(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】財布
(51)【国際特許分類】
A45C 1/02 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
A45C1/02 A
(21)【出願番号】P 2021572262
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2021021107
(87)【国際公開番号】W WO2021261194
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2020110046
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521450001
【氏名又は名称】株式会社エジソンラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】小川耕太
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-4916(JP,A)
【文献】登録実用新案第3055858(JP,U)
【文献】実開昭60-4223(JP,U)
【文献】実開昭54-13606(JP,U)
【文献】国際公開第2013/114193(WO,A1)
【文献】実開昭59-31919(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/02
A45C 1/10
A45C 3/06
A45C 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
がま口口金を含むがま口部を備え、前記がま口口金の一片は財布本体の一部に切り込みにより設けられたフラップを挟み込むことで前記財布本体に接合され、前記がま口口金の他片は長方形のがま口小片の上辺及び左右辺を挟み込むことで前記がま口小片に接合され、前記がま口小片は下辺において前記財布本体に接合されている、財布。
【請求項2】
がま口口金を含むがま口部を備え、前記がま口口金の一片は財布本体に
その上辺及び左右辺の内側に沿った縫線で縫い付けられることで接合されたシート部材の上辺及び左右辺を挟み込むことで前記財布本体に接合され、前記がま口口金の他片は長方形のがま口小片の上辺及び左右辺を挟み込むことで前記がま口小片に接合され、前記がま口小片
と前記シート部材とは下辺において前記財布本体に
共縫いされることにより接合されている、財布。
【請求項3】
前記シート部材の上下方向における中間部に左右方向に長い長穴が設けられ、コインを収納した際の厚みを最小限に抑える、請求項2に記載の財布。
【請求項4】
前記財布は二つ折り財布であって、二つ折りした際の一方側に前記がま口口金を有し、他方側における前記がま口口金に対応する位置に、マグネットを備える、請求項1から3のいずれかに記載の財布。
【請求項5】
前記財布は二つ折り財布であって、二つ折りした際の一方側に前記がま口部を有し、他方側における前記がま口部に対しオフセットした位置にカード入れ部を有する、請求項1から4のいずれかに記載の二つ折り財布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小銭や札、カードなどを収容する、財布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、財布は、小銭入れ、カード入れが特に厚みを持ち、二つ折りのものはこれらが重なることによりさらに厚みが増すという問題があった。また、小銭入れ部分に多く使われるスナップボタンも厚みの増加につながる。ジッパーなどもすぐに小銭を出せないという問題があった。
【0003】
このようなことを回避するため、特許文献1には、片手で容易に開くことのできる2つ折りの財布が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の財布の技術は、紙幣やカードなどを収納する財布に適用することは難しい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、小銭をすぐに取り出すことのできる財布を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の財布は、がま口口金を含むがま口部を備え、前記がま口口金の一片は財布本体の一部に切り込みにより設けられたフラップを挟み込むことで前記財布本体に接合され、前記がま口口金の他片は長方形のがま口小片の上辺及び左右辺を挟み込むことで前記がま口小片に接合され、前記がま口小片は下辺において前記財布本体に接合されている、財布である。
また、がま口口金を含むがま口部を備え、前記がま口口金の一片は財布本体に接合されたシート部材の上辺及び左右辺を挟み込むことで前記財布本体に接合され、前記がま口口金の他片は長方形のがま口小片の上辺及び左右辺を挟み込むことで前記がま口小片に接合され、前記がま口小片は下辺において前記財布本体に接合されている、財布であってもよい。
このような財布によれば、財布本体の壁状の部分にがま口口金を取り付け、がま口を設けることができるから、鏡面対称の構造でないがま口を構成することが可能となる。
【0008】
また、本発明の財布は、二つ折り財布であって、二つ折りした際の一方側に前記がま口口金を有し、他方側における前記がま口口金に対応する位置に、マグネットを備える。
このような財布によれば、二つ折りした際に、マグネットががま口口金に吸着することで、二つ折り状態を保つことができる。
【0009】
さらに本発明の財布は、二つ折り財布であって、二つ折りした際の一方側に前記がま口部を有し、他方側における前記がま口部に対しオフセットした位置にカード入れ部を有する、財布である。
このような財布によれば、二つ折りした際に、がま口部とカード入れ部とが重ならないため、全体として薄い財布を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の二つ折り財布を開いた状態を表す正面図である。
【
図2】
図1の財布を二つ折りした状態における平面図(A)及び底面図(B)である。
【
図3】
図2の状態を表す正面図である。なお、背面図は対称に表れる。
【
図4】
図2の状態における右側面図(A)及び左側面図(B)である。
【
図5】
図1の状態におけるがま口を開いた状態を示す部分正面図である。
【
図6】実施形態の二つ折り財布の生地の状態を示す正面図である。
【
図7】別の実施形態の二つ折り財布を示す斜視図である。
【
図8】
図7の二つ折り財布の生地の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の財布の実施形態について説明する。
図1は、実施形態の二つ折り財布を開いた状態を表す正面図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態の二つ折り財布1は、がま口部2と、札入れ部3と、カード入れ部4と、名刺入れスリット5と、鍵入れスリット6と、マグネット7とを備える。
【0013】
二つ折り財布1の財布本体11は、
図2,
図4に示すように外布11aと内布11bとを有し、これらは皮革を
図6のように切り出して縫い目S1及びS2において縫い付けることにより構成される。外布11aは内布11bより長く設計され、二つ折りした際の突っ張りを防止する。
【0014】
二つ折り財布1は
図1のように開いた状態において二つ折りした際の一方側すなわち左側の上部分にがま口部2を備え、前記がま口部2は、がま口口金21を有する。前記がま口口金21は既存の口金であり、一片21dと他辺21eとが軸部21bを介して蝶番状に回動可能に接続されて成る。がま口口金21の一片21dは財布本体11の内布11bに切り込みにより設けられたフラップ23を挟み込むことで前記財布本体11に接合され、前記がま口口金21の他片21eは長方形の小片であるがま口小片22の上辺及び左右辺を挟み込むことで前記がま口小片22に接合され、前記がま口小片22は下辺22aにおいて前記財布本体に接合されている。
【0015】
これについて詳説する。従来、がま口財布は、対称に構成された袋状部品の開口部の上辺にがま口口金を取り付け、前記上辺をがま口口金の断面U字状の溝部分にくわえ込んだ状態でカシメて固定される。そのため、従来のがま口財布は鏡面対称に構成されている。がま口は開ける際も閉める際もワンアクションで済み、また上方に開口していることから小銭が落ちにくく取りやすいという利点があるが、上述のように鏡面対称の部材にしか取り付けられないことから二つ折り財布の壁面に取り付けるといったことはできなかった。しかし、実施形態の財布1によれば、財布本体11の内布11bの壁状の部分であって上辺以外の部分にも、フラップ23を設けることにより、がま口口金21を取り付け、がま口を設けることが可能となるから、二つ折り財布など、鏡面対称の構造でない財布にがま口を構成することが可能となる。そして、がま口口金21のひねり21aをひねるだけで開けることができ、上方からコインにアクセスできる。財布本体11の素材が柔らかければ二つ折りの状態のままでも上方からコインを取り出すことができ、小銭の出し入れがスムーズになる。
【0016】
フラップ23は、
図5,
図6に示すように、内布11bのがま口口金21に対応する位置すなわち
図1のように開いた状態で左上の部分に、切込みを入れることにより設けられ、がま口口金21の上辺に対応する部分に3つ、左右に対応する部分に1つずつ設けられている。形状は上辺の3つは上向きに凸、左右1つずつは外向きに凸のコの字型となっている。このフラップ23にがま口口金21を取り付け、一片21dの断面U字状の溝部分にフラップ23をくわえ込んだ状態でカシメてがま口口金21を固定する。なお、小銭が出ないように、それぞれのフラップ23の間隔はコインより小さくする。フラップ23の幅は大きくしすぎると財布1の歪みを生じやすいので、がま口口金21の幅の4分の1程度にすべきである。また、フラップ23は内布11bの上辺に縦2本の切り込みを入れる形でコの字型に作成することもできるが、
図5に示すように上辺より少し下がった位置にコの字型の切り込みを入れる方が、内布11bの上辺を切らずに済み、デザイン性に優れる。
【0017】
また、二つ折り財布1は
図1のように開いた状態において他方側、すなわち右側の上部分であって前記がま口口金21に対応する位置に、マグネット7を備える。このマグネット7は、
図6に示すように記事の状態で設けられた穴7aにマグネット7の固定部(図示省略)が貫通して固定されることにより、マグネット7が内布11bに固定される。
【0018】
このような二つ折り財布1によれば、二つ折りした際に、マグネット7ががま口口金21に吸着することで、二つ折り状態を保つことができる。
【0019】
さらに二つ折り財布1は、二つ折りした際の他方側すなわち
図1において右側における下部分、すなわち前記がま口部2に対しオフセットした位置にカード入れ部4を有する。オフセットしていることについては、特に
図4に明らかである
【0020】
このような二つ折り財布1によれば、二つ折りした際に、がま口部2とカード入れ部4とが重ならないため、全体として薄い財布を構成できる。
【0021】
カード入れ部4は、カード入れ部本体布41を、その左右辺において内布11bに縫い付け、底部42をいわゆるマチのためにカード入れ部本体布41の下辺及び財布本体11の内布11bに縫い付けて構成され、カードCを収納する。
図4に示すように、カードCを収納した状態でカードCの上部ががま口部2に重ならないよう構成され、財布1の二つ折り時の薄さを実現する。
【0022】
内布11bは、
図1において右側に、名刺入れスリット5及び2つの鍵入れスリット6を備える。これらは単に内布11bに設けられたスリットであるが、名刺や鍵、ピックなどを格納できる。
【0023】
図7は別の実施形態の二つ折り財布を示す斜視図である。また、
図8は、この二つ折り財布の生地の状態を示す正面図であり、
図9はその分解図である。別の実施形態の二つ折り財布101は、基本的な構造において既述の二つ折り財布1と同様であるから、同様である点については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0024】
別の実施形態の二つ折り財布101は、主に、がま口部102のシート部材123、もう一つの鍵入れスリット106a、カード入れ部本体布141において既述の二つ折り財布1と異なる。
【0025】
別の実施形態の二つ折り財布101は、がま口口金21を含むがま口部102を備え、がま口口金21の一片21dは財布本体111の内布111bに縫い付けられて接合されたシート部材123の上辺及び左右辺を挟み込むことで財布本体111bに接合されている。また、シート部材123の上下方向における中間部には左右方向に長い長穴123aが設けられ、これはコインを複数枚収納した際にコインが重なって最も厚くなる部分に対応しているから、コインを収納した際の厚みを最小限に抑えることができる。
【0026】
また、別の実施形態の二つ折り財布101は、がま口部102の下に、縦に伸びた、もう一つの鍵入れスリット106aを備える。これにより、がま口口金21のカン21cに根付紐(図示省略)の一端を結びつけ、その他端に鍵(図示省略)を結びつけ、鍵入れスリット106aにこの鍵を収納することができる。この場合、鍵はカード入れ104と重なる位置に来るため、がま口部102と重なることを回避し、厚みが出ることを回避できる。なお、財布本体111bには、カン21cを避けるための穴111cが設けられている。また、カード入れ部140のカード入れ部本体布141はその中央部に、縦方向に伸びた長穴141aを有し、この長穴141aに指を入れてカードCをスライドして押し出すことで、所望したカードが一番上にない場合でも、所望したカードだけを取り出すことができる。
【0027】
以上説明したように、二つ折り財布1によれば、がま口を壁面に取り付けることが可能になるから、二つ折り財布においてがま口を採用することが可能になる。また、がま口部分とカード部分が重ならないために、ポケットに入れても気にならないほどの薄さを実現する、という顕著な効果を有する。以上の説明は好適な例を示したが、本発明の目的である、がま口を壁面に設置するという構成を満たす範囲で、様々なバリエーションを本発明に含むことができる。二つ折りでない財布に使用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 二つ折り財布
2 がま口部
3 札入れ部
4 カード入れ部
5 名刺入れスリット
6 鍵入れスリット
7 マグネット