(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】スウェイ検知装置、及びスウェイ検知プログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
(21)【出願番号】P 2021074637
(22)【出願日】2021-04-27
(62)【分割の表示】P 2020011280の分割
【原出願日】2014-02-13
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】小川 智昭
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-525677(JP,A)
【文献】特開2004-024627(JP,A)
【文献】特開2013-027629(JP,A)
【文献】特開平06-015021(JP,A)
【文献】特開2009-125507(JP,A)
【文献】特開2009-279126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤホン又はヘッドホンの形状の装置であって、
頭部の動きを検知するためのセンサ部と、
ユーザに振動を与える振動部と、
を備え
前記頭部の動きを検知するセンサ部の出力に基づく測定結果が所定の基準を満たした場合に、前記振動部から振動を出力する制御を行う機能を備えた制御部を備えること
を特徴とするイヤホン又はヘッドホンの形状の装置。
【請求項2】
前記所定の基準は、ユーザの頭部の動きにかかる基準として基準記憶部に記憶しており、
前記制御部は、前記基準記憶部に記憶された所定の基準と、入力した前記センサ部の出力に基づく測定結果とを比較することにより、前記測定結果が前記所定の基準を満たしたか否かを判定する機能を備えること
を特徴とする請求項1に記載のイヤホン又はヘッドホンの形状の装置。
【請求項3】
音を出力する音出力部を備え、
前記制御部は、前記頭部の動きを検知するセンサの基づく値が所定の基準を満たした場合に、前記振動部から振動を出力する制御を行うとともに、前記音出力部から音を出力する制御を行うこと
を特徴とする請求項1または2に記載のイヤホン又はヘッドホンの形状の装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記測定結果を測定履歴として測定履歴記憶部に記憶する機能と、
前記測定履歴記憶部に記憶された前記測定履歴を他の装置に出力する機能とを備えること
を特徴とする請求項3に記載のイヤホン又はヘッドホンの形状の装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のイヤホン又はヘッドホンの形状の装置であって、
スポーツや競技の練習に使用される装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の装置の前記制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフを行うユーザのスウェイを検知する為の、スウェイ検知装置、スウェイ検知システム及びスウェイ検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのスイングにおいて、一般的にスイング時には頭の位置を固定し続けることが好ましい。すなわち、アドレス、バックスイング、トップ、ダウンスイング及びインパクトといった一連の動きの間、頭が上下左右及び前後に動かないことが好ましい。なぜならば、ゴルフスイングにおいて、スイング時に頭を上下左右に動かさない方が、ミート率を上げ、ショットの正確性が向上するからである。
【0003】
しかし、一般のゴルファーでショットが安定しない者の中には、スイング中に自身の頭が動いてしまい、ダフったりトップしたり、引っ掛けの原因になり、結果、ミート率を下げることになっているケースが多いと思われる。もっとも、頭がスイング中に動いているというのは、自分自身で気がつき難いもので、スイングでスウェイしてしまうような癖がついてしまうと、修正するのがとても大変である。
【0004】
また、一般ゴルファーの中には女性などの非力なユーザにおいて、ワザと少しスウェイしながら打つユーザもいると思われるが、それでも、あまり大きくスウェイしてしまうと、やはりミスショットに繋がる。
【0005】
しかしながら、スイング中に頭が動いているか否か、すなわちスウェイしたか否かということに、スイングしている者が自分自身で気付くのは困難である。
【0006】
そこで、通常は、(1)鏡を見ながらスイングする、(2)レッスンプロ等の第三者にスイングをチェックしてもらう、或いは、(3)ビデオカメラにて撮影し、撮影結果を見る、といった何れかの方法によりスイング中にスウェイしていないのかを確認する。
【0007】
また、スウェイを検知することによってゴルフスイングの練習を支援するような技術も存在する。このような技術の一例として、例えば特許文献1に記載の技術が挙げられる。特許文献1に記載の技術について説明する(特許文献1の特に
図2参照)。
【0008】
特許文献1に記載の技術では、ユーザの頭部に発光体2を取り付け、この発光体2の輝点位置をボックス4内部に設配された位置計測装置にて監視する。これによりインパクト時の輝点位置(すなわちインパクト時の頭の位置)が、アドレス時の輝点位置(すなわちアドレス時の頭の位置)からズレているか否かを判断することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実開平01-034073号公報
【文献】特開2012-165810号公報
【文献】特開2012-165811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の一般的な3つの方法や、特許文献1に記載の技術等によりスウェイをしているか否かの判断をすることが可能となる。
【0011】
しかしながら、これらの方法及び技術については種々の問題があった。それは、例えば下述するような問題である。
【0012】
上記した(1)鏡を見ながらスイングする、という方法については、全身が映るような鏡が設置されており、且つ、ゴルフスイングも行えるような場所は限られる。また、現実問題として普段のフォームを再現しながらスイング中にずっと鏡を見ていることは不可能である。従って、スイング中のいつの時点でスウェイが発生しているのかは分からないままとなる。
【0013】
また、上記した(2)レッスンプロ等の第三者にスイングをチェックしてもらう、という方法については、レッスンプロが常に身近にいるとは限らない。また、仮にレッスンプロがいた場合であっても、レッスンプロがスイング中にスウェイを発見し、且つ、同スイングが終了前にスウェイの発生を指摘することは困難である。そのため、スイング終了後にアドバイスを受けることはできても、スイング中にリアルタイムにスウェイの発生を知ることはできない。
【0014】
更に、上記した(3)ビデオカメラにて撮影し、撮影結果を見る、という方法についても、スイング終了後に撮影結果を見ることとなり、スイング中にリアルタイムにスウェイの発生を知ることはできない。
【0015】
また、特許文献1に記載されている技術においてもインパクト時のスウェイしか判定できず、バックスイング及びダウンスイング中のスウェイは検知できない。そのため、スイングの一連の動きの中のどの時点でスウェイが生じているのか分からない。また、スイング中にスウェイしていたとしてもインパクトの際に頭の位置が戻っていれば、このスイング中にスウェイが生じていること自体が分からない。
【0016】
このように、何れの方法及び技術を用いたとしても、スイングの最中には、スウェイの発生を検知することはできなかった。
【0017】
そこで、本発明は、スイングの最中であっても、スウェイが発生したことをユーザが検知することが可能な、スウェイ検知装置、スウェイ検知システム及びスウェイ検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の観点によれば、ユーザがスイングを行っている間のユーザの頭部の動きを測定し、少なくとも該測定の最中に、前記頭部の動きが所定の基準を満たした時点で所定の出力を行うことを特徴とするスウェイ検知装置が提供される。
【0019】
上記第1の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。引用文献1を含む一般的な技術は、スイング中に測定を行い、スイング終了後に測定結果を出力するという構成である。しかしながら、本発明であれば「少なくとも該測定の最中に」前記頭部の動きが所定の基準を満たした「時点で」出力するため、スイングの測定の最中、すなわちスイング中であっても出力が行われる。このため、スイング動作のどこで頭が動いてしまったのか、どこで頭の移動があったのかを出力することが可能となる。例えば、アドレスからテイクバックして、トップの位置にいくまでの間か、トップからインパクト、その後のフォロースルーの、どの段階で頭の移動があったのかが分かる、という有利な効果を奏する。
【0020】
ユーザの頭部の動きを測定は、例えばセンサ等の測定部をユーザの外部に設置し、例えばユーザの外部からユーザを観察することによって測定するようにしてもよい。例えば、ユーザの側面、背面、上面、前面等からカメラや、レーダーなどでユーザを観測するようにしてもよい。特にユーザの頭部を直接観測するようにセンサ等の測定部をユーザの外部に設置するとよい。さらに良い構成としては、ユーザの頭部の動きを測定する測定部を設置する構成である。ユーザの頭部の動きを直接的に測定できるからである。特に、所定の出力を行う出力部も頭部に設けるとよい。
【0021】
また、本発明の第2の観点によれば、前記所定の出力は、スイング中の前記ユーザが検知可能に行うと良い。
【0022】
上記第2の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。引用文献1を含む一般的な技術では、スイング終了後に測定結果を出力することを想定している。そのため、スイング中のユーザに出力されたことを伝えるという観点が欠落していた。本願発明であれば、スイング中のユーザが出力を検知可能なことから、ユーザは自分のスイングの問題点を体感することが可能となる。そのため、例えば、練習場などで、一人だけでもスイングを修正及び確認できるという有利な効果を奏する。構成としてはスイングに拘束されていないユーザの五感の少なくとも1つ以上で検知するようにすると良い。
【0023】
スウェイ検知装置がスウェイを検知すると、スウェイ検知装置からユーザがスイング中に拘束されていない感覚器官に対して何らかの出力をするようにすると良い。例えば、スウェイ検知装置がスウェイを検知すると、スウェイ検知装置から何らかの音を出力するようにすると良い。何故ならば、ユーザの聴覚はスイングに拘束されていないため、ユーザが音による出力を検知可能だからである。同様に、例えばスウェイ検知装置をユーザの耳等に装着し、スウェイ検知装置がスウェイを検知すると、スウェイ検知装置が振動するようにするのも良い。何故ならば、ユーザの耳の触覚はスイングに拘束されていないため、ユーザが振動による出力を検知可能だからである。また、例えば音の出力と振動とを組み合わせると良い。これにより、よりユーザがより確実に出力を検知できるからである。
【0024】
更に、本発明の第3の観点によれば、前記所定の出力は、前記頭部の動きが所定の基準を満たした都度行うと良い。
【0025】
上記第3の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。本発明は、スイング中のスウェイを検知して所定の出力をするものであるが、スウェイはスイング中に一度しか発生しないとは限らず、複数回発生する場合もあり得る。このような場合に一度しか出力が行われないのであれば、2回目以降のスウェイを検知(認知)できない。しかしながら、本発明であれば、所定の基準を満たした「都度」行われる、との記載から明らかなように複数回のスウェイが有ったとしても各スウェイが発生する都度出力が行われ、ユーザはその都度検知が可能となる。
【0026】
更に、本発明の第4の観点によれば、前記所定の基準とは、前記頭部の動きにかかる位置、速度及び加速度の何れか又はこれらのうちの2つ以上のものの組合せに関する基準であることを特徴とすると良い。
【0027】
上記第4の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。本発明は、速度及び加速度についても基準とすることにより多様な観点からスウェイの発生を検知する。例えば位置のズレのみを基準とするとともに、速度及び加速度についても基準とすると、多様な観点からスウェイの発生を検知できて良い。これにより、例えばそれほど位置はズレてはいないが、高速度や高加速度な急速なスウェイを検知することが可能となる。これによりユーザは位置がズレてはいないが練習により修正の対象とするべきであるようなスウェイが生じたことを検知できる。
【0028】
更に、本発明の第5の観点によれば、前記所定の基準を、過去のスイングに対する測定結果に基づいて決定及び修正の何れか又は双方をすることを特徴とすると良い。
【0029】
上記第5の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。スイング中のスウェイの程度(例えば、ブレ幅や速度等)については個人差が存在する。本発明では、過去のスイングの測定結果である測定履歴に基づいて所定の基準を決定及び修正の何れか又は双方をする。この際に、スウェイ検知装置を利用するその個人の測定履歴を用いることにより、この個人の癖に応じた適切な参照値を決定することが可能となる。これにより、各個人に適した所定の基準を設定することが容易となる。
【0030】
更に、本発明の第6の観点によれば、前記ユーザから、過去のスイングの何れかの選択を受け付け、選択された過去のスイングの測定結果に基づいて前記所定の基準を決定及び修正の何れか又は双方をすることを特徴とすると良い。
【0031】
上記第6の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。スウェイの程度には上述したように個人差が存在する。そのため、ユーザとなる各個人に合わせて所定の基準を決定及び修正の何れか又は双方をする必要があるが、これをユーザ本人が適切に設定するには何らかの客観的な指標があることが好ましい。そこで、本発明では過去に行った或る特定のスイングを選択し、この選択されたスイングの測定結果に基づいて基準を設定する。ユーザは、例えば過去のスイングのうちもっとも飛距離が出たと思われるスイングや、まっすぐ飛んだスイングや、ユーザがインストラクター等の第三者にチェックしてもらい適切だと判断されたスイングを選択する。すなわち、実際にボールに与えた結果や第三者の主観というそのユーザにとっての客観的な指標に基づいて、過去の自身のスイングのなかで理想的だと考えられるスイングを選択する。そして、この選択されたスイングに基づいて、所定の基準を設定する。例えば、選択されたスイングの測定値を所定の基準とすることにより、選択されたスイング時の動きから逸脱するとスウェイと検知されるようになる。これにより、この選択された理想的なスイングを再現するような練習を行うことが可能となる。また、例えば、理想的だと考えられるスイングに替えてあるいは理想的だと考えられるスイングとともに、スウェイが発生していると考えられるスイングも選択するようにしてもよい。例えば、理想的だと考えられるスイングとして選択されたスイングの頭部の移動量とスウェイが発生していると考えられるスイングの頭部の移動量との間で所定の基準を満たしたと判定する設定としてもよい。
【0032】
更に、本発明の第7の観点によれば、前記所定の条件を前記ユーザから受け付けた入力に基づいて決定及び修正の何れか又は双方をすると良い。
【0033】
上記第7の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。ユーザに任意の基準を設定させることが可能となる。また、一度設定した基準を修正させることができる。これにより例えばユーザの嗜好に準じてスウェイを検知する基準とすることが可能となる。
【0034】
更に、本発明の第8の観点によれば、頭部の移動距離の大きさ及び方向に関する測定値、前記頭部の移動速度の大きさ及び方向に関する測定値並びに前記頭部の移動加速度の大きさ及び方向に関する測定値の何れか1つ又はその2以上の組み合わせに基づいて、前記所定の基準が満たされたか否かを判断することを特徴とすると良い。
【0035】
上記第8の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。本発明では多様な測定値を用いて所定の条件に関する判断をする構成とすると良い。例えば、左右方向のスウェイの量よりも上下方向のスウェイの量の方が小さい値でも所定の基準を満たしたと判定する構成とするとよい。
これにより、スイングの練習という観点からは検知すべきスウェイであって或る測定値に基づいては検知できないスウェイが存在したとしても、他の測定値を利用することにより検知できる。
【0036】
更に、本発明の第9の観点によれば、前記所定の基準を三次元空間内の方向によって異ならせると良い。
【0037】
上記第9の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。例えば、移動距離の大きさにより判定を行うとした場合に、左右方向のスウェイはある程度許容しても良いが、上下方向のスウェイについては厳密に判定する構成とすると良い。例えば、全くスウェイしないという方が良いという方法論もあるが、このようにすれば例えば右方向へのスウェイはある程度許容するという方法論に対応できる。この場合右方向と左方向で参照値を異ならすようにすると良い。
【0038】
更に、本発明の第10の観点によれば、前記所定の基準をスイング中の或る時点と、該或る時点以外の他の時点で異ならせると良い。
【0039】
上記第10の観点により提供されるスウェイ検知装置であれば一連のスイング中に所定の基準を異なるものとすることが可能となる。例えば、スイング当初であるバックスイング中は比較的大きなスウェイが発生しにくいので基準を厳しくする、一方で、ダウンスイング中は比較的大きなスウェイが発生しやすいので基準を緩くする、というように判断する構成とすると良い。
【0040】
更に、本発明の第11の観点によれば、前記ユーザから、ユーザがスイングに使用するクラブの種別情報、ユーザの性別情報及びユーザの体格情報の少なくとも何れか1つについての入力を受け付け、受け付けた情報に基づいて前記所定の基準を異ならせるようにすると良い。
【0041】
上記第11の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。スイングに使用する使用クラブ、ユーザの性別及びユーザの体格等が相違するとスウェイの大きさが異なる傾向がある。そのため、これらスイングに使用する使用クラブ、ユーザの性別及びユーザの体格といった情報を入力させ、傾向に対応した所定の基準を設定することが可能となる。
【0042】
更に、本発明の第12の観点によれば、前記基準を複数設定し、満たした基準に応じて前記出力の内容を異なるものとするようにすると良い。
【0043】
上記第11の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。基準に応じて出力を異ならせることにより、出力を検知したユーザは、自身がどの基準を満たしてしまったことからスウェイが検知されたかを知ることが可能となる。例えば右に動いてしまったのか、左に動いてしまったのか、所定の速度以上の速度で動いてしまったのか、等が把握することが可能となる。
【0044】
更に、本発明の第13の観点によれば、前記スイング中に測定した前記ユーザの頭部の動きについて、測定時刻と測定時の動きを紐付けて記録しておく記録手段と、前記記録手段の記録内容に基づいて前記頭部の動きがスイング中の時系列に沿って把握できるように表示する表示手段と、を備えるようにすると良い。
【0045】
上記第13の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。本発明によれば、スイング中の或る時点についてのみ表示するのではなくスイング中の動きを時系列に沿って経時的に把握することが可能となる。これにより、ユーザはスイング中のどの段階でどのようにスウェイが発生しているのかを把握することが可能となる。
【0046】
更に、本発明の第14の観点によれば、前記ユーザの所定の動作を検知した場合に前記測定を開始するようにすると良い。
【0047】
上記第14の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。こうすることにより、必要がないときに測定を行ってしまうような事態を防止することが可能となる。
【0048】
更に、本発明の第15の観点によれば、前記ユーザがスイングに利用するクラブの移動速度及び前記クラブにより打ち出されるボールの移動速度の何れか又は双方に基づいてインパクトを検知し、このインパクトの検知に基づいて前記測定を終了するようにすると良い。
【0049】
上記第15の観点により提供されるスウェイ検知装置について説明する。インパクトの検知に基づいて自動的に測定を終了することが可能となる。
【0050】
更に、本発明の第16の観点によれば、ドップラーセンサから出射したマイクロ波を前記クラブ及び前記ボールの何れか又は双方に反射させ、反射波の周波数に基づいて前記クラブの移動速度及び前記ボールの移動速度の何れか又は双方を測定するようにすると良い。
【0051】
更に、本発明の第17の観点によれば、前記測定は、加速度センサを用いた測定であるようにすると良い。
【0052】
更に、本発明の第18の観点によれば、前記測定は、加速度センサ及びジャイロセンサを用いた測定を行う構成とすると良い。
【0053】
更に、本発明の第19の観点によれば、上記本発明の第1の観点乃至第18の観点の何れかにより提供されるスウェイ検知装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするスウェイ検知プログラムが提供される。
【0054】
上記第19の観点により提供されるスウェイ検知プログラムについて説明する。上記プログラムによっても、上記した本発明の第1の観点乃至第18の観点の何れかにより提供されるスウェイ検知装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、スイングの最中に、スウェイが発生したことをユーザが検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明の実施形態におけるスウェイ検知装置の基本的構成を表すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるスウェイ検知装置の基本的動作を表すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態における上位装置の基本的構成を表すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態における表示画面の一例を表すイメージ図である。
【
図5】本発明の実施形態における表示画面の他の一例を表すイメージ図である。
【
図6】リーディングエッジとゴルフボールとの関係について表すイメージ図である。
【
図7】本発明の実施形態におけるスウェイ検知装置の第1の他の構成を表すブロック図である。
【
図8】本発明の実施形態におけるスウェイ検知装置の第2の他の構成を表すブロック図である。
【
図9】本発明の別実施形態における表示画面の一例を表すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0058】
図1に示すように本実施形態であるスウェイ検知装置100は、音出力部101、操作受付部102、外部接続部103、振動部104、制御部105、センサ部106、検知基準記憶部107及び測定履歴記憶部108を含む。
【0059】
スウェイ検知装置100は、ユーザの動きをセンサ部106により監視し、監視結果に基づいてユーザがスウェイしたこと検知すると共に、スウェイを検知したことをユーザに伝達する装置である。以下の説明においては、本実施形態の一例としてスウェイ検知装置100をイヤホン又はヘッドホンの形状にて実現する。そして、ゴルフスイングを行うユーザの耳にスウェイ検知装置100を装着して使用する。
【0060】
音出力部101は、制御部105の制御に基づいてスウェイ発生時に音を出力する。ユーザは音出力部101から出力される音を聞くことによりスウェイが発生したことを認識することができる。以後、音出力部101から出力される音のことを説明の便宜上「スウェイ検知音」と呼ぶ。音出力部101は、一般的なイヤホンが備える、音の出力用の機構により実現する。
【0061】
操作受付部102はユーザからの操作を受け付ける部分である。操作受付部102は、例えば電源の投入及び遮断や音量の調整等の操作を受け付ける。
【0062】
外部接続部103は、スウェイ検知装置100が外部の機器と接続するためのインターフェースである。スウェイ検知装置100は、図示を省略しているバッテリにより駆動する。そして、このバッテリは外部接続部103を介して電源の供給を受け、充電を行う。また、外部接続部103は、外部の機器とのデータの送受信にも用いられる。
【0063】
振動部104は、制御部105の制御に基づいてスウェイ発生時に振動する。ユーザは振動部104による振動を感じることによりスウェイが発生したことを認識することができる。以後、振動部104により発生する振動を説明の便宜上「スウェイ検知振動」と呼ぶ。振動部104は例えば小型のモータにより実現する。
【0064】
制御部105は、スウェイ検知装置100全体を制御する制御部であり、制御部105が他の機能ブロックを制御することにより、以下で説明する種々の処理が実現される。具体的には、制御部105は演算処理装置を含んでおり、この演算処理装置が制御部105に含まれる記憶部又は他の記憶部に格納されている本実施形態特有のプログラムに基づいた演算処理を行い、演算結果に基づいて各ハードウェアを制御することによりスウェイ検知装置100は実現される。
【0065】
センサ部106は、スイング中のユーザの頭部の動きを測定し、測定結果を制御部105に出力する。センサ部106は、ユーザの頭部の角度や各速度を測定するジャイロスコープ(ジャイロセンサとも称される)や、ユーザの頭の加速度を測定する加速度センサ等のセンサ或いはこれらセンサの組み合わせにより実現される。
【0066】
検知基準記憶部107は、制御部105がユーザのスウェイが発生したと判断するための所定の基準であり「検知基準」を格納する。そして、センサ部106の測定結果がこの検知基準を満たした場合に、制御部105はユーザのスウェイが発生したと判断する。検知基準は、任意に設定することが可能であるが、例えば、ユーザの頭部の動きにかかる位置、速度及び加速度に基づいた基準とすることができる。
【0067】
測定履歴記憶部108は、センサ部106による測定結果を「測定履歴」として格納する。
【0068】
なお、センサ部106による測定対象の具体例及び検知基準の具体例並びに測定履歴の利用法、等については後述する。
【0069】
続いて、
図2のフローチャートを参照して本実施形態の動作について詳細に説明する。
【0070】
まず、操作受付部102がユーザから電源の投入或いは測定を開始する旨の指示を受け付ける。これによりスウェイ検知装置100の各部は起動し、センサ部106はユーザの頭部の動きについて測定を開始する(ステップS11)。
【0071】
測定が開始されるとセンサ部106はユーザの頭部の動きについて測定することにより得られる測定結果を制御部105に対して出力する。そして、制御部105はセンサ部106が出力した測定結果を入力し、制御部105に備えるRAMに記憶すると共に、検知基準記憶部107に格納されている検知基準と入力した測定結果とを比較することにより、測定結果が検知基準を満たしたか否かを判定する(ステップS12)。
【0072】
ここで、測定結果が検知基準を満たしている場合には(ステップS12においてYes)、ステップS13へ進む。
【0073】
ステップS13では、制御部105が音出力部101に対してスウェイ検知音の出力を指示する。同様に、制御部105が振動部104に対してスウェイ検知振動を発生させるように指示する。
【0074】
音出力部101は指示に応じてユーザに対してスウェイ検知音を出力する。また、振動部104も指示に応じてスウェイ検知信号を出力する(ステップS13)。ユーザは、これらスウェイ検知音やスウェイ検知振動を、スイングに拘束されていない五感である聴覚や耳周辺の触覚で検知する。これにより、ユーザは自身の頭部の動きがスウェイしたことを検知することが可能となる。
【0075】
一方、測定結果が検知基準を満たしていない場合には(ステップS12においてNo)、ステップS14へ進む。また、ステップS13終了後もステップS14へ進む。
【0076】
ステップS14では、ステップS11における測定の開始から所定の時間が経過したかを判定する。ここで、所定の時間の長さは任意に決定できるが、例えば一度のスイングを開始してから、このスイング終了するまでに充分な長さとする。例えば、1回のスイングを要するのに必要な一般的な時間としたり、1回の一連のスイングの練習に必要な時間としたりするとよい。またユーザが所定時間を選択または指定できるようにしてもよい。そして、所定時間が経過していないのであれば(ステップS14においてNo)、測定を継続しながら、再度ステップS12の判定を行う。
【0077】
一方で、所定時間が経過しているのであれば(ステップS14においてYes)、ステップS15の処理へ進む。
【0078】
ステップS15では、ステップS12で制御部105に備えるRAMに記憶された測定結果の履歴を測定履歴として測定履歴記憶部108に格納する。具体的には、今回のユーザのスイングについての測定内容と測定日時を紐付けて格納する。これにより、本実施形態の動作は終了する。
【0079】
続いて、本実施形態の奏する効果について説明する。
【0080】
以上説明した本実施形態は、スウェイの検知に基づいてユーザに対する出力が行われ、ユーザは、スイングに拘束されていない五感である聴覚や耳周辺の触覚で出力を検知する。これにより、ユーザはユーザ自身の頭部の動きがスウェイしたことを検知することが可能となる、という効果を奏する。
【0081】
また、ステップS12及びステップS13の処理はスイング中であるか否かを問うことなく行われるため、ユーザはスイング中であってもリアルタイムにスウェイの発生を検知できる、という効果を奏する。
【0082】
更に、ステップS12及びステップS13の処理は可能な限り迅速に行われるため、ユーザはスイング中のスウェイが発生した時点で即座にスウェイ発生を検知できる。そのため、自身のスイングのどの段階でスウェイが生じてしまったのかを知ることが可能となる。例えば、アドレスからテイクバックして、トップの位置にいくまでの間か、トップからインパクト、その後のフォロースルー、のどの段階でスウェイが生じてしまったのかを知ることができる、という効果を奏する。例えばステップS12のセンサ部106からの測定結果の入力と検知基準との比較は、遅くとも数十ミリ秒ごとに繰り返し実行されるように構成するとよい。
【0083】
続いて、上述した実施形態の変形例として、上述のスウェイ検知装置100と接続可能な上位装置である上位装置200と、上述のスウェイ検知装置100とを接続して利用する場合について説明する。
【0084】
まず、
図3を参照して上位装置200に含まれる機能ブロックについて説明する。
【0085】
図3に示すように上位装置200は、表示部201、外部接続部202、操作受付部203及び制御部204を含む。
【0086】
表示部201はユーザに対して情報を表示する部分であり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等により実現する。表示部201に表示される情報としては、例えばユーザが操作を行う際に参照するユーザインターフェースや、測定履歴をユーザが把握可能に表したものが例示できる。
【0087】
外部接続部202は、スウェイ検知装置100と上位装置200を接続するためのインターフェースである。スウェイ検知装置100と上位装置200は外部接続部103及び外部接続部202を介してデータを送受信する。
【0088】
操作受付部203は、ユーザからの操作を受け付ける部分である。
【0089】
制御部204は、上位装置200全体を制御する制御部であり、制御部204が他の機能ブロックを制御することにより、以下で説明する種々の処理が実現される。具体的には、制御部204は演算処理装置を含んでおり、この演算処理装置が制御部204内又は他の記憶部に格納されている本実施形態特有のプログラムに基づいた演算処理を行い、演算結果に基づいて各ハードウェアを制御することにより上位装置200は実現される。
【0090】
次に、表示部201にて表示される内容の一例について
図4を参照して説明する。
【0091】
スウェイ検知装置100の測定履歴記憶部108には、過去のスイングについてスイング中の各時点での頭部の位置、速度及び加速度等が時系列に沿って測定履歴として記憶されている。上位装置200はこの測定履歴をスウェイ検知装置100より外部接続部103及び外部接続部202を介して取得する。そして、測定履歴に基づいてスイング中のユーザの頭部の動きを表示する。
【0092】
図4に示すように表示部201の左側にはユーザを上から見た状態を表すイメージ図を表示する。そして、ユーザを表すこのイメージ図の上に各方向についてのスイング中のユーザの頭部の動きを矢印にて表示する。また、矢印の長さはユーザの頭部の動きの大きさに対応している。各方向の矢印の長さは、例えば、測定履歴の中で基準位置から最大の移動量を示している値を探索して決定するとよい。基準位置はクラブを構えた時の位置とするとよく、例えば履歴の中で一定時間動きがなかった位置(所定の微量に収まっている位置)とするとよい。
【0093】
本例でいえば、ユーザの頭頂部を中央とし、更にユーザの正面を上側とした場合に、ユーザの頭部は中央から右側の方向について最も大きく動いていることが分かる。また、右斜め前や右斜め後ろの方向についてはユーザの頭部は動かなかったことが分かる。また、
図4に示すように表示部201の右側にはユーザを横から見た状態を表すイメージ図を表示する。そして、
図4の左側の図と同様に、ユーザを表すイメージ図の上にはユーザの頭部の動きが矢印にて表されている。本例でいえば、ユーザの頭部を基準とし、天頂方向を上側、天床方向を下側とした場合に、ユーザの頭部は下側よりも上側に大きく動いていることが分かる。また、矢印の長さはユーザの頭部の動きの大きさに対応するものとなっている。
【0094】
ユーザは、表示部201に表示されるこのようなイメージ図を参照することにより、自身の頭部がどのようにスウェイしているのかを視覚的に把握することが可能となる。なお例えばスイング中に比較的高速度で動いた方向に関しては矢印を太くし、比較的低速度で動いた方向に関しては矢印を細くするようにするのも良い。また、例えば速度に応じて矢印の色を変えるようにするのも良い。
【0095】
続いて、
図5を参照して表示部201における表示情報の他の例について説明する。
【0096】
図5に示されるように、
図4と同様にユーザを上から見た状態を表すイメージ図及び横から見た状態を表すイメージ図を表示する。もっとも、
図5ではユーザの頭部の動きを表す表示として、スイングの時系列に沿った動きの軌跡が示されている点において
図4と異なる。
図5ではスイング開始時の頭部の位置からスイング終了時の頭部の位置への動きが1本の矢印にて表されている。上から見た動きを例にとって説明すると、スイングに伴い、頭部は一度右側に移動し、その後左側に移動したことが分かる。また、スイングに伴い、ユーザの頭部は前方にもやや移動したことが分かる。矢印の色や太さを変えるようにしても良い点は
図4に表される例と同様である。また、
図4と
図5の表示は、切り替える切替ボタン等で切り替えられるようにするとよい。あるいは、
図4の表示を画面の上側、
図5の表示を画面の下側に行うなど、
図4の表示と
図5の表示を同時に行うようにしてもよい。
【0097】
なお、測定履歴記憶部108に格納される測定履歴は直近の1回のスイングについてのみとしても良いが、複数回のスイングについて格納するようにすると良い。この場合は、操作受付部203にてユーザの操作を受け付け、この操作に伴い表示対象とするスイングを切り替えるようにすると良い。
【0098】
また、複数回のスイングの動きについて同時に画面に表示するようにするのも良い。こうすることにより、例えば過去の或る好ましいスイング(例えば、飛距離が出たスイングやボールがまっすぐ飛んだスイング)時の頭部の動きと、今回のスイングの頭部の動きを比較するようなことが可能となる。ユーザはこの画面を参照することにより、どのように動けば過去の或る好ましいスイングと同じようにスイングができたのか等を把握することが可能となる。なお、この表示した複数回のスイングの動きの中から、後述する検知基準の決定に用いるスイングを指定する構成としてもよい。
【0099】
このように表示部201を備えた上位装置200をスウェイ検知装置100に接続することにより、スイング中の頭の動きを視覚的に認識できるという効果を奏する。
【0100】
次に、センサ部106による測定値の具体例及び検知基準の具体例について説明する。
【0101】
センサ部106による測定する対象としては、例えばユーザの頭部の移動距離の大きさ及び方向に関する測定値、ユーザの頭部の移動速度の大きさ及び方向に関する測定値並びにユーザの頭部の移動加速度の大きさ及び方向に関する測定値等が例示できる。
【0102】
また検知基準についての具体的な例としては、ユーザの頭部の動きの移動距離について閾値を設定することが挙げられる。また、ユーザの頭部の移動速度について閾値を設定することが挙げられる。更に、ユーザの頭部の加速度について閾値を設定することが挙げられる。
【0103】
そしてステップS12では、センサ部106の測定結果がこれらの閾値を超えた場合に基準を満たしたと判断するようにする。なお、センサ部106の測定結果が所定の時間の長さこれらの閾値を超え続けた場合に基準を満たしたと判断するようにしてもよい。所定の時間は、例えば一般的にスウェイが発生したとみなせる時間とするとよい。例えば200ms以上続いた場合などとするとよい。また、何れか1つの閾値を超えた場合又は何れか1つの閾値を超え続けた場合に基準を満たしたと判断しても良いが、複数の閾値を超えた場合又は複数の閾値を超え続けた場合に基準を満たしたと判断するようにするのも良い。
【0104】
また、測定値そのものではなく所定の時間の間の測定値の積算値が閾値を超える場合に基準を満たしたと判断するようにするのも良い。
【0105】
更に、方向を考慮するようにするのも良い。この場合は、例えば、或る方向についてのセンサ部106の測定結果そのもの又はその測定結果の積算値が閾値を超えた場合に基準を満たしたと判断するようにすれば良い。
【0106】
一例を挙げると、一般的にボールを飛ばす方向に対するスウェイは小さく、その逆方向へのスウェイが大きくなるという傾向がある。例えばユーザの左足方向にボールを飛ばすのであればユーザの頭部は右足方向に大きくスウェイする。そのため、ユーザの右足方向についての閾値を左足方向についての閾値よりも大きなものとするようにするのも良い。また、例えばスイング開始時よりもスイングの途中の方がスウェイが大きくなるような傾向があるのであれば、スイング開示時の閾値を小さく設定し、スイング開始から所定時間経過後は閾値を大きく設定するようにすると良い。
【0107】
次に、スウェイを検知する検知基準を設定する際の目安について
図6を参照して具体的に説明する。
図6はゴルフスイングのインパクト時の状態を表す図であり、ゴルフクラブ301及びゴルフボール302を図示している。
【0108】
ここで、一般的なゴルフボールの直径は、42.67mm程度である。そのため、アイアンなどのゴルフクラブ301でゴルフボール302を打つ時には、ホールを地面に置いた状態で、地面から約20mm以内に、アイアンなどのゴルフクラブ301のリーディングエッジを入れる必要がある。そして、この20mmの範囲内でのゴルフクラブ301の上下動で、トップしたり、ダフったりしゴルフボール302を適切に飛ばすことができなくなる。そのため、少なくともこの20mmの範囲内での上下動につながるスウェイを検知できる精度で検知基準を設定するようにすると良い。例えば5mm程度の上下動につながるスウェイを検知できる精度で検知基準を設定するようにすると良い。
【0109】
次に、検知基準記憶部107に格納する検知基準の決定及び修正時の操作について説明する。
【0110】
検知基準は予め設定されているようにしても良い。もっとも、スウェイの大きさには個人差が存在する。また、同一人であってもスイングが上達するに従いスウェイが小さくなると考えられる。そこで、検知基準をユーザにより決定及び修正できるようにすると良い。
【0111】
例えば、操作受付部203によってユーザの操作を受け付けて、この操作に応じて検知基準を修正可能なようにすると良い。具体例としては、スウェイが頻繁に検出されるような場合にユーザからの操作を受け付け、検知基準である閾値を大きな値に修正するようなことが考えられる。また、ユーザが上達し、スウェイが殆ど検知されなくなった場合に、ユーザからの操作を受け付け、検知基準である閾値を小さな値に修正するようなことが考えられる。
【0112】
また、例えば他にも、ユーザの操作受付を契機とするのではなく、スウェイの検出状況等に基づいて検知基準である閾値を自動的に修正するようにするのも良い。例えば、スウェイが発生したスイングが所定回数となった場合には閾値を大きな値へと修正し、スウェイが発生しなかったスイングが所定回数となった場合には閾値を小さな値へと修正するようにすると良い。
【0113】
また、ユーザからスイングに関係する種々の情報を受け付け、この情報に基づいて検知基準を決定するようにするのも良い。種々の情報としては例えば、ユーザがスイングに使用するクラブの種別情報、ユーザの性別情報及びユーザの体格情報が例示できる。より詳細に説明すると、例えばアイアン利用時のスイングとドライバー利用時のスイングを比較するとドライバー利用時のスイングの方がスウェイが大きくなりやすいと考える。そのため、例えばドライバーを利用してスイングを行う旨をユーザから受け付けると、アイアンを利用してスイングを行う旨をユーザから受け付けた場合よりも閾値を大きな値とするようにすると良い。
【0114】
また、例えば体格の大きな者の方が、体格の小さな者に比べスウェイが大きくなりやすい傾向があると考えられるので、これに応じて閾値を決定するようにするのも良い。また、一般的に女性の方が男性よりも非力であることから、女性の方が男性よりもスウェイが大きくなりやすい傾向があると考えられる。そのため性別を選択する入力を受け付け、女性の方が男性よりも閾値が大きくなるようにするのも良い。これらの設定は上位装置200の表示部201に設定画面を表示し、操作受付部203からの入力指示にしたがって設定内容を決定、修正する構成としてもよい。この場合、設定内容は外部接続部202及び外部接続部103を介してスウェイ検知装置100へ転送する構成とするとよい。スウェイ検知装置100はこのように上位装置200から転送された設定内容にしたがって処理を行う構成とするとよい。
【0115】
次に、ユーザのスイングの開始及び終了の検出について説明する。
【0116】
仮にユーザのスイングの開始及び終了を検出することなく、常時測定をするようにした場合、ユーザがスウェイ検出装置100を付けたままで、歩き回ったりすると、スイングしていないときに、スウェイ検出音が鳴ってしまうようなことが考えられる。そこで、上述の実施形態ではステップS11においてユーザの操作を受け付けたことを契機として測定を開始していた。また、ステップS14において所定時間が経過したことを契機として測定を終了していた。しかし、これを変形し自動的にスイングの開始を検出して測定を開始できるとなお良い。また、自動的にスイングの終了を検出して測定を終了できるとなお良い。
【0117】
ここで一般的なゴルフのスイングにおいて、ユーザの頭部はアドレスに入ってから、最低限クラブフェースとボールのインパクトの瞬間まで動かなければ良いと考えられる。そこで、少なくとも、アドレスに入ってからインパクトの瞬間までの間のユーザの頭部の動きを監視することが望ましい。よって、以下の説明においては、アドレスに入ったことと、インパクトの瞬間を検出する。そして、アドレスに入ったことを検出した時点でスウェイ検知装置100による測定を開始する。また、インパクトの瞬間を検出した以後は、それ以上のスイングの測定は必要ないと考えられるので、スウェイ検知装置100にて、スイングの測定を終了し、頭部の動き監視を停止する。なお、スイングの方法論としてフォロースルーに入って暫くは、頭を動かさない方が良いという考え方もある。この考え方に則る場合には、インパクトの瞬間を検出後、所定の時間の長さは測定を継続することによって、フォロースルーに入って暫くの間の頭部の動きを監視するようにすると良い。
【0118】
次に、アドレスに入ったこと及びインパクトの瞬間を検出するための具体的な構成の例を3つ説明する。
【0119】
まず、第1の構成について
図7を参照して説明する。
図7に示すように本構成では、上位装置200が
図3の構成に加えて更に映像取得部205、画像認識部206及び通知部207を含む。映像取得部205は、動画を撮影する機能を有する。また、画像認識部206は画像認識を行う機能を有する。通知部207はユーザに対して通知を行う機能を含む。
【0120】
そして、この映像取得部205でスイングを行うユーザの映像を撮影し、画像認識部206による画像認識によってその映像からアドレスに入ったこと及びインパクトの瞬間までを判断する。
【0121】
また、画像認識部206でアドレスに入ったことが認識すると上位装置200の制御部204は、スウェイ検知装置100に対して外部接続部202及び外部接続部103を介してスイング開始された旨を表す信号を送る。このスイング開始された旨を表す信号を受信した制御部105はセンサ部106を起動し、ユーザの頭の動きの監視を開始する(ステップS11に相当)。この点、上位装置200の画像認識部206がアドレス認識前、すなわち測定開始前にユーザのスイングが実行されてしまうとことを防止する必要がある。そこで、例えば上位装置200の通知部207にてアドレスを認識した旨をユーザに通知するようにすると良い。例えば、通知部207をLED(Light Emitting Diode)等により実現する。そして、上位装置200の画像認識部206にてアドレスを認識終了すると同時に、通知部207を点灯させる。ユーザは、この通知部207の点灯を見てから、テイクバックを開始するようにする。これにより、測定開始前にスイングが行われてしまうような事態が防止できる。また、上位装置200の画像認識部206にてアドレスを認識終了した際に、スウェイ検知装置100の音出力部101や振動部104による音や振動の出力を行うことによりアドレスに入ったことを認識した旨をユーザに通知するようにするのも良い。そして、ユーザは通知を受けた後にテイクバックを開始するようにすれば良い。
【0122】
また、上位装置200の画像認識部206でインパクトの瞬間が認識できると上位装置200の制御部204は、スウェイ検知装置100に対して外部接続部202及び外部接続部103を介してインパクトが終了した旨を表す信号を送る。このインパクトが終了した旨を表す信号を受信した制御部105はセンサ部106による測定を終了する(ステップS14にてYesに相当)。これにより、スイング中の一連の動きを測定することが可能となる。
【0123】
次に、第2の構成について
図8を参照して説明する。
図8に示すように本構成では、上位装置200は
図3の構成に加えて更に人感センサ208を含む。人感センサ208は赤外線や超音波を利用してユーザの所在を検知するためのセンサである。
【0124】
本構成を利用する場合には、ユーザがスイングを行う場所の前に上位装置200を設置しておく。そして、人感センサ208にて上位装置200の前にユーザがいることを検出すると、上位装置200の制御部204は、スウェイ検知装置100に対して外部接続部202及び外部接続部103を介して上位装置200の前にユーザがいる旨を表す信号を送る。
【0125】
スウェイ検知装置100では、この上位装置200の前にユーザがいる旨を表す信号を受信すると、プレーモードとなる。そして、このプレーモード中にユーザのアドレス姿勢と思われる傾き状態(例えば、2秒間の同じ姿勢の保持)を検出すると、アドレスに入ったと認識し、頭の移動の監視を開始する(ステップS11)。
【0126】
そして、人感センサ208にて上位装置200の前から、ユーザがいなくなったことを検出すると、上位装置200の制御部204は、スウェイ検知装置100に対して外部接続部202及び外部接続部103を介して上位装置200の前のユーザがいなくなった旨を表す信号を送る。スウェイ検知装置100では、この上位装置200の前からユーザがいなくなった旨を表す信号を受信すると、プレーモードをオフとすると共に測定を終了する(ステップS14にてYesに相当)。
【0127】
更に、第3の構成として、特許文献2や特許文献3に記載されているようなスイングに関する測定を行う機器と上位装置200を組み合わせるという構成や、上位装置200にスイングに関する測定を行う機能を更に追加するという構成が考えられる。
【0128】
ここで、これらの引用文献に記載された機器ではドップラーセンサから出射したマイクロ波をクラブ及びボールの何れか又は双方に反射させ、反射波の周波数を解析することにより測定を行っている。
【0129】
具体的には、クラブヘッドにより打ち出されたボールのボールスピードや、クラブヘッドのヘッドスピードを測定している。
【0130】
そしてこのような測定機器を利用すれば、測定したヘッドスピードがほぼゼロとなった瞬間にアドレスに入ったと判断することができる。更に、測定したヘッドスピード又はボールスピードの何れか一方又は双方の変化からインパクトの瞬間を検出することができる。従って、これらの判断及び検出に基づいてスウェイ検知装置100の測定を開始及び終了することによりスイング中の一連の動きを測定することが可能となる。
【0131】
また、引用文献に記載された機器を利用すれば測定したヘッドスピード又はボールスピードの何れか一方から推定飛距離を導き出すことができる。そこで、ヘッドスピード、ボールスピード及び推定飛距離を表示するようにすると良い。ユーザはこれらの情報を参照することにより例えば、推定飛距離が長い際の頭部の動きと、推定飛距離が短いときの頭部の動きとを比較するようなことが可能となる。
【0132】
更に、他の方法として、構成を変形するのではなく、センサ部106による測定値の変化に基づいてスイングの終了を判断するようにするのも良い。例えば、フォロースルー終了時点にて頭の動きが一度止まると考えられるので、速度測定中に速度がそれまでと比べて著しく遅くなった場合にスイングが終了したと判断するようにしても良い。
【0133】
なお、何れの方法によりアドレス姿勢を検出する場合にも共通することだが、アドレス姿勢の検出で、あまり時間を掛けてしまうと、ユーザがテイクバックするタイミングが取り辛くなったり、体が硬直してきて、スムーズなスイングができなくなることが考えられる。そのため、可能な限り時間を掛けない方法にてアドレス姿勢を検出することが好ましい。
【0134】
以上説明した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0135】
例えば、上述の説明においてはスウェイ検知装置100をイヤホン形状の装置により実現した。しかし、これは一実現例に過ぎず他の形状を採用するようにしても良い。特にユーザの頭部に装着できる形状とするとよい。例えば、ヘッドホン形状、メガネ型、髪留型、カチューシャ型、鉢巻型、帽子型、イヤリング型などの形状とするとよい。
【0136】
更に、スウェイ検知装置100の各機能ブロックを単一の装置で実現するのではなく複数の装置により実現するようにしても良い。例えば、イヤホン形状の第1の装置にセンサ部106を設け、測定結果を他の第2の装置に送信するようにすると良い。そして、第2の装置に制御部105、検知基準記憶部107を設け、第2の装置がスウェイの検知を行い、第2の装置の指示に基づいて第1の装置に設けられた音出力部101や振動部104にスウェイ検知音やスウェイ検知振動を出力させるようにすると良い。これにより、第1の装置を小型化することも可能となる。
【0137】
また、上述の説明ではスウェイ検知音とスウェイ検知振動の双方を出力していたが何れか一方を出力するようするのも良い。これにより、音出力部101及び振動部104の何れかのみを備えれば足りることとなる。また、ユーザがスイング中に拘束されていない五感に対して働きかける出力であれば音や振動以外の方法にてスウェイの検知を出力するようにするのも良い。
【0138】
また、複数種類の通知方法を使い分けるようすると良い。例えばスウェイ検知音を音程や、音を鳴らす長さを異ならせることにより複数用意する。そして、複数の検知基準それぞれ毎に異なる出力を対応付けておく。こうすることによりスウェイ検知音を聞いた際にどの検知基準を満たしてしまったのかをユーザが把握することが可能となる。例えば左右方向のスウェイが発生した際のスウェイ検知音と、上下方向のスウェイが発生した際のスウェイ検知音とを異ならせておくことにより、ユーザは、ユーザ自身の頭部が上下方向にスウェイしたのか、左右方向にスウェイしたのかを把握することが可能となる。
【0139】
また、外部接続部103と外部接続部302を介したデータの送受信は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等の規格に基づいたケーブルを介して有線通信により行うようにすると良い。更に、外部接続部103と外部接続部302を無線通信用のモジュールにて実現し、無線通信にてデータの送受信を行うようにすると特に良い。このようにすればユーザの身体の動きの自由度が高まりスイングの邪魔になりにくくなる。また、上位装置200の設置の自由度を高めることができる。
【0140】
また、
図2に表されるように本実施形態は所定時間経過前或いはインパクトの瞬間の検出前であれば、検知基準が満たされる度に出力が行われる。つまり、1回のスイング中に複数回の出力があり得ることを想定しているが、出力が頻発するとスイング中のどの段階でスウェイが生じたのかを認識しにくい場合も有り得る。そこで、一度のスイングでの出力回数を、例えば1度だけ、2度だけというように所定回数以下とするようにするのも良い。このような構成とする場合には、ステップS13の後に、出力した回数が所定回数以下であるのかを確認するステップを更に設け、所定回数を超えているのであればステップS14の判断を行うことなくステップS15に進むようにすれば良い。これにより、出力のユーザによる検知の確実性が向上する。
【0141】
また、上述の実施形態では測定履歴を利用していたが、測定履歴を利用はすることなくスウェイ検知を行う装置とするのも良い。このような構成とする場合には、測定履歴記憶部108を省略することが可能となる。また、ステップS15の処理も不要となる。また、測定履歴記憶部108は上位装置300に設けられるようにしても良い。
【0142】
なお、上述の説明においては、本実施形態をもっぱらゴルフのスイング時のスウェイの検知に利用していたが、これ以外の他の用途に本実施形態を利用するようにしても良い。例えば、ゴルフ以外のスポーツや、ビリヤード等の競技等であって、頭部を動かすことなく所定の動作を行う状況が発生するものの練習等の用途に本実施形態を利用することができる。
【0143】
なお、上記のスウェイ検知装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のスウェイ検知装置により行なわれる通信方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。例えば、一部の処理を通信回線を介して接続されたサーバ等の外部の装置で実行するようにしてもよい。
【0144】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0145】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0146】
100 スウェイ検知装置
101 音出力部
102、203 操作受付部
103、202 外部接続部
104 振動部
105、204 制御部
106 センサ部
107 検知基準記憶部
108 測定履歴記憶部
200 上位装置
201 表示部
205 映像取得部
206 画像認識部
207 通知部
208 人感センサ