219】
次に、中継機20aの特定スロットが到来する。前述の通り、中継機20aは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。
【0220】
その後、データステーション10及び中継機20aは、中継機20aを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。データステーション10は、中継機20aへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20aがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。今回の特定スロットにおいては、中継機20aからのプレ募集コマンドに対して接続申請を返信する通信端末は存在しない。その結果、データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信しない。
【0221】
データステーション10は、中継機20aにセンサ30を接続すべく、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドを中継機20aにブロードキャストさせる(ステップS201,S207,S213)。ここで、第4条件、第5条件及び第6条件で規定する機器IDの末尾の数字は、前述の如く、接続処理ごとに変更される。例えば、今回の接続処理においては、第4条件で規定する機器IDの末尾が「1」であり、第5条件で規定する機器IDの末尾が「2」,「3」,「4」,「5」であり、第6条件で規定する機器IDの末尾が「6」,「7」,「8」,「9」,「0」である。センサ30bの機器IDの末尾は「0」である。
【0222】
データステーション10は、中継機20aに第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドを順次送信させる。センサ30bは、第6募集コマンドに対して接続申請を返信する。データステーション10及び中継機20aは、これ以降の募集コマンドを第6募集コマンドに決定する。中継機20aは、現状の第6募集コマンド及び機器IDの末尾の数字を切り替えた第6募集コマンドを順次送信するものの、センサ30からの接続申請はない。データステーション10は、センサ30bを中継機20aに接続する。
【0223】
データステーション10及び中継機20aは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20aを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。尚、この特定スロットにおいては、中継機20が新たに接続されないので、サーチコマンドは送信されない。
【0224】
データステーション10及び中継機20aは、接続処理の後、収集処理等を実行する。例えば、データステーション10は、中継機20aに接続されたセンサ30bから検出値を収集する。
【0225】
次に、中継機20bの特定スロットが到来する。前述の通り、中継機20bは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。
【0226】
その後、データステーション10及び中継機20bは、中継機20bを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。データステーション10は、中継機20bへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20bがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。中継機20eは、中継機20bを接続先候補として設定し且つ、プレ条件を満たす。そのため、中継機20eは、プレ募集コマンドに対して接続申請を返信する。
【0227】
中継機20bは、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信すると、その接続申請をデータステーション10へ送信、即ち、中継する。データステーション10は、接続申請を受信すると、第1募集コマンドを中継機20bへユニキャストし、中継機20bが第1募集コマンドをブロードキャストする(ステップS103)。中継機20eは、中継機20bを接続先候補に設定し且つ、第1条件を満たす。中継機20eは、第1募集コマンドに対して接続申請を返信する。
【0228】
中継機20bは、中継機20eから接続申請を受信すると、その接続申請をデータステーション10へ送信、即ち、中継する。データステーション10は、中継機20eの接続を承認する(ステップS105)。データステーション10は、中継機20eの接続先を中継機20bに設定してツリーテーブル等を更新すると共に、中継機20eに特定スロットを割り当てる。データステーション10は、更新されたツリーテーブル及び特定スロットのスロット番号を中継機20eに通知する。
【0229】
一方、中継機20eは、必要な処理を実行した後、割り当てられた特定スロットまでスリープ状態となる。
【0230】
データステーション10は、再び、第1募集コマンドを中継機20bにユニキャストし、中継機20が第1募集コマンドをブロードキャストする。しかし、接続申請を返信する通信端末が存在しない。その結果、データステーション10は、サーチコマンドを中継機20bにユニキャストし、中継機20bがサーチコマンドをブロードキャストする(ステップS115)。未接続で且つ中継機20bと通信可能な通信端末は、サーチコマンドを受信する。この例では、センサ30c、30d、30l、30m及びセンサ30nが、サーチコマンドを受信し、RSSIモードに移行する。接続処理によって中継機20eがネットワークに新たに接続されたので、未接続の通信端末は、中継機20eを含む新たなネットワークに対する受信信号強度を測定する。
【0231】
データステーション10及び中継機20bは、今回の中継機20bの特定スロットでの接続処理を終了する。
【0232】
次に、中継機20dの特定スロットが到来する。前述の通り、中継機20dは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。
【0233】
その後、データステーション10及び中継機20dは、中継機20dを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。データステーション10は、中継機20dへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20dがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。今回の特定スロットにおいては、中継機20dからのプレ募集コマンドに対して接続申請を返信する通信端末は存在しない。その結果、データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信しない。
【0234】
データステーション10は、中継機20dにセンサ30を接続すべく、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドを中継機20dにブロードキャストさせる(ステップS201,S207,S213)。例えば、今回の接続処理においては、第4条件で規定する機器IDの末尾が「3」であり、第5条件で規定する機器IDの末尾が「4」,「5」,「6」,「7」であり、第6条件で規定する機器IDの末尾が「8」,「9」,「0」,「1」,「2」である。センサ30pの機器IDの末尾は「4」で、センサ30qの機器IDの末尾は「8」である。
【0235】
データステーション10は、中継機20dに第4募集コマンド及び第5募集コマンドを順次送信させる。センサ30pは、第5募集コマンドに対して接続申請を返信する。データステーション10及び中継機20dは、これ以降の募集コマンドを第5募集コマンドに決定する。その後、中継機20bは、現状の第5募集コマンド及び機器IDの末尾の数字を切り替えた第5募集コマンドを順次送信する。センサ30qは、規定する機器IDの末尾に「8」が含まれる第5募集コマンドに対して接続申請を返信する。
【0236】
このように、中継機20dは、対象とするセンサ30を4種類に限定しつつ、限定する種類を適宜変更して、センサ30の募集を繰り返す。その結果、データステーション10は、センサ30p及びセンサ30qを中継機20dに接続する。
【0237】
データステーション10及び中継機20dは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20dを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。尚、この特定スロットにおいては、中継機20が新たに接続されないので、サーチコマンドは送信されない。
【0238】
データステーション10及び中継機20dは、接続処理の後、収集処理等を実行する。例えば、データステーション10は、中継機20dに接続されたセンサ30p及びセンサ30qから検出値を収集する。
【0239】
次に、中継機20cの特定スロットが到来する。前述の通り、中継機20cは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。
【0240】
その後、データステーション10及び中継機20cは、中継機20cを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。データステーション10は、中継機20cへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20cがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。今回の特定スロットにおいては、中継機20cからのプレ募集コマンドに対して接続申請を返信する通信端末は存在しない。その結果、データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信しない。
【0241】
データステーション10は、中継機20cにセンサ30を接続すべく、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドを中継機20cにブロードキャストさせる(ステップS201,S207,S213)。例えば、今回の接続処理においては、第4条件で規定する機器IDの末尾が「2」であり、第5条件で規定する機器IDの末尾が「3」,「4」,「5」,「6」であり、第6条件で規定する機器IDの末尾が「7」,「8」,「9」,「0」,「1」である。センサ30eの機器IDの末尾は「7」で、センサ30fの機器IDの末尾は「5」で、センサ30gの機器IDの末尾は「9」で、センサ30hの機器IDの末尾は「0」で、センサ30iの機器IDの末尾は「2」で、センサ30jの機器IDの末尾は「1」で、センサ30kの機器IDの末尾は「2」である。
【0242】
データステーション10は、機器IDの末尾として「2」を規定する第4募集コマンドを中継機20cに送信させる。センサ30iは、接続申請を返信する。データステーション10及び中継機20cは、これ以降の募集コマンドを第4募集コマンドに決定する。中継機20cは、現状の第4募集コマンドを再び送信する。中継機20cは、現状の第4募集コマンドに対して接続申請が無くなると、規定する機器IDの末尾の数字を切り替えて、変更後の第4募集コマンドを送信する。中継機20cは、接続申請が有れば、そのときの第4募集コマンドを再び送信する一方、接続申請が無ければ、規定する数字を切り替えて、変更後の第4募集コマンドを送信する。
【0243】
中継機20cは、この処理を繰り返すことによって、対象とするセンサ30を1種類に限定しつつ、限定する種類を適宜変更して、センサ30の募集を繰り返す。その結果、データステーション10は、接続申請を受け取ったセンサ30e、センサ30f、センサ30g、センサ30h、センサ30i、センサ30j及びセンサ30kを中継機20cに接続する。
【0244】
データステーション10及び中継機20cは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20cを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。尚、この特定スロットにおいては、中継機20が新たに接続されないので、サーチコマンドは送信されない。
【0245】
データステーション10及び中継機20cは、接続処理の後、収集処理等を実行する。例えば、データステーション10は、中継機20cに接続されたセンサ30e、センサ30f、センサ30g、センサ30h、センサ30i、センサ30j及びセンサ30kから検出値を収集する。
【0246】
次に、中継機20fの特定スロットが到来する。前述の通り、中継機20fは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。
【0247】
その後、データステーション10及び中継機20fは、中継機20fを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。しかし、今回の特定スロットにおいては、中継機20fからのプレ募集コマンドに対して接続申請を返信する通信端末は存在しない。また、中継機20fを接続先とし得るセンサ30は全てRSSIモードになっている。そのため、データステーション10及び中継機20fは、プレ募集コマンド、第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドを順次送信するものの、何れの募集コマンドに対しても接続申請を受信しない。
【0248】
その結果、データステーション10及び中継機20fは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20fを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。
【0249】
次に、中継機20eの特定スロットが到来する。前述の通り、中継機20eは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。
【0250】
その後、データステーション10及び中継機20eは、中継機20eを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。しかし、今回の特定スロットにおいては、中継機20eからのプレ募集コマンドに対して接続申請を返信する通信端末は存在しない。また、中継機20eを接続先とし得るセンサ30は全てRSSIモードになっている。そのため、データステーション10及び中継機20eは、プレ募集コマンド、第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドを順次送信するものの、何れの募集コマンドに対しても接続申請を受信しない。
【0251】
その結果、データステーション10及び中継機20eは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20eを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。
【0252】
通信スケジュールの次のサイクルにおいては、まずデータステーション10の特定スロットが到来する。データステーション10は、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。その後、データステーション10は、データステーション10を接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0253】
しかし、データステーション10と接続可能で且つ未接続の通信端末は存在しないので、今回の特定スロットの接続処理において新たな通信端末はデータステーション10に接続されない。データステーション10は、接続処理を終了し、収集処理等の処理を実行する。
【0254】
次に、中継機20aの特定スロットが到来する。中継機20aは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。その後、データステーション10及び中継機20aは、中継機20aを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0255】
しかし、今回の特定スロットにおいては、中継機20aの周囲に、中継機20aと接続可能で且つ未接続の通信端末は存在しない。データステーション10及び中継機20aは、接続処理を終了し、収集処理等の処理を実行する。
【0256】
次に、中継機20bの特定スロットが到来する。前述の通り、中継機20bは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。その後、データステーション10及び中継機20bは、中継機20bを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0257】
データステーション10は、中継機20bへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20bがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。今回の特定スロットにおいては、中継機20bからのプレ募集コマンドに対して接続申請を返信する通信端末は存在しない。その結果、データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信しない。
【0258】
データステーション10は、中継機20bにセンサ30を接続すべく、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドを中継機20bにブロードキャストさせる(ステップS201,S207,S213)。例えば、今回の接続処理においては、第4条件で規定する機器IDの末尾が「4」であり、第5条件で規定する機器IDの末尾が「5」,「6」,「7」,「8」であり、第6条件で規定する機器IDの末尾が「9」,「0」,「1」,「2」,「3」である。センサ30cの機器IDの末尾は「2」で、センサ30dの機器IDの末尾は「1」である。
【0259】
データステーション10は、中継機20bに第4募集コマンド、第5募集コマンド及び第6募集コマンドを順次送信させる。センサ30dは、第6募集コマンドに対して接続申請を返信する。データステーション10及び中継機20bは、これ以降の募集コマンドを第6募集コマンドに決定する。中継機20bは、現状の第6募集コマンドを再び送信し、センサ30cが接続申請を返信する。その後、中継機20bは、現状の第6募集コマンド及び機器IDの末尾の数字を切り替えた第6募集コマンドを順次送信するものの、センサ30からの接続申請はない。データステーション10は、センサ30c及びセンサ30dを中継機20bに接続する。
【0260】
データステーション10及び中継機20bは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20bを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。尚、この特定スロットにおいては、中継機20が新たに接続されないので、サーチコマンドは送信されない。
【0261】
データステーション10及び中継機20bは、接続処理の後、収集処理等を実行する。例えば、データステーション10は、中継機20bに接続されたセンサ30c及びセンサ30dから検出値を収集する。
【0262】
次に、中継機20dの特定スロットが到来する。中継機20dは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。その後、データステーション10及び中継機20dは、中継機20dを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0263】
しかし、今回の特定スロットにおいては、中継機20dの周囲に、中継機20dと接続可能で且つ未接続の通信端末は存在しない。データステーション10及び中継機20dは、接続処理を終了し、収集処理等の処理を実行する。
【0264】
次に、中継機20cの特定スロットが到来する。中継機20cは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。その後、データステーション10及び中継機20cは、中継機20cを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0265】
しかし、今回の特定スロットにおいては、中継機20cの周囲に、中継機20cと接続可能で且つ未接続の通信端末は存在しない。データステーション10及び中継機20cは、接続処理を終了し、収集処理等の処理を実行する。
【0266】
次に、中継機20fの特定スロットが到来する。中継機20fは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。その後、データステーション10及び中継機20fは、中継機20fを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0267】
データステーション10は、中継機20fへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20fがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。今回の特定スロットにおいては、中継機20fからのプレ募集コマンドに対して接続申請を返信する通信端末は存在しない。その結果、データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信しない。
【0268】
データステーション10は、中継機20fにセンサ30を接続すべく、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドを中継機20fにブロードキャストさせる(ステップS201,S207,S213)。例えば、今回の接続処理においては、第4条件で規定する機器IDの末尾が「5」であり、第5条件で規定する機器IDの末尾が「6」,「7」,「8」,「9」であり、第6条件で規定する機器IDの末尾が「0」,「1」,「2」,「3」,「4」である。センサ30nの機器IDの末尾は「7」である。
【0269】
データステーション10は、中継機20fに第4募集コマンド及び第5募集コマンドを順次送信させる。センサ30nは、第5募集コマンドに対して接続申請を返信する。データステーション10及び中継機20fは、これ以降の募集コマンドを第5募集コマンドに決定する。ただし、中継機20fは、現状の第5募集コマンド及び機器IDの末尾の数字を切り替えた第5募集コマンドを順次送信するものの、センサ30からの接続申請はない。データステーション10は、センサ30nを中継機20fに接続する。
【0270】
データステーション10及び中継機20fは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20fを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。尚、この特定スロットにおいては、中継機20が新たに接続されないので、サーチコマンドは送信されない。
【0271】
データステーション10及び中継機20fは、接続処理の後、収集処理等を実行する。例えば、データステーション10は、中継機20fに接続されたセンサ30nから検出値を収集する。
【0272】
次に、中継機20eの特定スロットが到来する。中継機20eは、特定スロットにおいて、アクティブ状態となって同期信号を送信する。その後、データステーション10及び中継機20eは、中継機20eを接続元の通信端末とする接続処理を実行する。
【0273】
データステーション10は、中継機20eへプレ募集コマンドをユニキャストし、中継機20eがプレ募集コマンドをブロードキャストする(ステップS101)。今回の特定スロットにおいては、中継機20eからのプレ募集コマンドに対して接続申請を返信する通信端末は存在しない。その結果、データステーション10は、プレ募集コマンドに対する接続申請を受信しない。
【0274】
データステーション10は、中継機20eにセンサ30を接続すべく、第4募集コマンド、第5募集コマンド、第6募集コマンドの優先順位で募集コマンドを中継機20eにブロードキャストさせる(ステップS201,S207,S213)。例えば、今回の接続処理においては、第4条件で規定する機器IDの末尾が「0」であり、第5条件で規定する機器IDの末尾が「1」,「2」,「3」,「4」であり、第6条件で規定する機器IDの末尾が「5」,「6」,「7」,「8」,「9」である。センサ30lの機器IDの末尾は「0」で、センサ30mの機器IDの末尾は「8」である。
【0275】
データステーション10は、中継機20eに第4募集コマンドを送信させる。センサ30lは、第4募集コマンドに対して接続申請を返信する。データステーション10及び中継機20eは、これ以降の募集コマンドを第4募集コマンドに決定する。中継機20eは、現状の第4募集コマンド及び機器IDの末尾の数字を切り替えた第4募集コマンドを順次送信する。センサ30mは、機器IDの末尾として「8」が規定された第4募集コマンドに対して接続申請を返信する。
【0276】
このように、中継機20eは、対象とするセンサ30を1種類に限定しつつ、限定する種類を適宜変更して、センサ30の募集を繰り返す。その結果、データステーション10は、センサ30l及びセンサ30mを中継機20eに接続する。
【0277】
データステーション10及び中継機20eは、今回の通信スケジュールの特定スロットでの中継機20eを接続元の通信端末とする接続処理を終了する。尚、この特定スロットにおいては、中継機20が新たに接続されないので、サーチコマンドは送信されない。
【0278】
データステーション10及び中継機20eは、接続処理の後、収集処理等を実行する。例えば、データステーション10は、中継機20eに接続されたセンサ30l及びセンサ30mから検出値を収集する。
【0279】
やがて、通信スケジュールの1サイクルが終了する。通信スケジュールの今回のサイクルが終了すると、
図1に示すように全ての通信端末の接続が確立される。
【0280】
通信スケジュールの次のサイクルからは、データステーション10、中継機20及びセンサ30は、順に到来するタイムスロットに従って処理を実行する。各特定スロットにおいては、前述のように、同期信号の送信及び接続処理が実行される。しかし、新たに未接続の通信端末が配置されない限りは、同期信号及びいくつかの募集コマンドが送信されるだけで、新たな中継機20の接続は実行されない。その後、接続処理が終了し、特定スロットにおいて規定された収集処理等の処理が実行される。
【0281】
このように、接続処理においては、データステーション10は、未接続で且つ通信可能な中継機20が接続元の通信端末の周囲に存在するか否かを確認し、中継機20が存在する場合には、まず中継機20の接続を実行する。未接続で且つ通信可能な中継機20が接続元の通信端末の周囲に存在しない場合には、データステーション10は、センサ30の接続を実行する。つまり、データステーション10は、中継機20の接続を優先的に実行し、中継機20の接続が完了した後にセンサ30の接続を実行する。これにより、ネットワークの基本的な部分が優先的に形成されて、ネットワークが早期に拡がっていく。さらに、センサ30よりも中継機20の方が先に接続先が決定されるので、センサ30が適切な通信端末に接続されやすくなる。
【0282】
詳しくは、中継機20は、データステーション10をルートノードとするツリー型のネットワークトポロジを形成する。一方、センサ30は、データステーション10又は中継機20に接続されるものの、自身よりも下位に別の通信端末が接続されない。すなわち、センサ30は、ツリー型のネットワークトポロジを形成するが、該ネットワークトポロジの末端に位置する。そのため、中継機20の接続が優先的に実行されることによって、ネットワークの基本的な部分が優先的に形成されると共に、ネットワークが早期に拡がっていく。中継機20の接続がセンサ30の接続よりも優先されない場合には、センサ30の接続先の選択肢としての中継機20が少ない状況が起こり得る。そのため、センサ30が、本来接続されるべき中継機20とは異なる中継機20に接続され得る。中継機20の接続がセンサ30の接続よりも優先されることによって、センサ30の接続が決定されるときに、接続先の選択肢としての中継機20を増やすことができる。その結果、センサ30が適切な中継機20に接続される可能性が高くなる。
【0283】
また、データステーション10は、中継機20の接続においては、接続可能な中継機20を電波強度に基づいてグループ分けして、電波強度の強いグループから順に中継機20を接続していく。これにより、データステーション10は、中継機20の接続を効率よく行うことができる。つまり、中継機20の接続は1個ずつ実行されるので、一の中継機20の接続処理が実行されている間は、他の中継機20は待機する必要がある。接続され得る中継機20が多いと、隠れ端末の影響が大きくなり、接続処理の効率が低下する。接続され得る複数の中継機20をグループ分けして、グループごとに接続処理を行うことによって、接続され得る中継機20の個数を制限して、接続処理の効率を向上させることができる。
【0284】
それに加えて、データステーション10は、グループ内の全ての中継機20の接続が完了するごとに、未接続の中継機20及びセンサ30にサーチ動作を実行させることによって、新たなに形成されたネットワークに基づいて接続先候補の通信端末を更新させる。つまり、電波強度が高い順に段階的に中継機20の接続先が決定されていくと共に、その途中で未接続の中継機20及びセンサ30はサーチ動作を実行して接続先候補の通信端末を更新する。これにより、通信品質が高い中継機20が優先的に接続されると共に、未接続の中継機20及びセンサ30の接続先候補の通信端末が適宜更新される。その結果、通信品質が高いネットワークが形成される。
【0285】
さらに、データステーション10は、センサ30の接続においては、接続可能なセンサ30をグループ分けして、センサ30をグループごとに接続していく。これにより、データステーション10は、センサ30の接続を効率よく行うことができる。つまり、センサ30の接続は1個ずつ実行されるので、一のセンサ30の接続処理が実行されている間は、他のセンサ30は待機する必要がある。接続され得るセンサ30が多いと、隠れ端末の影響が大きくなり、接続処理の効率が低下する。接続され得る複数のセンサ30をグループ分けして、グループごとに接続処理を行うことによって、対象となるセンサ30の個数を制限して、接続処理の効率を向上させることができる。
【0286】
それに加えて、接続元の通信端末は、対象とするセンサ30の種類数を限定した募集コマンドを確認送信し、センサ30からの接続申請がなければ、種類数を増加させた募集コマンドを再び確認送信する。接続元の通信端末は、確認送信に対してセンサ30から接続申請を受け取ると、確認送信時の募集コマンドの種類数で募集コマンドにおいて限定する種類数を確定させる。このように、募集コマンドの対象となるセンサ30の種類数は、周囲の接続可能なセンサ30の量に応じて調整される。周囲の接続可能なセンサ30が多い場合には、募集コマンドの対象となるセンサ30の量が低減されるので、隠れ端末の影響が低減され、接続処理の効率が向上する。一方、周囲の接続可能なセンサ30が少ない場合には、募集コマンドの対象となるセンサ30の種類数を増加させることによって、共通の募集コマンドで複数種類のセンサ30を募集することができるので、募集コマンドを変更する手間が省略され、接続処理の効率が向上する。
【0287】
以上のように、無線通信システム100は、データステーション10(親機)と複数の中継機20(子機)と複数のセンサ30(データ端末)とを含み、無線ネットワークを形成する複数の通信端末を備え、中継機20は、データステーション10又は他の中継機20に接続され、データステーション10をルートノードとするツリー型ネットワークトポロジを形成し、センサ30は、データステーション10又は中継機20に接続され、複数の通信端末のうち、他の通信端末の接続先を決定する接続処理を実行する通信端末としてのデータステーション10は、データステーション10及び複数の中継機20のうちの接続元となる一の通信端末に接続される中継機20を決定した後に、接続元の通信端末に接続されるセンサ30を決定する。
【0288】
この構成によれば、中継機20は、データステーション10をルートノードとするツリー型ネットワークトポロジを形成する。センサ30は、中継機20に接続されるため、ツリー型ネットワークトポロジを中継機20と共に形成するとみなすこともできる。ただし、センサ30は、ツリー型ネットワークトポロジの末端に位置し、ツリー型ネットワークトポロジの基本的な部分を形成するのは中継機20である。そして、データステーション10は、データステーション10及び複数の中継機20のうちの接続元となる一の通信端末に接続される中継機20及びセンサ30を決定する接続処理を実行する。その際、データステーション10は、接続元となる一の通信端末に接続される中継機20を優先的に決定した後に、接続元の通信端末に接続されるセンサ30を決定する。これにより、ネットワークの基本的な部分が優先的に形成されて、ネットワークを早期に拡げることができる。さらに、センサ30よりも中継機20の方が先に接続先が決定されるので、センサ30を適切なデータステーション10又は中継機20に接続させることができる。その結果、ネットワークを適切に形成して、通信端末の接続処理の効率を向上させることができる。
【0289】
また、データステーション10(接続処理を実行する通信端末)は、接続元の通信端末に対する接続の申請を中継機20から受け付けて、申請のあった中継機20の接続先を接続元の通信端末に決定し、接続を申請する中継機20が無くなった後に、接続元の通信端末に対する接続の申請をセンサ30から受け付けて、申請のあったセンサ30の接続先を接続元の通信端末に決定する。
【0290】
この構成によれば、データステーション10は、接続処理においては、中継機20及びセンサ30からの接続の申請を受け付けて、申請に基づいて接続先を決定する。具体的には、データステーション10は、接続元となる一の通信端末に関して、まずは中継機20から接続の申請を受け付けて中継機20の接続先を決定し、接続を申請する中継機20が無くなった後にセンサ30からの接続の申請を受け付けてセンサ30の接続先を決定する。これにより、データステーション10は、中継機20の優先的な接続を実現することができる。
【0291】
さらに、中継機20及びセンサ30は、周囲の通信端末からの信号の電波強度を測定し、測定された電波強度に基づいて接続先候補となる通信端末を決定するサーチ動作を実行し、接続先候補の通信端末への接続の申請を行う。
【0292】
この構成によれば、中継機20及びセンサ30のそれぞれは、電波強度に基づいて接続先候補となる通信端末を決定しており、接続先候補の通信端末への接続の申請を行う。つまり、データステーション10は、接続処理において、接続元の通信端末を接続先候補とする中継機20及びセンサ30のうち、まず中継機20を優先的に接続元の通信端末に接続し、その後、センサ30を接続元の通信端末に接続する。
【0293】
さらにまた、データステーション10は、接続処理において、接続元の通信端末を接続先候補とする中継機20を複数のグループに分けて、グループごとに中継機20からの申請を受け付けて、申請のあった中継機20の接続先を決定する。
【0294】
この構成によれば、データステーション10は、接続処理においては、一の接続元の通信端末を接続先候補とする複数の中継機20の全てからの接続の申請を無制限に受け付けるのではなく、複数の中継機20をグループ分けして、グループごとに中継機20からの接続の申請を受け付ける。データステーション10は、接続の申請を受け付ける中継機20を制限することによって、隠れ端末の影響を低減し、接続処理の効率を向上させることができる。
【0295】
さらに、データステーション10は、接続処理において、接続元の通信端末を接続先候補とする中継機20を電波強度に基づいて複数のグループに分け、複数のグループのうち電波強度が高いグループから順に中継機20からの接続の申請を受け付ける。
【0296】
この構成によれば、データステーション10は、一の接続元の通信端末を接続先候補とする複数の中継機20を電波強度に基づいてグループ分けする。そして、データステーション10は、電波強度の高いグループから順に中継機20の接続の申請を受け付ける。接続の申請を受け付ける中継機20を制限する際に、電波強度の高い中継機20が優先される。
【0297】
具体的には、接続処理においては、接続元の通信端末は、対象となる中継機20及びセンサ30を限定した募集コマンドを送信し、募集コマンドを受信し且つ募集コマンドで限定された中継機20及びセンサ30は、接続の申請を行い、募集コマンドは、対象となる中継機20を電波強度に基づいて限定することによって、中継機20を電波強度に基づいて複数のグループに分ける。
【0298】
この構成によれば、複数の中継機20のグループ分けは、募集コマンドが対象となる中継機20を電波強度に基づいて限定することによって実現される。
【0299】
さらに、データステーション10は、接続処理において、一のグループに属する中継機20の接続先を決定してから次のグループに属する中継機20からの接続の申請を受け付けるまでの間に、未接続の中継機20にサーチ動作を再び実行させる。
【0300】
この構成によれば、新たな中継機20が接続元の通信端末に接続されてネットワークの構成が変更されると、未接続の中継機20は、適宜のタイミングでサーチ動作を再び実行する。具体的には、一のグループに属する中継機20の接続先を決定してから次のグループに属する中継機20からの接続の申請を受け付けるまでの間に、サーチ動作が実行される。ネットワークの構成が変更されると、未接続の中継機20にとって最適な接続先の通信端末が変わる可能性がある。例えば、データステーション10は、一の接続元の通信端末に関して電波強度が最も高いグループに属する中継機20の接続先を決定してから電波強度が2番目に高いグループに属する中継機20からの接続の申請を受け付けるまでの間に、未接続の中継機20にサーチ動作を実行させる。その結果、電波強度が2番目に高いグループに属していた中継機20が、電波強度が最も高いグループに属し且つ接続元の通信端末に接続された別の中継機20を、新たな接続先候補の通信端末とすることもあり得る。つまり、未接続の中継機20がネットワークの構成の変更に応じてサーチ動作を適宜実行することによって、接続先の通信端末を電波強度に基づいて最適な通信端末に更新することができる。
【0301】
また、データステーション10は、接続元の通信端末を切り替えながら、切り替えられた接続元の通信端末に関して接続処理を実行する。
【0302】
この構成によれば、複数の接続元の通信端末の接続処理をデータステーション10が実行する。データステーション10は、接続元の通信端末を1つずつ切り替えながら、切り替えられた接続元の通信端末に関して接続処理を実行する。
【0303】
また、データステーション10及び接続先が決定された中継機20のそれぞれは、複数のタイムスロットを含む通信スケジュールにおける何れかのタイムスロットが割り当てられ、データステーション10は、通信スケジュールに従って到来するタイムスロットに割り当てられたデータステーション10又は中継機20に接続されたセンサ30からセンサ30が保持するデータを収集する。
【0304】
この構成によれば、データステーション10は、通信スケジュールに従って到来するタイムスロットに応じて、データステーション10又は中継機20に接続されたセンサ30の保持するデータを収集する。通信スケジュールが一巡すると、データステーション10は、タイムスロットが割り当てられたデータステーション10及び中継機20に接続された全てのセンサ30のデータを収集する。そして、接続処理によって接続先が決定された中継機20は、何れかのタイムスロットが割り当てられるので、このような収集処理を実現する一の中継機20として機能する。
【0305】
さらに、データステーション10は、通信スケジュールに従って到来するタイムスロットに割り当てられたデータステーション10又は中継機20を接続元の通信端末として接続処理を実行する。
【0306】
この構成によれば、データステーション10は、通信スケジュールに従って到来するタイムスロットに応じて接続元の通信端末を切り替えて接続処理を実行する。つまり、タイムスロットが変わることによって、接続元の通信端末が切り替えられる。
【0307】
また、センサ30は、所定の物理量を検出するセンサ部40を有し、センサ部40によって検出された物理量をデータとして保持する。
【0308】
この構成によれば、センサ30の保持するデータは、センサ部40によって検出された物理量である。データステーション10は、通信スケジュールに従ってセンサ30の保持する物理量を収集する。
【0309】
別の観点では、無線通信システム100は、データステーション10(親機)と複数の中継機20(子機)と複数のセンサ30(データ端末)とを含み、無線ネットワークを形成する複数の通信端末を備え、中継機20は、データステーション10又は他の中継機20に接続され、データステーション10をルートノードとするツリー型ネットワークトポロジを形成し、センサ30は、データステーション10又は中継機20に接続され、複数の通信端末のうち、センサ30の接続先を決定する接続処理を実行する通信端末であるデータステーション10は、複数のセンサ30を複数のグループに分けて、グループごとにセンサ30からの申請を受け付けて、申請のあったセンサ30の接続先を決定する。
【0310】
この構成によれば、データステーション10は、接続処理においては、センサ30からの接続の申請を受け付けて、申請に基づいて接続先を決定する。具体的には、データステーション10は、複数のセンサ30をグループ分けして、グループごとにセンサ30の接続先を決定する。データステーション10は、接続の申請を受け付けるセンサ30を制限することによって、隠れ端末の影響を低減し、接続処理の効率を向上させることができる。
【0311】
また、複数のセンサ30は、センサ30の属性に基づいて複数の種類に分類され、データステーション10(接続処理を実行する通信端末)は、複数のセンサ30を所定の種類数ずつグループに分ける。
【0312】
この構成によれば、複数のセンサ30は、センサ30の様々な属性の種類を基準に複数のグループに分けられる。その際、データステーション10は、複数のセンサ30を所定の種類数ずつのグループに分ける。
【0313】
さらに、データステーション10は、複数のセンサ30をグループに分ける際の種類数を変更可能に構成されている。
【0314】
この構成によれば、データステーション10は、複数のセンサ30を何種類ずつのグループに分けるかを変更することができる。つまり、データステーション10は、一のグループに含まれるセンサ30の種類数を多くしたり、少なくしたりすることができる。
【0315】
また、データステーション10は、データステーション10及び複数の中継機20のうちの接続元となる通信端末ごとに、接続元となる通信端末を接続先候補とする複数のセンサ30を複数のグループに分けて接続処理を実行し、接続元の通信端末のそれぞれは、接続処理において、複数のセンサ30のうち対象とするセンサ30の属性の種類を所定の種類数だけ規定した募集コマンドを送信することによって、募集コマンドで規定された属性の種類に該当するセンサ30からの申請を受け付け、募集コマンドで規定された属性の種類を所定の種類数ずつ切り替えることによって全てのグループのセンサ30に対して募集コマンドを送信する。
【0316】
この構成によれば、接続先候補の通信端末が共通する複数のセンサ30がグループ分けされて、グループごとに接続の申請が受け付けられる。そして、複数のセンサ30のグループ分けは、募集コマンドが対象となるセンサ30の属性の種類を所定の種類数だけ規定することによって実現される。さらに、募集コマンドで規定された属性の種類が所定の種類数ずつ切り替えられることによって、募集コマンドの対象となるセンサ30が属性の種類に基づいて所定の種類数ずつ変更される。結果として、全てのグループのセンサ30に対して募集コマンドが送信される。
【0317】
また、接続元の通信端末のそれぞれは、接続処理において、属性の種類を所定の種類数で限定した募集コマンドを送信して申請の有無を確認する確認送信を実行して、確認送信に対して申請が有った場合には、募集コマンドで限定する種類数が確認送信における種類数で確定される一方、確認送信に対して申請が無かった場合には、限定する種類数を増加させた募集コマンドを用いて確認送信が再び実行される。
【0318】
この構成によれば、接続元の通信端末のそれぞれが確認送信を実行し、確認送信に対して申請が無かった場合には、限定する種類数を増加させた募集コマンドを用いて確認送信が再び実行される。一方、確認送信に対して申請が有った場合には、募集コマンドで限定する種類数が確認送信における種類数で確定される。つまり、確認送信は、接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30の量を確認するための募集コマンドの送信である。確認送信に対して申請が無いことは、接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30に対して、募集コマンドの対象とするセンサ30が少ないことを意味する。その場合、募集コマンドで限定する種類数が増やされることによって、募集コマンドの対象とするセンサ30が増やされる。つまり、接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30が多い場合には、募集コマンドで限定する種類数が少なくなり、募集コマンドの対象となるセンサ30も低減される。その結果、隠れ端末の影響が低減され、接続処理の効率が向上する。一方、接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30が少ない場合には、募集コマンドで限定する種類数が少なくなる。接続元の通信端末の周囲に存在する接続可能なセンサ30が少ないので、募集コマンドで限定する種類数が増加しても、募集コマンドの対象となるセンサ30はそれほど多くはない。つまり、隠れ端末の影響は増大しない。これにより、共通の募集コマンドを用いて複数の種類のセンサ30に接続を募集することができる。募集コマンドで規定する種類を切り替える処理を省略することができるので、接続処理の効率が向上する。
【0319】
さらに、募集コマンドで限定する種類数が増加させられながら確認送信が繰り返されて、限定する種類数が所定の上限値に達した場合には、募集コマンドで限定する種類数が上限値で確定される。
【0320】
この構成によれば、募集コマンドで限定する種類数は、無限に増えるわけではなく、上限値に達すると上限値に確定される。
【0321】
具体的には、属性は、センサ30の機器IDである。
【0322】
この構成によれば、センサ30は、センサ30の機器IDに基づいてグループ分けされる。
【0323】
例えば、接続処理を実行する通信端末は、機器IDの特定の桁の値の種類に基づいて複数のセンサ30を所定の種類数ずつグループに分ける。
【0324】
この構成によれば、機器IDが例えば、数字で表されている場合には、機器IDの特定の桁の数字の種類が所定の種類数ずつ規定され、センサ30のグループが形成される。
【0325】
さらに、センサ30は、周囲の通信端末からの信号の電波強度を測定し、測定された電波強度に基づいて接続先候補となる通信端末を決定するサーチ動作を実行し、接続先候補の通信端末への接続の申請を行う。
【0326】
この構成によれば、センサ30のそれぞれは、電波強度に基づいて接続先候補となる通信端末を決定しており、接続先候補の通信端末への接続の申請を行う。このとき、複数のセンサ30が共通の通信端末を接続先候補とする場合がある。そのような場合であっても、グループごとにセンサ30からの接続の申請が受け付けられることによって、接続処理の効率が向上する。
【0327】
また、データステーション10及び複数の中継機20のそれぞれは、複数のタイムスロットを含む通信スケジュールにおける何れかのタイムスロットが割り当てられ、データステーション10は、通信スケジュールに従って到来するタイムスロットに割り当てられたデータステーション10又は中継機20に接続されたセンサ30からセンサ30が保持するデータを収集する。
【0328】
この構成によれば、データステーション10は、通信スケジュールに従って到来するタイムスロットに応じて、データステーション10又は中継機20に接続されたセンサ30の保持するデータを収集する。通信スケジュールが一巡すると、データステーション10は、タイムスロットが割り当てられたデータステーション10及び中継機20に接続された全てのセンサ30のデータを収集する。
【0329】
さらに、データステーション10は、通信スケジュールに従って到来するタイムスロットに割り当てられたデータステーション10又は中継機20を接続先候補とする複数のセンサ30を複数のグループに分けして接続処理を実行する。
【0330】
この構成によれば、データステーション10は、通信スケジュールに従って到来するタイムスロットに応じて接続元の通信端末を切り替えて接続処理を実行する。つまり、タイムスロットが変わることによって、接続元の通信端末が切り替えられる。
【0331】
また、センサ30は、所定の物理量を検出するセンサ部40を有し、センサ部40によって検出された物理量をデータとして保持する。
【0332】
この構成によれば、センサ30の保持するデータは、センサ部40によって検出された物理量である。データステーション10は、通信スケジュールに従ってセンサ30の保持する物理量を収集する。
【0333】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0334】
例えば、無線通信システム100は、蒸気システム以外に適用されてもよい。また、センサ30の対象は、スチームトラップT又はポンプPに限定されない。センサ30は、配管又は弁等に設置されてもよい。また、センサ30が検出する物理量は、振動値又は温度に限定されない。例えば、センサ30が検出する物理量は、電力等であってもよい。
【0335】
また、データ端末は、センサ30以外の端末であってもよい。例えば、データ端末は、物理量を検出する機能を有していなくてもよい。データ端末は、任意のデータを保持していればよい。データ端末以外の装置が物理量を検出し、検出された物理量に関するデータをデータ端末が受け取って保持していてもよい。つまり、データ端末は、センサ部40を有していなくてもよい。
【0336】
データステーション10と中継機20とは、通信スケジュールに従って通信を行わなくてもよい。
【0337】
また、通信スケジュールは、複数のタイムスロットを含んでいなくてもよい。通信スケジュールは、タイムスロットがマトリックス状に規定されていなくてもよい。中継機20へのタイムスロットの割り当ては、ネットワークの階層ごとでなくてもよい。また、1つの中継機20に1つの特定スロットが割り当てられているが、1つの中継機20に2以上の特定スロットが割り当てられていてもよい。
【0338】
前述の接続処理は、一例に過ぎない。例えば、プレ募集コマンドの送信が省略されてもよい。その場合、何れかの中継機20から接続の申請があるまで、第1募集コマンド、第2募集コマンド、第3募集コマンドの順に募集コマンドが送信される。何れかの募集コマンドに対して接続の申請があった場合には、前述の通りの処理が実行される。第1募集コマンド、第2募集コマンド及び第3募集コマンドの何れに対しても接続の申請が無い場合には、センサ30の接続を行うべく、第4募集コマンド等の送信が行われる。
【0339】
また、中継機20の接続に関し、募集コマンドの種類は、3種類に限定されない。中継機20の接続を募集するコマンドの種類は、2種類でもよく、4種類以上であってもよい。また、各募集コマンドに設定された条件は、適宜変更、追加又は省略することができる。例えば、複数の種類の募集コマンドでそれぞれ規定された電波強度は、共通であってもよい。複数の種類の募集コマンドは、対象とする中継機20を電波強度ではなく、機器ID等の中継機20の属性に基づいて特定してもよい。例えば、接続処理においては、電波強度が一定値以上の中継機20を全て接続するものとして、それらの中継機20を複数の種類の募集コマンドによって機器IDに基づいてグループ分けしてもよい。
【0340】
さらに、一種類の募集コマンドに対する中継機20の接続が終了して別の種類の募集コマンドの送信を行う前に、未接続の中継機20及びセンサ30のサーチ動作を再び実行させなくてもよい。再度のサーチ動作の時間が省略されることによって、中継機20及びセンサ30の接続処理に要する時間が短縮される。
【0341】
また、センサ30の接続に関し、募集コマンドの種類は、3種類に限定されない。センサ30の接続を募集する募集コマンドの種類は、1種類でもよく、2種類でもよく、4種類以上であってもよい。尚、規定するセンサ30の種類が異なるが限定する種類数が同じ募集コマンドは、同じ種類の募集コマンドとみなす。
【0342】
また、各募集コマンドに設定された条件は、適宜変更、追加又は省略することができる。例えば、センサ30は、機器IDの特定の桁の値に基づいて分けられている。機器IDは、数字だけでなく、アルファベットが含まれていてもよい。すなわち、機器IDの特定の桁の値は、数字だけでなくアルファベットも含まれる。例えば、機器IDの各桁の値は、0~9、a~fの16種類で表されてもよい。つまり、機器IDの各桁の値は、16進数で表されてもよい。その場合、最初の確認送信においては、機器IDの特定の桁の値を1種類に限定した募集コマンドを送信し、2回目の確認送信においては、機器IDの特定の桁の値を4種類に限定した募集コマンドを送信し、3回目の確認送信においては、機器IDの特定の桁の値を6種類に限定した募集コマンドを送信し、6種類を募集コマンドで限定する種類数の上限値としてもよい。
【0343】
また、グループ分けに用いされるセンサ30の属性は、センサ30の機器IDではなく、センサ30の位置、センサ30のMACアドレス又はセンサ30のデータ種別であってもよい。ここで、センサ30の位置とは、工場等においてセンサ30が設置された場所の位置である。センサ30の位置は、例えば、GPSによって取得された位置であってもよい。センサ30のデータ種別とは、例えば、センサ30の検出値の種別、具体的には、温度及び振動値等である。すなわち、温度を保持するセンサ30と振動値を保持するセンサ30とをグループ分けしてもよい。さらには、センサ30が設置された対象物によって、センサ30をグループ分けしてもよい。例えば、スチームトラップTに設置されたセンサ30とポンプPに設置されたセンサ30とをグループ分けしてもよい。
【0344】
中継機20及びセンサ30の両方の接続処理を効率よく行う観点からは、中継機20の接続を決定した後にセンサ30の接続を決定すればよく、それ以外の複数の中継機20を接続する手順及び複数のセンサ30を接続する手順のそれぞれの内容は、適宜変更、追加又は省略してもよい。この場合には、センサ30をグループ分けしてグループごとに接続の申請を受け付けることは必須ではない。また、複数の中継機20を接続する際に、複数の種類の募集コマンドを使って中継機20をグループ分けしなくてもよい。一の接続元の通信端末を接続先候補とする中継機20を共通の募集コマンドで一律に募集してもよい。同様に、複数のセンサ30を接続する際に、複数の種類の募集コマンドを使ってセンサ30をグループ分けしなくてもよい。一の接続元の通信端末を接続先候補とするセンサ30を共通の募集コマンドで一律に募集してもよい。
【0345】
あるいは、複数のセンサ30の接続処理を効率よく行う観点からは、複数のセンサ30を複数のグループに分けて、グループごとにセンサ30からの申請を受け付けて、申請のあったセンサ30の接続先を決定すればよく、それ以外の手順の内容は、適宜変更、追加又は省略してもよい。この場合には、センサ30よりも中継機20を優先的に接続することは必須ではない。また、中継機20を接続する方法は問わない。
【0346】
前述の接続処理では、中継機20を接続元の通信端末とする場合でもデータステーション10が接続処理を主導している。しかし、中継機20を接続元の通信端末とする場合には、データステーション10ではなく、接続元の通信端末である中継機20が接続処理を主導してもよい。つまり、接続元の中継機20が各種の募集コマンドを自発的に送信してもよい。接続元の中継機20が他の中継機20又はセンサ30から接続の申請を受け取って、他の中継機20又はセンサ30の接続先の自身に決定してもよい。その場合、接続元の中継機20は、接続された中継機20又はセンサ30の情報をデータステーション10に報告する。データステーション10は、その報告を受けて、無線通信システム100の全体の接続関係を管理する。
【0347】
また、中継機20及びセンサ30は、他の通信端末(データステーション10、中継機20及びセンサ30)が送信する同期信号の受信信号強度を測定しているが、同期信号以外の信号の受信信号強度を測定してもよい。
【0348】
中継機20及びセンサ30の接続先を、ツリーテーブル、ルーティングテーブル、センサテーブル、センサ接続情報及び中継機接続情報として規定されている。しかし、接続先は、これらとは異なる形で規定されていてもよい。例えば、無線通信システム100は、ダウンリンク方向のルートを規定したルーティングテーブルを保持しているが、アップリンク方向のルートを規定したルーティングテーブルを中継機20及びセンサ30の接続先として保持していてもよい。また、前述のツリーテーブル、ルーティングテーブル、センサテーブルの形式も一例に過ぎず、異なる形式であってもよい。
【0349】
前述のフローチャートは、一例に過ぎず、前述のステップを省略したり、別のステップを追加したりしてもよい。
【0350】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【符号の説明】
【0351】
100 無線通信システム
10 データステーション(通信端末、親機、接続処理を実行する通信端末)
20 中継機(通信端末、子機)
30 センサ(通信端末、データ端末)
40 センサ部
【要約】
無線通信システム100は、データステーション10と複数の中継機20と複数のセンサ30とを含み、無線ネットワークを形成する複数の通信端末を備えている。中継機20は、データステーション10又は他の中継機20に接続され、データステーション10をルートノードとするツリー型ネットワークトポロジを形成する。センサ30は、データステーション10又は中継機20に接続される。接続処理を実行する通信端末としてのデータステーション10は、データステーション10及び複数の中継機20のうちの接続元となる一の通信端末に接続される中継機20を決定した後に、接続元の通信端末に接続されるセンサ30を決定する。