IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パロマの特許一覧

<>
  • 特許-プラグカバー取付構造 図1
  • 特許-プラグカバー取付構造 図2
  • 特許-プラグカバー取付構造 図3
  • 特許-プラグカバー取付構造 図4
  • 特許-プラグカバー取付構造 図5
  • 特許-プラグカバー取付構造 図6
  • 特許-プラグカバー取付構造 図7
  • 特許-プラグカバー取付構造 図8
  • 特許-プラグカバー取付構造 図9
  • 特許-プラグカバー取付構造 図10
  • 特許-プラグカバー取付構造 図11
  • 特許-プラグカバー取付構造 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】プラグカバー取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 35/00 20060101AFI20220815BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20220815BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
F16L35/00 A
F16L57/00 A
F16L57/00 C
F23K5/00 301A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018183056
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020051559
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雉本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔平
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-98871(JP,A)
【文献】特開2013-50202(JP,A)
【文献】特開2014-118991(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0236005(US,A1)
【文献】特開2016-169753(JP,A)
【文献】特開2013ー50204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 35/00
F16L 57/00
F23K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスプラグと、
前記ガスプラグに装着されるプラグカバーと、
を有するプラグカバー取付構造であって、
前記ガスプラグは、
軸状に延び、内部にガス経路が構成されたガス管部と、
前記ガス管部の端部において前記ガス管部の径方向外方に張り出した構成をなすフランジ部と、
前記フランジ部における前記ガス管部側とは反対側の第1面から突出するとともに前記ガス経路に連通するガス流入口が自身の先端側に形成され、前記プラグカバーが前記ガスプラグから外された状態でガスコード先端部に設けられた継手に接続される接続部と、
前記ガス管部の外周面から前記径方向外方に突出するとともに前記ガス管部の軸方向に沿って延び、一端が前記フランジ部における前記第1面とは反対側の第2面に連結されるリブと、
を有し、
前記プラグカバーは、
当該プラグカバーが前記ガスプラグに装着された装着状態のときに前記ガスプラグとの接触によって少なくとも前記ガス管部の軸方向への変位が規制される被規制部と、前記装着状態のときに前記フランジ部の外縁部が嵌り込み且つ自身の孔方向と直交する平面方向の断面が非円形である嵌合孔部と、を具備する取付部と、
前記装着状態のときに前記取付部に連結された筒状の形態をなすとともに自身の軸方向一端部が前記継手の挿入口となる筒状部と、
を有するプラグカバー取付構造。
【請求項2】
前記取付部は、
前記孔方向と直交する所定の第1方向に沿った向きに対向する一対の第1壁部と、
前記孔方向及び前記第1方向と直交する所定の第2方向に沿った向きに対向する一対の第2壁部と、
を備え、
一対の前記第1壁部及び一対の前記第2壁部の内壁部によって前記嵌合孔部の内周面が構成され、
前記フランジ部の前記外縁部は、4つの対向部を有し、
4つの前記対向部の各端面は、前記装着状態のときに一対の前記第1壁部及び一対の前記第2壁部の各内壁面にそれぞれ対向して配置され、
4つの前記リブの各々は、前記フランジ部の前記第2面にそれぞれ連結され、
4つの前記リブにおいて前記第2面に連結された各連結部位は、4つの前記対向部の各々に向かって前記径方向外方に延びている
請求項1に記載のプラグカバー取付構造。
【請求項3】
4つの前記リブにおける各々の前記連結部位の少なくともいずれかは、前記径方向外方の端部が前記対向部の端面に達している
請求項2に記載のプラグカバー取付構造。
【請求項4】
前記プラグカバーは、前記装着状態のときに前記嵌合孔部の内周面から前記ガス管部の前記外周面側に向けて張り出す張出部を有し、
前記装着状態のときに前記張出部よりも前記挿入口側に前記フランジ部が配置され、前記フランジ部の少なくとも一部が前記張出部に接触する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラグカバー取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグカバー取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス燃焼機器には、ガスコンセントから接続されるガスコードを装着するためのガスプラグが設けられており、このガスプラグに対し、ガスコードの先端部に設けられた専用の継手を装着することが可能となっている。この種の構成では、ガスプラグ側にはガス燃焼機器内部に続くガス経路が形成され、継手側にはガスコードから続くガス経路が形成されており、ガスプラグに対して継手を接続することで、ガスプラグ側のガス経路と継手側のガス経路とが連通し、ガスコード側からガス燃焼機器内部にガスが供給されるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
また、上述した継手には、シール部が設けられており、この継手がガスプラグに装着されたときには、ガスプラグと継手とがシールされた状態で接合され、ガスの漏出が防止される。これに対し、継手の無いガスホースをガスプラグに外挿した場合、ガスホースからガス燃料機器内にガスを供給することは可能であるが、ガスホースとガスプラグを良好にシールすることができないため、ガス漏れが生じる虞がある。そこで、継手の無いガスホースを直接的に接続できなくするために、特許文献1では、ガスプラグに装着するプラグカバーが提案されている。
【0004】
このプラグカバーは、ガスプラグに装着される装着部が基端部に形成され、継手の挿入口となる開口部がその反対側の先端部に形成されており、挿入口から継手を差し込むことでプラグカバーがガスプラグから外れるが、継手の無いガスホースを差し込んでもプラグカバーが外れないように構成されている。このため、このプラグカバーによれば、継手の無いガスホースがガスプラグに直接的に接続されることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-118991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、ガスプラグの外周面に、周方向に一周する環状の溝部(ロック溝部42)が形成されている。また、プラグカバーは、一対の半筒状の部材が互いに連結されることによって筒状に構成されるものであり、その内側には、ガスプラグの上記溝部に嵌り込む嵌合部(円弧状嵌合部71)が形成されている。このプラグカバーは、嵌合部がガスプラグの溝部に嵌まり込むことによって取り付けられ、ガスプラグに対する軸方向への移動が規制される。しかし、この構成では、ガスプラグに装着されたプラグカバーが、ガスプラグの周方向に回転することを規制しにくいという問題があった。
【0007】
本発明は上記した課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、ガスプラグに装着されたプラグカバーの軸方向への変位及び回転を規制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つであるプラグカバー取付構造は、ガスプラグと、前記ガスプラグに装着されるプラグカバーと、を有するプラグカバー取付構造であって、前記ガスプラグは、軸状に延び、内部にガス経路が構成されたガス管部と、前記ガス管部の端部において前記ガス管部の径方向外方に張り出した構成をなすフランジ部と、前記フランジ部における前記ガス管部側とは反対側の第1面から突出するとともに前記ガス経路に連通するガス流入口が自身の先端側に形成され、前記プラグカバーが前記ガスプラグから外された状態でガスコード先端部に設けられた継手に接続される接続部と、前記ガス管部の外周面から前記径方向外方に突出するとともに前記ガス管部の軸方向に沿って延び、一端が前記フランジ部における前記第1面とは反対側の第2面に連結されるリブと、を有し、前記プラグカバーは、当該プラグカバーが前記ガスプラグに装着された装着状態のときに前記ガスプラグとの接触によって少なくとも前記ガス管部の軸方向への変位が規制される被規制部と、前記装着状態のときに前記フランジ部の外縁部が嵌り込み且つ自身の孔方向と直交する平面方向の断面が非円形である嵌合孔部と、を具備する取付部と、前記装着状態のときに前記取付部に連結された筒状の形態をなすとともに自身の軸方向一端部が前記継手の挿入口となる筒状部と、を有する。
【0009】
上記プラグカバー取付構造では、プラグカバーがガスプラグに装着された装着状態のときに、プラグカバーはガス管部の軸方向への変位が規制される。更に、装着状態のときに、ガス管部の端部に設けられたフランジ部の外縁部が非円形の嵌合孔部に嵌まり込むため、プラグカバーは、ガス管部の周方向に回転しようとしても、嵌合孔部の内周面がフランジ部の外縁部に接触して回転が規制される。即ち、このプラグカバー取付構造は、ガスプラグに装着されたプラグカバーの軸方向への変位及び回転を規制することができる。
また、フランジ部はプラグカバーの回転を規制するとき、プラグカバーに押されて変形する虞がある。そこで、本発明のプラグカバー取付構造は、ガス管部の外周面から径方向外方に突出するとともにガス管部の軸方向に沿って延び、一端がフランジ部における第2面に連結されるリブを有している。このため、フランジ部が補強され、変形しにくくなっている。
【0010】
取付部は、孔方向と直交する所定の第1方向に沿った向きに対向する一対の第1壁部と、孔方向及び第1方向と直交する所定の第2方向に沿った向きに対向する一対の第2壁部と、を備えるようにしてもよい。一対の第1壁部及び一対の第2壁部の内壁部によって嵌合孔部の内周面が構成されるようにしてもよい。フランジ部の外縁部は、4つの対向部を有するようにしてもよい。4つの対向部の各端面は、装着状態のときに一対の第1壁部及び一対の第2壁部の各内壁面にそれぞれ対向して配置されるようにしてもよい。4つのリブの各々は、フランジ部の第2面にそれぞれ連結されるようにしてもよい。4つのリブにおいて第2面に連結された各連結部位は、4つの対向部の各々に向かって径方向外方に延びるようにしてもよい。
この構成によれば、フランジ部における4つの対向部によってプラグカバーの回転を規制するので、回転を規制する際にフランジ部に加わる力を4つの対向部に分散させることができる。更に、4つの対向部は、各々が別々のリブによって個別に補強されているので、各対向部が変形しにくくなっており、フランジ部全体としてより一層変形しにくくなっている。
【0011】
4つの前記リブにおける各々の連結部位の少なくともいずれかは、径方向外方の端部が対向部の端面に達するようにしてもよい。
この構成によれば、リブの連結部位が端面まで達している対向部が、より強固に補強される。したがって、リブによるフランジ部の補強をより強固にすることができる。
【0012】
プラグカバーは、装着状態のときに嵌合孔部の内周面からガス管部の外周面側に向けて張り出す張出部を有するようにしてもよい。装着状態のときに張出部よりも挿入口側にフランジ部が配置され、フランジ部の少なくとも一部が張出部に接触するようにしてもよい。
この構成によれば、プラグカバーは、装着状態のときに張出部がフランジ部に接触することによってがたつきが抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つである上記プラグカバー取付構造によれば、ガスプラグに装着されたプラグカバーの軸方向への変位及び回転を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ガス燃焼機器のガスプラグにプラグカバーが装着された実施例1のプラグカバー取付構造を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すプラグカバー取付構造の拡大図である。
図3図3は、図1に示すプラグカバー取付構造の平面図である。
図4図4は、図1に示すプラグカバー取付構造の底面図である。
図5図5は、図1に示すプラグカバー取付構造の側面図である。
図6図6は、図1に示すプラグカバー取付構造を先端側から見た様子を示す説明図である。
図7図7は、実施例1のプラグカバー取付構造をガス管部の部分でガス管部の軸方向と直交する平面方向に切断して基端側から見た様子を示す説明図である。
図8図8は、図2に示すプラグカバー取付構造のうち第2張出部を除外した構成を示す説明図である。
図9図9は、図2に示すプラグカバー取付構造からプラグカバーを取り外した構成を示す説明図である。
図10図10は、図5のX-X位置で切断した切断面を概略的に示す断面図である。
図11図11は、実施例2のプラグカバー取付構造を概略的に示す斜視図である。
図12図12は、実施例2のプラグカバー取付構造をガス管部の部分でガス管部の軸方向と直交する平面方向に切断して基端側から見た様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施例1>
以下、本発明を具現化した実施例1について、図面を参照して説明する。
図1には、ガス燃焼機器90のガスプラグ10に対してプラグカバー40を取り付けた実施例1のプラグカバー取付構造1が示されている。ガス燃焼機器90は、例えば、ガスストーブ、ガスファンヒータ、ガス炊飯器等のガス機器であり、ガスプラグを備えたガス器具であれば様々なガス器具が対象となる。ガス燃焼機器90は、本体部92と、本体部92に接続されるガスプラグ10とを有する。
【0016】
プラグカバー取付構造1は、ガスプラグ10に対する他部材の装着を防止する構造になっている。プラグカバー取付構造1は、図2図8に示すように、上述したガスプラグ10とプラグカバー40とを有する。ガスプラグ10は、内部にガス経路が構成されており、一端側の部分がガス燃焼機器90の本体部92に接続されている。ガスプラグ10は、他端側の部分がガスコード先端部94に設けられた継手96(図10参照)と接続可能となっており、ガスプラグ10に継手96が接続されると、ガスコード側のガス経路と、ガスプラグ10(ガス燃焼機器90)側のガス経路とが連通する。なお、以下では、プラグカバー取付構造1の本体部92側を基端側とし、その反対側を先端側として説明する。
【0017】
ガスプラグ10は、図9に示すように、基部12、ガス管部14、フランジ部16、及び接続部18、及びリブ20を有する。基部12は、上述した本体部92に接続される部分であり、内部にガス経路が構成されている。ガス管部14は、基端部が基部12に連結されており、基部12から水平方向に沿って軸状に延びている。ガス管部14は、内部にガス経路が構成されており、このガス経路が基部12側のガス経路に連通している。
【0018】
フランジ部16は、後述するプラグカバー40の嵌合孔部64(図10参照)に嵌り込む部分であり、ガス管部14の先端部においてガス管部14の径方向外方に張り出した構成をなしている。フランジ部16は、ガス管部14の周方向の全体に張り出しており、ガス管部14の軸方向に厚みを有する板状をなしている。フランジ部16は、ガス管部14の軸方向から見た外縁の形状が非円形となっている。
【0019】
接続部18は、プラグカバー40がガスプラグ10から外された状態で、ガスコード先端部94に設けられた継手96に接続される部分である。接続部18は、フランジ部16におけるガス管部14側とは反対側(先端側)の第1面16Aから突出している。接続部18の先端側には、ガス管部14のガス経路に連通するガス流入口18Aが形成されている。
【0020】
リブ20は、ガス管部14の外周面からガス管部14の径方向外方に突出している。リブ20は、ガス管部14の軸方向に沿って延び、一端(先端部)がフランジ部16における第1面16Aとは反対側(基端側)の第2面16Bに連結されており、他端(基端部)が基部12に連結されている。
【0021】
プラグカバー40は、ガスプラグ10に装着される部材であり、例えば公知の樹脂材料などによって構成されている。プラグカバー40は、図10に示すように、本体部材42と、被覆部材44とを備える。
【0022】
本体部材42は、一対の半筒状部材46,46を筒状に連結させた構成をなしている。一対の半筒状部材46,46の各々は、周方向一端側に係合部47が形成され、周方向他端部に揺動可能な係合片48が形成されている。一対の半筒状部材46,46は、一方の半筒状部材46の係合片48が他方の半筒状部材46の係合部47に係合され、他方の半筒状部材46の係合片48が一方の半筒状部材46の係合部47に係合されることによって、筒状に連結された筒状連結状態となる。
【0023】
本体部材42は、取付部50と、筒状部52と、底部54とを備えている。一対の半筒状部材46,46の各々は、取付部50、筒状部52及び底部54が軸方向に沿って分断された形でそれぞれが構成されている。
【0024】
取付部50は、ガスプラグ10に装着される部分である。取付部50の内部には、基端側(筒状部52とは反対側)に開口した収容空間が形成されている。ガスプラグ10の接続部18は、ガスプラグ10にプラグカバー40が装着された装着状態のときにこの収容空間内に収容される。
【0025】
筒状部52は、装着状態のときに円筒状に構成される部分であり、取付部50に連結される部分である。筒状部52は、取付部50の内部に形成された収容空間よりも先端側の位置に設けられ、先端部に挿入口56が形成されている。筒状部52の内部には、挿入口56に連通する挿入空間が形成されている。継手96が挿入口56を通じて挿入空間内に挿入されることに応じて、プラグカバー40の筒状連結状態が解除される。
【0026】
底部54は、装着状態のときに挿入口56と接続部18との間において接続部18を覆う構成で配置される部分である。底部54は、取付部50の内周面又は筒状部52の内周面の両側から内側に向かって張り出した構成をなしており、その端部には互いに対向する一対の円弧状部54A,54Aが形成されている。上述した被覆部材44は、一対の半筒状部材46,46が筒状に連結される際に一対の円弧状部54A,54Aに挟まれることによって、本体部材42に保持される。この被覆部材44は、装着状態においてガスプラグ10の先端部を覆うように機能する。
【0027】
プラグカバー40の筒状連結状態は以下のようにして解除される。各々の半筒状部材46,46に設けられた係合片48には、筒状連結状態のときに筒状部52の軸方向に沿うように配置され且つ筒状部52の内側に向けて突出する連結解除部49がそれぞれ形成されている。各々の連結解除部49の突出側の端面は、挿入口56側から底部54側に近づくにつれて筒状部52の軸に近づく傾斜面として構成されている。挿入口56から筒状部52の内部に継手96が挿入されると、連結解除部49が継手96に押され、係合片48が筒状部52の外側に揺動する。これにより、係合片48が係合部47から外れ、筒状連結状態が解除される。
【0028】
続いて、上述したプラグカバー取付構造1の詳細な構成について説明する。
上述したプラグカバー40の取付部50は、図10に示すように、筒部58、被規制部60、第1張出部62、嵌合孔部64及び第2張出部66を有する。筒部58は、取付部50の外殻を構成する部分であり、筒状部52と同軸の円筒状をなしている。筒部58は、先端部が筒状部52の基端部に連結している。
【0029】
被規制部60は、底部54よりも基端側の位置に配置されている。被規制部60は、筒部58の内周面の両側から内側に向けて張り出した構成をなしており、その端部には互いに対向する一対の円弧状部60A,60Aが形成されている。上述したガスプラグ10の接続部18の外周面には、周方向に溝部22が形成されている。一対の円弧状部60A,60Aが溝部22を両側から挟むようにして一対の半筒状部材46,46を連結させると、一対の円弧状部60A,60Aが溝部22内に入り込む。このため、装着状態のときに被規制部60は溝部22の内側面によってガス管部14の軸方向への変位が規制される。即ち、プラグカバー40は、装着状態のときにガス管部14の軸方向への変位がガスプラグ10との接触によって規制される。
【0030】
第1張出部62は、被規制部60よりも基端側(第2張出部66と被規制部60との間)の位置に設けられている。第1張出部62は、筒部58の内周面の両側から内側に向けて張り出した構成をなしており、その端部には互いに対向する一対の円弧状部62A,62Aが形成されている。
【0031】
ガスプラグ10の接続部18は、大径部24と小径部26とを有する。大径部24は、小径部26よりも外径が大きく、小径部26よりも基端側に配置されている。上述した溝部22は、小径部26の外周面に形成されている。装着状態のときに、小径部26は、一対の円弧状部62A,62Aの間に配置され、大径部24は、一対の円弧状部62A,62A(第1張出部62)よりも基端側に配置される。大径部24は、一対の円弧状部62A,62Aの間を通過できない大きさに形成されている。このため、プラグカバー40は装着状態のときに、一対の円弧状部62A,62A(第1張出部62)が大径部24に接触することで、基端側への移動が規制される。
【0032】
嵌合孔部64は、装着状態のときにフランジ部16の外縁部28が嵌り込む部分である。嵌合孔部64は、被規制部60及び第1張出部62よりも基端側の位置において、筒部58の内側に形成されている。嵌合孔部64は、基端側に開口している。嵌合孔部64は、自身の孔方向と直交する平面方向の断面が非円形であり、ガス管部14の軸方向から見たフランジ部16の外縁部28の形状と同一の形状である。プラグカバー40は、装着状態においてフランジ部16の外縁部28が嵌合孔部64の内周面に接触することで、ガス管部14の周方向への回転が規制される。
【0033】
更に、取付部50は、図2及び図8に示すように、一対の第1壁部68,68と、一対の第2壁部70,70とを備えている。一対の第1壁部68,68は、嵌合孔部64の孔方向と直交する所定の第1方向(例えば左右方向)に沿った向きに対向する部分である。一対の第2壁部70,70は、嵌合孔部64の孔方向及び第1方向と直交する所定の第2方向(例えば上下方向)に沿った向きに対向する部分である。嵌合孔部64の内周面は、これら一対の第1壁部68,68及び一対の第2壁部70,70の内壁面によって構成されている。
【0034】
フランジ部16の外縁部28は、図9に示すように、4つの対向部30(第1対向部30A,第2対向部30B,第3対向部30C,第4対向部30D)を有している。これら4つの対向部30の各端面32(第1端面32A,第2端面32B,第3端面32C,第4端面32D)は、図8及び図10に示すように、装着状態のときに一対の第1壁部68,68及び一対の第2壁部70,70の各内壁面にそれぞれ対向して配置される。このため、ガスプラグ10のフランジ部16がプラグカバー40の回転を規制する際、フランジ部16に及ぶ力が4つの対向部30に分散される。
【0035】
ガスプラグ10は、上述したリブ20を4つ有している。4つのリブ20(第1リブ20A,第2リブ20B,第3リブ20C,第4リブ20D)の各々は、フランジ部16の第2面16Bにそれぞれ連結されている。4つのリブ20において第2面16Bに連結された各連結部位34(第1連結部位34A,第2連結部位34B,第3連結部位34C,第4連結部位34D)は、4つの対向部30の各々に向かってガス管部14の径方向外方に延びている。このため、4つの対向部30の各々が、リブ20によって個別に補強されている。
【0036】
更に、4つのリブ20における各々の連結部位34のうち第1連結部位34Aは、ガス管部14の径方向外方の端部が第1対向部30Aの第1端面32Aに達している。
【0037】
第2張出部66は、装着状態のときに嵌合孔部64の内周面からガス管部14の外周面側に向けて張り出した形状をなしている。フランジ部16は、装着状態のときに第2張出部66よりも挿入口56側の位置に配置され、自身の少なくとも一部が第2張出部66に接触した状態となる。このため、プラグカバー40は、ガスプラグ10のフランジ部16によって先端側への移動が規制される。なお、第2張出部66が張出部の一例に相当する。
【0038】
次に、本構成の主な効果を例示する。
上記プラグカバー取付構造1では、プラグカバー40がガスプラグ10に装着された装着状態のときに、プラグカバー40はガス管部14の軸方向への変位が規制される。更に、装着状態のときに、ガス管部14の端部に設けられたフランジ部16の外縁部28が非円形の嵌合孔部64に嵌まり込むため、プラグカバー40は、ガス管部14の周方向に回転しようとしても、嵌合孔部64の内周面がフランジ部16の外縁部28に接触して回転が規制される。即ち、このプラグカバー取付構造1は、ガスプラグ10に装着されたプラグカバー40の軸方向への変位及び回転を規制することができる。
また、フランジ部16はプラグカバー40の回転を規制するとき、プラグカバー40に押されて変形する虞がある。そこで、本構成のプラグカバー取付構造1は、ガス管部14の外周面から径方向外方に突出するとともにガス管部14の軸方向に沿って延び、一端がフランジ部16における第2面16Bに連結されるリブ20を有している。このため、フランジ部16が補強され、変形しにくくなっている。
【0039】
更に、取付部50は、孔方向と直交する所定の第1方向に沿った向きに対向する一対の第1壁部68,68と、孔方向及び第1方向と直交する所定の第2方向に沿った向きに対向する一対の第2壁部70,70と、を備える。一対の第1壁部68,68及び一対の第2壁部70,70の内壁部によって嵌合孔部64の内周面が構成される。フランジ部16の外縁部28は、4つの対向部30を有する。4つの対向部30の各端面32は、装着状態のときに一対の第1壁部68,68及び一対の第2壁部70,70の各内壁面にそれぞれ対向して配置される。4つのリブ20の各々は、フランジ部16の第2面16Bにそれぞれ連結される。4つのリブ20において第2面16Bに連結された各連結部位34は、4つの対向部30の各々に向かって径方向外方に延びる。これにより、フランジ部16における4つの対向部30によってプラグカバー40の回転を規制するので、回転を規制する際にフランジ部16に加わる力を4つの対向部30に分散させることができる。更に、4つの対向部30は、各々が別々のリブ20によって個別に補強されているので、各対向部30が変形しにくくなっており、フランジ部16全体としてより一層変形しにくくなっている。
【0040】
更に、4つの前記リブ20における各々の連結部位34の少なくともいずれか(第1連結部位34A)は、径方向外方の端部が対向部30(第1対向部30A)の端面32(第1端面32A)に達している。このため、リブ20の連結部位34が端面32まで達している対向部30が、より強固に補強される。したがって、リブ20によるフランジ部16の補強をより強固にすることができる。
【0041】
更に、プラグカバー40は、装着状態のときに嵌合孔部64の内周面からガス管部14の外周面側に向けて張り出す第2張出部66を有している。そして、装着状態のときに第2張出部66よりも挿入口56側にフランジ部16が配置され、フランジ部16の少なくとも一部が第2張出部66に接触している。このため、プラグカバー40は、装着状態のときに第2張出部66がフランジ部16に接触することよってがたつきが抑えられる。
【0042】
<実施例2>
実施例2のプラグカバー取付構造201は、実施例1のプラグカバー取付構造1から第2張出部66を除外した構成となっており、他の構成は実施例1のプラグカバー取付構造1と同じである。なお、実施例1のプラグカバー取付構造1と同様の部分については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】
プラグカバー取付構造201は、図11及び図12に示すように、実施例1で説明したガスプラグ10と、プラグカバー240と、を有する。プラグカバー240は、本体部材242と、実施例1で説明した被覆部材44と、を有する。本体部材242は、取付部250と、実施例1で説明した筒状部52及び底部54と、を有する。本体部材242は、筒部258と、実施例1で説明した被規制部60、第1張出部62、及び嵌合孔部64を有する。筒部258は、張出部に相当する構成を有していない点で、実施例1の筒部58と異なり、他の構成は、筒部58と同じである。筒部258(本体部材242)の基端面は、装着状態のときにフランジ部16の基端面(第2面16B)と面一となる。取付部250(本体部材242)は、装着状態のときにフランジ部16の基端面(第2面16B)は全体が基端側に露出した状態となる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は、本明細書の実施形態の各態様や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。変更例としては、例えば、以下のようなものが該当する。
【0045】
上述の各実施例では、リブ20の数を4つとしたが、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。また、上述の各実施例では、連結部位34が対向部30の端面32まで達しているリブ20の数を1つとしたが、2つ以上であってもよいし、無くてもよい。
【0046】
上述の各実施例では、フランジ部16の外縁部28が4つの対向部30を有する形状としたが、外形が非円形であれば別の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,201…プラグカバー取付構造
10…ガスプラグ
14…ガス管部
16…フランジ部
16A…第1面
16B…第2面
18…接続部
18A…ガス流入口
20…リブ
28…外縁部
30…対向部
32…端面
34…連結部位
40,240…プラグカバー
50,250…取付部
52…筒状部
56…挿入口
60…規制部
66…第2張出部(張出部)
68…第1壁部
70…第2壁部
94…ガスコード先端部
96…継手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12