(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】自動車用の照明装置、特に照明および/または信号装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/148 20180101AFI20220815BHJP
F21S 41/00 20180101ALI20220815BHJP
F21S 43/00 20180101ALI20220815BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20220815BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20220815BHJP
F21S 43/237 20180101ALI20220815BHJP
F21S 41/30 20180101ALI20220815BHJP
F21S 43/30 20180101ALI20220815BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20220815BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20220815BHJP
F21V 7/08 20060101ALI20220815BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20220815BHJP
F21V 5/04 20060101ALN20220815BHJP
F21W 102/135 20180101ALN20220815BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20220815BHJP
【FI】
F21S41/148
F21S41/00
F21S43/00
F21S43/14
F21S41/24
F21S43/237
F21S41/30
F21S43/30
F21S41/25
F21S43/20
F21V7/08
F21V8/00 260
F21V5/04 450
F21W102:135
F21W103:00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018045842
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2021-03-11
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、アルボー
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ゴドビヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード、プエンテ
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0059110(US,A1)
【文献】特開平03-017901(JP,A)
【文献】特開2008-153124(JP,A)
【文献】特開2007-323885(JP,A)
【文献】特開2016-203863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 43/00
F21V 7/08
F21V 8/00
F21V 5/04
F21W 102/135
F21W 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置(1)、特に自動車用の照明および/または信号装置であって、
光線の放射を生成するように駆動される光源(2)と、
前記光源に対向して配置され、放射光線を偏向させる、集光素子(4)と、
前記装置の外部へ光ビームを放射するための光
成形素子(6)と、を備え、
前記光源は、少なくとも1つの基板(10)と、前記基板の第1の面(16)から延び
る複数の発光素子(8)と、を備えた半導体光源であり、
前記光成形素子は、発散レンズであ
り、
高輝度の領域が、前記光成形素子を形成する発散レンズ(6)の反対側で、前記光源(2)の縁(80)に配置されている、ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記集光素子は、内面が、前記光源の前記基板の前記第1の面に向けられた放射光線用の反射面を形成する、楕円形または疑似楕円形のリフレクタである、ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置(1)。
【請求項3】
前記光源(2)と、前記集光素子(4)と、前記光成形素子(6)を形成する発散レンズと、である前記装置の構成要素は、共通軸に対して配置され、前記装置の光軸(60)を形成しており、これにより、
前記光源は、この軸上に、またはその近傍に、少なくとも一部が配置されており、
前記集光素子は、この軸上に位置する焦点(F1,F2)を呈し、
前記発散レンズは、この軸上に、またはその近傍に、中心を合わせられている、ことを特徴とする請求
項2に記載の照明装置(1)。
【請求項4】
前記発光素子(8)は、前記装置の光軸(60)に対して、直角または実質的に直角に、前記集光素子(4)に向けて延びる、ことを特徴とする請求項3に記載の照明装置(1)。
【請求項5】
前記光源(2)は、前記集光素子を形成する楕円形または疑似楕円形のリフレクタ(4)
の第1の焦点に配置されている、ことを特徴とする、請求項
2に記載の照明装置(1)。
【請求項6】
前記光源(2)は、前記光軸(60)の方向に従って可変の輝度を呈する、ことを特徴とする、請求項
3に記載の照明装置(1)。
【請求項7】
高輝度の領域を呈する前記縁(80)は、前記集光素子(4)の第1の焦点(F1)に配置されている、ことを特徴とする請求項
1から6のいずれかに記載の照明装置(1)。
【請求項8】
前記光源(2)の可変の輝度は、前記発光素子(8)の密度および/または高さにより得られる、ことを特徴とする請求項
6に記載の照明装置(1)。
【請求項9】
前記光成形素子を形成する発散レンズ(6)は、前記発散レンズの物体焦点(F)が、前記集光素子を形成する楕円形または疑似楕円形のリフレクタ(4)の第2の焦点(F2)と一致またはその近傍にあるようにして、前記装置の光軸(60)上に配置されている、ことを特徴とする請求
項3に記載の照明装置(1)。
【請求項10】
前記光源(2)は、主要寸法を有し、この光源は、この主要寸法が、前記装置の光軸(60)を横断して延びるように配置される、ことを特徴とする請求項
3に記載の照明装置(1)。
【請求項11】
前記光源(2)は、前記装置の光軸(60)に中心を合わせられている、ことを特徴とする請求項
2に記載の照明装置(1)。
【請求項12】
カットオフを有するビームによる、自動車の照明用の、請求項1から1
1のいずれかに記載の照明装置(1)であって、
前記集光素子および前記発散レンズは、前記光源により放射され、前記集光素子により偏向された光線の、レンズによる偏向の後に、カットオフを有する前記ビームを形成するように構成されている、ことを特徴とする照明装置(1)。
【請求項13】
カットオフを有する前記ビームのカットオフ縁(100)は、発光素子を有する前記光源(2)の縁(80)から放射された光線により生成される、ことを特徴とする請求項1
2に記載の照明装置(1)。
【請求項14】
カットオフを有する前記ビームのカットオフ縁(100)は、高輝度の光線を放射するように構成された発光素子を有する前記光源(2)の縁(80)から放射された光線により生成される、ことを特徴とする請求項1
3に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用の、照明および/または信号の分野を扱う。本発明は、より具体的には、規則に準じた光ビームの形成用に、互いに関連して配置され、よって、放射および偏向された光線を形成するための、光源と、リフレクタと、光学素子と、を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車への適用の状況において、発散レンズを、光源と関連付けて、光成形素子を形成することが知られている。光源と反対側の、レンズの物体焦点の配置は、よって、コンパクトな照明装置を得ることを可能にし、これにより、照明および/または信号装置の設計に、より大きな自由度を提示する。
【0003】
発散レンズの使用は、よって、シールドの縁の形状にその縁が対応するカットオフを有するビームを、生成することを可能にする、他では一般的に用いられる素子、すなわちシールドまたはフォルダが省略されている、ライトモジュールと関連付けられる。レンズが、フィラメント、キセノンまたはLED型の既存の光源と、関連付けられる場合、形状および大きさは、全体的に正方形または長方形の光源により影響され、これにより、平坦なカットオフを有するビームしか得ることができない。
【0004】
カットオフを有するビームを生成するために、カットオフの傾斜部分の形成用に、特定のライトモジュールを追加することが、次いで必要となる。このカットオフは、投射ビーム内で、光源の像の上縁を整列することにより得られる。光源の大きさと関連するこの整列は、光が車両の前部に集中された厚いビームをもたらし、これは、運転者にまぶしいリスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特にコンパクトであり、かつカットオフを有するビームを生成することができる照明装置を追求する。本発明は、装置内の構成要素の数を制限する、簡素な設計の照明装置を提案することを目的とする。この状況において、本発明は、照明装置、特に自動車用の照明および/または信号装置を提案し、この装置は、光線の放射を生成するように駆動される光源と、光源に対向して配置され、放射光線を偏向させる、集光素子と、装置の外部へ光ビームを放射するための光線形成素子と、を備える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、これらの様々な構成要素は、以下の特徴がある。
【0007】
- 光源は、少なくとも1つの基板と、基板の第1の面から延びるサブミリメートル寸法の複数の発光素子と、を備えた半導体光源であり、発光素子は、特に、ロッドの形状をとることができ、
- 光成形素子は、発散レンズである。
【0008】
さらに、集光素子は、特に、リフレクタまたはレンズであると理解すべきであり、リフレクタは、軸方向の大きさを減少可能であるという利点を提示する。
【0009】
特に、集光素子は、内面が、光源の基板の第1の面に向けられた放射光線用の反射面を形成する、楕円形または疑似楕円形のリフレクタからなることができる。
【0010】
単独または組み合わせて用いられる、本発明の異なる特徴によると、以下のように定めることが可能となる。
【0011】
- 光源と、集光素子と、光成形素子を形成する発散レンズと、である、装置の構成要素は、共通軸に対して配置され、装置の光軸を形成しており、これにより、光源は、この軸上に、またはその近傍に、少なくとも一部が配置されており、集光素子は、この軸上に位置する焦点を呈し、発散レンズは、この軸上に、またはその近傍に、中心を合わせられており、
- 発光素子は、装置の光軸に対して、直角または実質的に直角に、集光素子に向けて延びており、以下、実質的に直角または平行とは、垂直または平行に対して、例えばおよそ1~5°の、わずかなオフセットを呈する向きを意味するものと理解すべきであり、
- 発光素子は、各発光素子に対する基部の同等の高さ、例えば、これらの素子の実質的に中間の高さで光軸上に整列され、
- 光源は、楕円形または疑似楕円形のリフレクタの第1の焦点の近傍に、特に第1の焦点に配置されており、
- 光源は、光軸の方向に従って可変の輝度を呈し、
- 高輝度の領域が、光成形素子を形成する発散レンズの反対側で、光源の縁に配置されており、高輝度の領域は、その輝度が隣接する領域の輝度よりも高い領域を意味するものと理解すべきであり、
- 高輝度の領域を呈する縁は、集光素子の第1の焦点に配置され、
- 可変の輝度は、発光素子の密度および/または高さにより得られ、
- 可変の輝度は、発光素子の電源の変化によって、上記の代わりに、または累積して、得ることが可能であり、
- 光成形素子を形成する発散レンズは、発散レンズの物体焦点が、集光素子を形成する楕円形または疑似楕円形のリフレクタの第2の焦点と一致または少なくともその近傍にあるようにして、装置の光軸上に配置され、
- 集光素子は、発散レンズの反対側にある光源の高輝度の部分の像を、この発散レンズの物体焦点の近傍に投射するように構成され、これにより、発散レンズの出力にて放射されるビームのカットオフを形成することで、対応する光線が、光軸に対して平行に再出現するようになっており、
- 光源は、主要寸法を有し、この光源は、この主要寸法が、装置の光軸を横断して延びるように配置され、
- 光源は、その小さい側が、光軸に平行である、長方形の形状を有しており、長方形の光源は、発光素子の配置により規定される放射面が、決定された長さおよび決定された幅を有する実質的に長方形の形状を有することを意味するものと理解すべきであり、幅は、この場合、光軸に平行であり、光源の発光素子を、発光させたり、消光させたりして、ハイビームまたはロービームを形成し、
- 光源は、ビームのカットオフに求められる形状を反映する、特定の形状を有することが可能であり、このようにして、適切な形状を有する光源と、楕円形のリフレクタとが、関連付けられている、基本的な実施形態を実施することが可能であり、
- 光源は、光軸に中心を合わせられている。
【0012】
これまでに述べたように、照明装置は、カットオフを有するビームの形状をとり得るビームにより、特に自動車の照明用に、実施することができ、集光素子および発散レンズは、光源により放射され、集光素子により偏向された光線の、レンズによる偏向の後に、カットオフを有するか有さないビームを形成するように構成されている。照明装置は、これにより、ロービーム、フォグビーム、および/またはフロント屈折ライトなどの照明および/または信号ビームを投射することができる。
【0013】
特に後者の場合では、カットオフを有するビームのカットオフ縁は、発光素子を有する光源の縁から放射された光線により生成することができ、カットオフを有するビームの、このカットオフ縁は、高輝度の光線を放射するように構成された発光素子を有する光源の縁から放射された光線により生成することができる。先述のように、高輝度は、隣接する領域の光線の輝度よりも、輝度が高い光線を意味するものと理解すべきである。
【0014】
上述した本発明の特徴およびその他は、添付の図面を参照する、非限定の例である、以下の詳細な説明を理解することで、より一層明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るライトモジュールの模式図であって、半導体光源は、支持部に固定され、発散レンズに向けて放射される光線を返すように構成されたリフレクタに向けて放射するものであり、本発明の原理を示すために、光線の2つの線を、例として表す模式図である。
【
図2】上方から見た
図1のライトモジュールの模式図であって、発散レンズを取り除いて、光源の面内に投射されるビームが、発散レンズが無い場合にとる形状を示しており、本発明によれば、発散レンズが存在する場合に、道路に投射されるのはこの像であると理解される、模式図である。
【
図3】基板から突出して延びるロッドの形状にある、複数の発光素子を備えた半導体光源の一部の斜視模式図であって、ロッドの形状にあるこれらの発光素子の列を、断面で見えるようにしてある斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特に自動車の照明用および/または信号用の、照明装置1は、特にアウターレンズにより閉じられたハウジングに収容された光源2を備え、ハウジングは、この光源用の、
図1に模式的に表される内部受容容積3を規定する。照明装置は、光源2により放射される光線用の偏向素子を形成する、集光素子4と、光成形素子6と、をさらに備える。光成形素子6が、光源により放射される光線の少なくとも一部の偏向により、光源を無限遠において映すよう構成されるようにして、装置は構成されている。特にロービーム、すなわちカットオフを有するビームの生成のための、このような装置の利点を、以下に説明する。
【0017】
図1において、光源2は、光源により放射される熱のための交換手段を形成する、フレーム7に配置されている。ここでは楕円形リフレクタの形状をとる、集光素子4も、フレーム7に配置され、光源を覆っている。フレーム7は、また、光源の発光素子に電力を供給し発光させるための、ここでは表されない、光源用の電源手段を支持する。
【0018】
光成形素子6は、本発明に係る照明装置の光軸60に中心を合わせられており、この光軸上に、光源も配置されている。図示された例において、光源2は、(
図2に見られるように)光軸60を横断して中心を合わせられており、この光源を構成する放射素子と同じ高さで光軸が走るように、縦方向に配置されている。変形例において、光源は、全体的に、この光軸の一方側のみに配置することができると理解される。
【0019】
光源2は、その放射する光線が、主に光線偏向素子4に向けられるように、向きが決められているが、ここでは表されないシールドを、光源の近傍に配置して、最初に偏向素子と接触せずに光成形素子に向かう光線を、遮ることが可能である。このようなシールドは、実際には、実質的に垂直であり、光源と光成形素子との間で、光源に近接して配置される。
【0020】
光源2は、本発明によれば、サブミリメートル寸法の、複数の発光素子8を備え、発光素子は、基板10から突出して配置され、ここでは、六角形の断面のロッドを形成する。発光素子は、基板に対して直角に、かつ、装置の光軸に対して直角に、光線偏向素子4に向けて延びる。この状況において、光軸は、この光源2が備える発光素子の平均高さの中間の高さに位置するということを、特に定めることができる。
【0021】
変形例として、発光素子の自由端の近傍で形成される上発光面の近傍で走る軸の下で、必要であれば波長変換材料の上面の近傍に、光源を配置することも可能である。
【0022】
これらの発光素子8は、特に各セットに固有の電気的接続によって、複数の領域内で、共にグループ化することができる。
図2に示される場合においては、以下により詳細に説明する少なくとも第1のセット81と、第2のセット82と、第3のセット83と、を含む、3つのロッドのセットが形成されるような、ロッドの電気的接続を、留意することができる。
【0023】
規定したように、フレーム7は、光源2と、光源に関連付けられた冷却装置との支持部材としての役割を果たし、発光素子を有する光源は、ここで、この冷却装置に接着されている。変形例として、光源は、プリント回路基板にはんだ付けすることができ、プリント回路基板自体は、場合によっては熱の良好な導体である接着剤により、ヒートシンクを形成するフレームと共に組み立てられる。
【0024】
図示される例において、光線偏向素子4は、楕円形リフレクタの形状、または少なくとも、楕円形に構成される形状をとり、すなわち、リフレクタにより偏向される前に第1の焦点を通過する光線が、偏向された後に第2の焦点を通過するような、2つの光学焦点を有する。第1の焦点F1は、必用に応じて、複数の第1の焦点を、および最適化された解決策においては、光源の縁に対応する第1の焦点の列を、意味すると理解されるべきであり、第2の焦点F2は、必用に応じて、
図2に表されるような屈曲した平坦な線を意味すると理解すべきであることが、理解される。光源2は、リフレクタの第1の焦点F1に配置され、これに対して、光成形素子6は、以下により詳細に説明するように、リフレクタの第2の焦点F2の位置の関数として配置される。リフレクタの内面は、発光ロッドが突出して配置される光源の基板の第1の面に向けられた、放射光線用の反射面を形成するものと理解される。
【0025】
光成形素子6は、
図1に模式的に示されるように、発散レンズの形状をとる。発散レンズは、その物体焦点Fが、リフレクタの第2の焦点F2と共通であるように、照明装置の光軸60上に配置される。このような規定の利点を、特に
図1および
図2に示される光線の経路を参照して、以下に説明する。一般的に、光源である照明装置の構成要素と、リフレクタと、発散レンズとは、この照明装置の光軸60に対して配置され、これにより、光源は、少なくとも一部がこの軸上に配置され、リフレクタは、この軸上に位置する焦点を呈し、発散レンズは、この軸上に中心を合わせられている。
【0026】
まず、ロッドの形状の、サブミリメートル寸法の発光素子を備える半導体光源2の構造を、特に
図3を参照して説明する。
【0027】
光源1は、基板10の第1の面から開始する、複数の発光ロッド8を備える。ここでは窒化ガリウム(GaN)を用いて形成される、各発光ロッドは、直角または実質的に直角に延びて、基板から突出し、ここではケイ素に基づき生成されているが、炭化ケイ素のような他の材料を、本発明の状況から逸脱することなく用いることも可能である。例として、発光ロッドは、窒化アルミニウムと窒化ガリウムとの合金(AlGaN)から、またはアルミニウムと、インジウムと、ガリウムとのリン化物の合金(AlInGaP)から生成することができる。
【0028】
基板10は、第1の電極14が付加される底面12と、発光ロッド8が突出して延び、上述した基板の第1の面の役割を果たし、第2の電極18が付加される、上面16と、を有する。材料の異なる層が、特に基板から発光ロッドを成長させた後に、上面16に重ねられ、この成長は、ここでは、下降アプローチにより得られる。これらの様々な層の中でも、ロッドの電源を可能にするために、導電材料の少なくとも1つの層があることも可能である。この層は、互いに特定のロッドを連結するようにしてエッチングされ、次いで、これらの発光ロッドの切り替えは、ここでは表されない制御モジュールにより、同時に制御することが可能である。少なくとも2つの発光ロッドか、または少なくとも2つの発光ロッドの群を、スイッチオンを制御するシステムを介して個別にスイッチオンするように構成する、と定めることが可能である。
【0029】
先に規定したように、その意図は、発光ロッドを、互いに関連して選択的にアドレス可能、かつ、各ロッドを同時に駆動する、ロッドのセットとして接続することであり、これらのセットは、ここで、ストリップの形状をとり、そのうちの3つが、
図2に示される例にある。
【0030】
発光ロッドは、
図3に示すように、基板から延び、それぞれ、窒化ガリウムのコア19を備え、その周りには、異なる材料、ここでは窒化ガリウムおよび窒化ガリウムインジウムの層を径方向に重ねることにより形成される量子井戸20と、窒化ガリウムで生成される量子井戸を囲むシェル21と、が配置される。
【0031】
各発光ロッドは、その高さを規定する延長軸22に従って延び、そのロッドの基部は、基板10の上面16の面24に配置されている。
【0032】
同じ光源の発光ロッド8は、好適には、同じ形状をとる。これらロッドは、それぞれ、端面26と、ロッドの延長軸に沿って延びる周壁28とにより境界が定められている。発光ロッドが、ドープされており、かつ極性のオブジェクトである場合、半導体光源の出口において結果として生じる光は、基本的には周壁28から放射され、光線は、また、端面26からも出射することができるものと理解される。その結果、各発光ロッドは、単一の発光ダイオードとして作動し、かつ、この光源の輝度は、一方では、存在する発光ロッド8の密度により、他方では、周壁により規定され、かつ、従ってロッドの全周および全高にわたって延びる、照明面の大きさにより、増加される。
【0033】
窒化ガリウムのシェルに対応する、発光ロッド8の周壁28は、透明導電性酸化物(TCO)29の層により覆われ、この透明導電性酸化物は、基板により形成されるカソードを補完する各ロッドのアノードを形成する。この周壁28は、基板10から端面26まで、延長軸22に沿って延び、発光ロッド8が延びる基板の端面26から上面16までの距離は、各ロッドの高さを規定する。例として、発光ロッド8の高さを、1~10マイクロメートルの間にあると定め、これに対して、当該のロッドの延長軸22に対して直角の、端面の最大の横断寸法は、2マイクロメートル未満と定める。また、ロッドの表面を、この延長軸22に直角の断面にて、決定された値の範囲内、特に1.96~4平方マイクロメートルと規定する、と定めることも可能である。
【0034】
発光ロッド8の形成において、高さを、光源の領域ごとに修正して、対応する領域を構成するロッドの平均高さを増加させる場合、対応する領域の輝度を増加することもできることが理解される。よって、発光ロッドの1つの群は、発光ロッドのもう1つの群とは異なる高さを有することができ、これら2つの群は、サブミリメートル寸法の発光ロッドを備える同じ半導体光源の構成要素である。
【0035】
図1および
図3において、2列の発光ロッド8が、他のロッドの平均高さよりも高い平均高さを有することが、特に分かる。これらのロッド、ここでは2列が、どのように、リフレクタの第1の焦点F1に配置される光源の縁の近傍に、好適に配置された第1のセットを形成するかを、以下に説明する。
【0036】
発光ロッド8の形状は、また、特にロッドの断面と、端面26の形状とにおいて、装置ごとに変化させることができる。ロッドは、一般的に、円筒形状を有し、これらは、特に、
図3に示されるように、多面体、より具体的には六角形の断面の形状を有することができる。周壁が多角形を有していようと、円形の形状を有していようと、光が周壁を通して放射され得ることが、重要であることが理解される。
【0037】
さらに、端面26は、実質的に平坦かつ周壁に対して直角の形状を有することができ、
図3に示されるように、基板10の上面16に実質的に平行に延びるか、あるいはドームまたはその中心が尖った形状を有することができ、この端面から出射する光の放射の方向を増加させる。
【0038】
図示されない変形例において、半導体光源2は、発光ロッドが少なくとも部分的に埋設されている、高分子材料の層を、さらに備えることができる。高分子材料は、特にケイ素に基づくことができ、光線の拡散を妨げることなく発光ロッドを保護することを可能にする保護層を生成する。さらに、ロッドのうちの1つにより放射された光線の少なくとも一部を吸収すること、および前記吸収励起光の少なくとも一部を、励起光の波長とは異なる波長を有する放射光に変換することが可能な波長変換手段と、例えば発光団とを、この高分子材料の層に組み込むことが可能である。波長変換手段を、高分子材料の塊に埋め込む、あるいは、それらを、この高分子材料の層の表面に配置する、と定めることも、等しく可能である。
【0039】
光源は、光を反射する材料のコーティングを、さらに備えることができ、このコーティングは、発光ロッド8の間に配置されて、最初に基板に向けられていた光線を、発光ロッド8の端面26に向けて偏向させる。換言すれば、基板10の上面16は、最初に上面16に向けられていた光線を、光源の出力面に向けて返す反射手段を備えることができる。そうしなければ失われる光線を、こうして回収する。このコーティングは、透明導電性酸化物29の層上の発光ロッド8の間に配置される。
【0040】
発光ロッド8は、2次元配列で配置される。この配置は、ロッドをジグザグに配置するようにすることができる。一般的に、ロッドは、基板10上に規則的な間隔、および発光ロッドに近接する2つを離間する距離で配置されており、各ロッド8の周壁28により放射された光が、発光ロッドの配列から出射することを可能とするために、配列の寸法のそれぞれにおいて、少なくとも2マイクロメートルに等しくなければならない。さらに、隣接するロッドの2つの延長軸22の間で測定される、これらの離間距離は、100マイクロメートルを超えないものと定める。
【0041】
サブミリメートル寸法の発光ロッドは、基板に対して実質的に平行の面内にて、決定された放射面を規定し、この放射面は、決定された長さおよび幅を有する、実質的に長方形の形状を有する。
図2に示されるように、長さおよび幅という用語は、基板に平行の面内にてロッドにより形成される放射面の主要寸法を規定するために用いられる。また、この
図2において、光源は、一方では、長方形の放射面の幅すなわち小さい側が、光軸と平行になるように、他方で、長さすなわち大きい側が、この光軸に中心を合わせられるように配置されること、および、同心円配置を有することが可能であると理解されることは、留意すべきである。換言すれば、基板の平面内で光軸に直角の横断方向に、光源、または少なくとも発光素子により規定される放射面は、光軸上で対称形に配置される。以下、長手方向すなわち光軸に沿った光源の配置を説明する。上記から、
図2に示されるように、光源の主要寸法、または少なくとも発光素子により規定される放射面は、光軸を横断して、すなわち直角に延びることが理解される。
【0042】
前述したように、本発明に係る図示された例において、光源2は、それぞれストリップの形状をとる、3つの選択的に発光可能なセットに配置された発光ロッドを有し、これらのストリップは、光軸60に沿って積層される。それぞれが、第1のセット81と、第2のセット82と、第3のセット83とを形成する、これらのストリップは、特に
図2に見られるように、そのすぐ隣のストリップから、境界線によって分離されている。2つの連続するセットの間の、この境界線は、ここで、直線の部分の形状に従うものであり、かつ、基板から突出して延びる縁部を物理的に生成することにより、等しく得ることができること、または、ロッドのセットの個別の電気的接続により、単独で作製されることが理解される。
【0043】
それぞれのケースで、境界線の両側の2つのセットの、それぞれ互いに関連付けられるロッドは、セットを選択的に発光可能とするように、電気的に接続されることが理解される。
【0044】
第1のセット81は、その平均高さが、第2のセット82のロッドの平均高さよりも高く、かつ、第3のセット83のロッドの平均高さよりも高いロッドを有する。先に規定したように、光線偏向素子4の第1の焦点に配置されるのは、第1のセット81となるように、光源1は配置される。この第1の焦点からさらに離れて配置される、ロッドのセットは、実質的に互いに等しいが、しかし第1のセット81の平均ロッド高さ未満の、平均ロッド高さを有しており、これにより、他のロッドのセットよりも大きな輝度を生成する。その結果、光軸の方向に沿った可変の輝度を呈する光源となる。
【0045】
この状況において、ロッドの第1のセット81が、他のセットのロッドの平均輝度よりも3~4倍の輝度を呈するように、発光素子のそれぞれを構成する、と定めることができる。
【0046】
上記から、光源2と関連付けられる駆動素子は、第1のセット81の発光を、第2のセット82および/または第3のセット83の発光とは別に駆動するように構成されることが理解される。
【0047】
ここで、光源2と、光偏向素子4を形成する楕円形リフレクタと、光成形素子6を形成する発散レンズとの、互いに対する位置、および、それが持つ光線の経路に対する影響の、より詳細な説明を続ける。
【0048】
楕円形のリフレクタは、光源、より具体的には、ロッドの第1のセットに対応する長手方向の端縁が位置する第1の焦点と、発散レンズの物体焦点と一致する第2の焦点と、を有する。リフレクタの第2の焦点と、発散レンズの焦点との、この整合点は、光源とリフレクタに対する、発散レンズの反対側に位置している。換言すれば、発散レンズは、リフレクタの第1および第2の焦点の間に位置する。
【0049】
第1の光線(
図1にて単一の矢印を有する線により示す)は、ロッド8の第1のセット81から、すなわち、リフレクタの第1の焦点に実質的に位置する光源の領域から放射される。その結果、リフレクタの第2の焦点に向けて、放射光線が偏向され、リフレクタは、楕円形であるか、または少なくとも、この楕円形の反射の原理を、二重の焦点により観察するように構成される。これらの光線は、リフレクタの第2の焦点に達する前に、発散レンズに到着する。これらの光線の入射は、光線が、レンズの物体焦点を論理的に通過するようになされ、これは、物体焦点がリフレクタの第2の焦点と一致するためであり、光線は、次いで、発散レンズの出力にて、光軸60に対して平行または実質的に平行に投射される。
【0050】
第2の光線(
図1にて二重矢印を有する線で表す)は、リフレクタの第1の焦点の下流側に位置する、すなわち、リフレクタの第1の焦点および第2の焦点の間に位置する、光源の領域に対応する、ロッド8の第2または第3のセットから放射される。これは、結果として、偏向光線を生じ、この光線は、
図2にも示されるように、レンズが無い状態で、リフレクタの第2の焦点の上流側の光軸と交差させられる。これらの光線は、この論理的な焦点に達する前に、発散レンズに到着する。これらの光線の入射は、光線が、レンズの物体焦点の上流側を論理的に通過するようになされ、これは、物体焦点がリフレクタの第2の焦点と一致するためであり、光線は、次いで、発散レンズの出力にて、光軸60に関連した傾斜を有して、この光軸60により規定された水平線の下で投射される。
【0051】
換言すれば、リフレクタは、発散レンズの反対側にある光源の非常に明るい部分の像を、この発散レンズの物体焦点の近傍に投射するように構成され、これにより、発散レンズの出力にて放射されるビームのカットオフを形成することで、対応する光線が、光軸に対して平行に出現するようになっている。
【0052】
よって、楕円形リフレクタの第1の焦点に配置された光源の縁により境界が定められた、非常にシャープなビームカットオフを有するロービーム型のビームを生成することが可能である。
【0053】
その結果、カットオフ縁に対応する光源のこの縁と接して配置され、他のロッドのセットよりも高い輝度を有するように構成されている、ロッドの第1のセット81を有する利点は、留意する価値がある。高い光強度の領域を、これにより、投射されるビーム内で、カットオフ縁の真下に生成することができる。
【0054】
図示される例において、この第1のセット81のロッド8のより高い平均高さによって、より高い輝度が得られるが、この高輝度は、違う方法、例えばロッドのより高い密度により、得ることもできることが理解される。これらのそれぞれの場合で、高輝度の領域が、光源2の後部長手方向端縁80、すなわち、発散レンズの反対側の光源の縁に、配置される。先に規定することができたように、高輝度の領域を呈する、この縁は、楕円形または疑似楕円形のリフレクタの第1の焦点に配置される。これは、特に、
図2において見ることができ、この図では、ロッドの3つのセットのそれぞれに対応する光線の論理的投射の領域、すなわち、このために
図2では点線で示されている発散レンズが無い状態の投射の領域を、模式的に示している。リフレクタ4の第1の焦点F1に位置している、ロッド8を有する光源の後部長手方向端縁80は、投射ビームのカットオフ縁100により映されている。楕円形リフレクタ4を介して長方形の光源を映すことにより投射されるビームは、発散レンズが無い状態で、リフレクタの第2の焦点の近傍に、内側に曲がる形状を呈することが見出されている。高輝度で、後部長手方向端縁80の直に近傍に位置する、ロッドの第1のセット81は、より高い強度の投射ビームの第1の部分101を生成し、かつ、連続して、ロッドの第1のセット81から離れるにつれて輝度が低下する、ロッドの各セットは、強度が次第に低下しかつ論理的な第2の焦点F2の上流側の光軸に交差するビームの部分を生成し、これにより、これらの部分が、光成形素子6、特に発散レンズにより補正される際に、これらの部分は、次第に車両に近くなるように、水平線の下で投射される。
【0055】
基本動作モードにおいて、光源と関連付けられる駆動素子は、ロッドのセットのそれぞれに存在する、発光ロッドの選択的な発光を制御する。これらのセットの駆動は、ロッドのセットのそれぞれの電源強度が、光源2の長手方向端縁80からのそれらの距離に従って変化する点を、選択的にすることができる。ここで、ロービーム型のビームが、カットオフ縁を有して生成され、特に、リフレクタの第1の焦点に関連して光源の位置を修正することにより、他の種類のビームを生成することもできることが理解される。領域ごとに輝度を修正するには、領域の個別の電源に対して、かつ等しく、基板から突出する発光素子の高さおよび/または密度に対して調整を行うことが可能であること、および、先に述べたこれらの実施形態の一方および/または他方を、実施可能であることが理解される。
【0056】
本発明は、特に、自動車のフロント前照灯に適用され、特に、車両の前面に組み込まれる。
【0057】
説明された実施形態は、上述したものと同じ基板から突出および延長するエレクトロルミネセンスロッドを有する光源に、適用されるが、また、同じ基板上の重ねられたエレクトロルミネセンス層を切断することにより得られる、エレクトロルミネセンスブロックを有する、ロッドがブロックに置き換えられている光源にも、適用される。
【0058】
明らかに、発光素子を有する少なくとも1つの半導体光源と、集光素子と、例えば楕円形または疑似楕円形のリフレクタと、発散レンズと、を用いるという条件で、非限定の例として説明してきた光源の構造に対する、様々な実施形態を、当業者によって作ることができる。いずれの場合も、本発明は、この文献内に具体的に説明した実施形態に、限定されることはなく、特に、任意の等価な手段、およびこれらの手段の任意の技術的に動作可能な組み合わせに、延長される。