(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】吸排気弁および吸排気弁の異物除去方法
(51)【国際特許分類】
F16K 24/00 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
F16K24/00 R
F16K24/00 U
(21)【出願番号】P 2018186461
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】粟津原 光明
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3201854(JP,U)
【文献】特開平7-280118(JP,A)
【文献】特開昭64-25581(JP,A)
【文献】特開平3-125964(JP,A)
【文献】米国特許第6315212(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸排気口と、
立管に連通する立管連通口と、
前記立管連通口に連通する弁室と、
前記弁室の天井に設けられて前記吸排気口に連通する開口部と、
前記弁室内で前記開口部を包囲する開口部弁座と、
弁室内に収容されて、前記開口部弁座に下方から当接して前記開口部を封鎖する開口部封鎖位置と、前記開口部弁座から下方に離間する開口部解放位置との間を移動する遊動弁体と、
前記弁室内で前記遊動弁体の下方に収容されたフロート弁体と、を有し
前記遊動弁体は、前記開口部弁座に当接して前記開口部を封鎖する弁本体部と、前記弁本体部を上下方向に貫通して前記開口部に連通する弁体流路と、前記弁本体部に固定され前記弁体流路の下端開口部を包囲する流路弁座と、前記弁本体部を前記上下方向に貫通する移動部材と、を備え、
前記移動部材は、前記弁本体部から前記流路弁座よりも下方に突出する突出位置と、前記流路弁座よりも上方の退避位置との間を上下方向に移動可能な状態で当該弁本体部に支持され、
前記フロート弁体は、前記移動部材が前記退避位置にあるときに前記流路弁座に当接可能であり、前記移動部材が前記突出位置にあるときには前記流路弁座に当接不能となることを特徴とする吸排気弁。
【請求項2】
前記移動部材は、前記突出位置で前記遊動弁体に上方から当接する上側当接部を備えることを特徴とする請求項1に記載の吸排気弁。
【請求項3】
前記吸排気口、前記立管連通口、前記弁室、前記弁室の上方で前記開口部と前記吸排気口とを接続する吸排気路を、備えるハウジングと、
前記ハウジングにおける前記弁室よりも上方のハウジング部分を前記上下方向に貫通し、前記上下方向から見た場合に前記移動部材と重なる操作部材を有し、
前記操作部材は、前記開口部封鎖位置にある前記遊動弁体の前記移動部材から上方に離間する第1位置と、前記第1位置よりも下方で前記開口部封鎖位置にある前記遊動弁体の前記移動部材に当接して当該移動部材を前記突出位置に位置させる第2位置と、の間を前記上下方向に移動可能な状態で前記ハウジング部分に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸排気弁。
【請求項4】
前記吸排気口、前記立管連通口、前記弁室、前記弁室の上方で前記開口部と前記吸排気口とを接続する吸排気路を、備えるハウジングと、
前記ハウジングにおける前記弁室よりも上方のハウジング部分を前記上下方向に貫通し、前記上下方向から見た場合に前記移動部材と重なる操作部材を有し、
前記操作部材は、前記開口部封鎖位置にある前記遊動弁体の前記移動部材から上方に離間する第1位置と、前記第1位置よりも下方で、前記突出位置にある前記移動部材に上方から当接して前記遊動弁体を前記開口部封鎖位置よりも下方に位置させる第3位置と、の間を前記上下方向に移動可能な状態で前記ハウジング部分に支持されていることを特徴とする請求項2に記載の吸排気弁。
【請求項5】
前記ハウジング部分は、前記上下方向に貫通する貫通穴を備え、
前記操作部材は、前記上下方向に延びて前記貫通穴を貫通する軸部と、前記ハウジングから外部に突出する前記軸部の上端部分に取り付けられた把持部と、を備え、
前記貫通穴の内周面には、雌ねじが設けられており、
前記軸部の外周面には、前記雌ねじと螺合する雄ねじが設けられており、
前記軸部は、前記移動部材に上方から当接可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の吸排気弁。
【請求項6】
請求項1または2に記載の吸排気弁の異物除去方法において、
前記立管が充水されており、前記移動部材が前記退避位置にあり、前記フロート弁体が前記流路弁座に当接して前記弁体流路を閉じ、前記遊動弁体が前記開口部封鎖位置にあるときに、前記移動部材を前記突出位置に移動させて前記フロート弁体を前記流路弁座から離間させることを特徴とする異物除去方法。
【請求項7】
請求項2に記載の吸排気弁の異物除去方法において、
前記立管が充水されており、前記移動部材が前記退避位置にあり、前記フロート弁体が前記流路弁座に当接して前記弁体流路を閉じ、前記遊動弁体が前記開口部封鎖位置にあるときに、前記移動部材を前記突出位置に移動させて前記フロート弁体を前記流路弁座から下方に離間させ、
さらに、前記移動部材を下方に移動させて、前記遊動弁体を前記開口部弁座から下方に離間させることを特徴とする異物除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水用の立管の頂部に取り付けられる吸排気弁に関する。また、吸排気弁のフロート弁体が当接する弁座に付着した異物を除去する異物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルやマンションなどの高層建物の給水系は、上下方向に延びる立管と、各階で立管から分岐して各戸に延びる給水管と、を備える。立管の頂部には吸排気弁が取り付けられている。吸排気弁は、立管への充水時には、立管内の空気を外部に逃がす。また、吸排気弁は、充水後に立管内に空気が溜まると、その空気を外部に逃がし、給水系で脈動が発生することを防止する。さらに、吸排気弁は、断水などに起因して立管内で負圧が発生した場合には、外部から立管内に空気を導入する。これにより、立管内の負圧を解消して、給水管から立管への水の逆流を防止する。
【0003】
かかる吸排気弁は、特許文献1に記載されている。同文献の吸排気弁は、立管に連通する立管連通口と、吸排気口と、立管連通口の上方で当該立管連通口と連通する弁室と、弁室の天井に設けられた開口部と吸排気口とを接続する吸排気路と、を有するハウジングを備える。また、吸排気弁は、ハウジングに固定され、弁室内で開口部を囲む開口部弁座を備える。さらに、吸排気弁は、弁室に収容され、開口部弁座に接近する方向および離間する方向に移動して開口部を開閉する遊動弁体と、弁室内で遊動弁体の下方に収容されたフロート弁体と、を備える。遊動弁体は、開口部弁座に当接して開口部を封鎖する弁本体部と、弁本体部を上下方向に貫通して開口部に連通する弁体流路と、弁本体部に固定され弁体流路の下端開口部を包囲する流路弁座とを備える。フロート弁体は、比重が水より小さく、遊動弁体に下方から当接可能である。フロート弁体は、弁室内の水位の昇降に伴って流路弁座に接近する方向および離間する方向に移動して、弁体流路を開閉する。
【0004】
立管への充水が行われる前の状態では、弁室に水は貯留されていない。従って、フロート弁体は弁室内で浮上しておらず、遊動弁体は、開口部弁座から下方に離間している。よって、充水時には、立管内の空気は、立管連通口、弁室、開口部、および吸排気口を介して、外部に排出される。そして、充水の完了時には、弁室内の水位の上昇に伴って、フロート弁体が上方に移動する。フロート弁体は、遊動弁体に下方から当接した状態で、遊動弁体を浮上させる。これにより、遊動弁体は、開口部弁座に当接するまで上昇して、開口部を封鎖する。また、フロート弁体は、流路弁座に当接して弁体流路を封鎖する。その後、立管内に空気が浸入して溜まると、気泡が立管内を上昇して、弁室に至る。気泡が弁室に到達すると、弁室内の水位が変化するので、フロート弁体が傾斜して、流路弁座との間に隙間を作る。これにより、弁室に達した空気は、弁体流路、開口部、および吸排気口を介して、外部に排出される。
【0005】
ここで、断水などによって立管内に負圧が発生すると、弁室内の水位が下がるので、フロート弁体が下方に移動する。また、フロート弁体の移動に伴って、遊動弁体が下方に移動して、開口部弁座から下方に離間する。これにより開口部が解放されるので、吸排気口から、開口部を介して、外部の空気が吸引され、弁室および立管連通口を介して立管内に導入される。この結果、立管内の負圧が解消されるので、立管から各部屋に延びる給水管から立管への水の逆流を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、高層建物の給水系の立管は、金属管からなる複数の管から構成されている。しかし、近年、耐震性を考慮して、金属管よりも柔軟性のあるポリエチレン製の管が立管に用いられる場合がある。ここで、施工時に、鋸刃を用いてポリエチレン製の管を切断して立管を構成すると、立管内に切断時の切粉が残ることがある。このような切粉は、水に浮く。従って、立管への充水が完了した後に、切粉が吸排気弁の弁室に到達する。
【0008】
ここで、弁室に到達した切粉が流路弁座に付着すると、フロート弁体によって弁体流路を封鎖することができなくなる。弁体流路が封鎖されない場合には、立管内の水が、立管連通口から、弁室、弁体流路、開口部、および吸排気路を介して、吸排気口から外部に流れ出る状態となる。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、フロート弁体が当接する弁座に付着した異物を除去できる吸排気弁を提供することにある。また、フロート弁体が当接する弁座に付着した異物を除去する吸排気弁の異物除去方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、吸排気口と、立管に連通する立管連通口と、前記立管連通口に連通する弁室と、前記弁室の天井に設けられて前記吸排気口に連通する開口部と、前記弁室内で前記開口部を包囲する開口部弁座と、弁室内に収容されて、前記開口部弁座に下方から当接して前記開口部を封鎖する開口部封鎖位置と、前記開口部弁座から下方に離間する開口部解放位置との間を移動する遊動弁体と、前記弁室内で前記遊動弁体の下方に収容されたフロート弁体と、を有し、前記遊動弁体は、前記開口部弁座に当接して前記開口部を封鎖する弁本体部と、前記弁本体部を上下方向に貫通して前記開口部に連通する弁体流路と、前記弁本体部に固定され前記弁体流路の下端開口部を包囲する流路弁座と、前記弁本体部を前記上下方向に貫通する移動部材と、を備え、前記移動部材は、前記弁本体部から前記流路弁座よりも下方に突出する突出位置と、前記流路弁座よりも上方の退避位置との間を上下方向に移動可能な状態で当該弁本体部に支持され、前記フロート弁体は、前記移動部材が前記退避位置にあるときに前記流路弁座に当接可能であり、前記移動部材が前記突出位置にあるときには前記流路弁座に当接不能となることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、遊動弁体に支持された移動部材を突出位置に移動させることにより、フロート弁体を流路弁座から下方に離間させることができる。ここで、立管が充水されており、移動部材が退避位置にあり、フロート弁体が流路弁座に当接して弁体流路を閉じ、遊動弁体が開口部封鎖位置にある立管封鎖状態のときに、移動部材を突出位置に移動させると、移動部材がフロート弁体に上方から当接して、フロート弁体を押し下げる。これにより、フロート弁体が流路弁座から下方に離間すると、立管内の水の圧力(弁室内の水の圧力)によって、水は、フロート弁体と流路弁座との間を勢いよく流れて、弁体流路および開口部を介して吸排気口から外部に流出する。従って、流路弁座に異物が付着していた場合には、異物は水がフロート弁体と流路弁座との間を流れる際に、流路弁座から洗い流される。そして、流路弁座から脱落した異物は、水の流れに乗って外部に排出される。よって、フロート弁体が当接する流路弁座に付着した異物を除去できる。
【0012】
本発明において、前記移動部材は、前記突出位置で前記遊動弁体に上方から当接する上側当接部を備えることが望ましい。このようにすれば、移動部材を下降させて弁体流路を解放した後に、更に移動部材を下降させる動作によって、遊動弁体を開口部弁座から下方に離間させることができる。ここで、立管封鎖状態のときに、移動部材を下方に移動させ
る一連の動作によって遊動弁体を開口部弁座から下方に離間させると、立管内の水の圧力(弁室内の水の圧力)によって、水は、遊動弁体と開口部弁座との間を勢いよく流れて、開口部を介して吸排気口から外部に流出する。従って、開口部弁座に異物が付着していた場合には、異物は水が遊動弁体と開口部弁座との間を流れる際に、開口部弁座から洗い流される。そして、開口部弁座から脱落した異物は、水の流れに乗って外部に排出される。よって、遊動弁体が当接する開口部弁座に付着した異物を除去できる。また、移動部材を下方に押し込む際には、移動部材は突出位置に配置されており、弁体流路が解放されている。従って、フロート弁体が遊動弁体に当接して弁体流路が封鎖されているときに遊動弁体を下方に移動させる場合と比較して、遊動弁体を小さい力で移動させることができる。
【0013】
本発明において、前記吸排気口、前記立管連通口、前記弁室、前記弁室の上方で前記開口部と前記吸排気口とを接続する吸排気路を、備えるハウジングと、前記ハウジングにおける前記弁室よりも上方のハウジング部分を前記上下方向に貫通し、前記上下方向から見た場合に前記移動部材と重なる操作部材を有し、前記操作部材は、前記開口部封鎖位置にある前記遊動弁体の前記移動部材から上方に離間する第1位置と、前記第1位置よりも下方で前記開口部封鎖位置にある前記遊動弁体の前記移動部材に当接して当該移動部材を前記突出位置に位置させる第2位置と、の間を前記上下方向に移動可能な状態で前記ハウジング部分に支持されているものとすることができる。このようにすれば、ハウジングの外側から操作部材を下方に移動させることにより、フロート弁体を流路弁座から離間させることができる。
【0014】
本発明において、前記吸排気口、前記立管連通口、前記弁室、前記弁室の上方で前記開口部と前記吸排気口とを接続する吸排気路を、備えるハウジングと、前記ハウジングにおける前記弁室よりも上方のハウジング部分を前記上下方向に貫通し、前記上下方向から見た場合に前記移動部材と重なる操作部材を有し、前記操作部材は、前記開口部封鎖位置にある前記遊動弁体の前記移動部材から上方に離間する第1位置と、前記第1位置よりも下方で、前記突出位置にある前記移動部材に上方から当接して前記遊動弁体を前記開口部封鎖位置よりも下方に位置させる第3位置と、の間を前記上下方向に移動可能な状態で前記ハウジング部分に支持されているものとすることができる。このようにすれば、操作部材の操作によって、フロート弁体を流路弁座から離間させ、かつ、遊動弁体を開口部弁座から移動させることができる。
【0015】
本発明において、前記ハウジング部分は、前記上下方向に貫通する貫通穴を備え、前記操作部材は、前記上下方向に延びて前記貫通穴を貫通する軸部と、前記ハウジングから外部に突出する前記軸部の上端部分に取り付けられた把持部と、を備え、前記貫通穴の内周面には、雌ねじが設けられており、前記軸部の外周面には、前記雌ねじと螺合する雄ねじが設けられており、前記軸部は、前記移動部材に上方から当接可能であるものとすることができる。このようにすれば、操作部材の把持部を把持して回転させることにより、操作部材を上下方向に移動させて、フロート弁体を流路弁座から離間させることができる。
【0016】
次に、本発明は、上記の吸排気弁の異物除去方法において、前記立管が充水されており、前記移動部材が前記退避位置にあり、前記フロート弁体が前記流路弁座に当接して前記弁体流路を閉じ、前記遊動弁体が前記開口部封鎖位置にあるときに、前記移動部材を前記突出位置に移動させて前記フロート弁体を前記流路弁座から離間させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の吸排気弁の異物除去方法において、前記立管が充水されており、前記移動部材が前記退避位置にあり、前記フロート弁体が前記流路弁座に当接して前記弁体流路を閉じ、前記遊動弁体が前記開口部封鎖位置にあるときに、前記移動部材を前記突出位置に移動させて前記フロート弁体を前記流路弁座から下方に離間させ、さらに、前
記移動部材を下方に移動させて、前記遊動弁体を前記開口部弁座から下方に離間させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遊動弁体の弁本体部に支持された移動部材を下方に移動させることにより、フロート弁体を流路弁座から離間させることができる。これにより、立管内の水圧を利用して、水で流路弁座を洗浄できる。従って、流路弁座に付着した異物の除去が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】立管への充水の完了時の吸排気弁の断面図である。
【
図4】立管内の空気を外部に逃がす排気動作時の吸排気弁の断面図である。
【
図5】流路弁座を洗浄する弁座洗浄動作の説明図である。
【
図6】開口部弁座を洗浄する弁座洗浄動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態の吸排気弁を説明する。
【0021】
図1は本発明を適用した吸排気弁の設置状態の説明図である。
図2は吸排気弁の縦断面図である。
図3は立管への充水の完了時の吸排気弁の断面図である。
図4は立管内の空気を外部に逃がす排気動作時の吸排気弁の断面図である。なお、
図2から
図4では、操作部材の右半分を断面で示す。
【0022】
本例の吸排気弁1は、ビルやマンションなどの高層建物の給水系2に用いられる。
図1に示すように、高層建物の給水系2は、上下方向Xに延びる立管3と、各階で立管3から分岐して各戸に延びる不図示の給水管と、を備える。立管3は、上下方向Xに延びる配管5と、配管5の上端部分に接続された止水弁6と、を備える。配管5の一部はポリエチレン製の管から構成されている。立管3の頂部には、吸排気弁1が取り付けられている。吸排気弁1には、吸排気管7が取り付けられている。以下の説明では、立管3が延びる方向を上下方向Xとする。また、立管3に対して吸排気弁1が位置する側を上方X1、その反対側を下方X2とする。
【0023】
吸排気弁1は、立管3への充水時には、立管3内の空気を外部に逃がす。また、吸排気弁1は、充水後に立管3内に空気が溜まると、その空気を外部に逃がし、給水系2で脈動が発生することを防止する。さらに、吸排気弁1は、断水などに起因して立管3内で負圧が発生した場合には、外部から立管3内に空気を導入する。これにより、立管3内の負圧を解消して、給水管から立管3への水の逆流を防止する。
【0024】
図2に示すように、吸排気弁1は、立管3に連通する立管連通口11、立管連通口11の上方X1で当該立管連通口11と連通する弁室12、吸排気管7が接続される吸排気口13、弁室12の天井14に設けられた開口部15、および、開口部15と吸排気口13とを接続する吸排気路16を有するハウジング10を有する。また、吸排気弁1は、ハウジング10に固定され、弁室12内で開口部15を囲む開口部弁座17を備える。開口部弁座17は、弾性部材であり、合成ゴムなどからなる。
【0025】
ハウジング10は、複数の部材から構成されている。すなわち、ハウジング10は、下端に立管連通口11を備える本体部材21と、本体部材21に上方X1から被せられる環状のボンネット部材22と、下端部分がボンネット部材22の中心穴22aに挿入された
環状部材23とを備える。また、ハウジング10は、ボンネット部材22に上方X1から被せられたカバー部材24を備える。カバー部材24は側方を向く吸排気口13を備える。カバー部材24がボンネット部材22に被せられると、ハウジング10は、カバーとボンネット部材22との間に、弁室12の開口部15と吸排気口13とを接続する吸排気路16を備えるものとなる。
【0026】
本体部材21は、下端に立管連通口11を備える筒部26と、筒部26の上端部分から外周側に向かって上方X1に湾曲する環状底部27と、環状底部27の外周端から連続して上方X1に延びる環状胴部28と、を備える。筒部26の内周側にはストレーナ29が配置されている。環状胴部28の上端部分の外周面には雄ネジ30が設けられている。
【0027】
ボンネット部材22は、本体部材21の環状胴部28の外周側に位置する外側筒部32と、筒部26の上端縁から内周側に延びる環状板部33と、環状板部33の中心穴22a(ボンネット部材22の中心穴)の外周側で環状板部33から上方X1に延びる内側筒部34と、を備える。外側筒部32の内周面には、本体部材21の雄ネジ30と螺合する雌ねじ35が設けられている。環状板部33の中心穴22aは円形である。内側筒部34の内周面の上側部分には雌ねじ34aが設けられている。
【0028】
環状部材23は、環状板部33の中心穴22aに挿入された下側筒部38と、下側筒部38の上端縁から外周側に広がる環状の板部39と、板部39の外周縁から上方X1に延びる上側筒部40と、上側筒部40の上端縁から外周側に突出する環状の突出部41を備える。上側筒部40の外周面には雄ねじ40aが設けられている。上側筒部40の雄ねじ40aは、ボンネット部材22の内側筒部34の雌ねじ34aと螺合している。
【0029】
開口部弁座17は、ボンネット部材22と環状部材23との間に挟まれてハウジング10に固定されている。すなわち、開口部弁座17は、ボンネット部材22の環状板部33の内周側の端面と環状部材23の下側筒部38との間に位置する環状の弁座部43と、弁座部43の上端縁から外周側に延びてボンネット部材22の環状板部33と環状部材23の板部39との間に位置するフランジ部44と、を備える。
【0030】
ここで、本体部材21、ボンネット部材22、環状部材23、および開口部弁座17により囲まれた空間は弁室12である。弁室12の天井14は、ボンネット部材22の環状板部33、開口部弁座17の弁座部43、および、環状部材23の下側筒部38により構成されている。弁室12の天井14に設けられた開口部15は、環状部材23の下側筒部38の内壁面によって規定される。開口部弁座17は、弁座部43が、弁室12内で開口部15を包囲している。立管連通口11、弁室12、および、開口部15は同軸である。すなわち、弁室12の中心軸Lは、立管連通口11および開口部15の中心を通過する。
【0031】
弁室12内には、バケット46、遊動弁体47、およびフロート弁体48が収容されている。バケット46は、樹脂製であり、本例では、ポリアセタールからなる。バケット46は、輪郭形状が円形の底部50と、底部50の外周縁から上方X1に延びる筒部51と、筒部51の上端部分から外周側に突出する環状の突部52を備える。底部50は、中心部分と、中心部分を囲む環状部分と、中心部から放射状に延びて環状部分に接続された複数のリブと、を備える。従って、底部50は、周方向において、リブとリブとの間が開口している。バケット46は、突部52が、本体部材21の環状胴部28とボンネット部材22の環状板部33とによって上下方向Xから挟まれて、ハウジング10に固定される。バケット46がハウジング10に固定された状態では、バケット46の底部50は、本体部材21の環状底部27から上方X1に離間する。
【0032】
遊動弁体47とフロート弁体48とは、バケット46の内側に収容されている。遊動弁
体47は、ポリプロピレン等の樹脂製である。遊動弁体47は、弁室12内において、開口部弁座17に当接して開口部15を封鎖する開口部封鎖位置47A(
図3参照)と、開口部弁座17から下方X2に離間する開口部解放位置47Bとの間を移動する。
図2では、遊動弁体47は開口部解放位置47Bに位置する。
【0033】
遊動弁体47は、開口部弁座17に当接して開口部15を封鎖する円形の弁本体部54と、弁本体部54の外周縁部分から下方X2に延びるスカート部55と、を備える。また、遊動弁体47は、弁本体部54を上下方向Xに貫通して開口部15に連通する弁体流路56と、弁本体部54に固定され弁体流路56の下端開口部15を包囲する流路弁座57を備える。さらに、遊動弁体47は、弁本体部54を上下方向Xに貫通し当該上下方向Xに移動可能な状態で当該弁本体部54に支持された移動部材58を有する。弁体流路56は、弁本体部54の中心から外周側に離間する位置で、上下方向Xに直線状に延びる。流路弁座57は、弾性部材であり、合成ゴムなどからなる。流路弁座57は、弁本体部54の下面よりも下方X2に突出する。
【0034】
移動部材58は、ポリプロピレン等の樹脂製であり、比重が水よりも小さい。移動部材58は、弁本体部54の中心部分を貫通する。すなわち、弁本体部54は、その中心部分に上下方向Xに貫通する円形の貫通穴60を備える。移動部材58は、貫通穴60を貫通する円柱部61と、円柱部61の上端部分から外周側に突出する上側当接部62と、円柱部61の下端部分から外周側に突出する下側当接部63と、を備える。また、弁本体部54は、円柱部61の外周面に環状溝64を備える。環状溝64にはOリング65が取り付けられている。Oリング65は移動部材58と弁本体部54との間に介在する。
【0035】
ここで、移動部材58は、弁本体部54から流路弁座57よりも下方X2に突出する突出位置58A(
図5参照)と、流路弁座57よりも上方X1の退避位置58Bとの間を移動する。突出位置58Aでは、上側当接部62が、弁本体部54に上方X1から当接する。退避位置58Bでは、下側当接部63が弁本体部54に下方X2から当接する。
図2に示す状態では、移動部材58は退避位置58Bにある。
【0036】
また、遊動弁体47は、弁本体部54に下側から取り付けられた有頭ねじ67を備える。有頭ねじ67は、樹脂製であり、その頭の部分が弁本体部54から下方X2に突出している。有頭ねじ67は、弁本体部54の下面とフロート弁体48との間に介在するスペーサである。
【0037】
フロート弁体48は、遊動弁体47の下方X2に配置されている。また、フロート弁体48は、遊動弁体47のスカート部55の内側に位置する。フロート弁体48は、全体として円錐台形状をしており、上方X1に向かって外径寸法が大きくなる。フロート弁体48は、比重が水よりも小さい。フロート弁体48は弁室12内の水位の昇降に伴って上下方向Xに移動する。
【0038】
フロート弁体48は、遊動弁体47に下方X2から当接可能である。また、フロート弁体48は、移動部材58が退避位置58Bにあるときに、遊動弁体47の流路弁座57に下方X2から当接して、弁体流路56を封鎖することが可能である。
【0039】
ここで、吸排気弁1は、移動部材58を移動させるための操作部材71を備える。操作部材71は、ハウジング10における弁室12よりも上方X1であって上下方向Xから見た場合に開口部15と重なるハウジング部分10aを上下方向Xに貫通する。また、操作部材71は、上下方向Xに移動可能な状態でハウジング部分10aに支持されている。本例では、操作部材71を支持するハウジング部分10aは、カバー部材24において、上下方向Xから見た場合に開口部15と重なる部分である。
【0040】
ハウジング部分10aは、上下方向Xに貫通する貫通穴72を備える。貫通穴72の内周面には、雌ねじ73が設けられている。一方、操作部材71は、上下方向Xに延びて貫通穴72を貫通する軸部75と、ハウジング部分10aから外部に突出する軸部75の上端部分に取り付けられた把持部76と、を備える。軸部75の外周面には、ハウジング部分10aの雌ねじ73と螺合する雄ねじ75aが設けられている。従って、把持部76を把持して操作部材71を回転させることにより、操作部材71は上下方向Xに移動する。
【0041】
操作部材71は、通常、開口部封鎖位置47Aにある遊動弁体47から上方X1に離間する上端位置71A(第1位置)に配置されている。操作部材71は、後述する弁座洗浄動作に際して操作され、下方X2に移動する。操作部材71が下方X2に移動すると、軸部75は、移動部材58に上方X1から当接する。
【0042】
(吸排気動作)
次に、
図2、
図3、
図4を参照して吸排気弁1による吸排気動作を説明する。給水系2の施工時などにおいて、立管3への充水が行われる前の状態では、弁室12に水は貯留されていない。従って、
図2に、示すように、遊動弁体47およびフロート弁体48は、自重により、バケット46の底部50に載っている。この状態で、遊動弁体47は、開口部弁座17から下方X2に離間する開口部解放位置47Bにある。また、この状態では、遊動弁体47とフロート弁体48とは重なっている。従って、フロート弁体48は流路弁座57に当接して、弁体流路56を封鎖する。よって、充水時に、立管3内を水が上昇すると、立管3内の空気は、立管連通口11、弁室12、開口部15、および吸排気口13を介して、外部に排出される。
【0043】
立管3への充水の完了時には、
図3に示すように、弁室12内の水位の上昇に伴って、フロート弁体48が上方X1に移動する。また、フロート弁体48は、遊動弁体47に下方X2から当接した状態で、遊動弁体47を浮上させる。その後、弁室12内の水位Wが所定の水位Wに達すると、遊動弁体47は、開口部弁座17に当接して、開口部15を封鎖する。すなわち、遊動弁体47は開口部封鎖位置47Aにある。また、フロート弁体48は、流路弁座57に当接して弁体流路56を封鎖している。すなわち、フロート弁体48は、弁体流路閉位置48Aにある。ここで、
図2に示すように、移動部材58が退避位置58Bにあり、遊動弁体47が開口部封鎖位置47Aにあり、フロート弁体48が弁体流路閉位置48Aにある状態は、立管封鎖状態である。
【0044】
その後、立管3内に空気が浸入して溜まると、気泡が立管3内を上昇して、弁室12に至る。そして、
図4に鎖線の矢印で示すように、気泡O1が弁室12に到達すると、弁室12内の水位Wが下降する。従って、フロート弁体48が傾斜して、流路弁座57との間に隙間を作る。これにより、弁室12内の空気O2は、
図4に矢印で示すように、弁体流路56、開口部15、および吸排気口13を介して、外部に排出される。また、空気O2が外部に排出されると、弁室12内の水位Wが戻るので、
図3に示すように、フロート弁体48は上昇して流路弁座57に当接する。これにより、弁体流路56を閉じる。吸排気弁1は、上記の動作を繰り返すことにより、脈動や腐食の要因となる空気を立管3の内部から自動的に排出する。
【0045】
ここで、断水などにより給水圧力が低下すると、水位Wが下降するとともに、立管3内に負圧が発生する。この場合、水位Wの下降に伴ってフロート弁体48が下降するとともに、負圧による吸引力により遊動弁体47が下降する。この結果、
図2に示すように、遊動弁体47およびフロート弁体48は重ねられてバケット46の底部50に載置された状態となる。これにより、遊動弁体47は開口部解放位置47Bに配置され、開口部15が解放される。従って、吸排気弁1の吸排気口13から外部の空気が吸引され、開口部15
、弁室12および立管連通口11を介して、立管3内に導入される。この結果、立管3内の負圧が解消されるので、立管3から各部屋に延びる給水管から立管3への水の逆流を防止できる。
【0046】
(弁座洗浄動作)
次に、
図3、
図5、
図6を参照して、立管3内の水を利用して流路弁座57および開口部弁座17を洗浄する弁座洗浄動作を説明する。
図5は流路弁座57を洗浄する弁座洗浄動作の説明図である。
図6は開口部弁座17を洗浄する弁座洗浄動作の説明図である。なお、
図5、
図6では、操作部材の右半分を断面で示す。
【0047】
給水系2の施工時に、鋸刃を用いてポリエチレン製の管を切断して立管3を構成した場合などには、立管3内に切断時の切粉が残ることがある。このような切粉は、水に浮く。従って、立管3への充水が完了した後に、切粉が吸排気弁1の弁室12に到達する。
【0048】
ここで、弁室12に到達した切粉が流路弁座57に付着すると、
図3に示す立管封止状態において、フロート弁体48が弁体流路56を封鎖することができなくなる。弁体流路56が封鎖されない場合には、立管3内の水が、弁室12から、弁体流路56、開口部15、および吸排気路16を介して、吸排気口13から外部に流れ出る状態となる。また、弁室12に到達した切粉が開口部弁座17に付着すると、遊動弁体47によって開口部15を封鎖することができなくなる。開口部15が封鎖されない場合には、立管3内の水が、弁室12から、開口部15、および吸排気路16を介して、吸排気口13から外部に流れ出る状態となる。このような状態を回避、或いは、復旧するために、以下の弁座洗浄動作を行う。
【0049】
弁座洗浄動作は吸排気弁1が立管封鎖状態のときに行われる。すなわち、弁座洗浄動作を開示する時点では、立管3への充水が完了しており、遊動弁体47に支持された移動部材58が退避位置58Bにあり、フロート弁体48が流路弁座57に当接して弁体流路56を閉じる弁体流路閉位置48Aにあり、かつ、遊動弁体47が開口部封鎖位置47Aにある。なお、立管封鎖状態には、フロート弁体48が弁体流路閉位置48Aに配置されているのにも拘わらず、流路弁座57に切粉等の異物が付着してフロート弁体48と流路弁座57との間に僅かな隙間が形成されている場合が含まれる。また、立管封鎖状態には、遊動弁体47が開口部封鎖位置47Aに配置されているのにも拘わらず、開口部弁座17に切粉等の異物が付着して遊動弁体47と開口部弁座17との間に僅かな隙間が形成されている場合が含まれる。
【0050】
弁座洗浄動作では、操作部材71を上端位置71Aから下降させる。ここで、操作部材71を、その移動可能範囲の上端位置71A(
図3参照)から下端位置71B(第3位置、
図6参照)に移動させると、操作部材71が、その移動可能範囲の下端位置71Bの到達する前に、操作部材71が移動部材58に上方X1から当接する。そして、
図5に示すように、操作部材71は、移動部材58を退避位置58Bから突出位置58Aに移動させる。移動部材58が突出位置58Aに移動すると、移動部材58がフロート弁体48に上方X1から当接して、フロート弁体48を下方X2に押し下げる。
【0051】
ここで、フロート弁体48が流路弁座57から下方X2に離間すると、
図5に矢印で示すように、立管3内の水の圧力(弁室12内の水の圧力)によって、水S1は、フロート弁体48と流路弁座57との間を勢いよく流れて、弁体流路56、開口部15、吸排気路16を介して吸排気口13から外部に流出する。従って、流路弁座57に異物が付着していた場合には、異物は、水がフロート弁体48と流路弁座57との間を流れる際に、流路弁座57から洗い流される。そして、流路弁座57から脱落した異物は、水S1の流れに乗って外部に排出される。よって、フロート弁体48が当接する流路弁座57に付着した
異物を除去できる。
【0052】
その後、
図6に示すように、操作部材71を、その移動可能範囲の下端位置71Bに到達させる。操作部材71が下端位置71Bに到達すると、移動部材58は、更に、下方X2に押し込まれる。ここで、移動部材58が突出位置58Aに配置された状態では、移動部材58の上側当接部62が弁本体部54に上方X1から当接している。このため、操作部材71によって移動部材58が更に下方X2に押し込まれると、移動部材58の下降に伴って、遊動弁体47が開口部弁座17から下方X2に離間する。よって、操作部材71の移動範囲の下端位置71Bは、突出位置58Aにある移動部材58に上方から当接して遊動弁体47を開口部封鎖位置47Aよりも下方X2に位置させる位置である。
【0053】
ここで、立管封鎖状態のときに、操作部材71によって移動部材58を下方X2に移動させて遊動弁体47を開口部弁座17から下方X2に離間させると、立管3内の水の圧力(弁室12内の水の圧力)によって、水S2は、遊動弁体47と開口部弁座17との間を勢いよく流れて、開口部15、内部流路を介して吸排気口13から外部に流出する。従って、開口部弁座17に異物が付着していた場合には、この異物水が遊動弁体47と開口部弁座17との間を流れる際に、異物は開口部弁座17から洗い流される。そして、開口部弁座17から脱落した異物は、水S2の流れに乗って外部に排出される。よって、遊動弁体47が当接する開口部弁座17に付着した異物を除去できる。
【0054】
なお、流路弁座57の洗浄の後に更に移動部材58を下方X2に押し込む際には、移動部材58は突出位置58Aに位置しており、弁体流路56が解放されている。従って、フロート弁体48が遊動弁体47に当接して弁体流路56が封鎖されているときに遊動弁体47を下方X2に移動させる場合と比較して、遊動弁体47を小さい力で下方X2に移動させることができる。
【0055】
ここで、弁座洗浄動作を行った後に、操作部材71を下端位置71Bから上端位置71Aに戻せば、フロート弁体48、移動部材58、および遊動弁体47は、操作部材71の上昇に伴って上昇する。そして、吸排気弁1は、
図3に示す立管封鎖状態に戻る。
【0056】
(作用効果)
本例では、立管封鎖状態のときに、移動部材58を下方X2に移動させることにより、フロート弁体48を流路弁座57から離間させることができる。これにより、立管3内の水圧を利用して、水で流路弁座57を洗浄できる。従って、流路弁座57に付着した異物を除去できる。
【0057】
また、弁体流路56を解放した後に更に移動部材58を下降させる一連の動作によって開口部15を解放すれば、立管3内の水圧を利用して、水で開口部弁座17を洗浄できる。従って、開口部弁座17に付着した異物を除去できる。
【0058】
ここで、本例では、操作部材71を備えるので、ハウジング10の外側から操作部材71を下方X2に移動させることにより、流路弁座57の洗浄と、開口部弁座17の洗浄とを行うことができる。
【0059】
また、本例では、移動部材58は、比重が水より小さい。従って、操作部材71を上端位置71Aに戻した時に、移動部材58を退避位置58Bに戻すことが容易である。
【0060】
なお、立管封鎖状態のときに、操作部材71を、その移動可能範囲の上端位置71Aから下端位置(第2位置)に移動させると、操作部材71が移動部材58に上方X1から当接して当該移動部材58を前記突出位置58Aに移動させるものとしてもよい。すなわち
、操作部材71の移動範囲の下端位置を、上端位置71Aよりも下方で、開口部封鎖位置47Aにある遊動弁体47の移動部材58に当接して当該移動部材58を突出位置58Aに位置させる位置と、してもよい。この場合には、吸排気弁1は、操作部材71の操作によって、流路弁座57の洗浄のみを行うものとすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1…吸排気弁、2…給水系、3…立管、5…配管、6…止水弁、7…吸排気管、10…ハウジング、10a…ハウジング部分、11…立管連通口、12…弁室、13…吸排気口、14…天井、15…開口部、16…吸排気路、17…開口部弁座、21…本体部材、22…ボンネット部材、22a…中心穴、23…環状部材、24…カバー部材、26…筒部、27…環状底部、28…環状胴部、29…ストレーナ、30…雄ネジ、32…外側筒部、33…環状板部、34…内側筒部、38…下側筒部、39…板部、40…上側筒部、41…突出部、43…弁座部、44…フランジ部、46…バケット、47…遊動弁体、47A…遊動弁体の開口部封鎖位置、47B…遊動弁体の開口部解放位置、48…フロート弁体、48A…弁体流路閉位置、50…底部、51…筒部、52…突部、54…弁本体部、55…スカート部、56…弁体流路、57…流路弁座、58…移動部材、58A…移動部材の突出位置、58B…移動部材の退避位置、60…貫通穴、61…円柱部、62…上側当接部、63…下側当接部、64…環状溝、65…Oリング、67…有頭ねじ、71…操作部材、71A…操作部材の上端位置、71B…操作部材の下端位置、72…貫通穴、75…軸部、76…把持部、L…軸線、O1、O2…弁室内の空気、S1、S2…水、W…水位、X…上下方向