(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】外科手術装置用の力センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20220815BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61B17/115
G01L5/00 Z
(21)【出願番号】P 2017161071
(22)【出願日】2017-08-24
【審査請求日】2020-07-09
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アントニー スグロイ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5313022(US,A)
【文献】英国特許出願公開第2465977(GB,A)
【文献】特開平9-52134(JP,A)
【文献】国際公開第2015/195660(WO,A1)
【文献】特開2015-153591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374449(US,A1)
【文献】国際公開第2016/072107(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0041166(US,A1)
【文献】特開2007-290096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0301525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 18/28
G01L 1/00 ― 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位部分及び遠位部分を含む基板であって、前記遠位部分が、間に延在する開口を介して遠位面と流体連通する近位対向面を含み、前記遠位面が遠位荷重接触領域及び検知領域を有する、基板と、
前記基板の前記遠位面の前記検知領域に取り付けられた複数の検知素子と、
前記基板の前記遠位面に溶接された遠位板であって、前記遠位板と前記基板の前記遠位面との間で前記複数の検知素子を気密封止しており、前記遠位板は、前記複数の検知素子と前記基板の前記遠位部分を通して画定された前記開口とを覆って配置されている、遠位板と、
複数の導電ピンを含むピンブロック組立体であって、前記ピンブロック組立体は、前記基板の前記遠位部分の前記近位対向面に溶接され、前記ピンブロック組立体と前記基板との間で前記複数の導電ピンの遠位端を気密封止しており、前記遠位板と前記基板の前記遠位面との間の前記複数の検知素子と前記基板の前記近位対向面とを気密封止しており、前記ピンブロック組立体の内側から前記開口を通した前記複数の検知素子へのワイヤの接続を可能にする、ピンブロック組立体と
を備える、
外科手術装置のアダプタ組立体のための力センサ。
【請求項2】
前記複数の検知素子が、歪みゲージである、請求項1に記載の力センサ。
【請求項3】
前記基板の前記近位及び遠位部分が、互いに対して段差付きであり、前記遠位部分の前記近位対向面が、前記近位部分の側から横方向に延在している、請求項1に記載の力センサ。
【請求項4】
前記基板が、前記基板の前記近位及び遠位部分を通して画定された中心穴を含む、請求項1に記載の力センサ。
【請求項5】
前記基板の前記遠位面が、前記基板の前記中心穴の周りに延在する遠位延在フランジを含み、前記遠位板が、略平面の端壁及び近位延在フランジを含み、前記遠位板の前記端壁と前記基板の前記遠位面との間に空間が画定されている、請求項4に記載の力センサ。
【請求項6】
前記ピンブロック組立体が、複数のガラス基板と、複数の開口が中を通って画定されたピンブロックハウジングとをさらに含み、前記複数の導電ピンの各ピンが、前記ピンブロックハウジングの前記複数の開口のうちのある開口内に配置された前記複数のガラス基板のうちの1つを通して延在している、請求項1に記載の力センサ。
【請求項7】
前記ピンブロックハウジングが、ピンブロックカバー内に収容され、前記複数の導電ピンの前記遠位端が、前記ピンブロックカバー内に配置され、かつ前記複数の検知素子に電気的に連結されている、請求項6に記載の力センサ。
【請求項8】
前記ピンブロック組立体の前記複数の導電ピンの近位端が、前記ピンブロックカバーから近位に延出している、請求項7に記載の力センサ。
【請求項9】
前記基板の前記遠位面が、その中に画定された空洞を含み、前記複数の検知素子が、前記空洞内に配置され、前記遠位板が、前記空洞を覆って前記基板の前記遠位面に溶接されている、請求項1に記載の力センサ。
【請求項10】
前記基板が、前記基板の前記近位部分と前記遠位部分との間に形成されたリリーフカットを含む、請求項1に記載の力センサ。
【請求項11】
前記基板が、その側面内に画定された孔を含む、請求項1に記載の力センサ。
【請求項12】
ハンドル組立板と、
エンドエフェクタと、
前記ハンドル組立体及び前記エンドエフェクタを選択的に相互接続するアダプタ組立体と
を備え、前記アダプタ組立体が、コネクタハウジングと、トロッカー接続ハウジングと、前記コネクタハウジングと前記トロッカー接続ハウジングとの間に配置された力センサとを含み、前記力センサが、
近位部分及び遠位部分を含む基板であって、前記遠位部分が、間に延在する開口を介して遠位面と流体連通する近位対向面を含み、前記遠位面が遠位荷重接触領域及び検知領域を有する、基板と、
前記基板の前記遠位面の前記検知領域に取り付けられた複数の検知素子と、
前記基板の前記遠位面に溶接された遠位板であって、前記遠位板と前記基板の前記遠位面との間で前記複数の検知素子を気密封止している、遠位板と、
複数の導電ピンを含むピンブロック組立体であって、前記基板の前記遠位部分の前記近位対向面に溶接され、前記ピンブロック組立体と前記基板との間で前記複数の導電ピンの遠位端を気密封止している、ピンブロック組立体と
を含む、外科手術装置。
【請求項13】
前記力センサの前記遠位面の前記遠位荷重接触領域が、前記コネクタハウジングとインターフェースで接続し、前記力センサの前記近位部分が、前記トロッカー接続ハウジングとインターフェースで接続する近位荷重接触領域を有する近位面を含む、請求項12に記載の外科手術装置。
【請求項14】
前記力センサの前記複数の検知素子が、歪みゲージである、請求項12に記載の外科手術装置。
【請求項15】
前記力センサが、前記基板の前記近位及び遠位部分を通して画定された中心穴を含む、請求項12に記載の外科手術装置。
【請求項16】
前記力センサの前記遠位部分の前記遠位面が、前記基板の前記中心穴の周りに延在する遠位延在フランジを含み、前記遠位板が、略平面の端壁及び近位延在フランジを含み、前記遠位板の前記端壁と前記基板の前記遠位面との間に空間が画定されている、請求項15に記載の外科手術装置。
【請求項17】
前記力センサの前記ピンブロック組立体が、複数のガラス基板と、複数の開口が中を通って画定されたピンブロックハウジングとをさらに含み、前記複数の導電ピンの各ピンが、前記ピンブロックハウジングの前記複数の開口のうちのある開口内に配置された前記複数のガラス基板のうちの1つを通して延在している、請求項12に記載の外科手術装置。
【請求項18】
前記ピンブロックハウジングが、ピンブロックカバー内に収容され、前記複数の導電ピンの前記遠位端が、前記ピンブロックカバー内に配置され、かつ前記複数の検知素子に電気的に連結されている、請求項17に記載の外科手術装置。
【請求項19】
前記ピンブロック組立体の前記複数の導電ピンの近位端が、前記ピンブロックカバーから近位に延出している、請求項18に記載の外科手術装置。
【請求項20】
前記力センサの前記遠位部分の前記遠位面が、その中に画定された空洞を含み、前記複数の検知素子が、前記空洞内に配置され、前記遠位板が、前記空洞を覆って前記基板の前記遠位面に溶接されている、請求項12に記載の外科手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年9月8日に出願された米国特許仮出願第62/384,878号の利益及び優先権を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、外科手術装置に関する。より具体的には、本開示は、電動外科手術装置用の力センサに関する。
【背景技術】
【0003】
力センサは知られており、これらの種類のセンサを製作する複数の方法がある。一方法において、センサは、荷重経路内の屈曲基板に接着された結合歪みゲージを利用する。例えば、荷重経路と一体的に使用される単純に支持された鋼製梁は、梁上に取り付けられた歪みゲージを有し得る。歪みゲージは、ホイートストーンブリッジ回路構成に組み込まれ、励起電圧を含む。回路は、偏向前(すなわち、荷重がない)にバランスをとるように設計され、回路は、ゼロ荷重での抵抗を有する。載荷中に、梁が偏向し、歪みゲージが抵抗変化を生成する。この抵抗変化は、信号条件を用いて梁に課された力値へと変換され得る信号である。構成の型(例えば、クオーターブリッジ、ハーフブリッジ、フルブリッジ)に応じて、信号は異なり、課された実際の力を得るための較正を必要とする。
【0004】
いくつかの歪みゲージは、フィルムに埋め込まれた結合NiCr(ニッケル-クロムまたはニクロム)ワイヤ経路を含む薄いプラスチックフィルムを組み込む。フィルムが梁に結合され、梁が偏向されたとき、NiCrワイヤはまた、ワイヤの変形を生じる曲げを被る。ワイヤの変形により、上に記載された電気抵抗の変化が生じる。
【0005】
屈曲基板は、弾性領域で弾性的に変形するように構成されなければならない。基板が永久的な変形を被る事例において、歪みゲージの検知ワイヤは、変形された状態で拘束される。これにより、センサのその後の不正確な読み取りが生じる。
【0006】
はんだ接続は、典型的に、歪みゲージ回路内で利用され、歪みゲージのワイヤ経路は一対のはんだパッドで終結する。レーザ溶接、接触パッドへのワイヤの機械的力の適用等の他の接続がまた使用される。
【0007】
はんだ接続は、高歪の領域で接続がなされた場合に起こり得る不具合を被りやすい。かかる歪みは、はんだ接続を疲労させる高レベルの変形を生じ得る。歪みのレベルに応じて、この疲労が、センサの使用を不可能にする電気信号の損失を生じるはんだパッドの不具合を生じ得る。
【0008】
例えば、脆性材料の蒸着を用いて製作されたもの等の代替的なセンサが使用される場合、この現象がより問題となり得る。蒸着を用いて製作されるセンサは、いくつかの層の媒体を堆積させてセンサを作り出すことを含む。典型的には、第1の層は、検知ワイヤを組み込む表面に沿って堆積されたガラスの薄層からなる。検知ワイヤは、最初に、完全なNiCr被覆として基板に沿って堆積される。次に、結合された歪みゲージに対して上に記載されているような検知素子を形成する一対のはんだパッドを有する所望のワイヤ経路が作り出されるまで、レーザがNiCrにエッチングを施す。最後に、被覆層を使用して水分の侵入を防ぐことにより、ワイヤトレースの短絡を防ぐ。被覆層は、硬化エポキシまたはRTVシーラント(室温硬化性シリコーン)、またははんだパッドへのアクセスを得るためにエッチングを施されたガラスの領域を有する蒸着ガラスであり得る。これにより、ワイヤまたはフレックスケーブルのセンサへのはんだ付けが可能になる。
【0009】
上に記載されている構成には問題がある。1つの問題は、基板を器具内に載荷する能力である。基板に沿ってガラスを利用するとき、載荷されたときにガラスが亀裂を生じ得る。別の問題は、はんだパッドへの大きな歪みに起因した早期の不具合である。
【0010】
荷重読み取りセンサは、外科手術用ステープル留め器具等の外科手術装置における機能を行うために使用されている。荷重読み取りセンサを使用することによって、締め付け、ステープル留め、及び切削力が、これらの様々な機能を容易にするために監視され、かつ使用され得る。荷重読み取りセンサは、予め設定された荷重を検出し、器具をかかる応答に反応させるために使用され得る。例えば、厚い組織の締め付け中に、荷重は、予め決定された制限まで上昇し、器具は、組織が緩和するように締め付け力を維持するように締め付けを遅くし得る。これにより、かかる組織に対する損傷(例えば、漿膜の引き裂け)なしに、厚い組織を締め付けることが可能になる。かかる一例は、電動EEA装置に対する吻合を作り出すための(例えば、端部-端部吻合装置)円形ステープラの発射である。かかる装置の知能は、現在市販されている使い捨て可能なユニットと比較して、より高い製造費用がかかるため、かかる知能装置が再使用可能であれば有益であろう。
【0011】
残念ながら、再使用可能な装置は、その後の使用の前に高いpH溶液を用いて洗浄され(例えば、消毒され)、かつ殺菌されなければならない。殺菌の最も一般的な方法は、高圧蒸気殺菌の使用である。高圧蒸気殺菌は、高圧過熱蒸気(例えば、37PSI@137℃で18分間)を利用している。環境等が、様々な電子構成部品を損傷することが知られているため、高いpHでの洗浄及び殺菌に耐えることができるセンサの必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様に従って、力センサは、基板と、複数の検知素子と、遠位板と、ピンブロック組立体とを含む。基板は、近位部分及び遠位部分を含む。遠位部分は、間に延在する開口を介して遠位面と流体連通する近位対向面を含む。遠位面は、遠位荷重接触領域及び検知領域を有する。複数の検知素子は、基板の遠位面の検知領域に取り付けられる。遠位板は、基板の遠位面に溶接され、遠位板と基板の遠位面との間で複数の検知素子を気密封止している。ピンブロック組立体は、複数の導電ピンを含み、基板の遠位部分の近位対向面に溶接され、ピンブロック組立体と基板との間で複数の導電ピンの遠位端を気密封止している。
【0013】
複数の検知素子は、歪みゲージであり得る。基板の近位及び遠位部分は、互いに対して段差付きである場合があり、遠位部分の近位対向面は、近位部分の側から横方向に延在し得る。実施形態において、基板は、基板の近位及び遠位部分を通して画定された中心穴を含み得る。いくつかの実施形態において、基板の遠位面は、基板の中心穴の周りに延在する遠位延在フランジを含み、遠位板は、略平面の端壁及び近位延在フランジを含み、遠位板の端壁と基板の遠位面との間に空間が画定されている。
【0014】
実施形態において、ピンブロック組立体は、複数のガラス基板と、その間に画定された複数の開口を有するピンブロックハウジングとをさらに含む。複数の導電ピンの各ピンは、ピンブロックハウジングの複数の開口のうちのある開口内に配置された複数のガラス基板のうちの1つを通して延在している。いくつかの実施形態において、ピンブロックハウジングは、ピンブロックカバー内に収容され、複数の導電ピンの遠位端は、ピンブロックカバー内に配置され、かつ複数の検知素子に電気的に連結されている。ある特定の実施形態において、ピンブロック組立体の複数の導電ピンの近位端は、ピンブロックカバーから近位に延出している。
【0015】
基板の遠位面は、その中に画定された空洞を含み得る。複数の検知素子が、空洞内に配置される場合があり、遠位板は、空洞を覆って基板の遠位面に溶接され得る。基板は、基板の近位部分と遠位部分との間に形成されたリリーフカット及び/または基板の側面内に画定された孔を含み得る。
【0016】
本開示に別の態様に従って、外科手術装置は、ハンドル組立体と、エンドエフェクタと、ハンドル組立体及びエンドエフェクタを選択的に相互接続するアダプタ組立体とを含む。アダプタ組立体は、コネクタハウジングと、トロッカー接続ハウジングと、コネクタハウジングとトロッカー接続ハウジングとの間に配置された力センサとを含む。力センサは、基板と、複数の検知素子と、遠位板と、ピンブロック組立体とを含む。基板は、近位部分及び遠位部分を含む。遠位部分は、間に延在する開口を介して遠位面と流体連通する近位対向面を含む。遠位面は、遠位荷重接触領域及び検知領域を有する。複数の検知素子が、基板の遠位面の検知領域に取り付けられている。遠位板は、基板の遠位面に溶接され、遠位板と基板の遠位面との間で複数の検知素子を気密封止している。ピンブロック組立体は、複数の導電ピンを含み、基板の遠位部分の近位対向面に溶接され、ピンブロック組立体と基板との間で複数の導電ピンの近位端を気密封止している。
【0017】
力センサの遠位面の遠位荷重接触領域は、コネクタハウジングとインターフェースで接続する場合があり、力センサの近位部分は、トロッカー接続ハウジングとインターフェースで接続する近位荷重接触領域を有する近位面を含み得る。力センサの複数の検知素子は、歪みゲージであり得る。実施形態において、力センサは、基板の近位及び遠位部分を通して画定された中心穴を含む。いくつかの実施形態において、力センサの遠位部分の遠位面は、基板の中心穴の周りに延在する遠位延在フランジを含み、遠位板は、略平面の端壁及び近位延在フランジを含み、遠位板の端壁と基板の遠位面との間に空間が画定されている。
【0018】
実施形態において、力センサのピンブロック組立体は、複数のガラス基板と、複数の開口が中を通って画定されたピンブロックハウジングとをさらに含む。複数の導電ピンの各ピンは、ピンブロックハウジングの複数の開口のうちのある開口内に配置された、複数のガラス基板のうちの1つを通して延在している。いくつかの実施形態において、ピンブロックハウジングは、ピンブロックカバー内に収容され、複数の導電ピンの遠位端は、ピンブロックカバー内に配置され、かつ複数の検知素子に電気的に連結されている。ある特定の実施形態において、ピンブロック組立体の複数の導電ピンの近位端は、ピンブロックカバーから近位に延出している。
【0019】
力センサの遠位部分の遠位面は、その中に画定された空洞を含み得る。複数の検知素子が、空洞内に配置される場合があり、遠位板は、空洞を覆って基板の遠位面に溶接され得る。
【0020】
実施形態は、下記の利点のうちの1つ以上を含み得る。
【0021】
力センサ及びその基板は、検知電子機器(例えば、検知素子または歪みゲージ、及びそれらの関連する構成部品)を含有する表面を破壊することなく、大きな荷重力に耐えるように構成され得る。
【0022】
力センサ及びその基板は、保護的なコンフォーマル被覆及び/またはその上に配置された検知素子の層の引き裂き伝播を防ぎ、かつ/または微細な歪みがはんだ溶接部を損傷することを防ぐように構成され得る。
【0023】
力センサ及びその基板は、自動洗浄及び/または高圧蒸気殺菌と関連する環境応力に耐えるように構成される場合があり、それによって力センサを再利用に対してより耐久性のある状態にする。
【0024】
他の態様、特徴、及び利点が、明細書、図、及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【0025】
本開示の様々な態様が、本明細書の一部に組み込まれ、かつこれを構成する図を参照して、下の本明細書に記載されている。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
近位部分及び遠位部分を含む基板であって、前記遠位部分が、間に延在する開口を介して遠位面と流体連通する近位対向面を含み、前記遠位面が遠位荷重接触領域及び検知領域を有する、基板と、
前記基板の前記遠位面の前記検知領域に取り付けられた複数の検知素子と、
前記基板の前記遠位面に溶接された遠位板であって、前記遠位板と前記基板の前記遠位面との間で前記複数の検知素子を気密封止している、遠位板と、
複数の導電ピンを含むピンブロック組立体であって、前記基板の前記遠位部分の前記近位対向面に溶接され、前記ピンブロック組立体と前記基板との間で前記複数の導電ピンの遠位端を気密封止している、ピンブロック組立体と、を備える、力センサ。
(項目2)
前記複数の検知素子が、歪みゲージである、上記項目に記載の力センサ。
(項目3)
前記基板の前記近位及び遠位部分が、互いに対して段差付きであり、前記遠位部分の前記近位対向面が、前記近位部分の側から横方向に延在している、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目4)
前記基板が、前記基板の前記近位及び遠位部分を通して画定された中心穴を含む、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目5)
前記基板の前記遠位面が、前記基板の前記中心穴の周りに延在する遠位延在フランジを含み、前記遠位板が、略平面の端壁及び近位延在フランジを含み、前記遠位板の前記端壁と前記基板の前記遠位面との間に空間が画定されている、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目6)
前記ピンブロック組立体が、複数のガラス基板と、複数の開口が中を通って画定されたピンブロックハウジングとをさらに含み、前記複数の導電ピンの各ピンが、前記ピンブロックハウジングの前記複数の開口のうちのある開口内に配置された前記複数のガラス基板のうちの1つを通して延在している、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目7)
前記ピンブロックハウジングが、ピンブロックカバー内に収容され、前記複数の導電ピンの前記遠位端が、前記ピンブロックカバー内に配置され、かつ前記複数の検知素子に電気的に連結されている、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目8)
前記ピンブロック組立体の前記複数の導電ピンの近位端が、前記ピンブロックカバーから近位に延出している、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目9)
前記基板の前記遠位面が、その中に画定された空洞を含み、前記複数の検知素子が、前記空洞内に配置され、前記遠位板が、前記空洞を覆って前記基板の前記遠位面に溶接されている、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目10)
前記基板が、前記基板の前記近位部分と前記遠位部分との間に形成されたリリーフカットを含む、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目11)
前記基板が、その側面内に画定された孔を含む、上記項目のいずれかに記載の力センサ。
(項目12)
ハンドル組立板と、
エンドエフェクタと、
前記ハンドル組立体及び前記エンドエフェクタを選択的に相互接続するアダプタ組立体と、を備え、前記アダプタ組立体が、コネクタハウジングと、トロッカー接続ハウジングと、前記コネクタハウジングと前記トロッカー接続ハウジングとの間に配置された力センサとを含み、前記力センサが、
近位部分及び遠位部分を含む基板であって、前記遠位部分が、間に延在する開口を介して遠位面と流体連通する近位対向面を含み、前記遠位面が遠位荷重接触領域及び検知領域を有する、基板と、
前記基板の前記遠位面の前記検知領域に取り付けられた複数の検知素子と、
前記基板の前記遠位面に溶接された遠位板であって、前記遠位板と前記基板の前記遠位面との間で前記複数の検知素子を気密封止している、遠位板と、
複数の導電ピンを含むピンブロック組立体であって、前記基板の前記遠位部分の前記近位対向面に溶接され、前記ピンブロック組立体と前記基板との間で前記複数の導電ピンの遠位端を気密封止している、ピンブロック組立体と、を含む、外科手術装置。
(項目13)
前記力センサの前記遠位面の前記遠位荷重接触領域が、前記コネクタハウジングとインターフェースで接続し、前記力センサの前記近位部分が、前記トロッカー接続ハウジングとインターフェースで接続する近位荷重接触領域を有する近位面を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目14)
前記力センサの前記複数の検知素子が、歪みゲージである、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目15)
前記力センサが、前記基板の前記近位及び遠位部分を通して画定された中心穴を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目16)
前記力センサの前記遠位部分の前記遠位面が、前記基板の前記中心穴の周りに延在する遠位延在フランジを含み、前記遠位板が、略平面の端壁及び近位延在フランジを含み、前記遠位板の前記端壁と前記基板の前記遠位面との間に空間が画定されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目17)
前記力センサの前記ピンブロック組立体が、複数のガラス基板と、複数の開口が中を通って画定されたピンブロックハウジングとをさらに含み、前記複数の導電ピンの各ピンが、前記ピンブロックハウジングの前記複数の開口のうちのある開口内に配置された前記複数のガラス基板のうちの1つを通して延在している、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目18)
前記ピンブロックハウジングが、ピンブロックカバー内に収容され、前記複数の導電ピンの前記遠位端が、前記ピンブロックカバー内に配置され、かつ前記複数の検知素子に電気的に連結されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目19)
前記ピンブロック組立体の前記複数の導電ピンの近位端が、前記ピンブロックカバーから近位に延出している、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目20)
前記力センサの前記遠位部分の前記遠位面が、その中に画定された空洞を含み、前記複数の検知素子が、前記空洞内に配置され、前記遠位板が、前記空洞を覆って前記基板の前記遠位面に溶接されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(摘要)
本開示は、外科手術装置と共に使用される力センサ及び力センサの基板に関する。力センサは、基板と、複数の検知素子と、遠位板と、ピンブロック組立体とを含む。基板は、近位部分と、間に延在する開口を介して遠位面と流体連通する近位対向面を含む遠位部分とを含む。複数の検知素子が、基板の遠位面の検知領域に取り付けられている。遠位板は、基板の遠位面に溶接され、遠位板と基板の遠位面との間で複数の検知素子を気密封止している。ピンブロック組立体は、基板の遠位部分の近位対向面に溶接され、ピンブロック組立体と基板との間で複数の導電ピンの遠位端を気密封止している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の実施形態に従った外科手術装置の斜視図である。
【
図2】
図1の外科手術装置のアダプタ組立体の斜視図である。
【
図3A】アダプタ組立体の外側スリーブを取り外した状態の、
図1及び2のアダプタ組立体の遠位端部分の斜視図である。
【
図3B】アダプタ組立体の外側スリーブを取り外した状態の、
図1及び2のアダプタ組立体の遠位端部分の斜視図である。
【
図3C】
図3A及び3Bの遠位端部分の一部の拡大斜視図である。
【
図4A】
図3A~3Cのアダプタ組立体の遠位端部分に配置されたトロッカー接続ハウジングの斜視図である。
【
図4B】
図3A~3Cのアダプタ組立体の遠位端部分に配置された力センサの基板の、それぞれ、近位及び遠位面の斜視図である。
【
図4C】
図3A~3Cのアダプタ組立体の遠位端部分に配置された力センサの基板の、それぞれ、近位及び遠位面の斜視図である。
【
図5】
図3A~3C、4B、及び4Cの力センサの基板の斜視図である。
【
図6A】本開示の別の実施形態に従った力センサの基板の斜視図である。
【
図7A】フレックスケーブルを含む、
図6A及び6Bの基板の斜視図である。
【
図7B】フレックスケーブルを含む、
図6A及び6Bの基板の斜視図である。
【
図8A】本開示の別の実施形態に従った力センサの斜視図である。
【
図8B】本開示の別の実施形態に従った力センサの斜視図である。
【
図9A】
図8A及び8Bの力センサの基板の、それぞれ、近位及び遠位面の斜視図である。
【
図9B】
図8A及び8Bの力センサの基板の、それぞれ、近位及び遠位面の斜視図である。
【
図9C】ピンブロック組立体のピンブロックカバーが取り外された状態の、
図8A及び8Bの力センサの側面斜視図である。
【
図10A】
図8A及び8Bの力センサのピンブロック組立体の斜視図である。
【
図10B】
図8A及び8Bの力センサのピンブロック組立体の斜視図である。
【
図10C】
図10A及び10Bのピンブロック組立体におけるガラスと金属とのピン遷移の概略的な断面図である。
【
図11A】本開示のまた別の実施形態に従った力センサの斜視図である。
【
図11B】本開示のまた別の実施形態に従った力センサの斜視図である。
【
図11C】遠位板が取り除かれた状態の、
図11A及び11Bの力センサの基板の斜視図である。
【
図11D】遠位板が基板から分離された状態の、
図11A及び11Bの力センサの基板の斜視図である。
【
図12A】本開示の実施形態に従ったリリーフ機構を含む力センサの斜視図である。
【
図12B】本開示の実施形態に従ったリリーフ機構を含む力センサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施形態が、これより、図を参照して詳細に記載されており、同様の符号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を指定している。本明細書全体を通して、「近位」という用語は、ユーザの手により近い、装置の一部分またはその構成部品を指し、「遠位」という用語は、ユーザの手からより遠い、装置の一部分またはその構成部品を指す。
【0028】
図1をこれより参照すると、本開示の実施形態に従った外科手術装置1は、電動手持ち式電子機械器具の形態にあり、電動ハンドル組立体10と、アダプタ組立体20と、その中に配置された複数のステープル(図示されていない)を有する載荷ユニット32ならびにアンビルヘッド34a及びアンビルロッド34bを含むアンビル組立体34を含む工具組立体またはエンドエフェクタ30とを含む。電動ハンドル組立体10は、アダプタ組立体20と選択的に接続するように構成され、次に、アダプタ組立体20は、エンドエフェクタ30と選択的に接続するように構成される。
【0029】
アダプタ組立体20及びエンドエフェクタ30を含むように記載され、かつ示されているが、様々な異なるアダプタ組立体及びエンドエフェクタが、本開示の外科手術装置において利用され得ると理解されるべきである。例となる外科手術装置の構造及び機能の詳細な説明に対して、共有化されている、2016年1月8日に出願された米国特許出願第14/991,157号(「‘157出願」)、現在、米国特許出願公開第2016/0296234号、及び2016年4月12日に出願された米国特許出願第15/096,399号(「‘399出願」)、現在、米国特許出願公開第2016/0310134号を参照する場合があり、これらの各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
図1を続けて参照すると、ハンドル組立体10は、外科手術装置1の様々な動作に給電し、かつこれらを制御するように構成された電源パック(図示されていない)を収容するハンドルハウジング12と、外科手術装置1の様々な機能を作動させるための複数の作動装置14(例えば、指で作動される制御ボタン、ノブ、トグル、スライド、インターフェース等)とを含む。例となるハンドル組立体の詳細な説明に対して、‘399出願を参照する場合があり、その内容全体は、前に、参照により本明細書に組み込まれていた。
【0031】
図1と併せて
図2をこれより参照すると、アダプタ組立体20は、ハンドル組立体10(
図1)と動作可能に接続するように構成された近位部分20aと、エンドエフェクタ30(
図1)と動作可能に接続するように構成された遠位部分20bとを含む。アダプタ組立体20は、外側スリーブ22と、外側スリーブ22の遠位端に固定されたコネクタハウジング24とを含む。コネクタハウジング24は、例えばエンドエフェクタ30(
図1)等のエンドエフェクタをアダプタ組立体20に解放可能に固定するように構成されている。
【0032】
アダプタ組立体20は、本開示の態様を完全に開示する必要がある範囲のみ、さらに記載されている。例となるアダプタ組立体の詳細な説明に対して、‘157出願を参照する場合があり、その内容全体は、前に、参照により本明細書に組み込まれていた。
【0033】
図3A~3Cをこれより参照すると、アダプタ組立体20は、力センサ100の中心穴101(
図4B)及びトロッカー接続ハウジング28の中心穴29(
図4A)を通して延在するトロッカー組立体26をさらに含む。トロッカー接続ハウジング28は、アダプタ組立体20の外側スリーブ22(
図2)に対してトロッカー組立体26を解放可能に固定している。例となるトロッカー接続ハウジングの詳細な説明に対して、2015年9月25日に出願された米国特許出願第14/865,602号(「‘602出願」)、現在、米国特許出願公開第2017/0086879号を参照する場合があり、その内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0034】
力センサ100は、トロッカー接続ハウジング28とアダプタ組立体20のコネクタハウジング24との間に配置され、荷重経路に沿った力を測定するように構成されている。
図3Cと併せて
図4A及び4Bに示されているように、トロッカー接続ハウジング28(
図4A)は、近位荷重接触領域「Cp」において力センサ100の本体または基板102の近位面102a(
図4B)とインターフェースで接続し、かつこれに載荷する遠位面28aを含む。
図3Cと併せて
図4Cに示されているように、コネクタハウジング24の近位面24a(
図3C)は、遠位荷重接触領域「Cd」(
図4C)において力センサ100の基板102の遠位面102bに載荷する接触面を画定している。したがって、例えば、アンビル組立体34(
図1)が組織の締め付けまたはステープル留め中にエンドエフェクタ30の載荷ユニット32に向かって近似するとき、アンビルヘッド34aは、次に、力センサ100の遠位荷重接触領域「Cd」に伝達される、コネクタハウジング24の遠位端24bに対して矢印「A」(
図3A)の方向に均一な圧力を加える。
【0035】
図5をこれより参照すると、基板102の遠位面102bは、その中に画定された複数の溝110を有する略平面の表面である。複数の溝110は、基板102の遠位面102bの遠位荷重接触領域「Cd」と検知領域「S」との間に分離領域を提供している。複数の溝110は、マイクロトレンチ、リリーフカット、この他、遠位面102b内に形成された押下割り込みであり得る。複数の溝110は、約0.010インチの幅及び約0.010インチの深さを有し得るが、幅及び深さは異なる場合があると理解されるべきである。複数の溝110の幅及び/または深さは、複数の溝110が検知基板を生じることなくアダプタ組立体20及び/または力センサ100に荷重を加えることができる領域を提供するような、任意の高さ及び幅であり得ることが企図される。複数の溝110の幅及び/または深さは、検知領域「S」から独立した明確な載荷面を形成するようなものであり得ることがさらに企図される。さらに、長方形の断面形状を有する複数の溝110が示されているが、複数の溝110の形状はまた、異なる場合があるとさらに理解されるべきである。
【0036】
基板102の遠位面102bの検知領域「S」は、例えば歪みゲージ等の検知素子240(
図9B)が固定される平坦な連続面である。基板102の検知素子「S」は、複数の溝110を介した遠位荷重接触領域「Cd」との直接的な接触がなく、それによって検知素子及び/または他の関連する構成部品が遠位荷重接触領域「Cd」における直接的な載荷を被らないように、検知素子及び/またはその関連する構成部品(例えば、層、被覆、回路、はんだ接続等)に対する損傷を最小限にし、かつ/または防ぐ。
【0037】
基板102の検知領域「S」上に配置された回路及び/またははんだ接続(図示されていない)を保護するために被覆が使用される実施形態において、被覆は、マスキングプロセスの必要なく、複数の溝110で終結し得、それによって力センサ100の載荷中に遠位荷重接触領域「Cd」の近くの領域での被覆の引き裂きを最小限にし、または防ぐ。
【0038】
マスキングが所望される実施形態において、複数の溝110は、力センサ100の製作中に遠位荷重接触領域「Cd」のより容易なマスキングを可能にする。複数の溝100は、検知素子の層及び/またはその上の被覆が破れるように促され、それによって基板102の検知領域「S」の一体性を維持する、引き裂き領域を提供している。
【0039】
図6A及び6Bをこれより参照すると、力センサの基板102’の別の実施形態が示されている。基板102’は、基板102と同様であり、したがって、その間の差異に関して記載されている。
【0040】
力センサの基板102’は、遠位荷重接触領域「Cd」及び検知領域「S」を画定する近位面102a(
図4B)及び遠位面102b’を含む。溝110’は、低減された歪みの局所化領域を作り出すために、検知領域「S」内で所望のはんだ接触面を隔離するように検知領域「S」内に形成されている。溝110’は、一連の接続された平行な切り欠き111を含み、各切り欠きは半島のような構成を有する。しかしながら、1つ以上の溝110’は、基板102’の遠位面102b’の真下に歪みを伝達するように、例えば異なる形状、深さ、及び/または幅等の様々な配置で形成され得る。
【0041】
図7A及び7Bに示されているように、溝110’の形状は、フレックスケーブル120の端120aと対応しており、それによってフレックスケーブル120の端120aと溝110’内のはんだ接触面との間に形成されたはんだ継ぎ手(図示されていない)の表面の荷重下での歪みを低減する。基板102’の遠位面102b’の歪みの低減により、はんだ接続の一体性が改善される。
【0042】
図8A及び8Bをこれより参照すると、力センサの別の実施形態が示されている。力センサ200は、基板210と、遠位板220と、ピンブロック組立体230とを含む。基板210は、互いに対して段差付きである近位部分212及び遠位部分214を含む。近位部分212は、トロッカー接続ハウジング28(
図1)とインターフェースで接続する近位面212aを含み、遠位部分214は、コネクタハウジング24(
図1)とインターフェースで接続する遠位面214aを含む。力センサ100に対して上に記載されているように、近位及び遠位面212a、214aは、外科手術装置1(
図1)が載荷されたときに基板210が圧縮することを可能にする耐荷重面であり、それぞれ、近位及び遠位荷重接触領域「Cp」及び「Cd」を含む。基板210の遠位部分214は、各々が基板210の近位部分212の対向側から遠位に延在する第1及び第2の近位対向面214b、214cをさらに含む。
【0043】
図9A及び9Bに示されているように、基板210は、遠位部分214の遠位面214a及び第1の近位対向面214bを通して画定され、かつピンブロック組立体230と整列された開口211を含む。任意に、いくつかの実施形態において、例えば、
図9Aで示されているように、基板210の屈曲中の基板210に対する応力を均一化するように、開口211と対称的に対向する位置で、基板210の遠位部分214の一部分を少なくとも部分的に通して延在する孔213が含まれ得る。
【0044】
図9Bに示されているように、検知素子240(例えば、歪みゲージ)が、基板210の遠位面214aの検知領域「S」に結合されている。遠位面214aは、基板210を通して画定された中心穴201の周りに延在する遠位延在フランジ213をさらに含む。
図8Bに示されているように、遠位板220は、略平面の端壁222及び近位に面するフランジ224を含み、その結果、遠位板220が基板210の遠位面214aに取り付けられたときに遠位板220の端壁222と基板210の遠位面214aとの間に空間が画定され、検知素子240及び関連する構成部品(図示されていない)に対する隙間を提供している。遠位板220は、検知素子240及び関連する構成部品を外部環境から保護するための気密封止を形成するように、遠位板220の外部周囲「Po」及び内部周囲「Pi」の全体の周りの基板210の遠位面214aに、例えば、レーザまたは電子ビーム溶接によって溶接されている。遠位板220は、載荷時に湾曲し、かつ基板210からのそれぞれの信号を可能にするような最小の厚さを有する。
【0045】
図9C~10Cに示されているように、ピンブロック組立体230は、ピンブロックカバー238内に収容されたピンブロックハウジング236内に配置されたガラス基板234を通して延在する各ピン232を有する、複数の導電ピン232を含む。複数の導電ピン232の遠位端232aは、ピンブロックカバー238内に配置され、複数の導電ピン232の近位端232bは、ピンブロックカバー238を通して近位に延出している。ワイヤ(図示されていない)は、ブリッジ構成(例えば、ホイートストーンブリッジ)で基板210の検知素子240(
図9B)に接続され(例えば、はんだ付けされ)、開口211を通過し、ピンブロックカバー238内に配置された複数の導電ピン232の遠位端232aにはんだ付けされ、その結果、電力を供給し、力センサ200からの力応答を読み取るために、電気信号が基板210から出る場合がある。
【0046】
図8Aに示されているように、ピンブロックカバー238は、複数の導電ピン232がピンブロック組立体230に気密封止されるように、ピンブロックカバー238の外部周囲「Pp」の全体の周りの基板210の第1の近位対向面214bに、例えば、レーザまたは電子ビーム溶接によって、溶接されている。したがって、ピンブロック組立体230は、ピンブロック組立体230の内側から、基板210の開口211を通して、検知素子240(
図9B)及びその関連する構成部品へのワイヤ(図示されていない)の接続を可能にし、内側ワイヤ及び電子機器を外部環境から保護することを可能にする。さらに、ピンブロック組立体及び遠位板の気密封止、ならびにガラス封止の使用により、アダプタ組立体を複数使用のために洗浄し、かつ/または殺菌することができるように、力センサが厳しい環境(例えば、自動洗浄及び高圧蒸気殺菌)に耐えることを可能にする。
【0047】
図11A~11Dを参照すると、力センサ200’の別の実施形態が示されている。力センサ200’は、力センサ200と同様であり、したがって、その間の差異に関して記載されている。力センサ200’は、基板210’と、遠位板220’と、ピンブロック組立体230とを含む。
【0048】
基板210’は、略平面である遠位面214a’を有し、その中に空洞215’を画定する遠位部分214’を含む。検知素子240(
図9B)は、空洞215’内に固定され、遠位板220’は、検知素子及び関連する構成部品を外部環境から保護するための気密封止を形成するように、遠位板220’の全体的な外部周囲「Pd」の周りの基板210’の遠位面214a’に溶接されている。開口211’は、空洞215’の表面及び基板210’の遠位部分214’の第1の近位対向面214b’を通して延在している。上に記載されているように、検知素子240(
図9B)にはんだ付けされたワイヤ(図示されていない)が、開口211’を通してピンブロック組立体230へと延在している。
【0049】
さらなる伸び(例えば、屈曲)が所望される実施形態において、力センサの基板は、曲げを容易にし、または剛性を低減するための1つ以上のリリーフ機構を含み得る。示されているように、例えば、
図12Aにおいて、一連のリリーフカット250が、近位及び遠位部分212’及び214’間の力センサ200’の基板210’内に形成されている。別の例として、
図12Bに示されているように、孔213’が、力センサ200’の基板210’の側面内に画定されている。リリーフカット250及び/または孔213’は、限定されるものではないが、円形、四角形、楕円形、台形等の様々な大きさ及び形状で形成され得る。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態が図で示されているが、本開示がそれらに限定されることは意図されておらず、本開示が当該技術分野の許容する限りの広い範囲にあり、本明細書が同様に読まれることを意図している。上の実施形態の任意の組み合わせがまた、想定され、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。したがって、上の説明は、限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内での他の変形例を想定するだろう。