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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
A63F7/02 334
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018019426
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019136134
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】森本 陽児
【審査官】廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136094(JP,A)
【文献】特開2012-161601(JP,A)
【文献】特開2013-176545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤上を流下する遊技球が入球可能な入球部と、
前記入球部の近傍から前記遊技盤の下側へ向かって傾斜し、前記遊技球を前記下側へ案内可能な案内部材と、
前記案内部材の上面を形成し、前記遊技球が転動可能な転動面と、
前記転動面上を前記遊技球が転動する際に通過する前記遊技盤上で開口し、前記遊技球を回収可能なアウト口と、
前記アウト口に回収された前記遊技球を検出する球検出手段と
前記球検出手段による前記遊技球の検出結果が特定条件を満たした場合、所定の報知を実行する報知手段と
を備え
前記報知手段は、所定の単位時間内に前記球検出手段によって検出された前記遊技球の数量が、前記単位時間の推奨遊技態様で打ち出される複数の前記遊技球のうちで前記アウト口に回収される数量の理論値よりも規定量大きい場合に、前記特定条件が満たされたと判断することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記入球部の近傍から前記遊技盤の左下側へ向かって傾斜し、前記遊技球を前記左下側へ案内可能な前記案内部材である第一案内部材と、
前記第一案内部材の前記転動面上を前記遊技球が転動する際に通過する前記遊技盤上で開口する前記アウト口である第一アウト口と、
前記第一アウト口に回収された前記遊技球を検出する前記球検出手段である第一球検出手段と、
前記入球部の近傍から前記遊技盤の右下側へ向かって傾斜し、前記遊技球を前記右下側へ案内可能な前記案内部材である第二案内部材と、
前記第二案内部材の前記転動面上を前記遊技球が転動する際に通過する前記遊技盤上で開口する前記アウト口である第二アウト口と、
前記第二アウト口に回収された前記遊技球を検出する前記球検出手段である第二球検出手段と
を備えたことを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【請求項3】
前記アウト口は、前記遊技盤の前側に開口し、前記転動面上で前記遊技盤の後側に向かって転動する前記遊技球を回収可能であり、
前記遊技球は、前記アウト口の前側を通過して前記転動面の下端部まで流下した場合、前記案内部材よりも前記下側に流下できる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を用いて遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技球を用いた入球部に対する各種不正行為に対処可能な遊技機が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に開示の遊技機は、所謂ブドウ玉ゴトに対処する為に、遊技盤の背面側に球詰まり検知装置と振動発生装置を備える。球詰まり検知装置は、遊技領域の外周部の一部を形成する内側レールと、内側レールと遊技領域内で対向する入球部との導通状態を監視する。振動発生装置は、球詰まり検知装置が内側レールと入球部との間でブドウ玉の発生を検出すると、モータを駆動しアーム部材を前後方向に往復運動させることで、遊技盤を振動させて滞留していた遊技球は遊技盤の下部へ落下させる。
【0003】
特許文献2に開示の遊技機は、検出装置及び判定手段により、遊技時に通過経路を通過する遊技球の電気抵抗に基づき、潤滑剤等の塗布剤が塗布された遊技球の有無を検出する。これにより、遊技球に塗布剤を塗布して該遊技球の落下方向や落下速度に微妙な変化を生じさせることで所謂Vゾーンへの入賞率を高めるような不正行為(所謂、油玉ゴト)を、有効にかつ早急に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-194222号公報
【文献】特開2009-279267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の遊技機では、入球部の近傍で発生したブドウ玉が内側レールと接触していない場合、球詰まり検知装置はそのブドウ玉の発生を検出できないという問題があった。また、特許文献2に開示の遊技機では、油分の粘度等の条件によって遊技球の電気抵抗が変化する為、油球等の不正な遊技球と正規の遊技球とを正確に判別するのが困難であり、遊技機の制御や構造が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、遊技球を用いた入球部に対する不正行為を容易に検出可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る遊技機は、遊技盤上を流下する遊技球が入球可能な入球部と、前記入球部の近傍から前記遊技盤の下側へ向かって傾斜し、前記遊技球を前記下側へ案内可能な案内部材と、前記案内部材の上面を形成し、前記遊技球が転動可能な転動面と、前記転動面上を前記遊技球が転動する際に通過する前記遊技盤上で開口し、前記遊技球を回収可能なアウト口と、前記アウト口に回収された前記遊技球を検出する球検出手段と、前記球検出手段による前記遊技球の検出結果が特定条件を満たした場合、所定の報知を実行する報知手段とを備え、前記報知手段は、所定の単位時間内に前記球検出手段によって検出された前記遊技球の数量が、前記単位時間の推奨遊技態様で打ち出される複数の前記遊技球のうちで前記アウト口に回収される数量の理論値よりも規定量大きい場合に、前記特定条件が満たされたと判断する
【0008】
本態様の遊技機によれば、入球部を狙って流下する遊技球が入球部に入球しなかった場合、案内部材はその遊技球を入球部の近傍から遊技盤の下側へ案内可能である。このとき、遊技球は案内部材の上面である転動面上を転動しながら、下側へ案内される。転動面上を転動する遊技球は、アウト口に回収可能である。アウト口に回収された遊技球は、球検出手段によって検出される。ここで通常の遊技機では、アウト口に回収された遊技球は不要であるため、このような遊技球を検出する手段は設けられない。これに対して本態様の遊技機では、アウト口に回収された遊技球を検出することで、遊技球を用いた入球部に対する不正行為を検出可能である。
【0009】
例えば転動面上で複数の遊技球が滞留すると入球部の近傍でブドウ状態が発生し、転動面上で滞留して積み上がる遊技球がアウト口に回収され易い。このとき、球検出手段が通常よりも多くの遊技球を検出するため、ブドウ玉ゴトを検出できる。また、油玉ゴトが行われている場合は、塗布剤の影響によって遊技球の挙動が通常時とは異なる。その結果、油玉ゴト時と通常時とで入球部を狙って同じように打ち出されても、遊技球がアウト口に回収される頻度や割合が変化するため、油玉ゴトを検出できる。このように本態様の遊技機は、遊技球を用いた入球部に対する不正行為を容易に検出できる。
【0010】
技球を用いた入球部に対する不正行為が行われている可能性がある場合に、所定の報知を行うことでホール店員や遊技者に注意喚起できる。
【0011】
奨遊技態様は、入球部を狙った遊技球の打ち出し状態をいう。この場合、アウト口に回収される遊技球の数量が推奨遊技態様時の理論値よりも規定量大きいか否かに基づいて、遊技球を用いた入球部に対する不正行為の可能性をより的確に検出できる。
【0012】
前記入球部の近傍から前記遊技盤の左下側へ向かって傾斜し、前記遊技球を前記左下側へ案内可能な前記案内部材である第一案内部材と、前記第一案内部材の前記転動面上を前記遊技球が転動する際に通過する前記遊技盤上で開口する前記アウト口である第一アウト口と、前記第一アウト口に回収された前記遊技球を検出する前記球検出手段である第一球検出手段と、前記入球部の近傍から前記遊技盤の右下側へ向かって傾斜し、前記遊技球を前記右下側へ案内可能な前記案内部材である第二案内部材と、前記第二案内部材の前記転動面上を前記遊技球が転動する際に通過する前記遊技盤上で開口する前記アウト口である第二アウト口と、前記第二アウト口に回収された前記遊技球を検出する前記球検出手段である第二球検出手段とを備えてもよい。この場合、入球部を狙って流下したものの入球部に入球しなかった遊技球は、第一案内部材によって遊技盤の左下側に向かって案内されるか、又は第二案内部材によって遊技盤の右下側に向かって案内される。遊技球が何れの方向に案内された場合でも、その遊技球は第一アウト口又は第二アウト口に回収されると、第一球検出手段又は第二球検出手段によって検出できる。
【0013】
前記アウト口は、前記遊技盤の前側に開口し、前記転動面上で前記遊技盤の後側に向かって転動する前記遊技球を回収可能であり、前記遊技球は、前記アウト口の前側を通過して前記転動面の下端部まで流下した場合、前記案内部材よりも前記下側に流下できてもよい。この場合、転動面上を転動する遊技球のうち、アウト口の前側を通過して転動面の下端部まで流下した遊技球は案内部材よりも下側に流下できる一方、アウト口の前側を通過できなかった遊技球はアウト口に回収される。即ち、転動面上を転動する遊技球は、アウト口の前側を通過すれば更に遊技盤上を流下できるため、その遊技球が他の入球口へ入球する可能性を残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】遊技盤2の正面図である。
図3】遊技盤2の斜視図である。
図4】上センター役物15の上部を拡大した斜視図である。
図5】遊技盤2の背面図である。
図6】上センター役物15及び排出経路83,84の正面図である。
図7】パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。
図8】第一例のアウト球処理のフローチャートである。
図9】第二例のアウト球処理のフローチャートである。
図10】第三例のアウト球処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、夫々、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
【0016】
図1図2を参照し、パチンコ機1の機械的構成を説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機137(図7参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠13の上部の左右の角にはスピーカ10が夫々設けられている。遊技盤2の背面側には機構盤8(図3参照)が設けられている。
【0017】
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。発射機137で発射された遊技球は、ガイドレール3に沿って遊技領域4の左側を通って円弧状に打ち上げられ、遊技領域4の左上部にある投入位置9から遊技領域4内に放出される。即ち発射機137で発射された遊技球は、遊技領域4の左側から遊技領域4内に打ち出される。
【0018】
遊技領域4の上部中央には、一般入賞口17が設けられている。遊技領域4の略中央には、上センター役物15が設けられ、その下方には、下センター役物16が設けられている。上センター役物15は、球入口41、球通路42、球通路43、2つのアウト口81,82、クルーンユニット50、リング部18,19等を備える。球入口41は、上センター役物15の上部中央に設けられ、一般入賞口17の直下に位置する。2つのアウト口81,82は、球入口41の左右両側に設けられている。球通路42は、球入口41の下方に設けられている。球通路42は、球入口41に入球した遊技球を受け入れ、下方に位置するクルーンユニット50に案内する。
【0019】
図2図3に示すように、クルーンユニット50は、クルーン部材51を備える。クルーン部材51は、上下方向に延びる回転軸(図示略)を中心に回転可能な略円柱体であり、第一モータ221(図7参照)の駆動で回転する。クルーン部材51の上面には、遊技球が旋回して転動可能な転動面が形成されている。クルーン部材51の転動面には、4つのハズレ孔71と2つのチャンス孔72とからなる計6つの孔が設けられている。
【0020】
球通路42を流れた遊技球は、回転するクルーン部材51の転動面の左側に落下する。落下した遊技球は、クルーン部材51の転動面上を旋回し、計6つの孔のうちでハズレ孔71又はチャンス孔72の何れかに落下する。チャンス孔72に落下した遊技球は、クルーン部材51の直下に設けられた球通路43を流れ、上センター役物15の下部から下方に排出される。でハズレ孔71に落下した遊技球は、遊技盤2の背面側に設けられた排出通路(図示略)に排出される。リング部18,19は、上センター役物15の中央部に設けられ、例えば透明な樹脂部材で形成されている。リング部18,19は、クルーン部材51を内側に回転可能に支持する。
【0021】
下センター役物16は、上から順に、球入口60、球通路61、シーソー部材62等を備える。球入口60は、下センター役物16の上部中央に設けられている。上センター役物15の球通路43から下方に排出された遊技球は、下センター役物16の球入口60に入球する。球通路61は、球入口60の下方に設けられている。球通路61は、球入口60に入球した遊技球を受け入れ、下方に位置するシーソー部材62に案内する。
【0022】
シーソー部材62は左右方向に延び、その中間点を支点にして、第二モータ222(図7参照)の動力で左右の両端部が上下動する揺動運動を繰り返す。シーソー部材62は揺動運動によって、球通路61を流れた遊技球を左右に振り分ける。本実施形態では、シーソー部材62によって右側に振り分けられた遊技球は、下センター役物16の始動口(図示外)へ入賞する。シーソー部材62によって左側に振り分けられた遊技球は、下センター役物16の一般入賞口(図示外)へ入賞して、所定数の賞球が払い出される。
【0023】
遊技領域4の右側には、上から順に、第一普通電動役物21、第二普通電動役物22、第三普通電動役物23、第四普通電動役物24が設けられている。各普通電動役物21~24の各々には、開閉可能な可動部材が設けられている。各普通電動役物21~24の可動部材が閉じられている場合、遊技球は各普通電動役物21~24に入賞困難である。各普通電動役物21~24の可動部材が開かれた場合に、各普通電動役物21~24は遊技球が入賞可能な開放状態となる。
【0024】
本実施形態では、遊技球が下センター役物16の始動口へ入賞すると、所定数の賞球が払い出されて、第一普通当たり判定が実行される。第一普通当たり判定では100%の確率で第一当たりに当選して、第一普通電動役物21が所定回数開放される第一当たり遊技が実行される。第一当たり遊技によって第一普通電動役物21に入賞すると、所定数の賞球が払い出されて、第二普通当たり判定が実行される。第二普通当たり判定では100%の確率で第二当たりに当選して、第二普通電動役物22が所定回数開放される第二当たり遊技が実行される。
【0025】
第二当たり遊技によって第二普通電動役物22に入賞すると、所定数の賞球が払い出されて、第三普通当たり判定が実行される。第三普通当たり判定では100%の確率で第三当たりに当選して、第三普通電動役物23が所定回数開放される第三当たり遊技が実行される。第三当たり遊技によって第三普通電動役物23に入賞すると、所定数の賞球が払い出されて、第四普通当たり判定が実行される。第四普通当たり判定では100%の確率で第四当たりに当選して、第四普通電動役物24が所定回数開放される第四当たり遊技が実行される。第四当たり遊技によって第四普通電動役物24に入賞すると、所定数の賞球が払い出される。
【0026】
このように、シーソー部材62によって遊技球が右側に振り分けられることを契機として、第一普通電動役物21、第二普通電動役物22、第三普通電動役物23、第四普通電動役物24が連続して開放動作されることによって、遊技者は多量の賞球を獲得できる。遊技盤2の右下部には、図柄表示部28が設けられている。図柄表示部28は、第一普通当たり判定、第二普通当たり判定、第三普通当たり判定、及び第四普通当たり判定の結果及び各判定における保留球数等を、例えばLEDで表示する。
【0027】
第四普通電動役物24の右斜め下方には、一般入賞口26が設けられている。遊技領域4の左側には、上から順に、4つの一般入賞口31~34が設けられている。これらの一般入賞口17,26,31~34に入賞した場合にも、所定数の賞球が払い出される。遊技盤2には、上記以外に各種の電飾ランプ、入賞口、風車、アウト口99、及び遊技くぎ等が設けられている。また、遊技球が何れの入賞口にも入賞することなく遊技領域4の最下部まで流下すると、その球技球はアウト口99に回収される。
【0028】
図3図4を参照し、上センター役物15の外周壁90の構成について説明する。正面視環状の外周壁90は、上端部にある球入口41の左右両端から円周方向に延びる。外周壁90は、上センター役物15の内側にあるクルーンユニット50等の役物を取り囲んでいる。外周壁90は、外周壁90の左側上部を形成する左側案内部材91と、外周壁90の右側上部を形成する右側案内部材92とを有する。左側案内部材91及び右側案内部材92は、上センター役物15と一体に構成される外周壁90の一部を形成する。つまり、左側案内部材91及び右側案内部材92は、上センター役物15と一体に構成されている。
【0029】
左側案内部材91及び右側案内部材92は、球入口41に対して左右一対に設けられ、球入口41の近傍に落下した遊技球(例えば、球入口41を狙って流下したものの球入口41に入球しなかった遊技球)を、遊技盤2の下側へ案内可能である。詳細には、左側案内部材91は、球入口41の近傍から遊技盤2の左下側へ向かって傾斜し、遊技球を左下側へ流下するように案内可能である。右側案内部材92は、球入口41の近傍から遊技盤2の右下側へ向かって傾斜し、遊技球を右下側へ流下するように案内可能である。
【0030】
換言すると、遊技領域4は、遊技領域4内に打ち出された遊技球が上センター役物15の左側を通って流下する左側流路と、遊技領域4内に打ち出された遊技球が上センター役物15の右側を通って流下する右側流路とを有する。左側案内部材91は、遊技球が左側流路を流下するように、遊技球を下側へ案内する。右側案内部材92は、遊技球が右側流路を流下するように、遊技球を下側へ案内する。但し、後述の左側アウト口81は、左側流路に設けられて、左側流路を流下する遊技球を回収可能である。後述の右側アウト口82は、右側流路に設けられて、右側流路を流下する遊技球を回収可能である。
【0031】
左側案内部材91の上流側端部(即ち、左側案内部材91の右上端部)、及び右側案内部材92の上流側端部(即ち、右側案内部材92の左上端部)は、夫々、球入口41の近傍に配置されていればよく、球入口41に接触していなくてよい。即ち左側案内部材91及び右側案内部材92は、球入口41への入球に失敗した遊技球を、上センター役物15の内側に入り込ませることなく遊技盤2の下側へ案内可能であればよい。
【0032】
左側案内部材91は左側転動面91Aを備える。左側転動面91Aは、左側案内部材91の上面の一部を形成し、遊技盤2の前面と直交しつつ、球入口41の左端から遊技盤2の下側に向かって円弧状に傾斜している。左側転動面91Aは、第一左側転動面911と第二左側転動面912とを有する。第一左側転動面911は、球入口41の左端から外周壁90の円周方向に沿って左下側に延びる曲面である。第二左側転動面912は、第一左側転動面911の左端から左下側に延びる略水平面である。第二左側転動面912は、第一左側転動面911よりも水平面に対する傾斜角度が小さい(即ち、第二左側転動面912は第一左側転動面911よりも緩い傾斜面である)。
【0033】
上センター役物15は、遊技盤2上における左側案内部材91の後方に、遊技盤2を前後方向に貫通する略筒状の左側アウト口81を備える。左側アウト口81は、遊技盤2の左右方向において球入口41と投入位置9との間に設けられている。左側アウト口81は、正面視で左右方向に長く、且つ左側に向けて上下方向の開口幅が大きくなる開口形状を有する。左側アウト口81は、左側転動面91A上を転動する遊技球に対して後側から対向する位置に形成される。左側アウト口81は、その下端が左側転動面91Aに沿って延びており、且つ複数の遊技球が同時に進入可能な開口幅を有する。本実施形態の左側アウト口81は、第一左側転動面911の下流側部分(即ち、左下部分)と第二左側転動面912とを転動する遊技球に対して、後側から対向するように略左右方向に延びる。
【0034】
第二左側転動面912には、第一左側転動面911と隣接する位置に、左側アウト口案内面91Bが設けられている。左側アウト口案内面91Bは、遊技盤2の前側から左側アウト口81に向かって後方に延び、且つその延伸方向(即ち後方)に向かって若干下方に傾斜する傾斜面である。従って左側アウト口案内面91Bは、第二左側転動面912において若干下方に凹んでいる。第二左側転動面912の下流側端部(即ち、左側案内部材91の左下端部)は、左側放出位置91Cである。
【0035】
かかる構造により、上センター役物15における球入口41の左側に落下した遊技球は、左側転動面91A上を転動することで左下側に案内される。このとき、例えば第一左側転動面911上を転動する遊技球の勢いが強い場合、その遊技球は左側アウト口案内面91Bを越えて第二左側転動面912上を転動して、左側放出位置91Cから上センター役物15の左側に落下する。一方、例えば第一左側転動面911上を転動する遊技球の勢いが弱い場合、その遊技球は左側アウト口案内面91Bを越えることができずに、左側アウト口案内面91B上を転動して左側アウト口81に案内される。このように、左側転動面91A上で案内される遊技球は、上センター役物15の左側に落下する経路と、左側アウト口81に回収される経路に振り分けられる。
【0036】
右側案内部材92は右側転動面92Aを備える。右側転動面92Aは、右側案内部材92の上面の一部を形成し、第一右側転動面921と第二右側転動面922とを有する。第二右側転動面922は、右側アウト口案内面92Bと右側放出位置92Cとを有する。右側転動面92Aは、球入口41に対して左側転動面91Aと左右対称な形状をなすため、詳細な説明は省略する。また上センター役物15は、遊技盤2上における右側案内部材92の後方に、右側アウト口82を備える。右側アウト口82は、遊技盤2の左右方向において球入口41を挟んで投入位置9の反対側に設けられている。右側アウト口82は、球入口41に対して左側アウト口81と左右対称な形状をなすため、詳細な説明は省略する。
【0037】
かかる構造により、上センター役物15における球入口41の右側に落下した遊技球は、右側転動面92A上を転動することで右下側に案内される。このとき、例えば第一右側転動面921上を転動する遊技球の勢いが強い場合、その遊技球は右側アウト口案内面92Bを越えて第二右側転動面922上を転動して、右側放出位置92Cから上センター役物15の右側に落下する。一方、例えば第一右側転動面921上を転動する遊技球の勢いが弱い場合、その遊技球は右側アウト口案内面92Bを越えることができずに、右側アウト口案内面92B上を転動して右側アウト口82に案内される。このように、右側転動面92A上で案内される遊技球は、上センター役物15の右側に落下する経路と、右側アウト口82に回収される経路に振り分けられる。
【0038】
本実施形態では、球入口41への入球が多量の賞球を獲得するための契機となる。そのためパチンコ機1では、当たり遊技以外の通常遊技状態において、球入口41を狙って遊技球を打ち出すことが推奨される。即ち図2の仮想線で示すように、遊技球は球入口41に入球しやすいように、遊技領域4の中央上部に打ち出されるような発射強度で打ち出されることが推奨される。このように、パチンコ機1において球入口41を狙った遊技球の打ち出し状態を、推奨遊技態様という。推奨遊技態様では、球入口41に向かって流下する遊技球が球入口41に入球しなかった場合、球入口41の左右両側にある左側転動面91A又は右側転動面92Aに落下しやすい。左側転動面91A又は右側転動面92Aに落下した遊技球は、上述した経路に振り分けられる。
【0039】
ここで、球入口41の近傍でブドウ状態を形成しようとする遊技球が、左側アウト口81又は右側アウト口82に回収される態様を説明する。本実施形態では、先述したように、球入口41への入球が多量の賞球を獲得するための契機となる。例えば不正な遊技者はガラス板の前面に磁石を近づける等の手段で、球入口41に繋がる左側案内部材91又は右側案内部材92の近傍で複数の遊技球が滞留するブドウ状態を発生させることで、球入口41に不当に入球させる不正行為(所謂、ブドウ玉ゴト)を行う可能性がある。
【0040】
本実施形態では、左側案内部材91の近傍でブドウ状態が発生すると、そのブドウ状態によって複数の遊技球が左側転動面91A上で積み上がる。このとき、左側転動面91A上で積み上がる遊技球は、球入口41に入球する前に、左側アウト口案内面91Bによって左側アウト口81に案内される。同様に、右側案内部材92の近傍でブドウ状態が発生すると、そのブドウ状態によって複数の遊技球が右側転動面92A上で積み上がる。このとき、右側転動面92A上で積み上がる遊技球は、球入口41に入球する前に、右側アウト口案内面92Bによって右側アウト口82に案内される。このように、球入口41に対するブドウ玉ゴトが行われた場合でも、積み上がった遊技球は左側アウト口81又は右側アウト口82に回収されるため、遊技球が不正に球入口41に入球することが抑止される。
【0041】
図5図6を参照し、パチンコ機1における遊技球の排出経路を説明する。図5図6に示すように、遊技盤2の背面側には、遊技領域4を流下した遊技球を外部に排出するための複数の排出経路83~89が設けられている。理解を容易にするために、図5に示す遊技盤2の背面図では、各入賞口、普通電動役物、及び排出経路83~89、アウト口99のみを図示している。図6に示す上センター役物15の正面図では、排出経路83,84を仮想線で図示している。
【0042】
図5図6に示すように、排出経路83は、左側アウト口81に回収された遊技球を排出する経路であり、案内路831~835を有する。左側アウト口81に進入した遊技球は、遊技盤2の背面側まで移動すると、左側アウト口81の後端から左下側に延びる案内路831内を流下する。左側アウト口81の流路断面は、複数の遊技球が同時にスムーズに流下できる程度に大きい。案内路832は、案内路831の下端部から下方に向けて延び、一つの遊技球が流下できる程度の開口幅を有する。案内路831の下流側端部まで流下した遊技球は、一つずつ並んで案内路832内を流下する。
【0043】
案内路833は、案内路832の下端部から下方に向けて蛇行して延び、一つの遊技球が流下できる程度の開口幅を有する。案内路832の下流側端部まで流下した遊技球は、一つずつ並んで案内路833内を蛇行しながら流下するため、案内路833内を流下する遊技球の勢いが弱くなる。案内路834は、案内路833の下端部から右下側に向けて延びる。案内路833の下流側端部まで流下した遊技球は、案内路834内に案内されて、一つずつ並んで案内路834内を流下する。
【0044】
案内路835は、案内路834の下端部から下方に向けて延び、一つの遊技球が流下できる程度の開口幅を有する。案内路834の下流側端部まで流下した遊技球は、一つずつ並んで案内路835内を流下する。案内路835には、案内路835を流下する遊技球を検出する左アウト口スイッチ206が設けられている。左側アウト口81に回収された遊技球は、左アウト口スイッチ206によって排出経路83内で検出されて、遊技盤2の下側に排出される。
【0045】
排出経路84は、右側アウト口82に回収された遊技球を排出する経路であり、案内路841~845を有する。排出経路84は、正面視で排出経路83と左右対称な形状をなすため、詳細な説明は省略する。案内路845には、案内路845を流下する遊技球を検出する右アウト口スイッチ207が設けられている。右側アウト口82に回収された遊技球は、右アウト口スイッチ207によって排出経路84内で検出されて、遊技盤2の下側に排出される。
【0046】
ここで通常の遊技機では、アウト口に回収された遊技球は不要であるため、このような遊技球を検出する手段は設けられず、またアウト口に回収された複数の遊技球を一連状に整流させる必要もない。これに対し、本実施形態のパチンコ機1では、各アウト口81,82に回収された遊技球を、上記の構造を有する排出経路84,85によって一連状に整流させることで、各アウト口スイッチ206,207が回収された遊技球を一つずつ正確に検出可能である。
【0047】
図5に示すように、排出経路85は、下センター役物16(図3参照)の始動口(図示外)に入賞した遊技球を排出する経路である。シーソー部材62(図3参照)によって右側に振り分けられた遊技球は、下センター役物16の始動口を経由して遊技盤2の背面側に移動し、排出経路85内を流下する。排出経路85には、排出経路85を流下する遊技球を検出する第一普通図柄作動スイッチ201が設けられている。下センター役物16の始動口に入賞した遊技球は、第一普通図柄作動スイッチ201によって検出されて、遊技盤2の下側に排出される。
【0048】
排出経路86は、下センター役物16の一般入賞口(図示外)に入賞した遊技球を排出する経路である。シーソー部材62によって左側に振り分けられた遊技球は、下センター役物16の一般入賞口を経由して遊技盤2の背面側に移動し、排出経路86内を流下する。排出経路86には、排出経路86を流下する遊技球を検出する一般入賞口スイッチ205が設けられている。下センター役物16の一般入賞口に入賞した遊技球は、一般入賞口スイッチ205によって検出されて、遊技盤2の下側に排出される。
【0049】
排出経路87は、遊技盤2の上部中央から、排出経路84の右側(図6では左側)を通って下側に延びる。排出経路87は、一般入賞口17(図3参照)及び各普通電動役物21~24に入賞した遊技球を排出する経路である。一般入賞口17に入賞した遊技球は、排出経路87内を流下する過程で一般入賞口スイッチ205によって検出されて、遊技盤2の下側に排出される。
【0050】
また、第一普通電動役物21に入賞した遊技球は、第二普通図柄作動スイッチ202によって検出されて、排出経路87内を流下して遊技盤2の下側に排出される。第二普通電動役物22に入賞した遊技球は、第三普通図柄作動スイッチ203によって検出されて、排出経路87内を流下して遊技盤2の下側に排出される。第三普通電動役物23に入賞した遊技球は、第四普通図柄作動スイッチ204によって検出されて、排出経路87内を流下して遊技盤2の下側に排出される。第四普通電動役物24に入賞した遊技球は、一般入賞口スイッチ205によって検出されて、排出経路87内を流下して遊技盤2の下側に排出される。
【0051】
排出経路88は、遊技盤2の上部中央のやや左側(図6では右側)から、排出経路83の左側を通って下側に延びる。排出経路88は、一般入賞口31~34に入賞した遊技球を排出する経路である。排出経路88には、上下二つの一般入賞口スイッチ205が設けられている。一般入賞口31,32に入賞した遊技球は、排出経路88内を流下する過程で上側の一般入賞口スイッチ205によって検出されて、遊技盤2の下側に排出される。一般入賞口33,34に入賞した遊技球は、排出経路88内を流下する過程で下側の一般入賞口スイッチ205によって検出されて、遊技盤2の下側に排出される。
【0052】
排出経路89は、排出経路87の下部の右側に設けられている。排出経路89は、一般入賞口26(図3参照)に入賞した遊技球を排出する経路である。一般入賞口26に入賞した遊技球は、排出経路89内を流下する過程で一般入賞口スイッチ205によって検出されて、遊技盤2の下側に排出される。なお、アウト口99に回収された遊技球も、遊技盤2の背面側に移動した後、遊技盤2の下側に排出される。
【0053】
図7を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部140は、主基板141、サブ制御基板158、ランプドライバ基板146、払出制御基板145、中継基板147、及び電源基板142を主に備える。主基板141は、パチンコ機1の主制御(主として遊技制御)を司る。主基板141は、主基板CPUユニット150を備える。
【0054】
主基板CPUユニット150は、各種の演算処理を行うCPU151と、データを一時的に記憶するRAM152と、制御プログラム等を記憶したROM153とを備える。主基板CPUユニット150は、割込信号発生回路157と電気的に接続する。主基板141は、割込信号発生回路157から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板141は、I/Oインタフェイス154を介して、サブ制御基板158、払出制御基板145、中継基板147、出力ポート155と電気的に接続する。出力ポート155は、図示しない遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の各種情報を出力する。
【0055】
サブ制御基板158は、主基板141から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。サブ制御基板158は、CPU581、RAM582、及びROM583を備え、ランプドライバ基板146、及びスピーカ10と電気的に接続する。ランプドライバ基板146は、上センター役物15、下センター役物16、各種照明等の動作を制御し、先述の第一モータ221及び第二モータ222と電気的に接続する。
【0056】
払出制御基板145は、CPU145a等を備える。払出制御基板145は、主基板141から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置149の動作を制御し、遊技球の入賞に応じた所定数の遊技球を賞球として払い出させる。
【0057】
中継基板147は、先述の図柄表示部28、第一普通図柄作動スイッチ201、第二普通図柄作動スイッチ202、第三普通図柄作動スイッチ203、第四普通図柄作動スイッチ204、複数の一般入賞口スイッチ205、左アウト口スイッチ206、及び右アウト口スイッチ207と電気的に接続する。各スイッチ201~207は、遊技球を検出するとONとなり、遊技球を検出しない場合はOFFとされる。
【0058】
また中継基板147は、第一普通電役開閉ソレノイド211、第二普通電役開閉ソレノイド212、第三普通電役開閉ソレノイド213、及び第四普通電役開閉ソレノイド214と電気的に接続する。第一普通電役開閉ソレノイド211は、第一当たり遊技において第一普通電動役物21の可動部材を開閉する。第二普通電役開閉ソレノイド212は、第二当たり遊技において第二普通電動役物22の可動部材を開閉する。第三普通電役開閉ソレノイド213は、第三当たり遊技において第三普通電動役物23の可動部材を開閉する。第四普通電役開閉ソレノイド214は、第四当たり遊技において第四普通電動役物24の可動部材を開閉する。
【0059】
電源基板142は、主基板141及び発射機137と電気的に接続し、各基板及び発射機137に直流の安定化した電力を供給する。発射機137は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に、遊技球を1個ずつ遊技領域4へ向けて発射する。即ち発射ハンドル7を用いた通常の連続打ち出しでは、発射機137が1分間当たりに100個の遊技球を遊技領域4へ向けて発射する。
【0060】
図8図10を参照して、パチンコ機1の主基板141による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM153に記憶されている制御プログラムに基づいて、CPU151によって行われる。以下では、主基板141による動作のうち、各アウト口81,82に回収された遊技球(以下、アウト球という。)に関するアウト球処理のみを説明する。
【0061】
図8を参照して、第一例のアウト球処理を説明する。図8に示すように、第一例のアウト球処理では、まず左アウト口スイッチ206がONであるかが判断される(S1)。左アウト口スイッチ206がONである場合(S1:YES)、検出されたアウト球に対応するアウト球情報が、RAM152に記憶される(S3)。アウト球情報は、少なくとも対応するアウト球が検出された時間を示す。その後、左アウト口スイッチ206がOFFにセットされる(S5)。
【0062】
左アウト口スイッチ206がOFFである場合(S1:NO)、右アウト口スイッチ207がONであるかが判断される(S7)。右アウト口スイッチ207がONである場合(S7:YES)、S3と同様に、検出されたアウト球に対応するアウト球情報がRAM152に記憶される(S9)。その後、右アウト口スイッチ207がOFFにセットされる(S11)。右アウト口スイッチ207がOFFである場合(S7:NO)、処理はS1に戻る。
【0063】
S5又はS11の実行後、規定単位時間当たりのアウト球の数量が算出される(S13)。規定単位時間は、先述の推奨遊技態様において適正なサンプル数のアウト球を検出可能な時間の長さであればよい。一例として規定単位時間は、100個の遊技球が打ち出される「1分」であるものとする。この規定単位時間(1分)において検出されるアウト数量の理論値(即ち、1分間当たりに各アウト口81,82に回収される合計球数の理論値)は、「10個」であるものとする。なお、規定単位時間当たりのアウト球数の理論値は、パチンコ機1の実射試験等に基づいて予め特定可能である。
【0064】
RAM152には、各アウト口81,82に回収されたアウト球に対応するアウト球情報が履歴として記憶されている。S13では、RAM152に記憶されているアウト球情報が示す検出時間に基づいて、最新の規定単位時間内に検出されたアウト球数が算出される(S13)。なお、RAM152に記憶されたアウト球情報のうち、規定単位時間外に検出されたアウト球に対応する古いアウト球情報は、RAM152から自動的に削除されてもよい。この場合、S13では、RAM152に記憶されているアウト球情報の数量が、規定単位時間のアウト球数として特定されてもよい。またS13では、RAM152に記憶されているアウト球情報に代えて、規定単位時間内に検出されたアウト球をカウントするカウンタに基づいて、規定単位時間のアウト球数を特定してもよい。
【0065】
次いで、S13で算出されたアウト球数が、第一規定値以上であるかが判断される(S15)。第一規定値は、規定単位時間で各アウト口81,82の何れかに回収されるアウト球数の理論値よりも大きい値であればよい。本例では、推奨遊技態様で規定単位時間に打ち出される遊技球数(1分間当たりに100個)の半数(50個)が、予め第一規定値として設定されている。アウト球数が第一規定値以上である場合(S15:YES)、所定の第一警告コマンドが出力ポート155(図7参照)を介して、遊技場管理用コンピュータ(図示外)に出力される(S17)。アウト球数が第一規定値以上でない場合(S15:NO)、又はS17の実行後、処理はS1に戻る。
【0066】
第一例のアウト球処理によれば、球入口41に対する遊技球を用いた不正行為が、以下のように検出可能である。例えば遊技者が球入口41を狙ってブドウ玉ゴトを行った場合、先述したように各アウト口81,82に短時間で多量の遊技球が回収されやすい。この場合、規定単位時間当たりに検出されるアウト球数が過剰に増加して第一規定値以上になることで、第一警告コマンドが遊技場管理用コンピュータ(図示外)に出力される。
【0067】
また、例えば遊技者が球入口41を狙って油玉ゴトを行った場合、潤滑剤等を塗布された不正な遊技球(即ち、油玉)は、遊技くぎに当たっても跳弾しにくく、且つ遊技くぎの間を通過しやすい。そのため油玉は、通常の遊技球よりも球入口41への入球率が高まると同時に、球入口41に入球しなかった場合でも遊技くぎで弾かれにくいので、通常の遊技球よりも球入口41の近傍(左側転動面91A又は右側転動面92A)に落下しやすい。各転動面91A,92Aに落下する遊技球が多いほど、各アウト口81,82に短時間で多量の遊技球が回収されやすい。この場合も、規定単位時間当たりに検出されるアウト球数が過剰に増加して第一規定値以上になることで、第一警告コマンドが遊技場管理用コンピュータ(図示外)に出力される。
【0068】
従って第一例によれば、ホールの管理者は、パチンコ機1において球入口41に対する不正行為(例えば、ブドウ玉ゴトや油玉ゴト)が行われている可能性を把握できる。なおパチンコ機1は、例えばS17において、サブ制御基板158に警告用演出コマンドを送信してもよい。サブ制御基板158のCPU581は、警告用演出コマンドを受信した場合、所定の警告報知(例えば、所定パターンの音声出力や発光制御等)を行ってもよい。これにより、遊技者やホール店員に対して不正行為を注意喚起することができる。
【0069】
図9を参照して、第二例のアウト球処理を説明する。なお第二例に係るパチンコ機1では、右側アウト口82、右側案内部材92、排出経路84、右アウト口スイッチ207が設けられていなくてもよい。
【0070】
図9に示すように、第二例のアウト球処理では、まずS1~S5と同様に、左アウト口スイッチ206がONであるかが判断される(S21)。左アウト口スイッチ206がONである場合(S21:YES)、検出されたアウト球に対応するアウト球情報がRAM152に記憶され(S23)、左アウト口スイッチ206がOFFにセットされる(S25)。左アウト口スイッチ206がOFFである場合(S21:NO)、処理はS21に戻る。S25の実行後、S13と同様に規定単位時間当たりのアウト球数が算出される(S27)。即ちS27では、RAM152に記憶されているアウト球情報に基づいて、最新の規定単位時間内に左側アウト口81に回収されたアウト球数が算出される。
【0071】
次いで、アウト球数が第二規定値以上であるかが判断される(S29)。第二規定値は、規定単位時間で左側アウト口81に回収されるアウト球数の理論値よりも大きい値であればよい。本例では、推奨遊技態様で規定単位時間に打ち出される遊技球数(1分間当たりに100個)のうち、左側アウト口81に回収されるアウト球数の理論値である「10個」の3倍に当たる「30個」が、予め第二規定値として設定されている。本例では、第二規定値は第一例の第一規定値と異なる値であるが、第一規定値と第二規定値とが同じ値でもよい。
【0072】
アウト球数が第二規定値以上である場合(S29:YES)、所定の第二警告コマンドが遊技場管理用コンピュータ(図示外)に出力される(S31)。本例では、第二警告コマンドは第一例の第一警告コマンドと異なるコマンドであるが、第一警告コマンドと第二警告コマンドとが同じコマンドでもよい。アウト球数が第二規定値以上でない場合(S29:NO)、又はS31の実行後、処理はS21に戻る。
【0073】
第二例のアウト球処理によれば、球入口41に対する遊技球を用いた不正行為が、以下のように検出可能である。例えば遊技者が球入口41の左側からブドウ玉ゴトを行った場合、左側アウト口81に短時間で多量の遊技球が回収されやすいため、規定単位時間当たりのアウト球数が過剰に増加して第二規定値以上になることで、第二警告コマンドが遊技場管理用コンピュータ(図示外)に出力される。
【0074】
また、例えば遊技者が球入口41を狙って油玉ゴトを行った場合、油玉は遊技くぎに当たっても跳弾しにくく且つ遊技くぎの間を通過しやすいため、通常の遊技球よりも球入口41の右側に飛びにくい。即ち、球入口41を狙って打ち出された油玉は、通常の遊技球と比べて、投入位置9(図2参照)に近い球入口41の左側を流下しやすい。その結果、球入口41に入球しなかった油玉は、球入口41の左側近傍(即ち、左側転動面91A)に落下しやすい。左側転動面91Aに落下する遊技球が多いほど、左側アウト口81に短時間で多量の遊技球が回収されて、規定単位時間当たりのアウト球数が過剰に増加して第二規定値以上になることで、第二警告コマンドが遊技場管理用コンピュータ(図示外)に出力される。
【0075】
従って第二例によれば、ホールの管理者は、パチンコ機1において球入口41に対する不正行為(例えば、ブドウ玉ゴトや油玉ゴト)が行われている可能性を把握できる。特に、第二例に係るパチンコ機1では、左側アウト口81に回収されたアウト球のみに基づいて、油玉ゴトの可能性を的確に検出できる。なお、パチンコ機1は第一例と同様に、例えばS31において、サブ制御基板158に警告用演出コマンドを送信してもよい。
【0076】
図10を参照して、第三例のアウト球処理を説明する。第三例のアウト球処理は、上述の第一例及び第二例を組み合わせた実施例である。図10に示すように、第三例のアウト球処理では、まずS21~S27と同様に、左アウト口スイッチ206がONであるかが判断される(S41)。左アウト口スイッチ206がONである場合(S41:YES)、検出されたアウト球に対応する左アウト球情報がRAM152に記憶され(S43)、左アウト口スイッチ206がOFFにセットされる(S45)。左アウト球情報は、左側アウト口81に回収されたアウト球に対応するアウト球情報である。
【0077】
次いで、規定単位時間当たりの左アウト球数が算出される(S47)。S47では、RAM152に記憶されている左アウト球情報に基づいて、最新の規定単位時間内に左側アウト口81に回収されたアウト球数(左アウト球数)が算出される。次いで、S29と同様に、左アウト球数が第二規定値以上であるかが判断される(S49)。左アウト球数が第二規定値以上である場合(S49:YES)、S31と同様に、第二警告コマンドが遊技場管理用コンピュータ(図示外)に出力される(51)。
【0078】
左アウト口スイッチ206がOFFである場合(S41:YES)、S7~S11と同様に、右アウト口スイッチ207がONであるかが判断される(S53)。右アウト口スイッチ207がONである場合(S53:YES)、検出されたアウト球に対応する右アウト球情報がRAM152に記憶され(S55)、右アウト口スイッチ207がOFFにセットされる(S57)。右アウト球情報は、右側アウト口82に回収されたアウト球に対応するアウト球情報である。右アウト口スイッチ207がOFFである場合(S53:NO)、処理はS41に戻る。
【0079】
アウト球数が第二規定値以上でない場合(S49:NO)、又はS51,S57の何れかの実行後、S13と同様に、規定単位時間当たりの左右アウト球数が算出される(S59)。S59では、RAM152に記憶されている左アウト球情報及び右アウト球情報の両方に基づいて、最新の規定単位時間内に各アウト口81,82の何れかに回収されたアウト球数(左右アウト球数)が算出される。次いで、S15と同様に、左右アウト球数が第一規定値以上であるかが判断される(S61)。左右アウト球数が第一規定値以上である場合(S61:YES)、S17と同様に、第一警告コマンドが遊技場管理用コンピュータ(図示外)に出力される(S63)。左右アウト球数が第一規定値以上でない場合(S61:NO)、又はS63の実行後、処理はS41に戻る。
【0080】
第三例のアウト球処理によれば、上述した第一例及び第二例と同様に、球入口41に対する遊技球を用いた不正行為が、以下のように検出可能である。特に第三例に係るパチンコ機1では、各アウト口81,82の両方で回収されたアウト球に基づいて、ブドウ玉ゴトの可能性を的確に検出できる。また左側アウト口81のみで回収されたアウト球に基づいて、油玉ゴトの可能性を的確に検出できる。なお、パチンコ機1は第一例及び第二例と同様に、S51,S63においてサブ制御基板158に警告用演出コマンドを送信してもよい。
【0081】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1は、遊技盤2上を流下する遊技球が入球可能な入球部(球入口41)と、入球部の近傍から遊技盤2の下側へ向かって傾斜し、遊技球を下側へ案内可能な案内部材(左側案内部材91,右側案内部材92)と、案内部材の上面を形成し、遊技球が転動可能な転動面(左側転動面91A,右側転動面92A)と、転動面上を遊技球が転動する際に通過する遊技盤2上で開口し、遊技球を回収可能なアウト口(左側アウト口81,右側アウト口82)と、アウト口に回収された遊技球を検出する球検出手段(左アウト口スイッチ206,右アウト口スイッチ207)とを備える。
【0082】
これによれば、球入口41を狙って流下する遊技球が球入口41に入球しなかった場合、各案内部材91,92はその遊技球を球入口41の近傍から遊技盤2の下側へ案内可能である。このとき、遊技球は各転動面91A,92A上を転動しながら、下側へ案内される。各転動面91A,92A上を転動する遊技球は、各アウト口81,82に回収可能である。各アウト口81,82に回収された遊技球は、各アウト口スイッチ206,207によって検出される。ここで通常の遊技機では、アウト口に回収された遊技球は不要であるため、このような遊技球を検出する手段は設けられない。これに対してパチンコ機1では、各アウト口81,82に回収された遊技球を検出することで、遊技球を用いた球入口41に対する不正行為を検出可能である。
【0083】
例えば各転動面91A,92A上で複数の遊技球が滞留すると球入口41の近傍でブドウ状態が発生し、各転動面91A,92A上で滞留して積み上がる遊技球が各アウト口81,82に回収され易い。このとき、各アウト口スイッチ206,207が通常よりも多くの遊技球を検出するため、ブドウ玉ゴトを検出できる。また、油玉ゴトが行われている場合は、塗布剤の影響によって遊技球の挙動が通常時とは異なる。その結果、油玉ゴト時と通常時とで球入口41を狙って同じように打ち出されても、遊技球が各アウト口81,82に回収される頻度や割合が変化するため、油玉ゴトを検出できる。このようにパチンコ機1は、遊技球を用いた球入口41に対する不正行為を容易に検出できる。
【0084】
また、本実施形態のパチンコ機1は、遊技盤2上の所定位置(投入位置9)から遊技領域4内に遊技球を打ち出す発射手段(発射機137)と、遊技領域4内に打ち出されて遊技盤2上を流下する遊技球が入球可能な入球部(球入口41)と、入球部の近傍から遊技盤2の下側へ向かって傾斜し、遊技球を下側へ案内可能な案内部材(左側案内部材91)と、案内部材の上面を形成し、遊技球が転動可能な転動面(左側転動面91A)と、遊技盤2の左右方向において入球部と所定位置との間に設けられ、且つ転動面上を遊技球が転動する際に通過する遊技盤2上で開口し、遊技球を回収可能なアウト口(左側アウト口81)と、アウト口に回収された遊技球を検出する球検出手段(左アウト口スイッチ206)とを備える。
【0085】
これによれば、遊技盤2上の投入位置9から遊技領域4内に遊技球が打ち出される。そして、球入口41を狙って流下する遊技球が球入口41に入球しなかった場合、左側案内部材91はその遊技球を球入口41の近傍から遊技盤2の下側へ案内可能である。このとき、遊技球は左側転動面91A上を転動しながら、下側へ案内される。左側転動面91A上を転動する遊技球は、遊技盤2の左右方向において球入口41と投入位置9との間に設けられた左側アウト口81に回収可能である。左側アウト口81に回収された遊技球は、左アウト口スイッチ206によって検出される。
【0086】
ここで通常の遊技機では、アウト口に回収された遊技球は不要であるため、このような遊技球を検出する手段は設けられない。これに対してパチンコ機1では、遊技盤2の左右方向において球入口41と投入位置9との間に設けられた左側アウト口81に回収された遊技球を検出することで、球入口41に対する油玉ゴトを容易に検出可能である。具体的には、油玉ゴトが行われた遊技球は、球入口41を狙って流下したものの球入口41に入球しなかった場合、塗布剤の影響によって球入口41よりも投入位置9側で流下しやすい。このような遊技球は、左側案内部材91によって下側に案内されるため、左側アウト口81に回収され易い。このとき、左アウト口スイッチ206が通常よりも多くの遊技球を検出するため、油玉ゴトを検出できる。
【0087】
上記のパチンコ機1において、各アウト口スイッチ206,207(あるいは、左アウト口スイッチ206)による遊技球の検出結果が特定条件を満たした場合、所定の報知を実行する(S17,S31,S51,S63)。これによれば、遊技球を用いた球入口41に対する不正行為(例えば、ブドウ玉ゴトや油玉ゴト)が行われている可能性がある場合、所定の報知(例えば、警告コマンドの出力)を行うことでホール店員や遊技者に注意喚起できる。
【0088】
上記のパチンコ機1において、規定単位時間内に各アウト口スイッチ206,207(あるいは、左アウト口スイッチ206)によって検出された遊技球の数量が、規定単位時間の推奨遊技態様で打ち出される複数の遊技球のうちで各アウト口81,82(あるいは、左側アウト口81)に回収される数量の理論値よりも規定量大きい場合に、特定条件が満たされたと判断する(S15,S29,S49,S61)。推奨遊技態様は、球入口41を狙った遊技球の打ち出し状態をいう。これによれば、アウト球数が推奨遊技態様時の理論値よりも規定量大きいか否かに基づいて(例えば、第一、第二規定量以上であるかに基づいて)、不正行為の可能性をより的確に検出できる。
【0089】
上記のパチンコ機1において、左側案内部材91は、球入口41の近傍から遊技盤2の左下側へ向かって傾斜し、遊技球を左下側へ案内可能な案内部材である。左側アウト口81は、左側案内部材91の左側転動面91A上を遊技球が転動する際に通過する遊技盤2上で開口するアウト口である。左アウト口スイッチ206は、左側アウト口81に回収された遊技球を検出する球検出手段である。右側案内部材92は、球入口41の近傍から遊技盤2の右下側へ向かって傾斜し、遊技球を右下側へ案内可能な案内部材である。右側アウト口82は、右側案内部材92の右側転動面92A上を遊技球が転動する際に通過する遊技盤2上で開口するアウト口である。右アウト口スイッチ207は、右側アウト口82に回収された遊技球を検出する球検出手段である。
【0090】
これによれば、球入口41を狙って流下したものの球入口41に入球しなかった遊技球は、左側案内部材91によって遊技盤2の左下側に向かって案内されるか、又は右側案内部材92によって遊技盤2の右下側に向かって案内される。遊技球が何れの方向に案内された場合でも、その遊技球は左側アウト口81又は右側アウト口82に回収されると、左アウト口スイッチ206又は右アウト口スイッチ207によって検出できる。
【0091】
上記のパチンコ機1において、球入口41が上端部に設けられ、球入口41に入球した遊技球を用いた演出を実行可能な役物を内側に有する上センター役物15を備える。発射機137は、遊技領域4に対して左側から遊技球を打ち出す。遊技領域4は、遊技領域4内に打ち出された遊技球が上センター役物15の左側を通って流下する左側流路と、遊技領域4内に打ち出された遊技球が上センター役物15の右側を通って流下する右側流路とを有する。左側案内部材91は、遊技球が左側流路を流下するように、遊技球を下側へ案内する。左側アウト口81は、左側流路に設けられて、左側流路を流下する遊技球を回収可能である。
【0092】
これによれば、油玉ゴトが行われた遊技球は、球入口41を狙って流下したものの球入口41に入球しなかった場合、右側流路よりも左側流路を流下しやすい。従って、左側流路に設けられた左側アウト口81に通常よりも多くの遊技球が回収された場合、その遊技球を左アウト口スイッチ206によって検出することで、油玉ゴトを検出できる。
【0093】
上記のパチンコ機1において、各アウト口81,82は、遊技盤2の前側に開口し、転動面上で遊技盤2の後側に向かって転動する遊技球を回収可能である。遊技球は、各アウト口81,82の前側を通過して各転動面91A,92Aの下端部にある各放出位置91C,92Cまで流下した場合、各案内部材91,92よりも下側に流下できる。
【0094】
これによれば、各転動面91A,92A上を転動する遊技球のうち、各アウト口81,82の前側を通過して各放出位置91C,92Cまで流下した遊技球は各案内部材91,92よりも下側に流下できる一方、各アウト口81,82の前側を通過できなかった遊技球は各アウト口81,82に回収される。即ち、各転動面91A,92A上を転動する遊技球は、各アウト口81,82の前側を通過すれば更に遊技盤2上を流下できるため、その遊技球が他の入球口へ入球する可能性を残すことができる。
【0095】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での変更が可能である。本発明の「遊技機」は、普通図柄のみを備えたパチンコ機1を例示したが、特別図柄を備えた遊技機にも適用できる。本発明の「入球部」は、球入口41に限定されず、例えば特別図柄又は普通図柄の始動口、大入賞口、一般入賞口、V入賞口等、遊技者に有利な特典を付与する契機となる入球部であれば良い。なお、本発明の「入球部」はパチンコ機1に複数設けられてもよい。
【0096】
本発明の「アウト口」は、2つの各アウト口81,82に限定されず、1つのアウト口のみを設けてもよいし、3つ以上のアウト口を設けてもよい。上記実施形態では、各アウト口81,82は各転動面91A,92Aの下流側部分に沿って設けられているが、各アウト口81,82は各転動面91A,92A上を転動する遊技球が流入可能な位置に設けられていればよい。本発明の「球検出手段」は、2つの各アウト口スイッチ206,207に限定されず、1つのアウト口スイッチのみで各アウト口81,82に回収された遊技球を検出してもよい。上記実施形態で例示した「規定単位時間」、「第一規定値」、「第二規定値」等の具体的な数値は、パチンコ機1の製造者等が自由に設定すればよい。
【0097】
なお、請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、演出装置、図柄表示部、電動役物、入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0098】
1 パチンコ機
2 遊技盤
4 遊技領域
9 投入位置
15 上センター役物
41 球入口
81 左側アウト口
82 右側アウト口
91 左側案内部材
91A 左側転動面
92 右側案内部材
92A 右側転動面
137 発射機
151 CPU
206 左アウト口スイッチ
207 右アウト口スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10