(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】物品購買タイミング提案プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220815BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020036478
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2020-10-14
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519045387
【氏名又は名称】ASSEST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】澤田 綾子
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】中野 浩昌
【審判官】相崎 裕恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-18127(JP,A)
【文献】特許第6609873(JP,B1)
【文献】特開2019-174898(JP,A)
【文献】特開2014-61258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文房具からなる物品を購買するタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、
上記物品を購買する購買者の属する地域に関する地域情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、
予め取得した上記物品を過去において購買した購買者の属する地域に関する参照用地域情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、その購買タイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記地域情報と上記市況情報とに基づき、購買タイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする物品購買タイミング提案プログラム。
【請求項2】
文房具からなる購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、
提案先の購買者の属する地域に関する地域情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、
予め取得した各購買者の属する地域に関する参照用地域情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、上記各購買者により購買された物品及びその購買のタイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記地域情報と上記市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする物品購買タイミング提案プログラム。
【請求項3】
文房具からなる物品を購買するタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、
提案先の購買者の最近の財務諸表から取得した財務諸表情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、
予め取得した各購買者の過去の財務諸表から取得した参照用財務諸表情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、その購買タイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記財務諸表情報と上記市況情報とに基づき、購買タイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする物品購買タイミング提案プログラム。
【請求項4】
文房具からなる購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、
提案先の購買者の最近の財務諸表から取得した財務諸表情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、
予め取得した各購買者の過去の財務諸表から取得した参照用財務諸表情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、上記各購買者により購買された物品及びその購買のタイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記財務諸表情報と上記市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする物品購買タイミング提案プログラム。
【請求項5】
文房具からなる物品を購買するタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、
提案先の購買者の属性に関する属性情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、
予め取得した各購買者の属性に関する参照用属性情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、その購買タイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記
属性情報と上記市況情報とに基づき、購買タイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする物品購買タイミング提案プログラム。
【請求項6】
文房具からなる購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、
提案先の購買者の属性に関する属性情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、
予め取得した各購買者の属性に関する参照用属性情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、上記各購買者により購買された物品及びその購買のタイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記属性情報と上記市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする物品購買タイミング提案プログラム。
【請求項7】
文房具からなる物品を購買するタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、
提案先の購買者の外部環境としての経済データ、家計データ、不動産データ、自然環境データの何れかに関する外部環境情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、
予め取得した各購買者の外部環境としての経済データ、家計データ、不動産データ、自然環境データの何れかに関する参照用外部環境情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、その購買タイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記外部環境情報と上記市況情報とに基づき、購買タイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする物品購買タイミング提案プログラム。
【請求項8】
文房具からなる購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、
提案先の購買者の外部環境としての経済データ、家計データ、不動産データ、自然環境データの何れかに関する外部環境情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、
予め取得した各購買者の外部環境としての経済データ、家計データ、不動産データ、自然環境データの何れかに関する参照用外部環境情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、上記各購買者により購買された物品及びその購買のタイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記市況情報と上記外部環境情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする物品購買タイミング提案プログラム。
【請求項9】
上記提案ステップでは、人工知能におけるニューラルネットワークのノードの各出力の重み付け係数に対応する上記連関度を利用すること
を特徴とする請求項1~8のうち何れか1項記載の物品購買タイミング提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オフィスにおいて必要な文房具や事務機器、パーソナルコンピュータは、各企業が社内のニーズに応じて適宜購買されている。また製造業であれば製造に必要な機械や装置の購入についても必要に応じて購入の検討が行われる。更に商社であれば、商取引の対象となる物品の購入を適宜行う。
【0003】
このような購入対象の物品の価格は、市況、経済状況、各種イベント、天災、気候、社会情勢、国際情勢等に応じて変化する場合が多い。購入する側としては、性能、機能の優れた物品を極力低価格で購入したい。また商社であれば、極力安く購入した物品を高価で販売することでより多くの利益を確保することができる。商社のみならず、商店や個人で行う転売も同様の考えの下で購買を行うのが通常である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、物品をより安価に購入するためには、市況、経済状況、各種イベント、天災、気候、社会情勢、国際情勢等を見極め、適切なタイミングを見極める必要があるが、非常難しいのが現状であった。
【0005】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、購買すべき物品とその購買の適切なタイミングを提案することが可能な物品購買タイミング提案プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、物品購買タイミング提案プログラムは、文房具からなる物品を購買するタイミングを提案する物品購買タイミング提案プログラムにおいて、上記物品を購買する購買者の属する地域に関する地域情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる最近の市況に関する市況情報とを取得する情報取得ステップと、予め取得した上記物品を過去において購買した購買者の属する地域に関する参照用地域情報と、金利、為替、各銘柄の株価、貴金属、ビットコインの何れかの値動きからなる過去の市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、その購買タイミングとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した上記地域情報と上記市況情報とに基づき、購買タイミングを提案する提案ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
特段のスキルや経験が無くても、購買すべき物品とその購買の適切なタイミングを提案することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を適用したシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の動作について説明するための図である。
【
図4】本発明の動作について説明するための図である。
【
図5】本発明の動作について説明するための図である。
【
図6】本発明の動作について説明するための図である。
【
図7】本発明の動作について説明するための図である。
【
図8】本発明の動作について説明するための図である。
【
図9】本発明の動作について説明するための図である。
【
図10】本発明の動作について説明するための図である。
【
図11】本発明の動作について説明するための図である。
【
図12】本発明の動作について説明するための図である。
【
図13】本発明の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した物品購買タイミング提案プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0010】
第1実施形態
図1は、本発明を適用した物品購買タイミング提案プログラムが実装される物品購買タイミング提案システム1の全体構成を示すブロック図である。物品購買タイミング提案システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0011】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する探索装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を探索装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、流量センサ、その他物質や物性を特定することが可能なセンサも含む。情報取得部9は、インターネット上のサイトに掲載されている文字列やデータを自動的に取り込んでくる手段で構成されていてもよい。
【0012】
データベース3は、物品購買タイミング提案を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。物品購買タイミング提案を行う上で必要な情報としては、予め取得した各購買者の過去の取引状況に関する参照用取引情報、各物品の過去の市況に関する参照用市況情報、予め取得した各購買者の各物品の在庫状況に関する参照用在庫情報、予め取得した各購買者の属する地域に関する参照用地域情報、予め取得した各購買者の過去の財務諸表から取得した参照用財務諸表情報、予め取得した各購買者の属性に関する参照用属性情報、予め取得した各購買者の属する業界に関する参照用業界情報、予め取得した各購買者の外部環境に関する参照用外部環境情報と、各購買者により購買された購買タイミング、又は各購買者により購買された物品及びその購買のタイミングとのデータセットが記憶されている。
【0013】
つまり、データベース3には、参照用市況情報に加え、参照用取引情報、参照用在庫情報、参照用地域情報、参照用財務諸表情報、参照用属性情報、参照用業界情報、参照用外部環境情報の何れか1以上と、各購買者により購買された購買タイミング、又は各購買者により購買された物品及びその購買のタイミングが互いに紐づけられて記憶されている。
【0014】
探索装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この探索装置2による探索解を得ることができる。
【0015】
図2は、探索装置2の具体的な構成例を示している。この探索装置2は、探索装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う推定部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0016】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、探索装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0017】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、推定部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0018】
推定部27は、探索解を推定する。この推定部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この推定部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0019】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0020】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0021】
上述した構成からなる物品購買タイミング提案システム1における動作について説明をする。
【0022】
物品購買タイミング提案システム1では、例えば
図3に示すように、参照用市況情報と、参照用取引情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。
【0023】
参照用市況情報とは、市況に関する様々な情報である。ここでいう市況は、一企業、またその企業を含む業界全体、或いは日本全体、世界全体までいかなる範囲をターゲットにしてもよいし、個々の物品レベルでの市況であってもよい。この参照用市況情報の例としては、金利、為替、各銘柄の株価、原油、先物、貴金属、ビットコイン等の値動きに加え、個々の物品の値動きを対象としたものである。ここでいう個々の物品は商取引の対象となるいかなる動産が含まれるものであり、自動車や船舶といった大柄な物品から、文房具や生活雑貨、食料品や衣類といったいかなる動産が含まれる。また家庭やオフィスで必要になるパーソナルコンピュータやこれを構成する個々の電子部品に加え、机や椅子等の家具、その他あらゆる電気製品もこの物品に含まれる。この参照用市況情報は、これらの対象について時系列的なチャートや折れ線グラフ等で表示されていてもよい。またボリンジャーバンド、MACD、移動平均線等の情報が付されていてもよい。また、この市況情報は、各銘柄の企業のファンダメンタルな指標が盛り込まれていてもよく、年間の売り上げや利益、コストに加えて、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)等の指標が盛り込まれていてもよい。為替についても各通貨間における値動きを示すチャート、ボリンジャーバンド、MACD、移動平均線等の情報が付されていてもよい。参照用市況情報は、市場将来性自体を類型化しておくようにしてもよい。
【0024】
参照用取引情報は、過去の融資先におけるそれまでの取引に関するあらゆる情報である。参照用消費行動情報は、実態に何にお金を使ってきたかを示す情報であるのに対して、この参照用取引情報は、実際の売買や取引においてどの程度フェアに行っていたか、また、誠実なトレードを行ってきたか、また取引相手の誠実性や安全性を示すものである。また参照用取引情報は、取引する金額や規模感も含まれる。この参照用取引情報は、金融機関における銀行口座への入出金や決済データから取得することができる。これらから入出金情報を得ることができる。また、参照用取引情報は、見積書、納品書、請求書から取得することができ、例えばEC(電子商取引)サイトでの販売、購入であれば、そのECサイトから取得することもできる。また、この参照用取引情報は、実際にECサイトを通じて売買を行った製品やサービスについて、評価者による評価内容も反映されるものであってもよい。評価内容が高いほど、より正当でしかもフェアな消費行動、購買を行ったものとみなすことができる。納品物の質の高さや納品の期日順守、取引前のメッセージの丁寧さ等の情報から参照用取引情報を抽出してもよい。またECサイトを通じて行った取引において納品したものについて欠陥があった場合、そのECサイトにおける書き込みを通じてこれを抽出することで、評価内容を下げるように制御してもよい。参照用取引情報は、過去の注文データから判別した不正取引の有無が反映されるものであってもよい。ここでいう不正取引の判別は、一日1回しか購入できない格安商品を、名前を変えて沢山購入したり、住所を上手く変更することで同一人であることが判別されないようにして購入している場合に、これをインターネット上の監視技術を通じて抽出するようにしてもよい。取引相手の誠実性や安全性は、口座入出金明細、会計データ、WEBサイト、決算明細書、帳簿情報から抽出してもよい。この抽出する際には、より危険性の高い取引相手について予め取得して学習させておき、機械学習を通じてこれらの口座入出金明細、会計データ、WEBサイト、決算明細書等から判別するようにしてもよい。また、取引相手と過去において交渉を行い、その取引履歴が紙媒体の文書やその文書の電子データを保有している場合には、この取引履歴文書から参照用取引情報を抽出してもよい。また、個人が自営業者であれば、その自営業を行う上で立ち上げたサイトやSNS等に記載された主要取引先情報から参照用取引情報を抽出してもよい。この参照用消費行動情報を上述した参照用情報P34~P36に当てはめる場合には、例えば参照用情報P34は、取引先が〇×株式会社、書籍10冊を2万3千円で販売、ECサイトによる評価は5段階評価の中で4点、参照用情報P35は、取引先が△◆株式会社、PCを5万5千円で購入、ECサイトによる評価は5段階評価の中で2点、等である。
【0025】
図3の例では、入力データとしては、例えば参照用市況情報P11~P13、参照用取引情報F~I等が並んでいる。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用取引情報組み合わさったものが、
図3に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての購買タイミングが配列している。
【0026】
購買タイミングは、その購買対象の物品がどのタイミングで購買されたかを示す情報である。この購買タイミングは、例えば、西暦何年何月何日レベルの日単位で示されていてもよいし、週単位、又は月単位、年単位の何れで示されるものであってもよい。この購買タイミングは、例えば上述した参照用市況情報の取得日又は取得期間の関係で示されていてもよい。例えば、参照用市況情報が、取得期間12月1日~12月31日までの物品の値動きを示した者であれば、この購買タイミングは、その取得期間の末日(12月31日)から何日経過後に購入したかを示すものであってもよい。
【0027】
参照用市況情報と参照用取引情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての購買タイミングに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用市況情報と参照用取引情報がこの連関度を介して左側に配列し、各購買タイミングが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用市況情報と参照用取引情報に対して、何れの購買タイミングと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用市況情報と参照用取引情報が、いかなる購買タイミングに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用市況情報と参照用取引情報から最も確からしい購買タイミングを選択する上での的確性を示すものである。
図3の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての購買タイミングと互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての購買タイミングと互いに関連度合いが低いことを示している。
【0028】
【0029】
判別装置2は、このような
図3に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の購買タイミングの提案を行う上で、参照用市況情報と、参照用取引情報、並びにその場合の購買タイミングがどれが採択されるケースが多かったかのデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図3に示す連関度を作り上げておく。例えば、参照用取引履歴において、金融機関における銀行口座への入出金や決済データから、その企業は、年に数回に産業機械用の潤滑油をまとめて購入しているものとする。これらのデータから、その企業は、潤滑油に関して定期的なニーズがあるものと判断することができる。この潤滑油が仮に時期によって相場が変動するものであれば、参照用市況データを通じて過去の市況を参照しながら、連関度を通じて最適な購買タイミングを提案する。
【0030】
この購買タイミングは、同一の物品に着目した場合において、より低価格で購入した購買タイミングへの連関度wを高く設定し、より高価格で購入した購買タイミングへの連関度wを低く設定するようにしてもよい。
【0031】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用市況情報P11で、かつ参照用取引情報Fである場合に、いかなる購買タイミングであるときに価格が安かったかを過去のデータから分析し、これに応じた連関度を設定する。参照用市況情報P11で、かつ参照用取引情報Hである場合においてリンクする中間ノード61aの例では、購買タイミングAと、購買タイミングBの出力にリンクしているが、以前の事例から、より価格の安かった購買タイミングAにつながるw13の連関度を7点に、より価格の高かった危購買タイミングBにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0032】
また、この
図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードの出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0033】
図3に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用市況情報P11に対して、参照用取引情報Fの組み合わせのノードであり、購買タイミングCの連関度がw15、購買タイミングEの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用市況情報P12に対して、参照用取引情報Gとの組み合わせのノードであり、購買タイミングBの連関度がw17、購買タイミングDの連関度がw18となっている。
【0034】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに購買タイミングを判別する際において、上述した学習済みデータを利用して購買タイミングを探索することとなる。かかる場合には、市況情報を新たに取得するとともに、取引情報を取得する。市況情報は参照用市況情報に対応し、取引情報は、参照用取引情報に対応する。市況情報、取引情報を新たに取得する購買者は、上述した参照用市況情報、参照用取引情報を取得した過去の購買者と同一であることは必須ではなく、互いに異なる者であってもよい。
【0035】
また、購買者は、法人のみならず個人であってもよい。個人が家庭用の生活用品や飲食物をスーパーで購入する際の購買タイミングを提案するものであってもよい。
【0036】
このようにして新たに取得した市況情報と、取引情報に基づいて、購買タイミングを探索する。かかる場合には、予め取得した
図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した市況情報がP12と同一かこれに類似するものである場合であって、取得した取引情報が参照用取引情報Iと同一又は類似している場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、購買タイミングCがw19、購買タイミングDが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い購買タイミングCを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる購買タイミングDを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0037】
このようにしてこれらの最適解の選択は、
図3に示す学習済みモデルを利用し、実際に解を求めたい入力データ(市況情報、取引情報)を入力すると出力解(購買タイミング)が出力される人工知能を通じて実現することができる。しかし、本発明は人工知能を活用することは必須ではなく、参照用市況情報と、参照用取引情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する購買タイミングとの3段階以上の連関度を利用するものであればいかなる形態で実現されるものであってもよい。
【0038】
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
【0039】
【0040】
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0041】
なお、上述した
図3に示す実施の形態においては、購買対象の物品が決まっている例であるが、これに限定されるものでは無く、
図4に示すように購買対象の物品が決まっていない場合において、その購買対象物品の提案を行うとともに、その購買タイミングも同様に提案してもよい。
【0042】
かかる場合には、上述した参照用市況情報と、参照用取引情報の組み合わせの連関度に対する出力としての、購買対象物品及び購買タイミングからなるデータセットを学習させる。この購買タイミングは、各物品α~εについてのそれぞれ購買タイミングA~Eを取得しておく。その企業(個人)が必要としている物品については、参照用取引情報から抽出することができ、また個々の物品の価格については、参照用市況情報から抽出することができる。これらの参照用取引情報と参照用市況情報に対して、どの物品をどのタイミングで購入したかのデータを収集することで、上述した
図4に示す連関度を形成することができる。この連関度は、各物品毎にいかなる購買タイミングで購買をすればよいかが反映されている。
【0043】
次に提案先の購買者の最近の取引状況に関する取引情報と、各物品の最近の市況に関する市況情報とを取得する。そして、上述した
図4に示す連関度を利用し、新たに取得した取引情報と市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案することになる。
【0044】
図5は、参照用市況情報と、参照用在庫情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する購買タイミングとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0045】
入力データとしては、このような参照用市況情報と、参照用在庫情報が並んでいる。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用在庫情報が組み合わさったものが、
図5に示す中間ノードである。
【0046】
参照用在庫情報とは、その企業内における購買対象の物品の在庫状況に関するあらゆる情報である。例えば製造に必要な部品がこの購買対象の物品であれば、当該部品の在庫データから取得することができる。この在庫データの代わりに、当該部品の納品書を通じて入庫数を確認することができ、またそこから使用された部品数をカウントし、これを入庫数から差し引くことで在庫数を求めるようにしてもよい。この参照用在庫情報は、例えば、購買対象の物品が並べられている倉庫等の画像から判別するようにしてもよい。また物品に貼着されたICタグや、物品が並べられている倉庫に設置されたセンサ等の情報から、物品が倉庫に残っているか否かを判別し、そこから参照用在庫情報を集中するようにしてもよい。
【0047】
判別装置2は、このような
図5に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の購買タイミングの提案を行う上で、参照用市況情報と、参照用在庫情報、並びにその場合の購買タイミングがいかなるものであったかのデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図5に示す連関度を作り上げておく。
【0048】
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用市況情報P11に対して、参照用在庫情報が在庫情報Jの組み合わせのノードであり、購買タイミングCの連関度がw15、購買タイミングEの連関度がw16となっている。この連関度を設定する際には、より低価格で購買できた購買タイミングほど連関度を高く設定してもよい。
【0049】
このような連関度が設定されている場合も同様に、市況情報を新たに取得するとともに、在庫情報を取得する。市況情報は参照用市況情報に対応し、在庫情報は、参照用在庫情報に対応する。在庫情報の取得方法は、上述した参照用在庫情報の取得方法と同様である。
【0050】
購買タイミングを探索する上では、予め取得した
図5に示す連関度を参照する。例えば、取得した市況情報が参照用市況情報P12に同一又は類似で、在庫情報が参照用在庫情報Mと同一又は類似である場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、購買タイミングBが連関度w17で、また購買タイミングDが連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際にその新たに市況情報と在庫情報とを取得した場合における購買タイミングを求めていくことになる。
【0051】
なお、上述した
図5に示す実施の形態においては、購買対象の物品が決まっている例であるが、これに限定されるものでは無く、
図6に示すように購買対象の物品が決まっていない場合において、その購買対象物品の提案を行うとともに、その購買タイミングも同様に提案してもよい。
【0052】
かかる場合には、上述した参照用市況情報と、参照用在庫情報の組み合わせの連関度に対する出力としての、購買対象物品及び購買タイミングからなるデータセットを学習させる。この購買タイミングは、各物品α~εについてのそれぞれ購買タイミングA~Eを取得しておく。その企業(個人)が必要としている物品については、参照用在庫情報から抽出することができ、また個々の物品の価格については、参照用市況情報から抽出することができる。これらの参照用取引情報と参照用在庫情報に対して、どの物品をどのタイミングで購入したかのデータを収集することで、上述した
図6に示す連関度を形成することができる。
【0053】
次に提案先の購買者の最近の在庫状況に関する在庫情報と、各物品の最近の市況に関する市況情報とを取得する。そして、上述した
図6に示す連関度を利用し、新たに取得した在庫情報と市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案することになる。
【0054】
図7は、参照用市況情報と、参照用地域情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する購買タイミングとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0055】
入力データとしては、このような参照用市況情報と、参照用地域情報が並んでいる。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用地域情報が組み合わさったものが、
図7に示す中間ノードである。
【0056】
参照用地域情報とは、提案先の個人又は法人が属する地域に関する情報である。ここでいう個人が属する地域とは、現住所の地域のみならず、勤務先の地域、前の住所の地域、更には出身地も含まれる。この参照用地域情報は、関東地方や東京都等といった括りでもよいが、市区町村、町名、番地レベルで細分化されていてもよい。このようにグループ化、細分化された地域がある中で、各セグメント化された地域における景況感、イベント、事故、事件、災害、伝染病等がこの参照用地域情報として反映される。この参照用業界情報は第1実施形態における参照用外部環境情報に支配される要素も含まれていることから、この参照用外部環境情報を引用することで構成してもよい。この参照用地域情報を当てはめる場合には、例えば参照用地域情報Jは、東京都千代田区では、〇〇事件が発生、参照用地域情報Kは、奈良県は景況感指数〇〇等である。
【0057】
判別装置2は、このような
図7に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の購買タイミングの提案を行う上で、参照用市況情報と、参照用地域情報、並びにその場合の購買タイミングがいかなるものであったかのデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図7に示す連関度を作り上げておく。
【0058】
図7に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用市況情報P11に対して、参照用地域情報が地域情報Jの組み合わせのノードであり、購買タイミングCの連関度がw15、購買タイミングEの連関度がw16となっている。この連関度を設定する際には、より低価格で購買できた購買タイミングほど連関度を高く設定してもよい。
【0059】
このような連関度が設定されている場合も同様に、市況情報を新たに取得するとともに、地域情報を取得する。市況情報は参照用市況情報に対応し、地域情報は、参照用地域情報に対応する。地域情報の取得方法は、上述した参照用地域情報の取得方法と同様である。
【0060】
購買タイミングを探索する上では、予め取得した
図7に示す連関度を参照する。例えば、取得した市況情報が参照用市況情報P12に同一又は類似で、地域情報が参照用地域情報Mと同一又は類似である場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、購買タイミングBが連関度w17で、また購買タイミングDが連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際にその新たに市況情報と地域情報とを取得した場合における購買タイミングを求めていくことになる。
【0061】
なお、上述した
図7に示す実施の形態においては、購買対象の物品が決まっている例であるが、これに限定されるものでは無く、
図8に示すように購買対象の物品が決まっていない場合において、その購買対象物品の提案を行うとともに、その購買タイミングも同様に提案してもよい。
【0062】
かかる場合には、上述した参照用市況情報と、参照用地域情報の組み合わせの連関度に対する出力としての、購買対象物品及び購買タイミングからなるデータセットを学習させる。この購買タイミングは、各物品α~εについてのそれぞれ購買タイミングA~Eを取得しておく。その企業(個人)が必要としている物品については、参照用地域情報から抽出することができ、また個々の物品の価格については、参照用市況情報から抽出することができる。これらの参照用取引情報と参照用地域情報に対して、どの物品をどのタイミングで購入したかのデータを収集することで、上述した
図8に示す連関度を形成することができる。
【0063】
次に提案先の購買者の属する地域に関する地域情報と、各物品の最近の市況に関する市況情報とを取得する。そして、上述した
図8に示す連関度を利用し、新たに取得した地域情報と市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案することになる。
【0064】
なお、購買対象の物品が決まっていない場合における、その購買対象物品の提案を行うとともに、その購買タイミングも提案する場合には、上述した参照用地域情報の代替として、
図9に示すように参照用財務諸表情報を利用するようにしてもよい。参照用財務諸表情報の例としては、その決算内容を提供してもらった企業の決算書等を始めとしたあらゆる決算に関するデータであり、例えば決算書に記載された帳簿情報、財務情報の数値が中心であり、流動比率、流動負債、自己資本比率 株主資本、総資本、ギアリング比率、有利子負債、自己資本、売上高経常利益率、経常利益、売上高、総資本経常利益率、経常利益、総資本、当期利益額、経常利益増加率、当期経常利益、前期経常利益、売上高、返済能力、債務償還年数、有利子負債、運転資金、キャッシュフロー、営業利益、減価償却費等である。参照用財務情報には、これらの決算書の数値以外に、債務超過になっていないか、役員からの借入金や棚卸資産(在庫)等がどの程度あるか等も含めるようにしてもよい。これらの参照用財務情報は1年分であっても数年分であってもよい。これらの財務諸表に関するデータの中には、実際の外注先や購買先等に関する情報が帳簿情報として含まれている場合があり、そこから、その企業が常に購入が必要な物品を抽出することができる。
【0065】
かかる場合には、上述した参照用市況情報と、参照用財務諸表情報の組み合わせの連関度に対する出力としての、購買対象物品及び購買タイミングからなるデータセットを学習させる。この購買タイミングは、各物品α~εについてのそれぞれ購買タイミングA~Eを取得しておく。その企業(個人)が必要としている物品については、参照用財務諸表情報から抽出することができ、また個々の物品の価格については、参照用市況情報から抽出することができる。これらの参照用取引情報と参照用財務諸表情報に対して、どの物品をどのタイミングで購入したかのデータを収集することで、上述した
図9に示す連関度を形成することができる。
【0066】
次に提案先の購買者の最近の財務諸表情報と、各物品の最近の市況に関する市況情報とを取得する。そして、上述した
図9に示す連関度を利用し、新たに取得した財務諸表情報と市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案することになる。
【0067】
なお、購買対象の物品が決まっていない場合における、その購買対象物品の提案を行うとともに、その購買タイミングも提案する場合には、上述した参照用地域情報の代替として、
図10に示すように参照用属性情報を利用するようにしてもよい。
【0068】
参照用属性情報の例としては、提案先が個人であれば、個人の属性に関するあらゆる情報である。参照用属性情報は、当該個人の年齢や健康状態、年収、生年月日、出身地、家庭環境(妻が妊娠中、家族が障害や病気を追っている、祖父母と同居しているか否か、被介護者が自宅に居るか否か、被災しているか否か、DVや虐待の有無や程度、離婚しているか否か、世帯収入、生活保護の有無、妻子の有無及びその年齢構成等、子供の就学状況)、また子供が就学中であれば、その学費と今後かかる見込みの学費、当該個人が現在就職活動中か、就業中か等も含まれる。健康状態については、当該個人が全くの健康体であるか、或いは先天的に何らかの障害があるのか否かと障害の程度、また生まれた後に後天的に発生した障害があるか否かとその障害の程度、また生後に何らかの疾病にかかったか否か、現状もその疾病が継続しているか否かとその程度、アレルギーの状態、炎症の状態、怪我の状態、持病の状態、服用している薬剤の状況等、健康状態を示すあらゆる情報が含まれる。この参照用属性情報に含まれる健康状態は、心拍数や脈拍数、血液データ、心電図データ、X線画像等、医療データそのものから導かれたものであってもよい。これらは何れも各家庭からの申告や提出文書、医師の診断書等を通じて得られるものであってもよい。この参照用属性情報を上述したJ~Mに当てはめる場合には、「年齢46歳、出身地:静岡、年収〇万円、〇×企業に勤務、家庭環境:妻と長男、長女の4人家族、長男は高校性、長女は中学生、健康状態:過去に胃潰瘍で手術した経験があり」、「年齢38歳、出身地:東京、年収〇万円、▲〇企業に勤務、家庭環境:妻と長女の3人家族、長女は小学生、健康状態:良好」等である。
【0069】
提案先が法人であれば、法人の属性に関するあらゆる情報である。ここでいう属性とは、その法人の業種や技術分野、歴史、沿革、資本金、規模、従業員数、設立年数等が含まれるが、これに限定されるものでは無く、社風や従業の士気、採用者数等も含まれる。
【0070】
これらの参照用属性情報に関するデータの中には、実際に購買したい物品に関する情報が含まれている場合があり、そこから、その企業が常に購入が必要な物品を抽出することができる。
【0071】
かかる場合には、上述した参照用市況情報と、参照用属性情報の組み合わせの連関度に対する出力としての、購買対象物品及び購買タイミングからなるデータセットを学習させる。この購買タイミングは、各物品α~εについてのそれぞれ購買タイミングA~Eを取得しておく。その企業(個人)が必要としている物品については、参照用属性情報から抽出することができ、また個々の物品の価格については、参照用市況情報から抽出することができる。これらの参照用取引情報と参照用属性情報に対して、どの物品をどのタイミングで購入したかのデータを収集することで、上述した
図10に示す連関度を形成することができる。
【0072】
次に提案先の購買者の属性情報と、各物品の最近の市況に関する市況情報とを取得する。そして、上述した
図10に示す連関度を利用し、新たに取得した
属性情報と市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案することになる。
【0073】
なお、購買対象の物品が決まっていない場合における、その購買対象物品の提案を行うとともに、その購買タイミングも提案する場合には、上述した参照用地域情報の代替として、
図11に示すように参照用業界情報を利用するようにしてもよい。
【0074】
参照用業界情報の例としては、提案先の法人の属する業界に関するあらゆる情報である。参照用業界情報は、その業界の歴史や、グローバル環境におけるその業界のポジション、業界としての成長性、商慣習、需給関係、KSF、KBF、その業界のビジネスモデル、カネやモノの流れ等の情報である。これらの参照用業界情報に関するデータの中には、実際に購買したい物品に関する情報が含まれている場合があり、そこから、その企業が常に購入が必要な物品を抽出することができる。
【0075】
かかる場合には、上述した参照用市況情報と、参照用業界情報の組み合わせの連関度に対する出力としての、購買対象物品及び購買タイミングからなるデータセットを学習させる。この購買タイミングは、各物品α~εについてのそれぞれ購買タイミングA~Eを取得しておく。その企業(個人)が必要としている物品については、参照用業界情報から抽出することができ、また個々の物品の価格については、参照用市況情報から抽出することができる。これらの参照用取引情報と参照用業界情報に対して、どの物品をどのタイミングで購入したかのデータを収集することで、上述した
図11に示す連関度を形成することができる。
【0076】
次に提案先の購買者の業界情報と、各物品の最近の市況に関する市況情報とを取得する。そして、上述した
図11に示す連関度を利用し、新たに取得した業界情報と市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案することになる。
【0077】
なお、購買対象の物品が決まっていない場合における、その購買対象物品の提案を行うとともに、その購買タイミングも提案する場合には、上述した参照用地域情報の代替として、
図11に示すように参照用業界情報を利用するようにしてもよい。
【0078】
参照用業界情報の例としては、提案先の法人の属する業界に関するあらゆる情報である。参照用業界情報は、その業界の歴史や、グローバル環境におけるその業界のポジション、業界としての成長性、商慣習、需給関係、KSF、KBF、その業界のビジネスモデル、カネやモノの流れ等の情報である。これらの参照用業界情報に関するデータの中には、実際に購買したい物品に関する情報が含まれている場合があり、そこから、その企業が常に購入が必要な物品を抽出することができる。
【0079】
かかる場合には、上述した参照用市況情報と、参照用業界情報の組み合わせの連関度に対する出力としての、購買対象物品及び購買タイミングからなるデータセットを学習させる。この購買タイミングは、各物品α~εについてのそれぞれ購買タイミングA~Eを取得しておく。その企業(個人)が必要としている物品については、参照用業界情報から抽出することができ、また個々の物品の価格については、参照用市況情報から抽出することができる。これらの参照用取引情報と参照用業界情報に対して、どの物品をどのタイミングで購入したかのデータを収集することで、上述した
図11に示す連関度を形成することができる。
【0080】
次に提案先の購買者の業界情報と、各物品の最近の市況に関する市況情報とを取得する。そして、上述した
図11に示す連関度を利用し、新たに取得した業界情報と市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案することになる。
【0081】
なお、購買対象の物品が決まっていない場合における、その購買対象物品の提案を行うとともに、その購買タイミングも提案する場合には、上述した参照用地域情報の代替として、
図12に示すように参照用外部環境情報を利用するようにしてもよい。
【0082】
参照用外部環境情報の例としては、外部環境情報に関する様々な情報である。ここでいう外部環境情報は、経済データ(GDP、雇用統計、鉱工業生産指数、設備投資、労働力調査等)、家計データ(家計消費状況調査、家計データ、1週間の平均就業時間、貯蓄額の統計データ、年収の統計データ等)、不動産データ(オフィス空室率、坪単価、賃料相場、地価、空き家データ等)、自然環境データ(災害データ、気温データ、降水量データ、風向きデータ、湿度データ等)に代表されるものである。外部環境情報は、これらのデータの一部、全部が反映されるもの以外に、その審査対象の企業の外部のあらゆる情報が含まれる。参照用外部環境情報は、外部環境自体を類型化しておくようにしてもよい。つまり
図12の参照用外部環境情報は類型別に分類した情報であってもよく、例えば、雇用統計におけるデータで区切ることで分類するようにしてもよい。また、パターン(例えば、GDPの伸び率が急激が、あるいは徐々に増加するか等のパターン)等により類型化されていてもよい。
【0083】
かかる場合には、上述した参照用市況情報と、参照外部環境情報の組み合わせの連関度に対する出力としての、購買対象物品及び購買タイミングからなるデータセットを学習させる。この購買タイミングは、各物品α~εについてのそれぞれ購買タイミングA~Eを取得しておく。その企業(個人)が必要としている物品については、参照用外部環境情報から抽出することができ、また個々の物品の価格については、参照用市況情報から抽出することができる。これらの参照用取引情報と参照用外部環境情報に対して、どの物品をどのタイミングで購入したかのデータを収集することで、上述した
図12に示す連関度を形成することができる。
【0084】
次に提案先の購買者の外部環境情報と、各物品の最近の市況に関する市況情報とを取得する。そして、上述した
図12に示す連関度を利用し、新たに取得した外部環境情報と市況情報とに基づき、購買すべき物品とその購買のタイミングを提案することになる。
【0085】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な物性や生成機構の探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した5段階以外に、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0086】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいて最も確からしい危険度を探索することで、危険性が高くなる可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように連関度の高い順にユーザに表示できれば、より確からしい危険度を優先的に表示することも可能となり、危険度が高くなることによる注意を促すこともできる。
【0087】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い出力判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0088】
また本発明は、
図13に示すように参照用情報Uと参照用情報Vという2種類以上の情報の組み合わせの連関度に基づいて判別するものである。この参照用情報U、Vが上述した参照用市況情報を始めとした各参照用情報である。
【0089】
このとき、
図13に示すように、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報U(参照用市況情報)について、
図3に示すように出力解を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での連関度を利用し、出力を探索するようにしてもよい。
【0090】
また、本発明では、得られた探索解に応じて自動的に購買発注先に対して物品を発注する機能が設けられていてもよい。つまり、上述した構成により、購買すべき物品とその購買のタイミングが提案された後、その提案された物品を、同じく提案されたタイミングで購買発注先に対して自動的に発注をかけるようにしてもよい。かかる場合には、制御部24による制御の下、各種サイトやメール、電話を介した既存の自動発注技術を利用して発注を行うようにしてもよい。
【0091】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な危険度を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0092】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また入力パラメータと、出力解(危険度)との関係性について新たな知見が発見された場合には、当該知見に応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0093】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0094】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報(参照用市況情報、参照用ロケーション情報、参照用在宅パターン情報、参照用時間情報、参照用音声情報、参照用警備サービス情報等)を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【0095】
この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 物品購買タイミング提案システム
2 判別装置
21 内部バス
23 表示部
24 制御部
25 操作部
26 通信部
27 推定部
28 記憶部
61 ノード