IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社共栄金物製作所の特許一覧

特許7122712板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材
<>
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図1
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図2
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図3
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図4
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図5
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図6
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図7
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図8
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図9
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図10
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図11
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図12
  • 特許-板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/07 20060101AFI20220815BHJP
   G09F 7/18 20060101ALI20220815BHJP
   G09F 7/06 20060101ALI20220815BHJP
   F16B 4/00 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
F16B5/07 D
G09F7/18 A
G09F7/06 H
F16B4/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019050372
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2019168109
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2018050463
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592021113
【氏名又は名称】株式会社共栄金物製作所
(72)【発明者】
【氏名】明石 和邦
(72)【発明者】
【氏名】明石 眞佐臣
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-028255(JP,A)
【文献】特開平05-202914(JP,A)
【文献】実開平02-030508(JP,U)
【文献】特開平08-339164(JP,A)
【文献】特開平10-132188(JP,A)
【文献】実開昭52-000909(JP,U)
【文献】実開平02-091847(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/18
E04H 17/00-17/26
E06B 11/00-11/08
F16B 3/00- 5/12
G09F 7/00- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムを主材料とし、裏面に取付け用となる細径短軸形状の脚部を複数本突出させたエンブレム又は小型の蓋材からなる板材を、前記脚部を突入させる小孔が設けられた金属製の取付け対象面に取付ける板材の取付け方法であって、
前記脚部は、円形の外周面を持つ本体部分と先端部分とで構成された先絞りの円柱形状を有し、
該板材の取付けにおいて、前記先端部分を前記小孔内に突入させる位置合わせをした後、前記脚部を前記小孔内に強圧入し、この強圧入により該脚部は、前記板材よりも硬質な前記小孔によって外周面が削られながら該小孔に強圧入されて該小孔から抜け外れない状態になり、この削りによって生じた削り屑(くず)と、前記強圧入に伴う前記脚部の圧縮によって前記本体部分の基端に相当する前記基端部分が外方向に向けて膨出した膨出部分とが、前記裏面における前記脚部の前記基端部分を囲む面に設けられた円形の低段部内に収まるようにしたことを特徴とする板材の取付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の板材の取付け方法により取付けられたエンブレムであって、
このエンブレムは、アルミニウムを主材料とし、裏面に前記小孔よりも若干大径の細径短軸形状を有し、先端部が前記小孔に突入し得る太さになった、装飾用の脚部が複数本突出形成されており、
前記板材の裏面における前記脚部の周囲面が、前記削り屑(くず)と、前記強圧入に伴う前記脚部の圧縮によって前記本体部分の基端に相当する前記基端部分が外方向に向けて膨出した膨出部分とが収容される円形の低段部になっていることを特徴とするエンブレム。
【請求項3】
請求項1に記載の板材の取付け方法により取付けられる蓋材であって、
該蓋材は、内壁の長手方向に沿う箇所に小孔が形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の中空押出し成形材よりなる枠材の開口端末部に平坦な裏面を重ね合わせて該開口端末部を閉鎖する蓋材であり、
該蓋材は、蓋本体と、該蓋本体の前記裏面に前記小孔の内径よりも若干太い短尺細軸形状の脚部とを有する、前記枠材よりも軟質のアルミニウム製であり、
該脚部の先端部は、前記小孔に突入し得る細径を有し、
前記蓋本体の裏面における前記脚部の基部端を囲む部分が、該蓋材の取付けにおいて、前記裏面が前記開口端末部に密接して閉鎖する位置まで該脚部を前記小孔内に強圧入させたときに生じる、該脚部周囲面の削り屑と、前記強圧入に伴う前記脚部の圧縮によって前記本体部分の基端に相当する前記基端部分が外方向に向けて膨出した膨出部分とを収容する、円形の低段部なっていることを特徴とする蓋材。
【請求項4】
請求項3に記載の蓋材の裏面に、1又は複数個の係止金具が装着されており、
該係止金具は、ばね弾性が極力抑えられた剛性がある板厚のステンレス板製であり、前記蓋本体の裏面における周縁寄りの箇所に装着される装着用板部と、該装着用板部の外縁部が折曲されて前記裏面から遠ざかる直角方向に延出する起立板部とを有し、
該起立板部は、裏面側に向けた弾性変形が阻止されて前記直角方向の姿勢が維持されており、
該起立板部には、斜め上方外向きに舌片が切り起こしによって設けられ、前記蓋材の取付け時には、該起立板部は前記舌片によって前記枠材の内壁を大きく傷付けながら該枠材内に押し込まれ、
閉鎖後の前記枠材に浮き上がりを生じさせる外力が作用したときに、は、前記舌片が傷付けられた内壁に更に食い込んでこの浮き上がりを一層確実に防止するように構成されていることを特徴とする係止金具付き蓋材。
【請求項5】
請求項3に記載の蓋材の裏面に、1又は複数個の係止金具が装着されており、
該係止金具は、前記蓋本体の裏面における周縁寄りの箇所に装着される装着用板部と、該装着用板部の外縁部が折曲されて前記裏面から遠ざかる直角方向に延出する起立板部と、該起立板部の先端縁部が斜め外方向に折曲されて延出した傾斜板部とを有し、
前記起立板部は、裏面側に向けた弾性変形が阻止されて前記直角方向の姿勢が維持されており、
該傾斜板部における前端縁の両側には、斜め上方外向きの三角形状の尖端部が設けられており、前記起立板部と前記傾斜板部は、前記蓋材の取付け時に前記尖端部によって枠材の内壁を大きく傷付けながら前記枠材内に押し込まれ、
閉鎖後の前記蓋材に浮き上がりを生じさせる外力が作用したときには、前記尖端部が傷付けられた内壁に更に食い込んでこの浮き上がりを一層確実に防止するように構成されていることを特徴とする係止金具付き蓋材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、取付け用の脚部を裏面側に突出させたエンブレム、蓋材等からなるアルミニウム又はアルミニウム合金製の板材の取付け方法と、この取付け対象物であるエンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの機械製品、電気製品等のハウジングやパネル面には、エンブレムが装着されている。
図13(a)(b)に示す従来型のエンブレム1Aは、エンブレム本体10の表面11に社名ロゴや商標名、図柄等が記され、裏面12の両側近傍個所から後方に向けて、装着用の細軸短尺形状を有する脚部13,13を突出させた、アルミニウム又はアルミニウム合金製のフリクション成型品であることが多い。
【0003】
エンブレム1Aの取付け対象面は多くの場合、金属板であり、図13(c)に示すように、金属板60には脚部13,13を突入させる小孔60b,60bが設けられる。
エンブレム1Aの取付けは、図13(d)に示すように、脚部13,13を小孔60b,60b内に突入させて、エンブレム1Aの裏面12を金属板60の表面に重ね合わせ、図13(e)に示すように、金属板60の背面側から脚部13,13を打撃して、脚部13,13の先端部を座屈変形させて挟み付ける方法で行われていた。
【0004】
しかしながら、この取付け方法は、ハウジングやパネルを一旦取り外して行なわなければならず、このために手間と時間が掛っていた。
【0005】
ところで、窓の外側に取付けられる防犯用の格子、敷地の境界に取り付けられる格子柵、屋外や建物の屋上に設置される柵、支柱等は、多くの場合、アルミニウム又はアルミニウム合金製の中空押出し成形材で出来ている。中空押出し成形材の端末は開口端部であるため、この開口端部には、エンドキャップとも称せられる蓋材が取付けられている。
【0006】
開口端部従来の蓋材の多くはプラスチック製であり、その取付けは特許文献1の図2図6においてはビス止めによるものが開示されている。
ビス留め以外の蓋材の取付けでは、前記中空押出し成形材の端末に密接状態で凹凸嵌合する部分が形成された特許文献2に開示の蓋材がある。
また、前記開口端部の対向壁面に押し当てる板ばねを取付けた蓋材、斜め上向きに切り起こした爪がある金属板を取り付けた蓋材も知られている。
【0007】
しかしながら、しかしながらプラスチック製の蓋材は、前記中空押出し成形材と材質が異なるため、取付けられた蓋材はよく目立つ。また、プラスチック製の蓋材は、特に室外では長期間経過により劣化が進むため、交換が必要になる。蓋材が中空押出し成形材と同色である場合でも、特に室外では、色あせして見苦しくなる。ビスを用いた蓋材の取付けは、ビスの頭部が露見するため見栄えが悪く、ビス留めに手間が掛る。
板ばねで中空押出成形材の内壁面を押さえても滑りが生じ易く、円滑な内壁面に爪を食い込ませることは滑りが生じて容易でない。
【0008】
特許文献3において、端面板1の裏面側に突出させたアルミニウム製の脚3を、脚3よりも硬い材質で出来た支柱2に設けたビスホール4内に打ち込んで、支柱2の開口端部を端面板1によって閉鎖する技術が開示されている。特許文献3の明細書第4頁目における第11行目~第15行目には「このビスホール(4)内に脚(5)を強い力で圧入すると、軟質材料で作られている脚は圧力によってその長さがいくらか縮まり、縮まった分だけ横にふくらんで、両者は密着状態になり固定する。」と記載されている。
【0009】
特許文献4においては、脚部11が押出し成型材100Aの開口端にある小孔130内に圧入したときに、弾性変形を超えた塑性変形をして、小孔130の内壁に強く密着する技術が開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献3,4に記載の技術によれば、脚の横にふくらんだ部分が生じたり、圧入に伴う塑性変形によって脚部の基部端近くが膨らんだ部分が生じると、図4(c)に示すように、蓋材(端面板)と押出し成形材(支柱)の端面との間にこの膨らんだ部分が挟み付けられて、両者の間に隙間が生じるという不具合が、実験の結果判明した。このような隙間が生じると、見苦しいだけでなく、押出し成形材(支柱)内に雨水が侵入する原因になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2006-345880号公報の図2図6
【文献】実公昭43-8508号公報
【文献】実開昭52-909号公報
【文献】特開2018-28255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明が解決しようとする課題は、取付け用の脚部を有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の板材(エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材)を、取付対象に簡単且つ瞬時に、しかも密着した状態で、浮き上がりが生じないように強く取付けることができるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る板材の取付け方法は、次の構成を備える。
アルミニウムを主材料とし、裏面に取付け用となる細径短軸形状の脚部を複数本突出させたエンブレム又は小型の蓋材からなる板材を、前記脚部を突入させる小孔が設けられた金属製の取付け対象面に取付ける板材の取付け方法であって、
前記脚部は、円形の外周面を持つ本体部分と先端部分とで構成された先絞りの円柱形状を有し、
該板材の取付けにおいて、前記先端部分を前記小孔内に突入させる位置合わせをした後、前記脚部を前記小孔内に強圧入し、この強圧入により該脚部は、前記板材よりも硬質な前記小孔によって外周面が削られながら該小孔に強圧入されて該小孔から抜け外れない状態になり、この削りによって生じた削り屑(くず)と、前記強圧入に伴う前記脚部の圧縮によって前記本体部分の基端に相当する前記基端部分が外方向に向けて膨出した膨出部分とが、前記裏面における前記脚部の前記基端部分を囲む面に設けられた円形の低段部内に収まるようにした。
【0014】
請求項2に係るエンブレムは、次の構成を備える。
請求項1に記載の板材の取付け方法により取付けられるエンブレムである。
このエンブレムは、アルミニウムを主材料とし、裏面に前記小孔よりも若干大径の細径短軸形状を有し、先端部が前記小孔に突入し得る太さになった、装飾用の脚部が複数本突出形成されており、
前記板材の裏面における前記脚部の周囲面が、前記削り屑(くず)と、前記強圧入に伴う前記脚部の圧縮によって前記本体部分の基端に相当する前記基端部分が外方向に向けて膨出した膨出部分とが収容される円形の低段部なっている。
【0015】
請求項3に係る蓋材は、次の構成を備える。
請求項1に記載の板材の取付け方法により取付けられる蓋材である。
該蓋材は、内壁の長手方向に沿う箇所に小孔が形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の中空押出し成形材よりなる枠材の開口端末部を閉鎖する蓋材であり、
該蓋材は、蓋本体と、該蓋本体の裏面に前記小孔の内径よりも若干太い短尺細軸形状の脚部とを有する、前記枠材よりも軟質のアルミニウム製であり、
該脚部の先端部は、前記小孔に突入し得る細径を有し、
前記蓋本体の裏面における前記脚部の基部端を囲む部分が、該蓋材の取付けにおいて、前記裏面が前記開口端末部に密接して閉鎖する位置まで該脚部を前記小孔内に強圧入させたときに生じる、該脚部周囲面の削り屑と、前記強圧入に伴う前記脚部の圧縮によって前記本体部分の基端に相当する前記基端部分が外方向に向けて膨出した膨出部分とを収容する、円形の低段部なっている。
【0016】
請求項4に係る係止金具付き蓋材は、次の構成を備える。
請求項3に記載の蓋材の裏面に、1又は複数個の係止金具が装着されたものである。
該係止金具は、ばね弾性が極力抑えられた剛性がある板厚のステンレス板製であり前記蓋本体の裏面における周縁寄りの箇所に装着される装着用板部と、該装着用板部の外縁部が折曲されて前記裏面から遠ざかる直角方向に延出する起立板部とを有する。
該起立板部は、裏面側に向けた弾性変形が阻止されて前記直角方向の姿勢が維持されている。
該起立板部には、斜め上方外向きに舌片が切り起こしによって設けられ、前記蓋材の取付け時には、該起立板部は前記舌片によって前記枠材の内壁を大きく傷付けながら該枠材内に押し込まれる。
閉鎖後の前記枠材に浮き上がりを生じさせる外力が作用したときに、は、前記舌片が傷付けられた内壁に更に食い込んでこの浮き上がりを一層確実に防止するように構成されている。
【0017】
請求項5に係る係止金具付き蓋材は次の構成を備える。
請求項3に記載の蓋材の裏面に、1又は複数個の係止金具が装着されている。
該係止金具は、前記蓋本体の裏面における周縁寄りの箇所に装着される装着用板部と、該装着用板部の外縁部が折曲されて前記裏面から遠ざかる直角方向に延出する起立板部と、該起立板部の先端縁部が斜め外向
に折曲されて延出した傾斜板部とを有する。
前記起立板部は、裏面側に向けた弾性変形が阻止されて前記直角方向の姿勢が維持されている。
該傾斜板部における前端縁の両側には、斜め上方外向きの三角形状の尖端部が設けられており、前記起立板部と前記傾斜板部は、前記蓋材の取付け時に前記尖端部によって枠材の内壁を大きく傷付けながら前記枠材内に押し込まれる。
閉鎖後の前記蓋材に浮き上がりを生じさせる外力が作用したときには、前記尖端部が傷付けられた内壁に更に食い込んでこの浮き上がりを一層確実に防止するように構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本願発明に係る板材の装着方法、エンブレム、蓋材、係止金具付き蓋材によれば、いずれも、脚部を取付対象物に設けられている小孔内に強く圧入させるだけで、取付対象物に簡単且つ瞬時に、しかも密着した状態で、浮き上がりを生じさせることがないように強力に装着することが出来る。
【0019】
このため、エンブレムを機械装置のハウジング等に装着する作業では、ハウジングを取り外さなくても行える。
【0020】
脚部の先端部は、前記小孔の径よりも細いため、正確な位置合わせによる強圧入が行える。この強圧入によって、前記小孔の径よりも若干太い脚部は、圧縮を伴いながら外周面が削られるため、小孔に強密接した状態になる。このため、エンブレム、蓋材等の板材を取付対象物に強固に装着することができる。
【0021】
しかも、脚部を小孔内に強圧入させたときに生じる、該脚部周囲面の削り屑と、前記強圧入によって生じた前記脚部基部端の膨出部分は、前記低段部内に押し込まれるため、板材(エンブレム、蓋材)は、密着した見苦しくない状態で取付対象物に取り付けられる。
【0022】
さらに、本願発明に係る係止金具付き蓋材によれば、係止金具の舌片や尖端部を取付対象物(枠材)の内壁面を傷付けながら入れるため、内壁面には舌片や尖端部を食い込ませ易いザラ付いた面が生じる。このため舌片や尖端部を容易に食い込ませることが出来、この結果、脚部を小孔内に圧入させることも合わせて、蓋の僅かな浮き上がりも生じさせない更に強固な装着が行える。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願発明実施形態を以下の実施例において詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は本願発明第1実施形態に係るエンブレムを正面側から見た斜視図、(b)は同じく裏面側から見た斜視図、(c)(d)はこのエンブレムの装着方法を順に示した平面断面図。
図2】(a)(b)(e)はエンブレムの装着方法の手順を示した要部拡大断面図。
図3】(a)は本願発明第2実施形態に係る蓋材と、この蓋材が装着される枠材を示した斜視図、(b)は脚部の拡大斜視図、(c)は脚部周辺の拡大斜視図、(d)は同じく底面図、(e)は枠材の端面図、(f)は枠材の一部拡大図。
図4】(a)(b)は蓋材を枠材の開口端末部に取付ける手順を示した拡大断面図、(c)は低段部が無い場合の不具合を示した拡大断面図。
図5】(a)は本願発明第3実施形態に係る蓋材と、この蓋材が装着される枠材を示した斜視図、(b)は蓋材取付け後の状態を示した斜視図。
図6】(a)はこの蓋材の正面図、(b)は底面図、(c)は図6(b)におけるA-A断面図。
図7】(a)は係止金具の斜視図、(b)は正面図、(c)は側面断面図。
図8】(a)は係止金具の舌片を枠材の内壁に食い込ませた状態を示した底面図、(b)は側面断面図、(c)は図8(b)の一部拡大図。
図9】(a)は本願発明第4実施形態に係る蓋材と、この蓋材が装着される枠材を示した斜視図、(b)はその側面図、(c)は蓋材を斜め下方から見た斜視図。
図10】(a)は係止金具の斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図。
図11】(a)は係止金具の尖端部を枠材の内壁に食い込ませた状態を示した底面図、(b)は側面断面図。
図12】(a)(b)は係止金具に補強部が設けられていない場合の不具合を示した図。
図13】(a)(b)は従来型のエンブレム、エンブレムの取付け方法を示した図。
【実施例
【0025】
[第1実施形態]
図1図2は、本願発明第1実施形態に係るエンブレム1と、エンブレムの取付け方法を示している。
図1(a)(b)に示すエンブレム1は、厚肉の矩形平板形状を有するエンブレム本体10の表面11に社名ロゴが記され、裏面12の両側近傍箇所から後方に向けて、円形の外周面を持つ装着用の細軸短尺形状を有する脚部13,13を突出させた、アルミニウム又はアルミニウム合金製のフリクション成形品である。エンブレム本体10の裏面12における脚部13,13の周囲面は、円形の低段部14,14になっている。
【0026】
図1(c)に示すように、エンブレム1が取付けられる金属板60には、脚部13,13を突入させる小孔60b,60bが設けられている。
エンブレム1は、図1(d)に示すように、脚部13,13を小孔60b,60b内に強圧入させるだけで、金属板60に取付けられる。
【0027】
この取付けについての詳細を図2(a)~(c)に示す。
図2(a)に示すように, 脚部13は、金属板60に設けられた小孔60bよりも若干大径の本体部分13aと、小孔60bに突入し得る太さの先細りになった先端部分13bとにより形成されている。
【0028】
図2(b)に示すように、本体部分13aは小孔60bよりも若干大径であるため、前記突入によって脚部13の外周面が削られながら、脚部13は圧縮される。
【0029】
図2(c)に示すように、この圧縮によって脚部13の基部に相当する基体部分13aが外方向に膨出する。エンブレム1の裏面1aが金属板60に面着するまで脚部13を小孔60b内に圧入させたときには、膨出部13dと削り屑13eは低段部14内に収められている。このため、膨出部13dや削り屑13eの挟み付けによるエンブレム1の浮き上がった取付けは生じない。
【0030】
[第2実施形態]
図3図5は、本願発明第2実施形態に係る蓋材2と、蓋材2の取付け方法を示している。
図3(a)に示す蓋材2は、市販のアルミニウム押出し成形材よりなる枠材50の端末開口部51を閉鎖するアルミニウム製の蓋材であり、枠材50よりも軟質のアルミニウムで出来ている。
蓋材2の裏面21における両端近傍箇所から後方には、脚部22,22が一体形成されている。
図3(b)に示すように、脚部22は、本体部分22aと、先細りになった先端部分22bとにより形成された、円形の外周面を持つ。
図3(c)(d)に示すように、蓋材2の裏面21における脚部22の周囲面は、円形の低段部23になっている。
この実施形態においては、脚部22の有効高さHは3mm、直径D1は3mm、であり、低段部23の外径は4.5mm、深さSは0.8mmである。
【0031】
枠材50は、図3(a)(b)(c)に示す形状例のものによると、内側の2隅に沿って小孔53,53が形成されている。小孔53,53はビスホールとも称され、縦方向に切欠かれたC字形状を有する。小孔53,53の内径D3は、2.9mmである。
蓋材2は、この枠材50の端末に合わせた形状と大きさがある。脚材部22,22は、この枠材50に形成されている小孔52,53に圧入可能な位置に設けられている。
【0032】
図4(a)(b)に蓋材2を枠材50の開口端末部に取付ける手順の詳細が示されている。
蓋材2の枠材50に向けた取付けは、図4(a)に示すように、蓋材2を枠材50の開口端末面に平行に向けた姿勢で脚部22,22の先端部を小孔53,53の入口に圧入させることから始まる。この圧入によって、小孔53の内径よりも若干大径の脚部22は、小孔53の縁部によって削られ、圧縮されながら、小孔53内に深く圧入される。
図4(b)に示すように、この圧縮によって脚部22の基端部分の周りは膨出する。蓋材2が枠材50の開口端部面に面着するまで脚部22を小孔53内に圧入させたときには、膨出部22dと削り屑22eは低段部14内に収められている。
図4(c)に示すように、低段部が設けられていないと、蓋材2と個以降端部面との間に削り屑や膨出部が挟まって蓋材2と枠材50との間に隙間が生じる。
【0033】
[第3実施形態]
図5図8には、本願発明第3実施形態に係る係止金具付き蓋材10と、この蓋材10の取付け方法とが示されている。
図5(a)に示すように、この係止金具付き蓋材10は、枠材50の正方形を有する端末開口部51を閉鎖する蓋材であり、蓋材2の裏面に2個の係止金具3,3が装着されている。蓋材2の板面部分になる蓋本体20は、端末開口部51の外周縁に合わせた大きさがある。
枠材50の内壁52における四隅に沿った箇所には、前述と同様の大きさがある小孔53,53が設けられている。
蓋材2の裏面には小孔53,53・・に突入させる4本の脚部22,22・・が一体形成されている。
脚部22,22・・の小孔53,53内に向けた圧入は前述した第2実施形態の場合と同様であるため、省略する。
図5(b)は枠材50に蓋材20が取付けられた状態が示されている。
【0034】
図6(a)~(c)に示すように、蓋材20には、2個の係止金具3,3が装着されている。
係止金具3,3は、蓋本体20の裏面における平行な縁部寄りの2
箇所に、対向した向きで設けられている。
係止金具は、板厚0.5mmのステンレス(SUS301)板で形成されている。この硬さのステンレス板は、剛性があり、ばね弾性が極力抑えられている。
【0035】
図7(a)~(c)に示すように、係止金具3,3は、何れも、蓋本体20の背面21に装着される装着用板部31と、装着用板部31の外縁部が折曲されて、直角下方に延出した起立板部32とを有する。
起立板部32の略中央面は上向きの円弧線方向に切欠かれており、この切欠かれた個所から外方向に、斜め上向きの舌片35が切り起こしによって設けられている。
【0036】
図6(a)~(c)に示すように、係止金具3の蓋本体20の裏面21に向けた装着は、蓋本体20の裏面21から突出する装着用の突部24を、装着用板部31に設けた装着用の孔33内に突入させ、同じく裏面21から突出する回り止め用の突部25を、装着用板部31に設けた孔33内に裏面21から突入させた後、突部24をカシメて座屈させる挟み付けによって行われる。
【0037】
図8(a)~(c)に示すように、起立板部32は枠材50の内壁52に極めて近接して沿った直角下方に向けた姿勢を維持している。
この姿勢は、前述したように係止金具3が剛性であるため、維持されている。
このため、蓋材2を取付ける工程では、起立板部32は、舌片35によって枠材50の内壁52を大きく傷付けながら枠材50内に押し込まれる。
【0038】
枠材50の端末開部51が蓋材20によって確実に閉じられた状態では、舌片35は傷付いた内壁52に更に食い込み易い状態となっているため、蓋材20に浮き上がり方向の外力が生じても、蓋材20を浮き上がらせることはない。
前記脚部の小孔内に向けた圧入と、舌片35による内壁52に向けた食い込みによって、蓋材20は全く浮き上がることが無い状態で、閉鎖した姿勢が維持されている。このため、悪戯による蓋材20の取り外しも容易に行なえない。
【0039】
[第4実施形態]
図9において、本願発明第4実施形態に係る係止金具付き蓋材11と、この蓋材11の取付け方法が示されている。
図9(a)(b)に示す係止金具付き蓋材11も前述した実施形態と同様に正方形の端末開口部51を有する枠材50を閉鎖する蓋材である。
この蓋材11は、裏面21に前述した係止金具と異なる2個の係止金具3,3が装着されている。
【0040】
この係止金具3は、図10(a)~(c)に示すように、装着用板部41と、装着用板部41の外縁部が折曲されて直角下方に延出した起立板部42と、起立板部42の先端縁部が斜め外方向に折曲されて延出した傾斜板部43とを有する。
【0041】
装着用板部41の左右寄りの面の前後幅の略中央個所から、起立板部42の下端近くまで達する丸みのある低段面で形成された第1補強部46,46が設けられ、起立板部42の両端には、後方に折曲して延出した板面部分からなる第2補強部47,47が設けられている。これらの補強部46,47は、起立板部3の後方に向けた弾性変形を防ぐ。
【0042】
傾斜板部43の前縁部46の左右両端には、三角形状の尖端部48,48が突出形成されている。尖端部48,48は前述した舌片と同様の働きをする。この状態が図11(a)(b)に示されている。
【0043】
[補強部材が無い場合の不具合]
図12(a)に示すように起立板部42が補強部材で補強されていないと、蓋材20を枠材50の端末開口部に装着するときに、起立板部が枠材50の内壁52に当接した傾斜板部に押されて、矢方向に動く。このため、図12(b)に示すように、起立板部の元に戻ろうとする弾性反発力と、傾斜板部よる突っ張りによって、蓋材20を浮き上がらせる力が働く。
本願発明では、このような事態を生じさせないために、起立板部42を上述した補強部46,47で補強して、起立板部42が後方に傾かないようにした。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る係止金具と、係止金具付き蓋材と、格子は、建築金物の分野で利用される。
【符号の説明】
【0045】
1 エンブレム
2 蓋材
3 係止金具
10 エンブレム本体
11 表面
12 裏面
13 脚部
13a 本体部分
13b 先端部分
13c 基端部分(基部)
13d 膨出部
14 低段部
20 蓋本体
22 脚部
22a 本体部
22b 先端部
22c 基端部分(基部)
22d 膨出部
50 枠材
51 端末開口部
53 小孔
60 金属板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13